JPH0772939B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0772939B2
JPH0772939B2 JP5304784A JP5304784A JPH0772939B2 JP H0772939 B2 JPH0772939 B2 JP H0772939B2 JP 5304784 A JP5304784 A JP 5304784A JP 5304784 A JP5304784 A JP 5304784A JP H0772939 B2 JPH0772939 B2 JP H0772939B2
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康郎 西川
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、磁性金属薄膜を磁気記録層とする磁気記録媒
体に関し、詳しくは改良された保護膜を有する磁気記録
媒体に関する。
[従来技術] オーディオテープ、ビデオテープ等に代表される磁気記
録媒体としては、従来、非磁性支持体上に酸化物磁性粉
末や強磁性合金粉末等の粉末磁性材料を有機バインダー
中に分散させたものを塗布、乾燥させる塗布型のものが
広く使用されて来た。しかし、近年、塗布型の磁気記録
媒体に代わり、金属薄膜型の磁気記録媒体が高密度記録
を実現するものとして注目されている。この金属薄膜型
磁気記録媒体は、支持体上に形成された強磁性金属例え
ばCo−Ni合金の薄膜を磁気記録層とするものである。こ
の型の磁気記録層は、酸化物磁性粉末等に比し飽和磁化
が大きい強磁性金属をバインダーなどを使用しないで形
成されるので、電磁変換特性上非常に有利であり、高密
度記録を実現できるものとして期待される所以である。
しかしながら、金属薄膜型磁気記録媒体についての大き
な問題点は(1)磁気信号の記録再生および消去の過程
において磁気ヘッド、ガイドポール等の部材との摩擦抵
抗が大きく、耐摩耗性がよくないこと、(2)また環境
条件により腐食されること、(3)取扱い中に衝撃的な
力を受けることにより磁気記録層が損傷することなどで
ある。
このため金属薄膜型磁気記録媒体上に保護膜を設ける試
みがなされている。その方法として、潤滑剤を金属薄膜
上に薄く塗る方法(特開昭50−75001号公報)、金属も
しくは金属酸化物等の滑剤保護層を金属薄膜上に形成す
る方法(特開昭53−39708号公報、特開昭53−40505号公
報等)が提案されている。これらの方法はある程度の効
果を奏するが、いずれもその効果は長続きせず、実用的
ではない。
別の方法として、塩化ビニリデンアクリル酸エステル共
重合体等の高分子物質を磁性金属層の上に塗布する方法
(特開昭54−155010号公報)が提案されている。しかし
塗膜の厚さが0.2μm程度と厚くなるためスペーシング
損失が大きく、出力低下の原因となるため高密度記録に
は適さない。
さらに別の方法として、単層の保護膜をプラズマ重合に
より形成する方法が提案されている(特開昭57−135442
号、特開昭58−102330号公報)。この方法によれば、比
較的強靭で磁性金属層への密着性に優れている保護膜を
形成できる。しかも0.1μm以下という極薄の保護膜を
形成できるので、スペーシング損失をほとんどなくすこ
とができるとの利点がある。しかし、これまでのプラズ
マ重合により形成された保護膜は、金属薄膜型磁気記録
媒体の耐損傷性(磁気ヘッド、ガイドポール等との相対
接触運動において、摩擦や機械的衝撃力により損傷に対
する抵抗性)と耐候性(使用環境による腐食に対する抵
抗性)を同時に高めることができなかった。
本発明者らは、プラズマ重合により形成される保護膜の
特長に注目して、その欠点を除去すべく研究を行った。
その結果、詳しくは後述するように、保護膜を基層と表
面層とを有する少なくとも2以上の層からなる多層構造
に形成することにより、耐損傷性と耐候性を兼ね備えた
ものとすることができることを見出し本発明に到達し
た。
[発明の目的] 本発明の目的は、耐損傷性と耐候性に優れた保護膜を有
する金属薄膜型磁気記録媒体を提供することにある。
[発明の構成] 本発明は、非磁性支持体と該支持体上に形成された磁性
金属層と該磁性金属層を被覆する保護膜とからなる磁気
記録媒体において、前記保護膜が磁性金属層に接する密
度0.7g/cm3以上1.5g/cm3以下の基層と、密度1.2g/cm3
上2.2g/cm3以下の表面層とを有するプラズマ重合膜から
なることを特徴とする磁気記録媒体に関する。
本発明における保護膜は、基層および表面層、場合によ
ってはさらに1又は2以上の中間層を備えた構造を有す
る。互いに隣接する2つの層は、異なる化学組成、化学
構造及び/又は異なる密度によって区別される場合のほ
か、化学組成、化学構造も密度も同一であるが両層の間
に存在する仕切りの界面によって区別される場合があ
る。
本発明の保護膜の表面層は密度が0.2g/cm3以上2.2g/cm3
以下であり、好ましくは1.4〜2.2g/cm3である。表面層
の密度が1.2g/cm3未満であると耐損傷性の向上は望めな
い。また、磁性金属層と接する保護膜の基層は、密度が
0.7g/cm3以上1.5g/cm3以下であり、好ましくは0.7g/cm3
以上1.2g/cm3以下である。基層の密度が0.7g/cm3未満で
あると均一な厚さを有する基層の形成が困難であり、1.
