JP3204920B2 - 永久磁石型偏向磁石装置および電子蓄積リング - Google Patents

永久磁石型偏向磁石装置および電子蓄積リング

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子蓄積リング等
のシンクロトロンを構成する電子ビーム偏向装置に関
し、特に小型の自由電子レーザ装置等に使用する電子蓄
積リングを形成するために有用な小型の偏向磁石装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子ビームの加速や高速電子ビームの貯
蔵をするため、リング状に形成された電子蓄積リングが
使用される。電子蓄積リングはその目的に従って電子貯
蔵リングと呼ばれることもある。電子蓄積リングは、高
真空に保持したリング状の電子ビーム伝搬ラインに沿っ
て偏向用2極磁石と収束発散用4極磁石と高周波キャビ
ティー等を設けたもので、注入された電子群を高周波の
波長間隔で並んだ電子の固まりの組にして高周波周期の
整数倍の時間でリングを1周するように周回させ、電子
群を高周波のピーク位置に入れて加速したり周回速度を
維持するようにした高周波加速器である。
【0003】電子蓄積リングを相対論的速度で周回する
電子ビームは電子ビームの偏向位置でシンクロトロン放
射を放射する。シンクロトロン放射光は、電子が磁場に
よって曲げられたときに軌道の接線方向に放出される電
磁波であって、幅広いスペクトルと鋭い前方指向性を有
し、軌道面上では殆ど水平に偏向していること等の特徴
を持つ。放射光が有するこのような特徴を利用して、物
性物理、化学、生物などの学問分野やリソグラフィーな
どの工業分野への応用が広がっている。また、電子蓄積
リング中の直線部にアンジュレータ等の挿入光源を設け
て、発生する放射光を光共振器中で往復させつつ電子ビ
ームと相互作用させて極めて鋭いスペクトル特性を有す
る自由電子レーザを得るようにすることができる。自由
電子レーザは、一般に高出力・高効率であり、しかも発
振波長がマイクロ波からX線領域に至る広い範囲で選択
できるという特徴を有するため、医療、物性物理、新加
工プロセス等、産業分野や科学技術分野に広く応用でき
る。
【0004】実際に放射光や自由電子レーザを必要とす
る現場においてこれらを利用するためには、装置はでき
るだけ小型かつ低廉で取り扱いやすいものであることが
要請される。従来、放射光発生装置や自由電子レーザ装
置の小型化の要請に応じて、各構成要素の小型化が図ら
れてきた。しかしそれぞれの要素の小型化には限界があ
り、手軽に導入できる十分に小型かつ低廉で簡便な放射
光発生装置や自由電子レーザ装置を得ることが困難であ
った。
【0005】これら装置の小型化・低廉化のためには、
特に装置における主要な構成部である電子蓄積リングの
小型化・低廉化が望まれる。しかし電子が円運動するこ
とにより発生する放射光や自由電子レーザ光の波長は電
子のエネルギーに関連し、電子のエネルギーは偏向磁石
の磁束密度と軌道半径に比例する。したがって、電子蓄
積リングの平均径を小さくしようとすれば、偏向磁石の
磁場を強くする必要がある。また、偏向部分において電
子軌道に沿って発生させる磁場の強度は精密に調整する
必要がある。
【0006】従来、1.5T程度までの磁場を得るため
には常電導電磁石を用いることができ、それ以上の強磁
場を得るためには超電導電磁石が用いられていた。図5
は、従来の4個の90度偏向電磁石を用いた小型電子蓄
積リングにおける偏向電磁石の近辺の配置例を示す平面
図である。1対の4極電磁石からなる収束電磁石で運動
を安定化された高エネルギー電子ビームは2個の偏向電
磁石で180度偏向し、さらに1対の4極電磁石を通っ
て入射と反対方向に射出する。射出された電子ビームは
上記偏向電磁石と面対称に配設された2個の偏向電磁石
で同様に180度偏向して再び図中の偏向電磁石に戻っ
てきて電子蓄積リングを周回する。偏向電磁石の間には
電子ビームの運動を整えるために4極電磁石が設けられ
ている。
【0007】電磁石は励磁電流により発生する磁場を制
御することができるため、必要な強さの磁場を効率よく
正確に発生させることができる。しかし、電磁石は磁極
