JPH0759488B2 - メ−クアツプ化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、充填成型またはプレス成型後の優れた粉体結
合性、油剤結合性に基づく耐温性、耐衝撃性が良好であ
り、また使用時の延展性、なめらかさ等の使用感、化粧
後の化粧もちが優秀である新規な固型状のメークアップ
化粧料に関するものであり、特にはケーキファンデーシ
ョン，ケーキアイシャドー等の粉末固型状の化粧料や口
紅，油脂固型状のファンデーション，油脂固型状のメー
クアップアイライナー等の油脂固型状のメークアップ化
粧料として好適なものを提供せんとするものである。

従来、メークアップ化粧料は、例えばケーキアイシャド
ーの如き粉末を凝集させた状態（以下、これを粉末固型
状と呼称する）のメークアップ化粧料においては、各種
化粧料用粉体または顔料を主成分とし、これに油脂成分
や界面活性剤を添加して粉体や顔料の表面を処理した
後、プレス成型等の手段により圧縮して固型化する方法
が行なわれ、また口紅の如き油脂を固化させた状態（以
下、これを油脂固型状と呼称する）のメークアップ化粧
料においては、油脂成分を中心に構成され、これに顔料
を分散させた後、流し込み等の手段により固化せしめる
方法が取られていた。そして、上記何れのタイプの化粧
料においても、製品としての使用性を高めるために結着
剤を用いるのが通例であった。結着剤の役割を果たす物
質としては、粉末固型状のメークアップ化粧料にあって
は、前記のオイル類やワックス類等の油脂成分のほか、
水，アルコール，金属石ケン，水溶性高分子等が挙げら
れ、また油脂固型状のメークアップ化粧料においては、
油脂成分中のワックスや金属石ケンがその構造形成に対
する効果が大きい点から中心的に用いられてきた。

しかし前者において、油脂成分については、粉体結合効
果を充分に発揮し得るような量を添加すると、感触的な
面でカサツキ感やベタツキ感を伴なう欠点を生じ、また
水溶性高分子においては、粉体結合効果が弱く、且つ水
やアルコールを用いた場合と同様に耐水性や化粧持ちが
良くない問題があった。更に、金属石ケンを用いた場合
でも、使用感、特に延展性が悪く、異和感が出る等の欠
点が現れてきた。

一方、後者においては、ワックスや金属石ケンを配合す
る場合に、多きに過ぎるとつきが悪い、延展性が良くな
いなどの使用上の弊害を生じ、逆に少なきに過ぎると使
用時の強度面で弱くなり、折れや破損を生じるという致
命的な欠陥を有しており、オイル類やワックス類等の油
脂類と金属石ケンとの混合系では、環境温度で物性が変
化し易い、いわゆる耐温性が弱いという基本的欠陥を有
していた。

また、特開昭52−90637号公報に開示されているよう
に、高軟化点芳香族系炭化水素樹脂を配合したメークア
ップ化粧料では、乳化状のメークアップ化粧料の化粧も
ちに対しては改善されるものの、粉末固型状や油脂固型
状（以下、これらのようなタイプを総称して単に固型状
と略称する）のメークアップ化粧料の粉体結合性、油剤
結合性に基づく耐温性、平衝撃性、使用感については、
満足する結果を得ることができない。そして、特開昭53
−148547号公報に開示されているように、エチルハイド
ロキシエチルセルロースを配合したメークアップ化粧料
では、乳化状のメークアップ化粧料の化粧もちに対して
は改善されるものの、固型状のメークアップ化粧料につ
いては、特開昭52−90637号公報に開示されたものと同
様に、満足する結果を得ることができない。

そこで本発明者は、固型状のメークアップ化粧料の抱え
る問題点を解決せんと鋭意研究を重ねた結果、特定の油
溶性樹脂を化粧料用粉体・顔料や油脂成分と一定の割合
で組合せた時に、優れた粉体結合性、油剤結合性に基づ
く耐温性、耐衝撃性が良好であり、また使用感（延展
性，なめらかさ等）、化粧後の化粧もちが優秀である固
型状のメークアップ化粧料が得られることを見出し本発
明の完成に至った。

本発明は油脂成分１〜90重量％と、化粧料用粉体及び／
または顔料３〜98重量％と、脂環系石油樹脂、水添炭化
水素樹脂（ポリブテン樹脂を除く）から選択される油溶
性樹脂１〜30重量％とを含有することを特徴とする固型
状のメークアップ化粧料に関するものである。

