JPH0774377A - 光電変換素子 - Google Patents

光電変換素子

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JPH0774377A
JPH0774377A JP5216779A JP21677993A JPH0774377A JP H0774377 A JPH0774377 A JP H0774377A JP 5216779 A JP5216779 A JP 5216779A JP 21677993 A JP21677993 A JP 21677993A JP H0774377 A JPH0774377 A JP H0774377A
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JP
Japan
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thin film
photoelectric conversion
phthalocyanine
electrode
fullerene
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Application number
JP5216779A
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English (en)
Inventor
Yoshitomo Yonehara
祥友 米原
Shiyoushin Boku
鐘震 朴
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Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
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Publication date
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    • Y02E10/549Organic PV cells

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フラーレン薄膜を用いた光電変換素子で、改
善された光電変換機能を有し、光センサー等に有用な光
電変換素子を提供する。 【構成】 本発明はフラーレンを用いた光電変換素子
で、フタロシアニン薄膜3aに接してフラーレン薄膜3
bを設け、これらの積層膜を電極2a、2bで挟持して
構成する。 【効果】 優れた光電変換機能を有し、光センサーある
いは光センサー機能を応用したイメージセンサー等に幅
広く応用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機半導体素子に係わ
り、特に光センサー等に有用な光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子の分野では、従来、硫化カド
ミニウム、酸化亜鉛、結晶シリコン、アモルファスシリ
コン、ガリウム砒素など無機物が使用されてきた。これ
らは、トランジスター、整流素子、IC、LSI、光セ
ンサーおよび光電変換素子等に使用されている。しか
し、これらの無機物を用いて半導体素子を作製するため
には、高度な真空装置、高度な製膜技術および高度な純
度規制等が要求され、容易にはなし得ないものであっ
た。
【0003】これに対し、有機物の多様性、半導体性等
が注目されはじめ、ポリアセチレン、ポリピロール、フ
タロシアニン等の有機化合物の半導体性、導電性につい
て多大な研究がなされてきた(「新・導電性高分子材
料」、雀部博之監修、シーエムシー、(1987))。
特に、導電性高分子あるいは有機半導体を、金属で挟持
してなる半導体素子として、ポリアセチレン、ポリジア
セチレン、ポリピロール、α−セスキチエニル、フタロ
シアニン等の半導体薄膜(S)を金属電極(M)で挟持
してなるMS素子、あるいは間に絶縁体の薄膜(I)を
挟持してなるMIS素子等多くの素子が提案されている
(「Physics of Semiconductor Devices」、2nd Editi
on、S.M.Sze, John Wiley & Sons,NY(1981))。上記有
機化合物はP型あるいはN型の半導体性を示し、仕事関
数の小さい電極と仕事関数の大きい電極で挟持したとき
整流性を示し、光電変換能を示す(「Molecular Semico
nductors」, J. Simon, J.-J. Andre, Springer-Verlag
(1985))。
【0004】また、フラーレン類は、仕事関数の小さい
電極と仕事関数の大きい電極で挟持したとき整流性を示
し、高い光導電性を示すが(H.Yonehara, C.Pac, Appl.
Phys.Lett., 61,575(1992))、光起電力は示さない。フ
ラーレンの光起電力に関しては、溶液との接合に於いて
わずかな光起電力効果を示すことが報告されている(B.
