JPH0770978A - 印刷用塗工紙の製造方法 - Google Patents

印刷用塗工紙の製造方法

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JPH0770978A
JPH0770978A JP21242593A JP21242593A JPH0770978A JP H0770978 A JPH0770978 A JP H0770978A JP 21242593 A JP21242593 A JP 21242593A JP 21242593 A JP21242593 A JP 21242593A JP H0770978 A JPH0770978 A JP H0770978A
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coated paper
pam
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JP21242593A
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Tatsuo Tanimoto
龍夫 谷本
Kenji Noguchi
賢治 野口
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New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水性糊付けにより発生するカールが少なく、
水への再離解性に優れ、紙に腰があって、印刷適性に優
れ、製函用、見本帳台紙等に適した印刷用塗工紙の製造
方法を提供する。 【構成】 顔料及び接着剤を主成分とし、必要に応じて
ワックスエマルジョンを含有する水性塗工液を木材パル
プを原料として湿式抄紙して製造される原紙の上に塗
工、乾燥することからなる印刷用塗工紙の製造方法にお
いて、該原紙の抄紙に際し添加される紙力剤がアニオン
性ポリアクリルアミド(A)及び両性ポリアクリルアミ
ド(B)であって、A:Bが10:90〜80:20で
あり、且つ該印刷用塗工紙のJIS P 8118による
密度を0.95〜1.05g/cm3の範囲に仕上げ
る。 【効果】 塗工紙にカール、紙の腰、水への再離解性、
印刷適性をバランス良く付与させることができ、印刷を
施し、水性糊を用いて加工し、高級感を漂わせる用途に
適する印刷用塗工紙が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷用塗工紙の製造方
法に関する。さらに詳しく述べるならば、本発明は、印
刷を施し、水性糊を用いて貼り合わせ加工する時に糊付
けにより発生するカールが小さく、紙に腰があって、と
りわけ化粧箱、見本帳台紙等のように高級感を必要とす
る用途に適し、且つ水への再離解性の良い印刷用塗工紙
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】印刷用塗工紙は、印刷物のカラー化の拡
大に伴って、書籍、カレンダー、カタログ、ポスター等
に需要はますます増加しつつある。一方、印刷済みの塗
工紙を折り曲げ、糊付けして化粧箱にしたり、或いはこ
の紙を台紙としてその上に写真、図面、見本等のような
別の紙や布等を貼り合わせて用いる用途も最近著しく増
えてきた。
【0003】これらの用途に使用する糊或いは接着剤
は、環境公害の観点から溶剤(油性)タイプのものは次
第に好まれなくなっており、最近では水性タイプのもの
が広く普及している。ところが従来の印刷用塗工紙は、
水性糊を適用すると、耐水性が不足しているため、貼合
加工機上でカールして作業性を著しく阻害したり、糊付
け後に糊を付けた部分が膨んだり、波打ち(いわゆるボ
コツキ)が発生し商品価値を著しく落としてしまうとい
う欠点を有している。
【0004】印刷用塗工紙の耐水性を増す方法として
は、塗工液中に尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グリオキ
ザール、炭酸ジルコニウムアンモン等のいわゆる耐水化
剤を配合して用いることが広く行われている(テックタ
イムス社「最新紙加工便覧」469頁、1988参
照)。しかしながら、これらの耐水化剤は、耐水性の発
現効果に限界があり、又塗工液中に多量に配合しようと
すると、塗工液の粘度を上昇させるので、塗工を困難に
させるという欠点がある。
