JPH0753933Y2 - 工作機械の集塵装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【産業上の利用分野】 この考案は、回転刃物による被加工物の切削加工時に生
じる切削屑を自動的に吸引除去するための工作機械の集
塵装置に関し、特に、上記刃物の着脱（交換）が容易に
行えるようにした工作機械の集塵装置に関するものであ
る。

【従来の技術】

従来の木工用ルータは、コラムに昇降駆動可能に支持さ
れたヘッドと、このヘッドのケーシング内に装着された
刃物回転駆動用のモータと、このモータの回転軸に着脱
（交換）可能に装着された刃物と、上記ケーシングの下
端部に着脱可能に取り付けられて上記モータ回転軸の刃
物取付部外周側方を囲繞するカバー（ブラシホルダ）
と、このカバーにタップまたは嵌合溝を利用して嵌込み
連結され、上記刃物の外周側方を囲繞する環状の集塵ブ
ラシとを備え、該集塵ブラシを被加工物の加工面に当接
させた状態で、上記モータを高速回転させることによ
り、該モータ回転軸の上記刃物で被加工物を切削加工す
る構成となっている。

【考案が解決しようとする課題】

従来の木工用ルータは以上のように構成されているの
で、刃物交換時にその都度、ケーシングからカバーと集
塵ブラシを人為的に取り外さなければならず、その取り
外し作業が頗る面倒であるのみならず、しかも、上記カ
バーと集塵ブラシを取り外さないと、モータ回転軸に刃
物が装着されているか否かの確認、およびモータ回転軸
が回転中か停止かの確認が行えないので、刃物の交換作
業に大きな危険性が伴うなどの問題点があった。また、
上記カバーと集塵ブラシを取り外し時に落下させて破損
する危惧もあった。 また、別の従来例として、モータを包囲しているカバー
がケーシングと別体で、そのカバーと集塵ブラシとが一
体的ユニット構成とされ、そのカバーと集塵ブラシとで
モータ回転軸側全体を覆ったものもあるが、この場合、
上記カバーの前面にドリル軸や高さ決め等のセンサを取
り付けた際、上記カバーを刃物に対して高さ調整する必
要があるため、その高さ調整の都度、ドリルの高さも人
為的に調整しなければならないという問題点があった。 この考案は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、刃物交換時にカバーと集塵ブラシを取りはず
すことなく、刃物の交換を簡単に手際よく安全に行なう
ことができ、且つ、工作機械の動作時においては集塵ブ
ラシの毛先が折れ曲がって刃物に巻き込まれることを防
止することができる工作機械の集塵装置を提供すること
を目的とする。

【課題を解決するための手段】

この考案に係る工作機械の集塵装置は、回転軸に切削加
工用の刃物が着脱可能に装着されるモータをその外周に
て囲繞支持する筒状のケーシングに、上記モータの回転
軸と略平行する空気流路を形成し、且つ、上記ケーシン
グの刃物側の端部に昇降可能に装備されるとともに上記
刃物の外側方を囲繞して上記空気流路に連通する筒状の
集塵ブラシをブラシ昇降駆動手段で自動的に昇降駆動
し、且つ、工作機械の動作時における上記集塵ブラシの
位置をブラシ位置調整手段で設定する構成としたもので
ある。

【作用】

この考案における工作機械の集塵装置では、刃物交換時
に集塵ブラシを自動的に上昇動作させることによって、
その集塵ブラシで周囲が囲繞されていたモータ回転軸の
刃物取付部が露出するので、そのモータ回転軸に刃物が
装着されているか否かの確認、およびモータ回転軸が回
転中か停止かの確認が容易に行える。このため、刃物の
交換作業が頗る簡単に手際よく行え、しかも、モータ回
転軸に装着された刃物に対応して集塵ブラシの高さを自
由に調整でき、このため、集塵ブラシの毛先が折れ曲が
って刃物に巻き込むようなこともなく、集塵ブラシの寿
命延長が図れると共に、ケーシング前面にはドリル軸や
高さ位置決め用センサ等を何ら支障なく取付けセットで
きる。

