JPH076761B2 - 迅速寸法測定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、各種の機械加工品等の被測定物の寸法を、迅
速に精密測定するための迅速寸法測定装置に関する。

（従来の技術） 従来、被測定物の寸法を、精密測定するには、マイクロ
メータが広く使用されている。このマイクロメータは手
動で操作するために、多量の被測定物を測定するには手
数を要し、測定時間が長くなる。かつ、例えば零から10
0mm程度までの広範囲の各種の寸法測定に対して、零か
ら25mmまで、25mmから50mmまで、50mmから75mmまで、75
mmから100mmまでの４種類のマイクロメータを用意し取
替え測定することは、極めて非能率的である。従って、
その検査は抜取り検査程度で済ませることが多かった。
しかも、マイクロメータの多くはラチェット式で、精密
測定には不適当であった。

（発明が解決しょうとする問題点） ところが、精密機械の組立には、個々の部品精度が、さ
らに今まで以上に向上されることが要望されている。被
測定物の迅速で、確実で高性能な寸法の測定検査結果を
得るためには、測定装置の自動化が要望されていたが、
高級化すれば高価格となり、現場検査に適した測定装置
の実現が要望されていた。

本発明は、上述の点に鑑み、従来技術の問題点を有効に
解決し、その構成が簡単で、取扱いが容易で、しかも迅
速確実で、広範囲の測定に使用され、測定性能が向上さ
れ、現場測定にも好適な迅速寸法測定装置を提供するこ
とを目的とする。

（問題点を解決するための手段） このような目的を達成するために、本発明は、測定部
と、この測定部に対応して設けられたアンビル部と、前
記測定部内に固定されたスピンドル支持台にて支持され
前後進自在に設けられた直進スピンドルと、前記アンビ
ル部に設けられ前記直進スピンドルの先端に対向する固
定子と、前記測定部内に設けられ前記直進スピンドルと
固定子との間に挟持される被測定物の寸法を検出する寸
法検出部と、この寸法検出部の検出信号を演算処理する
演算処理部と、この演算処理部の出力を表示する表示部
とを備え、前記直進スピンドルに固定され前記直進スピ
ンドルと共に前後進するラックと、このラックと噛合う
扇形ピニオンと、前記ピニオンに設けられ前記直進スピ
ンドルに前記被測定物への押圧を付与する第１弾性部材
と、一端が前記扇形ピニオンに固定され他端が前記第１
弾性部材に抗して前記被測定物から前記直進スピンドル
を後退させるように前記扇形ピニオンを回動させるピニ
オン回動手段と、前記ピニオンに前記ラックへの押圧を
付与する第２弾性部材と、前記ピニオンを前記第２弾性
部材に抗して前記ラックから引下げて噛合いを外し前記
直進スピンドルを解除し前記扇形ピニオンを直立状態に
保持するピニオン引き下げ手段とからなる （作用） このように構成されたことにより、被測定物の寸法測定
をするには、ピニオン引下げ手段により解除された直進
スピンドルと、アンビル部の固定子との間に被測定物を
挟持し、前記ピニオン引下げ手段の引下げを解除するこ
とにより、扇形ピニオンはそのほぼ中央部でラックと噛
合い、常に第１弾性部材による一定圧が被測定物に付与
され、安定した測定値が得られる。この後、ピニオン回
動手段により、直進スピンドルを被測定物から後退させ
て被測定物を取外し、次の同一測定範囲の被測定物を挟
持する際にも扇形ピニオンを噛合い位置がそのほぼ中央
部で、第１弾性部材による一定圧が繰返し被測定物に付
与される。

なお、被測定物のその測定寸法範囲が変れば、ピニオン
引下げレバーを押し下げて、ラックをピニオンから解除
にする。従って、直進スピンドルは解除され、手動で前
後方向に移動可能となり、任意の位置に容易に変更し測
定し得る。従って、１台の迅速寸法測定装置により、広
範囲の寸法測定が可能である。この際にもラックと噛合
う扇形ピニオンの位置は、そのほぼ中央部であって、常
に第１弾性部材の一定圧が被測定物に付与される。

