JPH0772157B2 - ベンジルアルコール誘導体及びこれを有効成分とするpge2産生抑制剤並びにngf産生誘導剤 - Google Patents
ベンジルアルコール誘導体及びこれを有効成分とするpge2産生抑制剤並びにngf産生誘導剤Info
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Description
e)、サンゴハリタケ属(Hericium)のキノコであるヤマブ
シタケ(Hericium erinaceum)の子実体中に存在するベン
ジルアルコール誘導体及びこれを有効成分とするPGE
2(プロスタグランジンE2)産生抑制剤並びにNGF
(神経成長因子)産生誘導剤に関する。
薬剤効果について複数の報告がある。例えばサルノコシ
カケ科のキノコであるカワラタケ(Polyporus versicolo
r)にはエルゴステロール誘導体が含まれており、該エル
ゴステロール誘導体には肝臓癌細胞に対する殺細胞効果
のあることがテトラヘドロン(Tetrahedron) 39,27
79〜2785(1983)に報告されている。
ケ(Agaricusblazei)にもエルゴステロール誘導体が含ま
れており、該エルゴステロール誘導体には子宮頸癌細胞
に対する殺細胞効果のあることがフィトケミストリ(Phy
tochemistry) 27、2777〜2789(1988)
に報告されている。
報、特開昭55−71702号公報、特開昭58−62
118号公報等にも報告されている。
ケにはフタリド誘導体及びイソインドリノン誘導体が含
まれており、該フタリド誘導体及び該イソインドリノン
誘導体には子宮頸癌細胞に対する殺細胞効果のあること
がテトラヘドロン(Tetrahedron) 3,373〜376
(1990)に報告されている。
に含まれる他の化合物及びその薬剤効果については報告
がない。
叙上の如き実情に鑑み、ヤマブシタケに含まれる他の化
合物及びその薬剤効果について鋭意研究した結果、ヤマ
ブシタケには特定の化学構造から成る新規のベンジルア
ルコール誘導体が含まれており、該ベンジルアルコール
誘導体にはPGE2産生抑制効果及びNGF産生誘導効
果のあることを見出した。
ベンジルアルコール誘導体、及び該ベンジルアルコール
誘導体を有効成分とするPGE2産生抑制剤並びにNG
F産生誘導剤に係る。
基、ステアリン酸残基又はリノール酸残基]
はヤマブシタケの子実体を次のように処理することによ
って得られる。先ず、ヤマブシタケの生或いは乾燥子実
体を水及び有機溶媒の均一系で抽出処理し、濾過や遠心
分離等で固液分離したその抽出液から有機溶媒を蒸発し
て水相を得る。この場合、水及び有機溶媒の均一系とし
ては、80〜85%メタノールやエタノール、85%ア
セトン等がある。抽出は通常室温で行なうが、加熱還流
してもよく、抽出時間は通常1〜72時間である。例え
ば、85%エタノール中にヤマブシタケの生子実体を加
え、ホモジナイズ処理し、これを室温で一昼夜放置した
後、濾過して抽出液を得、該抽出液を減圧下に40〜4
5℃で加熱してエタノールを蒸発することにより水相を
得るのである。
液液分配抽出処理して有機溶媒層を分取し、該有機溶媒
層から有機溶媒を蒸発して乾固物を得る。この場合、有
機溶媒としては、クロロホルム、酢酸エチル、ジエチル
エーテル等があるが、収率の点でクロロホルムが好まし
い。例えば、上記水相にクロロホルムを加え、振盪後、
放置して分層したクロロホルム層を分取し、該クロロホ
ルム層を減圧下に40〜45℃で加熱してクロロホルム
を蒸発することにより乾固物を得るのである。
剤及びNGF産生誘導剤として有効なものであるが、該
乾固物から不純物を除去してそのPGE2産生抑制効果
及びNGF産生誘導効果を高めるために、該乾固物をク
ロマト分画処理するのが好ましく、クロマト分画処理し
たものを更に再分画処理して単離するのがより好まし
い。この場合、詳しくは実施例で後述するように、ヘキ
サン、クロロホルム、クロロホルム/アセトン等を展開
溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィー或いは
薄層クロマトグラフィーを用いてクロマト分画処理する
ことができ、またODSカラムを用いた高速液体クロマ
トグラフィーで再分画処理することができる。
れる化合物の物理化学的性質及び構造解析結果は下記の
通りである。
チン酸残基である場合の化合物(以下、これをヘリセノ
