JPH0766380A - 固体撮像装置 - Google Patents

固体撮像装置

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JPH0766380A
JPH0766380A JP5162490A JP16249093A JPH0766380A JP H0766380 A JPH0766380 A JP H0766380A JP 5162490 A JP5162490 A JP 5162490A JP 16249093 A JP16249093 A JP 16249093A JP H0766380 A JPH0766380 A JP H0766380A
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film
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photoconductive film
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JP5162490A
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English (en)
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Hidetoshi Nozaki
秀俊 野崎
Hideo Ichinose
秀夫 市之瀬
Tetsuya Yamaguchi
鉄也 山口
Hisanori Ihara
久典 井原
貴子 ▲もたい▼
Takako Motai
Yoshiki Ishizuka
芳樹 石塚
Akihiko Furukawa
章彦 古川
Yoshinori Iida
義典 飯田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 局所的なリーク電流パスが減少した高性能か
つ製造歩留りの高い固体撮像装置を提供すること。 【構成】 半導体基板に蓄積ダイオード11,読出しゲ
ート部14a及びCCD転送部12を形成し、かつ最上
層に蓄積ダイオード11に電気的に接続される画素電極
19を形成した固体撮像素子チップ20と、この固体撮
像素子チップ20上に形成された光導電膜30と、この
光導電膜30上に形成された透明電極40とを備えた光
導電膜積層型の固体撮像装置において、光導電膜30は
a−Si:H系膜であり、局所的なリーク電流経路の数
を減少させるために、熱及び光ビームを用いてアニール
されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光電変換膜として非晶
質シリコンを用いた光導電膜積層型の固体撮像装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】非晶質シリコン(a−Si)は、水素原
子と合金化すると膜中のSi未結合手が水素原子で補償
されるため良質な半導体の性質を示し、また任意の基板
上に成膜できると共に高い光導電性があることが知られ
ている。そしてこの特徴を生かし、太陽電池,積層型固
体撮像装置,薄膜トランジスタ(TFT)を用いた液晶
ディスプレイ、さらに密着センサなどの半導体装置に広
く用いられている。
【0003】しかしながら、基板上に急峻な段差やダス
トなどの異物が存在する場合には、その上に成長するa
−Si系膜(例えばa−Si:H,a−SiC:H,a
−SiN:H,a−SiGe:Hや微結晶を含んだa−
Si(μc−Si)膜)などの均質な成長が阻害され、
その部分のSiネットワークに歪みが加わる。その結
果、その部分のSi−Si結合長が通常の0.235n
mより引き伸ばされた状態となり、a−Si層の禁制帯
中に多数が欠陥準位が発生することになる。
【0004】a−Si内に欠陥が多数存在すると、その
局所的な部分ではホッピング伝導などの機構によりリー
ク電流が流れやすくなってしまう。即ち、基板に急峻な
段差部や異物が存在すると、その近傍のa−Si系膜部
には容易にリーク電流パスが形成されてしまい、半導体
