JPH0769108A - 自動車の座席に使用する隙間除去関節装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 歯の隙間を除去すると共に軸受隙間を除去し
かつ非可逆性の与えられた安価な、自動車の座席用の関
節装置を提供することを目的とする。 【構成】 遊星歯車５に作用するか可動フランジに直接
作用する偏心体を非円形の二枚のデイスク１８，１９に
よって構成し、これらのデイスクは互いに離れた位置に
ある時には隙間を除去し、関節装置を非可逆状態にする
ようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】本発明は自動車の座席に使用される関節装
置（アーテイキュレーション）、特に座席の背もたれの
傾きまたは背もたれの頂部に設けられた頭受けの傾きを
設定しまたはかかる座席の位置を安定化する関節装置に
関する。

【０００２】上述した目的で自動車の座席に設けられる
関節装置は既に知られており、その駆動は可動フランジ
に対して遊星歯車（サテライト）を介してまたは直接に
行われる。これらの関節装置は中央の弾性部材によって
押し戻されるこのカム半体を備えている。

【０００３】かかる関節装置は遊星歯車を介して駆動す
るようにしたＦＲ−Ａ−２６４９０５０号および可動フ
ランジに直接駆動力を与えるようにしたＦＲ−Ａ−２４
７９８８５号に開示されている。

【０００４】しかし、これらの関節装置は隙間（クリア
ランス）を除去するだけであって、関節装置に非可逆性
をもたせるものでない。

【０００５】ＤＥ−Ａ−３４１９４９２号にも遊星歯車
を有するあるいは有しない関節装置であって、円錐形の
歯を有するフランジを備え、この円錐形の歯を軸方向に
作用するスプリングで押圧して歯の間の隙間を除去する
ようにしたものが開示されている。

【０００６】この関節装置はスプリングによって互いに
離される二枚の円形デイスクからなる駆動カムをも備
え、軸受隙間（bearing clearance ）だけを取り除くよ
うになっている。

【０００７】本発明の目的は高価な円錐形の歯を使用す
ることなく、二枚のカムデイスクを介して歯の隙間を取
り除くと共に軸受隙間を取り除きかつ関節装置に非可逆
性（非逆動性）を与えることを目的とする。

【０００８】本発明の関節装置は、二重遊星歯車と協働
するか可動フランジの内歯と直接協働する内歯を有する
固定フランジを備え、前記二重遊星歯車の歯は一方では
前記固定フランジの前記内歯と噛合し、他方では可動フ
ランジの内歯と協働し、更に、前記遊星歯車に作用する
か前記可動フランジに直接作用する偏心体を備え、この
偏心体の駆動軸は少なくとも一つの突起を有し、前記偏
心体は相対的に角度的に動きうる二枚のデイスクによっ
て構成されており、これらのデイスクは二つのアーチ状
の窓内に収容された弾性素子によって互いに接続されて
おり、これらのデイスクの中心部にはそれぞれ少なくと
も一つの円形の凹所が形成されており、これらの凹所か
らは前記の駆動軸の突起を受入れるようになされた中空
ハウジングが延びている、自動車の座席に使用する関節
装置において、前記デイスクはそれぞれ非円形であって
前記遊星歯車または可動フランジの開口内に収容し、こ
れらのデイスクは互いに離れた位置にある時には隙間を
除去しかつ関節装置を非可逆状態にするようにしたこと
を特徴とするものである。

【０００９】本発明の他の特徴によれば関節装置の制御
を確実ならしめるためにデイスクの二つの中空ハウジン
グはこれらのデイスクが互いにに離れた位置にある時に
角度的に偏倚しており、かくして駆動軸の突起がまず一
方のデイスクに作用して偏心体を解放し、次いで二枚の
デイスクに同時に作用するようになされる。

【００１０】本発明の更に他の特徴によれば、スプリン
グの作用を保証するためにアーチ状の各窓はその一端
に、単一のアーチ状開口上にスプリングに対する対接面
を提供する凹所を有する。

【００１１】本発明の別の特徴によれば、固定フランジ
と可動フランジとの接続はクリンプリングによって行
い、このクリンプリングと可動フランジとの間にボール
からなる冠状体が介在される。

