JPH0771725A - 無酸化炉用ガスバーナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バーナ中心の裁頭円錐型のガスノズルチップ
に沿って補助空気ノズルより空気を噴出して空気の速度
境界層を形成し完全燃焼可能とする。 【構成】 ガスノズルチップ３の先端部を空気を中心で
収束させて速度境界層Ａを形成するようにバーナの軸線
と所定傾斜角θとするとともにガスノズル４より先端ま
でを所要の長さＬとした裁頭円錐型に形成し、その円錐
面５の基端に複数のガスノズル４を略直交方向に設け、
燃焼用空気ノズルリング６に外周のメイン空気ノズル８
と内周にノズルチップの円錐面の傾斜角θと平行又は僅
かな角度を付けて複数の補助空気ノズル８を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は特に鋼材等の無酸化加
熱炉に用いられるガスバーナ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の混合式ガスバーナとし
て、燃焼室２３の先端の壁部３０に２列の横方向に間隔
をおいた燃料流路３ｂが穿設され、この２列の燃料流路
は２列の燃焼室の空気流路３５間に配設され、壁部３０
の中心線から等距離だけ離し、又２列の横方向に間隔を
おいた空気安定化流路４０が壁部３０に穿設したものが
ある（特公平２−４６８４２号参照）。

【０００３】又、燃料噴出管の囲りに一次空気供給管を
設け、これと半径方向外方に間隔をあけた同心円上に３
または４個の二次空気供給管を燃料噴出管と平行に設
け、燃料噴出孔は二次空気供給管に対応する位置に形成
されたものがある（特公平１−３００４３号参照）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術に示したも
ののうち、前者では空気安定化流路が短かく、その流路
が拡大されているため安定化流路より噴出した空気は急
激に膨張し、拡大部分で渦流を生ずることになる。すな
わち、この部分で再循環領域を形成する。

【０００５】従って、この状態でガスノズルより燃料ガ
スが噴出されると一部は上記再循環領域で空気と激しく
混合し、燃焼し、ガスノズルの表面にて火炎を生じて燃
焼する。また大部分の燃料ガスは燃焼室内にてメイン空
気と接触し、混合燃焼するが、一部の未燃ガスは再循環
されてガス噴出口付近に戻されるも、バーナの軸心部分
には余剰の空気がないため完全燃焼できず、しかもガス
ノズルは内部にガスが流れて冷却されるためバーナ先端
に炭素粒子が折出してつもり、点火プラグとの間隔が狭
くなり、火花が飛ばず着火がしにくくなり、不完全燃焼
の原因となります。

【０００６】又後者では一次空気供給管から供給される
一次空気量は全燃焼空気量の約１０％程度であり、一次
空気管の先端より円錐面に開放されると流速の余りない
流れとなり、円錐面１ａ内の全体に拡散し、燃料ガスの
噴出する領域全体に一次空気として供給され、燃料噴出
管３の前端部における保炎機能を果たしますが、ガスノ
ズルの先端まで一次空気が層流として供給されず、再循
環される未燃ガスの燃焼に関与しないことになります。

【０００７】しかも、ガスノズルを一次空気管よりも前
に出してありますので、ガスノズル後方に燃料ガスの巻
き込みが行なわれ、未燃ガスの一部も再循環されるの
で、バーナタイルの傾斜面にすすが残ることになり、不
完全燃焼を生ずる原因となります。

【０００８】この発明はガスノズルチップの先端部を所
定の傾斜角で所要の長さとした裁頭円錐型とし、燃焼用
空気ノズルリングの内周にガスノズルチップの傾斜角と
平行又は僅かな角度を付けて補助空気ノズルを設け、ガ
スノズルチップの先端表面に空気の流体のもつ粘性で速
度境界層を形成させてガスノズルより噴出する燃料ガス
の一部と理論空気比で混合し、バーナの軸心に円錐状火
炎を作り、この火炎が袖火となって安定した燃焼をさせ
ることができ、再循環領域の一部未燃ガスを中心の空気
層と接触燃焼させることができる無酸化炉用ガスバーナ
を提供することを目的とする。

【０００９】

【発明が解決しようとする手段】この発明の無酸化炉用
ガスバーナは空気管１内に先端にガスノズルチップ３を
設けた燃料ガス管２を備えたバーナにおいて、ガスノズ
ルチップ３の先端部を空気を中心で収束させて速度境界
層Ａを形成するようにバーナ軸線に対し所定の傾斜角θ
とするとともにガスノズル４より先端までを所要の長さ
Ｌとした裁頭円錐型に形成し、その円錐面５の基端に複
数のガスノズル４を略直交方向に設け、ガスノズルチッ
プ３の基端に備えた燃焼用空気ノズルリング６の外周に
複数のメイン空気ノズル７を軸方向に設け、かつその内
周には複数の補助空気ノズル８を円錐面の近接位置にそ
の傾斜角θと平行又は僅かな角度を付けて設け、ガスノ
ズルチップの先端表面に空気の速度境界層を形成させる
ものである。

