JPH0775672A - 薬品容器兼注射器における注射筒本体 - Google Patents

薬品容器兼注射器における注射筒本体

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JPH0775672A
JPH0775672A JP5169585A JP16958593A JPH0775672A JP H0775672 A JPH0775672 A JP H0775672A JP 5169585 A JP5169585 A JP 5169585A JP 16958593 A JP16958593 A JP 16958593A JP H0775672 A JPH0775672 A JP H0775672A
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stopper
plug
syringe
syringe barrel
freeze
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JP5169585A
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English (en)
Inventor
Kiroku Ogasawara
喜六 小笠原
Masakazu Kobayashi
正和 小林
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KYOWA SHINKU GIJUTSU
Kyowa Vacuum Engineering Co Ltd
Original Assignee
KYOWA SHINKU GIJUTSU
Kyowa Vacuum Engineering Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薬品容器兼注射器において、それの注射筒本
体内に乾燥薬品を封栓する中間栓を、注射器としての使
用の際に薬液を射出させるピストン頭部としての機能を
損なわずに、注射筒本体内に注入した薬液を乾燥薬品に
凍結乾燥させる間、注射筒本体の上端の開口に半打栓状
態として装着しておけるようにする。 【構成】 薬品容器兼注射器における注射筒本体におい
て、中間栓部より上方における円筒部の筒壁に、その筒
壁の一部を拡径させた1個乃至数個の通気バイパスを、
略同じ高さ位置に揃えて形成し、かつ、その通気バイパ
スをそれの上下の両端が共に筒壁内面に位置し、その上
下長さが前記中間栓の外周面の上下の厚さより長く設定
して形設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、注射薬が注射器の注射
筒本体内に予め封入されている形態とした薬品容器兼用
注射器のうちで、注射筒本体内に封入しておく注射薬
を、凍結乾燥させた薬剤とこれを溶解させる溶解液とに
分離しておき、注射の施術の際に、注射筒本体の内部で
薬剤を溶解液により溶解させて注射液とする形態の薬品
容器兼用注射器における注射筒本体についての改良に関
する。
【0002】注射薬は、製造時に薬品小容器(アンプル
またはバイアル)に充填密封されて、出荷・流通し、使
用時に、薬品容器から注射筒に薬液を吸引後、これを注
射筒から患者等の体に注射する方式が伝統的で、今日も
一般的である。しかし近年、注射薬を注射器の注射筒本
体の内部に予め装填しておく、薬品容器兼注射器がプレ
フィル・シリンジ(pre-filled syringe) 等の名称で使
用されはじめた。薬品容器から注射器の注射筒本体への
薬液の移転に伴う、誤用、誤操作、異物混入汚染や注射
針刃先の損傷を防ぎ、かつ一刻を争う急患に対し、高粘
性ないし揺変性薬液を注射筒へ吸引する手間と時間を省
くためである。
【0003】液状では不安定で、製造時に薬品用器内で
凍結乾燥され、この乾燥薬品容器とは別容器の溶解液添
付で流通している用時溶解凍結乾燥注射剤は、生物工学
の急速な進歩とともに、癌治療薬等として重要性が一層
高まっているが、使用時の手順は液状注射剤より一層複
雑である。即ち、溶解液を溶解液容器から注射器の注射
筒本体内に吸引後、その注射筒本体から乾燥薬品容器内
に射出して、乾燥薬品を溶解し、溶解後の薬液を、当該
注射筒本体内に再吸引して、体内に注射しなければなら
ない。かかる用時溶解注射薬の場合にこそ、薬品容器兼
注射器の普及が期待される。この発明は、凍結乾燥注射
剤のための薬品容器兼注射器を改良し、その普及をはか
るものである。
【0004】
【従来の技術】従来の凍結乾燥注射剤用の薬品容器兼注
射器Aは、円筒部1aの下端底部に注射針装着用のニッ
プル状のノズル部10を設けた注射筒本体1と、それの
ノズル部10に装着される両頭針の注射針2と、注射筒
本体1の上端の開口11から嵌挿するプランジャー3
と、注射筒本体1の円筒部1a内に装入せる乾燥薬品4
を封栓するよう円筒部1aに嵌挿する中間栓50と、円
筒部1a内に注入せる溶解液6を封栓するよう円筒部1
a内の上端側に嵌挿する液室栓51と、ノズル部10内
に嵌挿する孔栓52とからなる(図6)。
【0005】この薬品容器兼注射器Aに用いる注射筒本
体1は、図1に示している如く、上端が開口11し、下
端底部に注射針2装着用のニップル状のノズル部10を
備える外径12mm(内径10mm)程度のガラス製の
円筒状体で、ノズル部10の内部には、合成ゴム等のゴ
ム材よりなる孔栓52が嵌装され、また、そのノズル部
10の先端にはゴム材よりなる保護カバー21が装着さ
れる。該注射筒本体1は、前記孔栓52により封栓され
