JPH0770354A - ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜の製造方法

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JPH0770354A
JPH0770354A JP23904793A JP23904793A JPH0770354A JP H0770354 A JPH0770354 A JP H0770354A JP 23904793 A JP23904793 A JP 23904793A JP 23904793 A JP23904793 A JP 23904793A JP H0770354 A JPH0770354 A JP H0770354A
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polyolefin
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sheet
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 適度な空孔を有し、透気性に優れたポリオレ
フィン微多孔膜を製造する方法を提供する。 【構成】 架橋構造を形成したポリオレフィンの延伸フ
ィルムを、その良溶媒に浸漬して膨潤させた後冷却し、
得られたフィルムの収縮を防止しながら、あるいは得ら
れたフィルムを延伸しながら溶媒を除去することによ
り、適度な空孔を有し、透気性に優れたポリオレフィン
微多孔膜を従来よりも簡略化された工程で製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン樹脂か
らなる微多孔膜の製造方法に関し、特に機械的強度が良
好で、延伸性に優れたポリオレフィン微多孔膜を製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】微多孔
膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサー用隔膜、
各種フィルター、透湿防水衣料、逆浸透濾過膜、限外濾
過膜、精密濾過膜等の各種用途に用いられている。
【0003】従来、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
としては、例えば異種ポリマー等の微粉体からなる孔形
成剤をポリオレフィンに混合してミクロ分散させた後、
孔形成剤を抽出する混合抽出法、ポリオレフィン相を溶
媒でミクロ相分離することにより多孔構造とする相分離
法、異種固体がミクロ分散しているポリオレフィン成形
体に延伸などの歪を与えることにより、異種固体間を界
面破壊して空孔を生じさせて多孔化する延伸法などが用
いられている。しかし、延伸による薄膜化及び高強度化
には限界があった。
【0004】最近、高強度及び高弾性のフィルムに成形
し得る超高分子量ポリオレフィンが開発され、これによ
る高強度の微多孔膜の製造が種々提案された。例えば特
開昭58-5228 号は、超高分子量ポリオレフィンを不揮発
性溶媒に溶解し、この溶液から繊維またはフィルムなど
のゲルを成形し、この溶媒を含むゲルを揮発性溶剤で抽
出処理した後、加熱延伸する方法を開示している。しか
しながら、不揮発性溶媒で高度に膨潤した多孔性組織を
有するゲルは、2方向に延伸しようとしても、高配向の
延伸ができず、網状組織の拡大により破断し易く、得ら
れるフィルムは強度が小さく、また形成される孔径分布
が大きくなるという欠点があった。一方不揮発性溶媒を
揮発性溶剤で抽出した後に乾燥したゲルは、網状組織が
収縮緻密化するが、揮発性溶剤の不均一な蒸発によりフ
ィルム原反にそりが発生し易く、また収縮緻密化によ
り、高倍率の延伸ができないという欠点があった。
【0005】これに対し、重量平均分子量が7×105
上の超高分子量ポリオレフィンを溶媒中で加熱溶解した
溶液からゲル状シートを成形し、前記ゲル状シート中の
溶媒量を脱溶媒処理により調製し、次いで加熱延伸した
後、残留溶媒を除去することにより、超高分子量ポリオ
レフィン( ポリエチレン)の微多孔膜を製造する方法が
種々提案されている(特開昭60-242035 号、特開昭61-4
95132 号、特開昭61-195133 号、特開昭63-39602号、特
開昭63-273651 号)。
【0006】また、本発明者らは、超高分子量ポリオレ
フィンを含有し、(重量平均分子量/数平均分子量)の
値が特定の範囲内にある組成物を用いたポリオレフィン