装置の性能を低下させる他歩留まりを低下させる原因に
なっていた。
【0005】一方、光電膜積層型固体撮像装置は、従来
の固体撮像素子を基本チップとして用い、この上に光導
電膜及び透明電極を積層したものであり、光電変換部の
開口率を大きくできる特徴を有する。光導電膜としてa
−Siを用いた光電変換部の形成においては、透明電極
からのキャリアの注入を阻止し、且つ変換効率を劣化さ
せない目的で、a−Siとa−Siより大きなバンドギ
ャップを有する材料、例えばアモルファス炭化シリコン
(a−SiC)等の材料との接合が形成されている。a
−Siとa−SiCの材料の組み合わせからなる光電変
換部の構成としては、a-SiC(n)/a-Si(i)/a-SiC(p) 、a-
SiC(i)/a-Si(i)/a-SiC(p) 、a-Si(i)/a-SiC(p)等が報告
されている。なおこの表記において、(i),(n),
(p)はそれぞれiタイプ,nタイプ,pタイプを表し
ている。nタイプ,pタイプの形成には、それぞれ例え
ばリン(P),ボロン(B)のドーピングが行われる。
【0006】これらの構造におけるa−SiC(p)層
の役割は、入射光を透過するための窓材としての役割
と、透明電極からのキャリアの注入を阻止する役割とが
ある。実際の素子動作においては、透明電極側を負にバ
イアスするため、後者の目的のためには、電子の注入を
阻止する性能を与えなければならない。実際、電子の注
入阻止のためにpタイプとしているわけであるが、その
性能を高めるためにはBドーピング濃度を高くする必要
があると考えられる。
【0007】従来、a−SiC(p)層の形成には水銀
増感光CVD法及びプラズマCVD法が適用されてき
た。水銀増感光CVD法を用いた場合、pタイプとする
ためのBドーピング濃度は、SiとCの原子数の和に対
して0.25%程度が用いられてきた。しかし、水銀増
感光CVD法を用いてa−SiC層を形成する場合、反
応室内において有機水銀が生成される可能性が指摘さ
れ、同方法による形成は好ましくないと考えられてき
た。そこで、a−SiC(p)層の形成に際してはプラ
ズマCVD法が望まれる。しかし、a−SiC(p)層
をプラズマCVD法にて形成した場合、Bのドーピング
濃度を前記した0.25%程度とするとリーク暗電流が
大きくなってしまい、素子動作させた場合の微小白傷が
生じてしまうという新たな問題を招いた。
【0008】また、光導電膜積層型固体撮像装置におい
ては、a−Si層で光電変換される信号電荷を収集し、
かつ蓄積ダイオードへ伝達する役割を果たす画素電極材
料として、TiやMoなどの高融点単体金属が用いられ
てきた。その理由は、一般に200〜300℃の基板温
度でa−Si層を堆積させるが、画素電極に高融点材料
を用いる方が拡散した金属原子によるa−Si層の汚染
を防止できるからである。
【0009】しかしながら、TiやMoなどの高融点単
体金属を画素電極に用いると、デバイス動作時における
リーク暗電流が十分低減されないという問題が生じてい
た。リーク暗電流が十分小さくないと、固体撮像装置か
ら出力される画像の暗電流ムラ、つまり固定パターン雑
音が発生することになる。その原因は、デバイス動作時
ではa−Si層のダイオードに逆バイアスが印加される
が、その場合に画素電極からa−Si層への正孔注入が
効果的にブロックされていない点にあることが電流−電
圧特性の解析の結果判明した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、基板
上に急峻段差部や異物が存在する場合、その基板上にa
−Si層を成長させるだけの従来の方法では、a−Si
層中にリーク電流パスが形成されるのを防止することの
が困難であるため、固体撮像装置の性能低下や製造歩留
り低下などの問題があった。
【0011】また、積層型固体撮像装置において、光電
変換部に用いられているa−SiC(p)層は、透明電
極からの電子の注入を阻止する役割を担っているが、そ
の性能を高めるためにBドーピング濃度を0.25%、
或いはそれ以上とするハイドープの条件が用いられてき