【0005】紙に耐水性を付与するためのワックス加工
方法としては、パラフィンワックス、ポリプロピレンワ
ックス、マイクロクリスタリンワックス等を用いる表面
塗工法、含浸法、積層貼り合わせ法等も知られており、
これらの方法は、特に段ボール紙の耐水加工に広く応用
されている(前記引例、「最新紙加工便覧」516頁参
照)。しかしながら、これらの方法を本発明の印刷用塗
工紙に応用しようとすると耐水性が強過ぎて水性糊の付
着性を阻害するので実用的でない。
【0006】塗工液組成物に、融点が50〜100℃の
ワックスエマルジョンを配合して用いる例(特開昭52
−118016号公報参照)及び高融点ワックスエマル
ジョンを配合して用いる例(特開昭53−41509号
公報参照)が開示されているが、いずれも前記した段ボ
ール紙の加工に関するものであって、印刷用塗工紙への
応用には適さない。
【0007】一方、紙の剛度とは、こわさ、腰等と称さ
れる物性であり、例えば書籍の本文用紙の用途には剛度
が低い(つまり柔らかい)方が頁をめくりやすいとのこ
とでむしろ好まれる傾向にあるが、表紙用、製函用、台
紙用、カード用等の用途では高い剛度が必要とされる。
【0008】剛度は、一般に紙を水平に延ばした時紙自
身の重量により垂れ下がる先端の角度で表すたわみ法、
クラーク法、テーバー法、ガーレー法、ヤング率で示す
方法等が古くから公知である(紙パルプ技術協会編、紙
パルプの種類とその試験法、185〜192頁、昭41
参照)。
【0009】しかしながら、これらの測定法で得られる
数値は、紙の厚さ、坪量等によっても変わるため、数値
だけではこわさの感じが充分つかめない場合も多いの
で、紙の端を指先でつまんでみて、感覚的にこわさを知
る方法も古くから簡便に行われている。
【0010】紙は厚さや坪量を増すと見かけ上剛度が高
くなるので、剛度や腰が必要な用途の場合は便宜上、厚
さと坪量の増加で対処することが多いが、それにもそれ
ぞれの用途に応じて厚さと坪量の上限に自ずと制約があ
り、このような方法で紙に剛度を付与することにも限界
がある。
【0011】このような情勢に鑑み、本発明者等は、剛
度が高くて腰があり、且つ耐水性の優れた印刷用塗工紙
の製造方法として、水性塗工液にワックスエマルジョン
を配合し、且つ仕上げ装置における仕上げ条件を特定す
る方法を提案した(特願平5−75578号)。しかし
ながら、糊付けカール、ボコツキ等に対する市場の要求
は厳しくなる一方であり、水性塗工液にワックスエマル
ジョンを配合することと仕上げ条件の組合せだけでは、
依然として前記の問題を解決するに到らず不十分であ
り、水性塗工液を塗工する原紙の側にも何らかの対策が
必要となってきている。
【0012】紙に、耐水性、或いは湿潤伸びが減少する
性質を付与しようとすれば従来から良く知られている方
法として、サイズ剤、紙力剤(紙力増強剤)等の内添薬
品を抄紙の際に増加して配合することが挙げられる。紙
力剤について述べると、一般にポリアクリルアミド(以
下PAMと称する)が広く使われている。PAMはその
イオン性により、アニオン性PAM、カチオン性PA
M、両性PAMがあり、それぞれについてパルプ繊維へ
の吸着機構は既によく説明されている(紙パ技協誌 第
46巻第8号986頁、1992;同誌第46巻第12
号1497頁、1992)。
【0013】PAM系紙力剤は昭和30年代に先ずアニ
オン系(アニオン性)が開発され、その後カチオン系
(カチオン性)或いは両性系の開発が進み、現在ではカ
チオン系(カチオン性)や両性系を単品でパルプスラリ
ーに添加する単独処方やアニオン系(アニオン性)とカ
チオン系(カチオン性)(或いは両性)を別々にパルプ
スラリーに添加する併用処方が多く使われている。又、
比圧縮強さ、比破裂強さ、層間強度等の紙力が向上する
効果に加えて、濾水性の向上及びパルプと填料のワンパ
スリテンションの向上にも優れた効果が得られるアニオ
ン系(アニオン性)紙力剤とカチオン系(カチオン性)
紙力剤の混合処方も開発されている(紙パ技協誌 第4
5巻第2号245頁、1991)。
【0014】一方、分子中にカチオン性基及びアニオン
性基の両方を有する両性PAM系共重合体と、カチオン
性ポリマーを併用して抄紙すると微細繊維や填料の歩留
り及び濾水性を向上させる効果が得られることが開示さ
れている(特開平5−78997号公報)。更に、アク
リルアミドとアニオン性基を有するビニルモノマー及び
必要に応じて更にカチオン性基を有するビニルポリマー