Miller,等, J.Am.Chem.Aoc., 113, 6291(1991))。ま
た、最近、吉野らはポリ(3−アルキルチオフェン)と
C60の接合により光起電力が現れることを報告した
(Jpn.Appl.Phys., 32, L873(1993))。しかし、本報告
では、600nm単色光照射時の短絡光電流は5nA以
下と非常に小さな値である。Wudl等は、ポリ(2−メト
キシ,5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−
フェニレン−ビニレン)(MEH−PPV)とC60を
接合させた光電変換素子に於いて、強度1mW/c
2、波長514.5nmの単色光を照射したとき、開
放端電圧(Voc)0.44V、短絡光電流密度(Js
c)2.08×10μA/cm2およびエネルギー変換
効率(η)0.04%を報告した(Appl.Phys.Lett., 6
2, 585(1993))。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】しかしながら上述し
たように従来のC60等フラーレンを用いた光電変換素
子は、光起電力を示すものの、その効果は小さかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のC
60等フラーレンを用いた光電変換素子の光起電力効果
を改善すべく、鋭意検討を行った結果、フラーレン薄膜
とこれに接してフタロシアニン薄膜を設けることで、光
起電力効果の優れた光電変換素子を得ることができるこ
とを見い出し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明はフラーレン薄膜と、該フラーレン薄膜に接して
設けられたフタロシアニン薄膜とからなることを特徴と
する光電変換素子を提供するものである。
【0007】以下、本発明を詳しく説明する。本発明で
用いられるフラーレン薄膜は、フラーレン類を用いて形
成された薄膜である。ここで、フラーレン類とは、sp
2炭素よりなる球状あるいはラグビーボール状のカーボ
ンクラスタの総称であり、一般にC60、C70、C7
6、C78、C84等が知られている。これらは、炭素
をアーク放電あるいは抵抗加熱して気化させ、ヘリウム
等の不活性ガスで急冷して生成したすすの中等に含有さ
れ(例えば、Kraetschmer等、Nature、347号、354頁(199
0)等)、なかでもC60が最も多く含有されている。そ
してこのすすから、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、メシチレン、二硫化炭素等の溶媒で抽出することに
よって上記カーボンクラスタの混合物が得られる。さら
にこの混合物を精製し、各々単離するには、通常有機化
合物の精製に用られるクロマトグラフィーの手法(例え
ば、Kraetschmer等、Nature、347
号、354頁(1990)等)を用いることができる。
【0008】本発明においては、合成、単離が容易なC
60またはC70、あるいはこれらを含有するすすから
抽出、不溶性不純物除去を施して得られる混合フラーレ
ンが好ましく用いられる。
【0009】本発明においてフタロシアニンとしては、
例えばMoser等による「Phthalocyanine Compounds、Rei
nhold Publ. Co. NY(1963)」あるいは「The Phthalocya
nines、CRC Press(1983)」などに記載されているフタロ
シアニン化合物を用いることができる。フタロシアニン
を例示するならば、無金属フタロシアニンあるいは銅フ
タロシアニン、亜鉛フタロシアニン、マグネシウムフタ
ロシアニン、鉄フタロシアニン、ニッケルフタロシアニ
ン、鉛フタロシアニン、錫フタロシアニン、塩素化アル
ミニウムフタロシアニン、塩素化インジウムフタロシア
ニン、オキソバナジウムフタロシアニン、オキソチタニ
ウムフタロシアニン等の金属フタロシアニンあるいはこ
れらにアルキル基、アルコキシル基、エステル基、アミ
ド基等を導入したフタロシアニン誘導体等を挙げること
ができる。
【0010】フラーレン薄膜あるいはフタロシアニン薄
膜は各種の製膜方法により形成して用いることができ、
例えば真空蒸着膜、キャスト膜、ポリマー分散膜および
LB膜等を用いることができる。真空蒸着膜は、例えば
一般的真空蒸着の手法に従い(薄膜ハンドブック、日本
学術振興会薄膜第131委員会編、オーム社(198
4) 等)、5×10ー5トール(torr)以下の真空
