JP4661724B2 - シャフトとヨークとの仮止め構造 - Google Patents

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本発明は、シャフトを自在継手等のヨークに挿入して結合する際に、それらを仮止めする構造に関する。
自在継手等は、様々な箇所に用いられており、車両用ステアリング装置において、操舵操作を転舵装置に伝達するシャフトを連結するために用いられるものがその一例である。シャフトとヨークとの結合作業は、例えば、シャフトをヨークの挿入穴に挿入した状態で、ヨークを貫通する締結具をシャフトに対して締め付けることによってなされる。しかしながら、自在継手は可動性に富み固定しにくいことや、シャフトが固定されていない状態で作業する場合があること等に起因して結合作業が行いにくい場合がある。それに対し、下記特許文献1には、シャフトと開放ヨークとを仮止めする器具が記載されている。なお、開放ヨークはU字状の断面形状をしているものであり、仮止め器具によって作業性が向上させられている。
特許3449918号公報
上記特許文献1に記載の仮止め器具は、ヨークがU字断面であることが一因であるが、比較的大きく複雑な形状をしている。仮止め器具が大きいと配設場所の制約が大きくなるという問題があり、また、複雑な形状の部品は生産コストが比較的高くなるという問題がある。また、複雑な形状の部品は形状や寸法がばらつきやすく、例えば、上記仮止め器具の寸法誤差が大きい場合には、シャフトとヨークとをスムーズに仮止め位置に位置させることができない可能性もある。以上のような問題は、従来の仮止め構造の実用性を向上させる上で障害となり得る問題の一例であり、仮止め構造には種々の観点からの改良の余地がある。すなわち、従来の仮止め構造に改良を施すことによって、仮止め構造をコンパクトにすることやコストを低下させることができる等、実用性を向上させることが可能である。本発明は、そういった実情に鑑みてなされたものであり、より実用的なシャフトとヨークとの仮止め構造を得ることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明のシャフトとヨークとの仮止め構造は、(a)弾性を有し、前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との一方に径方向に突出して片持ち状に設けられた板状部の径方向の突出量がその板状部の基端部から先端部へ漸増させられるとともに、その板状部の幅が前記基端部から前記先端部へ漸増させられることにより剛性が前記基端部から前記先端部へ漸増させられた爪部と、(b)前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との他方に設けられ、前記シャフトが前記挿入穴に挿入される際に前記爪部と干渉してその爪部の突出量が減少するように弾性変形させる干渉部と、(c)前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との前記他方に、軸方向において前記干渉部に隣接するとともに径方向において前記干渉部よりも後退して設けられ、前記シャフトが設定量挿入された状態で、前記干渉部を乗り越えた前記爪部の弾性変形量の減少を許容してその爪部と係合する係合部とを含むことを特徴とする。
また、本発明によって、(A)前記シャフトの、前記挿入穴に挿入される挿入部の先端部に形成され、前記挿入部の他の部分より小径の小径部と、(B)(a)その小径部の外周面に嵌合された環状部と、(b)その環状部から前記挿入部の前記挿入穴への挿入方向とは逆方向に片持ち状に延びかつ径方向に突出した板状部の径方向の突出量がその板状部の基端部から先端部へ漸増させられるとともに、その板状部の幅が前記基端部から前記先端部へ漸増させられることにより剛性が前記基端部から前記先端部へ漸増させられた爪部とを備えた爪付部材と、(C)前記挿入穴に設けられ、その挿入穴に前記シャフトが挿入される際に前記爪部と干渉してその爪部の半径方向外向きの突出量が減少するように弾性変形させる干渉部と、(D)前記挿入穴に、軸方向において前記干渉部に隣接するとともに径方向において前記干渉部よりも後退して設けられ、前記シャフトが前記設定量挿入された状態で、前記干渉部を乗り越えた前記爪部の弾性変形量の減少を許容してその爪部と係合する係合部とを含むことを特徴とするシャフトとヨークとの仮止め構造も得られる。
本発明のシャフトとヨークとの仮止め構造によれば、ヨークの挿入穴にシャフトを設定量挿入するのみで抜けなくなるようにすることができ、ヨークとシャフトとを結合する際の作業性を向上させることができる。また、本仮止め構造は、非常にシンプルな構成であるため、コストを低く抑えることができ、また、コンパクトにすることができる。その上、シャフトの外周部とヨークの内周部との一方に設けられて、他方に設けられた係合部と係合する爪部を、片持ち状にかつ径方向に突出して設けた板状部の径方向の突出量をその板状部の基端部から先端部へ漸増させるとともに、その板状部の幅を基端部から先端部へ漸増させることにより剛性を前記基端部から前記先端部へ漸増させたものとすることによって、爪部全体を座屈しにくくしたり、爪部の先端を損傷しにくくしたりしつつ、ヨークの挿入穴へのシャフトの挿入当初における抵抗力を小さくすることができる。すなわち、本発明によれば、より実用的な仮止め構造が得られるのである。なお、本発明の仮止め構造の各種態様およびそれらの作用および効果については、以下の、〔発明の態様〕の項において詳しく説明する。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から一部の構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)ヨークに設けられた挿入穴にシャフトを設定量挿入した状態で仮止めする構造であって、
