JPH076560Y2 - 放射性廃棄物の排出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は放射性廃棄物、特に焼却灰などのように微粉状
のものを、収納されたドラム缶などの容器から排出する
放射性廃棄物の排出装置に関する。

従来の技術 原子力発電所などで汚染された衣服やシートなどは焼却
して容積を小さくし、ドラム缶などの容器に詰め込んで
保管庫に保管している。近年、このような廃棄物が増加
したため、コンクリートにかためて所定区域に長期的に
保管し、放射能を減衰させることが計画されている。

考案が解決しようとする課題 このようなドラム缶内の汚染物をコンクリート詰めする
場合、衣服やシートなどの固体のままでは問題は少ない
が、焼却灰のように微粉状のものは、ドラム缶から取り
出す際に、空中に浮遊して拡散し大気汚染を招くおそれ
がある。また、焼却灰は吸湿性が高く、たとえばドラム
缶を反転しただけでは、ドラム缶内面に付着して容易に
排出できないという問題点がある。従来にはこのような
装置はなく、安全な放射性廃棄物の排出装置が要望され
ている。

本考案は上記問題点を解決して、廃棄物が浮遊拡散して
大気汚染を招きやすく、また容器内に付着しやすい微粉
状の放射性廃棄物であっても、安全確実に容器内から排
出して大気汚染を防止できる放射性廃棄物の排出装置を
提供することを目的とする。

課題を解決するための手段 上記問題点を解決するために本考案は、放射性廃棄物が
収納されて上面が開口する容器を保持可能な反転テーブ
ルを、水平軸心回りに容器の正立位置と反転位置の間で
往復回動可能に設け、前記容器の開口部に着脱自在でか
つ開閉可能なゲートを有する連結装置を設け、前記容器
の反転位置の下方に配設されたシュートと前記連結装置
との間に伸縮自在な筒状の蛇腹を連結し、反転位置の容
器内に挿入可能で容器内の廃棄物を掻き落すブレードを
シュート内に設けたものである。

作用 上記構成において、容器を正立位置で反転テーブルに保
持させ、容器の開口部に、シュートに筒状蛇腹を介して
接続された連結装置を装着し、反転テーブルを容器反転
位置まで回転させて容器内の廃棄物をシュートに落下排
出させ、さらにブレードを容器内に挿入して容器内に付
着した廃棄物をシュートに掻き落すので、容器内に付着
しやすい吸水性の焼却灰であっても確実に取り出すこと
ができ、また大気中に浮遊拡散しやすい微粉状のもので
も筒状の蛇腹によって密閉され、かつ容器の着脱時には
連結装置のゲートを閉じることにより、蛇腹やシュート
内に浮遊する放射性粉塵が外部に流出するのを防止でき
る。

実施例 以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図において、１は反転アーム２を介して水平軸３に
固定された反転テーブルで、底枠1aと支持枠1bとでＬ字
形に形成される。この底枠1aには、廃棄物を収納したド
ラム缶４を搬入出するローラコンベヤ５と連続可能なロ
ーラ1cが取付けられ、支持枠1bの両側にはドラム缶４を
保持可能なクランプ装置６が配設される。このクランプ
装置６は、第２図に示すように、支持枠1bに突持された
左右一対の支持アーム７にそれぞれ円弧状の固定クラン
パー8Aが配設され、これら固定クランパー8Aの先端にそ
れぞれ垂直ピン９を介して開動自在な円弧状の可動クラ
ンパー8Bが取付けられる。そして、これら可動クランパ
ー8Bに、支持枠1bに本体が連結されたクランプシリンダ
10のロッド10aが連結され、ローラコンベヤ５から搬入
されたドラム缶４の胴部を、クランプシリンダ10を作動
して可動クランパー8Bと固定クランパー8Aより把持する
ように構成される。前記水平軸３は基台11上に軸受によ
り回転自在に支持されるとともに、スプロケットやチェ
ーンおよび減速機12aを介して駆動用モータ12が連結連
動され、第１図に実線で示すドラム缶４の正立位置
（イ）から仮想線で示すドラム缶４の反転位置（ロ）の
間で反転テーブル１を水平軸３を中心に往復回動可能に
構成される。13は、正立位置（イ）の反転テーブル１を
支持する受台である。なお、ドラム缶反転位置（ロ）は
ドラム缶４内の廃棄物が自然落下する安息角αに設定さ
れ、安息角α＝60°に設定した場合の水平軸３の回転角
βは150°である。

