JPH075621B2 - ビス(1,2‐ジアリール‐1,2‐エチレンジチオラト)ニッケル系錯体の製造方法 - Google Patents

ビス(1,2‐ジアリール‐1,2‐エチレンジチオラト)ニッケル系錯体の製造方法

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JPH075621B2
JPH075621B2 JP33660889A JP33660889A JPH075621B2 JP H075621 B2 JPH075621 B2 JP H075621B2 JP 33660889 A JP33660889 A JP 33660889A JP 33660889 A JP33660889 A JP 33660889A JP H075621 B2 JPH075621 B2 JP H075621B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電子機器用近赤外線カットフィルター、写真用
近赤外線フィルター、保護メガネ、サングラス、ゴーグ
ル、熱線遮断フィルム、農業用フィルム、光ディスク、
光学文字読み取り用記録、太陽熱貯蔵、写真用感光材な
どに有用な、近赤外線を吸収するビス(1,2−ジアリー
ル−1,2−エチレンジチオラト)ニッケル系錯体の製造
方法に関するものである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
一般式(I) 〔式中、R1、R2は互いに同一、もしくは相異なるフェニ
ル基またはナフチル基を示し、アルキル基、シクロアル
キル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒ
ドロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ト
リフルオロメチル基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、ニトロ基、シアノ基、またはハロゲン原子によって
1〜3個、同一又は相異なって置換されていてもよ
い。〕で表されるビス(1,2−ジアリール−1,2−エチレ
ンジチオラト)ニッケル系錯体は前記のように近赤外線
の領域に吸収を有する化合物であり、近赤外光調整フィ
ルター、光ディスク記録等の用途を有する化合物の一群
である。また、一重項酸素を脱活性化する性質を有し、
一重項酸素クエンチャーとして、例えばポリオレフィン
類の光安定剤や酸化防止剤、有機色素などの光劣化防止
剤としての用途も有する。
該化合物の一般的な製法は、例えばG.N.Schrauzerらの
ジヤナール オブ アメリカン ケミカル ソシャリテ
ィ〔J.Am.Chem.Soc.,87巻、1483頁(1965年)に示され
ており、次に示す様な反応経路により該化合物を得る事
が出来る。
即ち、ジオキサン中で次式(III) 〔式中、Rは水素、メチル基、メトキシ基、塩素原子を
示す。〕で表されるベンゾイン化合物と五硫化リンを加
熱して反応させ、リン化合物の中間体を生成させ室温ま
で冷却し、不溶物を濾過後、塩化ニッケル(II)水溶液
を加えて、加熱して反応させることにより一般式(IV) 〔式中Rは水素、メチル基、メトキシ基、塩素原子を示
す。〕で表されるビス(1,2−ジアリール−1,2−エチレ
ンジチオラト)ニッケル系錯体を得る方法が記載されて
いる。
従来、前記一般式(I)の化合物を得る反応は、ベンゾ
イン化合物を用い、ジオキサン中で反応させるが、副反
応が多く目的物の収率は35%前後と低い収率であった。
そのため工業的コストの面で問題となっていた。
本発明の課題は該目的物をベンジル化合物を原料とし、
高収率で得る方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、一般式(I)の化合物を収率よく得る方
法について鋭意検討を行った結果、前記の反応におい
て、ベンジル化合物を原料とし、1,3−ジメチル−2−
イミダゾリジノン(以後DMIと略す)を溶媒として行っ
たところ、副生体の生成が減少し、目的とするビス(1,
2−ジアリール−1,2−エチレンジチオラト)ニッケル系
錯体を高収率で得ることを見出し、本発明を完成した。
また、このDMI溶媒法においては中間体のリン化合物が
生成する場合に副生成する不溶物がなく、濾過する必要
なく、1段の反応で連続的に操作を行うことができ、工
業的に非常に価値のあることが判明した。
さらに、このベンジル化合物はベンゾイン縮合では得に
くい長鎖アルキル、長鎖アルコキシ、二置換アミノ基で
置換された化合物をFridel-Crafts反応を用いて容易に
合成することができ、非常に価値のあるものである。
即ち、本発明は次式(II) 〔式中、R1、R2は互いに同一、もしくは相異なるフェニ
ル基またはナフチル基を示し、アルキル基、シクロアル
キル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒ
ドロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ト
リフルオロメチル基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、ニトロ基、シアノ基、またはハロゲン原子によって
1〜3個、同一又は相異なって置換されていてもよ
い。〕で表されるベンジル化合物と五硫化リンとをDMI
溶媒中で反応させ、さらに塩化ニッケル(II)と反応さ
せることを特徴とする一般式(I) 〔式中、R1、R2は互いに同一、もしくは相異なるフェニ
ル基またはナフチル基を示し、アルキル基、シクロアル
キル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒ
ドロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ト
リフルオロメチル基、アルキルチオ基、アリールチオ
基、ニトロ基、シアノ基、またはハロゲン原子によって
1〜3個、同一又は相異なって置換されていてもよ
い。〕で表されるビス(1,2−ジアリール−1,2−エチレ
ンジチオラト)ニッケル系錯体の製造方法である。
ここで、式(II)で示されるベンジル化合物は、蓚酸ク
ロリドを用いたFridel-Crafts反応によって容易に合成
することができる。
例えば、その製造方法はOrganic Synthcsis 3巻,111頁
(1955年)の方法により容易に合成できる。