微多孔膜の製造方法を提案した(特開平3-64334 号) 。
この方法により、延伸性が良好で、高濃度溶液とするこ
とが可能なポリオレフィンからポリオレフィン微多孔膜
を製造することが可能となった。
【0007】しかしながら、上記ポリオレフィン微多孔
膜は、超高分子量ポリオレフィンを加熱溶解した溶液を
調製する必要があり、場合によっては溶液の濃度を均一
に管理するのが困難であるため、微多孔膜の用途によっ
ては、必ずしも好適でないという問題がある。
【0008】したがって、本発明の目的は、機械的強度
が良好で、延伸性に優れたポリオレフィン微多孔膜を製
造する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、架橋構造を形成したポリオレフ
ィンの延伸フィルムを、その良溶媒に浸漬して膨潤させ
た後冷却すれば、超高分子量ポリオレフィンを使用しな
くても、機械的強度が良好で、延伸性に優れたポリオレ
フィン微多孔膜を従来よりも簡略化された工程で製造で
きることを見出し、本発明に想到した。
【0010】すなわち、本発明のポリオレフィン微多孔
膜の製造方法は、(a) ゲル分率で5〜70重量%の架橋
構造を形成したポリオレフィン延伸フィルムを、前記ポ
リオレフィンに対する良溶媒に、前記ポリオレフィン樹
脂の融点−50℃〜融点+50℃で浸漬し、(b) 続いて
冷却し、(c) 得られたフィルムの収縮を防止しながら、
あるいは得られたフィルムを延伸しながら溶媒を除去す
ることを特徴とする。
【0011】本発明を以下詳細に説明する。〔1〕原料樹脂 本発明において製造するポリオレフィン微多孔膜を形成
するポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレ
ン、1-ブテン、4-メチル-1−ペンテン、1-ヘキセンなど
を重合した結晶性の単独重合体、多段重合体、又は共重
合体及びこれらのブレンド物等が挙げられる。これらの
うちではポリプロピレン、ポリエチレン(特に高密度ポ
リエチレン)及びこれら組成物等が好ましい。
【0012】上述したような樹脂からなるポリオレフィ
ン微多孔膜膜は、大別して次の二つの方法により製造す
ることができる。
【0013】〔2〕第一の製造方法 まず、上述したようなポリオレフィン樹脂をシート状に
成形する。上記シートの成形は、押し出し成形法による
のが普通である。ポリオレフィン樹脂を押し出すダイス
としては、通常長方形の口金形状をしたTダイが用いら
れるが、2重円筒状の中空系ダイス、インフレーション
ダイス等を用いることもできる。シートダイスを用いた
場合のダイスギャップは、通常0.1 〜2mmであり、押出
し成形時には150 〜250 ℃に加熱される。この際の押し
出し速度は、通常10〜1000cm/分とするのが好ましい。
【0014】このポリオレフィン樹脂製シートの厚さは
10〜1000μmとするのが好ましい。シートの厚さが10μ
m未満では、後述する延伸工程を行うのが困難となり、
一方、シートの厚さが1000μmを超えると、シートの内
部にまで架橋構造を形成するのが困難となるため好まし
くない。
【0015】続いて、このようにして得られたポリオレ
フィン樹脂製シートに架橋構造を形成する。架橋構造の
割合(架橋度)は、ゲル分率(沸騰キシレン不溶分)で
5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%である。架橋構
造の割合が5重量%未満では、後述するようにポリオレ
フィン樹脂を、その良溶媒に浸漬して膨潤させると表面
が溶解流動変形し、一方70重量%を超えると、その良溶
媒に浸漬しても膨潤がわずかで微多孔化の割合が少なく
なる。
【0016】上述したような架橋構造の形成方法として
は、特に制限はなく、有機過酸化物による化学架橋法で
も、電離放射線の照射による方法でもいずれでもよい
が、特に電離放射線の照射による方法が好ましい。上記
電離放射線としては、α線、β線(電子線)、γ線等が
挙げられるが、特に電子線を使用するのが好ましい。
【0017】電離放射線の照射量は、所望とする架橋度
及びシートの厚さ等により異なるが、一般に0.1 〜100
Mrad、好ましくは1〜20Mradである。
【0018】次にこのようにして得られた架橋シートを
延伸する。この延伸は、架橋シートを加熱し、通常のテ
ンター法、ロール法、インフレーション法、圧延法もし
くはこれらの方法の組合せによって所定の倍率で行う。
2軸延伸が好ましく、縦横同時延伸または逐次延伸のい