5g/cm3を超えると磁性金属層に対する耐候性の効果が不
十分になる。
本発明における保護膜は、上述の表面層と基層を必須と
するが1又は2以上の中間層の存在は任意である。中間
層の密度は特に制限されないが一般に0.7〜1.7g/cm3
範囲である。
保護膜の表面層の厚さは3〜450Åが好ましく、特に50
Åより大きく450Åが好ましい。基層の厚さは10〜450Å
が好ましい。表面層の厚さが3Å未満であると耐損傷性
が不十分であり、基層の厚さが10Å未満であると耐候性
が不十分となる。また保護膜全体としての厚さは500Å
以下が好ましい。500Åを超えるとスペーシング損失が
無視できない程大きくなることがある。
本発明に使用される非磁性支持体の材料としては、例え
ば酢酸セルロース;硝酸セルロース;エチルセルロー
ス;メチルセルロース;ポリアミド;ポリエチルメタク
リレート;ポリテトラフルオルエチレン;ポリトリフル
オルエチレン;エチレン、プロピレンのようなα−オレ
フインの重合体あるいは共重合体;塩化ビニルの重合体
あるいは共重合体;ポリ塩化ビニリデン;ポリカーボネ
ート;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリエチレンテ
レフタレートのようなポリエステル類等がある。
本発明における強磁性金属薄膜は、ベーパーデポジショ
ンあるいはメッキ法により形成される。ベーパーデボジ
ション法とは、不活性ガスあるいは酸素等の気体あるい
は真空空間中において、膜として形成せしめようという
物質又はその化合物を蒸気あるいはイオン化した蒸気と
して発生もしくは導入させて所望の支持体上に膜として
析出させる方法で、真空蒸着法、スパツタリング法、イ
オンプレーテング法、イオンビームデポジション法、化
学気相メッキ法等がこれに相当する。またメッキ法とは
電気メッキあるいは無電解メッキ法等の液相より支持体
上に物質を膜として形成する方法を言う。強磁性金属薄
膜の材料としては、Fe、Co、Niその他の強磁性金属ある
いはこれらの合金、さらにFe−Si、Fe−Rh、Fe−V、Fe
−Ti、Co−P、Co−B、Co−Si、Co−V、Co−Y、Co−
Sm、Co−Mn、Co−Ni−P、Co−Ni−B、Co−Cr、Co−Ni
−Cr、Co−Ni−Ag、Co−Ni−Pd、Co−Ni−Zn、Co−Cu、
Co−Ni−Cu、Co−W、Co−Ni−W、Co−Mn−P、Co−Sm
−Cu、Co−Ni−Zn−P、Co−V−Cr等が用いられる。特
に好ましくは、強磁性薄膜はCoを50wt%以上含有する。
本発明による磁気記録媒体の強磁性薄膜の膜厚は一般に
は0.02μm〜5μm、好ましくは0.05μm〜2μmであ
る。支持体の厚さは4μm〜50μmが好ましい。強磁性
薄膜の密着向上、磁気特性の改良のために支持体上に下
地層を設けてもいい。支持体の磁性層と反対側にバック
コート層を設けてもよい。
本発明における保護膜の形成に用いられるモノマーはプ
ラズマ重合により皮膜を形成し得る化合物であればほと
んど使用することができる。このようなモノマー化合物
には、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペ
ンタン、オクタン、シクロヘキサン等の線状もしくは環
状の飽和炭化水素;エチレン、プロピレン、ブタジエ
ン、ベンゼン、スチレン、アセチレン、アレン等の二重
結合もしくは三重結合を含む不飽和炭化水素;アリルア
ミン、メチルアミン、エチルアミン、ピリジン、ピコリ
ン、アクリルアミド等の含窒素有機化合物;二硫化炭
素、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン等の含イ
オウ有機化合物;モノメチルシラン、ジメチルシラン、
トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジアリルシラ
ン、ジアリルジメチルシラン、モノフルオロシラン、ジ
フルオロシラン、トリフルオロシラン、テトラフルオロ
シラン、プロピルメチルジビニルシラン、オクチルシラ
ン、ジビニルテトラメチルジシラン、ビスジメチルシリ
ルベンゼン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のケ
イ素化合物;モノフルオロメタン、ジフルオロメタン、
トリフルオロメタン、テトラフルオロメタン、モノフル
オロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチ
レン、テトラフルオロエチレン、モノフルオロエタン、
ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオ
ロエタン、ペンタフルオロエタン、ヘキサフルオロエタ
ン、モノフルオロプロピレン、ジフルオロプロピレン、
トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、
ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレ
ン、モノフルオロブタジエン、ジフルオロブタジエン、
トリフルオロブタジエン、テトラフルオロブタジエン、
ペンタフルオロブタジエン、ヘキサフルオロブタジエ
ン、モノクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメ
タン、テトラクロロメタン、モノクロロエチレン、ジク
ロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチ
レン、モノクロロプロピレン、ジクロロプロピレン、ト
リクロロプロピレン、テトラクロロプロピレン、ペンタ
クロロプロピレン、ヘキサクロロプロピレン、モノクロ
ロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラ
クロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタ
ン、モノクロロブタジエン、ジクロロブタジエン、トリ
クロロブタジエン、テトラクロロブタジエン、ペンタク
ロロブタジエン、ヘキサクロロブタジエン、トリクロロ
トリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素及びこれら
モノマー化合物の混合物がある。これらのうち、テトラ
フルオロメタン、ヘキサフルオロエタン、テトラクロロ
メタン、ヘキサクロロエタン、テトラフルオロシラン、
トリクロロトリフルオロエタン等は専ら他のモノマーと
の混合物として使用される。
なお、上記のモノマーをプラズマ重合に供する時は、ト
リフルオロホウ素、ホウ化水素、水素、窒素、酸素、一
酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア等のような軽い元素
によって分子が構成されているガスや、アルゴン、ヘリ
ウム、キセノン等の不活性ガスを前記モノマーに混合し
てもよい。
本発明において保護膜の基層の形成に用いられる好まし
いモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブタジエ
ン、ベンゼン、スチレン、アセチレン、アレン、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、オクタン、
シクロヘキサン、モノメチルシラン、ジメチルシラン、
トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジアリルシラ
ン、ジアリルジメチルシラン、モノフルオロシラン、ジ
フルオロシラン、トリフルオロシラン、プロピルメチル
ジビニルシラン、オクチルシラン、ジビニルテトラメチ
ルジシラン、ビスジメチルシリルベンゼン、デカメチル
シクロペンタシロキサン、モノフルオロメタン、ジフル
オロメタン、トリフルオロメタンおよびこれらの混合ガ
ス、並びにこれらの1種以上とテトラフロオロシランお
よび/またはテトラフルオロメタンとの混合ガスであ
る。特に好ましくは、プロピレン、ブタジエン、ベンゼ
ン、スチレン、メタン、エタン、プロパン、ブタン、オ
クタン、シクロヘキサン、ジアリルシラン、ジアリルシ
ラン、ジアリルジメチルシラン、ジビニルテトラメチル
ジシラン、プロピルンメチルジビニルシラン、モノフル
オロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタンお
よびこれらの混合ガス、並びにこれらの1種以上とテト
ラフルオロメタンおよび/またはテトラフルオロシラン
との混合ガスである。
本発明において保護膜の表面層の形成に用いられる好ま
しいモノマーとしては、メタン、エタン、プロパン、ブ
タン、エチレン、モノメチルシラン、ジメチルシラン、
トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジアリルシラ
ン、モノフルオロシラン、ジフルオロシラン、トリフル
オロシラン、モノフルオロメタン、ジフルオロメタン、
トリフルオロメタン、モノフルオロエチレン、ジフルオ
ロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエ
チレン、モノフルオロエタン、ジフルオロエタン、トリ
フルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオ
ロエタン、モノフルオロプロピレン、ジフルオロプロプ
レン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピ
レン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロ
ピレン、モノフルオロブタジエン、ジフルオロブタジエ
ン、トリフルオロブタジエン、テトラフルオロブタジエ
ン、ペンタフルオロブタジエン、ヘキサフルオロブタジ
エン、モノクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロ
メタン、モノクロロエチレン、ジクロロエチレン、トリ
クロロエチレン、テトラクロロエチレン、モノクロロプ
ロピレン、ジクロロプロピレン、トリクロロプロピレ
ン、テトラクロロプロピレン、ペンタクロロプロピレ
ン、ヘキサクロロプロピレン、モノクロロエタン、ジク
ロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、
ペンタクロロエタン、モノクロロブタジエン、ジクロロ
ブタジエン、トリクロロブタジエン、テトラクロロブタ
ジエン、ペンタクロロブタジエン、ヘキサクロロブタジ
エン、モノメチルシラン、ジメチルシラン、トリメチル
シラン、テトラメチルシラン、ジアリルシラン、ジアリ
ルジメチルシラン、モノフルオロシラン、ジフルオロシ
ラン、トリフルオロシラン、プロピルメチルジビニルシ
ラン、オクチルシラン、ジビニルテトラメチルジシラ
ン、ビスジメチルシリルベンゼン、デカメチルシクロペ
ンタシロキサンおよびこれらの混合ガス、並びにこれら
の1種以上とテトラフルオロメタン、ヘキサフルオロエ
タン、テトラクロロメタン、ヘキサクロロエタン、テト
ラフルオロシランおよびトリクロロトリフルオロエタン
の1種以上との混合ガスがある。特に好ましくは、メタ
ン、エタン、プロパン、エチレン、モノメチルシラン、
ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラ
ン、ジフルオロエチレン、モノフルオロメタン、ジフル
オロメタン、トリフルオロメタン、モノフルオロシラ
ン、ジフルオロシラン、トリフルオロシラン、オクチル
シラン、デカメチルシクロペンタシロキサンおよびこれ
らの混合ガス、並びにこれらの1種以上とテトラフルオ
ロメタンおよび/またはテトラフルオロシランとの混合
ガスである。
本発明の保護膜形成に用いるプラズマの発生法には制限
がなく、例えば平行平板電極を使用した直流プラズマ、
低周波プラズマ、高周波プラズマ;誘導型電極(コイ
ル)を使用した高周波プラズマ、さらにマイクロ波プラ
ズマを使用することができる。
本発明において保護膜の基層の形成における好ましいプ
ラズマ重合条件は、圧力が20ミリトール〜1トール、エ
ネルギー密度(印加した電力をプラズマ領域の体積(例
えば、平行平板型電極を使用した場合は電極間容積)で
除した値)が2〜400mW/cm3であり、特に好ましいプラ
ズマ重合条件は、圧力が20〜100ミリトールエネルギー
密度が2〜200mW/cm3である。
本発明において保護膜の表面層の形成における好ましい
プラズマ重合条件は、圧力が20ミリトール〜1トール、
エネルギー密度が20〜600mW/cm3であり、特に好ましい
プラズマ重合条件は、圧力が20〜100ミリトール、エネ
ルギー密度が40〜400mW/cm3である。
本発明の複数層からなる保護膜を実際に形成する方法と
しては種々の方法を用いることができる。例えば、各層
を別々の反応装置において異なる組成のモノマーガスを
使用して形成してもよい。この場合、化学組成の異なる
複数の層が形成される。単一組成のモノマーガスを使用
するが、反応室内に設けたエネルギー密度の異なる2以
上のプラズマ領域を、磁性金属薄膜を形成した支持体を
通過させてもよい。この場合、化学構造及び/又は密度
が異なる複数の層が形成される。さらに、差動排気室を
介して隣接した別々の反応室に異なる組成のモノマーガ
スのプラズマを生起させ、磁性金属薄膜を設けた支持体
を順次通過させてもよい。この場合、通常、化学組成と
密度の異なる複数の層が形成される。さらにまた、一つ
のプラズマ重合層を形成後に被処理支持体を一旦酸素、
空気等に暴露してプラズマ重合層表面を変性し、その後
に同一のモノマーガス、同一重合条件で、プラズマ重合
層を重ねて形成してもよい。この場合、同一化学組成、
同一化学構造、同一密度であるが変性された界面により