弾性を有し、前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との一方に径方向に突出して設けられた爪部と、
前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との他方に設けられ、前記シャフトが挿入される際に前記爪部と干渉してそれの突出量が減少するように弾性変形させる干渉部と、
前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との前記他方に、軸方向において前記干渉部に隣接するとともに径方向において前記干渉部よりも後退して設けられ、前記シャフトが設定量挿入された状態で、前記干渉部を乗り越えた前記爪部の弾性変形量の減少を許容してその爪部と係合する係合部と
を含むことを特徴とするシャフトとヨークとの仮止め構造。
本項に記載の仮止め構造は、自在継手等のヨークの挿入穴に設定量挿入されたシャフトが容易に抜けないようにするものである。したがって、本仮止め構造によれば、ヨークとシャフトとを結合する作業において、例えば、ボルト・ナットを締め付けて結合する場合にシャフトがヨークから抜けないように支える必要が無く、作業性を向上させることができる。特に、狭い場所で作業する必要がある場合や、シャフトやヨークが固定されていない場合に好適である。車両室内あるいはエンジンルーム内の作業をする場合や、車両用ステアリング装置のインターミディエイトシャフト等、伸縮自在のシャフトを結合する場合がその好例である。
本仮止め構造は、シャフトとヨークとの軸方向の相対移動に伴って、それらの一方に設けられた爪部が、他方に設けられた干渉部と接触して弾性変形させられ、突出量が一旦減少した後、シャフトが設定量挿入された状態になると弾性変形量が減少して突出量が増加し、係合部と係合するように構成されており、非常にシンプルな構成とされている。また、爪部は、それ自体が弾性変形するため、例えば、スプリング等のばね部材とロッドやボールとを組み合わせて係合装置を構成した場合に比べて製造が容易となる。そのため、コストを低く抑えることができ、また、ヨークとシャフトとを結合する部分を比較的コンパクトにすることができる。すなわち、本項に記載の態様によれば、シャフトとヨークとの結合作業の作業性を向上させるとともにコストを低く抑える等、より実用的な仮止め構造が得られるのである。
なお、本仮止め構造において、例えば、爪部がシャフトに設けられた場合には、ヨークの内周部に干渉部と係合部とが設けられる。一方、爪部がヨークに設けられた場合には、シャフトの外周部に干渉部と係合部とが設けられることとなる。
爪部は、弾性を有する材料、例えば、金属や樹脂等の材料で形成することができる。爪部の形状は、特に制限されないが、例えば、後に実施例の項で説明するように楔形状、板状状等の形状とすることができる。また、爪部は、上述の材料、形状に形成された部材を、例えば、溶接、締結、接着、嵌合等の固定手段によってシャフトとヨークとの一方に固定することによって設けることができる。
干渉部は、例えば、シャフトの外周部とヨークの内周部(挿入穴の内周面)との他方に突起を設けることによって形成することができる。そして、爪部が突起を乗り越えた後に対向する部分が係合部となる。この場合には、係合部は意図的に形成する必要がないと考えることもできるが、突起の無い部分を確保することが係合部を形成することと考えることができる。
また、干渉部は、例えば、シャフトの外周部自体あるいはヨークの内周部自体とすることができる。そして、シャフトが設定量挿入された状態で爪部と対向する位置に、穴や溝等の凹部を設けることによって係合部を形成することができる。この場合には、干渉部を意図的に形成する必要がないと考えることもできるが、爪部がシャフトの外周部自体等と干渉するように構成することが干渉部を形成することと考えることができる。
なお、本項に記載の仮止め構造を、爪部と係合部との係合を解除する係合解除部(後述する)を含むものとすることができる。その場合には、仮止めされたシャフトをヨークから引き抜くことができ、利便性が向上する。係合解除部は、例えば、ヨーク外部から爪部や干渉部に力を加えて係合を解除することを許容する態様等とすることができる。
(2)前記爪部が、前記シャフトの先端側から基端側に向かう向きにおいて、前記シャフトの軸線からの距離が増加する形状にされた(1)項に記載の仮止め構造。
爪部は、仮止めに必要な程度の強度を有することが望ましいが、強度が大きくなると弾性変形しにくくなり、シャフト挿入時の抵抗が大きくなる場合がある。また、生産コストを低く抑えるには、爪部等の寸法誤差をなるべく許容することが望ましいが、寸法誤差によってシャフト挿入時の抵抗が大きくなる場合がある。
それに対し、本項に記載の態様は、例えば、軸方向において爪部の干渉部と干渉する側の部分(以後、「干渉側部」と略記する場合がある)であって、爪部の少なくとも一部分を傾斜させることにより、挿入時に弾性変形し易くするものである。そのため、挿入時の抵抗が減少し、比較的スムーズにシャフトをヨークに挿入することができる。すなわち、容易に仮止めを行うことができ、作業性が向上するのである。なお、本項に記載の態様において、爪部の干渉側部が全体として傾斜していればよく、上記軸線からの距離が変化しない部分や軸線と垂直になる部分を含んでいてもよい。
