JPH0764631B2 - 耐熱水安定性に優れた高靭性ジルコニア焼結体 - Google Patents

耐熱水安定性に優れた高靭性ジルコニア焼結体

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JPH0764631B2
JPH0764631B2 JP60059154A JP5915485A JPH0764631B2 JP H0764631 B2 JPH0764631 B2 JP H0764631B2 JP 60059154 A JP60059154 A JP 60059154A JP 5915485 A JP5915485 A JP 5915485A JP H0764631 B2 JPH0764631 B2 JP H0764631B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高靭性ジルコニア焼結体に関し、さらに詳し
くは、Y2O3及びCeO2を安定化剤として含む主として正方
晶より成るジルコニアとAl2O3とからなり、高強度で熱
安定性に優れ、特に、長時間の熱水中における経時劣化
が極めて少なく、耐熱水安定性を著しく改善した、耐久
性に優れた高靭性ジルコニア焼結体に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
ジルコニア焼結体は高温領域の立方晶から正方晶を経て
単斜晶に相移転をするがその際体積変化を伴い、特に正
方晶から単斜晶への相転移の体積変化が大きく、そのた
め、焼結体がこの体積変化により破壊してしまうという
欠点がある。この欠点を取り除くために、ZrO2にCaO、M
gO、Y2O3などを固溶させて、転移を起こさせないように
し、常温でも立方晶からなる安定化ジルコニア、あるい
は立方晶と単斜晶よりなる部分安定化ジルコニアが数多
く発表されている。また、準安定相である正方晶を常温
で焼結体内に存在させた部分安定化ジルコニアが高強度
を示すことが発表されている。
これは、一つには機械的な外部応力が加わった際に、準
安定な正方晶から室温安定相である単斜晶への相転移が
誘起され、応力が吸収されることによる。このようなジ
ルコニアの正方晶−単斜晶の相変態を利用した高靭性セ
ラミックについては異なる手法として、アルミナからな
る基質内に、マイクロクラックを内蔵させ、これにより
負荷がかかった場合に発生する応力を焼結体中に存在す
るマイクロクラックによって吸収する破壊靭性の高いセ
ラミック成形体の製法が開示されている。(特開昭52−
86413)また、マイクロクラックの内蔵と異なり、緻密
な非金属超硬物質を主体とする焼結体中に安定化剤を含
まない酸化ジルコニウムを50容量%まで内蔵させ、強度
を改善した焼結成形体が開示されている。(特開昭59−
24751)しかしこれら2つの例に含まれる酸化ジルコニ
ウムはいずれも安定化剤を全く含まないものであるた
め、靭性及び曲げ強さの点で著しく改善されたものの、
熱的には非常に不安定で焼結体の経時劣化は極めて大き
い。
これに対し、アルミナ、ムライト、スピネル、Si3N4
イットリア、部分安定化ジルコニア等のセラミックマト
リックス中にセラミック埋め込み材料として安定化剤を
含まない単斜晶系あるいは正方晶系のジルコニアを5〜
50容量%まで含む成形体あるいは埋め込み材料として2
モル%のY2O3で安定化された主として正方晶系のジルコ
ニアを5〜30容量%まで含むセラミック成形体が開示さ
れている(特開昭59−64567)が前者はジルコニアに安
定化剤を含まないので強度の経時劣化が避けられず、後
者はジルコニアをイットリアで部分安定化したものであ
るため、熱的にはきわめて不安定であり、容易に経時劣
化を生じるという欠点がある。この他に高靭性ジルコニ
