JP2010036109A - 有機光触媒フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】活性の高い有機光触媒フィルムを製造する方法を提供すること。
【解決手段】p型有機半導体とn型有機半導体とを含む有機光触媒フィルムの製造方法であって、成膜時又は成膜後に加熱することを特徴とする製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、有機光触媒フィルムの製造方法に関する。
光触媒とは、光エネルギーの投入により生じる酸化力・還元力を用いて化学反応を促進させる触媒であり、一般的には有害物質等を分解する機能を有することが知られている。この光触媒は、有毒な薬品や化石燃料を使用せず、光のエネルギーを利用するだけで、分解されにくい種々の化学物質を安全かつ容易に分解することができるため、環境にやさしい環境浄化材料として脚光を浴びている。
現在、光触媒材料として、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛、酸化タングステン等の無機化合物からなる光触媒が知られている。中でも酸化チタンは、その光触媒作用の大きさや安全性、また、資源的・コスト的な観点からも最も優れた材料であることから広く研究されており、実用化された製品も出されている(非特許文献1を参照)。
この酸化チタンは、紫外領域の光により光触媒活性が発現されるが、自然光のうちエネルギー密度3%相当の紫外光が利用されているにすぎない。そのため、太陽光エネルギー変換効率の観点からは、自然光エネルギー密度の約半分を占める可視光を有効に活用できる光触媒が望まれる。
ところで、有機化合物からなる光触媒については、ポリパラフェニレン及びその誘導体等が報告されている(非特許文献2を参照)。これらは、酸化条件で不安定な材料であり、酸素存在下や気(湿潤空気)相や水を含む液相での利用が困難である等の問題点を有している。
近年、フタロシアニン等のp型有機半導体と、ペリレン誘導体等のn型有機半導体とからなる二層膜が、可視光応答型光触媒として働くことが報告され(特許文献1参照)、さらに、前記二層膜を用いた光電極が水相中で光酸化反応を誘起することができることも報告されている(非特許文献3参照)。
国際公開第2006/115271号パンフレット 図解 光触媒のすべて(橋本和仁・藤嶋昭 監修)、工業調査会(2003) J. Chem. Soc. Faraday Trans., 93, 221 (1997) Org. Electron, 8, 262 (2007)
しかしながら、前記光電極系は、p型有機半導体とn型有機半導体とからなる二層膜の活性が十分でないことから、満足のいく出力が得られておらず、出力の向上が望まれていた。そこで、本発明は、活性の高い有機光触媒フィルムを製造する方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、p型有機半導体とn型有機半導体とを含む有機光触媒フィルムを、成膜時又は成膜後に加熱して製造すれば活性の高い有機光触媒フィルムが得られ、このフィルムを用いて電極を作製すれば、出力が向上することを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づき更に研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の有機光触媒フィルムの製造方法、有機光触媒フィルム及び該フィルムを用いた電極を提供する。
項1.p型有機半導体とn型有機半導体とを含む有機光触媒フィルムの製造方法であって、成膜時又は成膜後に加熱することを特徴とする製造方法。
項2.前記有機光触媒フィルムがn型有機半導体の上にp型有機半導体が積層された二層膜であって、n型有機半導体が加熱された状態でp型有機半導体を積層する、項1に記載の製造方法。
項3.真空蒸着法を用い、真空度が4.0×10−3Pa未満の条件で、室温下にある基体の上に前記n型有機半導体を積層した後、基体の温度を40〜150℃に制御することにより加熱されたn型有機半導体層の上にp型有機半導体を積層する、項2に記載の製造方法。
項4.前記基体の温度を90〜120℃に制御する、項3に記載の製造方法。
項5.前記真空度が5.0×10−4Paの条件で、前記基体の温度を120℃に制御する、項4に記載の製造方法。
項6.前記p型有機半導体が、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体及び導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
項7.前記n型有機半導体が、フラーレン類、カーボンナノチューブ類、電子供与体をドープした導電性高分子、ペリレン誘導体、及びナフタレン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
項8.前記n型有機半導体とp型有機半導体との混合物を成膜した後、真空度が0.1Pa未満の条件で、50〜160℃に加熱する、項1に記載の製造方法。
項9.前記n型有機半導体及びp型有機半導体を含む溶液を基体上に滴下し、該基体をスピンさせて成膜し、その後、真空度が0.1Pa未満の条件で、50〜160℃に加熱する、項8に記載の製造方法。
項10.前記真空度が7.0×10−2Paの条件で、前記温度が95〜105℃である、項9に記載の製造方法。
