JPH077665Y2 - バタフライ弁の結露防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、バタフライ弁の結露防止装置に関し、更に
詳しくは管路を流路する流体と大気との温度差に基因し
て、バタフライ弁の大気中に露出した部分に結露が生じ
て来るのを防止するようにしたバタフライ弁の結露防止
装置に関する。

（従来の技術） 従来、冷房は冷凍用配管の如き低温流体が流過する管路
は、流過する流体と大気との温度差によって、大気中の
水分が管路外周面に結露して来るため、管路外周面を断
熱性のカバーで被覆し結露を防止する対策が採られてい
る。

このような断熱性のカバーにより、管路に取り付けられ
たバタフライ弁も、その弁本体を含む弁軸筒の一部は被
覆される。しかしながら、管路に対して直交して延び出
す弁軸筒並びに該弁軸筒の外端に連結されるアクチュエ
ータ等は、その形状が複雑であると共に、管路とは方向
性が異なり、断熱被覆が困難であるため、断熱被覆する
ことなくそのまま大気中に露出されているのが現状であ
る。このため露出した弁軸筒やアクチュエータ外面が結
露した水滴で腐食したり、滴下した水滴で床面が汚れる
という問題があった。

かかる弁軸筒やアクチュエータを断熱カバーで被覆する
ことも行われているが、前述したように弁軸筒やアクチ
ュエータは管路と直交した方向に位置しているため、管
路を被覆するカバーとは別体の断熱カバーは必要となる
と共に、形状が複雑でしかもアクチュエータはバタフラ
イ弁の機能、用途、使用場所、制御方式等に応じて形
状、構造が異なっているため、１つのバタフライ弁に対
して多種類の断熱カバーを用意しなければならない欠点
があった。すなわち、第５図に示すように、バタフライ
弁（１）は配管パイプ（２）（２）のフランジ（３）
（３）間に挟み込まれて締着されており、配管パイプ
（２）（２）並びにバタフライ弁（１）の弁本体は断熱
カバー（４）（４）で被覆されるが、配管パイプ（２）
（２）と直交する方向に延び出す弁軸筒（５）とアクチ
ュエータ（６）は、該配管バイプ（２）（２）の外周面
を被覆する断熱カバ（４）（４）では被覆することが出
来ない。そこで、別体の断熱カバー（７）を用意し、弁
軸筒（５）とアクチュエータ（６）とを一体に被覆して
いる。しかしながら、かかる結露防止対策は、作業性が
悪く面倒であるため、実際には結露防止対策が採られな
いか、或は断熱カバー（７）による被覆が不十分となっ
てしまう問題があった。

（考案が解決しようとする課題） この考案は、管路と直交する方向に延び出す弁軸筒及び
アクチュエータの結露防止を簡単且確実に達成可能とせ
んとするものである。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決するために、この発明が採った手段は、
内部に円筒状の流体通路（11）貫通して形成した弁本体
（10）内に円板状の弁体（12）を回動自在に軸支し、流
体通路（11）の内周面と弁体（12）との間にシートリン
グ（13）を介挿し、弁体（12）の外周縁とシートリング
（13）との接離により流体通路（11）を開閉制御し、弁
体（12）を回動自在に軸支する弁棒（14）が、弁本体
（10）の外周面から直径方向外方へ突出した弁軸筒
（５）内を貫通して、弁軸筒（５）の外端に固着された
アクチュエータ（６）内に延び出し、アクチュエータ内
において駆動軸（18）に接続されているバタフライ弁に
おいて、弁軸筒（５）の外端とアクチュエータ（６）と
を熱遮断板（16）を介して取り付け、弁本体（10）と弁
軸筒（５）の外周面を２つ割りリング状の断熱カバー
（９）で被覆し、該断熱カバー（９）を前記熱遮断板
（16）に当接させると共に、前記アクチュエータ（６）
のケーシング（17）を非金属製の断熱材料で形成したこ
とを特徴とする。