ずれでもよいが、特に同時2軸延伸が好ましい。延伸条
件は、通常の延伸フィルムを製造する条件を適宜選択す
ることができる。
【0019】例えば、延伸温度は、ポリオレフィン樹脂
の融点+10℃以下程度、好ましくは結晶分散温度から融
点未満の範囲であるのが好ましい。例えば、ポリプロピ
レンの場合は100 〜180 ℃、特に120 〜160 ℃であるの
が好ましく、ポリエチレンの場合は90〜150 ℃、特に11
0 〜130 ℃であるのが好ましい。延伸温度が融点+10℃
を超える場合は、樹脂の溶融により延伸による効果的な
分子鎖の配向ができないため好ましくない。また、延伸
温度が結晶分散温度未満では、樹脂の軟化が不十分で、
延伸において破膜し易く、高倍率の延伸ができない。
【0020】また、延伸倍率はシートの厚さによって異
なるが、1軸方向で少なくとも1.1倍以上、好ましくは
1.1 〜10倍、面倍率で1.1 倍以上、好ましくは1.2 〜10
0 倍である。
【0021】このようにして得られた延伸フィルムを、
ポリオレフィン樹脂の良溶媒に浸漬して、ポリオレフィ
ン樹脂製フィルムを膨潤させる。本発明においてポリオ
レフィン樹脂の良溶媒とは、上記ポリオレフィン樹脂を
十分に溶解できる溶媒のことであり、例えば、ノナン、
デカン、デカリン、p−キシレン、ウンデカン、ドデカ
ン、パラフィンオイルなどの脂肪族または環式の炭化水
素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留分などが挙
げられる。溶媒含有量が安定なゲル状成形物を得るため
にはパラフィンオイルのような不揮発性の溶媒が好まし
いが、脱溶媒の観点からは、デカリンのような揮発性溶
媒が好ましい。
【0022】浸漬する際の溶媒の温度は、一般にポリオ
レフィン樹脂の融点−50℃〜融点+50℃とする。例
えばポリプロピレンを使用した場合、120 〜220 ℃、ポ
リエチレンを使用した場合、90〜190 ℃である。溶媒の
温度がポリオレフィン樹脂の融点−50℃未満では、上
記溶媒にフィルムの非晶質の部分は溶解するが、結晶質
の部分は溶解しないため、ポリオレフィン樹脂製フィル
ムが密な構造のままとなるため、その後少なくとも一軸
方向に固定するかまたは延伸し、脱溶媒しても、十分に
微多孔化されず、一方ポリオレフィン樹脂の融点+50
℃を超えると、樹脂成分全体が流動してフィルムの形状
を維持するのが困難となる。また、浸漬時間は、1〜10
000 秒、特に10〜1000秒であるのが好ましい。なお、浸
漬にあたってはポリオレフィン樹脂の酸化を防止するた
めに酸化防止剤を添加することができる。
【0023】このようにして良溶媒に浸漬した後、取り
出して冷却する。冷却は少なくともゲル化温度以下まで
20℃/分以上、特に50℃/分以上の速度で行うのが好ま
しい。冷却速度が遅いと結晶化度が上昇し、後工程での
微多孔の形成が困難となる。冷却方法としては、冷風、
冷却水、その他の冷却媒体に直接接触させる方法、冷媒
で冷却したロールに接触させる方法等を用いることがで
きる。
【0024】得られたフィルムは、良溶媒がパラフィン
オイルなどの不揮発性溶剤の場合、揮発性溶剤で洗浄し
残留する溶媒を除去する。洗浄溶剤としては、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素、塩化メチレ
ン、四塩化炭素などの塩素化炭化水素、三フッ化エタン
などのフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン
などのエーテル類などの易揮発性のものを用いることが
できる。これらの溶剤はポリオレフィン樹脂の溶解に用
いた溶媒に応じて適宜選択し、単独もしくは混合して用
いる。洗浄方法は、浸漬後のフィルムを把持等により固
定するか、または浸漬後のフィルムを延伸しながら、も
しくは延伸後、溶剤に浸漬し抽出する方法、溶剤をシャ
ワーする方法、またはこれらの組合せによる方法などに
より行うことができる。
【0025】上述のような洗浄は、前記フィルム中の残
留溶媒が1重量%未満、好ましくは0.1 重量%未満にな
るまで行う。その後洗浄溶剤を乾燥するが、この場合前
記洗浄後のフィルムは、少なくとも一軸方向の収縮を防
止しながら、例えば把持等により固定し、または少なく
とも一軸方向に延伸しながら行うことが必要である。こ
のような収縮防止や延伸が行なわれない場合は、微多孔
の形成が不十分である。洗浄溶剤の乾燥方法は加熱乾
燥、風乾などの方法で行うことができる。乾燥条件は、
