JPH0753986B2 - 育苗用植生マット - Google Patents

育苗用植生マット

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JPH0753986B2
JPH0753986B2 JP17165492A JP17165492A JPH0753986B2 JP H0753986 B2 JPH0753986 B2 JP H0753986B2 JP 17165492 A JP17165492 A JP 17165492A JP 17165492 A JP17165492 A JP 17165492A JP H0753986 B2 JPH0753986 B2 JP H0753986B2
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water
seedling
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soluble
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三千兵 坂手
要 堀
廣之 神部
究 飯塚
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Nisshoku Corp
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Nisshoku Corp
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  • Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)
  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、法面や河川敷面等を保
護し且つ緑化するために用いられる育苗用植生マットに
関する。
【0002】
【従来の技術】例えば法面を保護し且つ緑化させる手段
の一つに、法面に沿わせて格子状の法枠を設置すると共
に、植物種子を担持させた植生マットや張芝体付きの土
嚢袋に客土を入れた土嚢を前記格子状法枠の区画部分に
配置する手段があるが、土嚢の形状が土嚢袋によって規
制されることから、当該土嚢が法面の凹凸面に馴染み難
くて密着性が悪い上に、1個の土嚢に収容されている土
が20Kgにも達することから、これを高所に客土する作業
が非常に困難であり、工期も長期にわたる点で問題があ
った。
【0003】あるいは、法面に金網ラスを張設すると共
に、植物種子を含ませた植生材料を前記金網ラスに吹き
付けて、法面の保護と緑化を同時に図る手段もあるが、
植生材料吹き付けのための大掛かりなプラントを要し、
かつ、植生材料が雨水によって流出し易い点で問題があ
った。
【0004】このようなことから、本発明者等は、以前
に、実公昭57−52204号公報、実公昭58−57
09号公報及び特開昭61−179923号公報などに
おいて、大型設備を必要としたり複雑な施工などを行う
ことなく、簡単な施工手段で、かつ、経済的に前記法面
などの緑化を行うことができる緑化用植生基体を提案し
た。
【0005】これらの緑化用植生基体は、収容部を網状
体に形成し、この収容部内に有機質材料や保水材及び肥
料などの植生基材を収容すると共に、前記網状体に植物
種子や肥料などを直接付着保持させ、或は、これら植物
種子や肥料などを保有する張芝帯を貼着させ、又は、前
記網状体に植物種子の発芽成育可能なマットを貼着し、
該マット上に植物種子を付着保持させたものである。そ
して、斯かる緑化用植生基体を前記法面などに敷設する
ことにより、前記植物種子を発芽させて前記法面などを
緑化させるようにしたものである。
【0006】その網状体は、何れもナイロンやポリエチ
レン及びポリプロピレンなどのプラスチック繊維よりな
り、その理由は、これらのプラスチック繊維が丈夫で安
価なことと、前記法面などの緑化を行うためには、該法