ア焼結体としては各種の安定化剤を添加し、この量を特
定し、常温において主として正方晶からなる部分安定化
ジルコニアが多数報告されている。
これら常温において主として正方晶からなる焼結体を得
るための安定化剤としては従来より主としてのY2O3が用
いられた特に高靭性、高強度を発現している。しかし、
この主として正方晶からなる部分安定化ジルコニアは、
高温相を低温域までもたらした結果生ずる準安定相であ
るため、その構造や性質が経時劣化をし、特に200℃な
いし400℃という比較的低温における加熱により単斜晶
へ相転移を起こし強度の経時劣化が極めて大きい。
この強度劣化は水分等の存在下では著しく促進される。
これに対し安定化剤を含む部分安定化ジルコニア焼結体
の経時変化が安定化剤の組成や焼結体の組織あるいは結
晶粒径に依存することから、安定化剤としてのY2O3量を
特定し、主として正方晶からなる焼結体を得、その焼結
体の製造過程において焼結粒度を制御することにより、
特定温度域における経時劣化が少ない高強度、高靭性の
焼結体が報告されている(特開昭56−134564)。しか
し、この発明では特定温度域における経時劣化が改善さ
れたとはいえ、イットリアで安定化されたZrO2は熱的に
きわめて不安定である上強度的にもまた不充分であり、
構造材としての用途は限られたものとなる。
CeO2はZrO2の安定化剤の一つであるが、相平衡状態図よ
りCeO2−ZrO2系はY2O3−ZrO2系に比較して、幅広い高温
正方晶領域を有しており、CeO2−ZrO2系の焼結体におい
て、CeO2含量10〜12モル%で高い強度と、Y2O3系よりも
熱的に安定であることが発表されている(1983年窯業基
礎討論会1A6、10頁)。
CeO2の添加量及び製造過程における仮焼温度等を制御す
ることにより正方晶の結晶粒子径及び焼結体の気孔率を
特定値以下にして機械的強度及び耐熱衝撃強度を改善し
た主として正方晶よりなるCeO2系ジルコニア質セラミッ
クスが報告されている(特開昭59−190265)。しかし、
これら安定化剤としてCeO2を含む系すなわちCeO2−ZrO2
系は熱的に安定なものの熱水中では極めて不安定で劣化
が著しくまたY2O3−ZrO2系に較べて強度がかなり劣って
おり、構造材としては不充分なものである。
一方、Y2O3−ZrO2系にCeO2を添加することによって、広
い組織範囲で正方晶のみからなる焼結体が得られ、CeO2
の同辞添加によって長時間の熱エージングによっても安
定で高靭性を発現する焼結体が得られることが明らかに
されている(198年5月窯業協会年会、124p463)。さら
には、部分安定化ジルコニアの熱水溶液での安定性に関
し、Y2O3を2,3,4mol%固溶した(ZrO22Y,ZrO23Y,ZrO24Y
と略記)Y2O3−ZrO2系へ、CeO2を、ZrO22Yでは15wt%
(11.2mol%)以上、ZrO23YとZrO24Yでは10wt%(7.3mo
l%)以上添加することにより、熱水中での相転移を制
御できることが明らかにされている。(1985年1月窯業
基礎討論会1C 10 P88) しかし、Y2O3−CeO2−ZrO2系の焼結体は数mol%のCeO2
の添加により、熱安定性は改善されるものの、強度的に
不充分である上数mol%のCeO2の添加では熱水安定性は
ほとんど改善されず、容量に転移を生じ劣化してしまう
という重大な欠陥を有する。
このY2O3−CeO2−ZrO2系においてCeO2の添加量を増大さ
せることによって熱水安定性を改善することは可能であ
るが、多量のCeO2の添加より、焼結体の強度は著しく劣
ったものとなり、構造材としての用途は大幅に限定され
たものとなる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は安定化剤としてY2O3および/またはCeO2を含む