るノズル部10の上方の円筒部1aに、下端から上方へ
の順で、乾燥薬品室13、通液バイパス(液流通用の流
路)14、中間栓部15、溶解液室16、液室栓部17
等が形成される。図2は、図1の注射筒本体1を通液バ
イパス14の部位において切断した横断面図である。図
3は、前記注射筒本体1の内部の中間栓部15に嵌挿す
る中間栓50の正面図、図4は前記注射筒本体1の液室
栓部17に嵌挿する液室栓51の正面図で、これらに示
す中間栓50および液室栓51は、共に合成ゴム等のゴ
ム材により円盤状乃至円筒形状に成形してある。そし
て、液室栓51は、上面側に雌ねじ510が形成してあ
る。また、この中間栓50および液室栓51は、薬品容
器兼注射器Aの注射筒本体1を内部に乾燥薬品4と溶解
液6とを封入した状態に製造していく過程で、それぞれ
注射筒本体1内の中間栓部15および液室栓部17に装
着され、それらにより隔てられる注射筒本体1内を気密
的に遮断する。また薬品容器兼注射器Aの注射器として
の使用時においては、扱い者の操作により、気密的に注
射筒本体1内を摺動する。また、プランジャー3は、こ
の使用時に液室栓51に連結するように取付けられる。
また、両端に刃先のある両頭針の注射針2も、この使用
時に、注射筒本体1の下端底部のノズル部10に装着さ
れる。なお、ノズル部10の内腔に嵌装する孔栓52
は、この例においては、円筒部1aとは別体に形成した
ニップル状のキャップ体10aを、ノズル部10の基端
部10bの外周に嵌着する際に、その基端部10bの下
端面とキャップ体10aの内端面との間に挟持させるこ
とで、ノズル部10の内腔を封栓するようにしてある。
【0006】この薬品容器兼注射器Aの注射筒本体1の
内部に、凍結乾燥した乾燥薬品4と溶解液6とを装填す
る工程は次の順で行なわれる。
【0007】注射筒本体1は、それの底部のニップル状
のノズル部10の内腔に孔栓52を嵌装して封栓し、そ
のノズル部10の先端の外周に保護カバー53を装着し
て、図1に示す状態とする。
【0008】次に、この注射筒本体1内の底部の乾燥薬
品室13に、規定量の薬液を注入し、この状態の注射筒
本体1を所定本数、試験管立て状の金属性ホルダーに直
立する姿勢に支持して、凍結乾燥機の凍結乾燥室内の棚
段の棚面上に配置し、凍結乾燥機の稼働により、この注
射筒本体1内の薬液を凍結乾燥して乾燥した薬品4とす
る。
【0009】次に、この注射筒本体1内の気圧を、凍結
乾燥機の凍結乾燥室内の圧力調整または機外に別に設け
ておく気密室内において、中間栓50を注射筒本体1内
の中間栓部15の位置まで押し込んだときに、乾燥薬品
室13内の圧力が大気圧になる水準に調節し、この状態
で注射筒本体1の上端側の開口11から円筒形に形成し
てある中間栓50を中間栓部15の位置まで押し込ん
で、乾燥薬品室13を密封する。
【0010】次いで、中間栓50の上面を底面とする溶
解液室16内の気体を排除しつつ、ここに溶解液6を所
定量注入し、液室栓51を施し、溶解液室16を密封す
る。
【0011】これにより、図5にあるよう、乾燥した薬
品4が乾燥薬品室13内に封入され、これの溶解液6が
溶解液室16に封入された薬品容器兼注射器Aの注射筒
本体1の製造工程が終了する。
【0012】このように製造された注射筒本体1の使用
時の操作は、次の操作手順に従って行なう。
【0013】まず、液室栓51の上面にプランジャー3
の下端側を連結する。液室栓51の頭部には、通常雌ね
じが加工されており、この雌ねじに、先端に雄ねじのあ
るプランジャー3の先端を図6の如く連結して、そのプ
ランジャー3を押し下げる。
【0014】これにより、下降する液室栓51と溶解液
6に押されて、中間栓50も一緒に下降する。そして、
その下降する中間栓50が通液バイパス14の位置に達
すると、この通液バイパス14の上下の長さL1が、中
間栓50の上下の厚さD1より長いため、中間栓50は
図7の如く、通液バイパス14の上下の中間位置に停止
し、溶解液室16内の溶解液6が、中間栓50の円筒面
に外接する通液バイパス14をへて乾燥薬品室13へ漏
入し、乾燥薬品室13内の乾燥薬品4を溶解していく。
【0015】次に、さらにプランジャー3を押し下げる
ことで、溶解液6が完全に乾燥薬品室13に送られる
と、中間栓50の上面が液室栓51の下面に密着するこ
とで、この中間栓50は、下降する液室栓51と一緒に
再び下降し始め、その中間栓50の下面が通液バイパス
14の下端を通過し、図8の如く、溶解液6により乾燥
薬品4が溶解した薬液Mを乾燥薬品室13内に封じ込め
た状態とする。これらの操作は、注射筒本体1を、ノズ
ル部10が下端に位置する直立した姿勢として行なうの
で、通液バイパス14には乾燥薬品室13内の気体の一
部が封じ込められるだけで、溶解した薬液Mの全量が中
間栓50の下面と孔栓52の間に封入される。
【0016】次に、通液バイパス14が中間栓50で乾
燥薬品室13から遮断された後、ノズル部10に装着し
てある保護カバー53を外し、このノズル部10に注射
針2を装着する。この注射針2の装着で円盤状のゴム製
の孔栓52は注射針2の基端側の刃先で破られ、乾燥薬
品室13がこの注射針2の内腔を介して外部に連通して
プランジャー3の押し込みにより薬液Mが注射針2の先
端から吐出する薬品容器兼注射器Aの状態となる。
【0017】次に、この薬品容器兼注射器Aをを持ち変
え、乾燥薬品室13内の気体を注射針2の針先から排除
する(図9)。この気体の排除が完全に行なわれたの
ち、注射針2を患者の所定部に刺し、プランジャー3の
押し込みで、液室栓51と中間栓50とを押し下げる