【００１２】以下、本発明を図面を参照して説明する。
以下説明する関節装置は遊星歯車を備えているが、偏心
体は可動フランジに直接作用するようにすることもでき
る。

【００１３】図１に示す如く、本発明の関節装置は固定
フランジ１を備えており、この固定フランジ１はその底
部に部分的に切り出されたまたは打出された（ semi- c
ut）突出部２に例えば溶接によって結合された任意の形
式の固定部材によって座席のフレームに結合されてい
る。そして、この固定フランジ１は遊星歯車（サテライ
ト）５の歯４と協働するようになされた歯３を内側に備
え、遊星歯車５の第二の歯６は可動フランジ８の歯７と
部分的に噛合する。固定フランジ８は突出部９を介して
背もたれのフレームに固定されている。

【００１４】固定フランジ１の中心部には可動フランジ
８の中央開口または溝１１に対応して開口または溝１０
が形成されている。

【００１５】図１および図２に特に明瞭に示されている
如く、可動フランジ８の外周縁はボール１４からなる冠
状体（クラウン）１３を受入れ、固定フランジ１と可動
フランジ８とはクリンプリング１５（図１および図２参
照）により接続される。

【００１６】遊星歯車５の開口５ａ内に二枚のデイスク
１８，１９が配置され、これらのデイスクは突起２１ａ
の形成された大径の中心ベアリング面２１を有する軸２
０上に装着されており、軸２０の両端は固定フランジ１
と可動フランジ８とに形成された開口または溝１０，１
１の直径に等しい直径の円筒状の延長部からなってい
る。

【００１７】遊星歯車５の凹部５ａ内に配置されたデイ
スク１８，１９は図３Ａ、図３Ｂおよび図４に示す如く
非円形の同じ形状を有する。事実、図４に明瞭に示され
ている如く、遊星歯車５の中心開口５ａは円形である
が、重ねられたデイスク１８，１９は同一の形状を有す
るものの遊星歯車５の中心開口５ａを完全に満たしては
いない。図３Ａ（その一部が図３Ｂに拡大して示されて
いる）において非設定位置においては、デイスク１８，
１９は互いに離れており、一緒になって遊星歯車５の中
心開口５ａを事実上全体的に占める実質的な円を形成す
る。デイスク１９は右に偏倚し、デイスク１８は左に偏
倚している。更に、中心凹所または開口１８ａの下部か
ら中空ハウジング１８ｂが延びており、また中心凹所ま
たは開口１９ａから中空ハウジング１９ｂが延びてい
る。そしてこれらの中空ハウジングは、１８ｂが右に、
１９ｂが左に等しく偏倚している。

【００１８】各デイスク１８，１９はアーチ状の窓を有
し、デイスク１８の窓は符号２３で、デイスク１９の窓
は符号２４で示されている。これらのアーチ状の窓は各
デイスクの中心軸に対して同心状である。窓２３の一端
には凹所２３ａが設けられ、窓２４の反対側端には凹所
２４ａが設けられている。これらの二つの凹所はスプリ
ングの一端が一方のデイスクに対接する（他方のデイス
クには対接しない）のを許容し、スプリングの他端が他
方のデイスクに対接するのを許容する。

【００１９】更に、デイスク１９は開口２５，２６を、
またデイスク１８は開口２７，２８を有し、これらの開
口は二つずつ直径方向に対向しているが、二枚のデイス
クの開口は僅かに互いに偏倚している（図３Ｂ）。

【００２０】最後に、符号３０はデイスク１８，１９が
軸２０の中心ベアリング面２１上で互いに結合される時
にデイスク１８，１９のアーチ状の窓２３，２４内に収
容される弾性部材を示す。この弾性部材はスプリング
（図１、図２、図３Ａ、図３Ｂ、図４）または弾性ブロ
ック（図５乃至図１１）とすることができる。

【００２１】非設定位置においては、各部品は図３Ａお
よび図３Ｂに示す位置を占める。突起２１ａは中心位置
にあり、二枚のデイスク１８，１９は互いに離れてい
る。これらのデイスク１８，１９の外形は非円形である
ので、遊星歯車を上方に押し戻そうとする。即ち、遊星
歯車５の歯４，６を一方のフランジ、即ち固定フランジ
１または可動フランジ８の歯に対して押す。また、デイ
スクは遊星歯車５と回転しないようにブロックする。

【００２２】手動制御またはモータ（一般に電気モー
タ）によって位置を変えたい場合には、軸２０の回転に
よって突起２１ａを角度的に回転させる。その際、突起
２１ａはまずデイスク１９を変位させ次いでデイスク１
８を変位させる。これによってデイスク１８，１９は互
いに整合し、即ち事実上重なる。これにより、最初から
すでに圧縮されているスプリングが過圧縮される。

