JPH0771430A - 止め輪 - Google Patents

止め輪

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JPH0771430A
JPH0771430A JP21616093A JP21616093A JPH0771430A JP H0771430 A JPH0771430 A JP H0771430A JP 21616093 A JP21616093 A JP 21616093A JP 21616093 A JP21616093 A JP 21616093A JP H0771430 A JPH0771430 A JP H0771430A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軸あるいは穴の溝部に対する止め輪の着脱作
業に先立ち、止め輪に着脱工具を迅速且つ容易に係合で
きて、確実な係合状態下で軸あるいは穴の溝部に対して
着脱作業を行えるようにする。 【構成】 略円環状の止め輪本体における両端部先端の
重合部分の重合厚さが止め輪本体厚さと同等で、この両
重合部分が相互にほぼ円周方向にスライド且つ弾性復帰
自在であり、前記両端部の内縁か外縁の少なくともいず
れかに係合溝を、内縁側では同内縁から端部先端側に向
けて入り込む凹み状に、外縁側では同外縁から端部先端
と相対する方向に入り込む凹み状に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は軸用あるいは穴用そして
軸穴兼用に使用可能な止め輪に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の軸用あるいは穴用の止め輪には、
C形やE形と呼ばれている各種形状のものがあり、例え
ばC形の軸用止め輪では両端部の差込み孔に着脱工具の
先部を差し込み、両端部間を広げて内径を大きくして軸
面の溝部に嵌合および取り外し自在であり、またC形の
穴用止め輪では両端部の差込み孔に着脱工具の先部を差
し込み、両端部間を狭めて外径を小さくして穴面の溝部
に嵌合および取り外し自在であり、いずれのものも着脱
作業が容易である利点がある。
【0003】ところが、前記した止め輪は両端部間が開
いていて離れている構成のものであるため、軸あるいは
穴の溝部に嵌合した状態で、止め輪と溝部および被固定
体との間に、両端部間の否嵌合部分と否固定部分ができ
てしまうのを避けられず、特に両端部の間隔が大きい構
成の穴用のものでは顕著である。
【0004】このような問題を解決するものとして同心
止め輪がある。この止め輪の構成は、断面矩形状の帯部
材をほぼ二重巻きしており、環状であるために、C形の
止め輪の場合におけるような前記否嵌合部分、否固定部
分ができない利点がある。
【0005】しかしながら、二重巻き構成であることに
よって、着脱作業が非常に面倒であるという構造上の問
題がある。たとえば、穴の溝部に嵌合するには、一方の
端部を軸線方向に引き離して溝部に入れ、この端部を押
えつけながら、以下他方の端部まで順次入れて嵌合しな
ければならない。そして、取り外す場合には、穴口側の
端部を軸心側に移動させて溝部から外して穴口に引き出
し、以下他方の端部まで順次溝部から外して引き出して
取り外さなければならない。また、軸の溝部に着脱する
作業も同様の手順を要し、着脱作業が非常に面倒であ
る。
【0006】このように、C形の止め輪では着脱作業が
容易である利点を有する反面、否嵌合部分と否固定部分
ができるのを避けられない欠点があり、二重巻き構造の
同心止め輪では否嵌合部分と否固定部分ができない利点
を有するものの、二重巻きであるが故に着脱作業が非常
に面倒である欠点がある等、それぞれ問題を抱えてい
る。
【0007】出願人は前記の問題を解決するため、図12
に例示した止め輪を開発している。この止め輪の構成
は、略円環状の止め輪本体50における両端部51の重合部