（実施例） 次に、本発明の実施例を図面に基づき、詳細に説明す
る。

第１図は本発明の一実施例の概略構成図を示し、（Ａ）
はその正面図、（Ｂ）はその平面図、（Ｃ）はその側面
図である。図において迅速寸法測定装置１は、測定部２
と、この測定部２に対応して設けられたアンビル部３
と、測定部２およびアンビル部３を設置する基台４とか
ら構成される。このうち、測定部２は、主として直進ス
ピンドル５、寸法検出部６、制御演算処理部７、表示部
８および移動スピンドル解除装置９とからなる。また、
アンビル部３は、直進スピンドル５の先端に対応して固
定子10が固定される。

直進スピンドル５は、基台４上に固定されたスピンドル
支持台11,12により、前後方向に移動自在に支持され
る。寸法検出部６は、直進スピンドル５の移動に応じ
て、固定子10との間に挟持される被測定物の寸法を検出
する。この寸法検出部６の検出信号は、演算処理部７に
て演算処理され、その出力が表示部８にて1/1000mmまで
デジタル表示される高性能を具備する。

なお、30は直進スピンドル５の他端に設けられた把手
で、直進スピンドル解除装置９により解除された直進ス
ピンドル５を、手動にて移動自在とする。さらに、31は
被測定物を載置する載置台である。

第２図は第１図の直進スピンドル解除装置の概略構成
図、第３図は第２図の要部平面図、第４図は被測定物の
測定時における直進スピンドル解除装置の動作状態図、
第５図は直進スピンドル解除装置の解除状態図を示す。
第２図ないし第５図において直進スピンドル解除装置９
は、直進スピンドル５に固定されたラック14と、このラ
ック14と噛合う扇形ピニオン15と、第１ならびに第２弾
性部材、本実施例ではスプリング16,17と、ピニオン回
動手段、本実施例ではピニオンレバー18およびピニオン
軸支板19と、ピニオン引下げ手段、本実施例ではピニオ
ン引下けレバー20とから構成される。扇形ピニオン15
は、ラック14と噛合い、ピニオンレバー18の一端に設け
られた枠部22と、固定ピン27により一体的に固定され
る。かつ、扇形ピニオン15およびピニオンレバー18は、
ピニオン軸支板19の一端から挿入される軸支ねじ28によ
って、回動自在に軸支される。また、ピニオン軸支板19
の他端は、基台４上に直立する支柱23に、取付けねじ24
により回動自在に軸支されている。

なお、ピニオン引下げレバー20は、ピニオン軸支板19の
上部に配置され、かつその一端がピニオン軸支板19と同
一の取付けねじ24により、支柱23に回転自在に軸支さ
れ、ピニオン軸支板19との間に円弧状突起部26を介在す
る。さらに、25はピニオンレバー18に設けられたロッド
で、29は軸支ねじ28に螺合されたナット、32は扇形ピニ
オン15のストッパ、33,34はラック取付けねじおよびス
トッパ付きラック取付けねじである。

第２図に示すように直進スピンドル５と固定子10との間
に、被測定物21（第４図）を挟持しないフリー状態で
は、扇形ピニオン15は、スプリング16により前方傾斜状
態を保持する。この時、円弧状突起部26とピニオン軸支
板19とは、まだ接触していない。

ところで、スプリング16の伸縮による張力は、例えば伸
縮の始めは小さく、終りで大きく変化して一定しないも
のである。本実施例では比較的安定した中間部の張力
を、常に使用するように構成されている。

被測定物21の寸法測定をするには、先ず直進スピンドル
解除装置９のピニオン引下げレバー20を押下げる。この
際、第４図に示すように引下げレバー20は、先ずロッド
25を介して、ピニオンレバー18を押下げる。この押下げ
により、ピニオンレバー18は軸支ねじ28を軸心として扇
形ピニオン15をスプリング16に抗して、矢印方向Ｑへ回
動させ、円弧状突起部26とピニオン軸支板19とが接触す
る。その時ほぼ中央部でラック14に噛合う直立状態を保
持する。

第５図に示すように、ピニオン引下げレバー20をさらに
押下げることにより、円弧状突起部26がピニオン軸支板
19に接触しているために、この軸支板19を押下げる。こ
のために、軸支ねじ28が押下げられ、従って扇形ピニオ
ン15がスプリング17に抗して押下げられ、ラック14との
噛合いが外れる。すなわち、ピニオン引下げレバー20の
押下げは、先ず扇形ピニオン15を矢印方向Ｑへ回動し、
中央部でラック14の噛合う直立状態を発生し、この時円
弧状突起部26をピニオン軸支板19に接触させ、さらに押
下げると円弧状突起部26によってピニオン軸支板19を押
下げて、扇形ピニオン15をそれ以上回動させず、その直
立状態を保持したままで噛合いを外すものである。

