JPH0758639B2 - イオンビーム加減速器 - Google Patents

イオンビーム加減速器

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JPH0758639B2
JPH0758639B2 JP2339703A JP33970390A JPH0758639B2 JP H0758639 B2 JPH0758639 B2 JP H0758639B2 JP 2339703 A JP2339703 A JP 2339703A JP 33970390 A JP33970390 A JP 33970390A JP H0758639 B2 JPH0758639 B2 JP H0758639B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はイオンビームの加速及び減速を行うイオンビー
ム加減速器に係り、特に高周波四重極電極を利用して大
電流のイオンビーム輸送を行なうことのできるイオンビ
ーム加減速器に関する。
〔従来の技術〕
従来の高周波四重極電極は第5図に示すように、片側の
端面が波状に形成された2対の銅製の電極1a,1bを、そ
れぞれ間隙を介して波状端面を対向させ、かつ相互に直
角に配設し、対向する電極間に高周波電圧を印加し、中
心を通るイオンビーム3を加速するものである。
このような高周波四重極電極は、月刊「フィジクス」
(1984年)Vo1,5,No11,pp689〜699において論じられて
いるように、イオンビームの進行方向に対して垂直な方
向、すなわちビームの半径方向の集束力が強いために、
従来の加速器に比べてより大電流のビームを加速するこ
とができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら上記の従来の高周波四重極電極では、イオ
ンビームの集束力にも限度があり、数ミリアンペア以上
のビーム電流になると急激にビームの透過率が下がって
くる。この場合透過率を上げるためには、印加電圧を高
くして集束に寄与する電界強度を上昇させるか、あるい
は印加電圧を一定にしたままビーム通過領域の径を小さ
くて集束力を増すことなどが考えられる。しかし、前者
の場合には高電圧発生用電源能力を増強しなければなら
ず、一方後者の場合には透過率は向上するがビームの通
過断面積を小さくしたために、結局は加速電流値が減少
するという問題があった。
一方、従来の高周波四重極電極では、より大電流の加速
ビームを得る手段として、電場による径方向の集束力の
増加のみを考慮しており、そのために、集束力は電極間
の真空放電が起きるところまでしか高めることができな
いという問題もあった。
イオンビームの電流がミリアンペアの桁になってくる
と、粒子自身のもつ電荷により空間電荷効果が生じてビ
ームが拡がるため、これを抑えることが大電流ビーム輸
送上特に問題となる。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、イオン
ビームの集束力を高め、大電流の加速ビームあるいは減
速ビームを得ることのできるイオンビーム加減速器を提
供することを目的とする。
また、特にイオンビームの減速時に装置を小型化し、加
速時に電極間放電を最小限に押えることのできるイオン
ビーム加減速器を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明は、間隙を介して波
状端面を対向して配設された一対の電極を、同軸上に相
互に直角に二対設けて成る四重極を有するイオンビーム
加減速器において、電極内にイオンビーム方向に沿って
収束・発散の向きが交互になるよう四重極磁場を形成す
る手段を設けたことを特徴としている。
そして、間隙を介して波状端面を対向して配設された一
対の電極を、同軸上に相互に直角に二対設けて成る四重
極を有するイオンビーム加減速器において、電極間にイ
オンビーム方向に沿って収束・発散の向きが交互になる
よう四重極磁場を形成する手段を設けたことを特徴とし
ている。
また、電極の端面に形成された波状部は軸方向に順次波
打ちピッチが小さくなっており、波打ちピッチの小さい
側の電極と波打ちピッチの大きい側の電極とを分割して
着脱可能としたことを特徴としている。
〔作用〕
上記の構成によると、四重極電極の対向端面は波状の形