分52の重合厚さが止め輪本体厚さと同等であると共に、
この両重合部分52が相互にほぼ円周方向にスライド且つ
弾性復帰自在なもので、軸あるいは穴の溝部に嵌合した
際に否嵌合部分ができず、安定した嵌合具合を得ること
ができると共に、被固定体との間に否固定部分ができな
いので、安定した固定状態を得ることができる。そし
て、着脱作業は、重合部分を相互に円周方向にスライド
させることによって、止め輪本体径を拡大・縮小できる
ため、容易に着脱することができる。さらに、軸用ある
いは穴用の専用のものとして使用できると共に、軸・穴
兼用のものとしても使用することができ、製作面および
経済面の点からも有利なものである。(特願平5-149343
号参照)
【0008】ところが、前記のC形止め輪にも共通する
問題点として、止め輪を軸あるいは穴の溝部に着脱する
際における両端部の差込み孔53への着脱工具の差込み作
業がある。この差込み作業は、差込み孔53が小径である
ために、片方の差込み孔53だけでも一度に正確に捕らえ
ることが難しく、まして両端部の差込み孔53に一度で差
込み終えるにはかなりの集中力と熟練度を要求される。
【0009】また、差込み孔53が一方の重合部分52に開
孔されていて、この差込み孔53の後側を他方の重合部分
52で塞がれている場合、差込み孔に着脱工具を差し込ん
だ際に、先端が後側の重合部分52に突き当たって妨げら
れることによって貫通状に差込み不可能である。それに
より、孔面に着脱工具先端が引っ掛かった不安定な係合
状態であるため、外れる虞があり、止め輪自体の弾性力
が強いだけに、係合が外れた際における止め輪の飛び跳
ね等が危惧される。また、止め輪の幅は差し込みタイプ
のものであるために小幅化できない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、止め輪の両端部における差込み孔に着脱工具を差し
込む構成のものであることにより、着脱工具の差込み作
業、差込み孔と着脱工具との係合状態に不満があると共
に止め輪を小幅化できないことである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
め、略円環状の止め輪本体における両端部先端の重合部
分の重合厚さが止め輪本体厚さと同等で、この両重合部
分が相互にほぼ円周方向にスライド且つ弾性復帰自在で
あり、前記両端部の内縁か外縁の少なくともいずれかに
係合溝を、内縁側では同内縁から端部先端側に向けて入
り込む凹み状に、外縁側では同外縁から端部先端と相対
する方向に入り込む凹み状に形成したことを特徴とす
る。
【0012】また、本発明は、両端部の内縁か外縁のい
ずれかに係合溝を有し、且つ両端部の前記重合部分脇に
差込み孔をそれぞれ開孔していることを特徴とする。
【0013】また、本発明は、止め輪本体が、短辺側を
厚さとして、長辺側を表裏面とした横断面略矩形状であ
ることを特徴とする。
【0014】また、本発明における止め輪が軸用のもの
である場合、対向状の一方の端部先端と他方の端部の段
差部との間の円周方向の長さを、ゼロ乃至ゼロに近く形
成しても良い。この場合、溝部に対する嵌合強度を一層
高くできる。
【0015】また、穴用および軸・穴兼用のものでは、
対向状の一方の端部先端と他方の端部の段差部との間の
円周方向の長さを、止め輪本体径の縮小時における重合
部分のスライド長さとほぼ同等の比率関係に形成しても
良い。この場合、両係合溝に着脱工具を係合して止め輪
本体径を縮小させた際に、一定の径まで縮小した時点で
端部先端が段差部に当接することにより、この当接ショ
ックによって止め輪本体が溝部に対して着脱可能である
ことを知ることができる。
【0016】また、穴用および軸・穴兼用のものでは、
対向状の一方の端部先端と他方の端部側における係合溝
との間の円周方向の長さを、止め輪本体径の縮小時にお
ける重合部分のスライド長さとほぼ同等の比率関係に形