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 第１図および第２図において、１は木工用NCルータのコ
ラム（加工機支持盤）に装架されるヘッドであり、この
ヘッド１は、下向き突出状態の回転軸2aを有して該回転
軸2aの下端部に切削加工用の刃物３が着脱（交換）可能
に装着されるモータ２と、このモータ２を外周にて囲繞
支持する筒状のケーシング４とを備えた構成となってい
る。 ここで、図示例の上記ケーシング４は、モータベース40
と、このモータベース40の上端に着脱可能に止着される
トップカバー41およびフロントカバー42と、上記モータ
ベース40の下端に止着されて上記モータ回転軸2aの周囲
を囲繞する集塵口カバー43とから成っている。 かかるケーシング４において、モータベース40には、第
３図に示すように、モータ装着孔44と空気流路45とシリ
ンダセット室46とガイドロッド挿入孔47とが設けられ、
上記空気流路45は上記モータ装着孔44と隔絶平行する方
向に貫通形成されている。 また、上記ケーシング４における集塵口カバー43の下端
側外周には、シール部材５を介してブラシホルダ６が昇
降摺動自在に嵌装され、且つ、該ブラシホルダ６の下端
周縁部には四角環状の集塵ブラシ７が装着されている。 この集塵ブラシ７は、上記刃物３の周囲を間隔を存して
囲繞し上記空気流路45に連通している。 そして、上記ブラシホルダ６は、モータベース40のシリ
ンダセット室46内に収納配置されたシリンダ（ブラシ昇
降駆動手段）16によって昇降駆動されるようになってい
る。 このシリンダ16は、上記シリンダセット室46の下端開口
を閉塞するシリンダブラケット８に取り付けられてい
る。 また、上記シリンダセット室46内には、第２図に示すよ
うに、上記シリンダ16の昇降ストローク（ブラシホルダ
６の昇降範囲）を設定する高さ調整用のネジ棒９も収納
されている。 このネジ棒９の下端部は、上記シリンダブラケット８に
回転自在に連結支承されている。また、上記ネジ棒９の
上端側は、フロントカバー42の上端部に装着されたスト
ッパガイド10を介して外方に突出しており、その突端に
は回転操作用のハンドル11が取り付けられている。さら
に、上記ストッパガイド10には、上記ネジ棒９を高さ調
整後にロックする操作ハンドル付ロックネジ12が取り付
けられている。 かかるネジ棒９には調整ゴマ13が螺合され、この調整ゴ
マ13にはサイドシャフト14の上端部が連結されている。 このサイドシャフト14は上記シリンダブラケット８を昇
降自在に貫通して上記ブラシホルダ６の一端側を支持し
ている。 従って、上記ネジ棒９を正逆回転操作することにより調
整ゴマ13がネジ送りされて昇降動作し、該調整ゴマ13に
追従してサイドシャフト14が昇降動作することによりブ
ラシホルダ６の高さが調整される。 また、上記モータベース40のガイドロッド挿入孔47に
は、上記ブラシホルダ６の他端側に連結されたガイドロ
ッド15が昇降摺動自在に挿入されている。 一方、上記ケーシング４の上端には、空気流路45に連通
し且つ真空吸引装置（図示せず）に通じる吸気ダクト17
が装着され、この吸気ダクト17内には開閉弁18が取り付
けられている。尚、上記開閉弁18はバタフライ弁に限ら
れるものではなく、吸気ダクト17内を開閉し得るもので
あれば、如何なる弁であってもよい。また、上記開閉弁
18は、ヘッド１の下降位置（被加工物の加工時）に自動
的に開弁し、且つ、ヘッド１の上昇時に自動的に閉弁す
るものであってもよい。 尚、図中符号19は上記ヘッド１を昇降駆動するシリンダ
である。 次の動作について説明する。 木工用多軸ルータのNC制御により、その所定個所のヘッ
ド１が加工位置に下降移動すると、集塵ブラシ７が被加
工物に当接し、且つ、ケーシング４内に吸引力が発生し
た状態となり、この状態において、モータ２で高速回転
駆動されている刃物３により被加工物の切削加工が行わ
れる。 従って、上記集塵ブラシ７は被加工物の切削加工時に生
じる切削屑の外部飛散を防止すると共に、その切削屑は
上記集塵ブラシ７内および上記ケーシング４内に生じて
いる吸引力によって空気流路45を上昇し、吸気ダクト17
からフレキシブルホース（図示せず）等を介して系外に
排除される。 このようにして、切削屑を吸引排除する吸引空気は、上
記空気流路45を上昇流通時にモータ２を冷却する。 次に、刃物３を交換する場合について説明する。この場
合、シリンダ16を短縮作動させると、ブラシホルダ６と
一体に集塵ブラシ７が上昇することにより、該集塵ブラ
シ７で周囲が囲繞されて隠れていた刃物３およびモータ
回転軸2aが露出する。このため、モータ回転軸2aに刃物
３が装着されているか否か、また、モータ回転軸2aが回
転中か停止かを容易に確認できる。このため、刃物の交
換作業が頗る簡単に手際よく安全に行える。 そして、刃物３の交換後、上記シリンダ16を伸長作動さ
せることにより、ブラシホルダ６と一体に集塵ブラシ７
が所定の位置まで下降復帰する。 この場合、上記モータ回転軸2aに新たに取り付けられた
刃物３の大きさに対応して集塵ブラシ７の高さを調整す
る。 この高さ調整は、まず、ロックネジ12を緩めた後、ネジ
棒９を回転操作することによって行われる。 即ち、上記ネジ棒９を回転操作すると、調整ゴマ13がネ
ジ送りされて昇降動作し、該調整ゴマ13に追従して昇降
動作するサイドシャフト14を介してブラシホルダ６と集
塵ブラシ７が一体に昇降することによって、該集塵ブラ
シ７の高さが調整される。 このような集塵ブラシ７の高さ調整によって、該集塵ブ
ラシ７の毛先が折れ曲がって刃物３に巻き込まれるよう
なことがなくなる。

