JPH0771488B2 - 新規ヒト・膵臓トリプシン - Google Patents

新規ヒト・膵臓トリプシン

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JPH0771488B2
JPH0771488B2 JP61307770A JP30777086A JPH0771488B2 JP H0771488 B2 JPH0771488 B2 JP H0771488B2 JP 61307770 A JP61307770 A JP 61307770A JP 30777086 A JP30777086 A JP 30777086A JP H0771488 B2 JPH0771488 B2 JP H0771488B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/50Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25)
    • C12N9/64Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue
    • C12N9/6421Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue from mammals
    • C12N9/6424Serine endopeptidases (3.4.21)
    • C12N9/6427Chymotrypsins (3.4.21.1; 3.4.21.2); Trypsin (3.4.21.4)

Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] 本発明は新規なヒト・膵臓トリプシンIIIおよびトリプ
シノーゲンIIIに関する。
トリプシンは、トリプシンの酵素前駆体であるトリプシ
ノーゲンが膵臓で生合成され、膵臓の一成分として十二
指腸に分泌された後、十二指腸粘膜に存在するエンテロ
キナーゼの作用で、N末のペプチドが切断、除去されて
活性化し、トリプシンとなる。
ところで、現在医薬品として使用されているトリプシン
は、牛起源であり、ヒトにとっては異種蛋白であるの
で、局所にのみ使用すことが許されているが、しかし、
静脈内、皮下、筋肉内に投与することはできない。その
上に、広範囲の病巣に長期間使用することもできない。
また、このような制限下におかれても、なお異種蛋白な
るが故に、感作されるおそれがあるので観察を十分に行
い、感作されたことを示す兆候が現われた場合は、たと
え治療なかばでも、投与を中止しなければならない。事
実、牛膵臓トリプシンに対する過敏症を示す患者もしば
しば報告されている。
一方、ヒト・膵臓トリプシンの場合は、上述の異種蛋白
による障害はなく、安心して広範囲に使用することがで
きる。
ヒト・膵臓トリプシノーゲンについては、既にMitsuru
EmiらによりIおよびIIの2種のcDNAクローンが報告さ
れており(Gene,41,305〜310(1986))、それらはO.Gu
yらが報告しているトリプシノーゲン1および2に相当
する(Biochemistry,17,1669〜1675(1978))。
今回、本発明者らはヒト・膵臓トリプシン(トリプシノ
ーゲン)について、更に研究した結果、本発明を完成し
た。
本発明者らがクローニングに成功したヒト・膵臓トリプ
シンIII(トリプシノーゲンIII)のcDNAクローンは、既
に報告のある前記cDNAとは明らかに異なり、まったく新
規の蛋白である。なお、それらの間の相同性は、DNA配
列レベルで92%、それらから定められたアミノ酸配列レ
ベルでは86%である。
[発明の構成] 本発明は、 1. 一般式 で表わされるアミノ酸配列を含むことから成るヒト・膵
臓トリプシンIII、 2. 特許請求の範囲第1項記載の一般式で表されるアミノ酸
配列の(N)一末端側に水素原子、Met、またはMet Asn
Pro Phe Leu Ile Leu Ala Phe Val Gly Ala Ala Val A
la Val Pro Phe Asp Asp Asp Asp Lysが付加されたアミ
ノ酸配列を含むことから成るヒト・膵臓トリプシンII
I、 等に関する。