面に植物が根付き、この植物がある程度成長するまでは
前記網状体で前記法面を保護し、該網状体が植物の植生
基盤となる必要があるためである。
【0007】ところが、以上のような網状体に用いられ
るナイロンやポリエチレン及びポリプロピレンなどのプ
ラスチック繊維は、通常の条件下では半永久的に変質し
ない特性があり、このため他の動植物性繊維と異なり、
長年のうちに風雨に曝されて風化又は腐食して土壌に同
質化されることがなく、前記網状体が半永久的に残るこ
とになる。従って、最近では、以上のような特性がむし
ろ災いとなり、プラスチック公害として地球環境的な問
題となってきている。すなわち、以上のような状況下に
おいて、前記法面などの緑化を行うために、プラスチッ
ク繊維からなる網状体を使用することは、一方では環境
緑化に寄与するものの、他方では公害問題を招くといっ
た相矛盾することになるのである。
【0008】そこで、このような問題を解決するため
に、従来では、例えばジュートなどの植物繊維からなる
網状体を使用することが試みられた。また、ビスコース
レーヨンは、再生セルロースからなり、長時間を経過し
なくても完全に腐食するいわゆる腐食性繊維であり、し
かも、織機に比較的容易にかけることができることか
ら、このビスコースレーヨンを、例えば実公昭63−8
28号公報で提案したように、網状体を部分的に腐食さ
せるような場合に用いることも試みられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、以上のよう
に、前記網状体の構成素材として、ジュートなどの植物
繊維やビスコースレーヨン又は生分解性プラスチックを
使用する場合には、次のような問題が発生したのであ
る。すなわち、前記法面などの緑化を行うために使用さ
れる理想的な網状体は、その敷設後約半年〜3年程度は
充分な引張強度を保持し、植物がある程度まで成長した
後に腐食して土壌と同質化することが望ましいのである
が、前述したような網状体は、前記法面などに敷設した
後約2ケ月を経過すると、ほとんどが腐食してしまっ
て、植物を植生するために必要な植生基盤強度が得られ
なくなり、換言すると、植物が発芽して充分に成長する
までには、2ケ月という期間は余りにも短か過ぎ、前記
網状体で前記法面などを保護して、植物の植生基盤を確
保するといった本来の目的を達成することが出来なかっ
たのである。
【0010】本発明は以上のような問題に鑑みてなした
もので、その目的は、例えば敷設後半年〜3年程度の期
間は充分な強度を保持し、この後分解腐食させて前記網
状体を土壌と同質化させることができ、公害問題を招い
たりすることなく、環境緑化に寄与することができる育
苗用植生マットを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第1の発明による育苗用植生マットは、植物の成
育が可能な目合を有し、腐食性繊維と合成繊維とからな
る混紡繊維よりなるネットの一側面に、面方向で隣り合
う複数個の袋部を水溶性の材料を用いて形成すると共
に、植生材料をシート状の水溶性材料で包んで成る育苗
用植生材を前記袋部に収容し、かつ、育苗用植生材の存
在部位に植物種子を担持させた点に特徴がある。
【0012】第2の発明による育苗用植生マットは、植
物の成育が可能な目合を有し、腐食性繊維と合成繊維と
からなる混紡繊維よりなるネットの一側面に、面方向で
隣り合う複数個の袋部を水溶性の材料を用いて形成し、
連続した複数個置きの袋部の少なくとも1個に肥料塊を
収容すると共に、植生材料をシート状の水溶性材料で包
んで成る育苗用植生材を前記連続した複数個の袋部に収
容し、かつ、当該育苗用植生材の存在部位に植物種子を
担持させて成る点に特徴がある。
【0013】第3の発明による育苗用植生マットは、植
物の成育が可能な目合を有し、高分子エマルジョン又は
水溶性ポリマーのうち少なくとも一方にビスコース溶液
を内添してなる混繊レーヨンよりなるネットの一側面