本発明に適用される油脂成分としては、例えばスクワラ
ン，流動パラフィン，ヒマシ油，液状ラノリン，オレイ
ルアルコール，ラノリンアルコール，ヘキサデシルアル
コール，ミリスチン酸イソプロピル，ミリスチン酸オク
チルドデシル，オレイン酸オクチルドデシル，ステアリ
ン酸ヘキサデシル,2−エチルヘキサン酸セチル,2−エチ
ルヘキサン酸トリグリセライド，ラノリン酸イソプロピ
ル，パルミチン酸イソプロピル，ラノリン，ワセリン，
硬化綿実油，固型パラフィン，ミツロウ，鯨ロウ，マイ
クロクリスタリンワックス，カルナバワックス，セレシ
ン，オゾケライト，キャデリラワックス，シリコーン油
等の各種オイル類、ワックス類、などの油脂類が挙げら
れ、製品硬度に応じて適宜組合せられ、固型状のメーク
アップ化粧料全重量に対して１〜90重量％の範囲で配合
される。

次に化粧料用粉体または顔料としては、一般に化粧料と
して使用される粉体は全て使用可能であり、例えばタル
ク，カオリン，セリサイト，炭酸カルシウム，炭酸マグ
ネシウム，ケイ酸マグネシウム，無水ケイ酸等の体質顔
料、二酸化チタン，酸化亜鉛等の白色顔料、ベンガラ，
酸化鉄，酸化クロム，グンジョウ等の無機顔料、タール
色素等の有機顔料、雲母チタン，マイカ等のパール顔
料、その他ポリエチレン粉末，球状ナイロン粉末等の有
機粉体、などが例示され、固型状のメークアップ化粧料
中に３〜98重量％の範囲で添加される。

更に、本発明の油溶性樹脂としては、シクロペンタジエ
ン等の脂環系からなる脂環系石油樹脂、及び、テルペン
樹脂やピコライト等のような炭化水素樹脂を水添した水
添炭化水素樹脂（例えば、エッソ製エスコレツ5000等。
但し、ポリブテン樹脂を除く。）、などがあげられ、こ
れらの１種または２種以上が単独もしくは併用の形で処
方系中に添加される。これらの油溶性樹脂はいずれも油
脂等に対する相溶性に優れ、且つ強力な結着効果を発揮
し得る。

ここで前記油溶性樹脂の固型状のメークアップ化粧料中
における配合量は、１〜30重量％である。更に詳しく述
べるならば、タルク無機顔料などに代表される粉体結合
性の高い化粧料用粉体または顔料を主成分とする時には
１〜５重量％でも充分であり、チタンマイカや各種パー
ル剤などに代表される粉体結合性の低い化粧料用粉体ま
たは顔料が多量に配合される時には10〜30重量％を必要
とするものである。そして１重量％より少ない量では粉
体結合効果、油剤結合効果が期待できず、30重量％を越
えると粘着性、硬度が高くなり過ぎ、塗布量が少なくな
ったり、延展性が悪くなったりする欠点が現れてくる。

また、一般の化粧料に通常配合される他の原料成分、例
えば、グリセリン，ポリエチレングリコール，プロピレ
ングリコール,1,3−ブチレングリコール等の水溶性基剤
についても、固型状のメークアップ化粧料中に25重量％
以下の配合量ならば使用が可能である。

以上の如く本発明では、前述の各種原料を目的に応じて
選択し、種々の固型状のメークアップ化粧料を製造する
ことが可能である。例えば、粉末固型状のアイカラー，
粉末固型状のチークカラー，粉末固型状のファンデーシ
ョン等の場合には、化粧料用粉体や顔料を混合、粉砕
後、オイル類やワックス類等の油脂類を加熱溶解あるい
は常温で液状の場合はそのままで、粉体や顔料の表面を
コーティングし、中皿もしくは容器へ充填プレスして固
型状の製品を得、一方口紅，油脂固型状のファンデーシ
ョン，油脂固型状のアイライナー等の場合には、オイル
類やワックス類等の油脂類を加熱溶解し、これに化粧料
用粉体や顔料を混合、分散させた後、中皿もしくは容器
へ流し込み、冷却して固型状の製品を得るが、何れの場
合でもオイル類やワックス類等の油脂類と同じ時期に油
溶性樹脂を配合するだけで、目的とするものが得られる
ため従来の製法に対して何ら支障をきたらすものではな
い。

次に本発明による固型状のメークアップ化粧料を後述す
る配合例に従って生産し、実施例1,2,3を得ると共に、
その配合例における本発明に係る油溶性樹脂をそれぞれ
従来品に置き換えて、従来の固型状のメークアップ化粧
料である比較例1a,1b,1c,2a,2b,2c,3a,3b,3cを生産し、
これらを用いて、使用感、化粧もち、耐衝撃性、耐温性
に関する比較評価テストを行った。