成しても良い。この場合、両係合溝に着脱工具を係合し
て止め輪本体径を縮小させた際に、一定の径まで縮小し
た時点で端部先端が着脱工具に当接して縮小を阻止され
ることにより、この当接ショックによって止め輪本体が
溝部に対して着脱可能であることを知ることができると
共に、止め輪本体が縮小され過ぎて変形するようなこと
がない。
【0017】また、軸用および軸・穴兼用のものでは、
両端部における重合部分の円周方向の重合長さを、止め
輪本体径の拡大時における重合部分のスライド長さを若
干上回る比率関係に形成しても良い。この場合、止め輪
本体の径の拡大時においても、重合部分の重合関係が保
たれた状態で拡大そして縮小し、重合関係が失われるよ
うなことがない。
【0018】本発明における両端部の重合構成は、厚さ
が止め輪本体厚さの1/2 である重合部分による重合態様
のものであったり、この重合面がテーパー状である重合
態様のものであっても良い。特に、重合面がテーパー状
で、その角度がおおよそ30〜50度ぐらいである態様のも
のでは、両端部における肉薄部分がテーパー状の重合部
分に限られ、しかも、この重合部分の円周方向の長さが
僅かであることによって、溝部に対して止め輪各部が等
しい強度で嵌合可能であり、被固定体に対しても止め輪
各部で等しく接触して固定可能である。また、止め輪本
体を二枚重ね構造状に構成しても良く、この場合、重合
部分の形成が容易である。
【0019】止め輪本体の横断面形状は他の形状たとえ
ば円形状、正方形状、矩形状、その他の形状であっても
良い。材質は、公知の部材であり、バネ部材等の金属、
エンジニアプラスチック等の樹脂が挙げられる。
【0020】
【作用】本発明では、略円環状の止め輪本体における両
端部先端の重合部分の重合厚さが止め輪本体厚さと同等
で、この両重合部分が相互にほぼ円周方向にスライド且
つ弾性復帰自在であり、前記両端部の内縁か外縁の少な
くともいずれかに係合溝を、内縁側では同内縁から端部
先端側に向けて入り込む凹み状に、外縁側では同外縁か
ら端部先端と相対する方向に入り込む凹み状に形成して
あるため、係合溝脇における内縁あるいは外縁部分がガ
イドとして働いて、係合溝に向かう着脱工具の動きを円
滑に案内すると共に、係合溝が着脱工具を喰え込むよう
に働く。
【0021】それにより、着脱工具を係合溝脇の縁部分
に当てがって操作するだけで、係合溝に確実に係合で
き、止め輪に対する着脱工具の係合作業を、さほど経験
がなくとも、一度に迅速且つ正確に行うことができ、そ
して着脱工具で止め輪本体径を拡大・縮小させることに
より、軸あるいは穴の溝部に対して迅速に着脱すること
ができる。
【0022】そして、係合溝を内縁あるいは外縁から凹
み状に形成しているため、止め輪の最大幅を、従来の差
込み孔タイプのものに比べて小幅化可能であり、この種
の要求に対応できると共に、係合溝を内縁および外縁に
形成している態様では、軸・孔兼用のものとして軸用、
孔用のいずれにも使用することができる。
【0023】係合溝に対する着脱工具の係合状態を、着
脱工具先端が係合溝の後側に突き出て係合した態様にで
きて、従来の差込み孔タイプのものに準ずる安定した係
合状態が得られ、係合外れによる止め輪の飛び跳ね事故
の心配がない。
【0024】軸あるいは穴の溝部に嵌合した際に否嵌合
部分ができず、安定した嵌合具合を得ることができると
共に、被固定体との間に否固定部分ができないので、安
定した固定状態を得ることができる。そして、着脱作業
は、重合部分を相互に円周方向にスライドさせることに
よって、止め輪本体径を拡大・縮小できるため、容易に
着脱することができる。さらに、軸用あるいは穴用の専
用のものとして使用できると共に、軸・穴兼用のものと
しても使用することができ、製作面および経済面の点か
らも有利である。
【0025】また、本発明では、両端部の内縁か外縁の
いずれかに前記係合溝を有し、且つ両端部の前記重合部
分脇に差込み孔をそれぞれ開孔してあるため、係合溝が