を巻回するコイルがあるため、電磁石同士を密着して配
設することができない。また、電磁石を励磁するための
電源装置を必要とする。さらに、励磁に伴う電磁石の昇
温により磁極材料の磁化特性が劣化するのを防ぐ必要が
あり、電磁石の発熱を抑える冷却設備を備えなくてはな
らない。さらに、超電導電磁石を用いる場合は、強磁場
を発生できるため軌道半径が小さくなるが、超電導状態
を維持するために大規模な冷却装置を必要とするため、
装置全体としては規模の大きな高価なものとならざるを
得なかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の解決
しようとする課題は、小型で低廉な電子ビーム偏向磁石
装置を提供することであり、このような電子ビーム偏向
磁石装置を組み込んだ電子蓄積リングを提供することに
より、小型で経済的な放射光装置や自由電子レーザ装置
を構成できるようにすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の偏向磁石装置は、電子ビーム軌道を挟んで
異なる磁極が対向する向きにかつ同じ側では同じ磁極が
並ぶように複数の永久磁石片を電子ビーム軌道に沿って
連設した1対の磁石列と、磁石列のそれぞれを固定した
1対のベースプレートと、ベースプレートの端部を磁気
回路的に接続するヨークと、ベースプレートをヨークに
対して対称的に駆動して磁極間に生成される間隙を調整
する磁極駆動機構を備え、電子ビーム軌道を挟んで対向
する永久磁石片とヨークとの間に永久磁石片の磁化方向
と垂直の方向に磁化された第2の永久磁石片を配設して
磁極間間隙とヨーク中を通る磁気回路が形成されるよう
にした永久磁石型偏向磁石装置であることを特徴とす
る。本発明によれば、電磁石の代わりに永久磁石を用い
るため、従来磁極の周囲を巻回していたコイルが不要に
なり、電子ビーム偏向装置同士を密着して配設すること
ができる。このため、電子ビーム軌道に沿って偏向装置
が占める長さが短くなりリングが小さくなる。なお、永
久磁石としてはネオジム鉄ボロン(Nd−Fe−B)系
磁石等、残留磁束密度が高く保磁力が大きい磁石が用い
られる。また、従来の電磁石では磁界を発生させるため
に励磁電流を供給する必要があり、この為の電源装置や
制御装置を付属させる必要があったが、永久磁石を用い
たため、励磁電流が不要になり、電源装置や制御装置が
省略できる。
【0010】なお、従来、電磁石の励磁電流を調整する
ことにより電子軌道上の磁場強度を制御していたが、本
発明の偏向磁石装置では永久磁石の対向磁極間の距離を
変化させて磁気回路のリラクタンスを調整することによ
り電子軌道における磁場の強度を制御することができ
る。永久磁石の位置調整は、連設される磁石片毎に行う
ことにより発生磁場の均質性を確保し、磁石列全体につ
いて行うことにより磁場強度の調整をする。多数の永久
磁石の励磁を設計通り正確に調整することが難しく永久
磁石の起磁力が小さかったことと相まって、従来永久磁
石を用いた偏向磁石装置は実用に供されることがなかっ
た。しかし、本発明の偏向磁石装置では、近年性能の向
上が著しい高性能永久磁石を用い、上記のように磁極間
距離を調整することにより、例えば2T程度の所望の強
さを持った均質な磁場を電子ビーム軌道位置に形成させ
ることができる。さらに、偏向装置の磁石支持部も軽量
化されるため、電子ビーム軌道位置に形成する磁気回路
の間隙を調整する装置も簡易なもので十分となり、偏向
装置全体を経済的に構成することが可能となる。
【0011】また、本発明の偏向磁石装置は、異なる磁
極が電子ビーム軌道を挟んで対向するように配設される
永久磁石片を垂直方向に摺動可能に固定した1対のベー
スプレートと、これらのベースプレートの端部を磁気回
路的に接続するヨークと、前記ベースプレートの永久磁
石片をヨークに対して対称的に駆動して永久磁石片の磁
極間に生成される間隙を調整する磁極駆動機構を備える
ことを特徴とする。この発明によれば、永久磁石片とベ
ースプレートとヨークを巡って磁極間の間隙を通る磁気
回路が形成されるが、ヨークが存在するため磁気回路の
リラクタンスが減少し、同じ強さの永久磁石でも電子ビ
ーム軌道の位置に配置される間隙における磁束密度が増
大する。電子ビーム軌道に沿った磁束密度の分布は個々
