JPH075758B2 - 高密度ポリエチレンフイルムおよびその製造方法 - Google Patents

高密度ポリエチレンフイルムおよびその製造方法

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JPH075758B2
JPH075758B2 JP3167387A JP3167387A JPH075758B2 JP H075758 B2 JPH075758 B2 JP H075758B2 JP 3167387 A JP3167387 A JP 3167387A JP 3167387 A JP3167387 A JP 3167387A JP H075758 B2 JPH075758 B2 JP H075758B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、強度が高く、優れた透明性を有し、しかもヒ
ートシール性の良い高密度ポリエチレンフィルムと、そ
の製造方法に関するものである。
「従来技術とその問題点」 従来より透明性を有する高密度ポリエチレンフィルムと
しては、比較的低分子量でかつ分子量分布の狭い高密度
ポリエチレンからなるものがあった。このフィルムは、
ポリエチレンをインフレーション成形したのち急冷する
ことによって製造されていた。しかしながら、このフィ
ルムは強度が劣る問題があった。
この問題に対処するために本発明者らは、先に特願昭60
-262672号にて、密度0.935g/cm3以上の高密度ポリエチ
レンからなり、ブロー比3以上でインフレーション成形
した原反フィルムを所定の温度条件下の3本以上の加熱
ロール間を通過させて延伸比5倍以下に熱処理し、次い
で冷却してなるヘイズ値10%未満の高密度ポリエチレン
フィルムを提案した。
ところが、このフィルムは優れたガスバリヤー性、高い
強度および優れた透明性を有するものの、ヒートシール
性が悪く、ヒートシールするのには高温で長時間を要す
る不満があった。また、このフィルムは強度的に優れて
いるものの、衝撃強度を充分向上できない不満があっ
た。
「問題点を解決するための手段」 そこで、第1発明の高密度ポリエチレンフィルムにおい
ては、0.935g/cm3以上の密度を有する高密度ポリエチレ
ン90wt%〜50wt%と、0.88g/cm3〜0.910g/cm3の密度を
有する直鎖状低密度ポリエチレンとによってフィルムを
形成することによって、上記問題点の解決を図った。
また、第2発明の高密度ポリエチレンフィルムの製造方
法にあっては、0.935g/cm3以上の密度を有する高密度ポ
リエチレン90wt%〜50wt%と、0.88g/cm3〜0.910g/cm3
の密度を有する直鎖状低密度ポリエチレンとからなる組
成物をフィルム状に成形した後、表面光沢の優れた3本
以上の加熱ロールによって熱処理し、その後直ちに冷却
してヘイズ値20%未満のフィルムを得ることによって上
記問題点の解決を図った。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のフィルムをなす高密度ポリエチレン(以下高密
度PEと略称する)としては、エチレンを単位として含み
密度が0.935g/cm3以上のものであれば各種のものを移用
することができる。具体的には、エチレンからなるホモ
ポリマー、エチレンと他のモノマー(例えばプロピレ
ン、ブテン‐1、ヘキセン‐1など)からなる共重合
体、あるいは2種以上の単量体からなるプレポリマーと
エチレンとからなる共重合体などを例示することができ
る。
この高密度PEは、密度が0.935g/cm3以上のものでなけれ
ばならない。密度が0.935g/cm3未満になると得られるフ
ィルムが高密度ポリエチレンフィルムとしての優れた性
質、例えば腰の強さ(ヤング率)やガスバリヤー性(防
湿性)などが損なわれる。
この高密度PEは、本発明のフィルム中に50wt%以上90wt
%以下配合される。高密度PEの配合割合が90wt%を越え
ると、ヒートシール性が悪化したり、衝撃強度が低下す
る問題がある。また、高密度PEの配合割合が50wt%未満
になるとフィルムの引っ張り強度等が低下する不都合が
ある。
この高密度PEは、そのメルトインデックスが1.0g/10min
以下、好ましくは0.5g/10min以下、更に好ましくは0.1g
/10min以下であることが望ましい。メルトインデックス
が大きくなると、フィルムの強度が低下する傾向があ
る。
また、本発明のフィルムをなす直鎖状低密度ポリエチレ
ン(以下直鎖状低密度PEと略称する)としては、エチレ
ンとα‐オレフィンとからなるものが用いられる。α‐
オレフィンとしては炭素数が3〜10個のもの、例えばプ