内縁側に形成されているものでは、穴の溝部への着脱は
係合溝に着脱工具を係合させて行って、軸の溝部への着
脱は差込み孔に着脱工具を差し込んで行い、係合溝が外
縁側に形成されているものでは、穴の溝部への着脱は差
込み孔に着脱工具を差し込んで行って、軸の溝部への着
脱は係合溝に着脱工具を係合させて行うことにより、軸
・孔兼用のものとして軸用、孔用のいずれにも使用する
ことができる。
【0026】また、本発明では、止め輪本体が、短辺側
を厚さとして、長辺側を表裏面とした横断面略矩形状で
あるため、軸あるいは穴の断面四角状溝部に対する嵌合
強度が高く優れている。
【0027】
【実施例】図1には本発明の止め輪の第1実施例を例示
しており、軸・穴兼用タイプのものである。略円環状の
止め輪本体1は、短辺側を厚さとして、長辺側を表裏面
とした横断面略矩形状のもので、この止め輪本体1の内
周縁は外周縁に対して、同心円状の左右両端部2,3を
除いて、中間部分から左右両端部に向けて外周縁との間
の幅が次第に狭まった態様の非同心円状に形成してあ
り、重合状の左右両端部2,3の円周方向へのスライド
により弾性的に縮径および拡径自在にしている。
【0028】左右端部2,3は、左端部2先端の重合部
分2a裏面と右端部3先端の重合部分3a表面が接した状態
に重合しており、止め輪本体1の弾性変形および弾性復
帰力を利用して、左端部2は右端部3表面に対して、右
端部3は左端部2裏面に対して、それぞれ相互にほぼ円
周方向にスライド且つ弾性復帰自在にしてある。
【0029】この左端部2の表面は止め輪本体1表面と
同一平面状で、裏面は基部2b側の段差部2cから先を止め
輪本体1裏面よりも1/2 低くした段違い状に形成してあ
る。一方、右端部3の裏面は止め輪本体1裏面と同一平
面で、表面は基部3b側の段差部3cから先を止め輪本体1
表面よりも1/2 低くした段違い状にしていて、この左右
端部2,3先端の重合部分2a,3a の重合厚さが止め輪本
体1厚さと同等になるようにしてある。
【0030】そして、左端部2の基部2bには係合溝4
を、右端部3の基部3bには係合溝4を、それぞれ止め輪
本体1内周縁端に連続状に位置して且つ端部先端側に向
けて入り込む凹み状に形成してあり、穴の溝部に対する
着脱時に、左右の係合溝4,4に着脱工具を係合し、同
着脱工具によって止め輪本体1径を縮小させて着脱し得
るようにしてある。
【0031】また、左端部2外縁の重合部分2a脇には係
合溝5を、右端部3外縁の重合部分3a脇には係合溝5
を、それぞれ外縁から端部先端と相対する方向に入り込
む凹み状に形成してあり、軸の溝部に対する着脱時に、
左右の係合溝5,5に着脱工具を係合し、同着脱工具に
よって止め輪本体1径を拡大させて着脱し得るようにし
てある。
【0032】対向状の左端部2先端と右端部3の段差部
3cとの間の円周方向の長さL1、そして右端部3先端と左
端部2の段差部2cとの間の円周方向の長さL2は、止め輪
本体1径の縮小時における重合部分2a,3a のスライド長
さとほぼ同等の比率関係に形成してあり、穴の溝部に対
する着脱時に、止め輪本体1を縮径させた状態で、重合
部分2a先端が段差部3cに、重合部分3a先端が段差部2c
に、それぞれ当接するようにして、止め輪本体1径を溝
部に対して着脱可能な程度まで縮小させた時点で縮小動
作が規制されるようにしてある。
【0033】段差部2c,3c は、同段差を重合部分2a,3a
先端が乗り越えやすい斜面状に形成してあり、仮に止め
輪本体1を穴の溝部に対して着脱可能な程度以上に縮小
させた場合、斜面状の段差部2c,3c を乗り越えた重合部
分2a,3a 先端が係合溝4に係合している着脱工具に突き
当たって、その縮小動作を最終的に規制されるようにし
てある。
【0034】これにより、着脱工具を係合溝4,4ある
いは5,5脇の縁部分に当てがって操作するだけで、当
該係合溝に確実に係合でき、止め輪に対する着脱工具の