の永久磁石の位置により調整することにより許容できる
幅に収めることができる。また、永久磁石片を固定した
ベースプレートを磁極駆動機構で摺動させて磁極間の間
隙を調整することにより、間隙に集中する磁束の密度を
変化させて電子軌道位置における磁場強度を所望の値に
調整することができる。
【0012】本発明の偏向磁石装置は、さらに、電子ビ
ーム軌道を挟んで対向する永久磁石片とヨークの間に第
2の永久磁石片を配設して磁極間間隙とヨークを通る閉
じた磁気回路が形成されるようにする。第2永久磁石片
の起磁力が加わり磁気回路を通る磁束がより多くなるた
め、電子軌道位置における磁場強度が一層強くなる効果
が生ずる。また、磁極駆動機構は、ヨークとベースプレ
ート間に設けたリニアガイドと、ベースプレートの一方
に係合するネジと他方に係合するネジが互いに逆ネジに
なっているボールネジを備えて、このボールネジの回転
によりリニアガイドの摺動方向に磁極間間隙を調整して
電子ビーム軌道位置における磁場強度を調整するように
することが好ましい。このような機構を用いることによ
り、極く小さな力により2つの対向磁極を電子ビーム軌
道を挟んで対称的に精密に動かすことができ、また調整
後の位置保持も容易になる。上記の磁極駆動機構では、
ステッピングモータ等の精密な駆動機を用いた精密な制
御を行うことができる。
【0013】上記課題を解決するため、本発明の電子蓄
積リングは、上記の永久磁石片を用いる偏向磁石装置を
電子ビームの偏向部分に配設したことを特徴とする。上
記の偏向磁石装置は比較的強い磁場を形成し、必要な波
長の光を得るために要する軌道半径がより小さくなり、
またコイルなどの余分なスペースを取らないので、これ
を用いて形成される電子蓄積リングはより小型になる。
また、従来の電磁石を使用した場合と異なり、励磁電流
源を要せず、また励磁に伴う発熱を抑制するための冷却
装置も必要としないので、電子蓄積リング装置全体とし
て著しく経済的に構築することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る偏向磁石装置
および電子蓄積リングを、図面を用い実施例に基づいて
詳細に説明する。図1は本発明の偏向磁石装置の実施例
を示す斜視図、図2は本実施例の磁石配置を示す断面
図、図3は間隙における磁場の分布を示すグラフ、図4
は本発明の電子蓄積リングの平面図である。
【0015】図1の偏向磁石装置は、第1永久磁石1、
ベースプレート2、ヨーク3、ボールネジ4、梁5、リ
ニアガイド6、ボールネジ駆動装置7、第2永久磁石8
からなる。第1永久磁石1は、同じ極性の磁極が隣接し
て連なるようにして電子ビーム軌道に沿って配設されて
いる。また、図2の断面図に矢印で示した磁気の向きか
ら分かるように、第1永久磁石1の磁石列は電子ビーム
軌道9の属する面に対して対称に設けられており、対向
する永久磁石の対面する磁極は極性が反対になってい
る。ネオジム−鉄−ボロン金属間化合物微粒子を用いて
一層大きな残留磁束密度と保持力を持った永久磁石が得
られるようになったが、本実施例でもこのような高性能
永久磁石を直列に積層した永久磁石を使用して、約25
mmの磁極間間隙に約2Tの磁場を形成することができ
た。
【0016】ベースプレート2は電子ビーム軌道面に対
して対称の位置に1対設けられている。第1永久磁石1
は製造過程で生ずる磁化強度の差を吸収して電子ビーム
軌道位置に生じる磁場の強度を均質にするため対向する
第1永久磁石との間隔を個々に調整した上で、ベースプ
レート2に固定される。ヨーク3はケイ素鋼等の軟磁性
材料からなり、上記1対のベースプレート2の端部を磁
気的に接続して磁気回路のリラクタンスを低下させ、ギ
ャップにおける磁束密度を高める効果を有する。ヨーク
3が存在することによりギャップにおける磁場強度は約
10%強化されることが分かった。なお、偏向磁石装置
の外周側に設けられるヨーク3には放射光を取り出すた
めの孔がいくつか開けられている。
【0017】ボールネジ4は、1対が偏向磁石装置のほ
ぼ中央位置でヨーク3の外側に垂直に設けられている。
ボールネジ4には上端部と下端部で反対向きのピッチの
細かい雄ネジが切ってあって、雄ネジが上下1対のベー