等を共重合させた製紙用添加剤を用いて抄紙した紙の比
破裂強度が向上することも開示されている(特開平5−
86597号公報)。しかしながら、これらの技術を適
用した紙を用いて印刷用塗工紙を製造した時の剛度、糊
付けカール、再離解性等に対する効果は不明である。
【0015】前記のPAMを添加する方法は、薬品の使
用量が過剰になると、抄紙機の系内における汚れを増大
し、ひいては排水処理費の増大を招き、又紙の耐水性が
良くなり過ぎると、今度は抄紙機で発生した損紙、トリ
ミングによる耳紙、断裁損紙等の水への再離解性を不良
にし、紙の抄造コストを高騰させるという別の問題が生
じやすい。省資源の風潮がますます高まる現状を背景に
かかる損紙は焼却、埋め立て処分し難く、従って容易に
水に再離解でき、リサイクルできることが極めて重要と
なってきており、その対策が望まれている。
【0016】以上述べた如く、水性糊による糊付けカー
ルやボコツキをなくすために印刷用塗工紙の耐水性を強
化しようとするとそれに伴って損紙の水への再離解性は
次第に悪くなる傾向にあるが、耐水性があって糊付けカ
ールやボコツキは少なく、更に水への再離解性は良好で
あるという具合にバランスに優れた印刷用塗工紙の出現
が市場で強く望まれているにもかかわらず、そのような
塗工紙を製造する適切な方法が未だ開発されていないの
が現状である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、顔料及び接着剤を主成分とし、ワックスエ
マルジョンを必要に応じて含有する水性塗工液を塗工す
るための原紙の性状について鋭意研究した結果、塗工用
原紙を抄紙機において抄造する際に紙力剤としてアニオ
ン性PAMと両性PAMを併用し、且つ両者の添加量の
比を特定して添加し、この原紙の上に前記水性塗工液を
塗工、乾燥して得られた印刷用塗工紙の密度を公知の仕
上げ装置を用いて適正範囲とすることにより、紙に腰が
あり、糊付けカールやボコツキが少なく、水への再離解
性も優れ従来よりもはるかに特性の優れた印刷用塗工紙
が得られることを見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0018】従って、本発明の目的は、前記した如き従
来技術の欠点を解消し、糊付けカールやボコツキが少な
く、水への再離解性が優れ、とりわけ水性糊を適用して
加工する製函用、見本帳台紙等の用途に適した印刷用塗
工紙の製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、顔料及び接着
剤を主成分とし、必要に応じてワックスエマルジョンを
含有する水性塗工液を原紙に塗工、乾燥することからな
る印刷用塗工紙の製造方法において、該原紙の抄紙に際
し添加される紙力剤がアニオン性ポリアクリルアミド
(A)及び両性ポリアクリルアミド(B)であって、
A:Bが10:90〜80:20であり、且つ該印刷用
塗工紙のJIS P 8118による密度を0.95〜
1.05g/cm3の範囲に仕上げることを特徴とする
印刷用塗工紙の製造方法である。
【0020】本発明の原紙を抄造する際に使用される紙
力剤としてのPAMは、ポリマー中に[−COO]-
[−SO3--、[−SO4--等のアニオン性の官能基
のみを有するアニオン性PAM、及びポリマー中に前記
アニオン性の官能基と[−NH2+、[−NHR]+
[−NR2+、[−NR3+、[−SR3+、[−PR
3+等のカチオン性の官能基との両者を有する両性PA
M(紙パルプの技術、第40巻、第3、4号17頁、1
990)からそれぞれ選択して使用できる。
【0021】本発明に用いられるアニオン性PAMは、
特に限定はなく、具体的には例えば、市販のポリアクロ
ンST−13(ハマノ化学工業製)、ハーマイドK−4
0(ハリマ化成製)、ポリストロン117(荒川化学工
業製)、ポリストロン194−7(荒川化学工業製)等
が使用できる。又、本発明に用いられる両性PAMは、
例えば市販のハーマイドEX−300F(ハリマ化成
製)のようなものは勿論、特開平5−140896号公
報、特開平5−78997号公報、特開平5−9339
3号公報等に開示されている製造方法で製造されるもの
等があり、ポリマー中のアニオン性の官能基とカチオン
性の官能基とのモル比がどちらが多いかによってポリマ
ー全体としてアニオン性、中性、カチオン性のいずれか
を示す。これらは特に限定はなく、いずれも本発明にお
いて使用できるが、本発明の両性PAMとしては両官能
