JPH0634373Y2 - 紡績糸の製造装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ．考案の目的 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ドラフト装置によってドラフトされた無撚
の短繊維束を加撚して紡績糸を製造する装置に関するも
のである。

〔従来の技術〕

近年、リング精紡機に代わる高速紡績装置として次のよ
うな空気式紡績機が開発されている。

それは、ドラフト装置に続いて２つの空気噴射ノズルを
配置したものである。この各ノズルはドラフト装置を出
た繊維に対して互いに逆方向に旋回する圧縮空気流を作
用させており、繊維束は２番目のノズルによって仮撚さ
れ、仮撚された繊維束は１番目のノズルによってバルー
ンされ、このバルーンにより一部の繊維が他の繊維上に
巻き付き、更に繊維束が２番目のノズルを通過して解撚
されることによって強力に巻き付けられ、紡績糸が製造
される。

この空気式紡績機は、仮撚、仮撚方式により糸を製造す
るため、製造された糸の風合がどうしても硬く、悪くな
る。また、この装置は、巻付け繊維の挙動を安定させる
ことが困難なため糸質の改善には限界があるし、この紡
績機では２つのノズルを用いているため圧縮空気の消費
量が多くエネルギーコストが大きいという問題がある。
更にウールのような比較的長い繊維の紡績能力に多少の
難点がある。

この問題に対処するために、第３図に示すごとき紡績機
が提案されている（特開昭63−85123号公報参照）。

この装置は、ドラフト装置のフロントローラから出た繊
維束を通す通路を有し回転するパイプと、パイプの入口
近傍に旋回空気流を作用させて繊維束から繊維端部を分
離させる空気噴射ノズルとからなり、その繊維端部を繊
維束の周囲に巻回させるものである。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記の、特開昭63−85123号公報に示された装置は、芯
繊維の回りに巻き付く巻回繊維量の多い糸を製造するこ
とが困難であった。

この考案は、巻回繊維量の多いリング紡績糸に近い実撚
構造の結束紡績糸を効率的に製造することのできる紡績
装置を提供することを目的としている。

ロ．考案の構成 〔課題を解決するための手段〕 上記目的を達成するために、この考案の紡績糸の製造装
置は、中心部に繊維束通路を有しラッパ状開口部を有す
るトランペットパイプ11と、中心部に繊維束通路を有し
出口側ほど径が大きく内側に湾曲した外壁を有する回転
パイプ10内と、内部にそれらを収容しそれらとの間に流
線型の空気流路を形成した外管９とからなり、トランペ
ットパイプ11の繊維束出口手前に繊維束進行方向斜めに
旋回気流を吹き付ける空気噴射ノズル12を外管９に設け
たものである。

〔作用〕

上記のように構成された紡績糸の製造装置においては、
空気噴射ノズル12から空気が噴射されると、外管９の内
壁を糸の進行方向に螺旋状に旋回する圧縮空気流により
負圧が生じ、繊維束はバルーンしてその一部は開繊し、
更に旋回気流により集束ノズル13の先端部に巻き付く。
回転パイプ10は回転しているので、集束ノズル13の先端
部に巻き付いた繊維端部は、回転パイプ10の繊維束走行
路中に引き込まれつつ繊維束の周囲に巻回され、紡績糸
が製造される。

〔実施例〕

図を参照して説明する。

先ず、第２図によりウール糸を製造する場合を例に、装
置の概略を説明する。ボビンに巻かれた無撚の梳毛粗
糸、即ち、繊維束Ｓはバックローラ１、エプロン２を有
するミドルローラ３及びフロントローラ４の各ローラ対
からなるドラフト装置５を通ってこの発明に係る紡績装
置６に導入されて紡績糸Ｙとなり、更にデリベリローラ
７で引き出された後、フリクションローラ８で回転され
パッケージＰ上に巻き取られる。

紡績装置６の構造は、第１図に示され、同図において１
点鎖線は繊維束Ｓ又は紡績糸Ｙの走行路を示している。

９は外管であり、繊維束Ｓ又は紡績糸Ｙの走行路をそれ
ぞれ中心部に有する回転パイプ10及びトランペットパイ
プ11が、中心部に収容されている。回転パイプ10は、繊
維束入口側から出口側に向かってその径を増し、空気通
路の一部を形成する外壁部は内側に滑らかに湾曲してお
り、また、繊維束入口側は繊維端を集束する集束ノズル
13としての機能を果たすものである。トランペットパイ
プ11は、ラッパ状に拡開した繊維束入口部とそれに続く
細い管部とからなっている。回転パイプ10及びトランペ
ットパイプ11の外表面と外管９の内表面との間の空間は
空気の流路であり、全体に空気が滑らかに流れるように
流線型をなしており、空気流が層流となるようにしてい
る。回転パイプ10の繊維束入口とフロントローラ４のニ
ップ点との距離は、繊維束Ｓを構成する繊維の平均長よ
り短くなるようにしてある。外管９には、空気噴射ノズ
ル12が設けてあり、空気噴射ノズル12は、トランペット
パイプ11の繊維束出口手前に接線方向、かつ、繊維束の
進行方向に向けて空気を噴射するように設けてある。

ドラフト装置のフロントローラ４から出た繊維束がトラ
ンペットパイプ11を移動してその先端部に達すると、外
管９の内壁を糸の進行方向に螺旋状に旋回する圧縮空気
流の負圧により、繊維束はバルーンして繊維端の一部は
閉繊し、更に旋回気流により集束ノズル13の先端部に巻
き付く。回転パイプ10は回転しているので、集束ノズル
13の先端部に巻き付いた繊維端部は、回転パイプ10の繊
維束走行路中に引き込まれつつ繊維束の周囲に巻回さ
れ、紡績糸が製造される。このとき繊維端部には旋回気
流が作用しており、それが拘束力として働くので、繊維
は延ばされた状態で回転パイプ10の繊維束走行路中へ引
き込まれるから、巻回繊維は巻回角度の比較的そろった
状態で巻かれる。

ハ．考案の効果 この考案は、以上説明したように構成されているので、
以下に記載するような効果を奏する。

即ち、トランペットパイプ11の繊維束出口手前に繊維束
進行方向斜めに旋回気流を吹き付け、回転パイプとの間
に負圧を形成することと、回転パイプ10及びトランペッ
トパイプ11の外表面と外管９の内表面との間の空間を流
線型の空気流路としたことにより、従来のものに比べて
効率よく繊維束から繊維端部を分離し、繊維束の周囲に
巻回することができるし、また、旋回気流によって集束
ノズル13表面に拘束された繊維端は、延ばされた状態で
回転パイプ10の繊維束走行路中へ引き込まれるから、巻
回繊維は巻回角度の比較的そろった状態で巻かれ、極め
てリング紡績糸に近い糸を製造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の紡績装置の断面図、第２図この考案
装置を用いた紡績機の全体を示す概略図、第３図は従来
の紡績装置の断面図である。 ４……フロントローラ、７……デリベリローラ、９……
外管、10……回転パイプ、11……トランペットパイプ、
12……空気噴射ノズル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中心部に繊維束通路を有しラッパ状開口部
   を有するトランペットパイプ11と、中心部に繊維束通路
   を有し出口側ほど径が大きく内側に湾曲した外壁を有す
   る回転パイプ10と、内部にそれらを収容しそれらとの間
   に流線型の空気流路を形成した外管９とからなり、トラ
   ンペットパイプ11の繊維束出口手前に繊維束進行方向斜
   めに旋回気流を吹き付ける空気噴射ノズル12を外管９に
   設けた紡績糸の製造装置。