ロピレン、ブテン‐1、ヘキセン‐1、オクテン、4-メ
チル‐ペンテンなどが好適に用いられる。また、この直
鎖状低密度PEには、密度が0.88g/cm3以上0.910g/cm3
下のものが用いられる。直鎖状低密度PEの密度が0.88g/
cm3未満のものを製造することは非常に困難である。ま
た直鎖状低密度PEの密度が0.910g/cm3を越えるとヒート
シール性の改良ができないという不都合がある。
本発明のフィルムは上記高密度PEと直鎖状低密度PEとか
ら形成されるが、必要に応じて酸化防止剤や顔料などが
添加されても良いことは勿論である。
上記第1発明のフィルムは第2発明の製造方法によって
好適に製造される。
第2発明の製造方法によれば、まず上述した高密度PE90
wt%〜50wt%と直鎖状低密度PEとからなる組成物を原反
フィルムに成形して、原反フィルムとする。組成物をフ
ィルム状に成形する方法としては、インフレーション法
やTダイ法等が用いられる。インフレーション法によっ
て上記組成物をフィルム成形する場合、ブロー比を3以
上とすることが望ましい。ブロー比が3未満であると、
構成分子の横方向への配向が不充分となり、熱処理を伴
う後工程で分子の縦方向への配向が大となりすぎるた
め、得られるフィルムの強度を充分向上できない不都合
が生じる。
このようにして製造された原反フィルムは、ついで熱処
理される。熱処理は、3本以上の加熱ロール間に原反フ
ィルムを通過させることによって行なわれる。これら加
熱ロールには表面光沢の優れたものが用いられる。その
ようなロールとしては、鏡面仕上げされた平滑な表面を
有するロールや、表面に硬質クロムメッキ処理が施され
たロール、あるいはさらにクロムメッキ層に研摩処理が
施されたロールなどを挙げることができる。
以下、加熱ロールが3本の場合について本発明を説明す
る。
3本の加熱ロールを第1図に示すように原反フィルムの
通過する順位に従い、第1ロール(R1)、第2ロール
(R2)、第3ロール(R3)とすると、原反フィルムは、
まず第1ロール(R1)と第2ロール(R2)との間を通過
せしめられ、次いで第2ロール(R2)と第3ロール(R
3)との間を通過せしめられる。これらロール(R1,R2,R
3)間の間隙は、原反フィルムの厚さよりも狭く設定さ
れている。
これら3本の加熱ロールの温度は、いずれも上記組成物
の融点よりも低く設定されている。また、第2ロール
(R2)は他のロール(R1,R3)よりも高温に設定されて
いる。
具体的には、第1ロール(R1)は110℃以下に設定され
る。第1ロール(R1)の温度が110℃を越えると、原反
フィルムのネックインが大きくなるので好ましくない。
また、第2ロール(R2)の温度は100℃以上に設定され
ることが望ましい。第2ロール(R2)の温度が100℃未
満になると、フィルムの透明性を充分向上できず、フィ
ルムの透明性を充分向上し得ない。第3ロール(R3)の
温度は、120℃以下80℃以上に設定されることが望まし
い。第3ロール(R3)の温度が120℃を越えるとフィル
ムの透明性を充分向上できず、フィルムの透明性向上が
若干難しくなる。また第3ロール(R3)の温度が80℃未
満になると、フィルムが第2ロール(R2)から容易に剥
離し得ない状態となり、フィルムの表面を荒れてしまう
ためフィルムの透明性が損なわれる。
このように熱処理する際、フィルムの延伸比は5倍以下
に設定される。延伸比が5倍を越えると縦方向への配向
が進み過ぎてフィルムの強度を充分向上できない不都合
が生じる。
以上のように加熱ロールによって処理された原反フィル
ムは、直ちに冷却処理される。冷却処理は、例えば2本
のチルロール間を通過させることによって行なわれる。
これらチルロールの温度は特には限定されないが、70℃
以下30℃以上に設定されることが望ましい。70℃を越え
ると、チルロールの役目をはたし難い。また30℃未満で
は、フィルムの充分なフラット性を確保し難い。
本発明の製造方法に使用される原反フィルムの厚さは、
特に限定されるものではなく、所望の製品厚さなどによ
って決定されるものではあるが、50μm〜400μm、よ
り好ましくは50μm〜150μm程度とされることが望ま
しい。
また、製品である高密度ポリエチレンフィルムの厚さ
は、その使い易さの点から20μm〜200μm、より好ま
しくは40μm〜100μm程度であることが望ましい。
以上のような第2発明の製造方法によって、ヘイズ値20
%未満の優れた透明性を有する高密度ポリエチレンフィ
ルムを得ることができる。ヘイズ値はASTM D1003に準
拠して測定される。また、本発明においてヘイズ値は、
外部ヘイズ値と内部ヘイズ値とを合計した数値を示す。
「作用」 0.935g/cm3以上の密度を有する高密度ポリエチレンが90