本項の記載の爪部は、例えば、シャフトが挿入される直前の状態において、干渉部に近い側の部分である前方部よりも、干渉部から遠い側の部分である後方部の方が、シャフトの外周部とヨークの内周部との一方からの距離が大きくなる向きに傾斜した形状にされたものとすることができる。そして、爪部が、それの前方端部の径方向の位置がシャフト挿入時に干渉部と干渉しない位置にされるとともに、それの前方端部よりも後方側の部分において干渉部と最初に当接するものとされることが望ましい。
なお、本項の爪部の干渉側部の少なくとも一部を、例えば、シャフトの先端側から基端側に向かう向きにおいて、シャフトの軸線からの距離が漸増する形状にされた傾斜部とすることができる。具体的には、例えば、シャフトが挿入される際に干渉部と摺接する部分である摺接部を傾斜部とする態様においては、傾斜部が干渉部に押されて爪部が必然的に突出量が減少する向きに弾性変形させられ、挿入時の抵抗が小さくなる。また、例えば、摺接部よりも基端部側の部分を傾斜部とする態様においては、爪部が傾斜部において突出量が減少する向きに弾性変形し易くなり、挿入時の抵抗が小さくなる。当然ながら、爪部の干渉側部の全てを傾斜部とすることも可能である。傾斜部は、直線的な形状にすることや、曲線的な形状にすることができる。
(3)前記爪部が、軸線と平行な断面において、前記干渉部の側に凹となる形状にされた(2)項に記載の仮止め構造。
本項に記載の態様は、例えば、軸方向において爪部の干渉部と干渉する側の部分(以後、「干渉側部」と略記する場合がある)が、湾曲、屈曲した形状にされたものである。爪部を干渉部の側に凹となる形状とすると、概して、爪部の前方側の傾斜が小さくなり、後方側の傾斜が大きくなる。つまり、爪部の前方側の傾斜を小さくするとともに、径方向への突出量を容易に確保することができるのである。また、後の実施例において詳細に説明するが、爪部を干渉部の側に凹となる形状にすると、干渉側部が直線的な傾斜面にされた場合と比較して、爪部が弾性変形しやすくなり、挿入時の抵抗をさらに減少させることができる。それは、例えば、爪部が板状の部材から形成されたものである場合には、爪部が、それの基端部から離れた部分において最初に干渉部と当接することで、撓みしろが増加すること等により、爪部が弾性変形し易くなる。また、例えば、爪部が楔状の部材から形成されたものである場合には、剛性が低下すること等により、爪部が弾性変形し易くなる。
(4)前記爪部が、軸線と平行な断面において、前記干渉部の側に凹となる湾曲した形状にされた(2)項または(3)項に記載の仮止め構造。
本項の態様は、例えば、干渉側部の断面が円弧状にされたものであり、前項の「爪部が干渉部の側に凹となる形状にされた」態様の一例である。なお、干渉側部の断面の曲率半径が一定であることを要しない。断面を円弧状にすることにより、干渉部と当接する位置に拘わらず、爪部を比較的スムーズに弾性変形させることができる。例えば、干渉側部を屈曲させた態様では、干渉部が屈曲部よりも基端部側の部分に最初に当接すると、干渉部が屈曲部の前後と摺接する際の抵抗が比較的大きく変化することになるのであまり好ましくない。したがって、前項の態様において、爪部が屈曲部を有する場合には、干渉部が屈曲部よりも先端部側の部分と最初に当接することが望ましい。
また、後の実施例において詳細に説明するが、干渉側部が直線的な傾斜面にされた場合と比較して、干渉部が最初に当接する部分の傾斜角度を小さくすることが可能であり、挿入時の抵抗をさらに小さいものとすることができる。
(5)前記爪部が、前記係合部と係合する先端部側の部分と比較して基端部側の部分の剛性が小さいものである(2)項ないし(4)項のいずれかに記載の仮止め構造。
爪部は、上述したように、ある程度の強度を有するとともに弾性変形し易いものであることが望ましい。そこで、係合部と係合する先端部側の部分はある程度の強度を確保しつつ、基端部側の部分(例えば、爪部が固定されている付け根の部分)の剛性を小さくすることにより、爪部が全体として弾性変形しやすくなり、挿入時の抵抗をさらに小さいものとすることができる。剛性を変化させるために、例えば、爪部の幅寸法や厚さ寸法を変えること、爪部に孔を開けること、異なる材質の部材を組み合わせて爪部を形成すること等ができる。なお、爪部の先端部から基端部に向けて、爪部の剛性を漸減させても、段階的に減少させてもよい。
なお、仮止めを解除する必要がある場合において、係合解除部が設けられない場合や、設けられていても何らかの原因で爪部と係合部との係合を解除できない場合に、仮止めされたシャフトを強い力で引き抜くことができるようにすることができる。例えば、爪部の付け根の部分の強度を小さくすると、付け根部分が破断あるいは折れ曲がりやすくなり、仮止めされたシャフトを引き抜き易くなる。
(6)前記爪部が、前記係合部と係合する先端部側の部分と比較して基端部側の部分の幅寸法が小さくされたものである(2)項ないし(5)項のいずれかに記載の仮止め構造。
本項の態様は、前項の態様を具体的にしたものであり、先端部側の部分よりも基端部側の部分の幅寸法を小さくすることにより、爪部の強度を確保しつつ、弾性変形しやすくするものである。
(7)前記爪部が、基端部において前記シャフトと前記ヨークとの一方に固定されるとともに軸方向に延びる板状の部材が曲げられて形成されたものである(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の仮止め構造。
本項に記載の態様によれば、例えば、板状の部材を湾曲あるいは屈曲させて径方向に突出させることにより、爪部を容易に形成することができる。そのため、仮止め構造のコストを低く抑えることができる。また、板状の部材は容易に弾性変形するため、挿入時の抵抗を減少させることが容易となる。板状の部材は、例えば、ばね鋼,ステンレス鋼等の金属製とすることができる。なお、板状の部材が曲げられて形成された爪部は、係合部と係合した状態において、シャフトが予定された力よりも強い力で引き抜かれると、例えば、座屈しあるいは折損して係合が解除される態様とすることができる。
