JPH076908A - 抵抗体の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、絶縁体の外表曲面に設けた位置決
め溝に沿って抵抗線を巻き付けた後、熱硬化性樹脂を含
浸、注形して抵抗体を製造するにあたり、紫外線硬化性
プリプレグシートを用い、位置決め溝パターンの真空成
形又は圧空成形をした硬化プリプレグシェルを得、該硬
化プリプレグシェルを前記絶縁体の外表曲面に配置する
ことにより、前記位置決め溝を設けることを特徴とする
抵抗体の製造方法である。 【効果】 本発明によれば、複雑な抵抗線パターンを絶
縁体の曲面上に形成することができ、高電圧抵抗体の設
計上要求される巻線パターンを簡便に形成することがで
き、ＳＦ₆ ガス絶縁開閉装置（ＧＩＳ）用高電圧抵抗体
などを安価に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複雑なパターンの巻線
を精度よく、簡便に形成することができる抵抗体の製造
方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、高電圧ＳＦ₆ ガス絶縁開閉装
置（ＧＩＳ）には開閉サージを吸収制御する各種の抵抗
体が使用されている。この抵抗体の製造方法として、カ
ーボンブラック、炭化ケイ素等の半導電性フィラーを各
種プラスチックやセラミックスに適宜配合分散させるこ
とによって、要求される抵抗体を得ることが行われてい
る。しかしながら、これらの粒子分散型抵抗体は高電圧
下で使用すると、抵抗値が大きく低下するという問題が
あった。

【０００３】一方、ポリエステル樹脂やポリイミド樹脂
で絶縁被覆した金属抵抗線あるいは半導電性プラスチッ
クやセラミックスで丸線状に形成した抵抗線は、それを
絶縁体に一定ターン間距離で巻き付けて外周を熱硬化性
樹脂でモールドする方法が知られている。単に一定ター
ン間距離で巻線する場合には、絶縁筒や絶縁棒の絶縁体
にネジ溝のような溝加工をすることにより抵抗線の位置
決めを行い固定することは容易である。

【０００４】しかしながら、抵抗線を絶縁筒や絶縁棒で
固定する巻線抵抗体を高電圧下で使用するためには、巻
線ターン間の耐電圧特性や開閉サージ等の異常電圧によ
る巻線内部の電圧分布に応じて、巻線ターン間距離や複
雑な巻線パターンを設計する必要がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、巻線を絶縁
体の曲面上に複雑なパターンで配置するには、三次元加
工による溝加工が必要になり、また非常に高価なものに
なる。また、複雑な溝形状を注型型で製造することも可
能であるが、注型型に塗布する離型剤が溝内部にも付着
するため、抵抗線をモールド絶縁する際に離型剤の除去
工程が必要となる。さらに注型金型の製作はそれ自体で
非常に高価となる欠点がある。

【０００６】本発明は、上記の欠点を解消するためにな
され、高電圧抵抗体に必要な曲面上に配置される複雑な
パターンの巻線位置決め用溝を精度よく、簡単に成形可
能とするもので、高電圧下の使用に耐え、かつ安価な抵
抗体の製造方法を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成しようと鋭意研究を重ねた結果、抵抗線の位置決
め溝のパターンを真空成形または圧空成形して形成した
紫外線硬化プリプレグシェルを用いることによって、上
記目的が達成できることを見いだし、本発明を完成した
ものである。即ち本発明は、絶縁体の外表曲面に設けた
位置決め溝に沿って抵抗線を巻き付けた後、熱硬化性樹
脂を含浸、注形して抵抗体を製造するにあたり、紫外線
硬化性プリプレグシートを用い、位置決め溝パターンの
真空成形又は圧空成形をした硬化プリプレグシェルを
得、該硬化プリプレグシェルを前記絶縁体の外表曲面に
配置することにより、前記位置決め溝を設けることを特
徴とする抵抗体の製造方法である。以下、本発明を詳細
に説明する。

【０００８】本発明の外表曲面を有する絶縁体として
は、プリプレグに樹脂を含浸成形した絶縁筒や絶縁棒な
どのボビンを使用することができる。

【０００９】本発明に用いる紫外線硬化性プリプレグシ
ートとしては、紫外線硬化型不飽和ポリエステル樹脂等
の紫外線硬化型樹脂をマット、クロスなどの基材に含浸
乾燥したものを使用することができる。強度が必要な場
合は、マットに代えてクロスを使用することが望まし
い。この紫外線硬化性プリプレグシートは真空成形又は
圧空成形をして位置決め溝を形成した硬化プリプレグシ
ェルをつくるが、抵抗線位置決め溝の寸法やパターン
は、巻線ターン間に要求される耐電圧特性や、巻線内部
の複雑な電圧分布に応じて適宜選択決定される。要求さ
れる溝寸法・パターン、また絶縁体の外表曲面に基づい
て木型が製作され、常法により紫外線硬化性プリプレグ
シートを真空成形又は圧空成形して硬化プリプレグシェ
ルを製作する。

【００１０】絶縁体の外表曲面には、こうして製作した
曲面シェル構造を適宜組み合わせ、所定の巻線溝固定形
状を組み立てる。通常採用される円筒形状の場合は、絶
縁体（芯材）としてＳＦ₆ 分解ガス耐性のあるポリエス
テル不織布、ポリアミド不織布を基材としエポキシ樹脂
を真空含浸加圧硬化した絶縁パイプを用いる。そして、
その外表面に2 枚の半円筒状曲面シートを組立て固定す
る。

【００１１】本発明に用いる抵抗線は、市販の抵抗線の
なかから適宜選択し、溝に巻き付け固定する。抵抗線を
巻き付け固定した絶縁パイプの外周には、曲面に追従で
きる基材、かつＧＩＳ用としてはＳＦ₆ 分解ガス耐性の
あるポリエステル不織布、ポリアミド不織布、ポリエス
テルマット等の基材を巻き付け熱硬化性樹脂を含浸す
る。

【００１２】本発明に用いる含浸用熱硬化性樹脂として
は、低粘度で含浸性に優れ、かつ内部埋込みシート剤、
抵抗線と密着性の良好な含浸樹脂組成物、例えばエポキ
シ樹脂等を使用し、これを真空含浸、成形、さらに必要
に応じて液体又は気体加圧を行うことができる。

【００１３】

【作用】本発明の抵抗体の製造方法によれば、紫外線硬
化性プリプレグシートを用いて抵抗線固定用の溝を硬化
シェル構造として曲面上に形成することによって、高電
圧抵抗体耐電圧特性に必要な複雑な抵抗線配置を、通常
の三次元機械加工に比べて簡便に、比較的精度よく作る
ことができる。

【００１４】

【実施例】次に本発明の実施例を図面を用いて説明する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。 実施例 図１は本発明の一実施例により製造された抵抗体を説明
する構成図である。不織布／エポキシからなる絶縁筒１
の外周面に、抵抗線３を固定するための溝付き半円筒硬
化プリプレグシェル２，２′を2 枚１組として絶縁筒１
の円周面に固定されている。そして、溝には抵抗線３が
巻き付けられて固定され、抵抗線を固定した半円筒シェ
ル２，２′の外側には、図１の一点鎖線で示すように、
不織布を巻き付け低粘度エポキシ樹脂を真空含浸した熱
硬化性樹脂含浸不織布４が取り囲んでいる。

【００１５】図２は溝付き半円筒シェル２，２′の製作
を説明するシェル軸に平行方向に沿う断面図である。こ
れは例えば市販の紫外線硬化型ポリエステル樹脂のプリ
プレグシート２a であるオプトールＬＨＺ（ポリウレタ
ン化成社製、商品名）を用いて、木型５によって真空成
形して製造する。こうして製造した溝付半円筒シェル
２，２′を、図１で示したように、2 枚１組として絶縁
筒１の外周面に固定する。さらに半円筒シェル２，２′
の外側には不織布４を巻き付け低粘度エポキシ樹脂を真
空含浸して、抵抗線で複雑なパターンを配置した抵抗体
を製造した。この抵抗体の軸に直角方向に沿う断面図を
図３に示した。実施例で製造した抵抗体の電気的試験を
したところ、従来より特性のよい結果が得られた。

【００１６】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の抵抗体の製造方法によれば、抵抗線を絶縁体の曲面上
に複雑なパターンで形成することができ、高電圧抵抗体
の設計上要求される巻線パターンを簡便に形成すること
ができ、ＳＦ₆ ガス絶縁開閉装置（ＧＩＳ）用高電圧抵
抗体などを安価に製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の実施例により得られた抵抗体
を説明する構成図である。

【図２】図２は、図１における溝付き溝付き半円筒シェ
ル（硬化プリプレグシェル）の製造を説明するシェル軸
平行方向に沿う断面図である。

【図３】図３は、図１の抵抗体の軸直角方向に沿う断面
図である。

【符号の説明】

１ 絶縁筒（絶縁体） ２，２′ 溝付き半円筒シェル（硬化プリプレグシェ
ル） ２a 紫外線硬化性プリプレグシート ３ 抵抗線 ４ 熱硬化性樹脂含浸不織布 ５ 木型

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 絶縁体の外表曲面に設けた位置決め溝に
   沿って抵抗線を巻き付けた後、熱硬化性樹脂を含浸、注
   形して抵抗体を製造するにあたり、紫外線硬化性プリプ
   レグシートを用い、位置決め溝パターンの真空成形又は
   圧空成形をした硬化プリプレグシェルを得、該硬化プリ
   プレグシェルを前記絶縁体の外表曲面に配置することに
   より、前記位置決め溝を設けることを特徴とする抵抗体
   の製造方法。