項11.前記n型有機半導体が低分子半導体であって、前記p型有機半導体が高分子半導体である、項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
項12.前記n型有機半導体がフラーレン誘導体であって、前記p型有機半導体が導電性高分子である、項11に記載の製造方法。
項13.項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法により得られた有機光触媒フィルム。
項14.電極基材の表面に、項13に記載の有機光触媒フィルムを被覆してなる電極。
本発明の製造方法によれば、活性の高い有機光触媒フィルムを製造することができる。
そして、この有機光触媒フィルムを用いて電極を作製すれば、電極の出力が向上する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、p型有機半導体とn型有機半導体とを含む有機光触媒フィルムの製造方法であって、成膜時又は成膜後に加熱することを特徴とするものである。
有機光触媒フィルムの成膜時又は成膜後に加熱した場合、加熱しない場合と比較して、p型有機半導体とn型有機半導体との界面の接触面積が増大し、その結果として、反応に関わるキャリア濃度(例えば、酸化反応であれば、正孔濃度)が高まると考えられる。このために有機光触媒フィルムの触媒活性が高くなると考えられる。
上記製造方法の1つとして、有機光触媒フィルムがn型有機半導体の上にp型有機半導体が積層された二層膜である場合、n型有機半導体が加熱された状態でp型有機半導体を積層する方法が挙げられる。
n型有機半導体は、p型有機半導体が積層されるときに加熱されていることが必要である。加熱方法は特に限定されず、例えば、基体上にn型有機半導体を積層した後、基体を加熱することによってその上のn型有機半導体を加熱し、その状態でn型有機半導体の上にp型有機半導体を積層して二層フィルムを形成し、該二層フィルムを基体から剥離させることにより製造することができる。
この場合、基体の材質としては、形成された二層フィルムを容易に剥離できるものであれば特に限定はないが、例えば、ガラス基板が挙げられる。得られた二層フィルムは、そのまま光触媒として用いることもできるが、必要に応じて二層フィルムに粘着剤層を設けて基材に貼着することも可能である。
n型有機半導体及びp型有機半導体を基体に積層する方法は、公知の方法を採用することができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、電気化学的被覆(電析)、塗布等の方法が挙げられる。中でも、均一な被覆膜が得られる点から、真空蒸着法が好ましい。
或いは、初めから特定の基体上に、直接n型(又はp型)有機半導体とp型(又はn型)有機半導体とを積層して、基体上に有機光触媒層を設けることもできる。
この場合、基体の材質としては、本発明の有機光触媒を積層できるものであればよく、例えば、セラミックス、金属、合金、木材、コンクリート、紙、繊維等が挙げられる。なお、基体の形状は、用途に応じたものであればよい。
上述した製造方法の中で、真空蒸着法を用い、真空度が高い(4.0×10−3Pa未満の)条件で、室温下にある基体の上に前記n型有機半導体を積層した後、基体の温度を40〜150℃程度に制御することにより加熱されたn型有機半導体層の上にp型有機半導体を積層する方法が好ましい。p型有機半導体の積層時に基体の温度を40〜150℃程度にすることにより、基体の上のn型有機半導体も加熱され、加熱された状態のn型有機半導体の上にp型有機半導体が積層されると、積層されたp型有機半導体も加熱されることになる。これにより、p型有機半導体とn型有機半導体との界面の接触面積が増大し、反応に関わるキャリア濃度が高まるので好ましい。基体の温度として好ましいのは、90〜120℃程度であり、さらに好ましくは120℃程度である。
真空蒸着に用いられる基体の材質として、例えば、ガラス基板、セラミックス、金属、合金、木材、紙、繊維等が挙げられる。
真空蒸着は、4.0×10−3Pa未満の真空度で行われるが、好ましい真空度は5.0×10−4Pa程度である。蒸着速度は、通常の真空蒸着で用いられる蒸着速度であればよく、例えば0.03nm/s程度とすることができる。
真空度が5.0×10−4Pa程度の条件で、基体の温度を120℃程度に制御しながらn型有機半導体の上にp型有機半導体を積層することがより好ましい。
なお、基体にn型有機半導体を積層する時には、基体の温度の制御を行わない。すなわち、基体の温度は室温(約25℃)である。その後、基体の温度を40〜150℃に制御しながらn型有機半導体上にp型有機半導体を積層する。ここで、基体温度の制御は、例えば、基体温度制御装置に、基体において有機光触媒層を積層しない側の面を取り付け、該装置の温度を、例えば、温度コントローラー等を用いて、40〜150℃の間の一定温度に制御することにより行われる。
基体上に設ける各有機半導体の膜厚は、p型有機半導体層の厚さは20〜500nm程度、好ましくは30〜350nm程度であり、n型有機半導体層の厚さは50〜800nm程度、好ましくは100〜650nm程度である。
