JPH0774200B2 - N―置換マレイミド類の製造方法 - Google Patents

N―置換マレイミド類の製造方法

Info

Publication number
JPH0774200B2
JPH0774200B2 JP2222275A JP22227590A JPH0774200B2 JP H0774200 B2 JPH0774200 B2 JP H0774200B2 JP 2222275 A JP2222275 A JP 2222275A JP 22227590 A JP22227590 A JP 22227590A JP H0774200 B2 JPH0774200 B2 JP H0774200B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
maleic anhydride
primary amine
reaction
stabilizer
organic solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2222275A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04139166A (ja
Inventor
利光 野田
理人 福原
祥二 小田
道男 木村
直樹 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihachi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Daihachi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihachi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Daihachi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2222275A priority Critical patent/JPH0774200B2/ja
Publication of JPH04139166A publication Critical patent/JPH04139166A/ja
Publication of JPH0774200B2 publication Critical patent/JPH0774200B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 発明は医薬,農薬,染料,高分子の原料として有用なN
−置換マレイミド類の製造方法に関する。
(従来の技術) マレイミド類の製造方法については従来から種々の方法
が知られている。例えば,「Org.Synth.Coll」,5巻,944
頁,1973年,には,無水マレイン酸とアミン類とを反応
させて得られるマレイン酸モノアミド類を無水酢酸や五
酸化リンなどの化学的な脱水剤を用いて,触媒の存在下
で脱水反応させる方法が記載されている。この方法にお
いては比較的高収率(75〜80%)でN−置換マレイミド
類を得ることができる。しかし,生成する水の量に応じ
て,無水酢酸などの脱水剤を化学量論的に使用する必要
があるので,製造コストが高価になるという欠点を有す
る。
この欠点を解決して工業にも有利な製造方法を提供する
ために,無水酢酸や五酸化リンのような化学的な脱水剤
を使用しない製造方法が報告されている。例えば,特公
昭51−40078号公報には,無水マレイン酸と1級アミン
とを三酸化硫黄,硫酸,などの酸触媒の存在下におい
て,例えば,トルエン,キシレン,クロルベンゼンなど
の沸点が80℃以上の溶媒中で,加熱して生成水を溶媒と
共沸させことにより排出し,脱水閉環させる方法が記載
されている。この方法は高価な脱水剤を多量に用いない
点で優れているが,反応温度が高いため,例えば,反応
系内で一旦生成したN−置換マレイミド類の重合による
ポリマー状副生成物の生成など種々の副反応を著しく生
起し易い。この方法によれば,得られるN−置換マレイ
ミド類の収率および製品純度が低いばかりか反応中に反
応溶液が褐色に着色し,精製工程を実施しても得られる
マレイミド類が着色しているので,製品の利用価値が低
い。精製工程が必要となるので,製造工程が複雑になる
という問題もある。
このポリマー状副生成物の生成を防ぐことを目的とした
製造方法が,特開昭63−12266号に開示されている。
この方法は,50〜200℃の温度に加熱した無水マレイン酸
と,有機溶媒と,酸触媒との混合物に芳香族または脂肪
族の1級アミンを滴下し,反応中に生成した水を留去し
ながら1段階でN−置換マレイミド類を製造する方法で
ある。
(発明が解決しようとする課題) 上述の方法では,反応は比較的高温で長時間にわたって
行われる。そのために,ポリマー状副反応物の生成は完
全に抑制されていない。そして,原料の無水マレイン酸