wt%〜50wt%配合された第1発明の高密度ポリエチレン
フィルムは、高密度PEの優れた性質である高強度と高透
明性を有するものとなる。そのうえ第1発明の高密度ポ
リエチレンフィルムにあっては、0.88g/cm3〜0.910g/cm
3の密度を有する直鎖状低密度PEが配合されているの
で、溶融温度が低くなり、また柔軟性を有するものとな
る。
また、第2発明の製造方法にあっては、所定の配合の組
成物をフィルム状に成形した後、表面光沢の優れた3本
以上の加熱ロールによって熱処理するので、フィルム表
面に凹凸状に突出していたラメラ(l=100〜110Å)の
集積体を、分子鎖の動き易い状態で平滑化して、フィル
ムの外部ヘイズ値を小さくすることができる。そのうえ
さらに、フィルムの内部ボイドや微結晶の不均一層を除
去できるので、フィルムの内部ヘイズ値をも小さくする
ことができる。
「実施例」 第1発明のフィルムを第2発明の方法で製造して、その
物性を調べた。
高密度PEには密度が0.950g/cm3、メルトインデックスが
0.04g/10minのものを用い、直鎖状低密度PEには密度が
0.88g/cm3、メルトインデックスが4g/10minのものを用
いた。
高密度PEと直鎖状低密度PEとの配合比は、比較例1で
(100/0)、比較例2で(95/5)、実施例1で(70/3
0)、実施例2で(60/40)、比較例3で(40/60)に設
定した。
上記配合比からなる組成物をそれぞれインフレーション
成形法によって厚さ100μmに製膜し、原反フィルムと
した。その際、成形温度は200℃、ブロー比は3であっ
た。
このようにして製造された各原反フィルムを、3本の加
熱ロールで熱処理した後、2本のチルロールで冷却して
70μmのフィルムを得た。各加熱ロールの温度は、第1
ロール(R1)100℃、第2ロール(R2)115℃、第3ロー
ル(R3)100℃に設定された。また、チルロールの温度
は30℃に設定された。
得られたフィルムの物性を第1表に示す。
各物性は次の方法によって測定した。
ヘイズ値……ASTM D1003に準拠 降伏強度……JIS Z 1702に準拠 ヤング率……ASTM D882に準拠 ヒートシール性…まず、フィルムを巾15mmのたんざく状
に切り取り、これをシール圧力2kg/cm2、シール時間1
秒の条件下で温度を変えてヒートシールし、この試験片
を300mm/分の速度で剥離して剥離強度を調べる。その結
果、この剥離強度が1kgを示した試験片のシール温度を
もってヒートシール性を表した。
衝撃強度……ASTM D781に準拠 第1表の結果から、第1発明のフィルムは優れた衝撃強
度を有し、またヒートシール性、ヘイズ値、降伏強度、
ヤング率等についてもバランスの良い物性を有するもの
であることが確認できた。
「発明の効果」 以上説明した構成を有する第1発明の高密度ポリエチレ
ンフィルムは、柔軟性を有しかつ適当な溶融温度を有す
るものとなるので、高密度ポリエチレンの有する優れた
性質である高強度と高透明性等に加え、良好な衝撃強度
とヒートシール性をも兼備したものとなる。従って、第
1発明のフィルムは、低温で容易にヒートシールするこ
とができ、かつ衝撃を受けても破れ難いものとなる。
また、以上説明したような第2発明の製造方法によれ
ば、高強度、易ヒートシール性、高衝撃強度等に加え、
良好な透明性を有するフィルムを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、第2発明の製造方法に好適に用いられる加熱
ロール装置を示す概略図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.935g/cm3以上の密度を有する高密度ポリ
    エチレンがと、0.88g/cm3〜0.910g/cm3の密度を有する
    直鎖状低密度ポリエチレンとからなる組成物であり、組
    成物中の高密度ポリエチレンの組成割合は50〜90重量%
    であり、ヘイズ値が20%未満である高密度ポリエチレン
    フィルム。
  2. 【請求項2】0.935g/cm3以上の密度を有する高密度ポリ
    エチレン90wt%〜50wt%と、0.88g/cm3〜0.910g/cm3
    密度を有する直鎖状低密度ポリエチレンとからなる組成
    物をフィルム状に成形した後、表面光沢の優れた3本以
    上の加熱ロールによって熱処理し、その後直ちに冷却さ
    せてヘイズ値20%未満のフィルムを得ることを特徴とす
    る高密度ポリエチレンフィルムの製造方法。
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