(8)当該仮止め構造が、前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との前記一方に嵌められる環状部材を含み、
前記板状の部材が、前記環状部材から連続的に延び出すものとされた(7)項に記載の仮止め構造。
本項に記載の態様によれば、板状の部材をシャフトとヨークとの一方に容易に固定することができる。環状部材は、例えば、両端部が開口しているものとすることや、一方の端部が閉塞されたものとすることができる。環状部材のシャフトあるいはヨークへの固定は、接着や溶接によることも可能であるが、圧入によることが簡便である。
(9)当該仮止め構造が、前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との前記一方に嵌められる筒状部材を含み、
前記爪部が、前記筒状部材の一部分が切り曲げされて形成された(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の仮止め構造。
本項に記載の態様によれば、爪部を容易に形成することができ、コストを低く抑えることができる。
(10)当該仮止め構造が、前記爪部と前記係合部との係合を解除する係合解除部を含む(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の仮止め構造。
本項に記載の態様は、例えば、シャフトが仮止めされた状態において、爪部を弾性変形あるいは径方向に後退させて係合を解除する態様、干渉部を径方向に後退させて係合を解除する態様等とすることができる。
(11)当該仮止め構造が、前記ヨーク外部から前記爪部と前記係合部との係合を解除する部材を通す通路を含む(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の仮止め構造。
本項に記載の態様は、例えば、係合部としてヨーク外部からヨーク内部まで貫通する貫通穴が設けられた態様である。その場合には、その貫通穴にドライバー等の係合解除部材を差し込んで爪部を弾性変形させ、爪部と係合部との係合を解除することが可能である。また、本仮止め構造を、例えば、貫通穴にピンを挿入し、そのピンの先端部を挿入穴側に突出させて干渉部を形成した態様とすることもできる。その場合には、係合解除部材としてのピンを引き戻すことによって係合を解除することができる。さらにまた、後の実施例で説明するように、例えば、爪部を保持する部材を貫通穴に挿入し、爪部を挿入穴に突出させることによって爪部を形成した態様とすることもできる。その場合には、係合解除部材としての爪部を保持する部材を引き戻すことによって係合を解除することができる。すなわち、本項に記載の態様は、容易に仮止めを解除することができるため利便性に優れ、実用性の高い仮止め構造にされているのである。なお、「通路」は直線的なものに限られず、曲線的なものとすることもできる。
以下、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、決して下記の実施例に限定されるものではなく、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
図1に、車両のステアリング装置に設けられるインターミディエイトシャフト20を示す。この図において、右側が運転席側、つまり、車両後方側であり、左側が車両前方側である。このインターミディエイトシャフト20は、インナチューブ22とアウタチューブ24とを有している。それらインナチューブ22とアウタチューブ24とがボールスプライン構造によって軸方向に相対移動可能に連結されることで、インターミディエイトシャフト20が滑らかに伸縮可能にされている。そのインターミディエイトシャフト20はアウタチューブ24の後端において、図示しないステアリングシャフトと自在継手を介して連結される。一方、インナチューブ22の前端において、自在継手30(図2参照)を介して、前輪を転舵する転舵装置(図示省略)と連結される。
図2に、インナチューブ22と転舵装置とを連結する自在継手30を示す。この自在継手30は、2つのヨーク32,33と、それら2つのヨーク32,33を結合する十字軸34とを備えている。ヨーク32,33は、互いに直交する軸線回りに相対回動可能とされている。ヨーク32は、シャフトを保持するためのシャフト保持部36と、そのシャフト保持部36から二股に延びるアーム部38とを有している。それらアーム部38に十字軸34が挟まれた状態で回転可能に支持されている。
図3に、シャフト保持部36のA−A断面を示す。シャフト保持部36は、両端が折り返されたやや肉厚の板状の部材がU字形状にされることで形成されている。そのシャフト保持部36のU字の底部に相当する底部39の内側には、シャフトを挿入するための挿入穴40が形成され、U字の両アームに相当する一対のアーム部41を貫通してボルト穴42が形成されている。したがって、挿入穴40にインターミディエイトシャフト20(以後、「シャフト20」と略記する場合がある)の前方端部(詳しくは、インナチューブ22の前方端部)を挿入し、ボルト穴42にボルトを通してナットを締め付けることにより、挿入穴40を狭めてシャフト20を固定することができる。なお、シャフト20の前方端部の外周部および挿入穴40の内周部には、それぞれセレーション44,46が形成されており、シャフト20とヨーク32とが確実に相対回転不能に結合されるようにされている。
また、シャフト保持部36には、後述するシャフト20の爪と係合する係合穴48が、ヨーク32の外部から内部まで、前記U字の中央線に平行に貫通して形成されている。