従って、直進スピンドル５は、把手30により手動で前後
方向に移動自在となり、固定子10との間に被測定物21を
挟み、このときピニオン押下げレバー20を離せば、被測
定物21にスプリング16による常に一定した押圧が与えら
れ、迅速で確実で安定した寸法測定値が得られる。

この後、同一測定範囲の被測定物21には、ピニオンレバ
ー18のみの押下げにより、直進スピンドル５を被測定物
21から後退させ被測定物21を取外し、次の被測定物21を
挟持させる。この際にも、扇形ピニオン15とラック14と
の噛合い位置はそのほぼ中央部で、直立状態を繰返し保
ち、被測定物21にスプリング16による一定圧が常に付与
される。

なお、直進スピンドル５の前後方向移動範囲は、本実施
例では約100mmであるから、広範囲の測定が１台の迅速
寸法測定装置１によって可能である。

（発明の効果） 以上に説明するように、本発明によれば、直進スピンド
ルと共に移動するラックと、このラックとの噛合う扇形
ピニオンと、前記扇形ピニオンに固定支持されたピニオ
ンレバーと、前記ピニオンレバーを軸支するピニオン軸
支板と、前記扇形ピニオンを引下げるピニオン引下げレ
バーと、第１および第２弾性部材とからなる移動スピン
ドル解除装置を設け、解除された直進スピンドルを手動
にて前後方向に移動させ固定子との間に被測定物を挟持
した後再びラックと噛合わせる際の前記扇形ピニオンの
噛合い位置が常にほぼその中央部であることにより、従
来技術の問題点が有効に解決され、第１弾性部材による
一定押圧が常に被測定物に付与され、その取扱いが容易
で、しかも安定し迅速・確実で、１台で可能な測定範囲
が拡大され、1/1000mmまでデジタル表示される高性能を
有し、現場測定にも好適である等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の概略構成図、第２図は第１
図の直進スピンドル解除装置の概略構成図、第３図は第
２図の要部平面図、第４図は直進スピンドル解除装置の
動作状態図、第５図は直進スピンドル移動解除装置の解
除状態図である。 1:迅速寸法測定装置、2:測定部、5:直進スピンドル、6:
寸法検出部、7:演算処理部、8:表示部、9:直進スピンド
ル解除装置、14:ラック、15:扇形ピニオン、16,17:スプ
リング、18:ピニオンレバー、19:ピニオン軸支板、20:
ピニオン引下げレバー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】測定部と、この測定部に対応して設けられ
   たアンビル部と、前記測定部内に固定されたスピンドル
   支持台にて支持され前後進自在に設けられた直進スピン
   ドルと、前記アンビル部に設けられ前記直進スピンドル
   の先端に対向する固定子と、前記測定部内に設けられ前
   記直進スピンドルと固定子との間に挟持される被測定物
   の寸法を検出する寸法検出部と、この寸法検出部の検出
   信号を演算処理する演算処理部と、この演算処理部の出
   力を表示する表示部とを備え、前記直進スピンドルに固
   定され前記直進スピンドルと共に前後進するラックと、
   このラックと噛合う扇形ピニオンと、この扇形ピニオン
   を回動自在に軸支するピニオン軸支板と、前記扇形ピニ
   オンに設けられ前記直進スピンドルに前記被測定物への
   押圧を付与する第１弾性部材と、一端が前記扇形ピニオ
   ンに固定され他端が前記第１弾性部材に抗して前記被測
   定物から前記直進スピンドルを後退させるように前記扇
   形ピニオンを回動し直立状態で前記ピニオン軸支板に回
   動係止されるピニオン回動手段と、前記扇形ピニオンに
   前記ラックへの押圧を付与する第２弾性部材と、前記扇
   形ピニオンを直立状態で前記第２弾性部材に抗して前記
   ラックから引下げて噛合いを外し前記直進スピンドルを
   解除するピニオン引下げ手段とからなる直進スピンドル
   解除装置を設けることを特徴とする迅速寸法測定装置。