（実施例） 以下に図面を参照しつつ、この考案の好ましい実施例を
詳細に説明する。図示のバタフライ弁（１）は従来周知
のバタフライ弁と実質的に同一の構造を有するものであ
る。すなわち図において（10）は内部に円筒状の流体通
路（11）を貫設した弁本体であり、内部に円板状の弁体
（12）が回動自在に軸支される。流体通路（11）の内周
面と弁体（12）との間には、軟弾性のゴム等からなるシ
ートリング（13）が介挿され、回動する弁体（12）の外
周縁とシートリング（13）との接離により、流体通路
（11）の開放、閉止並びに流量の制御が行われる。

弁体（12）の直径方向対向位置に、該弁体を軸支する弁
棒が取り付けられ、該弁棒の一方（14）は駆動軸とし
て、弁本体（10）の外周面から直径方向外方へ突出した
弁軸筒（５）内を延び出しており、外端に該弁棒（14）
を駆動するアクチュエータ（６）が連結される。アクチ
ュエータ（６）は弁軸筒（５）の外端に固定された取付
板（15）上に取り付けられる。

このような構造を有するバタフライ弁（１）が、第２図
に示すように配管フランジ（３）（３）間に挟み込ま
れ、締付ボルト・ナット（８）による締付にて、配管フ
ランジ（３）（３）間に固定、保持される。配管パイプ
（２）（２）の外周面は、従来と同様に断熱カバー
（４）（４）でフランジ（３）（３）の部分まで被覆さ
れ断熱される。更に、バタフライ弁（１）、配管フラン
ジ（３）並びに弁軸筒（５）が、前記断熱カバー（４）
とは別体のリング状断熱カバー（９）で被覆され断熱さ
れる。しかしながら、かかるリング状断熱カバー（９）
では弁軸筒（５）の一部が被覆されるのみであり、弁軸
筒（５）の残部とアクチュエータ（６）が外気中へ露出
しているため、流過する流体から伝熱した熱と外気との
温度差により、露出した弁軸筒（５）やアクチュエータ
（６）の外面に水滴が結露して来るのを避けることが出
来なかった。

そこで、この考案は、弁軸筒（５）の外端の取付板（1
5）とアクチュエータ（６）との間に断熱性の熱遮断板
（16）を介挿して、弁軸筒（５）とアクチュエータ
（６）との間を熱的に遮断すると共に、アクチュエータ
（６）のケーシング（17）を非金属製の断熱材料で形成
し断熱カバー（９）を熱遮断板（16）に当接させたこと
を特徴とする。前記した断熱カバー（４）（９）は好し
くはポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リスチレン等の発泡成形体で形成される。かかる材料は
優れた断熱性能を有すると共に、軽く且刃物等による切
断や整形が容易である。また、熱遮断板（16）は前記発
泡材料で形成しても良いが、アクチュエータ（６）の取
付けに伴う締付力が負荷され、変形するので、塩化ビニ
ールシート又は石綿板等が好しいであろう。

断熱カバー（４）（９）は直径方向に２つ割りの形状に
形成され、配管パイプ（２）やバタフライ弁（１）の半
径方向側方から被嵌され、粘着テープを巻き付けたり、
或は接合面に塗布した接着剤による接着等の適宜の手段
で接合される。弁軸筒（５）を被覆する断熱カバー
（９）は、好しくは円周面を弁軸筒（５）の外周面と同
一形状に型成形され、一端を熱遮断板（16）に接してい
る。２つ割りのリング状断熱カバー（９）は、弁軸筒
（５）にその半径方向側方から被着し、接合面を接着剤
による接着、若しくは粘着テープを巻き付け等の適宜の
手段で接合して、弁本体（10）並びに弁軸筒（５）の外
周面に被覆させる。

アクチュエータ（６）のケーシング（17）は、非金属製
の断熱材料、例えば硬質塩化ビニル等の合成樹脂材料で
形成される。ケーシング（17）は、第３、４図に示すよ
うに外方へ延び出すハンドル軸（18）の軸心に沿った面
を分割面（19）として上下２つ割りにした分割体（17
a）（17b）の接合体で構成され、締付ボルト（図示せ
ず）で一体に接合される。