p型有機半導体としては、大環状の配位子化合物又はその金属錯体が挙げられる。大環状の配位子化合物とは、不対電子を有する原子を環上に含む金属の配位子となり得る環状化合物の意であり、また、その金属錯体とは、該大環状配位子と金属原子からなる金属錯体の意味である。不対電子を有する原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子が挙げられ、窒素原子が好ましい。金属原子としては、周期律表1〜15族の各金属元素が挙げられ、好ましくは4〜14族の金属元素である。また、金属錯体は、通常、該金属原子と大環状の配位子化合物とが1:1(モル比)からなり、平面4配位の錯体を形成するものであればよい。
大環状の配位子化合物又はその金属錯体の具体例としては、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等が挙げられる。
フタロシアニン誘導体とは、フタロシアニンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(1A)又は(1B):
Figure 2010036109
(式中、Mは、周期律表4〜14族からなる群から選ばれる金属原子又はその金属原子を含む原子団を示し、点線は配位結合を示す)
で表されるフタロシアニン誘導体が挙げられる。
で示される周期律表4〜14族の金属原子のうち好ましくは、4族(特に、Ti)、5族(特に、V)、6族(特に、Mo)、7族(特に、Mn)、8族(Fe,Ru,Os)、9族(Co,Rh,Ir)、10族(Ni,Pd,Pt)、11族(特に、Cu)、12族(特に、Zn)、13族(特に、Al)、14族(特に、Pb)が挙げられる。また、該金属原子を含む原子団としては、該金属に他の配位子(例えば、酸素、シアノ基)が配位したもの(例えば、Ti−O)を意味する。
上記のうち、式(1A)で表されるフタロシアニン、又は式(1B)においてMがCo,Pt,Os,Mn,Ir,Fe,Rh,Cu,Zn,Ni,Pd又はRuであるフタロシアニン誘導体が好ましく、特に有機物酸化分解における活性の点から無金属フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン又は銅フタロシアニンが好ましく、水の分解における酸素の発生量の点からコバルトフタロシアニンが好ましい。これらの化合物は、いずれも市販されているか又は当業者が容易に製造することができる。
ナフタロシアニン誘導体とは、ナフタロシアニンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(2A)又は(2B):
Figure 2010036109
(式中、Mは、周期律表4〜14族からなる群から選ばれる金属原子又はその金属原子を含む原子団を示し、点線は配位結合を示す)
で表されるナフタロシアニン誘導体が挙げられる。
で示される周期律表4〜14族の金属原子のうち好ましくは、4族(特に、Ti)、5族(特に、V)、6族(特に、Mo)、7族(特に、Mn)、8族(Fe, Ru, Os)、9族(Co,Rh,Ir)、10族(Ni,Pd,Pt)、11族(特に、Cu)、12族(特に、Zn)、13族(特に、Al)、14族(特に、Pb)が挙げられる。また、該金属原子を含む原子団としては、該金属に他の配位子(例えば、酸素、シアノ基)が配位したもの(例えば、Ti−O)を意味する。
上記のうち、式(2A)表されるナフタロシアニン、又は式(2B)においてMがCo,Pt,Os,Mn,Ir,Fe,Rh,Cu,Zn,Ni,Pd又はRuであるナフタロシアニン誘導体が好ましく、特に有機物酸化分解における活性の点から無金属ナフタロシアニン、亜鉛ナフタロシアニン又は銅ナフタロシアニンが好ましく、水の分解における酸素の発生量の点からコバルトナフタロシアニンが好ましい。これらの化合物は、いずれも市販されているか又は当業者が容易に製造することができる。
ポルフィリン誘導体とは、ポルフィリンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(3A)又は(3B):
Figure 2010036109
(式中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基、Mは、周期律表4〜14族からなる群から選ばれる金属原子又はその金属原子を含む原子団を示し、点線は配位結合を示す)
で表されるポルフィリン誘導体が挙げられる。
ここで、上記のRで示されるアルキル基としては、C1−20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、好ましくはC1−10のアルキル基である。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどが挙げられる。
また、上記のRで示されるアリール基としては、単環又は2環のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、ナフチル等が挙げられる。
また、上記のRで示されるヘテロアリール基としては、ピリジル、ピラジニル等が挙げられる。
で示される周期律表4〜14族の金属原子のうち好ましくは、4族(特に、Ti)、5族(特に、V)、6族(特に、Mo)、7族(特に、Mn)、8族(Fe,Ru,Os)、9族(Co,Rh,Ir)、10族(Ni,Pd,Pt)、11族(特に、Cu)、12族(特に、Zn)、13族(特に、Al)、14族(特に、Pb)が挙げられる。また、該金属原子を含む原子団としては、該金属に他の配位子(例えば、酸素、シアノ基)が配位したもの(例えば、Ti−O)を意味する。