すなわちY2O3−ZrO2系、CeO2−ZrO2系及びY2O3−CeO2
ZrO2系の主として正方晶より成る部分安定化ジルコニア
焼結体の上記したような欠点を解決すべくなされたもの
であって、機械的特性を改善すると共に耐熱水性を飛躍
的に増大し、熱及び熱水による経時劣化の無い耐久性に
優れた焼結体を提供し、高靭性ジルコニア焼結体の性能
を向上し、その用途を拡大することを目的とするもので
ある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の高靭性ジルコニア焼結体は、Y2O3及びCeO2を安
定化剤として含む主として正方晶より成る部分安定化ジ
ルコニアに、Al2O3を3〜60内部重量%を含み、焼結体
の平均結晶粒子径が3μ以下であることを特徴とするも
のである。
この部分安定化ジルコニアは、これに含まれるY2O3,CeO
2が図面に示すように正三角形に交わる三軸にそれぞれZ
rO2、YO1.5、CeO2のmol%に表示した三角座標におい
て、 点I(ZrO289mol%、YO1.510mol%、CeO21mol%) 点J(ZrO288mol%、YO1.510mol%、CeO22mol%) 点K(ZrO287mol%、YO1.52mol%、CeO211mol%) 点L(ZrO293mol%、YO1.52mol%、CeO25mol%) 点M(ZrO293.5mol%、YO1.54mol%、CeO22.5mol%) で示された特定5組成点を結ぶ線で囲まれた範囲内の組
成にあることを特徴とするものである。
〔作用〕
本発明の高靭性シルコニア焼結体は、従来のY2O3−ZrO2
系の部分安定化ジルコニア焼結体組成にCeO2成分とAl2O
3成分を新たに添加することにより、強度を改善すると
ともに、安定化性はもとより、特に劣化が激しいとされ
る熱水中において著しく高い安定性をしめす。これは、
アルミナの添加が焼結助剤的効果による欠陥の除去に役
立ち、正方晶の含有量を高い弾性率の上昇による破壊エ
ネルギーの増大に寄与し、高い強度を示すとともに、Zr
O3の粒界部分の強化と、CeO2成分の存在による安定性と
の相乗効果の結果、耐熱水性が著しく改善されるものと
考えられる。
本発明では、ジルコニアの安定化剤としてY2O3及びCeO2
を必要とする。また、Al2O3を3〜60内部重量%の範囲
で含む必要がある。Al2O3の添加量を限定した理由はAl2
O3が3内部重量%以下では耐熱水性が低くなり添加の効
果が少なく60内部重量%以上では、靭性あるいはZrO2
含有量を低めるからである。本発明をより効果あるもの
とするためにはAl2O3の添加量を5〜50内部重量%の範
囲に選択するとよい。Y2O3、CeO2、ZrO2の三成分の配合
量は、図面に示すような三角座標において、I、J、
K、L、Mを結ぶ線で囲まれた範囲内であることが必要
である。この範囲内であると正方晶の安定性が高く耐熱
水性に優れ、範囲外になると大幅に耐熱水性が低下し、
また機械特性を劣ったものとなる。すなわちI点(Y
1.510mol%)よりもY1.5を多く含むと靭性が低下し、
M点(YO1.54mol%)よりもY1.5が少ない場合には、耐
熱水安定性が失われる。L点(YO1.52mol% CeO25mol
%)よりもY1.5、CeO2が少ない場合は、耐熱水安定性
が乏しくなる。またK点(YO1.52mol%、CeO211mol%)
よりもYO1.5およびCeO2が多い場合には充分な機械的強
度が得られない。
本発明をより効果のあるものとするためには、上記三成
