JPH08181022A - トランス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トランスのコアと一次コイルと二次コイルと
を被膜により相互に絶縁して、ボビンを不要にする。 【構成】 コアに一次コイルと二次コイルとを巻装した
トランスにおいて、コア１の外周面にエポキシ樹脂被膜
２を形成し、更に、一次コイル３および二次コイル５を
エポキシ樹脂により被膜することにより、該一次コイル
３および二次コイル５を直接前記コア１に巻装する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はトランスに関するもの
であり、特に、コアと一次コイルと二次コイルとを被膜
により相互に絶縁することによりボビンを不要にしたト
ランスに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来此種トランスは、コア形状に合わせ
て成型されたボビンにコイルを巻回した後、該ボビンに
コアを挿入してワニス等を含浸することにより製造され
る。前記ボビンは熱硬化性の合成樹脂素材を成型加工す
ることにより形成され、コアと一次コイルおよび二次コ
イルとを絶縁する作用を有している。また、ワニス等の
含浸材はコイル内の空隙等に充填されて振動を防止する
とともに絶縁を図るためのものである。

【０００３】そして、一次コイルに交流電流を流すとコ
ア内の磁束が変化して二次コイルに誘導起電力が発生
し、変電圧が行われる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来のトランスはコイ
ルを巻回する巻枠としてボビンを必要とする。該ボビン
はコアの形状に適合するように成型しなければならない
ので金型の製作が煩雑であるばかりでなく、一つの金型
は一つの特定形状のボビンにしか利用することができず
容易に設計変更できない。また、成型加工工程を要する
ためにコストアップにつながる。更に、トランス全体の
サイズが大きくなり、また、重量も増加するため近年の
小型化軽量化の要請に反する。

【０００５】そこで、絶縁作用を維持しつつボビンを不
要にしてトランス製作工程を簡略化し、コストダウンを
図るとともにトランスの小型化軽量化を可能とするため
に解決されるべき技術的課題が生じてくるのであり、本
発明は該課題を解決することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために提案されたものであり、コアに一次コイルと
二次コイルとを巻装したトランスにおいて、コアの外周
面に被膜を形成し、更に、一次コイルおよび二次コイル
を夫々被膜することにより該一次コイルと該二次コイル
とを被膜を介して前記コアに巻装したトランスを提供す
るものである。

【０００７】

【作用】コアを被膜してあるので、該コアに直接一次コ
イルを巻回して被膜し、更に、二次コイルを巻回して被
膜することによりトランスを形成することができる。ま
たは、被膜したコアに直接被膜した空心の一次および二
次コイルを装着することによってもトランスを形成する
ことができる。そして、被膜によってコアと一次コイル
および二次コイルとが絶縁され、また、機械的応力等か
ら保護される。従って、ボビンを介装する必要がないの
でトランスを小型かつ軽量にすることができる。また、
金型や成型加工設備が不要になりコストダウンにつなが
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図に従って詳述す
る。図１において（ａ）はエポキシ含浸する前のＩ形コ
ア１を示し、珪素鋼等の薄板をＩ形に打ち抜き、積層し
て形成されることにより過電流の発生を防止して電力損
失を軽減している。同図（ｂ）は前記Ｉ形コア１をエポ
キシ含浸して外周面にエポキシ樹脂被膜２を形成した状
態を示す。

【０００９】エポキシ樹脂は電気絶縁性に優れているの
でＩ形コア１を効果的に絶縁することができる。該エポ
キシ樹脂被膜２が硬化した後、同図（ｃ）に図示せる如
く、Ｉ形コア１にエポキシ樹脂被膜２を介して一次コイ
ル３を巻回する。エポキシ樹脂被膜２はゲル状に硬化し
ているので一次コイル３のエナメル被覆を剥離すること
がなく、また、上述したように優れた絶縁作用を有して
いるのでボビンを介装する必要がない。従って、従来の
如くボビンを成型するための金型が不要になり、コア形
状が多少設計変更されても一つの含浸設備で対処するこ
とができ効率的である。また成型加工設備が不要になる
のでコストダウンできる。更に、トランスの小型化軽量
化にも寄与することができる。