基のモル比が等しいか、又それに近いものがより好まれ
る。
【0022】本発明におけるアニオン性PAM(A)と
両性PAM(B)との合計配合量(A+B)は絶乾パル
プ重量当り0.3〜4.0重量%、好ましくは0.5〜
3.0重量%である。合計配合量(A+B)が0.3%
未満の時は、得られた印刷用塗工紙における剛度、糊付
けカール、ボコツキ等が劣り、逆に合計配合量が4.0
%を超える場合、効果は飽和状態となる一方、添加量に
対する歩留り率が低下するので薬品ロスが多くなってコ
スト高になり、抄紙系の汚れもひどくなるので不適であ
る。
【0023】本発明におけるアニオン性PAM(A)と
両性PAM(B)の比率(A:B)は、10:90〜8
0:20、好ましくは20:80〜70:30である。
Aが10%より少ない時及び80%より多い時はいずれ
も剛度及び糊付けカールの向上効果が不十分である。
尚、この時の糊付けカールは、印刷、貼合加工前の印刷
用塗工紙の片面を水と接触させ、その時のカール(いわ
ゆる水付けカール)の最大値及び水付けカールの角度が
ある一定値に到達するまでの時間等から予測し、評価す
ることが可能である。
【0024】又、剛度は、前記した各種測定方法がある
が、実際の消費者が手に取ったときの実感としては、紙
の端を指でつまみ、いわゆるパリッとした感触の有無を
評価する方法がより適している。
【0025】本発明の原紙は、針葉樹晒クラフトパル
プ、広葉樹晒クラフトパルプ、脱墨古紙パルプ、機械パ
ルプ、更には抄紙工程、塗工工程、断裁工程等の原紙及
び塗工紙の製造工程中で発生する損紙、耳紙を水に再離
解して得られる再生パルプ等の中から選ばれたパルプを
用いて、サイズ剤、硫酸バンド、填料、澱粉類、各種天
然及び合成高分子類、染料、螢光増白剤等、いわゆる製
紙用添加薬品及び助剤と総称される公知の抄紙材料から
選択された添加物に加えて、前記アニオン性PAM及び
両性PAMが添加され、公知の抄紙機で、単層抄き、或
いは多層抄きとして抄造される。前記抄紙工程における
各添加薬品及び助剤の添加場所、添加順序等については
特に限定はないが、本発明の効果をより良く発現させる
ためには、各添加薬品及び助剤がパルプと均一に混和す
るように撹拌が十分に行われることに配慮する必要があ
る。このようにして得られる原紙の米坪量は50〜40
0g/m2のものが使用できるが、本発明の目的とする
化粧箱、見本帳台紙等の用途にはとりわけ150〜30
0g/m2が好ましい。
【0026】本発明のための塗工液に用いられる顔料と
してはカオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタ
ン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫
酸カルシウム、タルク、シリカ、プラスチックピグメン
ト、サチンホワイト等の一般の塗工用顔料を挙げること
ができ、この中から適宜選択して選ばれる。接着剤とし
てはカゼイン、大豆蛋白、酵母蛋白、澱粉、酸化澱粉及
びエステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、
酵素変性澱粉等の変性澱粉、セルロース誘導体のような
天然接着剤及びスチレン−ブタジエン系共重合体、メチ
ルメタクリレート−ブタジエン系共重合体等の共役ジエ
ン系重合体ラテックス、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステルの重合体或いは共重合体等のアクリル系重
合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体のよう
な酢酸系重合体ラテックス、ポリビニルアルコールのよ
うな合成接着剤を挙げることができ、この中から適宜選
択されて一種類以上が本発明のために用いられる。
【0027】接着剤の使用量は、絶乾顔料重量当り8〜
30重量%、好ましくは10〜20重量%である。接着
剤の使用量が8重量%未満では塗工面の強度が弱くな
り、30重量%を超えるとコスト高になるので、本発明
のためには不適である。
【0028】本発明の水性塗工液には、目的とする印刷
用塗工紙の耐水性を増すため、必要に応じて特願平5−
75578号にて提案した如く、ワックスエマルジョン
を配合することが望ましい。本発明の水性塗工液に使用
されるワックスエマルジョンは、広範囲な産業分野でさ
まざまな用途に用いられており、その目的とする機能は