上記のうち、式(3A)で表されるポルフィリン、又は式(3B)においてMがCo,Pt,Os,Mn,Ir,Fe,Rh,Cu,Zn,Ni,Pd又はRu、Rがフェニル又は水素原子であるポルフィリン誘導体が好ましく、特に有機物酸化分解における活性の点から無金属ポルフィリン、亜鉛ポルフィリン又は銅ポルフィリンが好ましく、水の分解における酸素の発生量の点からコバルトポルフィリンが好ましい。これらの化合物は、いずれも市販されているか又は当業者が容易に製造することができる。
p型有機半導体として、上記の大環状の配位子化合物又はその金属錯体以外に、導電性高分子を使用することができる。
導電性高分子として、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン共重合体等を挙げることができる。
また、n型有機半導体としては、多環式芳香族化合物(一部が飽和していてもよい)が挙げられる。多環式芳香族化合物とは、少なくとも2個以上の芳香環が縮環した構造を有する化合物、或いは複数の芳香環が不飽和結合(二重結合、三重結合等)を介して結合した構造を有する化合物等を意味する。芳香環としては、ベンゼン環等のほかに、ピロール環、イミダゾール環、ピリジン環、キノキサリン環等の複素芳香環も含まれる(いずれの環も一部が飽和していてもよい)。
多環式芳香族化合物には、本発明に悪影響を与えない範囲で、種々の置換基を有していてもよい。置換基としては、電子吸引基が挙げられ、具体的にはカルボニル基、スルホン基、スルホキシド基等が挙げられる。
多環式芳香族化合物の具体例としては、C60、C70、C76、C82、C84などのフラーレン類;カーボンナノチューブ類;電子供与体(フェニレンジアミン、テトラアミノエチレン、トリス(2,2−ビピリジン)ルテニウムなど)をドープした導電性高分子(ポリイミド、ポリフェニレンビニレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール等);ペリレン誘導体;ナフタレン誘導体等が挙げられる。中でも、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体、フラーレン類(C60等)等が好ましく採用され、特にペリレン誘導体やフラーレン類(C60等)が好ましい。
ペリレン誘導体とは、ペリレンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(4A)〜(4C):
Figure 2010036109
(式中、Rは、アルキル基又はアリール基を示す)
で表されるペリレン誘導体が挙げられる。
ナフタレン誘導体とは、ナフタレンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(5A):
Figure 2010036109
(式中、Rは、アルキル基又はアリール基を示す)
で表されるナフタレン誘導体が挙げられる。
ここで、上記のR又はRで示されるアルキル基としては、C1−20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、好ましくはC1−10のアルキル基である。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどが挙げられる。
また、上記のR又はRで示されるアリール基としては、単環又は2環のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、ナフチル等が挙げられる。
p型有機半導体として典型的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体が挙げられる。より好ましくは、式(1A)、(1B)、(2A)、(2B)、(3A)、(3B)で表される化合物が挙げられる。特に、式(1A)の無金属フタロシアニン、式(1B)の鉄フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、銅フタロシアニン、又は式(1B)のコバルトフタロシアニンが好ましい。
n型有機半導体は、上記のp型有機半導体との間において良好なp−n接合の関係を有しているものが用いられる。n型有機半導体としては典型的には、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体又はフラーレン類が挙げられる。より好ましくは、式(4A)、(4B)、(4C)、(5A)で表される化合物が挙げられる。特に、効率的なキャリア生成の点から、式(4A)で示されるペリレン誘導体(3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシル−ビスベンズイミダゾール)又はフラーレン類(C60等)が好適に用いられる。
なお、本発明の有機光触媒フィルムには、光触媒の活性を上げるために、上記のn型有機半導体及びp型有機半導体以外に、必要に応じて銀、銅等を添加してもよい。
本発明の有機光触媒フィルムを製造する別の方法として、n型有機半導体とp型有機半導体との混合物を成膜した後、真空度が高い(0.1Pa未満の)条件で、50〜160℃程度に加熱する方法を挙げることができる。