分の配合量を図面に示すような三角座標において、 点A(ZrO287.5mol%、YO1.512mol%、CeO20.5mol%) 点H(ZrO294.5mol%、YO1.54mol%、CeO21.5mol%) 点C(ZrO294.5mol%、YO1.52.5mol%、CeO23mol%) 点F(ZrO281mol%、YO1.50mol%、CeO29mol%) 点E(ZrO284.5mol%、YO1.50mol%、CeO215.5mol%) を結ぶ実線で囲まれる範囲内に選択するとよい。更に好
ましくは、上記三成分の配合量を図面に示すような三角
座標において、 点I(ZrO289mol%、YO1.510mol%、CeO21mol%) 点J(ZrO288mol%、YO1.510mol%、CeO22mol%) 点K(ZrO287mol%、YO1.52mol%、CeO211mol%) 点L(ZrO293mol%、YO1.52mol%、CeO25mol%) 点M(ZrO293.5mol%、YO1.54mol%、CeO22.5mol%) を結ぶ実線で囲まれる範囲内に選択するとよい。本発明
の組成の焼結体は、アルミナを含むために焼結体の硬度
も改善され、耐摩耗性にも優れたものとなる。
本発明の組成を有するジルコニア焼結体は主として正方
晶より成る部分安定化ジルコニアであるので、高強度・
高靭性を示す。本来正方晶は準安定相であるため試料表
面の研削によって一部が単斜晶へ転移を生じ表面層の残
留圧縮応力により焼結体の強化に寄与する。この強化の
程度は研削による表面粗さと焼結体の粒径に依存してい
る。このため本発明による主として正方晶よりなる部分
安定化ジルコニアはX線回折による結晶相の測定におい
て鏡面状態で正方晶系を少なくとも50体積%以上含むジ
ルコニアをいう。正方晶系が50体積%以下になると、靭
性が低下するので正方晶系は50体積%以上含まれること
が必要である。
本発明の焼結体は、焼結体の平均結晶粒子が3μm以下
であることが必要である。好ましくは2μm以下である
ことが良い。さらに好ましくは1μm以下で平均粒子径
が3μmを越えると熱水安定性、熱安定性が低下する。
平均粒子径は、鏡面に研摩した焼結体表面をエッチング
し、走査型電子顕微鏡により観察を行い、任意に引いた
線分を横切る50個以上の粒子の平均長を1とし、以下の
式により平均粒子径dを求める。
本発明の高靭性ジルコニア焼結体は、180℃で10気圧の
水蒸気中に10時間保持した後の、焼結体表面の単斜晶量
が30体積%以下であることが必要である。好ましくは20
体積%以下であることが良い。更に好ましくは、10体積
%以下であることが良い。なぜならば、従来この水熱条
件下において、本発明の高靭性ジルコニア焼結体が示す
高い安定性および高強度を兼ね備えた部分安定化ジルコ
ニア焼結体は公表あるいは得られておらず、著しく耐熱
水安定性、耐熱安定に優れると見なし得るからである。
本発明に安定化剤として使用されているCeO2はY2O3に比
べて廉価であり、そのうえ本発明の焼結体は従来のY2O3
−ZrO2系と比較すると、ジルコニアの一部をAl2O3と置
換したものであり、Al2O3はZrO2に比べてはるかに廉価
であることから、コスト的にも有利な高靭性セラミック
スとなる。
〔実施例〕
以下に実施例により本発明を詳細に説明する。
(実施例1) 純度99.9%のオキシ塩化ジルコニウムの水溶液に、純度
99.9%の塩化イットリウムを加えて均一に混合した溶液
をアルカリで凝結させ、水酸化物の沈澱として、これを
脱水乾燥し、900℃にて仮焼し、YO1.5をそれぞれ0,2.5,
4,6,8,10,mol%を含む第1表に示す組成割合のイットリ
ア部分安定化ジルコニア粉末を得た。
この粉末は25m2/gの比表面積を示す。この粉末に純度9
9.9%のCeO2と平均粒径0.3μ純度99.9%のAl2O3を第1
表の割合になるように加え湿式混合乾燥させた粉末を1.