た。このような条件下では、水銀汚染のないプラズマC
VD法によりa−SiC(p)層を形成すると、リーク
暗電流が大きく、素子動作時の微小白傷が発生してしま
うという問題があった。
【0012】さらに、積層型固体撮像装置の画素電極に
TiやMoなどの単体高融点金属を用いた場合、動作時
において画素電極からa−Si層ダイオードへの正孔注
入を効果的にブロックできないため、リーク暗電流が十
分低減されず固定パターン雑音(暗電流ムラ)が生じる
という問題があった。
【0013】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、a−Si層における局
所的なリーク電流パスが減少した高性能かつ製造歩留り
の高い固体撮像装置を提供することにある。
【0014】また、本発明の他の目的は、a−SiC
(p)層のドーピング条件を最適化することにより、透
明電極からの電子の注入を阻止することができ、かつリ
ーク暗電流の低減をはかり得る固体撮像装置を提供する
ことにある。
【0015】さらに、本発明の他の目的は、デバイス動
作時でのリーク暗電流を十分低減させることができ、固
定パターン雑音特性が改善された固体撮像装置を提供す
ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、次のような構成を採用している。即ち、本
発明(請求項1)は、半導体基板に信号電荷蓄積部,信
号電荷読み出し部及び信号電荷転送部を形成し、かつ最
上層に信号電荷蓄積部に電気的に接続される画素電極を
形成した固体撮像素子チップと、この固体撮像素子チッ
プ上に形成された光導電膜と、この光導電膜上に形成さ
れた透明電極とを備えた光導電膜積層型の固体撮像装置
において、光導電膜を非晶質シリコン系膜で形成し、か
つ局所的なリーク電流経路の数を減少させるために、非
晶質シリコン系膜に熱及びエネルギービームを用いてア
ニール処理を施すことを特徴とする。
【0017】ここで、エネルギービームとしては、非晶
質シリコン系膜の禁制帯幅以上のエネルギーを有する波
長成分を含む光を用いるのが望ましい。また、本発明
(請求項2)は、半導体基板に信号電荷蓄積部,信号電
荷読み出し部及び信号電荷転送部を形成し、かつ最上層
に信号電荷蓄積部に電気的に接続される画素電極を形成
した固体撮像素子チップと、この固体撮像素子チップ上
に形成された光導電膜と、この光導電膜上に形成された
透明電極とを備えた光導電膜積層型の固体撮像装置にお
いて、光導電膜を、固体撮像素子チップ側のアモルファ
スシリコンと透明電極側のp型アモルファス炭化シリコ
ンとの接合を有する少なくとも2層に形成し、アモルフ
ァス炭化シリコンへのボロンのドーピング濃度をシリコ
ンと炭素の原子数の和に対し0.1%以下に設定したこ
とを特徴とする。
【0018】ここで、p型アモルファス炭化シリコン層
は、水銀汚染のないプラズマCVD法で成長するのが望
ましい。また、p型ドーパントは必ずしもボロンに限る
ものではなく、他の不純物を用いることも可能である。
【0019】また、本発明(請求項3)は、半導体基板
に信号電荷蓄積部,信号電荷読み出し部及び信号電荷転
送部を形成し、かつ最上層に信号電荷蓄積部に電気的に
接続される画素電極を形成した固体撮像素子チップと、
この固体撮像素子チップ上に形成された光導電膜と、こ
の光導電膜上に形成された透明電極とを備えた光導電膜
積層型の固体撮像装置において、画素電極の少なくとも
光導電膜と接する表面層を、TaC,TaN,ZrC又
はZrNから形成したことを特徴とする。
【0020】
【作用】本発明(請求項1)において、下地基板の急峻
な段差や異物、即ち凹凸上に成膜されたa−Si系膜中
にはその段差や異物近傍に通常のSi−Si結合長より
引き伸ばされたSi−Si結合が多数発生する。そし
て、その引き伸ばされたSi−Si結合は、a−Si系
膜の禁制帯中の価電子帯端及び伝導帯端のアーバックテ
イル部などに多数の欠陥準位を発生することになる。こ
れらの引き伸ばされたSi−Si結合(弱いSi−Si
結合)は結合エネルギーが約1.6〜1.7eVと小さ
いため、通常のa−Si系膜の禁制帯幅(1.5〜2.