ケーシング（17）を非金属製の断熱材料で形成すること
により、アクチュエータの外周面に結露が生じて来るお
それがなく、したがって断熱カバーによる断熱被覆が不
要となる。更に、ケーシング（17）を分割体（17a）（1
7b）の接合構造としてあるので、各分割体の厚みが薄く
なり、内部に歯車機構等を組み込むための凹部の深さが
浅くなる結果、成型が容易で、型抜きも簡単に出来る利
点がある。更に、ケーシング（17）を合成樹脂材料とす
れば、着色が容易で美麗に仕上げることが出来るため、
商品価値を向上させることが出来ると共に、配管後の塗
装も不要でコスト節減を図り得る。

（作用） 配管パイプ（２）、フランジ（３）並びにバタフライ弁
（１）の弁本体（10）を断熱カバー（４）（９）で被覆
すると共に、弁軸筒（５）の外端に熱遮断板（16）を介
してアクチュエータ（６）を取り付けてあるので、弁軸
筒（５）が外気に露出されることがない。更に、アクチ
ュエータ（６）は熱遮断板（16）により弁軸筒（５）と
熱的に遮断されていると共に、非金属製断熱材料で形成
されているため、弁軸筒（５）やアクチュエータ（６）
の外周面に大気中の水滴が結露して来ることがなくな
る。

（考案の効果） この考案によれば、従来断熱被覆が困難なため露出され
たままになっていた弁軸筒外周面を断熱カバーできわめ
て容易且確実に被覆して、外気から遮断することが出来
ると共に、アクチュエータは弁軸筒と熱的に遮断され、
且非金属製断熱材料で形成されているため、弁軸筒やア
クチュエータの外周面に大気中の水滴が結露して来るお
それがなくなる。又弁軸筒やアクチュエータから熱の放
散がないため、エネルギーロスを防止することも出来
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るバタフライ弁の分解斜視図、第
２図はこの考案により断熱被覆された状態を示す断面
図、第３図はケーシングの外観斜視図、第４図は同分解
斜視図、第５図は従来の断熱被覆状態の一例を示す断面
図である。 （１）……バタフライ弁、（２）……配管パイプ （３）……フランジ、（４）……断熱カバー （５）……弁軸筒、（６）……アクチュエータ （７）……断熱カバー、（８）……締付ボルト・ナット （９）……リング状断熱カバー （10）……弁本体、（11）……流体通路 （12）……弁体、（13）……シートリング （14）……弁棒、（15）……取付板 （16）……熱遮断板、（17）……ケーシング （18）……ハンドル軸、（19）……分割面

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に円筒状の流体通路（11）を貫通して
   形成した弁本体（10）内に円板状の弁体（12）を回動自
   在に軸支し、流体通路（11）の内周面と弁体（12）との
   間にシートリング（13）を介挿し、弁体（12）の外周縁
   とシートリング（13）との接離により流体通路（11）を
   開閉制御し、弁体（12）を回動自在に軸支する弁棒（1
   4）が、弁本体（10）の外周面から直径方向外方へ突出
   した弁軸筒（５）内を貫通して、弁軸筒（５）の外端に
   固着されたアクチュエータ（６）内に延び出し、アクチ
   ュエータ内において駆動軸（18）に接続されているバタ
   フライ弁において、弁軸筒（５）の外端とアクチュエー
   タ（６）とを熱遮断板（16）を介して取り付け、弁本体
   （10）と弁軸筒（５）の外周面を２つ割りリング状の断
   熱カバー（９）で被覆し、該断熱カバー（９）を前記熱
   遮断板（16）に当接させると共に、前記アクチュエータ
   （６）のケーシング（17）を非金属製の断熱材料で形成
   したことを特徴とするバタフライ弁の結露防止装置。
2. 【請求項２】ケーシングがハンドル軸の軸心に沿う分割
   面において２つ割り形状に形成されていることを特徴と
   する請求項（１）記載の結露防止装置。
3. 【請求項３】ケーシングが合成樹脂材料で形成されてい
   ることを特徴とする請求項（１）又は（２）記載の結露
   防止装置。