と、ピストン頭部面として機能する中間栓50の前面
が、注射筒本体1の下端面に圧着するまで薬液Mは体内
に注射される。
【0018】この従来技術の注射筒本体1内に乾燥薬品
4と溶解液6とを封入する製造工程において、薬液の凍
結乾燥後、注射筒本体1の上端の開口部11から中間栓
50を中間栓部15の位置まで押し込んで、乾燥薬品室
13を密封する工程…は、凍結乾燥された薬品4を外
界、即ち、汚染、吸湿、酸化等から隔離密封する工程で
あって、温度変化による変質を嫌うために密封後の最終
滅菌ができない凍結乾燥注射剤の最重要工程の一つであ
るが、従来技術においては、次の何れかの方法が採用さ
れてきた。
【0019】(その1)図10に示す通り、薬液注入済
の注射筒本体1の所定本数を試験管立て状の金属製のホ
ルダー70に直立支持して、凍結乾燥機の凍結乾燥室内
の棚段の棚面上に配置する際、そのホルダー70の構造
により決定される各注射筒本体1…の配列位置の真上の
正確な位置に、各注射筒本体1の上端側の開口11から
上方に離した位置に、各中間栓50…と、その中間栓5
0…を押し込む押し捧71をホルダー70に支持してお
いて、凍結乾燥機の稼働により凍結乾燥を行なう(図中
の小矢印が水蒸気の流路)。凍結乾燥が終了後に、凍結
乾燥機の真空状態の凍結乾燥室に、無菌乾燥窒素ガスを
所定圧まで導入して、凍結乾燥機に具備されている棚段
上下駆動装置により、各棚段の棚間隔を縮小し、各棚の
裏面(下面)で前記ホルダー70に支持せる押し捧71
を介して、中間栓50を注射筒本体1の上端の開口部1
1に嵌挿して封栓する。その後、凍結乾燥機の各棚間隔
を開き、凍結乾燥室から、乾燥薬品4の封入を終えた注
射筒本体1…をホルダー70と共に搬出する。中間栓5
0を注射筒本体1内の中間栓部15の位置まで押し込む
工程は、前述した溶解液6を注入する工程と共に、凍結
乾燥機の機外の別装置で行なうこともあり、また、凍結
乾燥機内で中間栓部15の位置まで押し込むこともあ
る。
【0020】(その2)注入した薬液の凍結乾燥の工程
を終えた注射筒本体1を、開口状態で凍結乾燥室から搬
出し、別装置の無菌乾燥空気(窒素)調圧設備下の打栓
器の直下に、該注射筒本体1…を順次送り、この注射筒
本体1の内部を無菌乾燥空気(窒素)で所定圧に調整し
つつ中間栓50を打栓し、次いで、この中間栓50を所
定位置まで押し込み、前述した溶解液6を注入し液室栓
51を打栓する工程に接続する。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術中、こ
の発明が解決しようとする問題点は、注射筒本体1内に
乾燥薬品4と溶解液6とを封入する製造工程における乾
燥薬品4の中間栓50による密封工程の困難性である。
【0022】前述した従来技術の(その1)は、凍結乾
燥を終了した際、真空状態の凍結乾燥室に、無菌濾過し
た高度に清浄な乾燥窒素ガスを所定の圧力まで導入して
封栓するもので、高度に清浄、低湿、また酸素を遮断し
た密封が可能である。しかし、現行のバイアルで行なっ
ている凍結乾燥に比べて、著しく低効率、高コストとな
る。
【0023】なぜなら、バイアルの封栓の場合は、図1
1の通り、バイアル9の上部の開口90を封栓するゴム
栓91は栓下部910の切欠き部911の一部を通気孔
9aとして残して、各バイアル9の開口90に半ば挿入
されて(半打栓とよばれる)、凍結乾燥機の凍結乾燥室
の棚上に配置されているので、バイアル9の開口90と
ゴム栓91の正確な位置決めを必要とせず、密集状態に
半打栓としたバイアル9…を棚上に配置し、乾燥終了後
に、棚段上下駆動装置により、棚間隔を圧縮するだけ
で、ゴム栓91が半打栓状態から、全打栓され完全な封
栓が遂行できる。しかし、薬品容器兼注射器Aの注射筒
本体1の場合には乾燥薬品4を密封する機能をもつ中間
栓50が、注射筒本体1を注射筒として機能させる際
に、ピストン頭部の役割をもつため、薬液を残りなく押
し出せるようそれの下面は平面であることを要し、この
中間栓50の下部に通気孔のための切欠きを設けること
ができず、このため、注射筒本体1の上端の開口11
に、半打栓状態にセットできない制約がある。1回分数
千本から数万本もの注射筒本体1の開口11から上方に
離して、それら開口11…の真上に、同数の中間栓50
…と押し捧71…を正しく配置支持するためには、複雑
なホルダー70を必要とする。しかも、そのホルダー7
0に注射筒本体1、中間栓50、及び押し捧71をセッ
トする際に、複雑な無菌工程を遂行せざるをえないだけ
でなく、このためには、注射筒本体1…を密集状態で棚
上に配置できず、凍結乾燥室への収容本数は、密集状態
の約60%に減少してくる。このことから著しく高コス
トとなるので、従前にあっては、前述した(その2)の
手段がより多く採用されている。
【0024】この(その2)の従来技術によれば、中間
栓50の挿入は、注入した薬液の凍結乾燥を終えた注射
筒本体1…を、凍結乾燥機の凍結乾燥室から搬出した後
に、別装置の固定した1台の中間栓打栓機の所定位置に
向け、コンベアラインにより順次送り込んで、その所定
位置に順次セットして、中間栓50を打栓し、次の作業
の溶解液6の注入装置に送り出す工程となる。従って、
注入した薬液の凍結乾燥を終えた注射筒本体1を、開口
状態のまま、凍結乾燥機の外部へ搬出することになり、
凍結乾燥機内で行なう場合と同水準の高度な密封、汚染
防止、吸湿防止、酸化防止を行なうことが困難である。
【0025】また、注射筒本体1内に乾燥薬品4と溶解
液6とを封入した製品としての長期間の製品流通中に、
乾燥薬品室13内の圧力と外気圧との差圧により中間栓