3eV)以上のエネルギー成分を含むエネルギービーム
照射によって夫々伝導帯端及び価電子帯端に励起された
電子−正孔の再結合エネルギーの解放によって容易に切
断される。
【0021】本発明では、以上のメカニズムを利用して
a−Si系膜にエネルギービームを照射することによ
り、積極的に引き伸ばされた弱いSi−Si結合を切断
すると共にエネルギービーム照射中に熱アニール処理を
施こすことにより、切断されたSiネットワークを通常
の結合エネルギーの大きい強いSi−Si結合に再構築
することが特徴である。これにより、下地基板の凹凸部
近傍に生じたa−Si系膜中の多数の欠陥に起因する局
所的なリーク電流パスが減少し固体撮像装置の性能向上
や歩留り向上を実現することができる。
【0022】また、本発明(請求項2)によれば、a−
SiC(p)におけるBのドーピング濃度を0.01%
以下に抑えることにより、従来と比較してa−SiC
(p)/a−Si(i)界面でのZener降伏の抑制
が効率良く行えることにより、リーク暗電流を小さく抑
えることが可能となり、素子動作時の微小白傷の発生を
抑制することができる。
【0023】また、本発明(請求項3)において、Ta
C,TaN,ZrC及びZrNのような金属炭化物や金
属窒化物層は、スパッタリング法やCVD法、又はC,
N原子を含んだガス雰囲気での熱処理法などから形成さ
れるが、成膜条件をコントロールすることにより、夫々
炭素含有量や窒素含有量を0〜80%程度の範囲に再現
性良く制御できる特徴を有する。
【0024】これらの金属炭化物や金属窒化物を画素電
極の少くとも表面に用いてa−Si層を積層させると、
含有される炭素や窒素原子がa−Si層へ僅かながらも
拡散する。その結果、画素電極近傍のa−Si層である
水素化アモルファスシリコン膜(a−Si:H)は、夫
々炭素や窒素がドープされたa−Si:C:Hやa−S
i:N:Hに変化すると考えられる。その場合、a−S
i:C:Hやa−Si:N:Hはa−Si:H(通常光
学的バンドギャップ=1.7〜1.8eV)よりワイド
ギャップ化されるため、画素電極からの正孔注入がブロ
ックされることになる。この効果により、リーク暗電流
の低減、ひいては固定パターン雑音(暗電流ムラ)の低
減につながると予想される。
【0025】本発明者らの実験では、種々ある金属炭化
物や金属窒化物のうちで、特にTaC,TaN,ZrC
及びZrNを画素電極材料に用いた場合に顕著な効果が
見られた。この理由として、上記の4種の材料において
最も炭素原子や窒素原子がa−Si膜中に拡散しやすい
機構が存在すると予想される。また、上記の4種の材料
は、電気抵抗率がいずれも200[μΩ・m]未満と非
常に小さいため、電極材料に用いるに際し、実用上の問
題は全くない。
【0026】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。 (実施例1)図1は、本発明の第1の実施例に係わる光
導電膜積層型固体撮像装置の素子構造を示す断面図であ
る。図中10はp型Si基板であり、この基板10の表
面層には蓄積ダイオード(信号電荷蓄積部)を構成する
n型層11,垂直CCDチャネル(信号電荷転送部)を
構成するn型層12,素子分離のためのp型層13が形
成されている。n型層12の上には、ゲート絶縁膜を介
して転送電極14,15が形成されている。転送電極1
4の一部は蓄積ダイオード11まで延長されており、こ
の部分が読出しゲート(信号電荷読出し部)となってい
る。
【0027】これらを形成した基板10上には層間絶縁
膜16が形成されている。この絶縁膜16上には、該絶
縁膜16に設けたコンタクトホールでn型層11と接す
るように引出し電極17が形成されている。さらにその
上には平坦化用絶縁膜18が形成され、この絶縁膜18
の上には該絶縁膜18に設けたコンタクトホールで引出
し電極17に接するように画素電極19が形成されてい
る。
【0028】このように構成された固体撮像素子チップ
20の上には、光導電膜30が堆積され、その上にIT
O等の透明電極40が形成されている。光導電膜30
は、光電変換層として機能するもので、水素化非晶質シ
リコン薄膜系から構成されている。具体的には固体撮像
素子チップ20側から、正孔ブロックキング層である水
素化非晶質カーバイド層(a−SiC:H)31、主た
る光導電層である水素化非晶質シリコン層(a−Si:
H)32、電子ブロッキンク層であるp型の非晶質シリ