ンCという)。 (1) 分子量:570 (2) 赤外線吸収スペクトル:1730,1720,1620cm-1 (3) 核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR):0.88(t,J=0.88),
1.25(m), 1.61(m),1.78(s), 1.84(s), 2.12(s), 2.33(d
d,J=7.70,7.32), 3.01(s),3.40(d,J=7.33), 3.91(s),
5.32(s), 5.32(t,J=7.33), 6.09(s),6.53(s), 10.11
(s), 12.38(s) (4) 溶媒に対する溶解性:酢酸エチル、クロロホルム、
ヘキサンに可溶、メタノール、エタノールにやや可溶、
水に不溶 (5) 呈色反応:フォーリン反応陽性 (6) 塩基性、中性、酸性の区別:酸性物質 (7) 色及び形状:白色結晶(融点39℃)
リン酸残基である場合の化合物(以下、これをヘリセノ
ンDという)。 (1) 分子量:598 (2)〜(6)の赤外線吸収スペクトル〜塩基性、中性、酸性
の区別:ヘリセノンCの場合と同じ (7) 色及び形状:白色結晶(融点42℃)
ル酸残基である場合の化合物(以下、これをヘリセノン
Eという)。 (1) 分子量:594 (2) 赤外線吸収スペクトル:ヘリセノンCの場合と同じ (3) 核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR):0.86(t,J=6.96),
1.27(m), 1.62(m),1.78(s), 1.84(s), 2.04(m), 2.12
(s), 2.33(dd,J=7.69,7.33),2.78(dd,J=6.60,5.87), 3.
01(s), 3.40(d,J=7.32), 3.91(s), 5.32(s),5.32(t,J=
7.32), 5.34(m), 6.09(s), 6.53(s), 10.11(s), 12.38
(s) (4)〜(6)の溶媒に対する溶解性〜塩基性、中性、酸性の
区別:ヘリセノンCの場合と同じ (7) 色及び形状:無色油状
ら、単離される化合物は式1で示されるベンジルアルコ
ール誘導体であり、このうちヘリセノンCは4−
(3’,7’−ジメチル−5’−オキソ−2’,6’−
オクタジエニル)−2−ホルミル−3−ヒドロキシ−5
−メトキシベンジルパルミテート、またヘリセノンDは
4−(3’,7’−ジメチル−5’−オキソ−2’,
6’−オクタジエニル)−2−ホルミル−3−ヒドロキ
シ−5−メトキシベンジルステアレート、そしてヘリセ
ノンEは4−(3’,7’−ジメチル−5’−オキソ−
2’,6’−オクタジエニル)−2−ホルミル−3−ヒ
ドロキシ−5−メトキシベンジルリノレートであること
が決定された。
ノンC〜EにはPGE2産生抑制効果及びNGF産生誘
導効果があり、また実施例を省略するが、ヘリセノンE
にはアラキドン酸遊離抑制効果がある。PGE2産生抑
制効果を有する化合物は抗炎症剤及び鎮痛剤としての利
用が注目されており、またNGF産生誘導効果を有する
化合物は老人性痴呆症治療剤としての利用が注目されて
いる。
タノール6リットルにヤマブシタケの生子実体7.3Kg
を加え、ホモジナイズ処理し、これを室温で一昼夜放置
した後、濾過して抽出液を得た。残渣に85%エタノー
ル4リットルを加え、同様に抽出処理を行なって抽出液
を得、これを1回目の抽出液と合わせた。そして合わせ
た抽出液を減圧下に40〜45℃で加熱してエタノール
を蒸発することにより水相を得た。
え、振盪後、放置して分層したクロロホルム層を分取し
た。残渣にクロロホルム1リットルを加え、同様に液液
分配抽出処理を行なってクロロホルム層を分取し、1回
目のクロロホルム層と合わせた。合わせたクロロホルム
層を減圧下に40〜45℃で加熱してクロロホルムを蒸
発し、更にデシケータで乾燥して、乾固物4.99gを
得た。
ルC−200(和光純薬社製)を用いてカラムクロマト
グラフィーを行なった。この際、展開溶媒として、順次
極性が大きくなるように、ヘキサン→クロロホルム→ク
ロロホルム/アセトン(8/2)を各60ml用い、10
mlの画分を合計18画分得た。このうちの第3及び4画
分をODSカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー
に供した後、メタノール/水(95/5)で再分画処理
を行ない、この際の溶出時間のズレにより合計6グルー
プを得、このうちの第1グループからヘリセノンCを5
2.1mg、また第2グループからヘリセノンDを51.