状となっているので、四重極内には軸方向、径方向とも
に電場成分が発生し、このうち径方向の電場成分によっ
てビームを集束する。この四重極電極に磁気発生手段を
設けることにより、磁場による集束レンズ作用を付加す
ることができ、集束力をさらに高めて従来より大電流の
ビーム加速が可能となる。
また、四重極電極を分割して着脱可能とすることによ
り、減速器として利用する場合に波打ちピッチの小さい
側の電極を取り外して使用し、装置を約半分の大きさに
小型化することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第1図に本発明の第1の実施例を示す。第1図におい
て、第5図に示す従来例の部分と対応する部分には同一
符号を付して示し、説明を適宜省略する。2対の電極1
a,1bのそれぞれの波状端面とは反対側の端面には、磁気
発生手段である永久磁石2が所定のピッチで複数個装着
されている。永久磁石2は上下、左右方向においてそれ
ぞれ同極が対向しており、さらに軸方向において交互に
極性が反転している。高周波四重極電極1はビーム衝突
時の放出ガス量の少ない無酸素銅で形成されており、永
久磁石2は残留磁束密度が大きくとれるサマリウム・コ
バルト製の希土類磁石で形成されている。そして永久磁
石2の表面磁束密度は3乃至4KGaussのものを用いる。
次に本実施例の作用を説明する。例えば2・45GHzのマ
イクロ波放電型のイオン源から出射したイオンビーム
を、磁場型の90度偏向器で質量分離する。この後3段型
の磁気四重極レンズを使用して、高周波四重極電極の内
径10mm内にイオンビームを集束する。
四重極レンズは、ニュークリア・インストルメンツ・ア
ンド・メリッズ、79(1970年)第144頁から第164頁(Nu
cl.Instrum.&Methods,79(1970)pp.144〜164)におい
て論じられているように、電界型と磁界型とで同様のレ
ンズ効果を得ることができる。
高周波四重極電極に入射したイオンビームは、四重極電
極1による集束作用の他に、永久磁石2による集束作用
も同時に受けながら進行するため、ビーム自身の電荷に
よるビームの拡がりを抑え、進行途中におけるビーム損
失量を小さくすることができる。このことは高周波四重
極電極を加速、減速のいずれに用いれも同様である。
本実施例によれば、特にミリアンペアの桁の大電流ビー
ムの加減速を行なう場合に、空間電荷効果によるビーム
の拡がりを抑え、最終的に大電流の加速または減速ビー
ムを得ることができる。
第2図に本発明の第2の実施例を示す。高周波四重極電
極1a,1bは第5図に示す従来例と同様の構成のものであ
る。この高周波四重極電極1a,1bの間に磁気四重極を同
極性が対向する2対の永久磁石2a,2bで形成する。この
とき隣接する高周波四重極電極1と永久磁石2とは45度
の角度をなして配設されている。
上記の構成により、高周波四重極電極1と永久磁石2と
が同一方向の集束作用を生じさせることができ、集束力
の増大、あるいは同一集束力を得るための高周波電圧の
低減を図ることができる。
本実施例によれば、高周波電源の出力を下げても同様の
集束力が得られる。
なお、永久磁石2によって磁気四重極を形成する代り
に、ソレノイドコイルにより磁場を形成し、ヨークによ
る磁気回路で強磁場を発生させてもよく、同様の効果が
得られる。
第3図に本発明の第3の実施例を示す。本実施例は高周
波四重極電極1に装着する永久磁石2を、N極、S極が
軸方向に交互になるように2c,2dと配置し、しかも永久
磁石2c,2dの軸方向の長さを、高周波四重極電極1の1
セルの長さに等しくしたものである。ここで1セルと
は、電極端面の波打ちの1/2周期分の長さであり、高周
波の自由空間波長を入、その位置における通過粒子の速
度の光速に対する比をβとすれば、1セル長はβλ/2と
なる。このように永久磁石2を配置することにより、高
周波四重極1による集束力と全く同期させて、イオンビ
ームの集束を行なうことができる。
本実施例によれば、磁気四重極による集束を最も効率よ
く行うことができる。
なお、第2図に示す第2の実施例による永久磁石2の配
置においても、磁極長をそれぞれ1セル毎に対応して変
えることにより、同様の効果が得られる。また、予め所
定の形状に切削加工された高周波四重極電極1に、着磁
した永久磁石2を嵌合してもよく、着磁したい場所のみ