本発明者らがクローニングに成功したヒト・膵臓トリプ
シンIII(トリプシノーゲンIII)のcDNAクローンの塩基
配列および、それより推定されるアミノ酸配列は第1表
のとおりである。
ここで得られたクローンを用いて、活性型のトリプシン
をつくることができる。即ち、第1表中のトリプシンで
表わされている塩基配列またはそれと同効の塩基配列を
含有するDNAを用いる。このDNAの5′末端には、ATGま
たは、トリプシノーゲンのプロ部分またはプレ・プロ部
分をコードする塩基配列または同効の塩基配列を付けて
もよい。なお、ATGを5′末端に有する時には、トリプ
シンのN末にMetを有するポリペプチドをコードする。
第1表で表わされる塩基配列またはそれと同効の塩基配
列を含有する本発明のDNAは、例えば以下に示す(イ)
〜(ニ)のステップにより製造することができる。
(イ) ヒトの膵臓より、mRNAを分離する。
(ロ) このmRNAおよび逆転写酵素を用いてcDNAバンク
を作製する。
(ハ) 作製したcDNAバンクから、例えば、ブタ・膵臓
トリプシノーゲンcDNAをプローブに用い、目的とするヒ
ト・膵臓トリプシノーゲンをコードするcDNAを含有する
プラスミドを単離する。
(ニ) このプラスミドから目的とするクローン化DNA
を切り出す。
膵臓のRNA抽出にあたっては、グアニジン・チオシアネ
ート・ホット・フェノール法、グアニジン・チオシアネ
ート・塩化セシウム法等も採用し得るがグアニジン・チ
オシアネート−グアニジン・塩酸法が以下の点で、上述
2法より優れている。(1)操作が簡単である。(2)
抽出・回収率が高い。(3)比較的大量の臓器からの抽
出が可能である。(4)DNAが混入してこない。(5)R
NAの分解が少ない。
真核細胞の細胞質に存在するmRNAの多くは、その3′末
端にポリA配列をもつことが知られているので、この特
徴を利用して、オリゴ(dT)セルロースのカラムにmRNA
を吸着せしめて、次に、これを溶出して精製する。
得られたmRNAを鋳型として、逆転写酸素を用いて相補的
二重鎖DNAを合成するが、その方法としてはS1ヌクレア
ーゼ法[Efstatiadis,A.et al.:Call,,279(197
6)]、Land法[Land,H.et al.:Nucleic Acids Res.,
,2251(1981)]、Okayama−Berg法[Okayama,H.and
P.Berg:Mol.Cell.Biol.,,161(1982)]、O.Joon Yoo
法[O.Joon Yoo,et al.:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,10
49(1982)]など採用しうるが、本発明の目的には、Ok
ayama−Berg法が好適であった。
次に、得られた組換えプラスミドを大腸菌、例えばRRI
株に導入して形質転換させる。テトラサイクリン耐性あ
るいはアンピシリン耐性を、指標として、組換え体を選
択することができる。
得られた組換え体の中からヒト・膵臓トリプシノーゲン
をコードするDNAを含有するクローンを選択するために
は、32Pでラベルしたブタ・膵臓トリプシノーゲンcDNA
をプローブに用いるコロニーハイブリダイゼーション法
を用いた。
ここで、選択されたクローンについて、次に、ヒト・膵
臓トリプシノーゲンをコードするDNA断片をきり出し、
制限酵素地図をつくり、既に報告のあるヒト・膵臓トリ
プシノーゲンIおよびIIと同一の制限酵素地図を有する
クローンは取り除き、目的とする新規なヒト・膵臓トリ
プシノーゲンIIIをコードするクローンを選出した。選
択されたクローンに含有される塩基配列の決定は、ファ
ージM13を用いたジデオキシヌクレオチド合成鎖停止の
方法[Messing,J.ら:Nuclcic Acids Res.,,309(198
1)]およびMaxam−Gibert法[Maxam,A.M.and Gilbert,
W.:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,560(1977)]で実施し
うるが、本発明ではジオキシヌクレオチド合成鎖停止の
方法を採用し、新規なヒト・膵臓トリプシノーゲンIII
に完全にコードするDNAを有するクローンを決定した。