は反応中に生成した水と反応してマレイン酸となり,こ
れが熱により異性化して,フマル酸が生成する。さら
に,反応中間体として生成するN−置換モノマレアミド
酸も熱により異性化して,N−置換モノフマルアミド酸が
生成する。上記フマル酸およびN−置換モノフマルアミ
ド酸は溶媒および酸触媒に不溶性である。したがって,
反応の初期から中期にかけて還流している溶媒と共に上
昇するかまたは飛散してコンデンサー並びに還流用の配
管に付着した無水マレイン酸やN−置換モノマレアミド
酸は,フマル酸やN−置換モノフマルアミド酸に異性化
し,これがコンデンサー内部や上記配管内部に付着堆積
する。これが著しくなるとコンデンサーや配管の閉塞を
招く。コンデンサーや配管が閉塞して反応が密閉系にな
ると反応設備が爆発する可能性が生じるので,非常に危
険である。このように,従来の方法は,上記コンデンサ
ーや配管の閉塞を生じるという点で,特に工業的に製造
する際の安全性の観点から大きな問題を有しており,こ
れらの付着物を除去する工程が必要になるので生産性が
低下し,その結果,製造コストが上がる。
さらに,上記フマル酸およびN−置換モノフマルアミド
酸は反応終了後の洗浄による精製時に,反応溶液と酸触
媒との界面に堆積するため,この界面が不明確となり,
反応溶液を酸触媒や他の副生成物から分離精製すること
が困難になる。
このようにフマル酸が生成するということは1級アミン
との反応に供される無水マレイン酸の量が減少するとい
うことであり,N−置換モノフマルアミド酸が生成すると
いうことは反応中間体の量が減少するということなの
で,従来法にはN−置換マレイミド類の収率が低いとい
う問題もある。
本発明は上記従来の問題点を解決するものであり,その
目的とするところは,ポリマー状副反応物の生成が抑制
されているために精製工程を簡略化することが可能なN
−置換マレイミド類の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的はコンデンサー並びに配管が閉塞する
ことなく高純度で色相の良好なN−置換マレイミド類
を,高収率で安価かつ安全に製造する方法を提供するこ
とにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は無水マレイン酸と芳香族または脂肪族1級アミ
ンとを原料としてN−置換マレイミド類を製造する方法
であって,水と共沸可能な有機溶媒および酸触媒を含む
混合物を加熱して,該有機溶媒を還流させる工程;およ
び該混合物に,無水マレイン酸と該1級アミンとをそれ
ぞれ所定の割合でかつ一定速度で連続的に添加する工
程;を包含するN−置換マレイミド類の製造方法であり
そのことにより上記目的が達成される。
前記混合物は,好ましくはさらに少なくとも1種の安定
剤を含有し,該安定剤は少なくとも1種の,銅化合物お
よび/またはリン系化合物である。
または,本発明は無水マレイン酸と芳香族または脂肪族
1級アミンとを原料としてN−置換マレイミド類を製造
する方法であって,水と共沸可能な有機溶媒,無水マレ
イン酸,該1級アミンおよび酸触媒を含む混合物を反応
させて得られる反応混合物を加熱して,該有機溶媒を還
流させる工程;および該反応混合物に,それぞれ所定の
割合の有機溶媒,無水マレイン酸,該1級アミンおよび
酸触媒を一定速度で連続的に添加して反応させ,同時
に,反応混合物を上記添加速度に応じた一定速度で連続
的に除去し回収する工程;を包含するN−置換マレイミ
ド類の製造方法であり,そのことにより上記目的が達成
される。
前記回収した反応混合物をさらに反応させる工程を設け
ても良い。
好ましくは,前記反応混合物は,さらに少なくとも1種
の安定剤を含有しかつ該反応混合物に,有機溶媒,無水
マレイン酸,前記1級アミンおよび酸触媒と共に,さら
に少なくとも1種の該安定剤が所定の割合でかつ一定速
度で加えられ,該安定剤は少なくとも1種の,銅化合物
および/またはリン系化合物である。
本発明の方法で用いられる1級アミンとしては,アニリ
ン,トルイジン,ジメチルアニリン,エチルアニリン,
ジエチルアニリン,カルボキシアニリン,ヒドロキシア
ニリン,クロロアニリン,ジクロロアニリン,ブロモア
ニリン,ジブロモアニリン,トリブロモアニリン,ニト
ロアニリンなどの芳香族1級アミン;およびメチルアミ
ン,エチルアミン,ヘキシルアミン,オクチルアミン,
ラウリルアミン,ベンジルアミン,シクロヘキシルアミ
ンなどの脂肪族1級アミンが挙げられる。
原料として使用される無水マレイン酸は,上記1級アミ
ン1モルに対して0.8〜1.5モル,好ましくは0.9〜1.3モ
ルの割合で用いられる。
本発明の方法で用いられる有機溶媒は,無水マレイン酸
と,芳香族または脂肪族の1級アミンとを溶解し得,50
〜200℃の温度において生成水を共沸混合物として系外
に排出し得る,不活性な有機溶媒である。ベンゼン,ト
ルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素が好ましく用い