耐水性、撥水性、柔軟性、滑り性、つや出し性、金属面
に対する離型性等であるが、動物系の蜜ロウ、植物系の
木ロウ、カルナバワックス、鉱物系のモンタンワック
ス、石油系のパラフィンワックス等の天然ワックス、エ
チレンを原料として合成されるポリエチレンワックス等
のワックス類(テックタイムス社、「紙と加工の薬品事
典」173頁、1991参照)をアニオン性、カチオン
性、非イオン性、両性のいずれかの界面活性剤で乳化
(エマルジョン化)して製造されるものである。又、ワ
ックス単品だけでなく、ワックスと各種合成樹脂を併用
してエマルジョン化した特殊なワックスエマルジョンも
本発明のために使用できる。
【0029】本発明の塗工液組成物におけるワックスエ
マルジョンは必要に応じて配合して用いられ、その配合
量は、塗工液の絶乾固形分重量当り0〜8%、好ましく
は1〜6%である。ワックスエマルジョンの配合量が8
%を超える時は、紙の滑り性が過剰になって取扱いが困
難になると共に剛度も下がり、又印刷インキの乗りが不
均一になり易くなる。従って、この場合、印刷用塗工紙
としては適さなくなり、更には、耐水性が過剰に付与さ
れているので、水に対する再離解性が悪化傾向となり好
ましくない。
【0030】塗工液の調製に際しては、分散剤、流動変
性剤、消泡剤、着色剤等の通常の塗工紙用塗工液に配合
される各種の助剤が所望の特性を得るために必要に応じ
て適宜選択して用いられる。塗工液の固形分濃度は、4
5〜75重量%に調製されるが、乾燥負荷、塗工液粘度
に影響される操業性等を考慮すれば、好ましくは55〜
70重量%である。
【0031】本発明の水性塗工液は以上に説明した如く
調製されるが、得られた前記塗工液は原紙の片面上に、
望ましくは両面に片面当り10〜30g/m2、好まし
くは15〜25g/m2の塗工量で塗工される。又、本
発明では前記した如く塗工液を直接原紙の上に塗工して
も良く、或いは原紙に片面当り3〜15g/m2の範囲
で顔料と接着剤を主成分とする別の塗工液を下塗りとし
て塗工して得られる基紙に本発明の塗工液を塗工すると
いう、いわゆるダブル塗工と称する2層塗工でも良い。
【0032】本発明においては塗工並びに乾燥方式につ
いては特に限定されるものではなく、一般の塗工紙の製
造に用いられるブレードコーター、エアーナイフコータ
ー、バーコーター、ロールコーター、チャンプレックス
コーター、サイズプレスコーター、グラビヤコーター等
によって紙の片面、又は両面に単層乃至多層に塗工さ
れ、任意の乾燥設備で乾燥される。尚、両面塗工或いは
多層塗工の場合、全塗工を2基以上の塗工設備を有する
1台のコーターで連続塗工しても良く、全塗工のうち一
部を塗工、乾燥して一度巻取り、次いで同じコーター又
は別のコーターで残りの塗工をするようにしてもよい。
最終の塗工紙製品は、3〜8重量%範囲の紙水分含有量
まで乾燥され、リールに巻取られる。
【0033】このようにして得られた塗工紙は、更に金
属ロールと弾性ロールの組合せからなる公知のカレンダ
ー装置(仕上げ装置)でJIS P 8118による密度
が0.95〜1.05g/cm3、好ましくは0.97
〜1.03g/cm3となるように表面仕上げが施され
る。
【0034】塗工紙の密度が0.95g/cm3未満で
は、印刷用塗工紙の表面仕上げが不十分になりやすく、
その場合印刷の刷り上がりの美観を阻害し、高級用途を
目的とする本発明に適さなくなる。又、密度が1.05
g/cm3を超える場合には、印刷用塗工紙の剛度が低
下し、いわゆる紙の腰がなくなる恐れがあり、やはり本
発明には適さない。
【0035】前記の表面仕上げは、金属ロールと弾性ロ
ールからなるニップ間に通紙し、処理すべき面を金属ロ
ールに圧接させて仕上げるものであって、片面当り1回
以上任意の回数で圧接させて仕上げられるが、密度が
1.05g/cm3を超えるような過度の仕上げは良く
ない。前記表面仕上げは、塗工、乾燥後の塗工紙を一度
巻き取った後に行っても良いし、巻き取る前(即ち乾燥
直後)に行っても良い。
【0036】本発明において得られる作用効果がどのよ
うにして発現するかという機構は今までのところ、明確
ではないが、次のように考えることができる。即ち、原
紙中に配合されたPAMのアニオン基は硫酸バンドのア
ルミニウムイオンを介して、又カチオン基は直接、それ
ぞれ繊維に吸着されることは良く知られており、又両者
を併用すれば相乗効果的に紙力(比圧縮強さ、比破裂強
さ、層間強度)が向上し、濾水性及びワンパスリテンシ