50が上または下に移動し、溶解液6が注射筒本体1の
外に、あるいは乾燥薬品室13に、漏洩する事故を防止
するため、中間栓50の打栓装置には、注射筒本体1内
部の空気(窒素)圧を、流通期間の気温も考慮して正確
な水準に制御しつつ、コンベアラインから連続供給され
る注射筒本体1に中間栓50を打栓する機能を備えなけ
ればならない。酸素排除、窒素置換、除湿、無菌無塵、
気圧の精密制御の、最高度の機能を本来所有する凍結乾
燥機内を利用せず、これらの諸機能を中間栓50打栓装
置にも装備することが、製造コスト上の難点ともなって
くる。
【0026】
【目的】本発明は、従来手段に生じている上述の問題を
解消するためになされたものであって、薬品容器兼注射
器Aにおいて、それの注射筒本体1内に乾燥薬品4を封
栓する中間栓50を、注射器としての使用の際に薬液を
射出させるピストン頭部としての機能を損なわずに、注
射筒本体1内に注入した薬液を乾燥薬品4に凍結乾燥さ
せる間、注射筒本体1の上端の開口11に半打栓状態と
して装着しておけるようにする新たな手段を提供するこ
とを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】そして、本発明は、上述
の目的を達成するための手段として、円筒部の下端底部
に注射針装着用のノズル部を設け、そのノズル部にはゴ
ム材よりなる孔栓を装着し、その孔栓より上方の円筒部
に、下方から上方への順で、乾燥薬品を収容さす乾燥薬
品室と、筒壁の一部を拡径した通液バイパスと、中間栓
を嵌挿する中間栓部と、溶解液を収容さす溶解液室と、
液室栓を嵌挿する液室栓部と、を形成した薬品容器兼注
射器における注射筒本体において、中間栓部より上方に
おける円筒部の筒壁に、その筒壁の一部を拡径させた1
個乃至数個の通気バイパスを、略同じ高さ位置に揃えて
形成し、かつ、その通気バイパスをそれの上下の両端が
共に筒壁内面に位置し、その上下長さが前記中間栓の外
周面の上下の厚さより長く設定して形設したことを特徴
とする薬品容器兼注射器における注射筒本体を提起する
ものである。
【0028】
【作用】かくすれば、中間栓50はそれの下面を平面に
しておいて、薬液の凍結乾燥の工程の間、半打栓の状態
として、注射筒本体1の上端の開口11に装着してお
け、凍結乾燥を終えたときに、凍結乾燥機の凍結乾燥室
内において、その室内を無菌乾燥窒素ガスで所定圧に調
整後、棚段間隔を圧縮するだけで、全打栓状態に封栓で
きるようになり、凍結乾燥機が具備する機能と制御機能
を利用して、低コストで薬品容器兼注射器の注射筒本体
に、乾燥薬品4を封入していけるようになる。
【0029】
【実施例】次に実施例を図面に従い詳述する。なお、図
面符号は、従前手段のものと同効の構成部材については
同一の符号を用いるものとする。
【0030】図14は、本発明を実施せる薬品容器兼注
射器Aの注射筒本体1の縦断正面図で、同図において、
1aは円筒部、10はその円筒部1aの下端底部に形設
した注射針2装着用のニップル状のノズル部、11は円
筒部1aの上端の開口を示し、ニップル状のノズル部1
0には、それの内腔に、合成ゴム等のゴム材よりなる孔
栓52が嵌挿され、また円筒部1aには、下方から上方
への順序で、乾燥薬品4を収容さす乾燥薬品室13と、
筒壁の一部を拡径した通液バイパス14と、中間栓50
が嵌挿される中間栓部15と、溶解液6を収容さす溶解
液室16と、液室栓51を嵌挿する液室栓部17とが形
成してあり、これらについては、従前手段のものと変わ
りがない。
【0031】しかし、円筒部1aには、中間栓部15と
上端の開口11との間の筒壁に、その筒壁の一部を拡径
することで形成される通気バイパス8が形設してある。
【0032】そして、この通気バイパス8は、それの上
下の長さL2が、中間栓部15に嵌挿される合成ゴム等
のゴム材よりなる中間栓50の上下の厚さD1よりも長
く設定してあり、また、それの周方向の巾Wが円筒部1
aの内筒面の周方向の長さの略10%に設定してある。
なお、この実施例における通気バイパス8は、図15に
示す如く対称位置に配した2個になっているが、1個の
場合、また、3個の場合等、その数は適宜に選択され
る。また、通気バイパス8の数を、複数個に設定すると
きは、それら通気バイパス8…は、円筒部1aの筒壁の
同じ高さ位置に揃えて形設する。また、この通気バイパ
ス8の通気断面積は5mm2 程度を目処にしてよい。こ
れは、通気バイパス8の個数を所望に選択した場合にお
いても同様で、それらの通気断面積の合計が5mm2
度となるように設定してよい。
【0033】次に図16は、上述の本発明による注射筒
本体1を用いて、それの円筒部1a内の乾燥薬品室13
に薬液を注入して、それを凍結乾燥機により凍結乾燥の
工程を行なう際の説明図である。
【0034】注射筒本体1は、それの下端底部のノズル
部10の内腔に合成ゴム等のゴム材よりなる孔栓52を
嵌装し、そのノズル部10の下端にゴム材の保護カバー
53を装着した状態で、ノズル部10が下端に位置する
直立した姿勢として試験管立て状のホルダーに支持せし
め、円筒部1a内の乾燥薬品室13に所定量の薬液を注
入して、凍結乾燥機の凍結乾燥室の棚段上に載置し、凍
結乾燥機の運転により薬液を凍結乾燥させる際、薬液の
注入後で凍結乾燥室に搬入する前に、図16の状態とす
る。
【0035】即ち、注射筒本体1の円筒部1aには、合
成ゴム等のゴム材よりなる中間栓50を、通気バイパス
8を設けた位置まで挿入しておく。
【0036】通気バイパス8の周方向の巾Wは、円筒部
1aの内周面の周方向の長さの10%程度であるから、