に、面方向で隣り合う複数個の袋部を水溶性の材料を用
いて形成すると共に、植生材料をシート状の水溶性材料
で包んで成る育苗用植生材を前記袋部に収容し、かつ、
育苗用植生材の存在部位に植物種子を担持させて成る点
に特徴がある。
【0014】第4の発明による育苗用植生マットは、植
物の成育が可能な目合を有し、高分子エマルジョン又は
水溶性ポリマーのうち少なくとも一方にビスコース溶液
を内添してなる混繊レーヨンよりなるネットの一側面
に、面方向で隣り合う複数個の袋部を水溶性の材料を用
いて形成し、連続した複数個置きの袋部の少なくとも1
個に肥料塊を収容すると共に、植生材料をシート状の水
溶性材料で包んで成る育苗用植生材を前記連続した複数
個の袋部に収容し、かつ、当該育苗用植生材の存在部位
に植物種子を担持させて成る点に特徴がある。
【0015】
【作用】本第1乃至第4の発明の特徴構成によれば、育
苗用植生材、或いは、育苗用植生材と肥料塊が、混紡繊
維もしくは混繊レーヨンよりなるネットによって保護さ
れた状態で当該ネットに保持されているので、育苗用植
生マットの運搬ならびに取り扱いの面で優れる。
【0016】そして、例えば法面等の面上に設置した格
子状の法枠の区画部内に上記の育苗用植生マットを収容
させたり、法面等の面上に上記の育苗用植生マットを直
に配置し且つ適宜アンカー等を用いてネットを固定させ
たりすることで、当該育苗用植生マットの法面等に対す
る施工が簡易に達成されると共に、前記育苗用植生材あ
るいは肥料塊がネットに保持されているので、当該育苗
用植生材あるいは肥料塊の位置ずれを伴うことがない。
【0017】更に、前記袋部を形成する水溶性の材料、
並びに、育苗用植生材あるいは更に肥料塊を包んでいる
水溶性材料が、それぞれ吸水によって溶解することで、
上記の育苗用植生材、或いは、育苗用植生材と肥料塊が
法面等の面上に撒かれたように均等に位置し、しかも、
これら育苗用植生材、或いは、育苗用植生材と肥料塊が
雨水によって流されることがネットで効果的に抑止され
るので、前記均等厚さの植生材料を育苗床にして植物種
子の発芽・成育を効果的に促すことができる。
【0018】第1,2の発明においては、育苗用植生マ
ットの主構成素材となるネットが、動植物性の天然繊維
又は生分解性化学繊維などの腐食性繊維と、ビニロンや
ポリエステル系などの合成繊維とからなる混紡繊維を用
いて形成され、前記腐食性繊維は、微生物で分解腐食さ
れて経時的に消失するものの、前記合成繊維は、微生物
で分解されることなく半永久的に所定の引張強度を確保
できることから、以上の腐食性繊維と合成繊維とを所定
の割合で、例えば腐食性繊維60〜80%と合成繊維40〜20
%の割合で混合した混紡繊維を用いて前記ネットを編織
することにより、山腹の法面などに植物が植生するまで
の敷設後半年〜3年程度の期間は必要な強度を保持し、
前記ネットで法面などを保護して植物の植生基盤を確保
でき、前記ネットに付着保持された植物種子を良好に育
成させることができる。
【0019】前記ネットを編織する混紡繊維の構成素材
である腐食性繊維は、前記法面などに植生された植物種
子が発芽して成長する頃には、微生物で分解腐食されて
土壌と同質化されてしまう。つまり、前記混紡繊維を構
成する合成繊維は分解腐食されないものの、前記腐食性
繊維が分解腐食されてしまうことから、前記ネットの全
体が法面などに半永久的に残ったりして公害問題を招い
たりすることなく、環境緑化に寄与することができるの
である。
【0020】第3の発明では、前記第1,2の発明のネ
ットの素材として、微生物で分解腐食される再生セルロ
ースからなるビスコース溶液に、酢酸ビニル樹脂などの
高分子エマルジョン又はポリビニルアルコールなどの水
溶性ポリマーの少なくとも一方を内添してなる混繊レー
ヨンが用いられ、ビスコースレーヨン自体は微生物で分
解腐食されて経時的に強度低下を招くものの、ビスコー
ス溶液の段階で前記高分子エマルジョンや水溶性ポリマ
ーの所定量例えば2〜15%を内添することにより、混繊