係合作業を、さほど経験がなくとも、一度に迅速且つ正
確に行うことができ、そして着脱工具で止め輪本体1径
を拡大・縮小させることにより、軸あるいは穴の溝部に
対して迅速に着脱することができる。
【0035】係合溝4,4、5,5を内縁および外縁か
らそれぞれ凹み状に形成しているため、止め輪の最大幅
を、従来の差込み孔タイプのものに比べて小幅化可能で
あり、この種の要求に対応できる。そして、内縁側に係
合溝4,4を、外縁側に係合溝5,5を、それぞれ形成
しているため、軸の溝部に対する着脱時には、双方の溝
間隔が短く接近している外縁側の左右の係合溝5,5に
着脱工具を係合させて、止め輪本体1径を拡大自在であ
り、そして、穴の溝部に対する着脱時には、双方の溝間
隔が広がっている内縁側の左右の係合溝4,4に着脱工
具を係合させて、止め輪本体1径を縮小自在であり、軸
用、穴用に内外縁の各係合溝4,4、5,5を使い分け
て迅速且つ確実に着脱作業することができて、軸・孔兼
用のものとして軸用、孔用のいずれにも使用できる。
【0036】係合溝4,4、5,5に対する着脱工具の
係合状態を、着脱工具先端が係合溝4,4、5,5の後
側に突き出て係合した態様にできて、従来の差込み孔タ
イプのものに準ずる安定した係合状態が得られ、係合外
れによる止め輪の飛び跳ね事故の心配がない。
【0037】軸あるいは穴の溝部に嵌合した際に否嵌合
部分ができず、安定した嵌合具合を得ることができると
共に、被固定体との間に否固定部分ができないので、安
定した固定状態を得ることができる。そして、軸用ある
いは穴用のものとして使用できると共に、軸・穴兼用の
ものとしても使用することができて、製作面および経済
面の点からも有利である。
【0038】左右端部2,3における段差部2c,3c から
先側の厚さを止め輪本体1厚さの1/2 に形成して、重合
部分2a,3a の重合厚さが止め輪本体1厚さと同等になる
ようにしてあるため、重合部分2a,3a を含む止め輪本体
1全体の厚さが変わらない状態で着脱することができ
る。
【0039】対向状の左端部2先端と右端部3の段差部
3cとの間の円周方向の長さL1と、右端部3先端と左端部
2の段差部2cとの間の円周方向の長さL2を、止め輪本体
1径の縮小時における重合部分2a,3a のスライド長さと
ほぼ同等の比率関係に形成してあるため、穴の溝部に対
する着脱時に、着脱工具で止め輪本体1径を縮小させる
のにともない、重合部分2a先端が段差部3cに、重合部分
3a先端が段差部2cに、それぞれ当接して、着脱工具によ
る止め輪本体1の縮小動作を規制することにより、この
当接ショックによって止め輪本体1が溝部に対して着脱
可能であることを知ることができる。
【0040】また、仮に止め輪本体1を穴の溝部に対し
て着脱可能な程度以上に縮小させた場合でも、段差部2
c,3c を乗り越えた重合部分2a,3a 先端が係合溝5,5
に係合している着脱工具に突き当たって、その縮小動作
を最終的に規制されるため、止め輪本体1が縮小され過
ぎて変形するようなことがない。
【0041】止め輪本体1が、短辺側を厚さとして、長
辺側を表裏面とした横断面略矩形状であるため、軸ある
いは穴の断面四角形状溝部に対する嵌合強度が高く優れ
ている。
【0042】図2には本発明の止め輪の第2実施例を例
示しており、同じく軸・穴兼用タイプのもので、構成は
前記第1実施例のものと基本的に同一であるため、共通
している構成の説明は省略して、相違する構成について
説明する。
【0043】左右両端部2,3における外縁側には係合
溝5,5に代えて差込み孔6,6を形成してある。この
差し込み孔6は、左端部2の重合部分2a脇と、右端部3
の重合部分3a脇に、それぞれ表面側から裏面側に貫通状
に開孔している。
【0044】これにより、着脱作業の一部を除いて前記
第1実施例のものと同様の作用・効果を有し、その着脱
作業すなわち軸の溝部に対しては、左右の差込み孔6,