本発明の製造法が適用できる一般式(I)中のフェニル
基またはナフチル基上の置換基の具体例を次に示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等、シクロアル
キル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル
等、アリール基としては、フェニル基、置換されたアリ
ール基としては、p−ニトロフェニル基等、アルコキシ
基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ア
ルキレンジオキシ基等、フェノキシ基、ヒドロキシ基、
アルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基、ジブチルアミノ基等、アリールアミノ基と
しては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等、ト
リフルオロメチル基、アルキルチオ基としては、メチル
チオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基等、アリールチオ
基としては、フェニルチオ基、トリルチオ基等、ニトロ
基、シアノ基、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子等、また、下に示すよう
に互いに結合して環を形成した複素環でもよい。
また、ナフチル基の場合は、テトラヒドロナフチル基等
も置換された基として挙げられる。
好ましくは環上にFridel-Crafts反応を活性化させる電
子供与基で置換されていた方がよい。
前記一般式(I)で表される二つの異性体は混在した化
合物として得られる。
これらの本発明化合物は出発原料である対応するベンジ
ル類1重量部を1〜100重量部、好ましくは4〜20重量
倍のDMI中に1〜5モル比、好ましくは1.2〜2モル比の
五硫化リンとともに溶解又は懸濁させ、50℃〜160℃、
好ましくは70〜120℃に加熱させることにより中間体の
リン化合物を得ることができる。
続いて、反応液を室温〜70℃に冷却し、水に溶解させた
0.4〜2モル比、好ましくは0.4〜0.6モル比の塩化ニッ
ケル(II)6水和物を加え10〜160℃、好ましくは40〜1
20℃に加熱して反応させ、続いて析出してきた沈澱物を
濾別し、アルコール洗浄、水洗、乾燥するかまたは反応
液を水、アルコール又はアセトン中に排出し、濾過、ア
ルコール洗浄、水洗、乾燥することにより式(I)の二
種の異性体の混在した化合物を高収率で得ることができ
る。
〔作用及び効果〕
本発明に用いたDMIは毒性が低く、熱的、化学的に安定
で、沸点は225℃、引火点は107℃と高く、凝固点は82℃
と低く取り扱い易い性質を持っており、無機及び有機化
合物に対して強い溶解力を持ち、また、その高い誘導率
と溶媒和効果により反応物を反応し易い形にする能力を
持っている。
特に本発明ニッケル錯体合成のようにイオン的反応の場
合には有利であると推定し、研究を開始し完成するに到
った。
〔実施例〕
以下に実施例を示すが、例中の「部」は「重量部」を示
し、%は重量%を示す。
実施例1 ベンジル5部、五硫化リン7.5部、DMI35部を混合し、10
0〜105℃で2時間反応させた。反応液を60℃に冷却し、
塩化ニッケル(II)6水和物2.8部を水10部に溶かした
ものを加え、90℃に加熱して2時間反応させた。反応液
を室温に冷却しエタノール150部中に排出し、濾過、エ
タノール洗浄、温水で洗浄、乾燥し、次式で示される化
合物4.6部(収率72%)を得た。また純度はイアトロス
キャンTH-10(ヤトロン社製、溶離液トルエン)にて分
析した結果99.7%であった。
外観:緑味黒色結晶性粉末 極大吸収波長λmax=855nm(クロロホルム中) 融点=292〜293℃ (文献値292℃) 実施例2 実施例1のベンジルの代わりにアニシル6.4部を用い
て、実施例1と同様な操作を行った。乾燥後、次式で示
される化合物5.8部(収率70%)を得た。また純度はイ
アトロスキャンTH-10(ヤトロン社製、溶離液トルエ
ン)にて分析した結果99.6%であった。
外観:緑味黒色結晶性粉末 極大吸収波長λmax=920nm(クロロホルム中) 融点=328〜329℃(分解)(文献値329℃) 実施例3〜34 実施例1において使用したベンジル化合物のみを替え
て、表−1に示す各種の一般式(I) で表されるビス(1,2−ジアリール1,2−エチレンジチオ
ラト)ニッケル系錯体を得た。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(II) 〔式中、R1、R2は互いに同一、もしくは相異なるフェニ
    ル基またはナフチル基を示し、アルキル基、シクロアル
    キル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒ
    ドロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ト
    リフルオロメチル基、アルキルチオ基、アリールチオ
    基、ニトロ基、シアノ基、またはハロゲン原子によって
    1〜3個、同一又は相異なって置換されていてもよく、
    又環を形成しても良い。〕で表されるベンジル化合物
    を、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン中で、五硫
    化リンと反応させ、続いて塩化ニッケルと反応させるこ
    とを特徴とする一般式(I) 〔式中、R1、R2は互いに同一、もしくは相異なるフェニ
    ル基またはナフチル基を示し、アルキル基、シクロアル
    キル基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒ
    ドロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ト
    リフルオロメチル基、アルキルチオ基、アリールチオ
    基、ニトロ基、シアノ基、またはハロゲン原子によって
    1〜3個、同一又は相異なって置換されていてもよ
    い。〕で表されるビス(1,2−ジアリール−1,2−エチレ
    ンジチオラト)ニッケル系錯体の製造方法。
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