レーヨンとしての引張強度が強化され、該混繊レーヨン
を1000デニール程度にする場合でも、前記ネットの確実
かつ良好な編織が可能となり、しかも、前記混繊レーヨ
ンで編織されるネットに必要な所定強度を確保すること
ができる。また、ビスコース溶液には多量の水酸基が含
まれるものの、このビスコース溶液に前記エマルジョン
やポリマーを内添することにより、混繊レーヨン全体と
しての水酸基量を少なくすることができ、この混繊レー
ヨンで前記ネットを編織したときの水分吸収を少なくし
て、微生物による分解腐食を抑制できる。従って、以上
のような混繊レーヨンでネットを編織することにより、
このネットに法面などに植物の植生基盤を確保する上で
必要な一定期間にわたる引張強度を確保でき、前記ネッ
トに付着保持された植物種子を良好に育成させることが
できる。
【0021】また、この混繊レーヨンは微生物により経
時的に分解腐食されるため、前記混繊レーヨンでネット
を編織することにより、前記ネットに保持された植物種
子が発芽して成長する頃には、微生物で分解腐食されて
土壌と同質化される。一方、前記ビスコース溶液に内添
される微生物で腐食され難い前記ポリマーやエマルジョ
ンは、前記混繊レーヨンの腐食に伴い分解されてしまう
ことから、前記ネットが法面などに半永久的に残ったり
して公害問題を招いたりすることなく、環境緑化に寄与
することができる。
【0022】さらに、以上の各発明において、前記ネッ
トの袋部内に、育苗用植生材を高吸水性ポリマーととも
に収容させるときには、降雨などで前記高吸水性ポリマ
ーが水分を吸水することにより、該高吸水性ポリマーを
収容する前記袋部が膨張して前記ネットが前記法面など
に密着することから、前記ネットを前記法面などに固定
するためのアンカーピンやアンカーボルトなどの必要本
数が少なくなり、しかも、乾燥期などには前記高吸水性
ポリマーで吸水保持された水分が徐々に植物に供給され
るため、植物が枯死したりするのを防止できるのであ
る。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本第1発明による一実施例の育苗用植生マ
ット1を示し、図2にも示すように、吸水によって溶解
する2枚のシート状の水溶性材料2,3を所定間隔置き
に接合して、面方向で隣り合う複数個の袋部4を形成す
ると共に、前記水溶性材料2,3の一方の面部に植物の
成育が可能な目合を有し、混紡繊維よりなるネット5を
接合し、かつ、植物種子6を含ませた育苗用植生材7を
前記袋部3に収容させて成る。
【0024】上記の育苗用植生材7は、例えばバーク堆
肥やピートモス等の有機質材料や、バーミキュライトや
パーライト等の無機質材料、その他土壌改良剤や一般化
成肥料等に遅効性の肥料を含ませた植生材料8を、シー
ト状の水溶性材料9で包んで棒状に保形させて成り、か
つ、前記植生材料8には植物種子6を混入させてある。
【0025】かくして成形された育苗用植生マット1
は、軽量である上に、前記育苗用植生材7を収容した2
枚の水溶性材料2,3にネット5が接合されて、当該ネ
ット5によって育苗用植生材7が保護された状態にある
ので、育苗用植生マット1の運搬ならびに取り扱いが容
易である。
【0026】そして図3に示すように、前記ネット5を
上方に向けた状態で、前記育苗用植生マット1を法面10
の面上に配置し且つ適宜アンカー11等を用いて、前記ネ
ット5を法面10に止め付けることで、あるいは、育苗用
植生マット1を法面上に配置した格子状法枠の区画部に
納めることで、前記育苗用植生マット1の法面10に対す
る設置が簡易に達成され、かつ、前記育苗用植生材7が
ネット5に保持されているので当該育苗用植生材7の位
置ずれを伴うことがなく、しかも、育苗用植生マット1
が可撓性に富むので法面10の凹凸に馴染みよく密着す
る。
【0027】次いで、降雨を待つか給水を施すことによ
って、前記育苗用植生材7を保持している水溶性材料
2,3、並びに、前記植生材料8を包んでいる水溶性材
料9が溶解し、かつ、当該両水溶性材料2,3,9によ