即ち、実施例１では、粉末固型状のメークアップ化粧料
であるケーキファンデーションを生産し、本発明に係る
油溶性樹脂を、比較例1aではステアリン酸アルミニウ
ム、比較例1bではエチルハイドロキシエチルセルロー
ス、比較例1cでは芳香族系炭化水素樹脂、にそれぞれ置
き換えて生産した。実施例２では、粉末固型状のメーク
アップ化粧料であるケーキアイカラーを生産し、本発明
に係る油溶性樹脂を、比較例2aではメチルポリシロキサ
ン1000cs、比較例2bではエチルハイドロキシエチルセル
ロース、比較例2cでは芳香族系炭化水素樹脂、にそれぞ
れ置き換えて生産した。実施例３では、油脂固型状のメ
ークアップ化粧料である口紅を生産し、本発明に係る油
溶性樹脂を、比較例3aでは固型パラフィン、比較例3bで
はエチルハイドロキシエチルセルロース、比較例3cでは
芳香族系炭化水素樹脂、にそれぞれ置き換えて生産し
た。

Ｉ）使用感、化粧もちに関する比較評価テスト （方法） 本発明による固型状のメークアップ化粧料の一実施例で
ある実施例1,2,3と、比較対象となる比較例1a,1b,1c,2
a,2b,2c,3a,3b,3cとを、女性パネラー100名に４週間実
際に使用してもらい、その使用感と化粧もちとをアンケ
ート調査した。

（評価結果） その評価結果を表−１及び表−２及び表−３に示す。こ
の結果より、本発明による固型状のメークアップ化粧料
は、使用感並びに化粧もちにおいて、従来品である比較
例よりも優秀であると判断することができる。

II）耐衝撃性に関する比較評価テスト （方法） 本発明による粉末固型状のメークアップ化粧料の一実施
例である実施例1,2と、比較対象となる比較例1a,1b,1c,
2a,2b,2cとを、それぞれ容器に収めたものを各10個用意
し、これらを60cmの高さからコンクリート床に落下させ
る。この落下させたものの、ワレ，ヒビ，カケの生成状
態を確認する。

（評価結果） その評価結果を表−４に示す。この結果から、本発明に
よる固型状のメークアップ化粧料は、耐衝撃性におい
て、従来品である比較例よりも良好であると判断するこ
とができる。

III）耐温性に関する比較評価テスト （方法） 本発明による油脂固型状のメークアップ化粧料の一実施
例である実施例３と、比較対象となる比較例3a,3b,3cと
を、20℃及び40℃の温度条件下でカードメータを用いて
折れ強度を各50個づつ測定し、各温度条件下での平均値
の差を求める。この差の大小により耐温性の評価を行
う。

（評価結果） その評価結果を表−５に示す。この結果から、本発明に
よる固型状のメークアップ化粧料は、耐温性において、
従来品である比較例よりも良好であると判断することが
できる。

以下に本発明の実施例を示す。尚、配合割合は重量％で
ある。

実施例１ ケーキファンデーション （Ａ）タルク 27.0 セリサイト 27.0 カオリン 5.0 ポリエチレン粉末 10.0 酸化チタン 5.0 ベンガラ 1.0 黄酸化鉄 1.0 黒酸化鉄 0.5 雲母チタン 10.0 （Ｂ）スクワラン 10.0 香 料 0.5 水添炭化水素樹脂 3.0 （方法） （Ａ）をヘンシェルミキサーで混合し、取り出し後粉砕
機で粉砕し、これをヘンシェルミキサーに投入し、これ
に（Ｂ）を混合し、再びこれを粉砕し、金型中でプレス
成型した。

実施例２ ケーキアイカラー （Ａ）雲母チタン 55.45 ベンガラ 2.0 黄酸化鉄 2.0 酸化防止剤 0.05 （Ｂ）香 料 0.5 脂環系石油樹脂 10.0 スクワラン 30.0 （方法） 実施例１と同様な方法で行なった。

実施例３ 口紅 （Ａ）炭化水素 40.0 キャンデリラワックス 2.0 カストルオイル 10.0 ミリスチン酸オクチルドデシル 7.9 脂環系石油樹脂 15.0 水添炭化水素樹脂 15.0 （Ｂ）トリ−２−エチルヘキサン酸グリセリン 9.0 赤226 1.0 酸化防止剤 0.03 （Ｃ）香 料 0.07 （方法） （Ａ）を加熱、溶解（80〜100℃）後、予じめ混合、分
散しておいた（Ｂ）と混合し、その後（Ｃ）を加え、混
合し、金型に流し込み冷却する。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】油脂成分１〜90重量％と、化粧料粉体及び
   ／または顔料３〜98重量％と、脂環系石油樹脂、水添炭
   化水素樹脂（ポリブテン樹脂を除く）から選択される油
   溶性樹脂１〜30重量％とを含有することを特徴とする固
   型状のメークアップ化粧料。