図4に、シャフト20の前方端部を拡大したものとヨーク32の一部断面とを示す。シャフト20の前方端部には、外径が小さくされた小径部50と、ヨーク32に結合される結合部52とが設けられている。その結合部52の外周部には、上述したようにセレーション44が形成されている。また、結合部52の外周部には、軸方向と交差する方向の切欠54が形成されている。この切欠54は、シャフト20とヨーク32とが結合された状態において、シャフト保持部36を締め付けるボルトの一部がこの切欠54内に位置することにより、シャフト20とヨーク32との相対回転位置が規定されるとともに、シャフト20のシャフト保持部36からの離脱が確実に防止される。
小径部50には、シャフト20とヨーク32とを仮止めするための爪60を有する爪付カップ62が固定されている。この爪付カップ62は、ステンレス鋼製であり、一端部が閉塞された筒形状をなしている。そして、図9に示すように、開口した端部の側において、2つの切欠64が、軸方向に平行にかつ互いに周方向に隔たって形成されており、その結果、2つの切欠64の間に爪60が片持ち状に形成されている。2つの切欠64は、周方向において互いに近い側の側縁が爪付カップ62の開口側に向かうに従って互いに離間する向きに傾斜させられており、そのために爪60は、概して、基端側から先端側に向かって幅が漸増する台形状をなしている。爪60は基端側から先端側に向かうに従って小径部50の軸線から遠ざかる向きに曲げ起こされており、一般に「切り曲げ」と称されている、板状部材の一部を切断するとともにその切断線に囲まれた部分を曲げ起こす加工法によって形成されていると考えることができる。本実施例においては、この爪付カップ62の小径部50への固定は、爪付カップ62に小径部50が圧入されることによってなされているが、その他、接着、溶接、螺合、かしめ等、種々の固定手段によって固定することができる。
本実施例において、爪付カップ62のうちの小径部50の外周に嵌められる部分であって、一円周に渡って連続した部分が「環状部材」を構成しており、爪付カップ62に形成された爪60が「筒状部材の一部分が切り曲げされて形成された爪部」の一具体例である。
シャフト20がヨーク32の挿入穴40に挿入される際には、爪60は、挿入穴40のアーム部41側の内周部と干渉して弾性変形させられる。そして、ヨーク32の内周部(挿入穴40の内周面)に接したままシャフト20とともに移動する。さらに、図5に示すように、シャフト20が設定量挿入されると、爪60は、係合穴48が設けられた位置に到達し、弾性変形が解消されて先端部が係合穴48と係合することとなる。よって、シャフト20は挿入穴40から抜けなくなり、仮止めがなされる。すなわち、本実施例において、ヨーク32の内周部が「干渉部」を構成し、係合穴48が「係合部」を構成し、それら干渉部および係合部が爪60と共同して「シャフトとヨークとの仮止め構造」を構成しているのである。
なお、この仮止めを解除するために、ヨーク32外部から係合穴48にドライバー等を差し込んで、爪60を小径部50に接近する向きに弾性変形させることができるようにされている。すなわち、係合穴48は、「係合解除部」の一具体例であり、また、「ヨーク外部から爪部と係合部との係合を解除する部材を通す通路」として機能しているのである。
上述のように、爪60は係合穴48と係合してシャフト20のヨーク32からの離脱を防止するものであるから、小径部50から半径方向外向きの突出量が多いほど確実に係合穴48と係合して、シャフト20の離脱を防止することができる。一方、爪60は、シャフト20の挿入時にはヨーク32の内周部と摺接して弾性変形させられるが、その際に発生する抵抗が小さいほど作業性がよい。それに対して、本実施例において、爪60は、基端部から先端部に向かって、シャフト20の軸線からの距離が漸増させられており、つまり傾斜させられており、弾性変形しやすくされている。また、爪60は、シャフト20が挿入される直前の状態において、干渉部たるヨーク32の内周部に近い側の部分である前方部よりも、ヨーク32の内周部から軸方向において遠い側の部分である後方部の方が、シャフト20の外周部からの距離が大きくなる向きに傾斜した形状にされたものとされている。そして、爪60の最前方部の径方向の位置がシャフト挿入時に干渉部たるヨーク32の内周部と干渉しない位置にされ、最前方部よりも軸方向において後方側の部分においてヨーク32の内周部と最初に当接するものとされており、挿入時の抵抗が比較的小さくなるようにされている。
ところで、ヨーク32の内周部が爪60を弾性変形させる際、シャフト20とヨーク32とに加えるべき軸方向の力は、爪60の傾斜角が大きいほど大きくなり、また、爪60のヨーク32と接触する部分における傾斜角が同じであれば、ヨーク32と接触する部分が爪60の基端に近いほど大きくなる。したがって、仮に、爪60が基端から先端まで直線的に延びる形状を有し、幅および厚さが一定であるとすれば、ヨーク32の内周部が爪60に接触を開始した直後に、シャフト20とヨーク32とに加えるべき軸方向の力が最大となる。
それに対して、本実施例においては、爪60が、図6に拡大して示すように、小径部50に向かって凸に湾曲させられている。すなわち、本実施例において、爪60の外周側の面が、軸方向において干渉部としてのヨーク32の内周部と干渉する側の部分である「干渉側部」とされており、その干渉側部が、軸線と平行な断面において、干渉部に向かって凹に湾曲させられているのである。そのため、図7に模式的に示すように、爪が直線的な形状にされた場合(図において点線で示す)と比較して、爪60のヨーク32の内周部(詳しくは、ヨーク32のアーム部41)と最初に接触する部分と基端部との距離が大きくなって撓み代が増加する(図において接触点が「P1,P2」で示され、撓みしろが「L2>L1」で比較されている)。そのため、爪60を弾性変形させる力が小さくなり、シャフト20を挿入するために必要な力がさらに小さくて済む。また、本実施例において、爪60のヨーク32の内周部と最初に接触する部分の傾斜角(図において「接線」を記載)が、爪が直線的な形状にされた場合と比較して、小さくなるようにされている。そのため、シャフト20を挿入するために必要な力がさらに小さくて済むのである。
