JPH0776156B2 - 酸化物ガーネット単結晶 - Google Patents

酸化物ガーネット単結晶

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JPH0776156B2
JPH0776156B2 JP24683888A JP24683888A JPH0776156B2 JP H0776156 B2 JPH0776156 B2 JP H0776156B2 JP 24683888 A JP24683888 A JP 24683888A JP 24683888 A JP24683888 A JP 24683888A JP H0776156 B2 JPH0776156 B2 JP H0776156B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、文献未載の新規な酸化物ガーネット単結晶、
特には陽イオンがGd、Ca、Ga、Mg、Zr、A(AはSi、Ge
またはTiから選択される元素)の酸化物からなる磁気バ
ブル素子、磁気光学素子用として有用とされる酸化物ガ
ーネット単結晶に関するものである。
[従来の技術] 希土類鉄系の磁性ガーネット薄膜をエピタキシャル成長
させたガーネット構造をもつ磁性膜は磁気バブル素子、
磁気光学素子として使用されているが、このエピタキシ
ャル成長させるガーネット構造体についてはバブルメモ
リーにおける異方性磁界を大きくすること、また磁気光
学用としてはファラディ回転能を大きくすることからB
i、R、Fe、M(ここにRはCa、Yまたは希土類元素の
1種以上、MはGa、Alなどの鉄と置換可能な金属元素)
の陽イオン酸化物からなるビスマス置換磁性ガーネット
膜の使用が良好な結果を示すものとされ、このものの使
用が注目されている。
他方、このガーネット構造をとるエピタキシャル成長層
を作るために使用されるガーネット基板単結晶について
は 1)結晶の格子定数がガーネット構造をもつ磁性膜と約
0.01Åの範囲内で合致していること、 2)結晶を構成する元素の偏析係数が1に近い値である
こと が要求されるのであるが、上記したビスマス置換磁性ガ
ーネット膜の格子定数が12.49〜12.50Åとされるのに対
し、従来この種の基板単結晶とされたガドリニウム・ガ
リウム・ガーネット(GGG)、ネオジム・ガリウム・ガ
ーネット(NGG)などはその格子定数がそれぞれ12.38〜
12.51Åであることから、このビスマス置換磁性ガーネ
ット膜をエピタキシャル成長させるための最適な基板と
はいえず、これらに代る基板単結晶の提供が求められて
いる。
そのため、この種の用途に使用される基板単結晶につい
てはCaまたはSr、希土類金属、Mg、Zr、Sr、Gaからなる
式 (Gd,Sm,Na,Yb)3-x(Ca,Sr)xGa5-x-2yMgy(Zr,Sn)x-yO12 で示されるガーネットが提案されており(特公昭60−45
83号公報参照)、これによれば大量生産が可能で、可能
な最大の規模を有するディスプレイを製造できる結晶を
殆ど歪なく生産することができ、このものは分布係数が
殆ど1で格子定数も1.2497nmを示すけれども、この組成
物は結晶製造時および加工時に脆く割れ易いという欠点
があるために生産性が低く、コスト高になるという欠点
がある。
[発明の構成] 本発明はこのような不利を伴わない生産性のよい、ガー
ネット構造体をエピタキシャル成長させるための基板単
結晶に関するもので、これは陽イオンがGd、Ca、Ga、M
g、Zr、A(AはSi、GeまたはTiから選択される元素)
からなる酸化物ガーネット単結晶に関するものである。
すなわち、本発明者らは前記したエピタキシャル成長層
としてのBi、R、Fe、M(R、Mは前記に同じ)の陽イ
オン酸化物からなるビスマス置換磁性ガーネット膜の結
晶格子定数である12.49〜12.50Åに近似する格子定数を
もつガーネット構造体について種々検討した結果、上記
した陽イオンがGd、Ca、Ga、Mg、Zr、A(Aは前記のと
おり)からなる酸化物ガーネット単結晶が格子定数12.4
95Åとされるものであることを見出すと共に、このもの
は偏析係数が略々1であり、チョクラルスキー法による
単結晶引上げ時にも結晶がねじれることもなく、容易に
引上げることができるので生産性もすぐれたものである
ということを確認すると共に、Gd、Ca、Ga、Mg、Zrより
なるガーネット単結晶にZrイオンよりもイオン半径の小
さな4価の元素A4+(Si、GeまたはTiから選択される元
素)などを加えると、ガーネット格子の歪を緩和するこ
とができ、結晶が割れるという欠点が抑制できるという
ことを見出して本発明を完成させた。
本発明の酸化物単結晶は陽イオンとしてGd、Ca、Ga、M
g、Zr、A(Aは前記のとおり)の各元素を構成要素と
するものであるが、このものはその結果から切り出した
フエーハを熱リン酸でエッチングしてからその格子定数
を測定したところ、12.495Åであって前記したBi、R、
Fe、M、の陽イオン酸化物からなる例えば式(BiRe)
(FeM)5O12で示されるビスマス置換磁性ガーネット膜
の格子定数12.49〜12.50Åと略々一致するものである
し、この開始時と終了時の各成分の偏析係数がこの結晶
の重量分析値からGd、Ca、Ga、Mg、Zr、Si、Ge、Tiのい