【００１０】前記ガスノズルチップ３のガスノズル４と
燃焼用空気ノズルリング６のメイン空気ノズル７および
補助空気ノズル８の関係位置をガスノズルの延長線とメ
イン空気ノズルの延長線とが交差してガスノズルからの
ガスの大部分はメイン空気ノズルの空気と衝合して燃焼
するようになし、かつ補助ノズルの延長線とガスノズル
の延長線とは交差しないようにして空気の空気層に一部
のガスが上面で燃焼させ、再循環領域の未燃ガスの燃焼
促進を図るものである。

【００１１】

【作用】この発明によれば補助空気ノズルから噴出する
空気はガスノズルチップの円錐面の表面と平行又は僅か
に当るように噴出され、その空気の流速は円錐面の表面
付近で流体の粘性のために急速に低下し、速度の遅い、
いわゆる速度境界層を形成し、このためガスノズルチッ
プの先端全体は空気の層で被覆された状態になる。

【００１２】ここでガスノズルより燃料ガスが斜め上方
に噴出されると、その一部は空気の速度境界層の上面で
理論空気比で混合して空気層の表面に薄い層の円錐状火
炎を作り、大部分はメイン空気ノズルより噴出される空
気と衝突混合して燃焼し、燃焼室内で再循環領域が形成
される。その為に未燃ガスの一部が再循環されて、ガス
ノズルチップに逆流し、前記ガスノズルチップ表面に平
行して、層流を形成している空気と接触し、完全燃焼す
ることになる。

【００１３】

【実施例】次にこの発明を図面に示す実施例に基づいて
説明する。図１乃至図４はこの発明にかかる無酸化炉用
ガスバーナ装置の一実施例を示すもので、１は燃焼用空
気入口９を有する空気管、２は該空気管の中心部に備え
る燃料ガス管、３はその燃料ガス管の先端に取着するガ
スノズルチップである。

【００１４】ガスノズルチップ３は先端部を空気を中心
で収束させて速度境界層Ａを形成するようにバーナ軸線
に対し所定の傾斜角θとするとともにガスノズル４より
先端までを所要の長さＬとした裁頭円錐型に形成し、そ
の基端に複数のガスノズル４を略直交方向に設ける。円
錐面５の傾斜角θは２０°〜４０°が好ましい。

【００１５】６は燃焼用空気ノズルリングで、ガスノズ
ルチップ３の基端と空気管１との間に備え、そのノズル
リングの外周に複数の大径のメイン空気ノズル７を軸方
向に設け、その内周には円錐面５の近接位置に複数の小
径の補助空気ノズル８をガスノズルチップの円錐面５の
傾斜角θと平行又は僅かな角度を付けて空気を円錐面に
沿って噴出させるように設ける。補助空気ノズルの傾斜
角θ₁ は前記円錐面の傾斜角θと同じ角度、又はそれよ
り僅かに大きい角度とする。

【００１６】ガスノズルとガスノズルチップの先端まで
の距離Ｌは少なくとも、流体が表面に接して流体のもつ
粘性のため急速に低下し、速度が遅くなって層流を形成
する長さとし、その層流がガスノズルチップの先端中心
で集束して円錐面の表面に円錐状の薄い空気層Ａを形成
するようにする。例えば、ガスノズルとガスノズルチッ
プの先端までの距離Ｌは、補助空気ノズルの直径ｄとす
ると、４ｄ＜Ｌ＜１０ｄの範囲が好ましい。

【００１７】前記ガスノズルチップのガスノズル４と燃
焼用空気ノズルリング６のメイン空気ノズル７の関係位
置はガスノズルの延長線とメイン空気ノズルの延長線と
が交差し、メイン空気ノズルの空気にガスノズルからの
燃料ガスが衝突混合するようになす。またガスノズル４
と補助空気ノズル８との関係位置は隣設するガスノズル
４、４の中間位置に補助空気ノズル８を配置して補助空
気ノズルの延長線とガスノズルの延長線が交差しないよ
うにして、補助空気の噴出を燃料ガスの噴出で乱すこと
なく、補助空気が円錐面に沿って流れて層流状態とな
り、この層流の空気層にガスノズルからの一部の燃料ガ
スが流れて燃焼し、再循環の未燃焼ガスが接触して燃焼
するようにする。