コンカーバイド層(a−SiC:H)33が順次積層さ
れている。光導電膜20の膜厚は総合して1〜2μm程
度である。
【0029】本実施例装置の基本的な構成は従来装置と
同様であるが、本実施例では後述するように、光導電膜
に対して熱及びエネルギービームを用いてアニール処理
を施している点が従来とは異なっている。
【0030】光導電膜30の形成方法としては、従来か
ら良く知られているシランガスをプラズマにより分解す
るプラズマCVD法や光エネルギーにより分解する光C
VD法を用いればよい。なお本実施例では、光導電膜3
0を形成する際の基板温度は230℃とした。また、光
導電膜30のアニール処理を施す前の固体撮像装置を断
面透過電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、図2
(a)中に35で示すような線状欠陥が観察された。こ
の線状欠陥は、画素電極19の段差(100〜300n
m)によって生じると考えられる。この線状欠陥をエネ
ルギー分散型X線分折法(EDX法)で評価したとこ
ろ、明らかにSi密度の低下が認められた。即ち、結合
が引き伸ばされた弱いSi−Si結合が形成されている
箇所が35の線状欠陥と考えてよい。
【0031】本実施例では図1のように積層型固体撮像
装置を形成した後、光導電膜30を熱及びエネルギービ
ームを用いてアニールした。また、エネルギービームと
して光を用いた例を示す。
【0032】まず、図2(a)に示すように、図1の装
置を130℃〜成膜温度(本実施例では230℃)の適
切な範囲に温度設定した熱板50上に設置する。温度設
定の上限を成膜温度としたのは、成膜温度をこえてアニ
ールすると膜中の水素が多く脱離しやすくなり新たな欠
陥が生じる恐れがあるからである。上記の熱板50に設
置後、500W出力のキセノンランプから出た白色光を
レンズで集光して熱+光のアニールを施した。
【0033】ここで、固体撮像装置面上の光強度は約5
W/cm2 であった。熱+光の同時アニール時間は10
分〜300分の範囲の適切な時間で行った。その後、必
要に応じて熱のみで15分〜60分の範囲の時間でアニ
ール処理を行った。なお、本実施例ではアニール中は光
を連続的に照射したが、チョッパなどを利用して光をパ
ルス光で照射してもよい。
【0034】このように、熱+光のアニールを施した固
体撮像装置を断面TEMで観察したところ、図2(b)
に示すように、35の線状欠陥がほぼ消滅に近くなって
いることが分った。
【0035】次に、本実施例の効果を調べるため、実際
に透明電極40に負電位、即ち光導電膜30に逆方向電
界を加えてデバイスを動作させ、ディスプレイ上の微小
白傷欠陥の発生の様子を調べた。微小白傷欠陥は光電変
換層の局所的なリーク電流が大きいときに発生するもの
である。
【0036】図3に、微小白傷欠陥の測定結果を従来例
と比較して示す。図3の横軸は光電変換層に加える電界
の大きさ、縦軸はディスプレイ上の微小白傷の数であ
る。図に示されるように明らかに、本実施例の方が熱+
光アニールを施さない従来例よりは同一電界で比べると
微小白傷の数が極度に少ない。即ち、局所的なリーク電
流の発生部位が著しく本実施例の装置では減少したこと
になる。
【0037】本実施例の固体撮像装置では、a−Si層
に起因する光導電性残像を低減するため光電変換層に加
える逆方向電界は大きい方が望ましい。しかしながら、
図3の従来例に示す通り、電界が大きくなると微小白傷
が発生するため通常は、3×104 V/cm以下の電界
が用いられてきた。本実施例の装置構成にすれば、以上
述べたように電界を大きくしても微小白傷の発生が少く
なるので、さらに低残像化が図られるなど高性能化が実
現する。
【0038】以上では、下地基板に段差がある場合につ
いて述べてきたが、ダストなど異物が下地基板に付着し
ている場合も同様である。要は、凹凸がある下地基板上
にa−Si層を形成しても本発明の構成をとれば、局所
的なリーク電流経路、即ち局所的リーク電流の発生箇所
の数が少なくなることが本発明のポイントである。
【0039】また、本発明は固体撮像装置に限るもので
はなく、a−Si層を用いた半導体装置に適用すること
ができ、例えばa−SiのTFTを用いた液晶ディスプ
レイやa−Si光導電層を感光部に用いた密着センサに
も適用できる。いずれも局所的なリーク電流欠陥の少い
高性能かつ高歩留りの半導体装置を実現できる。