ョンも向上する(紙パ技協誌第45巻第2号245頁、
1991)。
【0037】このことは、言い換えれば微細繊維を含む
パルプ繊維と紙力剤の接触点が増すことであり、これが
剛度や腰の向上にも寄与するものと考えられる。又、ワ
ンパスリテンションの向上はサイズ剤の効果発現性も良
くするので、サイズ性の良好な原紙が得られ、水性塗工
液が原紙への過剰な浸透なしに均一に塗工され易くな
り、とりわけ水性塗工液中にワックスエマルジョンが配
合されている場合には塗膜中のワックスの分布が均一に
なり、原紙のサイズ度向上と相俟って糊付けカールを大
幅に軽減できるものと考えられる。
【0038】一方、アニオン性PAMとカチオン性PA
Mとを併用した場合には結合点が強固になるのにつれて
原紙の再離解性は悪化してくる。とりわけカチオン性P
AMのようなカチオン性ポリマーの添加は、結合点が強
固になり過ぎ、原紙の水への再離解性が悪くなり易い傾
向にあるが、それに対し本発明の如く、両性PAMにア
ニオン性PAMを組み合わせた場合には、カチオン性P
AMを組み合わせた場合と比べて、前記の剛度及び腰の
向上性能は維持したまま、結合点が強固にならないので
水に対する再離解性は良くなることにつながるものと考
えられる。
【0039】本発明では、抄紙機において抄紙する際に
紙力剤としてアニオン性PAMと両性PAMを特定比率
で配合して得られる原紙に、顔料及び接着剤を主成分と
し、更に必要に応じてワックスエマルジョンを含有させ
た水性塗工液を塗工、乾燥し、得られた塗工紙を金属ロ
ールと弾性ロールからなる仕上げ装置において密度が特
定範囲になるように仕上げることにより、糊付けカール
が小さく、腰があり、且つ水への再離解性が良く、化粧
箱や見本帳台紙に適した印刷用塗工紙を得ることができ
る。
【0040】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。尚、実施例及び比較例に示す部及び%
は、それぞれ絶乾重量部及び絶乾重量%を表すものとす
る。又、塗工量は全て絶乾重量で表示する。
【0041】実施例1 カオリン(UW−90、エンゲルハード製)80%と軽
質炭酸カルシウム(タマパール123−SF、奥多摩工
業製)20%からなる混合顔料100部当りにポリアク
リル酸ソーダ0.4部を添加し、デリッター(セリエ
製)を用いて水に分散させ、固形分濃度65%の顔料ス
ラリーを調製した。次いで、この顔料スラリーを用いて
次のような配合で塗工液を調製した。
【0042】塗工液の組成 前記顔料 80% ラテックス(L−1537、旭化成製) 15% 酸化デンプン(エースA、王子コーンスターチ製) 2% ワックスエマルジョン(エマルジョンサイズ剤、SPW−116H、 荒川化学工業製) 3%
【0043】この塗工液の固形分100部当り、潤滑剤
としてステアリン酸カルシウム0.5部、蛍光染料0.
2部、消泡剤0.2部、水を順次添加し、充分に攪拌、
混合した後、25%アンモニア水溶液を用いてpHをア
ルカリ性に調節し、固形分濃度60%の水性塗工液を得
た。
【0044】フリーネス450mlcsf(カナダ標準
フリーネス)の広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)8
0%とフリーネス470mlcsfの針葉樹晒クラフト
パルプ(NBKP)20%からなる混合原料に、次の順
序で以下の物質を添加した。ここに示す%は絶乾パルプ
重量に対する各物質の絶乾重量%である。 (1)サイズ剤(SPS−300、荒川化学工業製) 0.9% (2)アニオン性PAM(ホ゜リストロン194−7、荒川化学工業製) 0.18% (3)硫酸バンド 2.0% (4)両性PAM(ハーマイト゛EX−300F、ハリマ化成製) 1.3% アニオン性PAM:両性PAM=12:88
【0045】こうして得られた紙料を白水で希釈して固
形分濃度0.6%として公知の長網抄紙機で抄造し、更
にサイズプレスで下記処方の表面サイズ剤を2.0g/
2塗布して乾燥し、米坪量120g/m2の原紙を抄造
した。表面サイズ剤処方 酵素変性澱粉(自社製) 80% ポリビニルアルコール(T−330H、日本合成化学工業製) 17% スチレンアクリル酸系サイズ剤(ホ゜リマロン1308S、荒川化学工業製) 3%
【0046】前記原紙の片面に前記水性塗工液をブレー
ドコーター(三菱重工業製)で、片面当り15g/m2
塗工し、次いで4セクションからなる熱風ドライヤー