る拘束が解かれることで、前記植生材料8が法面10の面
上に撒かれたように均等に位置すると共に、前記植生材
料8の雨水による流出がネット5の作用で効果的に抑止
され、而して、遅効性の肥料が存する肥沃な均等厚さの
植生材料8を育苗床にして、前記植物種子6が発芽・成
育することで法面10の保護ならびに緑化が達成される。
【0028】より詳しくは、前記ネット5を編織する混
紡繊維の腐食性繊維としては、微生物で分解腐食されて
経時的に消失する例えば綿、絹、麻などの天然繊維及び
ビスコースレーヨンなどの生分解性化学繊維などが使用
され、また、前記合成繊維としては、微生物では分解さ
れることなく半永久的に所定の引張強度が確保される例
えばポリビニールアルコールなどのビニロン系、ポリエ
ステルなどのポリエステル系、ナイロンなどのポリアミ
ド系及びアクリルなどのポリアクリルニトリル系などが
使用される。
【0029】また、前記混紡繊維は、腐食性繊維60〜80
%と合成繊維40〜20%の割合で混合したものが好まし
い。
【0030】そして、以上のような緑化用植生基体の主
素材であるネット5の縦糸と横糸とを、以上のような腐
食性繊維と合成繊維とからなる混紡繊維で形成して、該
混紡繊維で前記ネット5を編織することにより、このネ
ット5は、前記法面10への敷設後半年〜3年程度の期間
は必要な強度を保持することとなって、前記ネット5で
前記法面10を保護して植物の植生基盤を確保し、前記ネ
ット5に保持された植物種子6を良好に育成させること
ができる。また、前記腐食性繊維は、微生物で経時的に
分解腐食され、前記植物種子6が発芽して成長する頃に
は土壌と同質化されるのであり、つまり、前記合成繊維
は分解腐食されないものの、前記腐食性繊維が分解腐食
されてしまうことから、前記ネット5の全体が法面10に
半永久的に残ったりして公害問題を招いたりすることな
く、環境緑化に寄与することができる。
【0031】次に、以上のような腐食性繊維としてビス
コースレーヨンを、また、合成繊維としてポリエステル
を用い、これら両者を70:30の比率で配合した本発明の
混紡繊維と、その比較例としてビスコースレーヨンを単
独使用した場合の引張強度について試験を行ったとこ
ろ、次の表1に示す結果が得られた。尚、両者の引張試
験は、微生物の動きが活発で、この微生物の分解腐食に
よる強度低下が最も起こり易い7月に開始した。また、
前記両者の引張試験は、それぞれ2000デニールのものを
使用した。
【0032】
【表1】
【0033】上記表1から明らかなように、比較例とし
て用いたビスコースレーヨンは、約2か月経過すると引
張強度が0となったのに対し、本発明にかかる混紡繊維
は、敷設時から徐々に微生物による分解腐食で強度低下
が起こるものの、1年半経過時の引張強度が1.2 Kgもあ
り、従って、以上の混紡繊維でネット5を編織すること
により、該ネット5が前記法面10を保護して植物の植生
基盤を確保し得ることが理解できる。尚、前記ネット5
を構成する素線1本当りの引張強度が0.5 Kg以上あれ
ば、前記法面10に敷設したとき、その凍上や崩壊を防止
できることから、以上のように、引張強度が1.2 Kgもあ
る場合には、前記法面10の充分な保護ができる。
【0034】また、前記ネット5の袋部4を腐食性素材
例えばスフやパルプ系不織布や可溶性紙又は生分解性プ
ラスチックフィルムなどを使用して形成することが望ま
しく、その場合には、前記ネット5だけではなく前記袋
部4も経時的に腐食させて土壌に同質化させることがで
き、公害問題の発生をなくすことができるのである。
【0035】図4は本第2の発明による育苗用植生マッ
ト1の一実施例を示し、例えば特公平1−34570号
公報に見られるように、緩効性の肥料(固形肥料やアイ
ビー窒素肥料)や遅効性の肥料(コーティング肥料)
を、無機質系保水材(バーミキュライトやパーライト)
や有機質系保水材(バーク堆肥やピートモス)に混合し
た全体が機能的に遅効性である肥料13を、厚み0.1 〜0.
