JPH076274U - 空気紡績装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻付繊維の量を制御でき糸強力が強く、均斉
度の良い結束紡績糸を得ることができる空気紡績装置を
提供する。 【構成】 ドラフト装置のフロントローラの糸道上流側
に、スライバの拡がりを抑制する手段を設け、且つ、上
記フロントローラの糸道下流側に、上記スライバを強制
的に拡げる手段を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、空気紡績装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、空気紡績装置においては、ケンスより供給されるスライバを３乃至はそ れ以上のドラフトロ―ラ対よりなるドラフト装置でドラフトした後、該ドラフト 装置下流側に直列に配置した第１ノズルと第２ノズルとからなる空気紡績ノズル で仮撚紡績している。以下、その例を図３と共に説明する。

【０００３】 図３において、空気紡績ノズル３０を構成する第１ノズル３１及び第２ノズル ３２の内部には、圧空噴射による互いに反対方向の旋回気流ａ，ｂが発生してお り、且つ、夫々のノズル３１，３２の導入部においては、上記圧空噴射に伴ない 吸引気流を生じている。

【０００４】 そして、ドラフト装置によりドラフトされ、偏平に押し拡げられたスライバＳ は、フロントロ―ラ対３３より送出されると、該フロントロ―ラ対３３近傍まで 遡及して伝達されている第２ノズル３２による仮撚により集束されるが、フロン トロ―ラ対３３と第１ノズル３１との間では第１ノズルによってスライバＳは仮 撚とは逆方向にバル―ニングしており、このバル―ニング及びフロントトップロ ーラ３３ｔの回転に伴う随伴気流ｃによって、後端はフロントロ―ラ３３に把持 され、スライバＳを構成する繊維束中にあるが、先端は、拡げられ遊離して無拘 束状態となった繊維ｆ０が生成する。

【０００５】 上記無拘束状態の繊維ｆ０は、第１ノズル３１の吸引旋回気流ａにより、ｆ１ の如く第２ノズル３２の仮撚とは逆方向に芯繊維束ｆ２に巻き付けられる。この 巻付繊維ｆ１は第２ノズル３２を通過して仮撚が解撚される過程で、芯繊維束ｆ ２に更に強く巻き付けられる結果、図４に示す如く平行な芯繊維束ｆ２の回りに 全体の１５〜２０％程度の巻付繊維ｆ１が存在することで加撚状態となった結束 紡績糸Ｙが形成される。

【０００６】 上記結束紡績糸Ｙの糸強力を確保するためには、巻付繊維ｆ１の量を一定に制 御することが肝要であるが、巻付繊維ｆ１となる無拘束状態の繊維ｆ０の発生量 は、紡績速度，メインドラフト，コンデンサー幅，フロントローラ対３３と第１ ノズル３１との間の距離が夫々増大するに連れて増加する傾向にはあるものの、 先述の随伴気流ｃの影響を受けるため上記無拘束状態繊維ｆ０の発生量の制御に は限界があった。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、従来の技術のこのような点に鑑みて、巻付繊維の量を制御でき糸強 力が強く、均斉度の良い結束紡績糸を得ることができる空気紡績装置を提供する ことを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

ドラフト装置のフロントローラの糸道上流側に、スライバの拡がりを抑制する 手段を設け、且つ、上記フロントローラの糸道下流側に、上記スライバを強制的 に拡げる手段を設けた。

【０００９】

【作用】

ドラフト装置のフロントロ―ラより送出されたスライバは第２ノズルの仮撚で 集束されるがスライバを構成する繊維は、フロントローラを通過するまでは、ス ライバの拡がりを抑制する手段により拡がりを制限され、フロントローラを通過 後、スライバを強制的に拡げる手段により、スライバは拡散して先端無拘束状態 の繊維が発生し、該先端無拘束状態の繊維は、第１ノズルの旋回気流の作用で、 上記集束された繊維を芯繊維束としてその回りに巻き付けられ巻付繊維を形成す る。この巻付繊維は、第２ノズルを通過して仮撚が解撚される過程で、芯繊維束 に更に強く巻き付けられる結果、平行な芯繊維束の周囲にほぼ均一に巻付繊維が 存在して加撚状態となった結束紡績糸が得られる。

【００１０】 上記紡績過程において、巻付繊維の発生量は、スライバを強制的に拡げる手段 を調整することにより制御される。

【００１１】

【実施例】

実施の一例について図面と共に説明する。

【００１２】 図１及び図２において本考案実施例の空気式紡績装置１は、３線乃至はそれ以 上のドラフトローラ対よりなるドラフト装置２のフロントロ―ラ対２１の直後に 設けた第１ノズル１１，該第１ノズル１１の下流側に軸心を一にして直列に配置 した第２ノズル１２，及び、フロントローラ対２１と第１ノズル１１との間に設 けた静電気発生装置（スライバを強制的に拡げる手段）１３よりなり、エプロン ベルトｅを装架したミドルローラ対２２とフロントローラ対２１との間にはコン デンサ（スライバの拡がりを抑制する手段）１４を設けている。