具体的には、スピンコート法により、n型有機半導体及びp型有機半導体を含む溶液に基体上に滴下し、該基体をスピンさせて成膜し、その後、真空度が0.1Pa未満の条件で、50〜160℃程度に加熱することにより、基体上にn型有機半導体及びp型有機半導体の混合フィルムを形成する。
使用する溶媒としては、n型有機半導体及びp型有機半導体を溶解することができるものであれば限定されない。例えば、トルエン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン)等の有機溶媒を挙げることができる。
スピンコートは、例えば、遠心分離機を用いて、大気下、室温条件で行うことができる。基体は、真空蒸着法で使用される基体と同様のものを使用することができる。n型有機半導体及びp型有機半導体の濃度、滴下する溶液量、基体の回転速度等は、均一なフィルムが形成されれば特に限定されない。例えば、n型有機半導体及びp型有機半導体の濃度はいずれも0.1〜0.5g/l程度、滴下する溶液量は、1ml程度、基体の回転速度は100rpm程度にすることができる。
得られた混合フィルムは、真空度が0.1Pa未満の条件で50〜160℃程度に加熱される。50〜160℃程度に加熱することにより、相分離が起こり易くなり、キャリア発生効率が向上するので好ましい。好ましい温度は、95〜105℃程度であり、さらに好ましくは100℃程度である。好ましい真空度は、7.0×10−2Pa程度である。
混合フィルムを、真空度が7.0×10−2Pa程度の条件で、95〜105℃程度に加熱することがより好ましい。
加熱は、真空度及び温度を制御可能な機器、例えば真空乾燥機を用いて行うことができる。加熱時間は特に限定されず、例えば、15分〜1時間程度、好ましくは30分程度である。加熱後は、室温に戻してから大気下に戻す。
この方法に用いられるp型有機半導体として、高分子半導体を挙げることができる。高分子半導体の具体的な例として、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン共重合体等の導電性高分子が挙げられる。中でも、ポリチオフェン誘導体が好ましく用いられる。
ポリチオフェン誘導体とは、ポリチオフェンの基本骨格を有する高分子を意味する。具体的には、例えば、下記式(6A):
Figure 2010036109
(式中、nは50〜500の整数を示し、Rは、へキシル、オクチル、メチル基等のC1−8の直鎖のアルキル基を示す。)
で表されるポリチオフェン誘導体が挙げられる。
n型有機半導体として、低分子半導体を挙げることができる。低分子半導体の具体的な例として、フラーレン誘導体が挙げられる。
フラーレン誘導体とは、フラーレンの基本骨格を有する化合物を意味する。具体的には、例えば、下記式(7A):
Figure 2010036109
(式中、Rは、メチル、n−ブチル、イソブチル基等のC1−4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。)
で表されるフラーレン誘導体が挙げられる。
基体上に設ける混合フィルムの膜厚は、10〜200nm程度、好ましくは50〜100nm程度である。
混合フィルムは、混合フィルム一層だけで使用することができるが、その上にp型有機半導体を積層して、二層構造とすることも可能である。積層するp型有機半導体として、前述した二層フィルムの製造方法で使用されるp型有機半導体(フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等)を用いることができる。その中でもフタロシアニン誘導体(例えば、亜鉛フタロシアニン、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン)が好ましく用いられる。この場合、混合フィルムの上に積層するp型有機半導体の膜厚は、10〜200nm程度、好ましくは30〜120nm程度である。
前述した製造方法により得られた有機光触媒フィルムを、電極基材表面に被覆することにより、電極とすることができる。
本発明の電極は、電極基材表面が上述した有機光触媒フィルムで被覆されている。
電極基材としては、導電性透明ガラス基材、金属基材、炭素系基材等が挙げられる。具体的には、例えば、インジウム−スズオキシド(ITO)等で被覆された導電性透明ガラス基材;白金等の金属基材;グラファイト、ダイヤモンド、グラッシーカーボン等の炭素系基材等が挙げられる。電極基材の抵抗値は、例えば、5〜100Ω/cm、好ましくは8〜20Ω/cmのものが用いられる。また、電極基材の形状は種々の形状を採用することができるが、電気分解や光照射の効率を上げる電極表面の大きい平板状、基板状のものが好ましい。
具体的な電極の構成として、電極基材の表面にn型有機半導体からなる第1層(膜)を有し、その上にp型有機半導体からなる第2層(膜)を有する構成が挙げられる。第1層は、電極を被覆する通常20〜400nm程度(好ましくは50〜300nm程度)の厚みを有する連続被膜からなり、第2層は、電極を被覆する通常10〜200nm程度(好ましくは50〜100nm程度)の厚みを有する連続被膜からなる。有機半導体層の厚みに関して、層が厚すぎると自身のフィルター効果により可視光の吸収効率が低下するため、第1層は50〜200nm程度、第2層は50〜100nm程度がより好ましい。