【0040】また、実施例ではSi−Si結合に主に着
目して述べてきたが、異種の原子結合、例えばSi−G
e結合,Si−C結合,Si−N結合や同種の原子結
合、例えばC−C結合よりなるネットワークを有する薄
膜を含む半導体装置にも応用することができる。
【0041】また、非晶質薄膜を含んだ半導体装置に限
定されるものでなく、微結晶を含んだ非晶質薄膜或いは
多結晶膜(例えば多結晶Si膜)を用いた半導体装置に
も本発明が応用できることは言うまでもない。 (実施例2)次に、本発明の第2の実施例について説明
する。この実施例は、光導電膜として用いたa−SiC
(p)層のドーピング濃度を最適化したものである。素
子構造は前記図1に示したものと同様であり、光導電膜
30の構成としては、a−SiC(i)/a−Si:H
(i)/a−SiC:H(p)を採用した。
【0042】この構成において、各層の膜厚はそれぞれ
20nm,1.8μm,20nmとした。また、各層の
形成方法としては、a−SiC:H(i),a−Si
C:H(p)層にはプラズマCVD法を、またa−S
i:H層には水銀増感光CVD法を用いた。
【0043】a−Si層ダイオードに逆バイアスを印加
したときの電流密度−電圧特性を、図4に示す。同図に
示した曲線Aはa−SiC:H(p)層のBドーピング
濃度が0.25%の場合を、一方、曲線BにはBドーピ
ング濃度が0.1%の場合を示した。この図から明らか
なように、Bドーピング濃度を0.1%とすることによ
り、逆バイアス時の電流、即ちリーク暗電流の発生が抑
制されていることが分かる。
【0044】また、a−SiC:H(p)層のBドーピ
ング濃度が逆バイアス時のリーク電流に与える影響をよ
り明確にするために、Bドーピング濃度を縦軸に、逆バ
イアス10V印加時のリーク暗電流を縦軸に示したもの
が図5である。同図から分かるように、Bドーピング濃
度が0.1%より大きい場合、また0.01%より小さ
い場合にリーク暗電流が増加している。Bドーピング濃
度が0.01%より小さい場合にリーク暗電流が増大す
る原因としては、電子の注入阻止性能が劣化したためと
考えられる。
【0045】なお、本実施例においては、光導電膜30
をa−SiC(i)/a−Si:H(i)/a−Si
C:H(p)の3層構造としたが、正孔ブロッキング層
31としてのa−SiC:H(i)層はa−SiC:H
(n)層としてもよく、さらにこれを省略することもで
きる。 (実施例3)次に、本発明の第3の実施例について説明
する。
【0046】図6は、同実施例に係わる光導電膜積層型
固体撮像装置の素子構造を示す断面図である。なお、図
1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は
省略する。
【0047】基本的な構成は図1と同様であるが本実施
例は、第1の実施例とは画素電極の材料が異なってお
り、さらに光導電膜の積層構造が異なっている。即ち、
画素電極69は、Mo,Tiなどの高融点金属膜ではな
く、金属炭化物,金属窒化物のTaC,TaN,ZrC
又はZrNで形成されている。また、光導電膜70は、
主たる光導電膜であるa−Si:H(i)層72と、電
子ブロッキング層としてのa−SiC:H(p)層73
で構成されている。なお、図6では基板10としてp+
型基板の上にpウェルを形成したものを用いているが、
図1のようにp型基板をそのまま用いてもよい。
【0048】以下、画素電極の形成方法について詳細に
説明する。TaC,TaN,ZrC及びZrN膜の製造
方法として最も広く用いられているのはスパッタリング
法である。スパッタリング法の一つとしては、一般によ
く知られているように単体金属ターゲットTa,Zrを
2 又はCH4 の雰囲気中で直流又は交流スパッタする
方法である。もう一つの方法は、化合物ターゲットTa
C,ZrC及びZrNから直接スパッタリング成膜する
やり方である。この場合もスパッタリング雰囲気にN2
又はCH4 を導入する方法も広く用いられる。
【0049】これらの他に予め、TaやZr薄膜を形成
しておいた後、N2 又はCH4 雰囲気中で急熱,急冷処
理(Rapid Themal Anmeal )することにより化合物化す
る方法がある。急熱する温度は個々の材料で異なるが、
大体500〜1300℃の範囲が広く用いられる。
【0050】また、気相成長(CVD)法も広く用いら
れ、この場合は熱CVDやプラズマCVD法があるが、