通気バイパス8が仮りに周方向に4個並列するように設
けられていても、嵌挿した中間栓50の外周面には、円
筒部1aの内周面の残り60%が摺接してくることで、
これらの間の摩擦により嵌挿した位置にしっかりと保持
される。
【0037】この状態では、円筒部1aの底部の乾燥薬
品室13と円筒部1aの上端の開口11とは、中間栓5
0の外周に位置する通気バイパス8を介して連通するこ
とになる。従って、注射筒本体1は、凍結乾燥すべき薬
液が規定量注入された状態で、中間栓50が半打栓の状
態に嵌挿されたことになる。そして、この中間栓50に
よる半打栓の工程を終えた後、さらに、その中間栓50
の上に、押し棒71が直立した姿勢として置かれる。
【0038】凍結乾燥室へ搬入して薬液を凍結乾燥さす
工程は、この状態で行なわれる。凍結乾燥の一次乾燥と
二次乾燥の過程で薬品から除去されるべき水蒸気は、図
16に記入した細線の矢印の通り、通気バイパス8を経
由して中間栓50の周面を迂回して注射筒本体1の外へ
排除される。公知の通り、通常のバイアル内凍結乾燥に
おいては、バイアル底面積が薬品容器兼注射筒の底面積
の4ないし6倍の場合でも、半打栓ゴム栓切欠き部の通
気路は(幅5mm×高2mm)10mm2×2個が一般
的であり、乾燥過程の水蒸気流量は、およそ底面積(即
ち薬品充填面積)に比例するから、通気路の長さがやや
長いことを考慮に入れても、通常条件では、合計5mm
2 程度の通気断面積があれば、通気路の狭さが乾燥を防
げることはない。通常条件では、通気バイパスは2個で
足りる。
【0039】次に図17は、薬液の凍結乾燥の工程を終
えた後の、乾燥薬品4の密封する工程の説明図である。
【0040】乾燥が終了すると、真空状態の凍結乾燥室
に無菌濾過乾燥窒素ガスが所定圧まで導入され、その
後、棚段を昇降させる棚段上下駆動機構により、凍結乾
燥室内の全棚段の間隔が、押し捧71の上端の鍔部が注
射筒本体1の上端面に当接するまで圧縮され、これによ
り押し込まれる中間栓50は通気バイパス8を通過し、
中間栓部15に達することにより、乾燥薬品4は完全に
密封される。なお、この押し棒71を押し下げることで
行なう全打栓の工程の前に導入される窒素ガス圧は、中
間栓50が中間栓部15の位置にまで押し込まれたと
き、その中間栓50の移動で圧縮される乾燥薬品室13
内の圧力が、大気圧と等しい水準となるよう正確に制御
するためのもので、これにより、その後の工程や製品の
流通の間に、注射筒本体1が大気圧下に置かれるように
なることで、中間栓50が、乾燥薬品室13内の圧力と
大気圧との差圧により移動することはなくなる。
【0041】次に図18は、中間栓50による打栓工程
後に、溶解液6を封入する工程の説明図である。中間栓
50を打栓した状態での注射筒本体1は凍結乾燥機か
ら、無菌清浄層流空気吹き出し設備の下で、従って、溶
解液室16が無菌無塵に保たれて、別装置に移される。
図16の実施例では、押し捧71の上端部は蓋状をな
し、搬出した注射筒本体1の溶解液室16を、汚染から
一層入念に保護している。先ず、この押し捧71を除き
(実施例によっては中間栓50を正確に中間栓部15に
移した後)、所定量の溶解液6が、液室栓部17を残す
レベルまで注入される。次いで、溶解液6の液面上の空
気を排気をし、あるいはゴム材よりなる液室栓51に中
空針を貫通させ空気を抜きながら液室栓部17に液室栓
51を挿入し、図18の状態として、溶解液6の封入の
工程が終了する。
【0042】このようにして、乾燥薬品4とそれの溶解
液6とが封入された注射筒本体1を、注射器として使用
する操作は、前述した従来技術のものと同様であり、操
作者が従来法を超える追加的負担や注意義務を強いられ
ることはない。なお、図16の実施例の如く、通気バイ
パス8を設ける位置が比較的低く、液室栓51が通気バ
イパス8部を通過する際、溶解液6が、通液バイパス1
4を逆流して液室栓51の上面側に漏れるおそれがある
ときは、これを確実に防止するため、液室栓51の上下
の厚さD2を通液バイパス14の上下の長さLより長く
製作する(D2<L1)。
【0043】次に図19は、別の実施例を示している。
この実施例は、通気バイパス8を、円筒部1aの上端の
開口11の近傍に寄せて設け、また、中間栓50は、そ
れの上下の厚さD1を通気バイパス8の上下の長さL2
より厚く形成し、かつ、それの胴周面の上下の中間部位
に、縮径部50aを形設しておくことで、半打栓の状態
に嵌挿した中間栓50を、押し棒71を用いることな
く、凍結乾燥機に装備される棚段の上下駆動機構により
棚段の上下間隔を狭くする作動で、棚段の裏面側により
全打栓の工程が行なえるようにした例である。
【0044】この実施例は、上端が開口11し、下端底
部にノズル部10を設けた円筒部1aに、乾燥薬品室1
3、通液バイパス14、中間栓部15、溶解液室16、
液室栓部17とを形設した従前の注射筒本体1に対し、
それの円筒部1aの、中間栓部15と上端の開口11と
の間に、筒壁の一部を拡径させて通気バイパス8を1個
乃至複数個設けることについては、前述の実施例と変わ
りがないが、その通気バイパス8は、図19にあるよ
う、円筒部1aの筒壁の上端の開口11に極く近接する
部位に設けてある。そして、それら1乃至数個の通気バ
イパス8は、前述の実施例と同様に、それの巾Wを注射
筒本体1の円筒部1aの内周面の周方向における長さの
約10%程度に設定してあるが、それの上下の長さL2
は、通液バイパス14の上下の長さL1より短く形成し
てあり、また、中間栓50には、それの胴周面の上下の
中間部位に縮径した縮径部50aが形成してある。