【００２３】デイスク１８，１９のこの位置において、
これらのデイスクを同時に駆動するのが可能となり、か
くしてカムが形成される。このカムは遊星歯車５の凹部
５ａ内で回転することにより、遊星歯車５を回転させ
る。歯４は固定フランジ１の内歯３上を転動することに
より、全ての二重遊星歯車関節機構について周知のよう
に歯７を介して可動フランジ８を駆動することによって
遊星歯車５の歯６を回転させる。

【００２４】関節装置が必要とする位置に達すると、軸
２０の回転が停止される。その時、突起２１ａは再びそ
の中心位置を占め、伸長したスプリング３０の作用によ
りデイスク１８，１９は互いに離れる。かくして、遊星
歯車５の歯は固定フランジ１または可動フランジ８のい
ずれか一方の歯の底部にブロックされ、これらの歯の切
削時にこれらの歯に生じた不規則性が原因で生じること
のある隙間が除去される。

【００２５】また、偏心体によって遊星歯車の回転が阻
止され、関節装置は非可逆状態になる。

【００２６】軸２０の回転方向がどうであれ、即ち時計
方向であれ反時計方向であれ同じ動作が行われる。

【００２７】図５および図６においては、二枚のデイス
ク１８，１９はフランジ１，８の切除部１ａ，８ａ上に
担持されている。軸１２０はこれらの切除部内を案内さ
れている。この構成の利点はデイスク１８，１９が軸１
２０を介してではなくてフランジ上に直接中心合わせさ
れることである。

【００２８】この関節機構の動作は上述したものと全く
同様である。

【００２９】図７および図８においては、二枚のデイス
ク１８，１９はフランジの同じベアリング８ｃ上に担持
されており、この構成によれば中心合わせが更に改善さ
れる。この関節装置の動作も上述したのと全く同様であ
る。

【００３０】最後に、図９および図１０には、ディップ
ロッド１４０を使用した機構が示されている。一方のロ
ッドはデイスク１８，１９の開口２５，２７を通って延
び、他方のロッドはデイスク１８，１９の開口２６，２
８を通って延びている。これにより、この二重カムが遊
星歯車５の凹部５ａ内の所定位置に設定されるのを許容
し、この場合弾性素子は過圧縮される。

【００３１】図１１においては、図９および図１０のデ
ィップロッドがデイスク１８に形成され、デイスク１９
の開口１９０と係合する部分的に切り出されたまたは打
出された部分１８０によって置換えられている。装着さ
れた時、前記部分１８０は開口１９０内に押込まれ、二
枚のデイスクを互いに自由にする。

【００３２】更に、ディップロッドまたは部分的に切り
出されたまたは打出された部分の如き機械的装着部材
は、デイスクを一時的に互いに接着することで置換える
のが有利である。その場合、前記接着は関節装置を最初
に使用する時に除去される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の関節装置の第一の実施例の分解斜視図
である。

【図２】図１の関節装置の断面図である。

【図３】図３Ａは図２の線III −III に沿った断面図、
図３Ｂは図３Ａの一部を拡大して示す正面図であって、
偏心体またはカムデイスクが非設定位置にある状態を示
す図である。

【図４】図３Ａの関節装置が遊星歯車の駆動位置にある
状態を示す図である。

【図５】本発明の関節機構の他の実施例の概略的な断面
図である。

【図６】図５の線VI−VIに沿った断面図である。

【図７】本発明の関節装置の更に他の実施例の概略的な
断面図である。

【図８】図７の線VIII−VIIIに沿った断面図である。

【図９】二本のディップロッドで装着した、図１０の関
節装置の線XI−XIに沿った断面図である。

【図１０】偏心体を関節装置に装着する時の、図９の線
Ｘ−Ｘに沿った断面図である。

【図１１】部分的に切り出されたまたは打出された部分
により装着した場合の図１０の線XI−XIに沿った断面図
である。

【符号の説明】

１ 固定フランジ ３ 固定フランジの内歯 ４ 二重遊星歯車の歯 ５ 二重遊星歯車 ５ａ 開口 ６ 二重遊星歯車の歯 ７ 固定フランジの内歯 ８ 固定フランジ １３ 冠状体 １４ ボール １５ クリンプリング １８ デイスク １９ デイスク １８ａ 凹所 １９ａ 凹所 １８ｂ 中空ハウジング １８ｂ 中空ハウジング ２０ 駆動軸 ２１ａ 突起 ２３ アーチ状の窓 ２４ アーチ状の窓 ２３ａ 凹所 ２４ａ 凹所 ２５ 開口 ２６ 開口 ２７ 開口 ２８ 開口 ３０ 弾性素子 １８０ 部分的に切り出されたまたは打出された部分 １９０ デイスク１９の内側開口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フランソワ・バロシュ フランス国61100 フレール、ラ、カルネ イユ （番地なし)