【００１３】 第１ノズル１１は、導入口３をフロントロ―ラ対２１のニップ点に近傍して開 口し、第１ノズル１１の内部には、該ノズル１１内周面接線方向に圧空噴射孔４ を設けている。この圧空噴射孔４は糸走行方向に対しては斜に設けられているの で、該圧空噴射孔４より圧空を噴射することにより、第１ノズル１１内には、上 記導入口３より送出口５に至る旋回吸引気流（図１に矢印ａで示す）を発生する 。また、第２ノズル１２内部には、ノズル内周面接線方向に沿って、上述の第１ ノズル１１とは逆向きに圧空噴射孔６を設け、該圧空噴射口６より圧空を噴射す ることにより、第２ノズル１２内に、第１ノズル１１とは逆向きの旋回気流（図 １に矢印ｂで示す）を発生する。

【００１４】 静電気発生装置１３は、フロントローラ対２１と第１ノズル１１の導入口３と の間において、スライバ走行線の両側に対向して設けた一対の放電電極１３ａ， １３ｂ及び、それらに接続した図示しない高圧電源よりなり、放電電極１３ａ， １３ｂに高電圧を負荷して放電することにより、放電電極１３ａ，１３ｂの間を 通過するスライバＳに静電気を発生する。尚、図示例では一対の平板状の放電電 極１３ａ，１３ｂをスライバ走行線の側方に設けているが、電極は針状又は環状 であっても良く、且つ、スライバ走行線の上下に設けても良い。

【００１５】 次に上述の実施例に基づいて作用を説明する。

【００１６】 ドラフト装置２によりドラフトされ、偏平に押し拡げられたスライバＳは、ミ ドルローラ対２２とフロントローラ対２１との間に設けたコンデンサ１４により 幅を規制された状態でフロントロ―ラ２１より送出され、静電気発生装置１３の 一対の放電電極１３ａ，１３ｂ間を通過する際スライバＳに静電気が発生し、該 スライバｓを構成する繊維は帯電して互いに反発し合うので、スライバＳは拡散 される。

【００１７】 これにより、スライバＳの中心部に位置する繊維は、フロントローラ対２１近 傍まで遡及して伝達されている第２ノズル１２の仮撚によって集束して芯繊維ｆ ２となるが、表層部、特に拡げられたスライバＳの両側部においては、集束せず に遊離して先端が無拘束状態となった繊維ｆ０が多量に生成し、該無拘束状態の 繊維ｆ０は、第１ノズル１１の旋回気流ａにより、上記芯繊維束ｆ２に巻き付き 、巻付繊維ｆ１を形成する。そして、上記巻付繊維ｆ１は、第２ノズル１２を通 過して解撚される過程において芯繊維束ｆ２に更に強く巻き付けられる結果、平 行な芯繊維束ｆ２の回りにほぼ均一に巻付繊維ｆ１が存在することで加撚状態と なった結束紡績糸Ｙが形成される。

【００１８】 上記紡績過程において、フロントローラ対２１の直前に設けたコンデンサ１４ は、フロントトップローラ２１ｔの回転により生じる随伴気流の影響でスライバ Ｓが拡げられるのを制御し、スライバＳが一定の幅でフロントローラ対２１より 送出されるようにしており、このようなスライバＳに対して、静電気発生装置１ ３の電圧を調整して、スライバＳに発生する静電気の電荷を制御することにより 、スライバＳの拡散とそれに伴う先端無拘束状態の繊維ｆ０の発生量を制御する ことが可能である。

【００１９】 即ち、静電気発生装置１３の電圧を高くすれば、先端無拘束状態の繊維ｆ０の 発生量は多くなり、巻付繊維ｆ１が多く、糸強力の強い結束紡績糸Ｙが得られ、 且つ、上記先端無拘束状態の繊維ｆ０の発生量は、ある程度フロントトップロー ラ２１ｔの随伴気流の影響を排除した状態で静電気発生装置１３により一定に保 持されるので、上記結束紡績糸Ｙは均育度の良い糸となる。

【００２０】

【考案の効果】

本考案空気紡績装置は、上述のとおり、ドラフト装置のフロントローラの糸道 上流側に、スライバの拡がりを抑制する手段を設け、且つ、上記フロントローラ の糸道下流側に、上記スライバを強制的に拡げる手段を設けたので、スライバの 拡がりを抑制する手段によって一定の拡がりでフロントローラを通過するスライ バを、スライバを強制的に拡げる手段を調節することにより巻付繊維の発生量を 制御することができ、糸強力が強く均育度の良い結束紡績糸を得ることができる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の空気紡績装置による紡績過程
を示す要部斜視図である。

【図２】本考案実施例の空気紡績装置を示す側断面図で
ある。

【図３】従来の空気紡績装置による紡績過程を示す要部
斜視図である。

【図４】従来の結束紡績糸を示す図である。

【符号の説明】

１ 空気紡績装置 ２ ドラフト装置 １１ 第１ノズル １２ 第２ノズル １３ 静電気発生装置 １４ コンデンサ ２１ フロントロ―ラ対 ２２ ミドルローラ対 Ｓ スライバ Ｙ 紡績糸 ｆ１ 巻付繊維 ｆ２ 芯繊維束

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドラフト装置のフロントローラの糸道上
   流側に、スライバの拡がりを抑制する手段を設け、且
   つ、上記フロントローラの糸道下流側に、上記スライバ
   を強制的に拡げる手段を設けたことを特徴とする空気紡
   績装置。