室温〜ポリオレフィンの融点−10℃で、例えばポリエ
チレンでは、室温〜120 ℃、ポリプロピレンでは室温〜
150 ℃とするのが好ましい。一方、良溶媒としてデカリ
ン等の揮発性溶媒を用いた場合は、上述した洗浄工程を
省略し、前記と同様にして収縮を防止しながら、または
延伸途中で蒸発乾燥することができる。なお、延伸を行
う場合は、上述した延伸条件を適用することができる。
乾燥した延伸成形物は、結晶分散温度〜融点の温度範囲
で熱固定することが望ましい。また、前述した方法にお
いてシート、架橋シートあるいは架橋延伸フィルムが直
接入手できる場合は、それらの工程を省略することがで
きる。
【0026】〔3〕第二の製造方法 次に本発明の第二のポリオレフィン微多孔膜の製造方法
について説明する。まず、ポリオレフィン樹脂をシート
状に成形する。上記シートの成形は、シートの成形と後
述する延伸とを同時に行うことができることから、イン
フレーションダイスを用いたインフレーション法による
のが好ましい。また長方形の口金形状をしたTダイを用
いた通常の押し出し成形法により成形することもでき
る。ダイリップ、加熱温度、製膜速度、シートの厚みな
どは、上述した第一の製造方法と同様の条件が選択でき
る。
【0027】次にこのようにして得られたシートを延伸
する。この延伸は、シートを加熱し、通常のテンター
法、ロール法、インフレーション法、圧延法もしくはこ
れらの方法の組合せによって所定の倍率で行う(ただ
し、インフレーション法の場合、上述した製膜工程に延
伸工程も包含されるので行わなくてよい場合もある)。
この延伸は、上述した第一の方法と同様の方法で行うこ
とができる。
【0028】続いて、このようにして得られたポリオレ
フィン樹脂製延伸フィルムに架橋構造を形成する。架橋
構造の割合、及び架橋構造の形成方法は、上述した第一
の方法と同じである。
【0029】以上のようにして得られる架橋延伸フィル
ムに対して、上述した第一の方法と同様にして、良溶媒
への浸漬、冷却、少なくとも一軸方向の収縮を防止する
ようにして固定しながら、または延伸する途中あるいは
その後で、溶媒の除去を行うことより、ポリオレフィン
微多孔膜を得ることができる。なお、前述した方法にお
いてシート、架橋シートあるいは架橋延伸フィルムが直
接入手できる場合は、それらの工程を省略することがで
きる。
【0030】なお、本発明の第一及び第二の方法におい
ては、溶媒に浸漬して膨潤させた架橋延伸フィルムの溶
媒の除去の前後に、必要に応じてさらにフィルムに延伸
を施すことができる。
【0031】〔4〕特性 以上のような本発明の第一及び第二の方法により得られ
るポリオレフィン微多孔膜は、空孔率が30〜90%で、透
気度が10〜10000 ガーレー秒である。またポリオレフィ
ン微多孔膜の厚さは、用途に応じて適宜選択しうるが、
一般に5〜500μm、好ましくは10〜50μmにすること
ができる。
【0032】また、本発明においては、得られたポリオ
レフィン微多孔膜に、必要に応じてさらに、プラズマ照
射、界面活性剤含浸、表面グラフト化等の親水化処理な
どの表面修飾を施すことができる。
【0033】
【作用】本発明においては、架橋構造を形成したポリオ
レフィンの延伸フィルムを、そのポリオレフィンの良溶
媒に浸漬して膨潤させた後冷却し、収縮を防止しなが
ら、あるいは延伸しながら脱溶媒しているので、超高分
子量ポリオレフィンを使用しなくても、適度な空孔を有
し透気性に優れたポリオレフィン微多孔膜が得られる。
【0034】このような効果が得られる理由については
必ずしも明らかではないが、本発明で規定している範囲
内の温度の溶媒に架橋構造を形成したポリオレフィンの
延伸フィルムをポリオレフィンの良溶媒に浸漬すること
により、架橋延伸ポリオレフィンフィルムにおける非晶
質の部分は溶解し、しかも架橋していない結晶質の部分
も一旦は溶解することにより、架橋構造の部分による疎
な構造が固定化され、これを冷却することにより、溶解
した結晶質の部分が、この疎な構造に固定化され、次い
で溶媒の除去時の収縮に抗する応力の作用によりフィブ
リル状の開裂が起こり易くなり、微多孔化するためであ
ると考えられる。
【0035】
【実施例】以下の具体的実施例により本発明をさら詳細
に説明する。実施例1 高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.970 g/cm3 、メ
ルトインデックス(MI、190 ℃、2.16kg荷重)2.0 g
/10分、融点136 ℃)を直径45mmの押出機のTダイから