仕切られた複数の層が形成される。
本発明における保護膜の厚さの測定は、例えばエリプソ
メータを用いて行うことができる。また保護膜の各構成
層の厚さと密度は、例えば表面層をエッチングにより除
去し、表面層の除去前後の試料の重量差と保護膜の厚さ
の差から求めることができる。ある層をその直下の層と
の境界面までエッチングするには、保護膜をESCAスペク
トルを監視しながらアルゴンイオンビームなどでエッチ
ングを行えばよい。ESCAスペクトルの変化から上層の除
去を確認することができる。すなわち、(1)上層とそ
のすぐ下の層の化学組成つまり構成元素の種類が異なる
場合には、その異なる元素についてのスペクトルの変化
からエッチングの終点つまり上層が除去されたことを知
ることができる。例えば、上層がフッ素原子を含み下層
がこれを含まない場合には、エッチングの進行に伴って
F1S電子の検出ピークは次第に小さくなり、終には検出
できなくなる。ピーク面積がエッチング前の面積の1/e
(約1/2.7)となった段階を終点とすると非常によい近
似が得られる。(2)上層と下層の構成元素が同じであ
るが両層の化学構造や密度が異なる場合には、特性元素
の特性電子のピークの位置と形状(半値幅)の変化から
終点を知ることができる。例えば、両層に炭素が含まれ
ている場合、両層におけるC1Sピークの半値幅が相違す
るのでエッチングの進行によって検出ピークの半値幅が
変化(増加又は減少)するが、変化しなくなった時点を
上層のエッチングの終点とすることができる。(3)上
層と下層が化学組成も密度も同一であって、境界に例え
ば酸化変性された界面が存在する場合には、O1S電子の
ピークとC1S電子のピークの比(O1S/C1S)が極大値を示
すことにより、上層のエッチングの終点を確認すること
ができる。
上記の方法は既に作製された複数層からなる保護膜の各
層の厚さを調べる方法であるが、製造段階においては、
例えばシリコンウェーハ上にプラズマ重合層を製造条件
と同一条件で形成する毎にエリプソメータで層の厚さを
測定すれば各層の厚さを求めることができる。
本発明の磁気記録媒体の形状は、テープ、シート、カー
ド、ディスク等種々あり得るが、通常はテープである。
[実施例] 次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明
の範囲はこれらの実施例により制約されるものではな
い。
実施例1 本実施例で使用した反応装置の概略を図1に示す。内容
積2000の反応容器1内には2組の平行平板型電極2及
び3(いずれも50cm×50cmのステンレス平板;平板間隔
10cm)が配置されている。支持体テープの上に予め磁性
金属薄膜が形成されている幅10cmの被処理テープ4がロ
ール5から送り出され、2組の電極2、3の極板間を通
ってロール6へ巻きとられるようになっている。各電極
には交流電力(10KHz)が電源7、8から供給される。
プラズマ重合中のテープ4近傍におけるプラズマの電子
温度は、特開昭54−135574号公報記載の方法、即ち熱探
針を使用する二探針法により測定され、制御される。そ
のための探針9が極板間に配置されている。反応容器1
の一偶には排気管10が接続され、他の一偶にはモノマー
ガス供給管11が接続されていて、それぞれに流量調節の
ためのバルブ(図示略)が備わっている。また、容器1
の側壁には圧力計(図示略)が備わっていて、内部のガ
ス圧を測定して所望の値に調節できるようになってい
る。この装置の運転に際しては、排気管10により反応容
器内を排気後、モノマーガスを供給管11から所望の流量
となるように導入する。内部のガス圧を排気速度を調節
することにより調整し、電極に電力を供給してプラズマ
を発生させ、重合反応を行わせる。
幅10cm、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィ
ルム表面にCo−Ni(Ni分20重量%)からなる磁性金属薄
膜(厚さ1000Åを予め斜め蒸着したテープ表面に次の条
件で保護膜を形成した。
モノマーガスとしてブタンを使用し、反応容器1への供
給流量を200cc(STP)/minに保ち、プラズマ重合時の圧
力を50ミリトールに調節した。電極2への供給電力は2k
Wの交流電力、電極3への供給電力は10kWの交流電力で
あった。重合時のプラズマの電子温度は、電極2の側で
は1.5×104〜2.5×104Kで、電極3の側では5.5×104
6.5×104Kであった。被処理テープの送行速度は200cm/m
inに調節した。その結果、厚さ80Åの基層と厚さ120Å
の表面層とからなるプラズマ重合体の保護膜がテープの