6 mm、通気量10〜300cc/cm2/sec である不織布により構
成された袋12に投入して、肥効が長期にわたる棒状の肥
料塊14を形成し、当該肥料塊14を連続した複数個置きの
袋部4の1個(2個以上であってもよい)に収容すると
共に、肥料を含ませることを問わない育苗用植生材7を
前記連続した複数個の袋部4に収容させて成る。
【0036】尚、隣り合う袋部4の大きさを異ならせ
て、大きな袋部4に複数個の育苗用植生材7を収容させ
たり、あるいは育苗用植生材7を大きな板状に形成し
て、これを大きな袋部4に収容させたりする等の変更が
可能である。
【0037】また、前記ネット5の縦糸と横糸に、高分
子エマルジョン又は水溶性ポリマーの少なくとも一方を
ビスコース溶液に内添した混繊レーヨンを用い、この混
繊レーヨンで前記ネット5を編織することもできる。
【0038】その混繊レーヨンとしては、微生物で分解
腐食される再生セルロースからなるビスコース溶液に、
微生物では分解腐食されることなく、このビスコースレ
ーヨンの分解腐食による強度低下を補う、例えば酢酸ビ
ニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂など
の高分子エマルジョンと、ポリビニルアルコール、ポリ
アクリルアマイドなどの水溶性ポリマーとの何れか一方
を内添するか、又は、前記エマルジョンとポリマーとの
両者を内添したものが使用される。
【0039】なお、前記混繊レーヨンは、ビスコース溶
液に対し前記高分子エマルジョンや水溶性ポリマーを2
〜15%の割合で内添したものが好ましい。
【0040】前記混繊レーヨンは、ビスコースレーヨン
の原料であるビスコース溶液に、前記高分子エマルジョ
ンや水溶性ポリマーを添加して混合溶液を調製し、この
混合溶液を扁平な特殊口金から紡糸して、所謂リボンス
トローと称されるテープ状に形成される。
【0041】そして、前記ネット5の縦糸と横糸とし
て、以上のように調製された混繊レーヨンを用いること
により、微生物で分解腐食されて経時的に強度低下を招
くものの、この混繊レーヨンには前記高分子エマルジョ
ンや水溶性ポリマーが内添されていることから、混繊レ
ーヨンとしての引張強度が強化され、該混繊レーヨンを
1000デニール程度とする場合でも、前記ネット5の縦糸
と横糸としての充分な使用が可能となって、前記ネット
5の確実かつ良好な編織が可能となり、しかも、前記混
繊レーヨンで編織されるネット5に必要な所定強度を確
保することができる。
【0042】また、前記ビスコース溶液には、本来多量
の水酸基が含まれるものの、このビスコース溶液に前記
エマルジョンやポリマーを内添することにより、混繊レ
ーヨン全体としての水酸基量を少なくすることができ、
この混繊レーヨンで前記ネット5を編織したときの水分
吸収を少なくして、微生物による分解腐食を抑制でき
る。従って、以上のような混繊レーヨンでネット5を編
織することにより、このネット5に法面10に植物の植生
基盤を確保する上で必要な一定期間にわたる引張強度を
確保でき、前記ネット5に保持された植物種子6を良好
に育成させることができる。
【0043】さらに、ビスコース溶液は微生物により経
時的に分解腐食されるため、前記混繊レーヨンでネット
5を編織することにより、該ネット5に保持させた植物
種子6が発芽して成長する頃には、微生物で分解腐食さ
れて土壌と同質化される。一方、前記ビスコース溶液に
内添される微生物で腐食され難い前記ポリマーやエマル
ジョンは、混繊レーヨンの腐食に伴い分解されてしまう
ことから、前記ネット5が法面10に半永久的に残ったり
して公害問題を招いたりすることなく、環境緑化に寄与
することができる。
【0044】次に、ビスコース溶液に高分子エマルジョ
ンとして酢酸ビニル樹脂エマルジョンの5%を内添した