スプレート2にそれぞれ固定された1対の梁5の両端部
に設けられた雌ねじにそれぞれ係合している。したがっ
て、1対のボールネジ4を同時に同じ方向に同じ速度で
回転させると、上下のベースプレート2が平行を保持し
ながら相互に対称的に移動して第1永久磁石の磁極面の
距離が微少に精度よく変化するようになっている。な
お、ボールネジ4の雄ネジの向きによっては、1対のボ
ールネジ4を逆方向に回転駆動することにより、ベース
プレート2の間隔制御をするように構成することもでき
る。
【0018】1対のボールネジ駆動装置7がそれぞれヨ
ーク3の外側中央に固定されていて、それぞれボールネ
ジ4のほぼ中央部で係合して、上記1対のボールネジ4
を同時に同じ量だけ回転させる。本実施例のボールネジ
駆動装置7では、制御部から同じパルス信号を発生させ
てステッピングモータを制御することにより、二つのボ
ールネジ4を精密に回転させるようにしている。また、
ベースプレート2が円滑にかつ電子ビーム軌道面に対し
て正確な垂直方向に動くようにするため、ヨーク3とベ
ースプレート2の摺動面にリニアガイド6がボールネジ
4と平行に適当数敷設されている。第2永久磁石は、第
1永久磁石1と同じような高性能磁気材料で形成された
永久磁石であり、第1永久磁石1の磁極間間隙における
磁場強度を補強するために第1永久磁石1とヨーク3の
間に、磁極の向きが磁気回路の磁束の向きに合うように
布設されている。大型の永久磁石が必要なときには小型
に成型したものを直列に積層して用いてもよい。
【0019】本実施例に係る偏向磁石装置により、第1
永久磁石1の磁極面の幅を80mmとし、磁極間距離を
約25mmとするときに、ギャップ中央の電子ビーム軌
道面内において電子ビームに垂直な方向に50mmにわ
たって2.06T程度の平坦な磁場強度を生成させるこ
とができた。なお、ヨーク3を撤去して電子ビーム軌道
の両脇を解放する場合にも、約1.93Tの磁場強度を
達成することができる。図3は偏向磁石装置のギャップ
における磁場分布を示すグラフで、横軸に第1永久磁石
の中心軸からの距離、縦軸にギャップにおける磁場強度
をそれぞれ任意スケールで表したものである。実線で表
したものがヨークを備えた状態、点線がヨークの無い場
合を表している。このように本実施例では約2Tの磁場
強度を得ることができるから、電子軌道に沿って磁束密
度を測定しながら個々の磁石毎に磁石面位置を調整して
磁場強度分布を均質化し、さらに磁極間距離を調整して
所望の磁場強度を得るようにすることができる。
【0020】図4は上記実施例の偏向磁石装置を使用し
て構成した小型の電子蓄積リングを表す平面図である。
電子蓄積リングは、図中左の端部に電子ビームを90度
偏向する偏向磁石装置22、24を密接して組み合わせ
て電子を180度偏向させるようにした偏向磁石装置
を、また右の端部に同じ偏向磁石装置26、28を密接
して設け、それら偏向磁石装置間の直線部にセプタムマ
グネット42とRFキャビティ44とキッカーマグネッ
ト46を備えている。なお、電子蓄積リング両端の偏向
磁石装置の上流と下流にはそれぞれQマグネット30の
セットを付設して電子ビームの質を確保するようにして
いる。
【0021】この電子蓄積リングには高エネルギーの電
子を発生する電子入射器10が付設されている。電子入
射器10から射出される電子ビームは小型の偏向磁石装
置12により90度偏向して、セプタムマグネット42
を介して電子蓄積リングに注入される。注入された電子
ビームはキッカーマグネット46の働きにより電子蓄積
リングを周回する電子ビームと合体する。電子ビームは
偏向磁石装置22、24、26、28で電子軌道の接線
方向に放射光を放出するので、この放射光を利用するこ
とができる。電子蓄積リング中を周回している間に電子
が失うエネルギーはRFキャビティ44で補充する。な
お、電子蓄積リングの直線部に挿入光源を備えて、放出
される光を利用することもできる。上記のように構成す
ることによって、短軸方向の外径約2m、長軸方向の外
径約4.8mの極めて小型の電子蓄積リングとすること
ができる。
【0022】なお、本実施例の説明において、偏向磁石
装置の偏向角度を90度としたが、この値は任意に選択
できることは言うまでもない。また、第1永久磁石の磁