下で、金属製ボートあるいはアルミナ製ルツボなどを用
いてフラーレン類あるいはフタロシアニン化合物を加熱
し、その上部あるいは下部に基板を置くことで薄膜を形
成できる。この際、必要に応じ、基板を加熱あるいは冷
却しても良い。基板を冷却した場合、薄膜はアモルファ
ス状態となることが多く、また、室温あるいはそれ以上
に加熱した場合は結晶状態になり易い。
【0011】キャスト膜は、例えばフラーレン類がベン
ゼン、トルエン、メシチレン等の芳香族炭化水素、二硫
化炭素、n−ヘキサン等に溶解する性質、および置換基
を導入したフタロシアニン誘導体が各種溶媒に溶解する
性質を利用するもので、簡便に薄膜を作成しうる手段で
ある。すなわち上記溶媒等に溶解せしめ、基板上に滴下
する、あるいは基板をスピンナー上に固定し、上記溶解
液を滴下した後、スピンナーを適当な回転数で回転せし
め薄膜化する、あるいは基板上に滴下した溶液をバーコ
ーターまたはドクターブレード等を用いて薄膜化するな
どの手段で薄膜化し、次いで自然乾燥、あるいは熱また
は真空乾燥するなどの手段で乾燥することによって製膜
することができる。
【0012】ポリマー分散膜は、例えばポリマーの溶液
中にフラーレン類あるいはフタロシアニン化合物を添加
し、溶解あるいは分散せしめた後、上記キャスト膜と同
様の手段で製膜することができる。分散方法としては、
ペイントシェーカー、スペックスミキサーミル、サンド
ミル、ボールミル、アトライター、ニーダー等の顔料分
散手法を用いることができる。ここで用いることができ
るポリマーとしては、特に制限はないが、例を挙げる
と、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、ポリカー
ボネート、ポリ塩化ビニール、ポリ酢酸ビニール、ポリ
ビニールカルバゾール、スチレン等のビニール系ポリマ
ー、フッ化ポリビニリデン、フッ化ポリビニール等のフ
ッ素化ポリマー、スチレン−マレイン酸等のコポリマー
等がある。また、例えば、ポリアクリレート系液晶高分
子、ポリシロキサン系液晶高分子等の液晶高分子を用い
ることもできる。
【0013】上述した各種の製膜方法中でも、薄膜化手
段として、真空蒸着膜が好適に用いられる。また、フタ
ロシアニン膜に於いては、該膜をアルコール、テトラヒ
ドロフラン、ジクロロメタン等の溶媒蒸気で処理するこ
とで、吸収スペクトルを長波長にシフトできるものがあ
り、例えば、塩素化アルミニウムフタロシアニン、塩素
化インジウムフタロシアニン、オキソバナジウムフタロ
シアニンあるいはオキソチタニウムフタロシアニン等が
挙げられ、この様な溶媒蒸気処理膜を用いると、更に光
電変換効率を向上させることができる。この様なフタロ
シアニンの中で、特に、オキソチタニウムフタロシアニ
ンが好ましい。
【0014】フラーレン薄膜と、該フラーレン薄膜に接
して設けられたフタロシアニン薄膜からなる光電変換膜
から電気信号あるいは電力を引き出すには、これらに接
して電極を設けることが好ましい。電極としては、例え
ば金属電極、金属酸化物電極および炭素電極等を用いる
ことができる。電極用材料としては、例えば、仕事関数
の小さいリチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシ
ウム、アルミニウム、カリウム、インジウム、カルシウ
ム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、
ガリウム、ニオブ、アンチモン等、または仕事関数の大
きいパラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、銅、
銀、金、白金、ルテニウム、ゲルマニウム、酸化スズ
(例えばNESAガラス、NESAコートポリマー
膜)、酸化インジウム、酸化インジウム〜酸化スズ(例
えばITOガラス、ITOコートポリマー膜)、酸化亜
鉛、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストお
よびカーボンペースト等が用いられるが、特に、白金、
金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、酸化スズ、酸
化インジウム、酸化亜鉛および炭素等を用いることがで
きる。
【0015】電極のうちで光が照射される側の電極は、
光を透過する必要があり、透明あるいは半透明状態で用
いる。この為には、上記の金属を用いる場合は、薄膜と
し、半透明で光をある程度透過する状態で用いる。ま
た、酸化スズ、酸化インジウム、酸化スズ〜酸化インジ
ウム、酸化亜鉛等は、光の透過率が高い薄膜を得ること