られる。これらの有機溶媒の使用量は,特に限定されな
いが,操作性および経済性の面から,反応生成物の理論
濃度が10〜60重量%,好ましくは20〜50重量%となるよ
うな濃度が好適である。反応成分の溶解性を向上させる
目的で,例えば,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセ
トアミド,ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極
性溶媒を必要に応じて併用することも可能である。これ
らの非プロトン性極性溶媒の使用量も特に制限されない
が,全溶媒量に対して1〜30重量%程度が好ましい。
上記有機溶媒および非プロトン性極性溶媒は,無水マレ
イン酸,上記1級アミン,安定剤,および触媒のうちの
いずれかまたはいずれかの組み合わせと共に添加して
も,これらとは別に添加してもよい。
本発明で用いられる酸触媒としては,硫酸,亜硫酸,な
どの無機酸;メタンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸;
トルエンスルホン酸などの有機酸;および酸性イオン交
換樹脂などが挙げられるが,これらに限定されない。こ
れらの触媒の使用量は特に制限されないが,通常は,マ
レイミド類の理論生成物量の10重量%以下の量で用いら
れる。
本発明では必要に応じて安定剤が用いられる。安定剤に
は,ヒンダードフェノール類,硫黄化合物,銅化合物お
よびリン系化合物などがある。これらはそれぞれ単独
で,もしくは必要に応じて複数を組み合わせて用いられ
る。
ヒンダードフェノール類としては,2,6−ジ−t−ブチル
−p−フェノール,2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン,
2,5−ジ−t−アミノヒドロキノン,4,4′−ブチリデン
ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール),2,2′−メチ
レンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール),
2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフ
ェノール)などが挙げられる。
硫黄化合物としては,ジオクチルチオジプロピオネー
ト,ジラウリルジチオプロピオネート,ジミリスチルジ
チオプロピオネート,ジステアリルジチオプロピオネー
トなどが挙げられる。
銅化合物としては金属銅,酸化銅,水酸化銅,硫化銅,
塩化銅,硫酸銅,硝酸銅,リン酸銅などの無機銅化合
物;および酢酸銅,オキシ酢酸銅,プロピオール酸銅,
吉草酸銅,クエン酸銅,ヘキシン酸銅,グルコシン酸
銅,サリチル酸銅,カプリル酸銅,ペラルゴン酸銅,セ
バシン酸銅,パルミチン酸銅,オレイン酸銅,ステアリ
ン酸銅,ビスグリシナト銅,ビスアセチルアセトナト
銅,ビスアミノベンゼンスルホナト銅,ビスロイシンナ
ト銅,ビス(アセチルアセトアセタト)銅,などの有機
銅化合物が挙げられる。特に有機銅化合物が好ましく使
用される。
本発明で用いられるリン系化合物としては,R5PまたはR3
P=CR2の式で表されるホスホラン類;R3Pので表されるホ
スフィン類およびこれらから誘導される,例えば,R4PCl
の式で表されるホスホニウム塩類;R3P=Xの式で表され
るホスフィンスルフィド類(X=S),ホスフィンオキ
サイド類(X=O);R2P−OR,R2P(X)XRの式で表され
るホスフィナイト類(R2POR),ホスフィノジチオエー
ト類(R2P(S)SR),ホスフィナト類(R2P(O)O
R);RP(OR)またはRP(X)(OR)2,の式で表される
ホスホナイト類(RP(OR)),ホスホノチオエート類
(RP(S)(OR)),ホスホネート類(RP(O)(O
R));およびP(XR)の式で表されるホスファイ
ト類(X=O),チオホスファイト類(X=S)が挙げ
られる。
ここで,Xは独立して酸素原子またはイオウ原子であり,R
はHまたはC1〜C18の脂肪族または芳香族炭化水素基で
ある。
特に,P(XR)の式で表されるホスファイト類またはチ
オホスファイト類が好ましく使用され,さらに好ましく
は,P(SR)の式で表されるチオホスファイト類が使用
される。
P(XR)の式で表される上記ホスファイト類,チオホ
スファイト類としては,例えば,ジn−ブチルホスファ
イト,ジフェニルホスファイト,トリn−ブチルホスフ
ァイト,トリフェニルホスファイト,トリベンジルホス
ファイト,トリオクチルトリチオホスファイト,トリラ
ウリルトリチオホスファイト,トリミリスチルトリチオ
ホスファイト,トリステアリルトリチオホスファイト,
トリフェニルトリチオホスファイトなどが挙げられる。
本発明で使用される安定剤の使用量についてはとくに制
限されないが理論反応生成物量に対して,それぞれ10pp