【００１０】該一次コイル３を巻回した後、同図（ｄ）
に図示せる如く再びエポキシ含浸してエポキシ樹脂被膜
４を形成する。そして、同図（ｅ）に図示せる如く、該
エポキシ樹脂被膜４上に二次コイル５を巻回することに
より一次コイル３と二次コイル５とをエポキシ樹脂被膜
４によって絶縁隔離する。そして、Ｉ形コア１をＯ形コ
ア６に挿入し、該Ｉ形コア１の左右両端をＯ形コア６の
左右内側面に当接させて固定する。

【００１１】斯くして、組立てられたＥＩ形トランス７
を図２に図示せる如く、再度エポキシ含浸してエポキシ
樹脂被膜８を形成することにより、一次コイル３および
二次コイル５内部の空隙を充填して一次コイル３および
二次コイル５の振動を防止する。この充填工程は従来ワ
ニス等により行われているが、それをエポキシ樹脂で代
替することによって中間工程で用いたエポキシ含浸設備
をそのまま利用することができる。また、エポキシ樹脂
は硬化収縮度が小さいので内部応力やクラックの発生を
抑えることができる。

【００１２】図３は他の実施例を示し、エポキシ含浸し
たＥ形コア９の中央の縦片にエポキシ含浸した空心の一
次コイル１０と同じくエポキシ含浸した空心の二次コイ
ル１１とを挿入する。そして、図４に図示せる如く、Ｉ
形コア１２を前記Ｅ形コア９の左右縦片の上端面に当接
させて固定した後、再びエポキシ含浸することによりＥ
Ｉ形トランス１３を形成する。

【００１３】前述の図１及び図２による実施例において
は、エポキシ樹脂被膜２，４，８を硬化させる工程が合
計３回必要であったが、本実施例においては、Ｅ形コア
９、一次コイル１０および二次コイル１１のエポキシ含
浸を同時または連続して行い、平行して硬化させること
によって硬化工程がＥＩ形トランス１３を組立てる前と
組立てた後の２回で済み、より効率的になる。

【００１４】尚、本発明は、上記実施例でエポキシ樹脂
を使用した代りに、他の有機樹脂を使用してもよく、接
着する為、コーティングする為、含浸する為に同様の効
果を有する他の材料を使用してもよい。また、本発明
は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すこ
とができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶこ
とは当然である。

【００１５】

【発明の効果】この発明は上記実施例にて詳述せる如
く、コアと一次コイルと二次コイルとが夫々被膜されて
相互に絶縁されているので、該コアに該一次コイルおよ
び二次コイルを直接巻装することができ、ボビンを介装
する必要がない。従って、ボビンを成型するための金型
や加工設備が不要になるのでコストダウンにつながるだ
けでなく、トランスの小型化軽量化にも寄与できる。ま
た、一次コイルおよび二次コイルを巻回した後の充填工
程にも含浸設備を利用して前記被膜を充填することによ
りトランス製造設備を簡素化することができ、更にコス
トダウンできる等、正に諸種の効果を奏する発明であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示し、その製造工程解説
図。

【図２】図１においてＥＩ形トランスを組立てた状態を
示す斜視図。

【図３】他の実施例を示し、その分解斜視図。

【図４】図３においてＥＩ形トランスを組立てた状態を
示す斜視図。

【符号の説明】

１，１２ Ｉ形コア ２，４，８ エポキシ樹脂被膜 ３ 一次コイル ５ 二次コイル ６ Ｏ形コア ７，１３ ＥＩ形トランス ９ エポキシ含浸されたＥ形コア １０ エポキシ含浸された一次コイル １１ エポキシ含浸された二次コイル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コアに一次コイルと二次コイルとを巻装
   したトランスにおいて、コアの外周面に被膜を形成し、
   更に、一次コイルおよび二次コイルを夫々被膜すること
   により該一次コイルと該二次コイルとを被膜を介して前
   記コアに巻装したことを特徴とするトランス。