ずれについてもほぼ1.0とされるものであることから、
上記したビスマス置換磁性ガーネット膜をエピタキシャ
ル成長させるためのガーネット基板単結晶として最適と
されるものであることが確認された。
本発明の酸化物ガーネット単結晶は上記したように陽イ
オンとしてGd、Ca、Ga、Mg、Zr、Si、Ge、Tiからなるも
のとされるが、このものはガーネット構造の{c}サイ
トにGd、Ca、[a]サイトにGa、Mg、Zr、(d)サイト
にGa、Si、Ge、Tiを配置したものと考えられるので、こ
れは式 Gd3-xCaxGa5-x-2yMgyZrx+y-zAzO12 で示される結晶構造をもつもので、このものはGd2O3、C
aO、Ga2O3、MgO、ZrO2およびAO2の所定量をるつぼ中に
仕込んで高周波誘導で加熱溶融したのち、この融液から
チョクラルスキー法で単結晶を引上げることによって製
造される。
すなわち、本発明者らは上記した式で示される酸化物ガ
ーネット単結晶の工業的な製造方法について種々検討
し、これにチョクラルスキー法による単結晶引上げ法に
よることがよいと判断し、この諸条件についての研究を
進めた。ここに使用されるGd2O3、CaO、Ga2O3、MgO、Zr
O2およびAO2はできるだけ高純度のものとすることがよ
く、したがってこれらはいずれも好ましくは純度が99.9
%以上のものとされる。これらはそれぞれを秤量後るつ
ぼ内に収納して溶融されるが、このるつぼはこれらの溶
融温度が1,700℃以上とされるのでイリジウム製のもの
とすればよい。このものの溶融は常法にしたがって高周
波誘導によって行なえばよく、したがってこれは例えば
7KHz、10KWの高周波を用いてこれらを1,750〜1,800℃に
加熱して溶融させればよい。
目的とする単結晶の製造はこの溶融物からのチョクラル
スキー法による単結晶引上げによって行なえばよいが、
この場合の雰囲気は窒素ガス、アルゴンガス雰囲気とす
ればよいが、必要に応じて酸素やCO2を混入してもよ
い。また、単結晶引上げに使用される種子結晶は目的と
する単結晶と同質のものとすればよいが、これはガドリ
ニウム・ガリウム・ガーネット(GGG)などのようなガ
ーネット型結晶体の単結晶としてもよく、この場合の単
結晶の引上げ速度は1〜20mm/時とすればよい。
なお、この単結晶の引上げではSGGのように引上げ時に
単結晶がねじれるということがなく、この引上げは極め
て容易に行なうことができ、引上げ終了後に単結晶を融
体から引離し、冷却すれば目的とする単結晶を得ること
ができる。
このようにして得られた本発明の式 Gd3-xCaxGa5-x-2yMgyZrx+y-zAzO12 で示される単結晶は、前記したようにその結晶格子定数
が約12.495Åであり、偏析係数も略々1であるというこ
とから、式 (BiRe)(FeM)5O12で示されるビスマス置換磁性ガ
ーネット膜をエピタキシャル成長させるためのガーネッ
ト基板単結晶として有用とされるものであるが、これは
また光透過性にもすぐれているので光アイソレーター用
の基板としても有用とされる。
つぎに本発明の実施例をあげる。
実施例 外径50mm、高さ50mmのイリジウムるつぼ中に、融液を形
成する組成が Gd2.6Ca0.4Ga4.1Mg0.25Zr0.64Si0.01O12 となるようにCaO、Gd2O3、MgO、ZrO2およびSiO2を秤取
して仕込み、窒素ガス98%、酸素ガス2%の雰囲気ガス
中で高周波誘導で1,750℃に加熱して溶解させ、この融
液に5mm角のGGG種子結晶を浸漬し、これを10rpmの回転
下に5〜6mm/時の速度で引上げて単結晶引上げを行なっ
たところ、86.3gの透明な結晶が得られた。
つぎにこの結晶の上部と下部から各約1gの試料を切出
し、高周波結合誘導プラズマ発光分析装置で各成分金属
元素について定量分析を行なったところ、ここに得られ
たものは次式 結晶上部 Gd2.6Ca0.4Ga4.1Mg0.25Zr0.64Si0.01O12 結晶下部 Gd2.6Ca0.4Ga4.1Mg0.25Zr0.64Si0.01O12 の結晶構造をもつものであることが確認されたが、この
定量分析結果にもとづいてこれら各金属の偏析係数を算
出したところ、これらは第1表に示したとおりであり、
いずれも略々であることが確認された。
また、この結晶についてはこの結晶上部および結晶下部
から厚さ1mmのウエーハを切り出し、熱リン酸でエッチ
ング後、格子定数精密測定装置・APL2(理学電機社製商
品名)を用い、ボンド法でその格子定数を測定したとこ
ろ、これはいずれも12.495Åの値を示した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽イオンがGd、Ca、Ga、Mg、Zr、A(Aは
    Si、GeまたはTiから選択された元素)の酸化物からなる
    ガーネット単結晶。
  2. 【請求項2】結晶構造が式 Gd3-xCaxGa5-x-2yMgyZrx+y-zAzO12 (式中AはSi、GeまたはTiから選択される元素で、x、
    y、zは0<x<0..7、0<y<0.7、0<z<0.1、x
    +y≦0.8)で示される特許請求の範囲1項記載の酸化
    物ガーネット単結晶。
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