磁性金属薄膜上に形成された磁気記録媒体が得られた。
基層の密度が1.0g/cm3で表面層の密度が1.6g/cm3であっ
た。得られた磁気記録媒体の耐損傷性、耐候性および保
護膜の磁性金属薄膜への接着強度を以下の評価方法で測
定し、その結果を表1に示す。又保護膜の表面層および
基層の厚さ、密度の測定方法も以下に示す。
(1)耐損傷性 作製した磁気記録媒体を1/2インチ幅に裁断して試料と
し、家庭用VTR(松下電器産業製、NV−8200)を用い
て、標準モードで5分間の走行を300回にわたってくり
返し(Play状態)、しかる後に試料の表面をルーペで観
察し、長さ1/2インチ以上の傷の数を数えた。測定条件
は23℃、70%RH。
(2)耐候性 作製した磁気記録媒体の試料を50℃、90%RHで一週間保
存した後、顕微鏡で表面を観察した。変色した領域の面
積の全表面に占める割合を百分率で表して評価した。
(3)保護膜の接着強度 図2に示すように、作製した磁気記録媒体の試料12の両
面に、底面積1cm3の円柱型治具13で把手14を有するもの
を試料12を挟むようにエポキシ樹脂(2液反応性、セメ
ダイン(株)製セメダインスーパー)で接着させた。把
手14を反対方向に引張る試験を行ない、試料の破壊が起
った位置と破壊に要した力即ち接着強度を調べた。破壊
が支持体のポリエチレンテレフタレートフィルムと磁性
金属薄膜の間で起った場合には肉眼で観察した。破壊が
磁性金属薄膜と保護膜の間で起った場合は、電子スペク
トル分析(ESCA)により確認した。これは、磁性金属薄
膜がプラズマ重合体の保護膜で完全に覆われているとCo
が検出されず、保護膜が部分的にでも破壊され除かれて
いる場合はCoが検出されることを利用したものである。
(4)各層の厚さと密度 各層の厚さと密度は前述の方法により求めた。使用した
装置は、アルゴンビームエッチング装置が装着されてい
るESCA(X線光電子分光法)装置(島津製作所製、ESCA
750)、超高精度天びん(AHN 、Recording Microbala
nce Chan 1000)、およびエリプソメータ(GAERTNE
R 、エリプソメータ L 117型)である。表面層の場合
を例に説明する。作製した磁気記録テープを直径1cmの
円形試料に切断し、天びんにより重量を精秤した。ま
た、エリプソメータで試料の保護膜全体の厚さ(光学的
厚さ)を測定した。試料をESCA装置に取付け、ESCAの測
定とアルゴンイオンビームエッチングを繰り返して表面
層のみ除去した後、再び試料の重量測定と保護膜の厚さ
を同様に測定した。エッチング前後の差から表面層の重
量と厚さを求めた。試料の表面積から表面層の重量厚さ
(重量/面積)を計算し、これを厚さ(光学的厚さ)で
除すことにより表面層の密度を求めた。
実施例2、3;比較例1〜3 実施例1において、電極2又は電極3に供給する交流電
力を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様の方
法で磁気記録媒体を作製し、該磁気記録媒体の性能を評
価した。
その結果を表1に示す。
実施例4 図3に示す装置を用いてプラズマ重合体の保護膜を磁性
金属薄膜上に形成した。この装置は内容積30の第1反
応室15、差動排気室16及び内容積30の第2反応室17か
らなり、各室の間は隔壁18、19により隔てられている。
第1反応室15にはモノマー導入管20と排気管21が設けら
れ、第2反応室17にも同様にモノマー導入管22と排気管
23が設けられている。差動排気室16には差動排気を行う
ための排気管24が設けられている。第1及び第2の反応
室15、17にはそれぞれ平行平板電極25及び26(いずれ
も、10cm×10cm正方形のステンレス板、間隔5cm)が配
置されていて、それぞれにプラズマ励起用高周波電源27
及び28が接続されている。予め磁性金属層が表面に形成
された幅5cmの被処理テープ29が、第1反応室のロール3
0に巻かれていて、電極25の極板間を通って、隔壁18に
開けられたスリット31、差動排気室16、隔壁19に開けら
れたスリット32を通過し、第2反応室の電極26の極板間
を通ってロール33に巻き取られるように送行される。装
置の運転時には、電極25におけるプラズマ重合反応によ
りテープ29の磁性金属薄膜上に保護膜の基層が形成さ
れ、その上に電極26におけるプラズマ重合反応により保
護膜の表面層が形成される。装置の運転に際しては、図
1の装置について説明したように、各反応室を排気後、
モノマーガス導入管から所望流量のモノマーガスを導入
し、内部のガス圧は排気速度の変化により調節し、電極