ができるので好ましい。他方の電極は、例えば上記電極
用材料からなる板、薄膜、導電性塗料膜等いずれの形態
でも使用することができる。薄膜の形態で使用すると
き、金属箔、蒸着膜、スパッタリング膜、電着膜、スプ
レー熱分解膜等を各種の製膜手段で薄膜化して使用する
ことができる。また、導電性塗料膜の形態で使用すると
き、導電性塗料(例えば銀、炭素含有塗料)を塗布して
電極を形成して使用することもできる。
【0016】ここで、製膜あるいは塗布によって電極を
設ける場合には、光電変換素子は基板を用いて好ましく
形成される。この基板としては特に制限はなく、絶縁性
のものであれば良い。また、金属板、炭素板等の板状の
電極を用いるときは、特に基板を用いなくても良い。光
電変換素子は、光が照射されれる側の電極/フタロシア
ニン薄膜/フラーレン薄膜/他方の電極の積層構造、あ
るいは光が照射されれる側の電極/フラーレン薄膜/フ
タロシアニン薄膜/他方の電極の積層構造で構成され
る。フタロシアニン薄膜およびフラーレン薄膜の積層数
は、各々1層ずつである必要は無く交互に何層も積層さ
れていても差し支えない。
【0017】光が照射される側の電極は、透明あるいは
半透明である必要があり、酸化物電極を用いるときは、
光の透過率が98%〜0.1%の範囲が用いられるが、
光の透過率が大きい方が光に対する応答性は高く、推奨
できる。金属電極の場合、光の透過率が大きい方が光に
対する応答性は高いが、透過率が大きすぎると電極が電
流を通さない。従って、光の透過率は50%〜0.1%
の範囲が好適に用いられる。
【0018】また、光電変換素子を構成するフラーレン
薄膜およびフタロシアニン薄膜の膜厚については、特に
制限はないが、薄すぎるとお互いの電極が短絡するの
で、ある程度の厚さが必要である。この場合、フラーレ
ンあるいはフタロシアニン薄膜の膜厚は10オングスト
ローム〜100μmの範囲が好適であり、特に好ましく
は、200オングストローム〜10μmに形成される。
また、何層も積層する場合は、各々10オングストロー
ム〜10μmの範囲のものを用いることができる。
【0019】つぎに、上述したようなフラーレン薄膜お
よびフタロシアニン薄膜を用いて構成される本発明の光
電変換素子を図面を用いて説明する。図1は、本発明の
光電変換素子の一例を示したもので、(A)は平面図、
(B)は(A)中のI−I線に沿う断面図である。図1
に示した光電変換素子は、絶縁基板1上に、第1の電極
2aが設けられ、この絶縁基板1および第1の電極2a
上全面にフタロシアニン薄膜3aが形成され、さらにフ
タロシアニン薄膜3a上には、フラーレン薄膜3bが形
成され、更にフラーレン薄膜3b上に短冊状に形成され
た第2の電極2b,2b,2bが設けられている。この
第2の電極2bの数は、1以上の任意の数に設定するこ
とができる。また、この第2の電極2bは、短冊状だけ
でなく、円、楕円等いかなる形状でもよい。
【0020】また、第1の電極2aは、基板1上面の一
方の端縁部1aを残して太い帯状に形成され、第2の電
極2b,2b,2bは、先に形成した第1の電極2aの
長手方向に直交し、かつこの第1の電極2a上から上記
絶縁基板1の端縁部1a上に渡って位置するように設け
られており、このような構造により第1の電極2aおよ
び第2の電極2b,2b,2bからの配線が短絡する不
都合を防止することができる。また必要に応じ、第2の
電極2b,2ba,2bおよびフラーレン薄膜3b上に
絶縁性ポリマー膜あるいは絶縁性金属酸化物等の保護膜
を形成することもできる。
【0021】また、図1に示した光電変換素子において
は、符号3aがフタロシアニン薄膜であり、符号3bが
フラーレン薄膜である例について説明したが、逆に符号
3aがフラーレン薄膜であり、符号3bがフタロシアニ
ン薄膜であってもよい。
【0022】このように構成された光電変換素子は、光
電変換機能を利用する素子、例えば光センサーあるいは
光センサー機能を応用したイメージセンサー等に有効に
用いることができる。尚、本発明の光電変換素子は、上
記図1の構成にのみ限定されるものではなく、種々の形
態が可能であり、結晶、粉末等で構成されても良い。更
に、光電変換素子の使用目的により種々の形態をとるこ
とができ、これらの目的に基づき、電極および素子の構
成は適宜変更されうるものである。
【0023】
【実施例】(実施例1)図1に示した構成を有する光電
変換素子を作製した。2cm×3cmの酸化インジウム
スズガラス(ITOガラス)からなる絶縁基板1上にお
いて、塩酸でエッチングして導電性膜の一部分の幅0.