本発明にかかる混繊レーヨンと、その比較例としてビス
コースレーヨンを単独使用した場合の引張強度について
試験を行ったところ、次の表2に示す結果が得られた。
尚、両者の引張試験は、前述した場合と同様に、微生物
の動きが活発で、この微生物の分解腐食による強度低下
が最も起こり易い7月に開始した。また、前記両者の引
張試験は、それぞれ1000デニールのものを使用した。
【0045】
【表2】
【0046】上記表2から明らかなように、比較例とし
て用いたビスコースレーヨンは、約2か月経過すると引
張強度が0となったのに対し、本発明にかかる混繊レー
ヨンは、敷設時から徐々に微生物による分解腐食で強度
低下が起こるものの、1年経過時の引張強度が0.6 Kgも
あり、従って、以上の混繊レーヨンでネット5を編織す
ることにより、該ネット5が前記法面10を保護して植物
の植生基盤を確保し得ることが理解できる。
【0047】図5は育苗用植生マット1の他の実施例を
示し、植物種子6ならびに遅効性の肥料を含む植生材料
8をシート状の水溶性材料9で包んで棒状の育苗用植生
材7を形成し、この育苗用植生材7を直接的に、植物の
成育が可能な目合を有する混紡繊維もしくは混繊レーヨ
ンよりなるネット5の一側面に所定間隔置きに設けて成
る。
【0048】図6は育苗用植生マット1の別の実施例を
示し、遅効性肥料13を通気性の低い不織布の袋12に投入
して棒状の肥料塊14を形成する一方、植物種子6を含む
植生材料(肥料を含ませることを問わず)8を水溶性材
料9で包んで棒状の育苗用植生材7を形成し、かつ、こ
の育苗用植生材7の複数個をグループGにして、当該育
苗用植生材グループGの複数を、植物の成育が可能な目
合を有する混紡繊維もしくは混繊レーヨンよりなるネッ
ト5の一側面に所定間隔を隔てて設け、更に、この育苗
用植生材グループG間に位置させる状態で夫々1個(2
個以上であってもよい)の肥料塊14をそのネット5に設
けて成る。
【0049】尚、前記育苗用植生材グループGに相当す
るような大きな育苗用植生材7や、これの1/2 や1/3 等
の大きさの育苗用植生材7を形成して、これを肥料塊14
の間に位置させるようにする等の変更が可能である。
【0050】また、実施例では、育苗用植生材7に植物
種子6を混入させているが、当該植物種子6を水溶性材
料2,3,9やネット5に担持させて実施可能であり、
あるいは、水溶性や非水溶性を問わず植物の育成が可能
なシート状部材に植物種子6を担持させて、これを水溶
性材料2,3やネット5に保持させても実施可能であ
る。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本第1乃至第4の発
明による育苗用植生マットによれば、育苗用植生材、或
いは、育苗用植生材と肥料塊を、混紡繊維もしくは混繊
レーヨンよりなるネットによって保護させた状態で当該
ネットに保持させたことで、育苗用植生マットの取り扱
い並びに運搬が容易となり施工性の面で優れる。
【0052】しかも、例えば法面等の面上に育苗用植生
マットを配置し且つ適宜アンカー等を用いてネットを固
定させたり、あるいは、法面等の面上に設置した格子状
の法枠の区画部内に育苗用植生マットを収容させたりす
ることで、当該育苗用植生マットの法面等に対する施工
が簡易に達成されると共に、育苗用植生材、或いは、育
苗用植生材と肥料塊が、それぞれネットに保持されてい
るので、それら育苗用植生材等の位置ずれを伴うことが
ない。
【0053】そして、前記袋部を形成する水溶性の材料
や育苗用植生材あるいは更に肥料塊を包んでいる水溶性
材料が吸水によって溶解することで、前記育苗用植生
材、或いは、育苗用植生材と肥料塊が法面等の面上に撒
かれたように均等に位置し、かつ、ネットの作用で上記