また、電極は、上記の電極基材の表面にn型有機半導体からなる第1層(膜)及びp型有機半導体からなる第2層(膜)に加えて、さらに第2層の上に遷移金属触媒(例えば、Ni,Pd,Pt,Ir触媒等、好ましくはPt又はIr触媒)を担持したものであってもよい。第2層上に担持される遷移金属触媒は、第2層を完全に被覆する必要はなく分散担持されていればよい。例えば、遷移金属触媒は、その平均粒径が5〜800nm程度(好ましくは10〜100nm程度)の微粒子状態で第2層上に担持される。
異なる電極の構成として、電極基材の表面に、n型有機半導体及びp型有機半導体の混合フィルムを有する構成が挙げられる。この混合フィルムは、電極を被覆する通常10〜200nm程度(好ましくは50〜100nm程度)の厚みを有する。また、電極は、上記の電極基材の表面に形成された混合フィルムに加えて、さらにその上にp型有機半導体(例えば、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等、好ましくはフタロシアニン誘導体、さらに好ましくは亜鉛フタロシアニン)を積層したものであってもよい。このときの混合フィルム上に積層されるp型有機半導体の厚みは、10〜150nm程度とすればよい。
このような構成を採用する電極は、アノード電極(陽極)として機能し、効率的に有機物を酸化分解する。アノード電極では、光(特に可視光)で励起された電子が、n型有機半導体内を電極基材方向に流れ、また光励起により生じた正孔はp型有機半導体内を電解液方向に流れる。p型有機半導体と電解液との界面では、有機物が正孔により酸化分解される。
本発明の電極には、活性が高い有機光触媒フィルムが使用されているので、以下の実施例において詳述するように水相中で効率的な光アノード電極として作用する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって限定されるものではない。
(1)電極にn型有機半導体とp型有機半導体との二重フィルムを使用した場合
有機光触媒材料として、n型有機半導体である3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシル−ビスベンズイミダゾール(以下「PTCBI」と表記する)及びp型有機半導体であるフタロシアニン(以下「HPc」と表記する)を用いた。本発明においては、それぞれ昇華精製したものを用いた。
有機光触媒素子の作製は、真空蒸着法により行った。まず、インジウム−スズオキシド(ITO)で被覆された導電性透明ガラス基板(以下「ITO被覆ガラス基板」と表記する)(旭硝子社製、抵抗8Ωcm−2;ITO被覆ガラスの透過率85%以上;インジウムスズオキシドの積層厚174nm)を基体温度制御装置(アルバック機工社製、基板加熱装置96)に取り付け、真空度が約5.0×10−4Paの条件下、基板温度を制御しない状態で(室温として)ITO被覆ガラス基板上に0.03nm/秒の蒸着速度でPTCBIを160nmの厚さで積層した。次いで、真空度が約5.0×10−4Paの条件下、該基体温度制御装置で基板温度を120℃に制御しながらPTCBI上に0.03nm/秒の蒸着速度でHPcを60nmの厚さで積層した。なお、基体温度制御装置の温度制御は、温度コントローラー(DENSEI−LAMBDA社製、Z−UP 10−40)を用いて行った。
得られた有機光触媒素子を1cm×1.5cmに切り出した。そのうちの1cm×0.5cmに相当する部分をアセトンで拭き取り、銀含有エポキシ系接着剤(東洋インキ製造社製、T−700)を用いて導線を取り付けた。銀部位と水の接触を防ぐために、エポキシ系接着剤を用いて絶縁して、有機光触媒被覆電極とした。この電極を実施例1とする。
Pcを積層するときの基板温度を90℃とした以外は、実施例1と同様にして有機光触媒被覆電極を製造した。この電極を実施例2とする。
Pcを積層するときの基板温度を制御しなかった(室温とした)以外は、実施例1と同様にして有機光触媒被覆電極を製造した。この電極を比較例1とする。
光触媒反応セルは、以下の方法で作製した。実施例1,2又は比較例1の有機光触媒被覆電極を作用極、白金線を対極、銀/塩化銀電極(内部液は塩化カリウム飽和水溶液)を参照極として、一室型三極式セルを構成した。電解質として、2−メルカプトエタノール水溶液(pH=10)を用いた。
有機光触媒反応は、図1に示すような測定装置を用いて実施した。関数発生器(北斗電工社製、HB−104)、クーロンメーター(北斗電工社製、HF−201)及びX−Yレコーダー(グラフテック社製、WX−4000)を備えたポテンショスタット(北斗電工社製、HA−301)、並びにモノクロメーター(相馬光学社製、S−10)を用いた。光源としてハロゲンランプ(150W)を用い、PTCBI側から照射した。
(1−a)CV測定
実施例1,2又は比較例1の有機光触媒被覆電極を用いた一室型三極式セルについて、それぞれ、電解質として、1mM 2−メルカプトエタノール水溶液(pH=10)を用い、常温、常圧下、電位走査速度を20mV/秒として、−0.2V〜+0.6Vの範囲でCV測定を行った。実施例1,2の結果を図2に、比較例1の結果を図3に示す。
図2及び図3の結果から、室温よりも高い基体温度でHPcを積層したフィルムを用いた実施例1及び2の電極は、基体温度が室温のままで作製されたもの(比較例1)に比べて、電位がより低い(印加したバイアス電位が小さい)条件から、より高い光電流値が得られることがわかる。このことから、HPcを積層時に基体を加熱することにより、光電極特性、すなわちフィルムの活性が向上していると判断することができる。