次に、得られたクローンからヒト・膵臓トリプシノーゲ
ンIIIをコードするDNA断片をきり出し、これを適当は発
現ベクターにつないで、適当な宿主に導入して発現せし
めることができる。
プロモーターとしては、トリプトフアン(trp)プロモ
ーター、ラクトース(lac)プロモーター、トリプトフ
アン・ラクトース(tac)プロモーター、外膜主要蛋白
(lpp)プロモーター、バクテリオファージ由来のラム
ダ(λ)PLWRプロモーター、蛋白質鎖伸長因子Tu(tuf
B)プロモーター等を使用しうる。
宿主としては、大腸菌、枯草菌等の細菌、酵母等の微生
物の他、動物細胞を採用しうる。本発明において、大量
生産せしめるために大腸菌(LE392,YA21等)が宿主とし
ては好適である。また、天然と同程度の活性をもつ、ヒ
ト・膵臓トリプシノーゲンを生産せしめるためには、動
物細胞および枯草菌が好適である。
本発明のDNAを宿主に、形質転換、導入する方法として
は、Hanahanの方法[Hanahan,D.:J.Mol.Biol.,166,557
(1983)]、塩化カルシウム法[Dagert,M.and S.D.Ehr
lich:Gene,,23(1979)]、低pH法[高木康敬編著:
遺伝子マニュアル,p.49,講談社サイエンティフイク(19
82)]等を採用しうる。本発明においては、Hanahanの
方法が好適であった。
組換え体の培養は、通常、15〜43℃で、3〜24時間行
い、必要に応じて、通気や撹拌を加えることができる。
なお、動物細胞を宿主とする場合には、3〜10日間の培
養を必要とする。
培養後は、組換え体細胞を、公知の方法、例えば遠心分
離等で集める。宿主として、枯草菌、酵母、動物細胞等
を用いる場合、ベクターの選択によっては、生産された
トリプシン等は細胞外に出て、上澄液に含まれる。
一方、大腸菌を宿主とした場合、生産されたトリプシン
等は、不溶性の蛋白として、その細胞内のinclusion bo
dyに含まれる場合が多い。この場合には、菌体を破壊し
て遠心分離することにより、生産されたトリプシン等は
沈殿物として得られる。
菌体の破壊の方法としては、超音波処理、リゾチーム処
理、凍結融解処理等を採用することができる。該上澄液
または沈殿物からのトリプシン等の単離は、通常知られ
ている蛋白質の精製方法により実施しうる。
[発明の効果] 本発明により製造されるトリプシン等は、ヒト膵臓より
抽出精製したトリプシンと同等の生物学的活性を示し、
これと同様の目的に、同様の用法により使用することが
できる。
即ち、例えば膿瘍、潰瘍、火傷、褥創、壊疸、血腫、汚
染せる創面、呼吸器疾患に伴う喀痰喀出困難等の症状に
有用である。
トリプシンの投与は、現在、粉末のまま局所に散布する
か、または、その溶液に浸漬したガーゼで局所を湿布す
る方法がよく用いられているが、目的によっては、カテ
ーテル等により、その溶液を患部に注入、または噴霧し
て吸入する方法も採用される。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する
が、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1 ヒト・膵臓トリプシノーゲンcDNAのクローニ
ング (1) ブタ,膵臓トリプシノーゲンcDNAのクローニン
グ ヒト・膵臓トリプシノーゲンcDNAをクローニングするた
めのプローブに供するため、最初にブタ・膵臓トリプシ
ノーゲンcDNAのクローニングを行った。フタ膵臓よりCh
irgwinの方法[Biochemistry,18,5249(1979)]によっ
て膵臓全RNAを分離し、オリゴ(dT)カラムによってmRN
Aを精製した。次に、O.Joon Yooらの方法[Proc.Natl.A
cad.Sci.USA,79,1049(1982)]に従って、精製mRNAよ
りcDNAバンクを作成し、そのcDNAバンクから任意の50ク
ローンを選び、BirmboimとDolyの方法[Nucleic Acids
Res.,,1513(1979)]を用いてプラスミドを分離し
た。これらのプラスミドについて、トリプシノーゲンmR
NAを多量に含む1kbのmRNAより合成したcDNAをプローブ
に使用し、サウザーンプロット解析[Southern,E.M.:J.