m〜5重量%,好ましくはそれぞれ100〜5000ppmであ
る。
本発明の方法においては,特に上記有機銅化合物とP
(XR)の式で表されるホスファイト類またはチオフォ
スファイト類を併用して用いることが好ましい。
これらの安定剤は,一旦生成したN−置換マレイミド類
が重合することなどの種々の副反応を抑制する。
これらの安定剤を使用しない場合は,例えば,反応系内
で一旦生成したN−置換マレイミド類の重合によるポリ
マー状副生成物の生成など副反応を生じ易い。そのよう
な場合には得られるN−置換マレイミド類の収率および
製品純度が低く,さらに精製工程が必要となるので,製
造工程が複雑になる。さらに,反応中に反応溶液が褐色
に着色し,精製工程を実施しても得られるマレイミド類
が着色し,製品の利用価値が低くなる。
これに対して,上記の安定剤を用いると,反応中に反応
溶液が着色することがなく,さらにN−置換マレイミド
類の重合によるポリマー状の副生成物の生成など副反応
を生じることがないので,溶媒を留去した段階で,着色
のない高純度のN−置換マレイミド類が得られ,必ずし
も蒸留や再結晶などの精製工程を必要としない。
本発明の方法によれば,N−置換マレイミド類は,例え
は,以下のようにして調製される。
まず,上記有機溶媒中に所定量の,少なくとも1種の上
記酸触媒,および,必要に応じて少なくとも1種の上記
安定剤,を添加し,加熱する。液温を通常50〜200℃,
好ましくは,70〜130℃に昇温し,溶媒を還流させながら
無水マレイン酸および上記1級アミンを所定の割合でか
つ一定速度で連続的に加え,同温度で2〜5時間反応を
行いN−置換マレイミド類を含有する透明な反応溶液を
得る。反応の際,冷媒と共に共沸する水を反応系外へ除
去する。
もしくは,まず,通常50〜200℃,好ましくは70〜130℃
に昇温して還流状態にある上記有機溶媒中に所定量の無
水マレイン酸,上記1級アミン,少なくとも1種の上記
安定剤および少なくとも1種の上記酸触媒を添加し,同
温度で2〜5時間反応を行う。次いで,得られる反応混
合物に,それぞれ一定割合の上記有機溶媒,無水マレイ
ン酸,上記1級アミン,上記安定剤および上記酸触媒を
適当な添加速度で添加しながら引き続き反応を行う。こ
の添加速度に応じた一定速度で,得られた反応混合物
を,連続的に除去して回収する。通常,これを連続的に
別の反応槽に移し,この反応槽中でさらに1〜2時間反
応を行い,N−置換マレイミド類を含有する透明な反応溶
液を得る。反応の際,溶媒と共に共沸する水は反応系外
へ除去する。さらに,別の反応槽に移し反応を行う工程
を複数回繰り返して行っても良い。
このようにして得られた反応溶液を通常の方法により洗
浄し,その後,溶媒を留去し,必要に応じて,更に蒸留
や再結晶などを行うことにより分離精製して,純粋なN
−置換マレイミド類が得られる。
(作用) 本発明で生じる反応は次式に示される。
本発明の方法においては,無水マレイン酸と1級アミン
とがそれぞれほぼ当量の割合で,一定速度で連続的に反
応槽に添加されるので,反応効率が向上し,反応時間が
短縮される。すなわち無水マレイン酸および1級アミン
は添加されると瞬時に脱水閉環してN−置換マレイミド
が生成する。このように,本発明の方法では未反応の無
水マレイン酸や1級アミンの滞留およびN−置換モノマ
レアミド酸の生成は抑制される。したがって,フマル酸
やN−置換モノフマルアミド酸の生成が抑制され,これ
らがコンデンサー並びに還流液の配管に付着して,コン
デンサーや配管が閉塞状態になったり,反応終了後の洗
浄による精製時に反応溶液と酸触媒との界面に堆積して
この界面が不明確になることが防止され,N−置換マレイ
ミドの収率が上がる。さらに,反応時間が短縮されてい
るのでポリマー状副生成物の生成が抑制される。
(実施例) 以下に本発明を実施例についてさらに具体的に述べる
が,本発明はこれらに限定されない。
実施例1 水分離器を備えた還流冷却器,温度計,撹拌装置および
2つの滴下ロート(1)および(2),を備えたフラス
コ(a)に,予めN−フェニルマレイミド173g(1モ
ル),トルエン350g,ジメチルホルムアミド15g,p−トル
エンスルホン酸9.5g,および無水マレイン酸20g(0.2モ
ル)を仕込み,撹拌下において加熱溶解させ反応混合物
とした。次いで,上記反応混合物を115℃に昇温し,溶
媒を還流させた。この中へ,滴下ロート(1)よりアニ
リン93g(1モル)を,滴下ロート(2)より無水マレ
イン酸118g(1.2モル),トルエン350g,ジメチルホルム
アミド15g,およびp−トルエンスルホン酸9.5gの混合物
を,同時に4時間にわたって滴下した。これと同時に,
フラスコ(a)の反応混合物を,水分離器を備えた還流
冷却器,温度計,および撹拌装置を備えたフラスコ
(b)に一定速度で排出することにより,フラスコ
(a)の内容物の量を一定に保った。その後,フラスコ
(b)中で脱水閉環反応を完結させ,得られる反応溶液
を精製工程に移した。この反応の間,生成した水を水分