(1−b)作用スペクトルの測定
実施例1,2又は比較例1の有機光触媒被覆電極を用いた一室型三極式セルについて、それぞれ、電解質として、5mM 2−メルカプトエタノール水溶液(pH=10)を用い、アルゴン雰囲気下、常温、常圧で、印加電位は0V(vs.Ag/AgCl)とし、作用スペクトルとして、400〜750nmのIPCE(各波長における入射光子数あたりの反応分子数)をモノクロメーターにより測定した。その結果を図4に示す。
図4の結果から、実施例1及び2の電極は、可視光全域にわたって、比較例1の電極よりも作用スペクトル、すなわち入射光子数あたりの反応分子数が大きいことがわかる。これより、基板温度が90℃及び120℃でHPcを積層したフィルムは、室温でHPcを積層したフィルムと比較して同一条件下における反応分子数が多いといえるため、フィルムの活性が高いと判断することができる。この中でも、基板温度120℃でHPcを積層したフィルムの活性が最も高かった。
実際に、公知の反応速度解析方法(例えば、J.Electroanal.Chem.,599(1),65-71(2007)参照)を用いて酸化速度(出力)を算出したところ、基板温度120℃でHPcを積層したフィルムは、基板温度室温でHPcを積層したフィルムよりも約2倍程度酸化速度が速いという結果が得られた。
(2)電極にn型有機半導体とp型有機半導体との混合フィルムを使用した場合
有機光触媒材料として、n型有機半導体である[6,6]−フェニル−C61酪酸メチルエステル(以下「PCBM」と表記する)及びp型有機半導体であるポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)(以下「P3HT」と表記する)を用いた。実施例4においては、p型有機半導体である亜鉛フタロシアニン(以下「ZnPc」と表記する)を用いた。本発明においては、PCBM及びP3HTは市販のものをそのまま使用し、ZnPcは昇華精製したものを用いた。
有機光触媒素子の作製は、スピンコート法により行った。まず、溶媒としてトルエンを用い、PCBM及びP3HTをそれぞれ0.3g/lの濃度で含むトルエン溶液を調製した。遠心分離機(コクサン社製、H−19F)を用い、常温常圧下、ITO被覆ガラス基板(5cm×5cm)上に、該混合溶液を1ml滴下し、ITO被覆ガラス基板を100rpmの速度で回転させることにより、ITO被覆ガラス基板上に混合フィルムを70nmの厚さで形成した。次いで、この混合フィルムを積層したITO被覆ガラス基板を、真空乾燥機(ヤマト科学社製、ADP200)により、真空度:約7.0×10−2Pa、100℃で30分間加熱した。
得られた有機光触媒素子を1cm×1.5cmに切り出した。そのうちの1cm×0.5cmに相当する部分をアセトンで拭き取り、銀含有エポキシ系接着剤(東洋インキ製造社製、T−700)を用いて導線を取り付けた。銀部位と水の接触を防ぐために、エポキシ系接着剤を用いて絶縁して、有機光触媒被覆電極とした。この電極を実施例3とする。
実施例3の加熱した混合フィルム上に、真空度が約5.0×10−4Paの条件下、基板温度を制御しないで(基板温度は室温で)、0.03nm/秒の蒸着速度でZnPcを100nmの厚さで積層したこと以外は、実施例3と同様にして有機光触媒被覆電極を製造した。この電極を実施例4とする。
混合フィルムを積層したITO被覆ガラス基板を加熱しなかった以外は、実施例3と同様にして有機光触媒被覆電極を製造した。この電極を比較例2とする。
混合フィルムを積層したITO被覆ガラス基板を加熱しなかった以外は、実施例4と同様にして有機光触媒被覆電極を製造した。この電極を比較例3とする。
光触媒反応セルは、以下の方法で作製した。実施例3、4、比較例2又は3の有機光触媒被覆電極を作用極、白金線を対極、銀/塩化銀電極(内部液は塩化カリウム飽和水溶液)を参照極として、一室型三極式セルを構成した。電解質として、1mM 2−メルカプトエタノール水溶液(pH=10)を用いた。
有機光触媒反応は、図1に示すような測定装置を用いて実施した。関数発生器(北斗電工社製、HB−104)、クーロンメーター(北斗電工社製、HF−201)及びX−Yレコーダー(グラフテック社製、WX−4000)を備えたポテンショスタット(北斗電工社製、HA−301)、並びにモノクロメーター(相馬光学社製、S−10)を用いた。光源としてハロゲンランプ(150W)を用い、ITO被覆ガラス基板側から照射した。
(2−a)CV測定
実施例3、4、比較例2又は3の有機光触媒被覆電極を用いた一室型三極式セルについて、それぞれ、常温、常圧下、電位走査速度を20mV/秒として、−0.3V〜+0.5Vの範囲でCV測定を行った。実施例3及び4の結果を図5に、比較例2及び3の結果を図6に示す。
図5及び図6の結果から、実施例3、4の電極は、比較例2、3の電極よりも高い光電流値が得られたことがわかる。このことから、混合フィルム成膜後に加熱することで、光電極特性、すなわちフィルムの活性が向上していると判断することができる。特に、混合フィルムの上にZnPcを積層したものを用いた電極は、ZnPcの触媒作用により、光電極特性が向上した。
(2−b)作用スペクトルの測定