育苗用植生材等の雨水による流出が効果的に抑止される
ことで、法面等の保護が所定通りに達成されると共に、
前記均等厚さの植生材料を育苗床にして植物種子が発芽
・成育し法面等の緑化が達成され、その後時間の経過と
ともに徐々にネットの強度が低下し、ついには分解腐食
されて土壌と同質化され、公害問題を招くことなく、環
境緑化に寄与することができる。
【0054】しかも、全体として、軽量で施工性が優れ
る上に法面等の安定化と緑化を簡易に達成でき、かつ、
工場生産が可能で品質の安定化を図り得る育苗用植生マ
ットを、コスト的に安価に提供できるに至ったのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本第1発明の一実施例を示す育苗用植生マット
の要部拡大断面図である。
【図2】同育苗用植生マットの分解斜視図である。
【図3】同育苗用植生マットを法面に施工した例を示す
概略断面図である。
【図4】本第2発明の育苗用植生マットの一実施例を示
す要部拡大断面図である。
【図5】同育苗用植生マットの他の実施例を示す要部拡
大断面図である。
【図6】同育苗用植生マットの別の実施例を示す要部拡
大断面図である。
【符号の説明】
1…育苗用植生マット、2,3…水溶性材料、4…袋
部、5…ネット、6…植物種子、7…育苗用植生材、8
…植生材料、9…水溶性材料。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物の成育が可能な目合を有し、腐食性
    繊維と合成繊維とからなる混紡繊維よりなるネットの一
    側面に、面方向で隣り合う複数個の袋部を水溶性の材料
    を用いて形成すると共に、植生材料をシート状の水溶性
    材料で包んで成る育苗用植生材を前記袋部に収容し、か
    つ、育苗用植生材の存在部位に植物種子を担持させて成
    ることを特徴とする育苗用植生マット。
  2. 【請求項2】 植物の成育が可能な目合を有し、腐食性
    繊維と合成繊維とからなる混紡繊維よりなるネットの一
    側面に、面方向で隣り合う複数個の袋部を水溶性の材料
    を用いて形成し、連続した複数個置きの袋部の少なくと
    も1個に肥料塊を収容すると共に、植生材料をシート状
    の水溶性材料で包んで成る育苗用植生材を前記連続した
    複数個の袋部に収容し、かつ、当該育苗用植生材の存在
    部位に植物種子を担持させて成ることを特徴とする育苗
    用植生マット。
  3. 【請求項3】 植物の成育が可能な目合を有し、高分子
    エマルジョン又は水溶性ポリマーのうち少なくとも一方
    にビスコース溶液を内添してなる混繊レーヨンよりなる
    ネットの一側面に、面方向で隣り合う複数個の袋部を水
    溶性の材料を用いて形成すると共に、植生材料をシート
    状の水溶性材料で包んで成る育苗用植生材を前記袋部に
    収容し、かつ、育苗用植生材の存在部位に植物種子を担
    持させて成ることを特徴とする育苗用植生マット。
  4. 【請求項4】 植物の成育が可能な目合を有し、高分子
    エマルジョン又は水溶性ポリマーのうち少なくとも一方
    にビスコース溶液を内添してなる混繊レーヨンよりなる
    ネットの一側面に、面方向で隣り合う複数個の袋部を水
    溶性の材料を用いて形成し、連続した複数個置きの袋部
    の少なくとも1個に肥料塊を収容すると共に、植生材料
    をシート状の水溶性材料で包んで成る育苗用植生材を前
    記連続した複数個の袋部に収容し、かつ、当該育苗用植
    生材の存在部位に植物種子を担持させて成ることを特徴
    とする育苗用植生マット。
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