離器から除去した。上記の工程を繰り返すことにより,
連続的に製造を行うことができる。
上記の反応工程中に,フマル酸およびN−置換モノフマ
ルアミド酸によるコンデンサーの閉塞は見られなかっ
た。
反応後に得られた反応溶液は,鮮やかな淡黄色の透明な
液体であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)による分析の結果,ポリマー状副生成物の生
成は認められず,反応収率99.1%でN−フェニルマレイ
ミドの生成を確認した。
次いで,上記反応溶液を70℃まで冷却し,10%炭酸ナト
リウム水溶液を加えて中和した後,同温度において反応
溶液と等量の水を用いて,洗浄および分液操作を2回繰
り返して行った。次いで,溶媒を減圧下において留去し
て(最終浴温110℃,最終到達減圧度1mmHg),収率98.2
%でN−フェニルマレイミドを得た。
このようにして得たN−フェニルマレイミドは,89〜90
℃の融点を示す淡黄色の固体であり,GPC分析の結果,純
度は99.9%であった。
次に,製造工程において蒸留または再結晶工程が必ずし
も必要でないことを確認するために,上記N−フェニル
マレイミドを減圧蒸留した。その結果,蒸留残渣は認め
られず,蒸留されたN−フェニルマレイミドは,色相,
外観を含めた品質において,未蒸留のものと同等である
ことが確認された。この実施例の結果を,後述の実施例
2〜5,および比較例1,2の結果と共に表に示す。
実施例2 滴下ロート(2)およびフラスコ(a)にそれぞれ亜リ
ン酸0.17gおよび水酸化第二銅0.02gを添加すること以外
は実施例1と同様に行った。
実施例3 亜リン酸の代わりにトリフェニルトリチオフォスファイ
トを,水酸化第二銅の代わりに酢酸銅をそれぞれ用いる
こと以外は実施例2と同様に行った。
実施例4 アニリンの代わりにo−トルイジンを用いること以外は
実施例1と同様に行った。
実施例5 アニリンの代わりにo−クロロアニリンを用いること以
外は実施例1と同様に行った。
比較例1 水分離器を備えた還流冷却器,温度計,撹拌装置および
滴下ロート,を備えたフラスコに,無水マレイン酸118g
(1.2モル),トルエン350g,ジメチルホルムアミド15g,
およびp−トルエンスルホン酸9.5gを仕込み,撹拌下に
おいて加熱溶解させた。次いで,上記混合物を115℃に
昇温し,溶媒を還流させた。この中へ,アニリン93gを
滴下ロートから4時間にわたって滴下した。その後,こ
の混合物を同温度に保ち,1時間放置熟成した。この反応
の間,生成した水を水分離器から除去した。
なお,この反応中に,フマル酸およびN−置換モノフマ
ルアミド酸によるコンデンサーの閉塞が生じたので,コ
ンデンサーを次回の反応に使用するためには清掃するこ
とが必要であった。
反応後に得られた反応溶液は,スラリー状の不溶性副生
成物を含む赤褐色不透明の液体であった。GPCによる分
析の結果,153.8g(反応収率88.9%)のN−フェニルマ
レイミドおよびポリマー状副生成物約7%を含む多数の
含生成物を確認した。次いで,スラリー状の不溶性の副
生成物を濾別した後,実施例1と同様にして濾液を洗
浄,分離して148.3g(収率85.7%)の黄褐色固体を得
た。GPC分析の結果,得られたN−フェニルマレイミド
の純度は94.1%であった。製品化するためにはさらに純
度を上げなければならないので,このN−フェニルマレ
イミドを減圧蒸留して,127.2g(収率73.5%)の純粋な
N−フェニルマレイミドを得た。蒸留残渣にはポリマー
化した黒褐色タール状物質が多量に認められた。
比較例2 フラスコに亜リン酸0.17gおよび水酸化第二銅0.02gをさ
らに添加すること以外は比較例1と同様に行った。
(発明の効果) このように,本発明の方法によれば,フマル酸やN−置
換モノフマルアミド酸の生成が抑制されるので,コンデ
ンサー並びに配管が閉塞することが防止され,N−置換マ
レイミドの収率が上がる。さらに,ポリマー状副反応物
の生成が抑制されており精製工程を簡略化することが可
能である。従って,高純度で色相の良好なN−置換マレ
イミド類を高出率で安価かつ安全に製造することが可能
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07B 61/00 300 (72)発明者 木村 道男 大阪府東大阪市長堂3丁目54番地 株式会 社大八化学工業所内 (72)発明者 横山 直樹 大阪府東大阪市長堂3丁目54番地 株式会 社大八化学工業所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無水マレイン酸と芳香族または脂肪族1級
    アミンとを原料としてN−置換マレイミド類を製造する
    方法であって、 水と共沸可能な有機溶媒および酸触媒を含む混合物を加
    熱して、該有機溶媒を還流させる工程;および 該混合物に、無水マレイン酸と該1級アミンとをそれぞ