(石川島播磨重工業製、アーチ型熱風ドライヤー、乾燥
長さは各6m)を用いて水分5.5%まで乾燥した。片
面への塗工が終った塗工紙の反対面にも同様の塗工、乾
燥を行い、両面塗工された坪量150g/m2の塗工紙
を製造し、巻取りとした。つづいて、表面温度が140
℃のチルドロールとウレタン樹脂製弾性ロール(ショア
ーD硬度、61度)とからなる仕上げ装置を2台設置
し、前記の乾燥された両面塗工紙(巻取り)をこの仕上
げ装置に導入し、表裏の塗工面が各1回チルドロールに
当接するように通紙して仕上げを施した。この時ニップ
線圧は100Kg/cmであった。得られた塗工紙の密
度は1.01g/cm3であった。
【0047】得られた塗工紙は次の試験法でその品質を
評価した。(1)再離解性 JIS P 8209に記載されている装置(離解機)を
用いて次のとおり行った。塗工紙を1cm×1cmに断
裁して試料とし、絶乾重量で30g採取し、0.6gの
固形苛性ソーダ(NaOHとして紙試料に対し2%)、
及び水2,000g(20℃)と共に前記離解機の容器
に入れ、3,000rpmで20分間離解し、得られた
パルプスラリーを用いて実験室で80g/m2の手抄き
紙を作成し、手抄き紙を白熱電灯を備えたガラス板を用
いた箱の上に置き、白熱電灯を灯火して紙を透かして目
視で離解の状態を観察し、評価結果を次のように表示し
た。 ○:未離解物が全くなく、繊維がきれいに分散している
もの △:未離解物は殆どないが、結束繊維がまばらに存在す
るもの □:未離解物があり、分散不良のもの ○△、△□はそれぞれの中間の程度のものを示す。
【0048】(2)紙の腰 紙の端部を指先でつまみ、その感触から判断して次のよ
うに表示した。 ○:パリッとした硬い感じがする。 △:どちらともいえない。 □:柔らかい感じがする。(3)水付けカール TAPPIスタンダードT466hm−82に記載され
ているカールテスターを用いて、「カール」が始まり0
゜から5゜まで到達する時間(秒)及びそのまま放置し
た後の「カール」の最大値を測定した。尚、紙の片面が
水と接触する幅Lを15mmとした。(4)印刷効果(刷り上がり) 三菱ダイヤカラー(四色)印刷機によりオフセット印刷
を行い、刷り上がりを目視で評価して最も良いものから
順に○△□とした。
【0049】実施例2 アニオン性PAM(ポリストロン194−7)を1.2
%、両性PAM(ハーマイドEX−300F)を0.3
3%とした以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙を
製造し、その品質を評価した。アニオン性PAM:両性
PAM=78:22
【0050】実施例3 アニオン性PAMをポリストロン117(荒川化学工業
製)0.60%、両性PAMをハーマイドEX−321
B(ハリマ化成製)0.65%とした以外は実施例1と
同様にして印刷用塗工紙を製造し、その品質を評価し
た。アニオン性PAM:両性PAM=48:52
【0051】実施例4 塗工、乾燥後の両面塗工紙の表面仕上げを7ニップから
なるスーパーカレンダー(最下段のニップ圧200Kg
/cm)で行った以外は実施例3と同様にして印刷用塗
工紙を製造し、その品質を評価した。スーパーカレンダ
ー処理後の印刷用塗工紙の密度は1.03g/cm3
あった。アニオン性PAM:両性PAM=48:52
【0052】実施例5 実施例3と同一の抄紙原料を用いて公知の3層抄き抄紙
機で中層が100g/m2、両外層がそれぞれ50g/
2、合計200g/m2の板紙を抄造した。この原紙の
両面に下記に示す下塗り用塗工液を片面当り7g/m2
ずつ塗工し、乾燥して下塗り塗工済みの紙基材を製造し
た。
【0053】下塗り塗工液の組成 カオリン(UW−90) 24% 重質炭酸カルシウム(自社製、粒子径0.5〜4μm) 60% 酸化澱粉(エースA) 2% ラテックス(L−1537) 14% 前記組成に顔料100部当り分散剤としてポリアクリル
酸ソーダを0.3部、潤滑剤としてステアリン酸カルシ
ウムを0.5部、水を順次添加して充分に混合し、分散
した後、25%アンモニア溶液を用いてpHをアルカリ
性に調整した。固形分濃度は60%とした。このように
して得られた下塗り塗工済みの紙基材の上に更に実施例
3と同様の塗工液を実施例3と同様にして塗工、乾燥
し、塗工紙の表面の仕上げ処理を行い、得られた塗工紙
の品質を評価した。仕上げ処理後の印刷用塗工紙の密度
は0.97g/cm3であった。アニオン性PAM:両