に電力を供給してプラズマを発生させ、重合反応を行わ
せる。反応室の圧力は圧力形(図示略)で測定して制御
する。また重合中のプラズマの電子温度は図1の装置と
同様に熱探針を使用して行う。差動排気室16の排気は、
両反応室のガスが各反応室において混合しないように適
度に行う。
さて、本実施例においてプラズマ重合は次の条件で行っ
た。第1反応室に供給するモノマーガス(以下、モノマ
ーガス(1)という)としてブタジエンを使用し、その
流量は2cc(STP)/min、ガス圧は50ミリトールであっ
た。電極25への印加電力は40Wであった。また、第2反
応室に供給するモノマーガス(以下、モノマーガス
(2)という)としてメタンを使用し、その流量は1cc
(STP)/min、ガス圧は50ミリトールであり、電極26へ
の印加電力は100Wであった。使用した被処理テープは実
施例1で使用したものと同じもので、その送行速度を20
cm/minとすることにより、保護膜の基層として厚さ100
Å、密度0.9g/cm3のブタジエンプラズマ重合膜を形成
し、その上に厚さ70Å、密度1.5g/cm3のメタンプラズマ
重合膜を形成し、磁気記録媒体が得られた。該磁気記録
媒体の性能を実施例1と同様な方法で評価し、その結果
を表2に示す。
実施例5〜7、比較例4、5 実施例4において第1反応室に供給するモノマーガス
(1)および/または第2反応室に供給するモノマーガ
ス(2)を表2に示すように変えた以外は実施例4と同
様にして磁気記録媒体を作製した。得られた磁気記録媒
体の保護膜の厚さおよび密度、性能の評価結果を表2に
示す。
比較例6〜8 実施例4において、第1反応室に供給するモノマーガス
(1)を表2に示すように変え、第2反応室にはモノマ
ーガス(2)を供給せず、(すなわち第2反応室ではプ
ラズマ重合が行なわれない。)および被処理テープの送
行速度を変えた以外は実施例4と同様にして磁気記録媒
体を作製した。得られた磁気記録媒体の保護膜の厚さお
よび密度、性能の評価結果を表2に示す。なお、被処理
テープの送行速度は12cm/min(比較例6)、11cm/min
(比較例7)および9cm/min(比較例8)である。
実施例8 第3図の装置において第1反応室のみを用い、表2に示
すモノマーを用いて実施例4におけるプラズマ重合条件
で基層を形成したのち、第1反応室に空気を導入し、被
処理テープを10分間大気中に保った。そして再度第1反
応室のみを用い、基層形成時と同一条件のプラズマ重合
を行い表面層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
得られた磁気記録媒体の保護膜の厚さおよび密度、性能
の評価結果を表2に示す。
[発明の効果] 以上の表1および表2より明らかなように、本発明の磁
気記録媒体は、従来のプラズマ重合により形成された単
層の保護膜を有する磁気記録媒体と比較して、特に耐損
傷性及び耐候性において優れた性能を有することがわか
る。
【図面の簡単な説明】
図1はプラズマ重合による磁気記録媒体の保護膜形成に
使用する装置を示し、図3は別の装置を示す。図2は、
保護膜の接着強度評価試験の説明図である。 2、3、25、26……電極 4、29……磁性金属薄膜を表面に形成した支持体テープ 7、8、27、28……電源 9……熱探針 12……磁気記録媒体試料 15……第1反応室 16……差動排気室 17……第2反応室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新海 正浩 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (72)発明者 西川 康郎 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 (72)発明者 沖田 務 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 (72)発明者 向田 可人 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体と該支持体上に形成された磁
    性金属薄膜と該磁性金属薄膜を被覆する保護膜とからな
    る磁気記録媒体において、前記保護膜が磁性金属薄膜に
    接する密度0.7g/cm3以上1.5g/cm3以下の基層と、密度1.
    2g/cm3以上2.2g/cm3以下の表面層とを有するプラズマ重
    合膜からなることを特徴とする磁気記録媒体。
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