原料ガスとしてTaCl4 やZrCl4 ガスとN2 やC
4ガスの混合ガスを用いればよい。勿論、窒化物形成
のときはN2 ガス、炭化物形成のときはCH4 ガスを用
いればよい。
【0051】以上、TaC,TaN,ZrC及びZrN
の成膜法を概説したが、本発明の固体撮像装置の場合は
画素電極69の膜厚は、50〜500nmの範囲にあれ
ばよい。要は、透明電極40を介して入射した光が画素
電極69で遮断され、固体撮像素子チップ60のCCD
チャネル12へ光が漏れこまないようにする、つまりス
ミア防止に役立つ程度の膜厚であればよい。なお、画素
電極69の分離形成法は通常のエッチング法、例えばフ
ォトレジスト工程を用いたウェットエッチング法やドラ
イエッチング法を用いればよい。
【0052】画素電極69を分離形成した後に、a−S
i膜70が形成される。a−Si膜70は、良く知られ
ているようにプラズマCVD法や光CVD法などで形成
される。基板温度は50〜500℃、ガス圧力は20m
Torr〜10Torr、SiH4 やCH4 などの炭化水素ガ
ス、そしてH2 ガスやHeガスなどのガス流量は5sccm
〜5SLM の範囲が一般に用いられ、分解エネルギー源は
プラズマCVD法の場合は通常RF(13.56MH
z)の高周波電力が用いられるが、電力の範囲は500
〜1kWの範囲、光CVD法の場合はSiH4 ガスが分
解されるような紫外光源、例えば低圧水銀ランプや重水
素ランプが用いられる。また、a−Si膜70の膜厚は
通常1μm〜3μm程度が用いられる。透明電極40に
は通常ITOが用いられる。
【0053】以上のように形成した固体撮像装置の暗電
流ムラ特性、即ち固定パターン雑音特性は次の通りであ
った。即ち、画素電極としてTaCを用いた本実施例の
固定パターン雑音は30el.rmsであり、Tiを用いた従
来例は100el.rmsであった。本実施例では、画素電極
にTaCを用いた例を示したが、TaN,ZrC,Zr
Nのいずれを用いた場合も固定パターン雑音は40el.r
ms以下であり、従来よりも明らかに効果が認められた。
【0054】このように本実施例によれば、画素電極6
9としてTaC,TaN,ZrC又はZrNを用いてい
るので、画素電極69からa−Si:H層72へ炭素や
窒素が僅かに拡散し、これが正孔ブロック層の機能を果
たすことになる。このため、画素電極69からの光導電
膜70への正孔注入を確実にブロックすることができ、
リーク暗電流の低減、ひいては固定パターン雑音(暗電
流ムラ)の低減をはかることができる。また、図1に示
した正孔ブロッキング層を設ける必要がなくなることか
ら、光導電膜70の製造工程が簡略化される利点もあ
る。
【0055】なお本実施例では、画素電極69の全体
が、TaC,TaN,ZrC,ZrNのうちいずれか一
つの材料で形成された例を示したが、本発明はそれに限
定されるわけではなく、少くともa−Si膜と接する画
素電極表面層がTaC,TaN,ZrC,ZrNのうち
いずれか一つの材料で形成されていればよい。また、本
実施例ではa−Si膜がi型a−Si:Hとp型a−S
iC:Hが順次積層された例を示したが、勿論、この他
の積層構造でも有用なことは言うまでもない。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように本発明(請求項1)
によれば、a−Si膜に熱+エネルギービームのアニー
ルを施すことにより、局所的なリーク電流経路の数が大
きく減少するため、高性能化すると共に製造歩留まりが
向上する効果がある。
【0057】また、本発明(請求項2)によれば、a−
SiC(p)層による透明電極からの電子の注入の阻止
と、a−SiC(p)/a−Si(i)界面でのZen
er降伏の抑制とが両立されることにより、リーク暗電
流が抑制されるため、素子動作時の微小白傷の発生が抑
えられる。
【0058】また、本発明(請求項3)によれば、画素
電極のa−Si膜と接する表面層をTaC,TaN,Z
rC及びZrNのうちいずれかの材料から形成すること
により、光導電膜積層型固体撮像装置の暗電流ムラ、即
ち固定パターン雑音を大きく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係わる固体撮像装置の素子構造
を示す断面図。
【図2】第1の実施例における光導電膜のアニール前後
の様子を示す模式図。
【図3】光電変換層に加わる電界強度と微小白傷数との
