JPH0765894A - コネクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 端子金具が装着されないキャビティの防水を
確実にすると共に、端子金具を挿入すべきでないキャビ
ティに誤挿入するのを防止する。 【構成】 端子金具を装着しないキャビティ１３には防
水壁１６と誤挿入防止フィン（誤挿入防止部）２０が形
成されている。いずれのキャビティに端子金具を挿入す
るかは、挿入側開口１４における誤挿入防止フィン２０
の有無により判断し、誤挿入防止フィン２０のないキャ
ビティに端子金具を挿入する。端子金具を装着しないキ
ャビティ１３内における挿入側開口１４から接続側開口
１５側への水の侵入は、防水壁１６によって阻止され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車のワイヤーハー
ネスの接続等に用いられるコネクタであつて、特に、複
数設けたキャビティのうちの端子金具が挿入されないキ
ャビティにおける防水構造の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】自動車のワイヤーハーネスの接続等に用
いられるコネクタとしては、図６に示すように、コネク
タハウジング１に、両端が端子金具２の挿入側開口４及
び図示しない相手側コネクタとの接続側開口５となって
いる複数のキャビティ３を形成した構造になり、挿入側
開口４から端子金具２を挿入してその先端を接続側開口
５に臨ませ、このキャビティ３内の端子金具２と相手側
コネクタの端子金具とを接続側開口５を介して接続する
ようにしたものが用いられている。

【０００３】このようなコネクタにおける防水対策は、
一般に、端子金具２とリード線７との結合部にシールゴ
ム８を嵌着し、端子金具２のキャビティ３内への挿入に
伴ってシールゴム８が挿入側開口４の内周に水密状態に
密着するようにして、挿入側開口４からキャビティ３内
部への水の侵入を阻止するという方法が用いられてい
る。

【０００４】ところで、こうしたコネクタは種々の電気
回路を構成する上で使用されるものであるため、適用さ
れる回路によってはキャビティ３の全てに電線が挿入さ
れず、空室となる箇所が生じることがある。このような
空室に対する防水対策としては、図７に示すようなゴム
製のダミー栓９が挿入されることが通常であった。もっ
とも、上記した空室となるキャビティ３が生じることは
回路設計の段階で明らかとなるため、余剰のキャビティ
３を形成しないよう、金型を変更することも可能である
が、このような変更は金型の基本的構造の変更につなが
るものであるため、合理的と言えない。このような理由
から、従来よりダミー栓９の使用が一般化していたので
ある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
式では次に述べるような不具合があった。

【０００６】まず、ダミー栓９の装着は手作業によって
行われることから、作業者のミス等によってダミー栓９
が装着されないままになるという可能性があるばかりで
なく、ダミー栓９が装着されたとしてもその装着の仕方
が緩くてダミー栓９が抜けるという恐れがあり、防水機
能の信頼性が低いという問題があった。

【０００７】また、防水専用の部品としてのダミー栓９
が別に必要であるため、その分だけコストが高くなると
いう欠点があった。

【０００８】更に、端子金具２を挿入するキャビティ３
と端子金具２を挿入しないキャビティ３とは挿入側開口
４側から見たときの形状が同じであるために、端子金具
２を挿入すべきでないキャビティ３に誤って挿入してし
まうという恐れもあった。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するための手段として、請求項１に記載のように、コ
ネクタハウジングに、両端が端子金具の挿入側開口及び
相手側コネクタとの接続側開口となっている複数のキャ
ビティを形成したものにおいて、端子金具の挿入予定が
ないキャビティ内に、挿入側開口と接続側開口との間を
仕切る防水壁を形成すると共に、挿入側開口側の中空内
に突出する誤挿入防止部を形成したところに特徴を有す
るものである。

【００１０】また、請求項２にかかる発明は、請求項１
にかかる発明において、誤挿入防止部が挿入側開口の中
空内を横切る板状をなしている構成としたところに特徴
を有するものである。

【００１１】

【作用】端子金具の装着に際して、いずれのキャビティ
に挿入すべきであるかの判断は、挿入側開口に誤挿入防
止部が形成されているか否かを目視によって識別するこ
とにより行う。

【００１２】端子金具は、挿入すべきキャビティ即ち挿
入側開口に誤挿入防止部が形成されていないキャビティ
のみに装着する。挿入すべきでないキャビティに挿入し
ようとしても、端子金具が誤挿入防止部に突き当たるこ
ととなるため、誤挿入の事態は回避される。