実施例3,4、比較例2又は3の有機光触媒被覆電極を用いた一室型三極式セルについて、それぞれ、アルゴン雰囲気下、常温、常圧で、印加電位は0.3V(vs.Ag/AgCl)とし、作用スペクトルとして、400〜750nmのIPCEをモノクロメーターにより測定した。その結果を図7に示す。
図7の結果から、可視光全域にわたって、実施例3の電極は比較例2の電極よりも、実施例4の電極は比較例3の電極よりも作用スペクトルが大きいことがわかる。これより、混合フィルムを100℃に加熱したものを用いた電極は、加熱しない混合フィルムを用いた電極よりも入射光子数あたりの反応分子数が多く、同一条件下での反応分子数が多いといえる。これより、混合フィルムを加熱することによりフィルムの活性が高くなると判断することができる。実施例3と実施例4との比較により、加熱した混合フィルムの上にZnPcを積層した電極の作用スペクトルが最も大きく、加熱した混合フィルムの上にZnPcを積層すると、フィルムの活性がより高くなることがわかる。
(2−c)定電位印加時におけるアノード光電流値の測定
混合フィルムの加熱効果に関する情報を得ることを目的として、2−メルカプトエタノールの光触媒的酸化反応に伴うアノード光電流値の経時変化を実施例3及び比較例2の電極について測定した。測定条件は、印加電位0.3V(vs.Ag/AgCl)で、ITO被覆ガラス基板側から白色光を100mW/cmの光量で照射した。実施例3の結果を図8(a)に、比較例2の結果を図8(b)に示す。
図8の結果から、実施例3の電極は、比較例2の電極に比べて、定常状態において非常に大きなアノード電流値が発生したことがわかる。これより、混合フィルム成膜後に加熱することで、フィルムの活性が向上していると判断することができる。
実施例において使用される光電気化学測定装置の概略図である。 実施例1及び2のCV測定結果を示すグラフである。 比較例1のCV測定結果を示すグラフである。 実施例1、2及び比較例1の波長とIPCEとの関係を示すグラフである。 実施例3及び4のCV測定結果を示すグラフである。 比較例2及び3のCV測定結果を示すグラフである。 実施例3、4、比較例2及び3の波長とIPCEとの関係を示すグラフである。 (a)は実施例3の光電流値の経時変化を示すグラフであり、(b)は比較例2の光電流値の経時変化を示すグラフである。

Claims (14)

  1. p型有機半導体とn型有機半導体とを含む有機光触媒フィルムの製造方法であって、成膜時又は成膜後に加熱することを特徴とする製造方法。
  2. 前記有機光触媒フィルムがn型有機半導体の上にp型有機半導体が積層された二層膜であって、n型有機半導体が加熱された状態でp型有機半導体を積層する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 真空蒸着法を用い、真空度が4.0×10−3Pa未満の条件で、室温下にある基体の上に前記n型有機半導体を積層した後、基体の温度を40〜150℃に制御することにより加熱されたn型有機半導体層の上にp型有機半導体を積層する、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記基体の温度を90〜120℃に制御する、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記真空度が5.0×10−4Paの条件で、前記基体の温度を120℃に制御する、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記p型有機半導体が、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体及び導電性高分子からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記n型有機半導体が、フラーレン類、カーボンナノチューブ類、電子供与体をドープした導電性高分子、ペリレン誘導体、及びナフタレン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記n型有機半導体とp型有機半導体との混合物を成膜した後、真空度が0.1Pa未満の条件で、50〜160℃に加熱する、請求項1に記載の製造方法。
  9. 前記n型有機半導体及びp型有機半導体を含む溶液を基体上に滴下し、該基体をスピンさせて成膜し、その後、真空度が0.1Pa未満の条件で、50〜160℃に加熱する、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記真空度が7.0×10−2Paの条件で、前記温度が95〜105℃である、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記n型有機半導体が低分子半導体であって、前記p型有機半導体が高分子半導体である、請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記n型有機半導体がフラーレン誘導体であって、前記p型有機半導体が導電性高分子である、請求項11に記載の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法により得られた有機光触媒フィルム。
  14. 電極基材の表面に、請求項13に記載の有機光触媒フィルムを被覆してなる電極。
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