を強磁性材料で製作した高周波四重極電極1を、波打ち
加工した後に所定の箇所を着磁してもよい。さらに超電
導コイルを使用することにより、磁場強度を飛躍的に向
上させることが可能となり、得られるビーム電流も大幅
に増大される。
第4図に本発明の第4の実施例を示す。高周波四重極電
極1へのイオンビーム入射に際し、加速器として利用す
る場合には波打ちピッチの細かい側から入射し、減速器
として利用する場合にはその逆にピッチの粗い側から入
射する。このとき第4図に示すように加速器として設計
した四重極電極1を減速器として利用する場合には、波
打ちピッチの細かいAの部分は不要になる。従って同一
電極1を加速と減速に利用する場合、加速時には第4図
に示すAの部分と波打ちピッチの粗いBの部分とが必要
であり、減速時にはAの部分のみで充分であることがわ
かる。そこで本実施例ではA,Bの部分を分割可能な構造
とし、減速器として利用する場合にはAの部分を取り外
すようにした。
本実施例によれば、減速器として利用する場合には第4
図(b)に示すように、ビームエネルギーはEHからELに
急速に低下するのでAの部分は不要となり、Aの部分を
取り外して装置を約半分の大きさに小型化することがで
きる。
このとき、分割箇所を波打ち形状の谷の部分に設けるこ
とにより、AとBとを結合させて加速器として利用する
ときに、四重極電極間の絶縁耐力の減少を最小限に抑え
ることができる。このことはAとBとの接合部を組み立
てるときにミクロンオーダの誤差が生じ、この微小な組
立て誤差により接合部に電界が集中して放電が起き易く
なることを最小限にすることができるからである。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、イオンビーム加
減速器の四重極電極に磁気発生手段を設けてビーム集束
力を高めるようにしたので、大電流の加速ビームあるい
は減速ビームを得ることができる。この結果、半導体デ
バイス製造装置やイオン打込み装置などの大電流化を図
ることができる。
また、四重極電極を分割して着脱可能としたので、装置
の小型化を図ることができ、加速時に電極間放電を最小
限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例を示す斜視図、第2図は
同じく第2の実施例を示す軸方向に直角な断面図、第3
図は同じく第3の実施例を示す軸方向に平行な断面図、
第4図は高周波四重極電極間の軸方向のビームエネルギ
分布の説明図、第5図は従来の高周波四重極電極間の一
例を示す斜視図である。 1…高周波四重極電極、2…永久磁石、2…永久磁石
(磁気発生手段)、3…イオンビーム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 作道 訓之 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−224197(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】間隙を介して波状端面を対向して配設され
    た一対の電極を、同軸上に相互に直角に二対設けて成る
    四重極を有するイオンビーム加減速器において、 前記電極内にイオンビーム方向に沿って収束・発散の向
    きが交互になるよう四重極磁場を形成する手段を設けた
    ことを特徴とするイオンビーム加減速器。
  2. 【請求項2】間隙を介して波状端面を対向して配設され
    た一対の電極を、同軸上に相互に直角に二対設けて成る
    四重極を有するイオンビーム加減速器において、 前記電極間にイオンビーム方向に沿って収束・発散の向
    きが交互になるよう四重極磁場を形成する手段を設けた
    ことを特徴とするイオンビーム加減速器。
  3. 【請求項3】電極の端面に形成された波状部は軸方向に
    順次波打ちピッチが小さくなり、波打ちピッチの小さい
    側の電極と波打ちピッチの大きい側の電極とを分割して
    着脱可能としたことを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載のイオンビーム加減速器。
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