5ton/cm2の圧力で等方的に成形し、1400〜1650℃の温度
で大気中2時間焼成した。得られた焼結体の平均粒径粒
子径は全て3μm以下であった。また、比較例として、
Al2O3を全く含まない焼結体を同様に成形、焼成した試
料の結果を示した。
得られた焼結体は、3×4×40mmに切断研摩加工し、結
晶相抗折強度、破壊靭性、熱水劣化試験後の焼結体表面
の結晶相及び抗折強度を測定した。なお、各物性の測定
方法として、抗折強度は、JIS規格に従い、3×4×40m
m試料片を用い、スパン30mm、クロスヘッド速度0.5mm/m
inの3点曲げにより10本の平均値を示した。破壊靭性
は、マイクロ・インデンテーション法により、荷重50kg
で圧痕を入れて測定を行い、K1C値は新原らの式を用い
た。結晶相の定量測定は、X線回折法により行った。す
なわち、ダイヤモンドペーストにて鏡面研摩した試料片
の単斜晶の(111)面と(111)面の積分強度IMと正方晶
の(111)面および立方晶の(111面)の積分強度IT、IC
より単斜晶量(体積%)は、 の式により決定した。
次に焼結体を微粉砕し、X線回折により同条件で単斜晶
ZrOS2と立方晶ZrO2の積分強度I 、I を求め
た。すなわち、この粉砕の過程で焼結体中に存在してい
た正方晶ZrO2は機械的応力によりすべて単斜晶ZrO2へ変
態すると考えられる。よって立方晶量(体積%)は、 により決定し、これより 次に正方晶量(体積%)を決定した。
熱水劣化試験はオートクレーブを使用し、180℃(10気
圧)の水蒸気中で10時間保持した後、試料を取り出し、
物性を測定した。熱水劣化試験後の単斜晶量は試料表面
のX線回折により同様に上記(1)式より求めた。
第1表の試料No1、No.5〜23では、Al2O3の組成を25重量
%に固定し、YO1.5を0〜10モル%まで順次段階的に増
やしながらCeO2を種々のモル%で添加したものである。
試料No24〜31は、Al2O3を含まない本発明の組成外の比
較例である。第1表の結果より明らかな様に、本発明の
高靭性ジルコニア焼結体は、正方晶から単斜晶への転移
が大幅に抑制されており、熱水劣化試験後も、高い強度
を保持し、ほとんど劣化がないことが確認された。また
本発明の組成の範囲外となる比較例が単斜晶への転移が
抑制されず、強度が劣ることが判明した。
(実施例2) 得られる粉末が第2表の割合になるように、純度99.9%
のオキシ塩化ジルコニウムの水溶液に、純度99.9%の塩
化イットリウム、純度99.9%の塩化セリウムを加え、均
一に混合した溶液をアルカリで凝結させ、水酸化物の沈
澱とし、これを脱水乾燥し、900℃にて仮焼して、部分
安定化ジルコニア粉末を得た。この粉末は、25m2/gの比
表面積を示す。この粉末に平均粒径0.3μm、純度99.9
%のAl2O3を第2表の割合が加え、湿式混合後乾燥させ
た粉末を1.5ton/cm2の圧力で等方的に成形し、1400〜16
50℃の温度で大気中2時間焼成した。得られた焼結体に
ついて実施例1と同様な測定を行った。第2表の試料No
32〜38は、YO1.5及びCeO2のモル%を固定し、Al2O3の重
量を順次段階的に増やしたものである。これより、Al2O
3の添加により、熱水劣化がほとんど無く、熱水劣化試
験後も高い強度を保持していることが確認された。ま
た、本発明の組成の範囲外となる比較例が熱劣化試験後
の強度が劣ることが判明した。
(実施例3) 実施例1の方法により調製した焼結体を用い、300℃の
電気炉内に所定時間保持し、熱劣化試験を行ない、焼結
体試料表面の単斜晶量を測定し、第2図に示した。ま
た、オートクレーブを使用し、第2図に示した。また、
オートクレーブを使用し、180℃(10気圧)の水蒸気中
に所定時間保持し、熱水劣化試験を行ない、同様に焼結
体試料表面の単斜晶量を測定し、時間と単斜晶の関係を
第3図に示した。
図中の試料番号のカッコは順に(YO1.5モル%,CeO2モル
%,Al2O3wt%)を示し、No.A、No.B、No.24、No.25は比