性PAM=48:52
【0054】比較例1 実施例1において、アニオン性PAM(ポリストロン1
94−7)を0.10%とした以外は実施例1と同様に
して印刷用塗工紙を製造し、その品質を評価した。アニ
オン性PAM:両性PAM=7:93
【0055】比較例2 両性PAM(ハーマイドEX−300F)を0.25%
とした以外は実施例2と同様にして印刷用塗工紙を製造
し、その品質を評価した。アニオン性PAM:両性PA
M=83:17
【0056】比較例3 実施例3において原紙を製造する際に両性PAMの代わ
りにカチオン性PAM(ハーマイドPY−430、ハリ
マ化成製)0.65%とした以外は、実施例3と同様に
して原紙を製造し、この原紙を用いて更に印刷用塗工紙
を製造し、その品質を評価した。アニオン性PAM:カ
チオン性PAM=48:52
【0057】比較例4 実施例1において、塗工、乾燥後の塗工紙の表面を仕上
げる際に、仕上げ装置のニップ線圧を85Kg/cmに
して処理し、密度0.93g/cm3の印刷用塗工紙を
製造し、更に実施例1と同様にして塗工紙の品質を評価
した。アニオン性PAM:両性PAM=12:88
【0058】比較例5 実施例4において、塗工紙の表面を仕上げる際に、スー
パーカレンダーにおける仕上げ条件を9ニップのスーパ
ーカレンダーを用い、最下段のニップ圧を240Kg/
cmとして塗工紙に仕上げ処理を施し、密度1.07g
/cm3の印刷用塗工紙を製造し、更に実施例1と同様
にして塗工紙の品質を評価した。アニオン性PAM:両
性PAM=48:52
【0059】実施例及び比較例で得られた結果を表1に
示す。
【0060】
【表1】
【0061】表1から分かるように、本発明による印刷
用塗工紙は、紙に腰があって、水に対する再離解性が優
れ、カールは到達時間が37秒以上、最大値が35°以
下であり、印刷効果にも優れるというバランスの良い特
性を示す(実施例1〜5)が、アニオン性PAMの比率
が低い原紙を用いると印刷適性は優れるが、再離解性、
紙の腰及びカールの面で難点があり(比較例1)、逆に
アニオン性PAMの比率が高い原紙を用いると再離解性
及び印刷適性は優れるが、紙の腰及びカールの特性が悪
くなり(比較例2)、共に使用できない。一方、アニオ
ン性とカチオン性のPAMを組み合わせて得られた原紙
を用いると、他の特性、とりわけカールは優れるが再離
解性に難点が残り(比較例3)実用に適さない。更に、
塗工紙の仕上げ装置における表面仕上げ条件を緩める
と、他の適性は優れるが、密度が低くなり印刷適性が損
なわれ(比較例4)、逆に塗工紙の表面仕上げ条件を厳
しくすると印刷適性及び他の特性は優れるが、紙に腰が
なくなり、カールも悪くなり(比較例5)、共に実用に
適さない。
【0062】
【発明の効果】以上説明した如く、原紙を製造する際
に、アニオン性ポリアクリルアミドと両性ポリアクリル
アミドを併用し、使用量を特定して得られた原紙に塗工
液を塗工、乾燥し、その後塗工紙の表面仕上げ装置にお
いて密度を特定の範囲に維持しながら塗工紙の表面を仕
上げると、塗工紙にカール、紙の腰、水への再離解性、
印刷適性をバランス良く付与させることができ、従っ
て、本発明は、化粧箱、見本帳台紙等の如く、水性糊を
用い、尚且つ美麗な印刷を施し、高級感を漂わせる用途
に適した印刷用塗工紙を製造することができる方法を提
供するという効果を奏する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料及び接着剤を主成分とし、必要に応
    じてワックスエマルジョンを含有する水性塗工液を原紙
    に塗工、乾燥することからなる印刷用塗工紙の製造方法
    において、該原紙の抄紙に際し添加される紙力剤がアニ
    オン性ポリアクリルアミド(A)及び両性ポリアクリル
    アミド(B)であって、A:Bが10:90〜80:2
    0であり、且つ該印刷用塗工紙のJIS P 8118に
    よる密度を0.95〜1.05g/cm3の範囲に仕上
    げることを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000203521A (ja) * 1999-01-11 2000-07-25 Hokuetsu Paper Mills Ltd 電子デバイス用キャリアテ―プ紙
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