5cm、長さ3cmの部分を除去(図1中1aに相当す
る部分)し、残りの導電性膜を酸化インジウム(IT
O)からなる第1の電極2aとした。このITOガラス
からなる絶縁基板1、ITOからなる第1の電極2aを
真空蒸着器のアルミナルツボ上20cmに置き、オキソ
チタニウムフタロシアニンをアルミナルツボに入れ、2
×10-6トールの真空下で400〜450℃に加熱して
蒸着速度を0.5オングストローム/秒に制御しながら
蒸着し、厚さ1000オングストロームのオキソチタニ
ウムフタロシアニン薄膜を第1の電極2a(ITO)上
に形成した。この蒸着膜を室温でジクロロメタン蒸気に
12時間さらし、溶媒蒸気処理を行い、フタロシアニン
薄膜3aを形成した。この薄膜3aを同一の真空蒸着器
の他のアルミナルツボ上20cmに置き、カーボンクラ
スタC60をアルミナルツボに入れ、5×10-6トール
の真空下で520〜550℃に加熱しながら蒸着し(5
オングストローム/秒)、厚さ600オングストローム
のC60からなるフラーレン薄膜3bを形成した。次い
で、ついで、この膜3b上にアルミニウム(幅0.5c
m,長さ1.5cm)電極2bを3個、真空蒸着により
形成した。
【0024】この光電変換素子のアルミニウム電極2b
にソースメジャーユニットから−1Vの電圧を印加し、
波長720nm光強度280μW/cm2の光を照射し
ながら、電圧を+1Vまでゆっくり掃引しながら印加
し、応答電流を測定した。アルミニウム電極2bの透過
率を補正すると、C60からなるフラーレン薄膜に照射
された光強度は10μW/cm2となった。
【0025】光電変換パラメーターは以下のようにして
求められる。すなわち、電流値が0Aとなる時の電圧を
開放端電圧(Voc)、印加電圧が0Vの時の光電流密
度を短絡光電流密度(Jsc)とするとエネルギー変換
効率(η)は、次式より算出される。
【0026】
【0027】上記式中ffは曲線因子、PTは電極を透
過した単位面積当たりの光エネルギー強度である。本実
施例1の結果を下記表1に示した。また、光照射時の電
流−電圧特性を図2に示した。
【0028】(比較例1)C60からなるフラーレン薄
膜を形成しない以外は実施例1と同様にして光電変換素
子を作製した。ついで、実施例1と同様にして光電変換
パラメータを測定した。その結果を下記表1に示した。
また、光照射時の電流−電圧特性を図2に示した。
【0029】
【表1】
【0030】上記表1に示した結果と図2に示した電流
−電圧特性から明らかなように、実施例1の光電変換素
子は、比較例1の光電変換素子に比べて開放電圧(Vo
c)はやや低下するものの、短絡光電流密度(Jsc)
は25倍、エネルギー変換効率(η)は11.5倍とな
り、本発明の効果は明らかである。また、実施例1の光
電変換素子は、600〜850nmの波長範囲で同様の
優れたエネルギー変換効率を示し、近赤外領域の光セン
サーとしても有用性があることがわかった。また、Wudl
等の報告に記載されているポリ(2−メトキシ,5−
(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン
−ビニレン)(MEH−PPV)とC60を接合させた
光電変換素子に光照射時の電流−電圧特性(強度、1m
W/cm2、波長514.5nmの単色光を照射、開放
端電圧(Voc)0.44V、短絡光電流密度(Js
c)2.08×10μA/cm2およびエネルギー変換
効率(η)0.04%、Appl.Phys.Lett., 62, 585(199
3))に比してエネルギー変換効率(η)において10倍
に近い値であり、このことからも本実施例1の光電変換
素子が優れていることがわかる。
【0031】(実施例2)光電変換素子を実施例1と同
様にして作製した。但し、本実施例2に於いては、オキ
ソチタニウムフタロシアニン薄膜の溶媒蒸気処理は行わ
なかった。この時、短絡光電流密度(Jsc)は、0.