【0045】そして、この中間栓50と通気バイパス8
および円筒部1aの頭部とは、次の関係に設定してあ
る。即ち、図23に示している如く、中間栓50の上下
の厚さD1は、通気バイパス8の上下の長さL2より長
く(D1>L2)、また中間栓50の縮径部50aの直
径rは、図24に示す如く、円筒部1aの内径Rより細
く製作される。また、中間栓50の縮径部50aの厚さ
d1は、通気バイパス8の上端から円筒部1aの開口1
1までの高さhより厚く(d1>h)してある。また、
中間栓50の栓下部50cの厚さd3は通気バイパス8
の長さL2より短い(d3<L2)。また、通液バイパ
ス14の長さL1は、図19にあるよう中間栓50の厚
さD1より長く製作される(L1>D1)。
【0046】(薬液注入後、凍結乾燥機搬入前の半打栓
状態)図19は、乾燥薬品室13に凍結乾燥すべき薬液
を注入した注射筒本体1を、凍結乾燥機の凍結乾燥室内
に搬入する前において、その注射筒本体1の上端の開口
11に中間栓50を嵌挿して、半打栓とした状態を示
す。図示の通り、中間栓50は、それの栓上部50bと
中間の縮径部50aの半ばが注射筒本体1の上端の開口
11より高い位置に、また、その中間栓50の栓下部5
0cは、通気バイパス8の上下のほぼ中間に位置する。
通気バイパス8の巾Wは注射筒本体1の円筒部1aの内
周面の周方向における長さに対して10%程度であるか
ら、仮に4個の通気バイパス8が設けられていても、中
間栓50はそれの栓下部50cの周面60%の摩擦によ
り、上述の半打栓位置にしっかりと保持される。
【0047】(凍結乾燥過程における状態)乾燥薬品室
13に注入された薬液から、凍結乾燥の一次乾燥と二次
乾燥の過程で、除去されるべき水蒸気は、図19および
図23において記入した細線の矢印の通り 、通気バイパ
ス8を経由して中間栓50の栓下部50cの周面を迂回
し 、中間栓50の中間の縮径部50aの周面と円筒部1
aの内周面との隙間を通過して注射筒本体1の外部へ排
除される。公知の通り、通常のバイアル内凍結乾燥にお
いては、そのバイアル9の底面積が、注射筒本体1の底
面積の4ないし6倍の場合でも、半打栓の状態とするゴ
ム栓91の栓下部910に設ける切欠き部の通気孔9a
は(幅4mm×高2.5mm)10mm2 ×2個が一般
的であり、乾燥過程の水蒸気流量は、およそ底面積(即
ち薬品表面積)に比例するから、通気バイパス8の長さ
がやや長いことを考慮に入れても、通常条件では、合計
5mm2程度の通気断面積があれば、通気バイパス8の
狭さが乾燥を妨げることはない。通常は通気バイパス8
を2個設けることから、中間栓50の中間の縮径部50
aの周面と円筒部1aの内周面との間の隙間は0.3m
m〜0.5mm程度あればよい。
【0048】(乾燥終了後の全打栓による密封)乾燥が
終了すると、真空状態の凍結乾燥室に無菌濾過窒素ガス
が所定圧まで導入され、その後、凍結乾燥機に装備され
ている棚段上下駆動機構により、凍結乾燥室内の棚段の
上下の間隔が、棚段状にホルダー70に支架して載置し
た注射筒本体1の上端の開口11に嵌挿した中間栓50
を、それの上面が注射筒本体1の開口11の端面と一致
するまで押し込むよう圧縮されることで、図20に示す
通り、中間栓50の下面が通気バイパス8の下端より下
方に達することにより、凍結乾燥させた乾燥薬品4は完
全に密封される。また、注射筒本体1の上端の開口11
は中間栓50の上面で完全に封じられるから、注射筒本
体1を凍結乾燥機の凍結乾燥室から搬出し、次工程(溶
解液注入、等)に送る過程で、中間栓50が注射筒本体
1内に吸い込まれない限り、注射筒本体1内の溶解液室
16内部への大気中の浮遊ごみの落下は防止されること
になる。
【0049】そこで、中間栓50と注射筒本体1の筒壁
内面との間の静止摩擦力が差圧0.5気圧に耐えるよう
に、中間栓50の形状寸法を製作するか、あるいは、注
射筒本体1の上端の開口11の口径を僅かに絞るか、上
端の開口11の口縁部に内側に向けて突出する数個の小
突起(ストッパー)をもうけて、次工程で中間栓50を
中間栓部15の位置に押し込むまでは、中間栓50が、
凍結乾燥機内で全打栓された頭部に固定されるように製
作することが望ましい(図示は省略)。前者の中間栓5
0の形状寸法を選択する手段による場合は、注射器とし
ての使用時にプランジャー3を押すに要する力が若干ま
す程度で、使用性を損なわず、後者の注射筒本体1の開
口11の口縁部に小突起を設ける手段による場合は、製
造工程における凍結乾燥機搬入前の半打栓と、凍結乾燥
機内における全打栓時の打栓力が僅かに増すだけで、注
射器としての使用時には全く影響しない。これによっ
て、薬品容器兼注射器Aにおける注射筒本体1内の乾燥
薬品室13だけでなく溶解液室16の無菌・無塵性保持
は一層容易かつ確実になる。
【0050】なお、全打栓前に導入される窒素ガス圧
は、中間栓50が注射筒本体1内の中間栓部15の位置
にまで押し込まれとき、その中間栓50の下方の乾燥薬
品室13が大気圧となる水準に正確に制御されるので、
図20の如く全打栓されたときの注射筒本体1内の気圧
は、同図20に表示する筒長部分a・bを基準としてa
/b気圧であるが、凍結乾燥製剤用薬品容器兼注射器の
機能(従来技術の説明に既述)上、およそb≧0.55
aである。従って、注射筒本体1の上端の開口11部位
における中間栓50と注射筒本体1の筒壁内面との間の
静止摩擦力が、差圧0.5気圧に耐えるならば、次工程
で強制的に中間栓50を押し込むまでは、中間栓50が
注射筒本体1内に吸い込まれることはない。
【0051】(溶解液の注入と液室栓の打栓)中間栓5