4mg、そして第3グループからヘリセノンEを6.2mg
単離した。
果: 1)ラット腹腔内マクロファージの調製、2)ヘリセノ
ンC〜Eを含むメディウム中での培養(20時間)、
3)TPAを含むメディウム中でのマクロファージの培
養(4時間後にサンプリング)を大内らの方法( Biochi
m. Biophys. Acta,1013, 86〜91, 1989 )にしたがい行
った後、マクロファージが産生したPGE2について二
抗体法によるラジオイムノアッセイ(RIA)を行っ
た。そして化合物を投与しないで培養した対照群のPG
E2産生量とヘリセノンC、ヘリセノンD、又はヘリセ
ノンEを各25μg/mlの濃度となるように投与したメデ
ィウム中で培養した群のPGE2産生量との間でt検定
を行った。その結果、対照群に対してヘリセノンC、ヘ
リセノンD、又はヘリセノンEを投与した各群はいずれ
も0.1%の危険率でPGE2産生を有意に抑制した。
尚、上記大内らの方法では3)の培養時に薬物をTPA
と同時に投与しているが、この実施例では2)の培養時
に薬物投与を行った。
古川らの方法( Biochemical and Biophysical Research
Communications 136,57〜63, 1986 )にしたがい、胎生
後期(19日令)ラット皮質初代アストログリア細胞を
培養器に10%牛胎仔血清を含むダルベッコ変法イーグ
ル培地(DMEM)で培養(1〜2週間、3日毎に培地
を交換)し、コンフルエントに達したところで、0.5
%牛血清アルブミンを含むDMEMに変えて数日培養し
た。ここへ、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解
したヘリセノンC、ヘリセノンD又はヘリセノンEを所
定濃度となるよう、0.5%牛血清アルブミンを含むD
MEM中にて調整し、投与した。24時間の培養後、培
養液を集め、古川らの方法( Journal of Neurochemistr
y, 40, 734〜744, 1983 )によるエンザイムイムノアッ
セイ法でNGF濃度を測定した。薬物を投与しないで培
養した対照群とヘリセノンC、ヘリセノンD又はヘリセ
ノンEを各15μg/ml投与して培養した群との間でt検
定を行った。その結果、投与した各群はいずれも1%の
危険率で有効と有意検定された。
明に係る新規のベンジルアルコール誘導体にはPGE2
産生抑制剤及びNGF産生誘導剤として有効という効果
がある。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記の式1で示されるベンジルアルコー
ル誘導体。 【式1】 [但し、Rはカルボキシル基を除いた、パルミチン酸残
基、ステアリン酸残基又はリノール酸残基] - 【請求項2】 請求項1記載のベンジルアルコール誘導
体を有効成分とするPGE2産生抑制剤。 - 【請求項3】 請求項1記載のベンジルアルコール誘導
体を有効成分とするNGF産生誘導剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3048928A JPH0772157B2 (ja) | 1991-02-21 | 1991-02-21 | ベンジルアルコール誘導体及びこれを有効成分とするpge2産生抑制剤並びにngf産生誘導剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3048928A JPH0772157B2 (ja) | 1991-02-21 | 1991-02-21 | ベンジルアルコール誘導体及びこれを有効成分とするpge2産生抑制剤並びにngf産生誘導剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04266848A JPH04266848A (ja) | 1992-09-22 |
JPH0772157B2 true JPH0772157B2 (ja) | 1995-08-02 |
Family
ID=12816926
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3048928A Expired - Fee Related JPH0772157B2 (ja) | 1991-02-21 | 1991-02-21 | ベンジルアルコール誘導体及びこれを有効成分とするpge2産生抑制剤並びにngf産生誘導剤 |
Country Status (1)
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JP7367959B2 (ja) * | 2019-07-22 | 2023-10-24 | 国立大学法人九州大学 | 脳由来神経栄養因子産生促進剤、神経成長因子産生促進剤、酸化ストレス抑制剤及びそれらの使用 |
-
1991
- 1991-02-21 JP JP3048928A patent/JPH0772157B2/ja not_active Expired - Fee Related
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