【００１３】端子金具を挿入したキャビティにおける防
水は、従来と同じく、端子金具の外周に嵌着したシール
ゴムによって行うことができる。

【００１４】端子金具が挿入されないキャビティにおけ
る防水については、挿入側開口側から接続側開口側への
水の侵入が防水壁によって阻止されているため、他のキ
ャビティに装着されている端子金具が水に接する恐れは
ない。

【００１５】

【発明の効果】上記作用によって説明したように、本発
明は、端子金具の挿入されないキャビティにおける防水
が、挿入側開口と接続側開口との間を仕切る防水壁によ
って行われる。従って、ダミー栓を装着していた従来の
コネクタのようにダミー栓を装着し忘れたり装着済みの
ダミー栓が抜けて外れたために防水機能が損なわれると
いう恐れがなく、防水機能を確実に発揮することができ
る。

【００１６】更に、従来のコネクタでは必要であったダ
ミー栓が不要であるため、部品数の減少によるコストの
低減を図ることができると共に、端子金具を挿入しない
キャビティについての防水のための作業が不要となって
工数減による作業効率の向上を図ることができる。

【００１７】また、端子金具が挿入されないキャビティ
の挿入側開口に誤挿入防止部を形成したから、目視によ
る判断と、端子金具の誤挿入防止部への当接によって誤
挿入の事態を直ちに知覚させることができるという優れ
た効果がある。しかも、誤挿入防止部が形成されない場
合では、誤挿入された端子金具が防水壁に突き当たって
破損することの可能性も否定できないが、本発明ではそ
の事態も未然に回避することができる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。但し、本例においては、説明を簡易
にするために、コネクタハウジング１にキャビティを２
箇所のみ形成したものを示し、このうちの一室について
は端子金具２（電線）が挿入されないものとする。

【００１９】端子金具２が装着されるキャビティ３は、
図６に示すように、端子金具２を挿入するための挿入側
開口４と、図示しない相手側コネクタの端子金具を挿入
させてキャビティ３内の端子金具２の先端に嵌合させる
ための接続側開口５とを有している。このキャビティ３
の接続側開口５に近い位置には、端子金具２の図示しな
い嵌合孔に弾性的に係合することにより、その端子金具
２のキャビティ３からの抜けを防止する撓み変形可能な
ランス６が形成されている。

【００２０】かかるキャビティ３における防水対策とし
ては、端子金具２の後端に結合されているリード線７の
外周にシールゴム８を嵌着し、端子金具２がキャビティ
３に装着されたときにシールゴム８が挿入側開口４の内
周に水密状態に密着することにより、キャビティ３内を
挿入側開口４から接続側開口５側へ水が侵入するのを阻
止するようになっている。

【００２１】端子金具２が装着されないキャビティ１３
内には、その挿入側開口１４と接続側開口１５との間に
おける中央よりもやや挿入側開口１４寄りに位置する防
水壁１６が形成されている。この防水壁１６はキャビテ
ィ１３内を円形断面の挿入側空間１７と方形断面の接続
側空間１８との２つの空間に仕切っており、この両空間
１７，１８の間を水密状態に隔絶している。

【００２２】また、挿入側空間１７内には板状をなす誤
挿入防止フィン（誤挿入防止部）２０が形成されてい
る。この誤挿入防止フィン２０は、挿入側開口１４の開
口端から防水壁１６の壁面に至るまで挿入側空間１７を
半円形断面の２つの空間に分割するように設けられてい
る。

【００２３】この端子金具２が装着されないキャビティ
１３の成形は、図５に示すような構造の金型によって行
われる。図５に示すものは、コネクタハウジングの成形
用金型のうち、端子金具２の挿入の有無に応じて部分的
に交換されるキャビティ成形部を示すものである。この
キャビティ成形部は、挿入側開口１４からキャビティ１
３内に突出する２本の半円形断面の型ピン２６ａを有す
る挿入側２６と、接続側開口１５からキャビティ１３内
に突出する方形断面の型ピン２７ａを有する接続側２７
とによって構成されている。

【００２４】次に、本実施例の作用を説明する。

【００２５】端子金具２を装着する際に、端子金具２を
どちらのキャビティ３，１３に挿入すべきであるかの判
断は、コネクタを挿入側から目視して挿入側開口４，１
４における誤挿入防止フィン２０の有無を確認すること
によって行う。端子金具２は、挿入側開口に誤挿入防止
フィン２０の無い方のキャビティ３に装着する。このと
き、挿入すべきでない方のキャビティ１３に挿入しよう
としても端子金具２の先端が誤挿入防止フィン２０に突
き当たるため、誤挿入の恐れはない。端子金具２を挿入
したキャビティにおける防水は、上述のように挿入側開
口４に嵌装されるシールゴム９によって行われる。