0を全打栓した図20の状態で、注射筒本体1は凍結乾
燥機から、無菌清浄層流空気吹き出し設備の下で、別装
置に移され、先ず、打栓済みの中間栓50を、その上面
が注射筒本体1内の中間栓部15よりHmm(数mm)
高い位置に達するまで押し込み、次いで所定量の溶解液
6が、通気バイパス8の下端のレベルまで注入される。
言い換えれば、前述の高さHは所定量の溶解液6の液面
が通気バイパス8下端のレベルに合致するように決定さ
れている。続いて、液室栓部17に液室栓51を打栓す
る。
【0052】この液室栓51の形状は、それの上面にプ
ランジャー3取付け用の雌ねじを設けるほかは、中間栓
50の形状寸法と類似している。これは液室栓51の下
面が通気バイパス8の下端、即ち、溶解液6の液面に達
するまでは、溶解液6の液面上に位置する注射筒本体1
の空気を、通気バイパス8を利用して、液室栓51の降
下につれて図21にて細線の矢印に示している如く排除
させるためである。従って、液室栓51の打栓の際に、
従来技術のように、溶解液6の液面上に位置する注射筒
本体1内の空気を真空下に置くなどで排気しつつ打栓す
るか、またはゴム材よりなる液室栓51に中空針を貫通
させて、空気を抜きながら打栓する必要は解消する。液
室栓51の下面が通気バイパス8の下端、即ち、溶解液
6の液面に達した後、さらに前述Hの深さに対応する深
さ分だけ、液室栓51は押し込まれる。液室栓51と中
間栓50の間は溶解液6が充填されているから、中間栓
50は液室栓51と共に前述のHの深さ分だけ下方に移
動し所定の中間栓部15に達する(図22)。
【0053】次に図26はは上述の液室栓51の形状寸
法の説明図である。液室栓51を打線していくときに、
溶解液室16に注入した溶解液6の液面上の空気を、注
射筒本体1内から通気バイパス8の利用により自然に排
除させるための、液室栓51の形状・寸法の条件は、前
述の図23・図24・図25で説明した中間栓50の形
状・寸法の条件と類似する。即ち、液室栓51は、それ
の周面の上下の中間部位に、注射筒本体1の円筒部1a
の内径より小径の縮径部51aが形設してあり、その縮
径部51aの上下の厚さd4は、通気バイパス8の上端
から円筒部1aの上端の開口11の端縁までの高さhよ
り長く形成してある。また、該液室栓51の縮径部51
aより下方の栓下部51cの厚さd6は通気バイパス8
の上下の長さL2より薄くしてあり、かつ、縮径部51
aの厚さd4と栓下部51cの厚さd6との合計の厚さ
(d4+d6)が、通気バイパス8の下端から円筒部1
aの開口11の口縁までの高さL3より厚くなるように
形成してある。
【0054】この液室栓51を用いた場合には、薬品容
器兼注射器Aの全長が、図1乃至図5に示している従来
品に比較して、幾分長くなるが、注射器としての使用時
の操作は、従来品と変わらず、使用者に従来法を超える
追加的な負担や注意義務を強いることはない。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明手段によれ
ば、注射筒本体1内の乾燥薬品4を封栓するための中間
栓50を、それの注射器としての使用時の機能を損なう
ことなく、乾燥薬品4を薬液から凍結乾燥する工程時
に、注射筒本体1に対し半打栓の状態として装着できる
ようになり、注射筒本体1の乾燥薬品室13に注入した
薬液を凍結乾燥するために、その注射筒本体1をホルダ
ー70に支架して凍結乾燥機の凍結乾燥室内の棚段の上
に載架していくときに、密集状態に配列しても、凍結乾
燥後に、通常の凍結乾燥機に装備されている棚段上下駆
動装置により、棚段の上下間隔を圧縮して棚段の裏面側
で中間栓50を押し込むだけで、全打栓により乾燥薬品
を密封できるようになる。
【0056】そして、これにより、従来技術における凍
結乾燥機内での密封に必要な複雑なホルダーの使用、あ
るいは従来技術の凍結乾燥機外部での密封に必要な無菌
無塵窒素置換・窒素置換・正確な減圧調整・設備が不要
になる。
【0057】また、通気バイパス8を、注射筒本体1の
円筒部1aの上端の開口11に近接する位置に設けて、
中間栓50の周面の上下の中間部位に、円筒部1aの筒
壁の内径より小径の縮径部50aを形設しておくこと
で、半打栓の状態に装着した中間栓50を、棚段の上下
間隔を圧縮する作動で、補助具を用いることなく、全打
栓の位置に押し込めるようになる。
【0058】さらに、液室栓51を、中間栓50と同様
に周面の上下の中間部に円筒部1aの筒壁の内径より小
径の縮径部51aを形設して、中間栓50を類似の形状
・寸法のものとすることで、中間栓50を所定の中間栓
部15の位置まで押し込んだ後に、それの上方に区劃さ
れる溶解液室16に溶解液6を注入して、液室栓51の
打栓により封栓するときに、通気バイパス8を利用し
て、溶解液室16内の溶解液6の液面上方の空気を、自
然に排除できるようになり、従来手段において液室栓の
打栓の際に要していた注射筒本体1内の空気を排除する
ための設備と操作を不要にし得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従前の薬品容器兼注射器における注射筒本体の
一部破断した正面図である。
【図2】同上のII−II線における横断平面図である。
【図3】同上の中間栓の正面図である。
【図4】同上の液室栓の正面図である。
【図5】同上の乾燥薬品および溶解液を封入した状態の
一部破断した正面図である。
【図6】同上の注射筒本体を注射器として使用するとき
の操作手順の説明図である。
【図7】同上の注射筒本体の溶解液を乾燥薬品に注ぎ込