また、図8に模式的に示すように、ヨーク32の内周部と爪60との接触点が爪60の先端側に移動するにつれて、爪60の弾性変形量が大きくなり、爪60全体の傾斜角が小さくなるとともに、傾斜角の減少量は先端側ほど大きくなる(図において変形後の爪を点線で示す)。そのため、爪60が、自由状態においては先端側ほど傾斜角が大きい形状に湾曲しているにもかかわらず、爪60の実際にヨーク32の内周部と接触する部分の、接触時点における傾斜角は十分小さくなり、爪60を弾性変形させるためにシャフト20とヨーク32とに加えるべき軸方向の力が小さくなる。なお、爪60の外周側の面を、干渉部としてのヨーク32の内周部と摺接する「摺接部」とし、その摺接部が湾曲させられていると考えることもできる。また、本実施例において、爪60は、一定の曲率半径の円弧形状に湾曲させられているが、放物線等のように曲率半径が一定でない形状とすることもできる。
なお、上述のように、爪60のヨーク32の内周部と最初に接触する部分の傾斜角が小さくなることは、シャフト20を挿入するために必要な力を小さくするために必須の要件ではない。例えば、図14に模式的に示すように、爪が直線的な形状にされた場合と比較して、当該傾斜角が同じになるかあるいは大きくなっても、撓み代の増加(L2>L1)によって爪60が弾性変形し易くなる。また、図15に模式的に示すように、爪60の弾性変形に伴い爪60の先端側の傾斜角が大幅に減少するという作用についても同様である。
ところで、本実施例において、爪60は設定された幅寸法とされているため、その側縁においてヨーク32の内周部と接触する。ところが、後述するように爪60は先端部から基端部に向かって幅が漸減するようにされているため、厳密には、ヨーク32の内周部と最初に接触する部分と基端部との距離を、図7に示したように単純に考えることはできない。爪60の幅が狭い部分は基端部から若干遠い位置でヨーク32の内周部と接触し、幅が広い部分は径方向において基端部に若干近い位置でヨーク32の内周部と接触すると考えられる。そうすると、実際には、湾曲した爪60がヨーク32の内周部と最初に接触する部分と基端部との距離L2が、図に示したものより若干小さくなるか、逆に、L1が若干大きくなるものと考えられる。しかしながら、ほとんどの場合において、爪60を湾曲させることによって、上記距離L2をL1よりも大きくすることができる。
以上のような、爪60の幅寸法の変化による接触位置への影響は、図8においても同様であるが、シャフト20の挿入時に爪60が弾性変形させられる過程において、爪60の先端部の傾斜角が小さくなってゆくという傾向は変わらない。
爪60の剛性については、厚さが一定であるとすれば幅が広いほど大きくなる。そのため、仮に爪60の幅が基端側から先端側まで一定であるとすれば、ヨーク32の内周部が爪60に接触を開始した直後に、シャフト20とヨーク32とに加えるべき軸方向の力が大きくなる。それに対して、本実施例においては、図9に拡大して示すように、爪60の形状が台形状とされ、基端部(付け根部分)の幅b1が、先端部の幅b2よりも小さく(図示の例においてはb1はb2の半分)されている。すなわち、爪60の基端部の幅を先端部よりも小さくすることによって、先端部の強度を確保しつつ爪60全体として弾性変形し易くなり、シャフト20とヨーク32とに加えるべき軸方向の力が小さくなるのである。
以上に述べたように、爪60の湾曲と、幅の変化とによって、ヨーク32の内周部が爪60の基端近くの部分を小径部50に向かって弾性変形させる力が小さくて済み、結局、ヨーク32の内周部が爪60に接触を開始した直後に、シャフト20とヨーク32とに加えるべき軸方向の力が小さくて済む。
なお、爪60の幅を基端側から先端側までb1とすれば、爪60を弾性変形させるためにシャフト20とヨーク32とに加えるべき軸方向の力がさらに小さくなるが、爪60の座屈強度が低下し、シャフト20のヨーク32からの離脱を防止する能力が不足する傾向が生じる。また、爪60の係合穴48と係合する先端部の横断面積が不足して、係合穴48の内周面から爪60に加えられる力を十分に分散させ得なくなり、先端部に局部的な塑性変形あるいは破損が生じる可能性もある。
さらに、爪60全体の傾斜角を小さくすれば、湾曲させなくても、シャフト20とヨーク32とに加えるべき軸方向の力を小さくし得るが、爪60の半径方向の突出量が小さくなってしまい、爪60の先端が確実に係合穴48に係合することを保証するために、爪60の成形精度を高めることが必要となり、爪付カップ62の加工コストが高くなり、あるいは不良品の発生により歩留まりが悪化して、爪付カップ62の生産コストが高くなってしまう。
以上要するに、本実施例における爪60の形状の選択によって、爪60の半径方向の突出量を大きくして、加工精度を高める必要性をなくし、かつ、爪60の必要強度を確保しながら、爪60を弾性変形させるためにシャフト20とヨーク32とに加えるべき軸方向の力を小さくして、仮止め作業を容易にすることができるのである。
なお、本実施例において、爪60の基端部の幅が先端部よりも小さくされ、シャフト20を強い力で引き抜くことにより、爪60を基端部付近で屈曲させ、あるいは、破断させて係合を解除することができるようにされている。つまり、爪60の基端部の強度が、仮止めに必要な力よりある程度大きな力が加わると屈曲、破断等する程度の強度になるように、爪60の基端部の強度が調整されているのである。