14は搬入された反転テーブル１上のドラム缶４の開口部
に着脱自在に取付けられる連結装置で、開閉可能なゲー
ト15を備えている。この連結装置14は第３図〜第６図に
示すように、反転テーブル１にサポート16を介して取付
けられたゲート受体17が固定され、ゲート受体17の下部
には円筒状の連結蛇腹18を介してクランプ体19が取付け
られる。前記ゲート受体17は、第３図、第４図に示すよ
うに開口部26の上部周囲に回動中心側が長く突出した廃
棄物の案内フード27が取付けられ、またゲート受体17内
には、基端部が垂直ピン28に支持されかつゲートガイド
29に案内されて、開口部26の閉塞位置（ハ）と開放位置
この間で垂直ピン28を中心に回動自在なゲート15が配設
される。そして、前記垂直ピン28には、ゲート受体17の
上面に突出する部分にレバー30を介して開閉用シリンダ
31のロッド31aがピン連結され、この開閉用シリンダ31
を作動することによりゲート15を開閉動できる。前記ク
ランプ体19は環状の内クランプ体22と外クランプ体25か
らなり、第５図、第６図に示すように、内クランプ体22
は連結蛇腹18が連結されるとともに、下面が開口する環
状溝20内にドラム缶４の開口縁部4aが当接するシール材
21を有する。外クランプ体25は、二分割されて下環部25
aがドラム缶４の開口部に外嵌固定されるとともに、上
環部25bが内クランプ体22に外嵌し内クランプ体22に突
設された複数の固定ボルト23aが挿入されてナット23bに
より締付け可能な縦溝24を有する。

第１図において、32はドラム缶反転位置（ロ）の下方に
開口する上下方向の廃棄物投入用シュートで、廃棄物を
コンクリート内に混連するミキサー（図示せず）に接続
される。

33はシュート32の入口32a周囲とゲート受体17の案内フ
ード27外側部周囲との間に連結された円筒状の密閉用蛇
腹で、その上部は円弧状のガイドレール34に案内されて
移動自在なハンガー35に一定間隔ごとに支持され、また
その下部は円弧状のガイド板36に案内されて、反転テー
ブル１の回動と共に移動する連結装置14の回動経路に沿
って伸縮自在である。

37はシュート入口32a部分に配設された払い落し装置
で、反転位置（ロ）のドラム缶４内の廃棄物を残らず落
下させるものである。すなわちこの払い落し装置37は、
シュート32の外側部の架台38に、作動ロッド39aが反転
位置（ロ）のドラム缶４の軸心（ホ）に沿って伸縮自在
な出退用シリンダ39が配設され、作動ロッド39aの先端
部にはガイドロッド40に案内される可動台41が取付けら
れる。この可動台41には、反転位置（ロ）のドラム缶４
の軸心（ホ）上に配設されて先端部がシュート32の壁面
32bを貫通する回転軸43を、基端部で連結連動する減速
機42aおよび掻き出し用モータ42が配設される。前記回
転軸43には外筒44が回転自在に外嵌され、この外筒44は
ガイドロッド40先端部の支持体45に、シュート32の側壁
32bを貫通するガイド筒46を介して軸心方向に移動自在
に支持される。またこの外筒44の先端部とガイド筒46周
囲の側壁32b内面の間には、外筒44の突出部分を覆うシ
ール用蛇腹47が連結されている。シュート32内に突出す
る回転軸43の先端部には、反転位置（ロ）のドラム缶４
の内面に摺接可能なＬ字形のブレード48が固定される。
なお、このブレード48は、第７図に示すように口の字形
に形成し、ドラム缶４内面への摺接部にブラシ48aなど
を設けてもよい。したがって、この払い落し装置37は、
払い落し用モータ42を作動してブレード48を回転しつ
つ、出退用シリンダ39を作動して作動ロッド39aを伸長
することにより、第１図に仮想線で示すように、反転位
置（ロ）のドラム缶４内に回転するブレード48が挿入さ
れ、ドラム缶４内に付着する廃棄物を残らずシュート32
内に掻き落すことができる。

なお、上記払い落し装置37に加えて、ドラム缶４を叩い
て振動させるノッカーを設けてもよい。

50はシュート入口32aに接続された吸排気装置で、ドラ
ム缶４の回動に伴って伸縮する密閉用蛇腹33による容積
変動を調節している。すなわち、それぞれ開閉弁51,52
が介装された吸気管53と排気管54が接続される。この排
気管54の先端部にはプレフィルタ55、ペパフィルタ56が
取付けられ、密閉用蛇腹33の短縮時に蛇腹33内の空気を
両フィルタ55,56によって放射性粉塵を除去して排出す
る。また、吸気管53の先端部にはペパフィルタ57、プレ
フィルタ58が取付けられ、両フィルタ57,58と開閉弁51
の間には排出を規制する逆止弁59が介装され、密閉用蛇
腹33の伸長時に外気を吸引する。

次にこの排出装置の作用について説明する。

（１）放射性廃棄物の入ったドラム缶４はローラコンベ
ヤ５から反転テーブル１のローラ1c上に搬入される。そ
して、クランプ装置６のクランプシリンダ10を作動して
可動クランパー8Bと固定クランパー8Aとでドラム缶４の
胴部を把持し、ドラム缶４を反転テーブル１の底枠1aの
中心位置に固定する。