較例である。
NoAは、Y2O3のみによる共沈法を用いて調製した部分安
定化ジルコニア焼結体であり、No.Bは、Y2O3のみによる
共沈法を用いて調製したジルコニア粉末に0.3μmの純
度99.9%のアルミナを所定量加えた高靭性ジルコニア焼
結体であり、いずれも1500℃で2時間焼成したものであ
る。No.24、No.25は、本発明の焼成外のAl2O3を含まな
いY2O3−CeO2−ZrO2系の焼結体である。
これより本発明の組成の高靭性ジルコニア焼結体は、比
較例に示したY2O3−ZrO2,Y2O3−CeO2−ZrO2系,Y2O3−Zr
O2−Al2O3系の各焼結体に比べて、熱及び熱水中におい
ても極めて優れた安定性を示すことが判明した。
なお、以上に示した本発明の高靭性ジルコニア焼結体の
実施例は、いずれも大気中で1400〜1650℃で数時間焼成
することにより所望の特性を得たものであるが、真空
中、N2、アルゴンガス等の不活性ガス中、炭素雰囲気
中、水素中、酸素中での雰囲気中での焼成,ホットプレ
ス,HIP等のセラミックスの焼成技術を用いることによっ
ても同様の結果が得られるものである。
〔発明の効果〕
本発明の高靭性ジルコニア焼結体は、従来のY2O3−ZrO2
系の部分安定化ジルコニア焼結体組成に、CeO2成分とAl
2O3成分を新たに添加することにより、強度を改善する
とともに、熱安定性はもとより、特に劣化が激しいとさ
れる熱水中において著しく高い安定性を示す。また、従
来のY2O3−ZrO2系の部分安定化ジルコニア焼結体と比べ
て安定化剤のCeO2,添加剤のAl2O3はそれぞれY2O3,ZrO2
に対して廉価であるのでコスト的にも有利な高靭性セラ
ミックスとなる。
このような高強度,高靭性と共に熱安定性、特に熱水安
定性をも満足しうる本発明の高靭性ジルコニアは、例え
ば、熱及び圧力を受ける熱可塑性樹脂やセラミックスの
射出成形機用の耐摩耗セラミックスウリュウ,真ちゅう
ロッドや銅管シェル等の熱間押出しダイスや、煮沸消毒
をくり返すような医療用ハサミ,メス等に最適であり、
切削工具,工業用カッター,ダイス,内燃機関,ポン
プ,人工骨,人工歯根,精密機械工具等への実用化とこ
の性能向上に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はZrO2,YO1.5,CeO2の組成範囲を示す三角座標、
第2図は実施例3の熱劣化試験の時間と単斜晶量との関
係を示した図、第3図は実施例3の熱水劣化試験の時間
と単斜晶量の関係を示した図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】添付図面に示すように正三角形に交わる三
    軸にそれぞれZrO2、YO1.5、CeO2のmol%に表示した三角
    座標において、 点I(ZrO289mol%、YO1.510mol%、CeO21mol%) 点J(ZrO288mol%、YO1.510mol%、CeO22mol%) 点K(ZrO287mol%、YO1.52mol%、CeO211mol%) 点L(ZrO293mol%、YO1.52mol%、CeO25mol%) 点M(ZrO293.5mol%、YO1.54mol%、CeO22.5mol%) で示された特定5組成点を結ぶ線で囲まれた範囲内の組
    成になる主として正方晶より成る部分安定化ジルコニア
    にAl2O3を3〜60内部重量%を含む焼結体で平均結晶粒
    子径が3μm以下であり、180℃(10気圧)水蒸気中に1
    0時間保持後の単斜晶量が30体積%以下であることを特
    徴とする耐熱水安定性に優れた高靭性ジルコニア焼結
    体。
JP60059154A 1985-03-22 1985-03-22 耐熱水安定性に優れた高靭性ジルコニア焼結体 Expired - Fee Related JPH0764631B2 (ja)

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