上記実施例において、爪60が爪付カップ62の一部として形成され、爪付カップ62が小径部50に嵌合されることにより小径部50に固定されていたが、図10に変形例を示すように、爪60を小径部50に直接固定することもできる。この場合には、小径部50の外周部に、弾性変形した爪60を収容可能な形状寸法の凹部100が形成されるとともに、爪60に結合部102が設けられ、この結合部102が凹部100の対応する部分に嵌合されることにより、爪60が位置決めされた状態で、結合部102がスポット溶接、締結等によって小径部50に固定される。
なお、小径部50と挿入穴40の内周面との間に十分な隙間が存在する場合には、小径部50の外周部に凹部100を形成することを省略することができる。
上記各実施例において、爪60が板状の部材が折り曲げられて形成されていたが、図9に変形例を示すように、楔状の部材120によって形成することもできる。この楔状の部材120は、例えば、比較的弾性変形しやすい軟質の樹脂(例えば、合成ゴム)や硬質のゴム材料によって形成することができる。すなわち、この爪120は、シャフト20がヨーク32に挿入される際に、ヨーク32の内周部と干渉して進行方向と逆の方向にしなりつつ径方向に圧縮変形させられ、係合穴48と対向する位置に到達すると変形が解消して係合穴48と係合するようにされているのである。なお、シャフト20の軸線と平行な断面において、楔状の部材120はヨーク32の側に凹となる湾曲した形状にされており、干渉部と接触する際に進行方向と逆の方向に変形しやすくされている。また、シャフト20の軸線と直交する断面による楔状の部材120の切断面の形状は台形状とされ、軸線に近い側の幅寸法が小さくされており、径方向において比較的弾性変形し易くされている。
楔状の部材120は、例えば、接着、溶着、締結等の固定手段によって小径部50に固定することができる。なお、図9の例では、小径部50に凹部130が形成され、その凹部130に楔状の部材120の一部が嵌った状態で接着されている。
上記各実施例において、ヨーク32に係合穴48が設けられていたが、図12に変形例を示すように、「干渉部」としての突起150を設けることもできる。この場合には、爪60はヨーク32の内周部と干渉しないように小径部50および爪付カップ62の直径が小さくされている。また、この図の例では、ボルト160が雌ねじ穴170に螺合され、それの先端部が挿入穴40内に突出することによって、突起150が形成されている。そして、シャフト20が仮止めされた状態において、ボルト160を抜くことにより、爪60と突起150との係合を解除することができる。すなわち、この例において、ボルト160と雌ねじ穴170とにより「係合解除部」が構成されている。また、ボルト160は、その先端部が「干渉部」として機能するとともに、その先端部から基端部(図において上方の部分)までが「ヨーク外部から爪部と係合部との係合を解除する部材」として機能している。さらにまた、雌ねじ穴170は、「係合を解除する部材を通す通路」として機能している。
上記各実施例において、爪60がシャフト20に設けられていたが、爪をヨーク32に設けることもできる。その場合には、シャフト20に係合穴,係合突起等を設けることになる。例えば、図13に変形例を示すように、ヨーク32にアーム部41を図において上下に貫通する角穴190を設け、その角穴190に爪60を保持する角形ロッド192を挿入して固定することによって、爪60をヨーク32に設けることができる。なお、角形ロッド192の基端部には、ヨーク32の2つのアーム部41に跨る長さの固定部196が設けられており、その固定部196が2つのアーム部41の端部に締結されて角形ロッド192が角穴190に固定される。
一方、シャフト20の小径部50に、爪60と係合する切欠である係合切欠198を設け、その係合切欠198と爪60とを係合させることによってシャフト20を仮止めすることができる。また、シャフト20を仮止めした状態において、角形ロッド192を角穴190から抜くことによって爪60と係合切欠198との係合を解除することができる。
なお、この図の例において、小径部50の係合切欠198よりも先端側の部分が「干渉部」として機能している。そして、爪60は、干渉部としての小径部50の側に凹となる形状に湾曲させられるとともに、上記実施例と同様に、基端部の幅寸法が先端部より小さくされている。また、角形ロッド192と角穴190とにより「係合解除部」が構成されている。また、角形ロッド192は、「ヨーク外部から爪部と係合部との係合を解除する部材」として機能する。さらにまた、角穴190は、「係合を解除する部材を通す通路」として機能している。なお、角形ロッド192に、爪60に代えて爪120を保持させることもできる。
上記実施例において、爪60は湾曲させられていたが、図16に示すように、屈曲させられた爪200とすることもできる。その爪200は、板状の部材が基端部210と中間部212とにおいて、同じ向きに2回屈曲させられ、干渉部としてのヨーク32の側に凹となる形状にされている。この場合において、図17に模式的に示すように、爪が直線的な形状にされた場合(図において点線で示す)と比較して、爪200のヨーク32の内周部(詳しくは、ヨーク32のアーム部41)と最初に接触する部分と基端部との距離が大きくなって撓み代が増加する(図において撓みしろが「L2>L1」で比較されている)。そのため、爪200を弾性変形させる力が小さくなり、シャフト20を挿入するために必要な力が小さくなる。なお、ヨーク32の内周部と最初に接触する部分は、中間部212において屈曲させられた部分より先端部側になることが望ましい。