121μA/cm2の値が得られた。 (比較例2)溶媒蒸気処理を行わない以外は比較例1と
同様にして光電変換素子を作製した。720nm単色光
照射下の短絡光電流密度(Jsc)を測定した。アルミ
ニウム電極透過光強度は10μW/cm2である。この
時、短絡光電流密度(Jsc)は7.81nA/cm2
と非常に小さい値であった。
【0032】上記実施例2の光電変換素子はC60から
なるフラーレン薄膜3bを形成しない以外は同様にして
作製した比較例2の光電変換素子と比較すると、短絡光
電流密度(Jsc)は15.5倍であり、本発明の効果
は明らかである。
【0033】(実施例3)実施例1と同様にしてITO
ガラスからなる絶縁基板1上に、オキソバナジウムフタ
ロシアニン薄膜を1200オングストローム形成した。
引き続き、C60からなるフラーレン薄膜3bを500
オングストローム形成した。次いで、光照射側電極とし
て、アルミニウム電極を200オングストロームの厚さ
に蒸着した。そして、アルミニウム電極透過光強度が1
0μW/cm2となるように730nmの単色光を照射
したところ、開放電圧(Voc)は−0.53V、短絡
光電流密度(Jsc)は0.113μA/cm2、曲線
因子(ff)は0.164およびエネルギー変換効率
(η)は0.100%を得た。また、波長820nm、
アルミニウム電極透過光強度10μW/cm2の光照射
下に於いても、ほぼ同様の値であり、近赤外域まで優れ
た光電変換効率を示すことが分った。
【0034】(実施例4)オキソバナジウムフタロシア
ニンの代わりに、スズフタロシアニンを用いた以外は実
施例3と同様にして光電変換素子を作製した。この場合
も、ほぼ実施例3と同様の結果が得られた。
【0035】(参考例)市販の粗製すすを精製してC6
0およびC70を得た。まず、フラーレン類を含有する
粗製すす(真空冶金株式会社製)4gを円筒濾紙にい
れ、ソックスレー抽出器を用い、n−ヘキサン;200
mlで24時間抽出した。ついで、溶媒をメシチレン;
200mlに変更し、更に24時間抽出を行った。初め
のn−ヘキサン溶液を液体クロマトグラフ(シリカゲル
〜n−ヘキサン)で分析したところ、C60:C70の
比は9:1であり、C70以上のフラーレンをほとんど
含有していなかった。メシチレン抽出液は、C60:C
70の比は約6:4であり、C70以上のフラーレンを
多種含有していた。n−ヘキサン抽出液をエバポレータ
で濃縮し、0.26gのフラーレン混合物を得た。OD
Sカラムを用い、2−プロパノール/トルエン;6/4
の混合溶媒を展開液とし、中低圧分取クロマトグラフを
用いて、高純度C60を0.21g、高純度C70を
0.02g得た。メシチレン抽出液をエバポレータで濃
縮し、混合フラーレン0.13gを得た。同様にクロマ
トグラフで分取して、高純度C60;0.07g、高純
度C70;0.04g、その他フラーレン類の混合物;
0.01gを得た。混合物は、GC−MS分析からC7
6、C78、C84および更に分子量の大きいフラーレ
ン類を含有していた。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明の光電変換素
子は、フラーレン薄膜と、該フラーレン薄膜に接して設
けられたフタロシアニン薄膜とからなるものである。本
発明によれば、フラーレン薄膜とこれに接して設けられ
たフタロシアニン薄膜とを積層することによって、従来
のフラーレン薄膜を用いた光電変換素子の光起電力効果
を著しく改善することができる。従って、本発明の光電
変換素子は、光電変換機能を利用した素子、例えば光セ
ンサーあるいは光センサー機能を応用したイメージセン
サー等に幅広く応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光電変換素子の一例を示したもの
で、(A)は平面図、(B)は(A)中のI−I線に沿
う断面図である。
【図2】 本発明の光電変換素子(実施例1)の光照射
時の電流−電圧特性の例と比較例1の光電変換素子の電
流−電圧特性の例を共に示したグラフである。
【符号の説明】
1… ガラス基板 2a,2b…電極 3a…フタロシアニン薄膜 3b…フラーレン薄膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラーレン薄膜と、該フラーレン薄膜に
    接して設けられたフタロシアニン薄膜とからなることを
    特徴とする光電変換素子。
  2. 【請求項2】 フラーレン薄膜と、該フラーレン薄膜に
    接して設けられたフタロシアニン薄膜とが電極で挟持さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の光電変換素
    子。
  3. 【請求項3】 電極が、金属電極、酸化物電極および炭
    素電極からなる群から選ばれる1種以上であることを特
    徴とする請求項2記載の光電変換素子。
  4. 【請求項4】 フラーレン薄膜が、カーボンクラスタC
    60および/またはカーボンクラスタC70で構成され
    る薄膜であることを特徴とする請求項1、2または3記
    載の光電変換素子。
  5. 【請求項5】 フラーレン薄膜が、真空蒸着膜であるこ
    とを特徴とする請求項4記載の光電変換素子。
  6. 【請求項6】 フタロシアニン薄膜が、オキソチタニウ
    ムフタロシアニンから構成される薄膜であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 【請求項7】 フタロシアニン薄膜が、真空蒸着膜であ
    ることを特徴とする請求項6記載の光電変換素子。
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