む工程の説明図である。
【図8】同上の注射筒本体の溶解液の注ぎ込みの工程を
終えた状態の説明図である。
【図9】同上の注射筒本体の注射器として使用する前の
注射筒本体内の空気を追い出す工程の説明図である。
【図10】従前の薬品容器兼注射器の注射筒本体内に注
入した薬品を凍結乾燥させる際の、中間栓の保持状態の
説明図である。
【図11】従前のバイアルを用いて薬品を凍結乾燥させ
る際の、バイアルの開口に嵌挿しておくゴム栓の半打栓
の状態を示す説明図である。
【図12】同上のゴム栓の正面図である。
【図13】同上のゴム栓の底面図である。
【図14】本発明を実施せる薬品容器兼注射器の注射筒
本体の一部破断した正面図である。
【図15】同上注射筒本体の図16におけるC−C線断
面図である。
【図16】同上注射筒本体の凍結乾燥の工程時における
中間栓を半打栓とした状態の縦断正面図である。
【図17】同上注射筒本体の凍結乾燥工程の終了後に中
間栓を全打栓とした状態の縦断正面図である。
【図18】同上注射筒本体の、中間栓の全打栓後にさら
に溶解液を注入して液室栓を封栓した状態の縦断正面図
である。
【図19】本発明の注射筒本体の別の実施例の、中間栓
を半打栓に嵌挿した状態の縦断正面図である。
【図20】同上の注射筒本体の中間栓を全打栓とした状
態の縦断正面図である。
【図21】同上の注射筒本体の、中間栓を所定位置に押
し込んだ後の、溶解液を注入して液室栓を封栓していく
工程の説明図である。
【図22】同上の注射筒本体の、液室栓を封栓した状態
の縦断正面図である。
【図23】同上の注射筒本体の中間栓を半打栓に嵌挿し
た状態における要部の縦断正面図である。
【図24】同上要部の図23におけるA−A線断面図で
ある。
【図25】同上要部の図23におけるB−B線断面図で
ある。
【図26】同上の注射筒本体の液室栓を半打栓に嵌挿し
た状態における要部の縦断正面図である。
【符号の説明】
A…薬品容器兼注射器、1…注射筒本体、1a…円筒
部、10…ノズル部、10a…キャップ体、10b…基
端部、11…開口、13…乾燥薬品室、14…通液バイ
パス、15…中間栓部、16…溶解液室、17…液室栓
部、2…注射針、3…プランジャー、4…乾燥薬品、5
0…中間栓、50a…縮径部、50b…栓上部、50c
…栓下部、51…液室栓、51a…縮径部、510…雌
ねじ、52…孔栓、53…保護カバー、6…溶解液、7
0…金属製のホルダー、71…押し棒、8…通気バイパ
ス、9…バイアル、9a…通気孔、90…開口、91…
ゴム栓、910…栓下部、911…切欠き部、M…薬
液、W…巾、L…長さ、D…厚さ、R…内径。
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒部1aの下端底部に注射針2装着用
    のノズル部10を設け、そのノズル部10にはゴム材よ
    りなる孔栓52を装着し、その孔栓52より上方の円筒
    部1aに、下方から上方への順で、乾燥薬品4を収容さ
    す乾燥薬品室13と、筒壁の一部を拡径した通液バイパ
    ス14と、中間栓50を嵌挿する中間栓部15と、溶解
    液6を収容さす溶解液室16と、液室栓51を嵌挿する
    液室栓部17と、を形成した薬品容器兼注射器における
    注射筒本体1において、中間栓部15より上方における
    円筒部1aの筒壁に、その筒壁の一部を拡径させた1個
    乃至数個の通気バイパス8を、略同じ高さ位置に揃えて
    形成し、かつ、その通気バイパス8をそれの上下の両端
    が共に筒壁内面に位置し、その上下長さが前記中間栓5
    0の外周面の上下の厚さより長く設定して形設したこと
    を特徴とする薬品容器兼注射器における注射筒本体。
  2. 【請求項2】 円筒部1aの下端底部に注射針2装着用
    のノズル部10を設け、そのノズル部10にはゴム材よ
    りなる孔栓52を装着し、その孔栓52より上方の円筒
    部1aに、下方から上方への順で、乾燥薬品4を収容さ
    す乾燥薬品室13と、筒壁の一部を拡径した通液バイパ
    ス14と、中間栓50を嵌挿する中間栓部15と、溶解
    液6を収容さす溶解液室16と、液室栓51を嵌挿する
    液室栓部17と、を形成した薬品容器兼注射器における
    注射筒本体1において、中間栓部15より上方における
    円筒部1aの筒壁に、その筒壁の一部を拡径させた1個
    乃至数個の通気バイパス8を、略同じ高さ位置に揃えて
    形成し、かつ、その通気バイパス8をそれの上下の両端
    が共に筒壁内面に位置し、その上下長さL2が前記中間
    栓50の外周面の上下の厚さD1より短く設定して形設
    し、前記中間栓50には外周面の上下の中間部位に、注
    射筒本体1の円筒部1aの内径より小径の縮径部50a
    を形成し、かつ、その縮径部50aの上下の厚さd1
    を、前記通気バイパス8の上下の長さL2より短くし、
    さらに、中間栓50の上下の全厚D1を、通液バイパス
    14の上下の長さL1より薄く形成したことを特徴とす
    る薬品容器兼注射器における注射筒本体。
  3. 【請求項3】 液室栓51を、それの周面の上下の中間
    部位に、注射筒本体1の円筒部1aの筒壁の内径より小
    径の縮径部51aを形設して、中間栓50と類似の形状
    ・寸法に形成したことを特徴とする請求項2記載の薬品
    容器兼注射器における注射筒本体。
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