Mol.Biol.,98,503(1975)]を行った。ハイブリダイゼ
ーション後、プローブと強く会合したプラスミドを選択
し、それらに含まれるcDNAの塩基配列をMaxam−Gibert
の方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,560(1977)]に
従って決定した。決定した塩基配列からそのcDNAによっ
てコードされるアミノ酸配列を推定し、既知のブタ・膵
臓トリプシンのアミノ酸配列と比較したところ、pPT52
と命名したプラスミドがブタ・膵臓トリプシノーゲンを
コードとするcDNAを含むことが明らかとなった。
(2) ヒト・膵臓トリプシノーゲンcDNAのクローニン
グ ヒト膵臓(剖検試料)よりChirgwinらの方法によって膵
臓全RNAを分離後、オリゴ(dT)カラムによってmRNAを
精製し、Okayama−Bergの方法[Mol.Cell.Biol.,,161
(1982)]を用いてcDNAバンクを作成した。次に、その
cDNAバンクよりヒト・膵臓トリプシノーゲンcDNAを含む
クローンを得るため、GrunsternとHognessの方法[Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA,72,3961(1975)]に従ってコロ
ニーハイブリダイゼーションを行った。プローブには、
pPT52を制限酵素KpnlとSau3Aによって消化して得たブタ
・膵臓トリプシノーゲンcDNA断片を含むDNA断片を、Rig
byらの方法[J.Mol.Biol.,113,237(1977)]を用いて
32Pを標識して用いた。2400クローンをスクリーニング
したところ、そのうちの56クローンがプローブと強く会
合し、これらがヒト・膵臓トリプシノーゲンのcDNAを含
むことが明らかとなった。
(3) ヒト・膵臓トリプシノーゲンIIIcDNAの選択 ヒト膵臓中には、三種類のトリプシノーゲンが存在して
いることが報告されている[Guy,O.et al.:Biochemistr
y,17,1669(1978)]。そのうちの二種類のトリプシノ
ーゲンI及びIIに対するcDNAは既にクローニングされて
いる[Emi,M.et al.:Gene,41,305(1986)]。スクリー
ニングの結果ブタ・膵臓トリプシノーゲンcDNAプローブ
と会合した56クローンの制限酵素による切断パターンを
解析したところ、多くは既知のヒト・膵臓トリプシノー
ゲンI及びIIcDNAの切断パターンと一致したが、5クロ
ーンp#6,p#10,p#20,p#41,p#47についてはそのど
ちらの切断パターンとも一致しないことが判明した。こ
れらのクローンは等しい切断パターンを示したので、同
一の未知のヒト・膵臓トリプシノーゲンをコードするcD
NAを含むと考えられた。そこで、これらの5クローンの
うちのp#10について含まれるcDNAの塩基配列をダイデ
オキシ法[Messing,J.et al.:Nucleic Acids Res.,,3
09(1981)]を用いて決定したところ、p#10は既知の
ヒト・膵臓トリプシノーゲンI及びIIcDNAのそれぞれと
約92%の塩基配列の相同性を持つ第三のトリプシノーゲ
ンをコードするcDNAを含むことが明らかとなった。我々
はこのcDNAによってコードされる新規のヒト・膵臓トリ
プシノーゲンをヒト・膵臓トリプシノーゲンIIIと命名
した。
実施例2 トリプシノーゲンcDNAの動物細胞での発現 1) 発現プラスミドpSV2−Trpの構築 動物細胞を宿主に用いて、ヒト・膵臓トリプシノーゲン
IIIcDNAを発現させるため、図1に示す手順によって発
現用ベクターと連結した。発現用ベクターには、SV40の
プロモーター、エンハンサー、ポリAシグナル、small
T antigen遺伝子の介在配列を含むpSV2プラスミドを使
用した。まず、p#10をPstlで消化したのちに、ヒト・
膵臓トリプシノーゲンIIIcDNAを含む770bpのDNA断片を
アガロースゲル電気泳動にて分離した。次に、分離した
DNA断片をS1ヌクレアーゼで処理することにより、その
末端を平滑末端に変化させた。また発現用ベクターpSV2
−βGプラスミドをHind 3およびBgl 2で消化したのち
に、プロモーターを含む4.2kbのDNA断片を分離し、DNA
ポリメラーゼI処理を行い、そのDNA末端を平滑末端に
変換させた。以上のようにして得た平滑末端をもつ2つ
のDNA断片をリカーゼによって連結し、大腸菌RRlを形質
転換した。得られた形質転換菌からプラスミドを分離
し、それらのプラスミドの制限酵素切断パターンを解析
することにより、プロモーターとcDNAが順の向きに連結
したトリプシン発現プラスミドpSV2−Trpを選択した。
2) COS 1細胞への発現プラスミドpSV2−Trpの導入
(トランスフェクション)pSV2−Trpの動物細胞への導
入(トランスフェクション)は、リン酸カルシウム法で
行った[Graham and VanDer Eb:Virology,52,456(197
3)]。トランスフェクションに使用したCOS 1細胞は直