【００１８】図５及び図６は無酸化炉用ガスバーナの別
の実施例を示すもので、燃焼用空気ノズルリング６のメ
イン空気ノズルを旋回溝７′に形成し、空気が旋回する
途中に燃料ガスが衝突し、巻き込まれる位置にガスノズ
ルチップのガスノズル４を形成して旋回火炎としたもの
で、ガスノズルチップ３、補助空気ノズル８の構成等は
前記実施例と同じである。

【００１９】なお、燃焼室１０としてはストレート状の
バーナタイルを設けた場合は直進炎バーナとなり、先端
側に漸次増大する末広がり状曲面内壁を有するバーナタ
イルを設けた場合は旋回炎バーナとなる。

【００２０】この発明の構造によれば、燃焼室１０にお
いてメイン空気ノズルより軸方向に噴出される空気にガ
スノズルより斜め外方に噴出される燃料ガスの大部分が
交差して衝突、混合して燃焼し、図３に示すように燃料
ガスが斜め上方に噴出されるため燃焼室内で再循環領域
が形成される。空気管の燃焼用空気の一部は補助空気ノ
ズルより噴出してガスノズルチップの円錐面に薄い層流
状の空気層Ａを形成し、この空気層をバーナの前方中心
に集束させ、ガスノズルよりの燃料ガスの一部を層流の
空気層の表面で理論空気量比で混合し、円錐状火炎Ｂを
作り、かつ未燃ガスの一部は再循環によりガスノズルチ
ップに逆流し、空気層Ａと接触して完全燃焼させる。

【００２１】又、メイン空気ノズルを旋回溝とした実施
例では空気に旋回流を与えてガスノズルからの燃料ガス
との衝突、混合、燃焼を一層促進させ、その未燃ガスを
再循環でガスノズルチップの空気層と接触させて完全燃
焼を図るものである。

【００２２】

【発明の効果】この発明によれば、燃焼室のメイン空気
ノズルからの空気と燃料ガスとの燃焼と相挨って中心の
ガスノズルチップの先端円錐面に補助空気ノズルより空
気を所定の傾斜角で噴出して円錐面の表面に形成した薄
い層流の空気層に燃料ガスの一部が流れて袖火を形成で
き、未燃ガスを再循環させて、中心の余剰の空気と接触
させて完全燃焼させることができる。

【００２３】従ってこの発明によれば炉内の遊離酸素が
ほとんど存在しない状態で空気比１．０以下での運転が
可能となり、無酸化加熱炉用に十分適用することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の無酸化炉用ガスバーナ装置の一実施
例を示す縦断面図である。

【図２】燃焼用空気ノズルリングとガスノズルチップの
側面図である。

【図３】図１のガスバーナの燃焼状態を示す要部拡大断
面図である。

【図４】燃焼用空気ノズルリングとガスノズルチップの
拡大断面図である。

【図５】別の実施例の要部断面図である。

【図６】同側面図である。

【符号の説明】

１ 空気管 ２ 燃料ガス管 ３ ガスノズルチップ ４ ガスノズル ５ 円錐面 ６ 燃焼用空気ノズルリング ７ メイン空気ノズル ８ 補助空気ノズル Ａ 空気の速度境界層

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気管（１）内に先端にガスノズルチッ
   プ（３）を設けた燃料ガス管（２）を備えたバーナにお
   いて、ガスノズルチップ（３）の先端部を空気を中心で
   収束させて速度境界層（Ａ）を形成するようにバーナ軸
   線に対し所定の傾斜角θとするとともにガスノズル
   （４）より先端までを所要の長さＬとした裁頭円錐型に
   形成し、その円錐面（５）の基端に複数のガスノズル
   （４）を略直交方向に設け、ガスノズルチップ（３）の
   基端に備えた燃焼用空気ノズルリング（６）の外周に複
   数のメイン空気ノズル（７）を軸方向に設け、かつその
   内周には複数の補助空気ノズル（８）を円錐面（５）の
   近接位置にその傾斜角θと平行又は僅かな角度を付けて
   設けたことを特徴とする無酸化炉用ガスバーナ装置。
2. 【請求項２】 前記ガスノズルチップのガスノズル
   （４）と燃焼用空気ノズルリング（６）のメイン空気ノ
   ズル（７）および補助空気ノズル（８）の関係位置をガ
   スノズルの延長線とメイン空気ノズルの延長線とが交差
   し、かつ補助空気ノズルの延長線とガスノズルの延長線
   とが交差しないようにした請求項１記載の無酸化炉用ガ
   スバーナ装置。