    れ所定の割合でかつ一定速度で連続的に添加する工程; を包含するN−置換マレイミド類の製造方法。
  2. 【請求項2】無水マレイン酸と芳香族または脂肪族1級
    アミンとを原料としてN−置換マレイミド類を製造する
    方法であって、 水と共沸可能な有機溶媒、無水マレイン酸、該1級アミ
    ンおよび酸触媒を含む混合物を反応させて得られる反応
    混合物を加熱して、該有機溶媒を還流させる工程;およ
    び 該反応混合物に、それぞれ所定の割合の有機溶媒、無水
    マレイン酸、該1級アミンおよび酸触媒を一定速度で連
    続的に添加し反応させ、同時に反応混合物を添加速度に
    応じた一定速度で連続的に除去し回収する工程; を包含するN−置換マレイミド類の製造方法。
  3. 【請求項3】前記回収した反応混合物をさらに反応させ
    る工程を包含する請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記無水マレイン酸と前記1級アミンとの
    添加割合が、該アミン1.0モルに対して無水マレイン酸
    0.8〜1.5モルである請求項1または2に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記1級アミンが芳香族1級アミンである
    請求項1または2に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記混合物が、さらに少なくとも1種の安
    定剤を含有し、該安定剤が少なくとも1種の、銅化合物
    および/またはリン系化合物である請求項1に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】前記反応混合物が、さらに少なくとも1種
    の安定剤を含有しかつ該反応混合物に、有機溶媒、無水
    マレイン酸、前記1級アミンおよび酸触媒と共に、さら
    に少なくとも1種の該安定剤が所定の割合でかつ一定速
    度で加えられ、該安定剤が少なくとも1種の、銅化合物
    および/またはリン系化合物である請求項2に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】前記銅化合物が有機銅化合物であり、前記
    リン系化合物が下記の式(I)で示される化合物でなる
    群から選択される請求項5または6に記載の方法: P(XR) (I) ここで、Xは、それぞれ独立して酸素原子またはイオウ
    原子であり、Rは、HまたはC1〜C18の脂肪族または芳
    香族炭化水素基である。
  9. 【請求項9】前記リン化合物が下記の式(II)で示され
    る化合物でなる群から選択される請求項7に記載の方
    法: P(SR) (II) ここで、Rは、それぞれ独立してHまたはC1〜C18の脂
    肪族または芳香族の炭化水素基である。
JP2222275A 1990-08-22 1990-08-22 N―置換マレイミド類の製造方法 Expired - Fee Related JPH0774200B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2222275A JPH0774200B2 (ja) 1990-08-22 1990-08-22 N―置換マレイミド類の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2222275A JPH0774200B2 (ja) 1990-08-22 1990-08-22 N―置換マレイミド類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04139166A JPH04139166A (ja) 1992-05-13
JPH0774200B2 true JPH0774200B2 (ja) 1995-08-09

Family

ID=16779824

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2222275A Expired - Fee Related JPH0774200B2 (ja) 1990-08-22 1990-08-22 N―置換マレイミド類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0774200B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3431276A (en) * 1963-10-25 1969-03-04 Ici Ltd Process for producing imide derivatives
JPS62126167A (ja) * 1985-11-28 1987-06-08 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd マレイミド類の移送ならびに貯蔵方法