6に着脱工具を差し込んで、止め輪本体1径を拡大させ
て確実に着脱作業することができる。
【0045】図3には本発明の止め輪の第3実施例を例
示しており、同じく軸・穴兼用タイプのもので、構成は
前記第1実施例のものと基本的に同一であるため、共通
している構成の説明は省略して、相違する構成について
説明する。
【0046】左右両端部2,3における内縁側には係合
溝4,4に代えて差込み孔6,6を形成してある。この
差込み孔6,6は、左端部2の基部2bと、右端部3の基
部3bに、それぞれ表面側から裏面側に貫通状に開孔して
ある。
【0047】これにより、着脱作業の一部を除いて前記
第1実施例のものと同様の作用・効果を有し、その着脱
作業すなわち穴の溝部に対しては、左右の差込み孔6,
6に着脱工具を差し込んで、止め輪本体1径を縮小させ
て確実に着脱作業することができる。
【0048】図4には本発明の止め輪の第4実施例を例
示しており、同じく軸・穴兼用タイプのもので、構成は
前記第3実施例のものと基本的に同一であるため、共通
している構成の説明は省略して、相違する構成について
説明する。
【0049】止め輪本体1の外周縁は内周縁に対して、
同心円状の左右両端部2,3を除いて、中間部分から左
右両端部に向けて内周縁との間の幅が次第に狭まった態
様の非同心円状に形成してある。
【0050】これにより、前記第3実施例のものと同様
の作用・効果がある。
【0051】図5には本発明の止め輪の第5実施例を例
示しており、同じく軸・穴兼用タイプのもので、構成は
前記第2実施例のものと基本的に同一であるため、共通
している構成の説明は省略して、相違する構成について
説明する。
【0052】左右両端部2,3の厚さは止め輪本体1厚
さと同等にしてある。そして、左右の重合部分2a,3a
は、その重合面を略35度のテーパー状に形成してあり、
止め輪の縮径時には、重合部分2aが右端部3表面側に、
重合部分3aが左端部2裏面側に、それぞれ乗り上げるよ
うにしてある。また、止め輪の拡径後の弾性復帰時に
は、重合部分2a,3a が元の重合状に相互に案内し得るよ
うにしてある。
【0053】これにより、前記第2実施例のものと同様
の作用・効果を有し、さらに、左右両端部2,3におけ
る肉薄部分がテーパー状の重合部分2a,3a に限られ、し
かも、この重合部分2a,3a の円周方向の長さが僅かであ
ることによって、溝部に対して止め輪各部が等しい強度
で嵌合でき、被固定体に対しても止め輪各部で等しく接
触して固定することができる。また、止め輪の拡径後の
弾性復帰時に、重合部分2a,3a が元の重合状に相互に案
内して働くため、重合部分2a,3a の円周方向の長さが僅
かであっても、確実に元の重合状態に復帰し得る。
【0054】図6には本発明の止め輪の第6実施例を例
示しており、同じく軸・穴兼用タイプのもので、構成は
前記第5実施例のものと基本的に同一であるため、共通
している構成の説明は省略して、相違する構成について
説明する。
【0055】止め輪本体1の外周縁は内周縁に対して、
同心円状の左右両端部2,3を除いて、中間部分から左
右両端部に向けて内周縁との間の幅が次第に狭まった態
様の非同心円状に形成してあり、重合状の左右両端部
2,3の円周方向へのスライドにより弾性的に縮径およ
び拡径自在にしている。
【0056】これにより、前記第5実施例のものと同様
の作用効果が有る。
【0057】図7には本発明の止め輪の第7実施例を例
示しており、同じく軸・穴兼用タイプのもので、構成は
前記第2実施例のものと基本的に同一であるため、共通
している構成の説明は省略して、相違する構成について
説明する。
【0058】止め輪本体1は左右両端部2,3を含めて
内周縁と外周縁を同心円状に形成してある。
【0059】これにより、前記第2実施例のものと同様
の作用・効果が有る。
【0060】図8には本発明の止め輪の第8実施例を例
示しており、穴用タイプのもので、構成は前記第1実施