極間隔を調整するため、永久磁石を固定したベースプレ
ート全体の位置調整を行う方法について記載したが、ベ
ースプレートと独立して永久磁石部分のみを駆動して間
隙調整するようにしてもよい。また、本発明の偏向磁石
装置はコイルのはみ出しや冷却装置を不要とし互いに密
接して一体に設置することができるが、間に4極電磁石
や6極電磁石を挿入して、ビームの質を向上させるよう
にしてもよい。さらに、本実施例の説明では偏向磁石装
置を電子蓄積リングに使用した態様について取り上げた
が、本発明の偏向磁石装置は陽電子蓄積リングはもとよ
り要し等の荷電粒子を扱うシンクロトロン全般に適用で
きることはいうまでもない。
【0023】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明の偏向
磁石装置は電磁石型と比較して小型にすることができ、
コイルや冷却装置などを必要としないため磁場ギャップ
の制御のために用いる小さな電源以外に電源を必要とせ
ず、偏向磁石と偏向磁石の間の空間を有効に利用するこ
とができるため、小型の電子蓄積リングを経済的に構成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の本発明の偏向磁石装置の実施例を示す
斜視図である。
【図2】本実施例の磁石配置を示す断面図である。
【図3】本実施例の磁極間間隙における磁場の分布を示
すグラフ図である。
【図4】本発明の電子蓄積リングの配置図である。
【図5】従来の小型電子蓄積リングの偏向電磁石部分の
配置図である。
【符号の説明】
1 永久磁石 2 ベースプレート 3 ヨーク 4 ボールネジ 5 梁 6 リニアガイド 7 ボールネジ駆動装置 8 永久磁石 9 電子ビーム軌道 10 電子入射器 12、22、24、26、28 偏向磁石装置 30 Qマグネット 42 セプタムマグネット 44 RFキャビティ 46 チェッカーマグネット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−59199(JP,A) 特開 平3−119700(JP,A) 特開 平5−258896(JP,A) 特開 昭64−59100(JP,A) 実開 平4−85600(JP,U) 実開 昭62−80305(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05H 7/04 H05H 13/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子ビーム軌道を挟んで異なる磁極が対
    向する向きにかつ同じ側では同じ磁極が並ぶように複数
    の永久磁石片を電子ビーム軌道に沿って連設した1対の
    磁石列と、該磁石列のそれぞれを固定した1対のベース
    プレートと、該ベースプレートの端部を磁気回路的に接
    続するヨークと、前記ベースプレートを前記ヨークに対
    して対称的に駆動して前記磁極間に生成される間隙を調
    整する磁極駆動機構を備え、前記電子ビーム軌道を挟ん
    で対向する永久磁石片とヨークとの間に前記永久磁石片
    の磁化方向と垂直の方向に磁化された第2の永久磁石片
    を配設して前記磁極間間隙とヨーク中を通る磁気回路が
    形成されるようにしたことを特徴とする永久磁石型偏向
    磁石装置。
  2. 【請求項2】 前記磁極駆動機構が、前記ヨークと前記
    ベースプレート間に設けたリニアガイドと、前記ベース
    プレートの一方に係合するネジと他方に係合するネジが
    互いに逆ネジになっているボールネジを備えて、該ボー
    ルネジの回転により前記リニアガイドの摺動方向に磁極
    間間隙を調整して電子ビーム軌道位置における磁場強度
    を調整することを特徴とする請求項1記載の永久磁石型
    偏向磁石装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の永久磁石型偏向
    磁石装置を電子ビームの偏向部分に配設したことを特徴
    とする電子蓄積リング。
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