径10cmのシャーレあたりに1×106細胞をまき、10%牛
胎児血清を含むダルベッコ変法イーグル培地で一晩培養
した。次に、300μgのpSV2−Trpプラスミドを12.55ml
の滅菌蒸留水に懸濁し、0.75mlの2.5MCaCl2を加え、よ
く混合した後に、ピペットを用いて溶液中に泡をたてな
がら、1.5mlの10×HeBS溶液(210mMのHEPES緩衝液、1.3
7MのNaCl、4.7mMのKCl、10.6mMのNa2PO4、55.5mMのブド
ウ糖pH7.05)を滴下してDNAとリン酸カルシウムの沈殿
を形成させた。30分間室温で放置して沈殿を熟成させた
後、その1ml(シャーレ1枚あたり)を10%牛胎児血清
を含む新鮮な培地に置換したCOS 1細胞へ加えた。37
℃、5% CO2存在下にて12時間培養した後、培養液を捨
て、牛胎児血清を含まない新しいダルベッコ変法イーグ
ル培地に置換して更に48時間培養した。
3) 培地上清中のトリプシン活性の測定 図1の手順でpSV2に組み込んだヒト・膵臓トリプシノー
ゲンcDNAはシグナルペプタイド領域、およびプロペプタ
イド領域を保持しているので、発現されるトリプシンは
プロペプタイドをもつトリプシノーゲンとして培地中へ
分泌されることが期待される。そこで、48時間培養後の
培養液中のトリプシン活性を合成基質D−Val−Leu−Ar
g−アミノフルオロクマリンを用いて測定した。
培養上清をエンテロペプチダーゼで処理し、トリプシノ
ーゲンを活性化したのちに、50mMトリス塩酸、10mM CaC
l2、1%ジメチルホルムアミド存在下にてD−Val−Leu
−Arg−アミノフルオロクマリンと反応させた。その結
果、COS 1細胞のみの培養液では全くトリプシン活性が
検出されなかったのに対し、pSV2−Trpをトランスフェ
クションしたCOS 1細胞の培養液では培養液中にトリプ
シン活性が認められた。しかも、検出されたトリプシン
活性は、トリプシンの阻害剤であるPhe−Ala−Arg−ク
ロロメチルケトン(FARCK)によって完全に阻害され
た。また、エンテロペプチダーゼによる活性化処理を行
わなかった場合には、培養上清中にトリプシン活性は検
出されなかった。以上の結果から、pSV2−Trpをトラン
スフェクションしたCOS 1細胞はヒト・膵臓トリプシノ
ーゲンを培地中に分泌生産すると結論された。
pSV2−TrpをCOS 1細胞へ導入した本実施例においてはヒ
ト・膵臓トリプシノーゲンIIIの生産は短期的(transie
nt expression)であるが、pSV2−Trpプラスミドに適当
な選択マーカー(例えば、neo遺伝子、dihydrofolate r
eductose遺伝子など)を連結してCHO細胞等に導入すれ
ば長期的にヒト・膵臓トリプスノーゲンIIIを生産可能
な細胞株を得ることが可能である。また、培地中に分泌
生産されたヒト・膵臓トリプシノーゲンは、例えば膵臓
トリプシンインヒビダー・セファロースカラムによって
容易に精製可能である。
【図面の簡単な説明】
図1はpSV2−Trpプラスミド構築の手順を示す。pSV2−
βGはpSV2ベクターにβグロビンcDNAが挿入されている
プラスミドであり、p#10はヒト・膵臓トリプシノーゲ
ンIII cDNAが挿入されているプラスミドである。リガー
ゼ等による酵素反応は“モレキュラークローニング”
[Maniatis,T.et al.(ed)“Molecular cloning"(198
0)Cold Spring Harbor Lab.]に記載の方法に従った。
pSV2−βGプラスミドの太矢印はSV40由来のプロモータ
ーを示す。また、p#10プラスミドの斜線図および黒塗
部および白抜部はヒト・膵臓トリプシノーゲンIII cDNA
部を示し、そのうち斜線部はシグナルペプタイド領域
を、黒塗部はプロペプタイド領域を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 1/21 8828−4B 15/09 (C12N 9/76 C12R 1:91) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 1/21 C12R 1:125)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 で表わされるアミノ酸配列を含むことから成るヒト・膵
    臓トリプシンIII。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の一般式で表さ
    れるアミノ酸配列の(N)−末端側に水素原子、Met、
    またはMet Asn Pro Phe Leu Ile Leu Ala Phe Val Gly
    Ala Ala Val Ala Val Pro Phe Asp Asp Asp Asp Lysが
    付加されたアミノ酸配列を含むことから成るヒト・膵臓
    トリプシンIII。
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