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 二重遊星歯車（５）と協働するか可動フ
   ランジ（８）の内歯（７）と直接協働する内歯（３）を
   有する固定フランジ（１）を備え、前記二重遊星歯車
   （５）の歯（４，６）は一方では前記固定フランジ
   （１）の前記内歯（３）と噛合し、他方では可動フラン
   ジ（８）の内歯（７）と協働し、更に、前記遊星歯車に
   作用するか前記可動フランジ（８）に直接作用する偏心
   体を備え、この偏心体の駆動軸は少なくとも一つの突起
   （２１ａ）を有し、前記偏心体は相対的に角度的に動き
   うる二枚のデイスク（１８，１９）によって構成されて
   おり、これらのデイスクは二つのアーチ状の窓（２３，
   ２４）内に収容された弾性素子（３０）によって互いに
   接続されており、これらのデイスク（１８，１９）の中
   心部にはそれぞれ少なくとも一つの円形の凹所（１８
   ａ，１９ａ）が形成されており、これらの凹所からは前
   記の駆動軸の突起（２１ａ）を受入れるようになされた
   中空ハウジング（１８ｂ，１９ｂ）が延びている、自動
   車の座席に使用する関節装置において、前記デイスクは
   それぞれ非円形であって前記遊星歯車または可動フラン
   ジの開口（５ａ）内に収容し、これらのデイスクは互い
   に離れた位置にある時には隙間を除去しかつ関節装置を
   非可逆状態にするようにしたことを特徴とする自動車の
   座席に使用する関節装置。
2. 【請求項２】 デイスクの二つの中空ハウジング（１８
   ｂ，１９ｂ）はこれらのデイスクが互いにに離れた位置
   にある時に角度的に偏倚しており、かくして駆動軸の突
   起がまず一方のデイスクに作用して偏心体を解放し、次
   いで二枚のデイスクに同時に作用するようにしたことを
   特徴とする請求項１の自動車の座席に使用する関節装
   置。
3. 【請求項３】 アーチ状の各窓はその一端に、単一のア
   ーチ状開口上にスプリングに対する対接面を提供する凹
   所（２３ａ，２４ａ）を有することを特徴とする請求項
   １または２の自動車の座席に使用する関節装置。
4. 【請求項４】 固定フランジ（１）と可動フランジ
   （８）との接続はクリンプリング（１５）によって行
   い、このクリンプリング（１５）と可動フランジ（８）
   との間にボール（１４）からなる冠状体（１３）を介在
   させたことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一の
   自動車の座席に使用する関節装置。
5. 【請求項５】 デイスク（１８，１９）には各デイスク
   毎に直径方向に対向しかつ弾性素子（３０）が圧縮され
   る時のこれらのデイスク（１８，１９）の偏心により対
   として角度的に偏倚される開口（２５，２６，２７，２
   ８）を形成し、これらの開口（２５，２６，２７，２
   ８）は弾性素子が過圧縮される時に、任意の部材の助け
   により二枚のデイスク（１８，１９）によって提供され
   る制御カムの装置を許容するようにしたことを特徴とす
   る請求項１乃至４のいずれか一の自動車の座席に使用す
   る関節装置。
6. 【請求項６】 装着位置においてデイスクを互いに接着
   したことを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一の自
   動車の座席に使用する関節装置。
7. 【請求項７】 一方のデイスク（１８）が他方のデイス
   ク（１９）の内側開口（１９０）と係合する二つの部分
   的に切り出された部分（１８０）を有することを特徴と
   する請求項１乃至６のいずれか一の自動車の座席に使用
   する関節装置。
8. 【請求項８】 二枚のデイスクが一方のフランジに固定
   されたベアリング上に担持されていることを特徴とする
   請求項１乃至６のいずれか一の自動車の座席に使用する
   関節装置。