210 ℃で押し出し、厚さ600 μmのシートを作成した。
【0036】このシートの両面に、10Mradの電子線を照
射して架橋構造を形成した。得られた架橋シートの架橋
度を測定したところ、沸騰キシレン不溶分換算で11重量
%であった。
【0037】このようにして得られた架橋シートを二軸
延伸機にセットし、温度135 ℃及び延伸速度1m/分で
5×8倍に同時二軸延伸を行った。
【0038】このようにして得られた延伸フィルムを、
130 ℃に保持したパラフィンオイル(PO)中に3分間
浸漬したところ、時間の経過とともにパラフィンオイル
により膨潤して寸法が拡大するのが観察された。
【0039】このフィルムを23℃の水中に投入して急冷
し、パラフィンオイルで膨潤したポリエチレンフィルム
を得た。このフィルムのパラフィンオイルに浸漬前後の
重量比は2.34倍であった。
【0040】このフィルムを金枠に固定し、塩化メチレ
ンで洗浄して残留するパラフィンオイルを抽出除去した
後、乾燥及び熱セット(110 ℃、10分)を行いポリエチ
レン微多孔膜を得た。
【0041】このようにして得られたポリエチレン微多
孔膜の膜厚、空孔率及び透気度を測定した。結果を製造
条件とともに第1表に示す。
【0042】実施例2 高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.933 g/cm3 、メ
ルトインデックス(MI、190 ℃、2.16kg荷重)0.3 g
/10分、融点130 ℃)を用いて、実施例1と同様にして
厚さ600 μmのシートを作成した。
【0043】このシートを二軸延伸機にセットし、温度
135 ℃、延伸速度1m/分で5×5倍に同時二軸延伸を
行った。
【0044】得られた厚さ26μmの延伸フィルムの両面
に、2Mradの電子線を照射して架橋構造を形成した。得
られた架橋フィルムの架橋度を測定したところ、沸騰キ
シレン不溶分換算で39重量%であった。
【0045】このようにして得られた架橋フィルムを、
130 ℃に保持したパラフィンオイル(PO)中に3分間
浸漬したところ、時間の経過とともにパラフィンオイル
により膨潤して寸法が拡大するのが観察された。
【0046】このフィルムを23℃の水中に投入して急冷
し、パラフィンオイルで膨潤したポリエチレンフィルム
を得た。このフィルムのパラフィンオイルに浸漬前後の
重量比は1.87倍であった。
【0047】このフィルムを金枠に固定し、塩化メチレ
ンで洗浄して残留するパラフィンオイルを抽出除去した
後、乾燥及び熱セット(110 ℃、10分)を行いポリエチ
レン微多孔膜を得た。
【0048】このようにして得られたポリエチレン微多
孔膜の膜厚、空孔率及び透気度を測定した。結果を製造
条件とともに第1表に示す。
【0049】実施例3 高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.949 g/cm3 、メ
ルトインデックス(MI、190 ℃、2.16kg荷重)0.05g
/10分、融点135 ℃)を直径45mmの押出機の円筒状の回
転ダイから押し出した後、インフレーション法により延
伸して厚さ20μmのフィルムを作成した。
【0050】このフィルムの両面に、2Mradの電子線を
照射して架橋構造を形成した。この得られた架橋フィル
ムの架橋度を測定したところ、沸騰キシレン不溶分換算
で37重量%であった。
【0051】このようにして得られた架橋フィルムを、
130 ℃に保持したパラフィンオイル(PO)中に1分間
浸漬したところ、時間の経過とともにパラフィンオイル
により膨潤して寸法が拡大するのが観察された。
【0052】このフィルムを23℃の水中に投入して急冷
し、パラフィンオイルで膨潤したポリエチレンフィルム
を得た。このフィルムのパラフィンオイルに浸漬前後の
重量比は1.92倍であった。
【0053】このフィルムを金枠に固定し、塩化メチレ
ンで洗浄して残留するパラフィンオイルを抽出除去した
後、乾燥及び熱セット(110 ℃、10分)を行いポリエチ
レン微多孔膜を得た。
【0054】このようにして得られたポリエチレン微多
孔膜の膜厚、空孔率及び透気度を測定した。結果を製造
条件とともに第1表に示す。
【0055】実施例4 実施例3において、浸漬溶媒としてパラフィンオイルの
代わりにデカリン(DE)を使用し、浸漬条件を130 ℃
及び1分とした以外は、同様にして膨潤フィルムを製造
した。浸漬前後の重量比は2.07倍であった。
【0056】この膨潤フィルムをテンター式乾燥機によ