【００２６】一方、端子金具２が装着されない方のキャ
ビティ１３についてはそのままにしておく。この端子金
具２が挿入されないキャビティ１３における防水につい
ては、挿入側開口１４側からキャビティ１３内に水が入
り込んだとしても、その水が接続側開口１５側へ侵入す
るのは防水壁１６によって阻止されている。

【００２７】上述のように、本実施例では、端子金具２
の挿入されないキャビティ１３における防水が防水壁１
６によって行われるから、ダミー栓を用いた従来のコネ
クタのようにダミー栓の装着忘れやダミー栓の外れによ
り防水機能が損なわれるという恐れがなく、防水が確実
なものとなっている。

【００２８】更に、従来のコネクタで用いていたダミー
栓が不要であるため、部品数の減少によるコストの低減
が図られていると共に、端子金具２を挿入しないキャビ
ティ１３についての防水のための作業が不要であって工
数減による作業効率の向上が図られている。

【００２９】また、誤挿入防止フィン２０を形成したこ
とによって端子金具２の誤挿入が確実に防止されてお
り、誤挿入に起因する作業効率の低下の恐れはない。し
かも、誤挿入防止フィン２０を形成しない場合のように
誤挿入した端子金具２が防水壁１６に突き当たって破損
するという事態は発生しない。

【００３０】なお、端子金具２が挿入されない方のキャ
ビティ１３の成形においては、上述のように、挿入側開
口１４からと接続側開口１５からの両方からキャビティ
１３内に嵌入するように配置される２つの成形部２６，
２７が用いられるが、これらはランスを持った通常の型
構造のものから、基本的な型構造部分はそのままでキャ
ビティの成形に関与する部分の僅かな交換を行うだけで
あるため、型構造の点からもまた型交換の作業上も有利
である。

【００３１】なお、防水壁１６をキャビティ１３の挿入
側開口縁に形成して誤挿入防止フィン２０を省略するこ
とも考えられないではないが、単にこうしたのでは型ピ
ン２７ａが長くなりすぎて強度上問題が残る。本例では
こうしたことを考慮して防水壁１６の位置をキャビティ
内の中程に設定し、それに伴う誤挿入の回避のためにフ
ィン２０を設けたわけである。

【００３２】また、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、例えば次のように変形して実施することも
可能である。 （イ）上記実施例においては、２室のキャビティ３，１
３を設けた場合について説明したが、本発明によれば、
任意の数のキャビティを設けたコネクタにも適用するこ
とが可能であり、また、その場合における端子金具が挿
入されるキャビティの数と端子金具が挿入されないキャ
ビティの数も任意である。 （ロ）上記実施例においては、誤挿入防止部として円形
の挿入側空間１７を半円形断面の２空間に分けるような
板状のフィン２０とした場合について説明したが、本発
明によれば、誤挿入防止部は任意の形状とすることがで
きる。

【００３３】その他、本発明は上記し且つ図面に示す実
施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲
内で種々変更して実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の斜視図

【図２】端子金具を挿入しないキャビティの断面図

【図３】端子金具を挿入しないキャビティの接続側から
の側面図

【図４】端子金具を挿入しないキャビティの挿入側から
の側面図

【図５】端子金具を挿入しないキャビティの成形工程を
あらわす断面図

【図６】端子金具を挿入するキャビティの断面図

【図７】従来のコネクタの防水構造をあらわす断面図

【符号の説明】

１…コネクタハウジング ２…端子金具 ３，１３…キャビティ ４，１４…挿入側開口 ５，１５…接続側開口 １６…防水壁 ２０…誤挿入防止フィン（誤挿入防止部）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コネクタハウジングに、両端が端子金具
   の挿入側開口及び相手側コネクタとの接続側開口となっ
   ている複数のキャビティを形成したものにおいて、 前記端子金具の挿入予定がないキャビティ内に、前記挿
   入側開口と前記接続側開口との間を仕切る防水壁が形成
   されると共に、前記挿入側開口側の中空内に突出する誤
   挿入防止部が形成されることを特徴とするコネクタ。
2. 【請求項２】 誤挿入防止部が挿入側開口の中空内を横
   切る板状をなしていることを特徴とする請求項１に記載
   のコネクタ。