例のものと基本的に同一であるため、共通している構成
の説明は省略して、相違する構成について説明する。
【0061】左右両端部2,3における外縁側の係合溝
5を除いて構成してあり、内縁側の左右の係合溝4,4
に着脱工具を係合させて、止め輪本体1径を縮径するこ
とにより、穴の溝部に対して着脱自在である。
【0062】これにより、軸の溝部に対して着脱不可能
である点を除いて、前記第1実施例のものと同様の作用
・効果を有し、穴専用ものとして有用である。
【0063】図9には本発明の止め輪の第9実施例を例
示しており、軸用タイプのもので、構成は前記第1実施
例のものと基本的に同一であるため、共通している構成
の説明は省略して、相違する構成について説明する。
【0064】左右両端部2,3における内縁側の係合溝
4を除いて構成してあり、外縁側の左右の係合溝5に着
脱工具を係合させて、止め輪本体1径を拡径することに
より、軸の溝部に対して着脱自在である。
【0065】これにより、穴の溝部に対して着脱不可能
である点を除いて、前記第1実施例のものと同様の作用
・効果を有し、軸専用ものとして有用である。
【0066】図10には本発明の止め輪の第10実施例を例
示しており、同じく軸用タイプのもので、構成は前記第
9実施例のものと基本的に同一であるため、共通してい
る構成の説明は省略して、相違する構成について説明す
る。
【0067】止め輪本体1の外周縁は内周縁に対して、
同心円状の左右両端部2,3を除いて、中間部分から左
右両端部に向けて内周縁との間の幅が次第に狭まった態
様の非同心円状に形成してある。
【0068】これにより、前記第9実施例のものと同様
の作用・効果がある。
【0069】図11には本発明の止め輪を穴あるいは軸の
溝部に着脱するのに用いられる着脱工具を例示してお
り、(A)に示した着脱工具10は穴用のもので、先端を
外向き<形状に形成していて、この先端の屈曲状係合部
11に内縁側の左右係合溝4,4を確実に係合し得るよう
にしてある。(B)に示した着脱工具20は軸用のもの
で、先端を内向き>形状に形成していて、この先端の屈
曲状係合部21を外縁側の左右係合溝5,5に確実に係合
し得るようにしてある。
【0070】
【発明の効果】
A.請求項1により、略円環状の止め輪本体における両
端部先端の重合部分の重合厚さが止め輪本体厚さと同等
で、この両重合部分が相互にほぼ円周方向にスライド且
つ弾性復帰自在であり、前記両端部の内縁か外縁の少な
くともいずれかに係合溝を、内縁側では同内縁から端部
先端側に向けて入り込む凹み状に、外縁側では同外縁か
ら端部先端と相対する方向に入り込む凹み状に形成して
あるため、係合溝脇における内縁あるいは外縁部分がガ
イドとして働いて、係合溝に向かう着脱工具の動きを円
滑に案内すると共に、係合溝が着脱工具を喰え込むよう
に働くものである。
【0071】B.同項により、着脱工具を係合溝脇の縁
部分に当てがって操作するだけで、係合溝に確実に係合
でき、止め輪に対する着脱工具の係合作業を、さほど経
験がなくとも、一度に迅速且つ正確に行うことができ、
そして着脱工具で止め輪本体径を拡大・縮小させること
により、軸あるいは穴の溝部に対して迅速に着脱するこ
とができる。
【0072】C.同項により、係合溝を内縁あるいは外
縁から凹み状に形成しているため、止め輪の最大幅を、
従来の差込み孔タイプのものに比べて小幅化可能であ
り、この種の要求に対応できると共に、係合溝を内縁お
よび外縁に形成している態様では、軸・孔兼用のものと
して軸用、孔用のいずれにも使用することができる。
【0073】D.同項により、係合溝に対する着脱工具
の係合状態を、着脱工具先端が係合溝の後側に突き出て
係合した態様にできて、従来の差込み孔タイプのものに
準ずる安定した係合状態が得られ、係合外れによる止め
輪の飛び跳ね事故の心配がない。
【0074】E.同項により、軸あるいは穴の溝部に嵌
合した際に否嵌合部分ができず、安定した嵌合具合を得