JPS62143911A (ja) * 1985-12-19 1987-06-27 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd マレイミド類の重合防止方法
JPS6383065A (ja) * 1986-09-25 1988-04-13 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd マレイミド類の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3431276A (en) * 1963-10-25 1969-03-04 Ici Ltd Process for producing imide derivatives
JPS62126167A (ja) * 1985-11-28 1987-06-08 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd マレイミド類の移送ならびに貯蔵方法
JPS62143911A (ja) * 1985-12-19 1987-06-27 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd マレイミド類の重合防止方法
JPS6383065A (ja) * 1986-09-25 1988-04-13 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd マレイミド類の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04139166A (ja) 1992-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4705651A (en) Process for the preparation of diphosphonic acids
EP2373604A2 (en) Production of substituted phenylene aromatic diesters
JP4283436B2 (ja) ホスフィン化合物の製造方法
KR960002272B1 (ko) 이좌배위 리간드 제조방법
DE602004001755T2 (de) Verfahren zur herstellung eines nickel/phosphorligand-katalysators für die olefin-hydrocyanierung
JPH0656773A (ja) N−フェニルマレイミドの製造方法
Steyermark Reactions of Isocyanic Acid with Acid Chlorides. Preparation of Acyl Isocyanates, Isocyanatosilanes, and Phosphor (diisocyanatidites)
JPS615066A (ja) マレイミド類の製造方法
KR910004790B1 (ko) N-치환 말레이미드의 제조방법
KR930000147B1 (ko) 말레이미드류의 제조법
DE102008043582A1 (de) Verfahren zur Herstellung von 6-Chlorodibenzo(d,f) (1,3,2)-dioxaphosphepin
JPH0774200B2 (ja) N―置換マレイミド類の製造方法
JP2669923B2 (ja) N―置換マレイミド類の製造方法
US6504050B1 (en) Process for the preparation of 2-acrylamido-2-methyl-1-propanesulfonic acid
EP0213933B1 (en) Maleimide manufacture
CA1299200C (en) Preparation of diaryl sulfones
CA2018509A1 (en) Preparation process of n-substituted maleimides
KR930005258B1 (ko) 바나듐-아렌의 제조방법
JPH0535141B2 (ja)
CN110418783B (zh) 纯化n-取代马来酰亚胺的方法
EP0906916B1 (en) Process for producing organophosphorus compounds
JP2683404B2 (ja) N―フェニルマレイミド化合物の製造方法
JP4014683B2 (ja) N−置換マレイミド類の製造方法
JPS6160647A (ja) N−置換モノマレイミドの製造方法
JPH0774198B2 (ja) N−置換マレイミド類の精製方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees