JPH0767665A - 成熟インスリンの生産のための遺伝子系 - Google Patents

成熟インスリンの生産のための遺伝子系

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JPH0767665A
JPH0767665A JP6185950A JP18595094A JPH0767665A JP H0767665 A JPH0767665 A JP H0767665A JP 6185950 A JP6185950 A JP 6185950A JP 18595094 A JP18595094 A JP 18595094A JP H0767665 A JPH0767665 A JP H0767665A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成熟インスリンの生産のための遺伝子系の提
供。 【構成】 同一のリーディングフレーム内に第一DNA
配列及びこれに直接連結された第二DNA配列を含んで
成るDNA構成物であって、該第二DNA配列が、成熟
インスリンの生産のためにはプロセシングを必要とする
成熟インスリンのための前駆体配列をコードしており、
そして前記第一DNA配列は酵母宿主からの該前駆体配
列の分泌をもたらすための酵母α−ファクターリーダー
及びプロセシングシグナル配列をコードしている、前記
DNA。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】ハイブリドDNA技法は、遺伝子
の転写及び翻訳による所望のポリペプチド生成物の製造
を可能にする。ほとんどの場合、注目するポリペプチド
生成物は哺乳動物遺伝子に関連するが、宿主細胞の選択
はまず原核生物及び下等真核生物、例えば菌類、特に酵
母に向けられてきた。これは増殖及び遺伝的操作が簡単
なためである。所望のポリペプチドの効果的な産生を供
するDNA構成を形成するための方法の開発において
は、要求される通りにDNA断片を挿入しそして切り出
すことが可能な方法を開発しなければならない。
【0002】しばしば、種種の制御シグナル、複製系、
マーカー、及び注目する1又は複数の構造遺伝子が異る
分離源に由来する。従って、該当する配列中でエンドヌ
クレアーゼ切断、挿入及び切出しを可能にし、複数のD
NA断片を正しい方向に且つ適切な空間的関係において
配列せしめる方法を開発しなければならない。さらに、
目的とする構造遺伝子の効果的な転写、翻訳又は増加を
妨害するか又は妨害する可能性がある配列の存在を回避
しなければならず、又はこれらの配列が不利益な効果を
有しない場合にのみその存在が許される。
【0003】DNA構成の調製に関する方法のほかに、
制御シグナル及び発現生成物についてコードする配列の
選択、これらの個々の相互作用、宿主に対するこれらの
影響、宿主のエネルギーが目的ポリペプチドの産生に用
いられる効率、及びポリペプチド生成物の分離の容易さ
も考慮に入れられる。従って、特定のポリペプチドの製
造のための方法の個々の開発は、実験計画、手順の組織
化及び研究における知的な実践となる。
【0004】
【従来の技術】ヒト−インスリンのヒト−DNA配列
は、Bell等、Nature(1979)282:5
25−527に見出される。ラットの「プレ」−プロイ
ンスリンポリペプチド断片の細菌中での産生が米国特許
第4,338,397号に記載されている。Kurja
n及びHerskowitz,Cell(1982)
:933−943は、成熟α−ファクターの4個のタ
ンデムコピーを含有するα−ファクター前駆体を予想
し、配列を記載しそしてプロセシング機構を仮定してい
る。
【0005】Kurjan及びHerskowitz,
1981年におけるCold Spring Harb
or Meeting on The Molecul
arBiology of Yeastの「A Put
ative Alpha−Factor Precur
sor Containing Four Tande
m Repeats of Mature Alpha
−Factor」と題する要約紙は、α−ファクターに
ついてコードする配列、及びこれらの2個の配列の間の
スペーサーを記載している。米国特許第4,338,3
97号の第3及び第4欄は有用な定義を与えており、こ
の定義を引用によりこの明細書に組み入れる。
【0006】
【発明の要約】酵母宿主中で「プレ」−プロインスリン
を産生せしめ、そしてプロセシングされた「プレ」−プ
ロインスリンを培地中に分泌せしめるための方法及び構
成が提供される。このDNA構成は種々の分離源に由来
するDNA配列を連結することによって形成され、この
構成は酵母宿主中で安定に複製されそしてプロセシング
された「プレ」−プロインスリンの栄養培地中への効率
的な高レベル産生をもたらす。他方、この生成物は高収
率で分離され得る。
【0007】
【具体的な説明】酵母宿主中で哺乳動物の「プレ」−プ
ロインスリンを効果的に産成し、そして「プレ」−プロ
インスリンをプロセシングする新規なDNA構成が提供
される。この構成は、哺乳動物「プレ」−プロインスリ
ンの転写及び翻訳、並びにこのポリペプチド生成物のプ
ロセシング及び培地への分泌をもたらす。
【0008】従ってこの構成は、酵母宿主中で安定な保
持を可能にする複製系;効果的なプロモーター;プロイ
ンスリンについてのコード領域に連結されたリーダー及
びプロセシングシグナルを含有する構造遺伝子(このプ
ロインスリンについてのコード領域は分泌リーダー及び
プロセシングコード配列とリーディングフレームが一致
している);及びこの構造遺伝子から下流に位置するタ
ーミネーター配列を含む。場合によっては、転写制御、
遺伝子の増幅、転写の外的制御等のための他の配列を有
することができる。
【0009】「プレ」−プロインスリン遺伝子とは、ヒ
ト−プロインスリンについてコードし、酵母宿主により
効率的に認識されるリーダ配列及びプロセシングシグナ
ルとリーディングフレームが一致している遺伝子を意味
する。すなわち「プレ」とは、酵母宿主と関連する分泌
及びプロセシングシグナルを意味し、プロインスリン遺
伝子と共に天然に存在し天然のプレプロペプチドをプロ
インスリンにプロセシングするためのヒトの配列と区別
される。
【0010】この構成の調製においては、個々の配列を
あらかじめ定められた順序で一緒にすることにより、存
在する複数の配列が各段階において妨害されそれらの機
能が不都合な影響を受けることがないこと、及び導入さ
れる各配列が他の配列との関係において適切に位置し、
これらの個々の機能が満たされ得ることを保証すること
が必要である。さらに、構成を有利に調製するためにア
ダプター分子を使用することができる。
【0011】使用されるプロインスリン遺伝子は染色体
DNA、cDNA、合成DNA、又はこれらを組合わせ
たものであってよい。プロインスリン遺伝子は哺乳動物
遺伝子であり、そして制御シグナル、リーダー及びプロ
セシングシグナル、並びに転写ターミネーターシグナル
は宿主に由来しそして宿主によって認識される配列であ
るであろうから、幾つかの配列をコネクター配列又はア
ダプター配列により連結するのが有用であろう。
【0012】すなわち、制御部位を適切に選択すること
により、コード鎖の内側であり5′−末端近くの制限酵
素部位において切断し幾つかの塩基対が欠失したプロイ
ンスリン遺伝子を得ることができる。同様にして、リー
ダー及びプロセシングシグナル配列を、コード鎖の内側
であって3′−末端の近くの制限酵素部位で切断して多
数の塩基対を欠失せしめることができる。(特にことわ
らないかぎり、5′−及び3′−の標示はコード鎖につ
いて用いる。)アダプターがプロインスリン遺伝子の適
切なリーディングフレームをもたらすように制御部位が
選択される。
【0013】アダプターは合成的に調製することができ
るので、アダプターのコドンは、天然に存在する哺乳動
物のコドンではなく、酵母宿主により選択的に用いられ
るコドン、例えば解糖系酵素の遺伝子中に存在するコド
ンであることが好ましい。アダプターはコード配列中に
約20〜40、さらに一般的には約25〜35の塩基を
有し、そして接着末端又は平滑末端、好ましくは接着末
端を有する。好ましくは、アダプターの末端は異なる接
着末端を有し、該アダプターの正しい方向付けを保証す
る。従って、連結されるべき2つの末端も又異なる末端
を有するであろう。
【0014】リーダー及びプロセシングシグナルのため
に、酵母由来の天然のDNA配列を使用することができ
る。酵母により分泌されるポリペプチドにはα−ファク
ター、a−ファクター等が含まれる。この発明を、酵母
α−ファクターの制御シグナル、リーダー及びプロセシ
ングシグナル、並びに転写ターミネーターと共に、プロ
インスリンのcDNAを用いて説明する。
【0015】酵母α−ファクターはHindIII 及び
alIにより切り出すことができる。HindIII は、
α−ファクターのプロセシングシグナル中gluコドン
のコード鎖の第2塩基において切断し、他方認識配列は
gluコドンを満たしそしてalaをコードする。Sa
I部位はα−ファクター転写ターミネーターに先行す
る。
【0016】ヒト−プロインスリンcDNAは、Eco
RIにより切り出されて、プロインスリンの完全コード
配列及びフランク配列を有する断片(EcoRI−Ec
RI)をもたらす。EcoRI−EcoRI断片を
coRIIにより部分消化してコード配列の内部を切断す
ることにより、5′−末端においてコード配列の一部分
が欠落した不完全断片(truncated frag
ment)が得られる。
【0017】この塩基対はアダプターにより与えられ、
このアダプターはEcoRII−EcoRI断片とリーデ
ィングフレームが適切に一致するようにリーダー及びプ
ロセシングシグナル断片(HindIII 部位)に結合す
る。アダプターは単一断片として調製することができ、
又は2以上の単一鎖を連結することによって調製するこ
とができる。アダプターが、プロセシングシグナル及び
発現されるべき遺伝子の必要なコドンを再構成する。
【0018】プロインスリンのcDNA遺伝子を含有す
る断片の他端にはEcoRI認識部位が存在する。α−
ファクター遺伝子はf−metコドンの第1塩基から5
33番目の塩基にSalI制限部位を有する。小型の
coRI−SalIアダプターがこの3′−非コード領
域において2個の末端を連結するために機能し、そして
それ由に構成にα−ファクター転写ターミネーターを復
元するために機能する。
【0019】便利には、プロモーターとして、リーダー
配列と関連するプロモーターを使用することができる。
この場合、プロモーター及びリーダー配列の両者を効果
的な転写のために適切である空間的関係において含有す
る5′−ポータブル要素を得ることができる。さらに、
転写ターミネーターを含めることにより、プロモーター
/リーダー/外来性遺伝子/ターミネーターから成る
「カセット」を形成することもできる。このことは、酵
母由来の無傷の遺伝子、並びにこの遺伝子の上流及び下
流の転写制御配列を含有するDNA断片(この遺伝子は
酵母宿主によって分泌されるポリペプチドを発現する)
を分離することによって達成される。このことは、α−
ファクターを用いてすでに例示した。
【0020】プロインスリンcDNAはそれ自体の終結
コドンを有し、ポリペプチドのC−末端が天然のC−末
端と同一であることを保証するであろう。上記の方法に
代えて、天然のプロモーターの代りに転写制御を可能に
する他のプロモーターを使用することができる。このた
めには、異なるプロモーターを導入するためにリーダー
配列から上流の領域の配列を決定しそして/又は制限地
図を作成することが必要であろう。ある場合には、天然
のプロモーターを残留せしめ、この天然のプロモーター
の上流又は下流のいずれかに第2のプロモーターを与え
ることが望ましいであろう。
【0021】広範囲の種類のプロモーターを使用するこ
とができ、又は酵母遺伝子から得ることができる。特に
好ましいプロモーターには、解糖経路における酵素と関
連するプロモーター例えばアルコールデヒドロゲナー
ゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲ
ナーゼ、ピルベートキナーゼ、トリオースホスフェート
イソメラーゼ、ホスホグルコイソメラーゼ、ホスホフラ
クトキナーゼ等のためのプロモーターが含まれる。
【0022】これらのプロモーターを制御配列、例えば
オペレーター、レプレッサー及びデレプレッサーと共に
使用することにより、そして無傷の制御系を有する宿主
を使用することにより、プロセシングされた「プレ」−
プロインスリンの発現を制御することができる。すなわ
ち、目的ポリペプチドの産生の制御のために種々の小有
機分子、例えばグルコースを用いることができる。
【0023】また、温度を変えることによって転写を調
節することを可能にする温度感受性変異株を使用するこ
ともできる。すなわち、非許容的温度(noneper
missive temperature)において細
胞を増殖せしめることにより細胞を高濃度に増殖せし
め、この後温度を変えることによりプロセシングされた
「プレ」−プロインスリンを発現せしめる。
【0024】その他の能力を構成中に導入することもで
きる。例えば、宿主に対するストレスの際に、増幅され
たストレスに対して遺伝子のみならずフランク領域も応
答する場合、遺伝子は増幅をもたらす。このような遺伝
子を、プロモーター及び「プレ」−プロインスリンの転
写制御をもたらす他の制御遺伝子より上流に導入し、そ
して酵母宿主をストレスすることにより、「プレ」−プ
ロインスリン遺伝子をその制御配列と共に含有する数の
反復配列を有するプラスミドが得られる。
【0025】代表的な遺伝子にはメタロチオネイン遺伝
子及びジヒドロフォレートレダクターゼ遺伝子が含まれ
る。構成はリーダー配列断片のほかに宿主染色体に相同
の他のDNAを含有することができる。プロインスリン
遺伝子を染色体に組み込むことが望ましい場合には、プ
ロインスリン遺伝子構成の周縁に位置し宿主染色体DN
Aと相同の配列を用いて組込みを強化することができ
る。
【0026】酵母宿主により認識される複製系を用い
る。従って、複製系が酵母宿主にとって本来的なもので
あることが好ましい。多数の酵母ベクターがBotst
ein等、Gene(1979):17−24により
報告されている。2μmプラスミド複製系を含有するY
Epプラスミドが特に好ましい。これらのプラスミドは
多コピー数において容易に保持される。以上の方法に代
えて、又はこれに加えて、ARS1及びCEN4の組合
わせを用いて安定な保持を得ることができる。
【0027】各操作の後、適当であれば構成をクローニ
ングして、目的とする構成を純粋な形でそしてさらに操
作するのに十分な量において得る。好ましくは、原核生
物、特にコリ中でクローニングができるように、シ
ャトルベクター(すなわち酵母及び細菌の複製開始点を
含有するベクター)を用いる。
【0028】プラスミドは、酵母細胞又はスフェロプラ
ストを用いそして形質転換のためのカルシウム沈殿DN
Aを用いる任意の便利な手段により、又はその他の常用
技法により、酵母に導入することができる。変性された
宿主は、発現プラスミドを構成するためのベクターに通
常備なえられている遺伝的マーカーに従って選択するこ
とができる。栄養要求宿主を用い、プラスミドはこの宿
主を補完(complement)しそして原栄養性を
付与する遺伝子を有する。この方法に代えて、適当な殺
生物剤、例えば抗生物質、重金属、毒素又はこれらに類
するものに対する耐性を、マーカーとしてプラスミドに
導入することができる。
【0029】次に、親細胞をストレスしプラスミドを含
有する細胞を選択する栄養培地を用いることにより選択
を行う。次にプラスミド含有細胞を適当な栄養培地中に
増殖せしめ、そして分泌された目的ポリペプチドを常法
に従って分離する。このポリペプチドをクロマトグラフ
ィー、抽出等により精製する。ポリペプチドは培地中に
成熟型として存在するであろうから、目的ポリペプチド
を連続的に取り出しながら栄養培地を循環することがで
きる。次に、この発明を具体的に説明するために例を記
載するがこれによりこの発明の範囲を限定するものでは
ない。
【0030】実験 1.phins1−19のEcoRI消化 約700μgのphins1−19(pBR328の
coRI部位においてクローニングされた、完全なヒト
−プロインスリン遺伝子を含有する517bpのcDN
A)を、約1600ユニットのEcoRI(ニューイン
グランドビオラブス)と共に、1ml中で、37℃にて約
4.5時間(完了まで)製造者により指定された緩衝条
件下でインキュベートした。(phins1−19は、
Bell等、前記、により記載されたプラスミドから、
PstI開裂、Bal31切断、EcoRIリンカーの
付加、及びpBR328への挿入により誘導される。)
【0031】ヒト−プロインスリン遺伝子を含有するp
hins1−19のEcoRI−EcoRI断片の分離 Eco RI−EcoRI断片を5%非変性条件下のポリ
アクリルアミドゲル電気泳動により分離した。ゲルを1
μg/mlのエチジゥムブロミド溶液中で約10分間染色
し、そして長波長UV光のもとで可視化した。517bp
断片に対応するバンドを切り取り、そして電気溶出〔S
mith,Methods in Enz.(198
0)65:371−380〕によりゲルから分離した。
DNAを濃縮し、そしてこれを指定された条件下でエル
チップ(Elutip)−dカラム(Schleich
er and Schuell社)に通すことにより精
製した。
【0032】2.EcoRIIを用いるEcoRI−Ec
oRI片の部分消化 Eco RI−EcoRI断片(約17μg)を、約3ユ
ニットのEcoRII(ベセスダリザーチラブス)と共
に、170μlの容積において、37℃にて指定された
緩衝条件下で、インキュベートした。同量のアリコート
を18,21、及び25分間目に採取した。
【0033】EcoRII−EcoRI(長断片)の分離 392bpのEcoRII−EcoRI断片を、前記のごと
く、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、電気溶出、及び
エルチップ−dクロマトグラフィーにより分離した。
【0034】3.EcoRII−EcoRI断片と合成断
片との連結 インスリンコード領域のほとんどを含有するEcoRII
EcoRI部分消化断片を、シリコン加工した1.5
mlのエッペンドルフ管中で水を蒸発せしめることにより
乾燥した(80μg,0.35ピコモル)。このペレッ
トに、10ピコモルの5′−燐酸化合成断片3及び4、
並びに25ピコモルの断片2及び5を加え、容積を14
μlとした。断片2〜5は次のDNA配列(5′→3′
で示す)を有する。
【0035】2. ACAAAAGCTTC 3. TTGTGAACCAACACCTGTGCGGCTCACA 4. CCAGGTGTGAGCCGCACAGGTGTTGGTTC 5. AATTTGATAAG
【0036】これに、5μgのポリ−A(5μl)、2
50mMのEDTA(1μl)、2M酢酸ナトリウム(2
0μl)を加えた。この溶液を60℃に5分間加熱する
ことにより残存キナーゼを失活せしめ、そして次に25
ピコモルの5′−ヒドロキシン合成断片1及び6を加え
た。断片1及び6は次のDNA配列を有する。 1. AGCTGAAGCTT 6. TCGACTTATCA
【0037】この方法によりコンカテマー(conca
temer)の形成が回避される。これらの断片は、酵
母α−ファクタープロセシングシグナルからプロインス
リン遺伝子中のEcoRII制限部位までのコドンを、h
is及びleuのコドンにおいて架橋し、そしてさらに
プロインスリン遺伝子を含有する断片のEcoRI制限
部位と酵母α−ファクターを含有する断片のsalI制
限部位(EcoRI部位及びsalI部位はいずれもこ
れらそれぞれのコード領域より下流にある)とを架橋す
るアダプターとなる。
【0038】この混合物を攪拌し、200μlの95%
エタノールを加え、そしてチューブを−80℃にて20
分間保持することによりDNAを沈澱せしめる。12,
800Gにて10分間遠心分離した後、溶液をデカント
し、冷エタノールで洗浄し、そして蒸発乾燥した。断片
のアニーリングを、18μlの水を加え、渦流攪拌し、
90℃に加熱しそして1時間かけて14℃に冷却するこ
とにより達成した。全容積27μlに50mMのTris
−HCl(pH7.8)、10mMのMgCl2 、1mg/ml
のスパーミジン、10mMジチオスレイトール、1mMのA
TP(リゼーション緩衝液)を含有するように溶液を調
整した。
【0039】6ワイス(Weiss)ユニットのT4D
NAリガーゼ(3μl)を加えることにより連結反応
(ligation)を開始した。14℃にて2時間置
いた後、予想される443bpのHindIII −Sal
断片を、非変性条件下の7%ポリアクリルアミドゲル電
気泳動により分離した。エチジウムブロミド(0.5μ
g/ml)で染色することによりバンドを可視化し、切り
取り、そして電気溶出した。バッグの内容物を取り出
し、5μgのポリ−Aを加え、DNAをエタノール沈澱
し、そして乾燥した。断片をT4ポリヌクレオチドキナ
ーゼ(3ユニット)を用い、37℃にて1時間合計20
μlのリゼーション緩衝液中で、5′−燐酸化した。
【0040】4.HindIII −SalIα−ファクタ
ー−プロインスリン融合断片のpAB113への連結 pAB113は、HindIII 及びSalI部位が除去
されているpBR322のEcoRI部位においてクロ
ーニングされた酵母α−ファクター遺伝子を含有する
1.8kbEcoRI断片を含んで成るプラスミドであ
る。pAB113はプラスミドpAB101から誘導さ
れ、このものは、プラスミドYEp24のBamHI部
位においてクローニングされた部分Sau3A断片とし
てα−ファクター遺伝子を含有する。
【0041】pAB101は、YEp24中にクローニ
ングされた酵母遺伝子ライブラリーを、公表されている
α−ファクターコード領域(Kurjan及びHers
kowitz,Abstracts 1981 Col
d Spring Harbor Meeting o
n the Molecular Biologyof
Yeasts,242頁)と相同の合成オリゴヌクレ
オチドプローブを用いてスクリーニングすることにより
得られる。pAB113をエンドヌクレアーゼHin
III 及びSalIにより完全消化した。
【0042】前記のようにして調製した連結生成物を含
有するサンプルを60℃に加熱し、そして100ngの消
化されたpAB113を加えた。この溶液を、15分間
かけて14℃に冷却し、2ワイスユニットのT4リガー
ゼを加え、そして14℃にて2時間連結を行った。
【0043】挿入部を含有するpAB113によるE・
コリHB101の形質転換、及び形質転換体の試験 エタノール沈澱の後、ペレットを75mMのCaCl2
入れ、そしてこれを用いてコンピテントコリHB1
01細胞を形質転換した。8個の形質転換体を得、これ
らの各々からプラスミドDNAを抽出した〔Birbo
im及びDoly,J.Nuc.Acids Res
(1979):1513〕。
【0044】組換プラスミドをPstI及びSalIに
より消化し、そしてα−ファクター−プロインスリン挿
入部に特異的な319,207,79,48,31、及
び27bpの予想される断片の収得を電気泳動的に試験し
た。8個の形質転換体の内、pyins−1,−2,−
3,−4,−5と標示する5個の形質転換体がα−ファ
クター−プロインスリン挿入部を含有していた。陽性形
質転換体の各々について1lの培養物からプラスミドD
NAを調製した。
【0045】5.pyins−1,−2,−3,−4,
−5のEcoRI消化 各形質転換体からのプラスミドDNA(100μg)
を、240ユニットのEcoRI(BRL)と共に4時
間200μlの容積において指定された緩衝条件のもと
でインキュベートした。
【0046】EcoRI−EcoRI断片の分離 2056bpEcoRI−EcoRI断片を5%ポリアク
リルアミド電気泳動により分離した(この方法に代えて
アガロースを使用することもできる)。ゲルをエチジゥ
ムブロミドで染色し、そして予想されるUV−可視化バ
ンドを切り出した。DNAを、前記のごとく、電気溶出
により分離し、そしてクロマトグラフィーにより精製し
た。
【0047】6.EcoRI−EcoRI断片へのEc
oRI−BamHIアダプターの連結 各「pyin」クローン(約4μg)を、次のDNA配
列を有する5′−燐酸化EcoRI−BamHIアダプ
ター1.0μgと共に、2000ユニットのT4DNA
リガーゼ(ニューイングランドビオラブス)の存在下で
インキュベートした。 5′−GATCCCTCTAGG−3′ ;及び、 5′−AATTCCTAGAGG−3′
【0048】反応は、900μlの指定された緩衝液中
で18℃にて2.5時間行った。サンプルを65℃に1
0分間加熱し、フェノール抽出し、そして250μlの
指定された緩衝液中で37℃にて4時間、100ユニッ
トのBamHI(BRL)を用いて消化した。Bam
I−BamHIα−ファクター−プロインスリン断片
を、上記のようにして、1%アガロースゲル電気泳動、
電気溶出及びこれに続くカラムクロマトグラフィーによ
り精製した。
【0049】7.pCl/1のBamHI部位へのBa
mHI−BamHI断片の連結 pyins−1のBamHI−BamHI断片の0.7
μg及び他のpyinsからの同様の断片0.4μg
を、一定量のBamHI消化pCl/1と連結し、この
場合のモル比を断片10:ベクター1とした。〔プラス
ミドpCl/1はpJDB219(Beggs,Nat
ure,1978,275:104)の誘導体であり、
pJBB219中の細菌プラスミドpMB9に対応する
領域はpCl/1中でpBR322により置換されてい
る。
【0050】pCl/1は完全な2μm複製因子、酵母
LEU2遺伝子及び完全なpBR322を含有してい
る。〕すべての連結反応は、5μg/mlのDNA濃度及
び800ユニットのT4リガーゼ(ニューイングランド
ビオラブス)を用いて21℃にて2.5時間行った。エ
タノール沈澱の後、DNAを75mMのCaCl2 100
μlに再懸濁し、そしてこれを用いてコリHB10
1細胞を形質転換した。
【0051】α−ファクター−プロインスリン挿入部の
存在についての形質転換体の試験 各「pyins」のクローンについて数百個ずつの形質
転換体を得た。5種類の「pyins」クローンのそれ
ぞれに由来する4個ずつの形質転換体を、プラスミドD
NAを抽出し、これをPstI(ニューイングランドビ
オラブス)により消化することにより試験した。この
stIは、挿入部の存在下で、207,48,及び27
bpの特異的な断片を生じさせるものと予想される。
【0052】試験した20個の形質転換体の内の14個
がα−ファクター−プロインスリン挿入部を含有してい
ることが見出された。これらの形質転換体はもとの「p
yins」クローンの各々を代表している。もとの「p
yins」クローンの各々に由来する形質転換体からプ
ラスミド標品を調製した。このプラスミドを用いて酵母
AB103細胞(α,pep leu2
leu 112ura 52his
580)を形質転換し、そしてLeu+ 形質転換体を選
択した。
【0053】細胞培地のインスリンのラジオイムノアッ
セイ 酵母形質転換体AB103(pYins1又はpYin
s5)を、ロイシンを含有しない最少プレート上に「斑
点」として増殖せしめた。殺菌したプラスチック製植菌
耳を用いて各斑の幾らかを、ロイシンを含有しない最少
培地2mlに植付けた。この培養物及びAB103(pC
l/1)の対照培養物を飽和状態まで増殖せしめた。ベ
ックマンJ6B遠心分離機中で2,500rpm で10分
間遠心分離することにより細胞をペレットにした。上清
液を取り出し、アマーシャム製のキットを用いてRIA
アッセイした。1,10、及び100μlの上清液を測
定した。
【0054】
【表1】
【0055】脂肪形成バイオアッセイ(lipogen
esis bioassay)〔Moody等、Hor
m.Metab.Res.(1974):12−1
6〕において、1μgのサンプルは27%のインスリン
活性を示した。サンプルはプラスミドpYins1−4
Aから次のようにして得た。この特徴付けのために酵母
培養物を遠心分離して細胞を除去し、そして上清液を酢
酸によりpH3に酸性化した。この材料を、ビオレックス
(Biorex)−70に吸着し、カラムを0.1N酢
酸及び50%エタノールで洗浄し、そして80%エタノ
ール中10mMHClで溶出することにより精製した。溶
出物をロータリーエバポレーターにより乾燥し、そして
少量の水に入れた。上記の結果はインスリン活性ペプチ
ドの存在を示す。
【0056】この発明に従えば、新規な構成が提供さ
れ、この構成はベクターに挿入され、「プレ」−プロイ
ンスリンの発現、プロセシング及び分泌がもたらされ
る。こうして、天然のヒト−インスリンと同一の配列を
有するポリペプチドが得られる。分泌により細胞数に対
する収量が非常に増加し、その後の調製操作及び精製が
非常に単純化される。以上、この発明を説明及び例によ
りいく分詳細に記載したが、これは理解を明確にするた
めのものであり、この発明の範囲内において幾つかの変
更及び変法を行うことができることは言うまでもない。
なお、細胞系pYins1は、1983年4月6日、A
ccession No.20670としてA.T.
C.C.に寄託された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明において使用される酵母α−ファ
クターリーダー配列をコードするDNA、プロインスリ
ンをコードするDNA及びこれらを連結するアダプター
配列、並びに制限酵素部位を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:865) C12R 1:91) (72)発明者 ミッキー エス.アーディア アメリカ合衆国,カリフォルニア,サンフ ランシスコ,サーティサード アベニュ 1606 (72)発明者 パブロ ディー.ティー.バレンズエラ アメリカ合衆国,カリフォルニア,サンフ ランシスコ,アパー テラス 455

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一のリーディングフレーム内に第一D
    NA配列及び該第一DNA配列のC−末端に直接連結さ
    れた第二DNA配列を含んで成るDNA構成物であっ
    て、該第二DNA配列が、成熟インスリンの生産のため
    にはプロセシングを必要とする成熟インスリンのための
    前駆体配列をコードしており、そして前記第一DNA配
    列は酵母宿主からの該前駆体配列の分泌をもたらすため
    の酵母α−ファクターリーダー及びプロセシングシグナ
    ル配列をコードしている、前記DNA。
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