ることができると共に、被固定体との間に否固定部分が
できないので、安定した固定状態を得ることができる。
【0075】F.請求項2により、両端部の内縁か外縁
のいずれかに前記係合溝を有し、且つ両端部の前記重合
部分脇に差込み孔をそれぞれ開孔してあるため、係合溝
が内縁側に形成されているものでは、穴の溝部への着脱
は係合溝に着脱工具を係合させて行って、軸の溝部への
着脱は差込み孔に着脱工具を差し込んで行い、係合溝が
外縁側に形成されているものでは、穴の溝部への着脱は
差込み孔に着脱工具を差し込んで行って、軸の溝部への
着脱は係合溝に着脱工具を係合させて行うことにより、
軸・孔兼用のものとして軸用、孔用のいずれにも使用す
ることができる。
【0076】G.請求項3により、止め輪本体が、短辺
側を厚さとして、長辺側を表裏面とした横断面略矩形状
であるため、軸あるいは穴の断面四角状溝部に対する嵌
合強度が高く優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の止め輪の第1実施例で軸・穴兼用タ
イプを示し、(A)は正面図、(B)は底面図。
【図2】 本発明の止め輪の第2実施例で軸・穴兼用タ
イプを示し、(A)は正面図、(B)は底面図。
【図3】 本発明の止め輪の第3実施例で軸・穴兼用タ
イプを示し、(A)は正面図、(B)は底面図。
【図4】 本発明の止め輪の第4実施例で軸・穴兼用タ
イプを示し、(A)は正面図、(B)は底面図。
【図5】 本発明の止め輪の第5実施例で軸・穴兼用タ
イプを示し、(A)は正面図、(B)は部分拡大底面
図。
【図6】 本発明の止め輪の第6実施例で軸・穴兼用タ
イプを示し、(A)は正面図、(B)は部分拡大底面
図。
【図7】 本発明の止め輪の第7実施例で軸・穴兼用タ
イプを示し、(A)は正面図、(B)は底面図。
【図8】 本発明の止め輪の第8実施例で穴用タイプを
示し、(A)は正面図、(B)は底面図。
【図9】 本発明の止め輪の第9実施例で軸用タイプを
示し、(A)は正面図、(B)は底面図。
【図10】 本発明の止め輪の第10実施例で軸用タイプを
示し、(A)は正面図、(B)は底面図。
【図11】 本発明の止め輪に用いる着脱工具の一例を示
す部分正面図で、(A)は穴の溝部用の着脱工具を、
(B)は軸の溝部用の着脱工具を、それぞれ示してい
る。
【図12】 従来の止め輪の例示している正面図。
【符号の説明】
1 止め輪本体 2 左端部 2a 左端部の重合部分 2b 左端部の基部 2c 左端部の段差部 3 右端部 3a 右端部の重合部分 3b 右端部の基部 3c 右端部の段差部 4,5 係合溝 6 差し込み孔 10,20 着脱工具 11,21 着脱工具の係合部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略円環状の止め輪本体における両端部先
    端の重合部分の重合厚さが止め輪本体厚さと同等で、こ
    の両重合部分が相互にほぼ円周方向にスライド且つ弾性
    復帰自在であり、前記両端部の内縁か外縁の少なくとも
    いずれかに係合溝を、内縁側では同内縁から端部先端側
    に向けて入り込む凹み状に、外縁側では同外縁から端部
    先端と相対する方向に入り込む凹み状に形成したことを
    特徴とする止め輪。
  2. 【請求項2】 両端部の内縁か外縁のいずれかに係合溝
    を有し、且つ両端部の前記重合部分脇に差込み孔をそれ
    ぞれ開孔していることを特徴とする請求項1記載の止め
    輪。
  3. 【請求項3】 前記止め輪本体が、短辺側を厚さとし
    て、長辺側を表裏面とした横断面略矩形状であることを
    特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の止め輪。
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