請求可能発明の実施例であるシャフトとヨークの仮止め構造によって仮止めされるインターミディエイトシャフトの一部を示す図である。 上記仮止め構造によって仮止めされる自在継手のヨークを示す正面図である。 図2におけるA−A断面図である。 上記ヨークの一部断面とシャフトの先端部を示す図である。 上記ヨークにシャフトが挿入された状態を示す図である。 上記シャフトの先端に固定される爪付カップの正面断面図である。 上記爪付カップの爪とヨークの内周部とが接触する位置を模式的に示す図である。 上記爪付カップの爪がヨークの内周部と接触して弾性変形する様子を模式的に示す図である。 上記爪付カップの平面図である。 上記とは別の実施例において爪が小径部に溶接された状態を示す平面図である。 上記とはさらに別の実施例において爪が楔状の部材によって形成された態様を示す図である。 上記とはさらに別の実施例においてヨークの内周部に干渉部としての突起が形成された態様を示す図である。 上記とはさらに別の実施例においてヨークの内周部に爪部が形成された態様を示す図である。 上記爪付カップの爪とヨークの内周部と寸法が異なる場合に、それらが接触する位置を模式的に示す図である。 上記爪付カップの爪とヨークの内周部と寸法が異なる場合に、爪付カップの爪がヨークの内周部と接触して弾性変形する様子を模式的に示す図である。 上記とは別の爪付カップの正面断面図である。 上記爪付カップの爪とヨークの内周部とが接触する位置を模式的に示す図である。
符号の説明
20:インターミディエイトシャフト(シャフト) 30:自在継手 32:ヨーク 40:挿入穴 48:係合穴(係合部、通路) 60:爪(爪部) 62:爪付カップ 64:切欠 100:凹部 102:接合部 120:楔状の部材 150:突起(干渉部の一例) 160:ボルト(係合解除部材) 170:雌ねじ穴(通路) 190:角穴(通路) 192:角形ロッド(係合解除部材) 198:係合切欠(係合部) 200:爪(爪部) 202:爪付カップ

Claims (9)

  1. ヨークに設けられた挿入穴にシャフトを設定量挿入した状態で仮止めする構造であって、
    弾性を有し、前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との一方に片持ち状にかつ径方向に突出して設けられた板状部の径方向の突出量がその板状部の基端部から先端部へ漸増させられるとともに、その板状部の幅が前記基端部から前記先端部へ漸増させられることにより剛性が前記基端部から前記先端部へ漸増させられた爪部と、
    前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との他方に設けられ、前記シャフトが前記挿入穴に挿入される際に前記爪部と干渉してその爪部の突出量が減少するように弾性変形させる干渉部と、
    前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との前記他方に、軸方向において前記干渉部に隣接するとともに径方向において前記干渉部よりも後退して設けられ、前記シャフトが設定量挿入された状態で、前記干渉部を乗り越えた前記爪部の弾性変形量の減少を許容してその爪部と係合する係合部と
    を含むことを特徴とするシャフトとヨークとの仮止め構造。
  2. 前記爪部の幅が前記基端部から前記先端部へ直線的に増加させられることにより前記爪部が台形状とされた請求項1に記載のシャフトとヨークとの仮止め構造。
  3. 前記爪部が、前記シャフトの軸線と平行な断面において、前記干渉部の側に凹となる形状にされた請求項1または2に記載の仮止め構造。
  4. 前記爪部が、前記シャフトの軸線と平行な断面において、前記干渉部の側に凹となる湾曲した形状にされた請求項に記載の仮止め構造。
  5. 前記爪部が、基端部において前記シャフトと前記ヨークとの一方に固定されるとともに軸方向に延びる板状の部材が湾曲させられて形成されたものである請求項1ないしのいずれかに記載の仮止め構造。
  6. 当該仮止め構造が、前記シャフトの外周部と前記ヨークの内周部との前記一方に嵌められる環状部材を含み、
    前記板状の部材が、前記環状部材から連続的に延び出すものとされた請求項に記載の仮止め構造。
  7. ヨークに設けられた挿入穴にシャフトを設定量挿入した状態で仮止めする構造であって、
    前記シャフトの、前記挿入穴に挿入される挿入部の先端部に形成され、前記挿入部の他の部分より小径の小径部と、
    (a)その小径部の外周面に嵌合された環状部と、(b)その環状部から前記挿入部の前記挿入穴への挿入方向とは逆方向に片持ち状に延びかつ径方向に突出した板状部の径方向の突出量がその板状部の基端部から先端部へ漸増させられるとともに、その板状部の幅が前記基端部から前記先端部へ漸増させられることにより剛性が前記基端部から前記先端部へ漸増させられた爪部とを備えた爪付部材と、
    前記挿入穴に設けられ、その挿入穴に前記シャフトが挿入される際に前記爪部と干渉してその爪部の半径方向外向きの突出量が減少するように弾性変形させる干渉部と、
    前記挿入穴に、軸方向において前記干渉部に隣接するとともに径方向において前記干渉部よりも後退して設けられ、前記シャフトが前記設定量挿入された状態で、前記干渉部を乗り越えた前記爪部の弾性変形量の減少を許容してその爪部と係合する係合部と
    を含むことを特徴とするシャフトとヨークとの仮止め構造。
  8. 前記爪部が、前記シャフトの軸線と平行な断面において、前記干渉部の側に凹となる湾曲した形状にされた請求項7に記載の仮止め構造。
  9. 当該仮止め構造が、前記爪部と前記係合部との係合を解除する係合解除部を含む請求項1ないしのいずれかに記載の仮止め構造。
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