（２）連結装置14の外クランプ体25をドラム缶４の開口
部外周に取付けるとともに、ドラム缶４を密閉していた
蓋（図示せず）を外し、そして内クランプ体22に取付け
られていた密閉蓋（図示せず）を外して、ドラム缶４の
開口部に内クランプ体22を当て付けて外クランプ体25に
内嵌させ、固定ボルト23aを縦溝24内に挿入してナット2
3bを締付け、クランプ体19をドラム缶４に取付ける。こ
れにより気密性を確保する。

（３）開閉用シリンダ31を作動してゲート15を開動し、
ゲート受体17の開口部26を開放してドラム缶４内と密閉
用蛇腹33内とを連通する。そして、駆動用モータ12を作
動して反転テーブル１を水平軸３を中心に、ドラム缶正
立位置（イ）から逆転位置（ロ）まで回動させる。この
時の密閉用蛇腹33内の空気は吸排気装置50の排気管54か
らフィルタ55,56を介して排出される。ドラム缶逆転位
置（ロ）に達すると、ドラム缶４内の廃棄物は自然落下
し、案内フード27から密閉用蛇腹33に接触することなく
シュート32に投下される。

（４）つぎに、払い落し装置37の掻き出し用モータ42を
作動して回転軸43およびブレード48を回転させ、出退用
シリンダ39の作動ロッド39aを伸長してブレード48をド
ラム缶４内に挿入し、ドラム缶４内に付着して残留する
廃棄物をシュート32内に落下させる。排出完了後、作動
ロッド39aを短縮してブレード48をドラム缶４内から抜
き出す。

（５）反転テーブル１をドラム缶反転位置（ロ）から正
立位置（イ）まで反転する。この時、密閉用蛇腹33内に
は吸気管53からフィルタ57,58を介して外気が吸入され
る。ドラム缶４が正立位置（イ）に達すると、開閉用シ
リンダ31を作動してゲート15を回動し開口部26を閉塞す
る。ついで、ナット23bおよびボルト23aによる締付けを
緩め、内クランプ体22を持ち上げて内クランプ体22に密
閉蓋（図示せず）を取付けるとともに、ドラム缶４の開
口部に蓋（図示せず）を取付ける。その後クランプシリ
ンダ10を作動して可動クランパー8Bを開動する。そし
て、処理済の空ドラム缶４をローラコンベヤ５によって
搬出する。

考案の効果 以上述べたごとく本考案によれば、容器を正立位置で反
転テーブルに保持し、容器の開口部に、シュートに筒状
蛇腹を介して接続された連結装置を装着し、反転テーブ
ルを容器反転位置まで回転させて容器内の廃棄物をシュ
ートに落下排出し、さらにブレードを容器内に挿入して
容器内に付着した廃棄物をシュートに掻き落すので、容
器内に付着しやすい吸水性の焼却灰であっても確実に取
り出すことができ、また大気中に浮遊拡散しやすい微粉
状のものでも筒状の蛇腹によって密閉される。さらに、
容器の着脱時には連結装置のゲートを閉じることによ
り、蛇腹やシュート内に浮遊する放射性粉塵が大気中に
流出するのを防止できる。したがって、大気汚染のおそ
れのある焼却灰などの微粉状の放射性廃棄物であって
も、安全に容器から取り出してコンクリート詰めするこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第６図は本考案の一実施例を示し、第１図は排
出装置の全体側面図、第２図は反転アームを示す平面
図、第３図は連結装置を示す側面断面図、第４図および
第５図はそれぞれ第３図に示すＩ−Ｉ矢視図およびII部
拡大図、第６図は外クランプ体の斜視図、第７図はブレ
ードの他の実施例を示す側面図である。 １……反転テーブル、３……水平軸、４……ドラム缶、
６……クランプ装置、12……駆動用モータ、14……連結
装置、15……ゲート、31……開閉用シリンダ、32……シ
ュート、33……密閉用蛇腹、39……出退用シリンダ、42
……掻き出し用モータ、43……回転軸、48……ブレー
ド、（イ）……正立位置、（ロ）……反転位置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−255700（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−153798（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−32400（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】放射性廃棄物が収納されて上面が開口する
   容器を保持可能な反転テーブルを、水平軸心回りに容器
   の正立位置と反転位置の間で往復回動可能に設け、前記
   容器の開口部に着脱自在でかつ開閉可能なゲートを有す
   る連結装置を設け、前記容器の反転位置の下方に配設さ
   れたシュートと前記連結装置との間に伸縮自在な筒状の
   蛇腹を連結し、反転位置の容器内に挿入可能で容器内の
   廃棄物を掻き落すブレードをシュート内に設けたことを
   特徴とする放射性廃棄物の排出装置。