り115 ℃で乾燥しながら、横方向(TD方向)に2倍に
延伸した後、そのまま30分間乾燥を継続してポリエチレ
ン微多孔膜を得た。
【0057】このようにして得られたポリエチレン微多
孔膜の膜厚、空孔率及び透気度を測定した。結果を製造
条件とともに第1表に示す。
【0058】比較例1 実施例3において、電子線を照射せず架橋構造を形成し
なかった延伸フィルムをパラフィンオイルで膨潤させた
ところ、表面から一部溶解して以降の操作が行えずポリ
エチレン微多孔膜が得られなかった。
【0059】比較例2 実施例1において、フィルムを金枠に固定せず、塩化メ
チレンで洗浄して残留するパラフィンオイルを抽出除去
したところ、フィルムが収縮し有効な微多孔が形成され
なかった。
【0060】 第 1 表製造条件 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 比較例1 シートの製造方法*1 T-die T-die Inf Inf Inf シートの厚さ(μm) 600 600 20 20 20 架橋度(%)*2 11 39 37 37 37 延伸倍率(倍) 5×8 5×5 3× 2.5*53× 2.5*53× 2.5*5 (縦×横) ×2 溶媒の種類 PO PO PO DE PO 温度(℃) 130 130 130 130 130 浸漬時間(分) 3 1 1 1 1 浸漬前後の重量比*3 2.34 1.87 1.92 2.07 − 物 性 膜厚(1) 27 41 34 19 −*4 空孔率(2) 45 37 41 43 − 透気度(3) 542 980 720 173 −
【0061】*1シートの製造方法:T−ダイ押し出し
成形によるものをT−die、インフレーション成形に
よるものを Infとして表示した。 *2架橋度:沸騰キシレンに架橋シートを24時間溶解
し、不溶分の割合を求めた(単位は重量%)。 *3浸漬前後の重量比:膨潤後のシートの重量/膨潤前
のシートの重量から求めた。 *4:微多孔膜が得られなかった。 *5:ブローアップ比
【0062】(1) 膜厚:断面を走査型電子顕微鏡により
測定した(単位はμm)。 (2) 空孔率:重量法により測定した (単位は%) 。 (3) 透気度:ASTM D726 A 法に準拠して測定した (単位
はガーレー秒:秒/100ml・1インチ平方・124 mmH2
O) 。
【0063】第1表から明らかなように、実施例1乃至
3の方法によるポリオレフィン微多孔膜は、透気度の値
が良好であり、機械的強度が良好である。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明において
は、架橋構造を形成したポリオレフィンの延伸シート
を、その良溶媒に浸漬して膨潤させた後冷却し、収縮を
防止しながら、あるいは延伸しながら脱溶媒することに
よりポリオレフィン微多孔膜を製造しているので、超高
分子量ポリオレフィンを使用しなくても、適度な空孔を
有し、透気性に優れたポリオレフィン微多孔膜を従来よ
りも簡略化された工程で製造できる。
【0065】このような本発明の方法によるポリオレフ
ィン微多孔膜は、リチウム電池などの電池用セパレータ
ー、電解コンデンサー用隔膜、超精密濾過膜、限外濾過
膜、各種フィルター、透湿防水衣料用多孔質膜等の各種
用途に好適である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) ゲル分率で5〜70重量%の架橋構
    造を形成したポリオレフィン延伸フィルムを、前記ポリ
    オレフィンに対する良溶媒に、前記ポリオレフィン樹脂
    の融点−50℃〜融点+50℃で浸漬し、(b) 続いて冷
    却し、(c) 得られたフィルムの収縮を防止しながら、あ
    るいは得られたフィルムを延伸しながら溶媒を除去する
    ことを特徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008238761A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Toyoda Gosei Co Ltd ポリウレタン材料及びその製造方法
JP2008238760A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Toyoda Gosei Co Ltd 樹脂積層体及びその製造方法

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