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、工作機械の刃物交換
時に集塵ブラシを自動的に上昇動作させることができ、
その上昇動作によって、集塵ブラシで周囲が囲繞されて
いたモータ回転軸の刃物取付部が露出するので、そのモ
ータ回転軸に刃物が装着されているか否か、また、モー
タ回転軸が回転中か停止かを容易に確認できる。このた
め、刃物の交換作業が頗る簡単に手際よく安全に行え、
しかも、モータ回転軸に装着された刃物に対応して集塵
ブラシの高さを自由に調整できるので、集塵ブラシの毛
先が折れ曲がって刃物に巻き込むようなこともなく、集
塵ブラシの寿命延長が図れると共に、ケーシング前面に
はドリル軸や高さ位置決め用センサ等を何ら支障なく取
付けセットできるなどの優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例による工作機械の集塵装置
の縦断側面図、第２図は同縦断正面図、第３図はモータ
ベースの横断面図である。 １……ヘッド、２……モータ、2a……回転軸、３……刃
物、４……ケーシング、７……集塵ブラシ、16……シリ
ンダ（ブラシ昇降駆動手段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】回転軸に切削加工用の刃物が着脱可能に装
   着されるモータと、該モータをその外周にて囲繞支持す
   る筒状のケーシングとを備えて成るヘッドを昇降駆動可
   能に取り付け、上記刃物で被加工物を切削加工する工作
   機械において、上記ケーシングに形成されて上記モータ
   の回転軸に略平行する空気流路と、上記ケーシングの刃
   物側の端部に昇降可能に装備され、上記刃物の外側方を
   囲繞して上記空気流路に連通する筒状の集塵ブラシと、
   該集塵ブラシを昇降駆動するブラシ昇降駆動手段と、上
   記集塵ブラシの下降時における停止位置を設定するブラ
   シ位置調整手段とを備えて成ることを特徴とする工作機
   械の集塵装置。