関係を示す特性図。
【図4】第2の実施例を説明するためのもので、a−S
i膜に逆バイアスを印加したときの電流密度−電圧特性
を示す図。
【図5】a−SiC:H(p)層のBドーピング濃度と
逆バイアス印加時のリーク暗電流との関係を示す特性
図。
【図6】第3の実施例に係わる固体撮像装置の素子構造
を示す断面図。
【符号の説明】
10…p型Si基板 11…n型層(信号電荷蓄積部) 12…n型層(信号電荷転送部) 13…p型層(素子分離層) 14,15…転送電極 14a…読出しゲート部(信号電荷読出し部) 16…層間絶縁膜 17…引き出し電極 18…平坦化用絶縁膜 19,69…画素電極、 20,60…固体撮像素子チップ 30,70…光導電膜 31…a−SiC:H(i)層 32,72…a−Si:H(i)層 33,73…a−SiC:H(p)層 40…ITO膜(透明電極)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井原 久典 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 ▲もたい▼ 貴子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 石塚 芳樹 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 古川 章彦 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 飯田 義典 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板に信号電荷蓄積部,信号電荷読
    み出し部及び信号電荷転送部を形成し、かつ最上層に信
    号電荷蓄積部に電気的に接続される画素電極を形成した
    固体撮像素子チップと、この固体撮像素子チップ上に形
    成された光導電膜と、この光導電膜上に形成された透明
    電極とを備えた光導電膜積層型の固体撮像装置におい
    て、 前記光導電膜は非晶質シリコン系膜であり、局所的なリ
    ーク電流経路の数を減少させるために、熱及びエネルギ
    ービームを用いてアニールされてなることを特徴とする
    固体撮像装置。
  2. 【請求項2】半導体基板に信号電荷蓄積部,信号電荷読
    み出し部及び信号電荷転送部を形成し、かつ最上層に信
    号電荷蓄積部に電気的に接続される画素電極を形成した
    固体撮像素子チップと、この固体撮像素子チップ上に形
    成された光導電膜と、この光導電膜上に形成された透明
    電極とを備えた光導電膜積層型の固体撮像装置におい
    て、 前記光導電膜は、固体撮像素子チップ側のアモルファス
    シリコンと透明電極側のp型アモルファス炭化シリコン
    との接合を有するものであり、アモルファス炭化シリコ
    ンへのボロンのドーピング濃度を、シリコンと炭素の原
    子数の和に対し0.1%以下に設定してなることを特徴
    とする固体撮像装置。
  3. 【請求項3】半導体基板に信号電荷蓄積部,信号電荷読
    み出し部及び信号電荷転送部を形成し、かつ最上層に信
    号電荷蓄積部に電気的に接続される画素電極を形成した
    固体撮像素子チップと、この固体撮像素子チップ上に形
    成された光導電膜と、この光導電膜上に形成された透明
    電極とを備えた光導電膜積層型の固体撮像装置におい
    て、 前記画素電極は、少なくとも前記光導電膜と接する表面
    層がTaC,TaN,ZrC又はZrNから形成されて
    なることを特徴とする固体撮像装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013001780A1 (ja) * 2011-06-30 2013-01-03 パナソニック株式会社 光電変換膜素子およびその製造方法
CN112951932A (zh) * 2019-11-26 2021-06-11 信越半导体株式会社 固体摄像组件用的硅单晶基板及硅磊晶晶圆、以及固体摄像组件
WO2022065212A1 (ja) * 2020-09-24 2022-03-31 パナソニックIpマネジメント株式会社 撮像装置

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