JPH0753710A - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂の製造方法

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JPH0753710A
JPH0753710A JP20498793A JP20498793A JPH0753710A JP H0753710 A JPH0753710 A JP H0753710A JP 20498793 A JP20498793 A JP 20498793A JP 20498793 A JP20498793 A JP 20498793A JP H0753710 A JPH0753710 A JP H0753710A
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JP
Japan
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group
carbon atoms
formula
hydrocarbon group
polycarbonate resin
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Application number
JP20498793A
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English (en)
Inventor
Wataru Funakoshi
渉 船越
Katsuji Sasaki
勝司 佐々木
Shigeki Hirata
滋己 平田
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は溶融安定性、耐加水分解性に優れた
ポリカーボネートを製造することを目的とする。 【構成】 本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸
ジエステルとを、触媒の存在下溶融重縮合してポリカー
ボネート樹脂を製造する方法において、反応が実質的に
終了した段階以降に、下記一般式(I)等で表わされる
化合物を添加することを特徴とする安定化されたポリカ
ーボネート樹脂の製造方法である。 [式中、Yはヘテロ原子を含有していてもよい2価の炭
化水素基、Xは該イミノエステル環を形成している環員
炭素原子を1個または2個有する反応条件下で非反応性
の2価の炭化水素基、mは0または1である。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカーボネート樹脂
の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、溶融し
たときの安定性および耐加水分解性に優れたポリカーボ
ネート樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは耐衝撃性等の機械的
物性や透明性に優れており種々の用途を有する。ポリカ
ーボネートの製造方法としてはジヒドロキシ化合物とホ
スゲンを直接反応させる界面法、あるいはジヒドロキシ
化合物と炭酸ジエステルとを加熱減圧下エステル交換反
応させる溶融法などが知られている。
【0003】これらのうち後者は前者界面法に比較し
て、安価にポリカーボネート樹脂を製造することができ
る利点を有するとともに、メチレンクロリド等の溶媒を
用いないので環境上好ましい。
【0004】従来の溶融法によるポリカーボネートの製
造方法では、通常、触媒としてアルカリ金属化合物、ア
ルカリ土類金属化合物などを、芳香族ジヒドロキシ化合
物1モルに対して10-2〜10-8モルの量で用いる。し
かし、かかる触媒を用いて得るポリカーボネート樹脂で
は、残存する触媒のため、溶融安定性に欠けポリカーボ
ネートを溶融、成形する時、その一部が熱分解すること
があり、分子量が低下したり着色したり透明性が低下す
る等の問題がある。
【0005】特開昭63―51429号公報には、トル
エンスルホン酸フェニル等のスルホン酸エステルを用い
て、高温安定性に優れたポリカーボネートの製造法が提
案されている。しかし該方法では触媒に起因するポリカ
ーボネート樹脂の劣化は、ある程度防止されるが、該剤
のポリカーボネート中での反応の結果生じるフェノール
が樹脂分子鎖の解重合を引き起こし分子量低下問題を引
き起こすことがあり、未だ十分な解決とはなっていな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融安定
性、耐加水分解性に優れたポリカーボネート樹脂の製造
方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題点の解決のため鋭意研究の結果、溶融重合法により
ポリカーボネート樹脂を製造する際に、上記式(I)〜
(III )で示される化合物を添加混合することによって
高温安定性、溶融安定性に優れた製造しうることを見い
出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち本発明は、芳香族ジヒドロキシ化
合物と炭酸ジエステルとを、触媒の存在下溶融重縮合し
てポリカーボネート樹脂を製造する方法において、反応
が実質的に終了した段階以降に、下記一般式(I)、
(II)および(III )で表わされる化合物からなる群よ
り選ばれる少くとも一種の化合物を添加することを特徴
とする安定化されたポリカーボネート樹脂の製造方法で
ある。
【0009】
【化7】
【0010】[式中、Yはヘテロ原子を含有していても
よい2価の炭化水素基、Xはイミノエステル環を形成し
ている環員炭素原子を1個または2個有する反応条件下
で非反応性の2価の炭化水素基、mは0または1であ
る。]
【0011】
【化8】
【0012】[式中、Aは下記式(II)―a
【0013】
【化9】
【0014】(ここでR2 は1価の炭化水素基であ
る。)または下記式(II)―b
【0015】
【化10】
【0016】(ここでR2 の定義は上記に同じであ
る。)で表わされる基であり、Arはヘテロ原子を含有
していてもよい4価の芳香族基であり、R1 はR2 と同
一もしくは異なる1価の炭化水素基である。]
【0017】
【化11】
【0018】[式中、Zは、
【0019】
【化12】
【0020】であり、P0 は炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜2
2のアリール基および炭素数6〜22のアラルキル基か
ら選ばれる。P1 、P2 は各々独立に、水素原子、炭素
数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアル
キル基、炭素数6〜22のアリール基および炭素数6〜
22のアラルキル基から選ばれる。ただし、P1 および
2 がともに水素原子となる場合はない。]本発明で用
いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、下記式(a)で
示される化合物である。
【0021】
【化13】
【0022】式中、Xは
【0023】
【化14】
【0024】を表わす。
【0025】R5 、R6 は、同一または異なり、水素原
子、炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素数6〜10
の置換されていてもよいアリール基を示す。アルキル基
としてメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ
る。アリール基としてフェニル基が挙げられる。R7
炭素数3〜8のアルキレン基である。アルキレン基とし
て、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
3 、R4 は同一または異なり、ハロゲン原子もしくは
炭素数1〜5のアルキル基を示す。ハロゲン原子として
は塩素、臭素等が挙げられる。アルキル基としてはメチ
ル基、t―ブチル基等が挙げられる。p、qは同一また
は異なり、0、1または2である。
【0026】具体的には、ビス(4―ヒドロキシフェニ
ル)メタン、1,1―ビス(4―ヒドロキシフェニル)
エタン、2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)オクタ
ン、ビス(4―ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
2,2―ビス(4―ヒドロキシ―3―メチルフェニル)
プロパン、1,1―ビス(4―ヒドロキシ―t―ブチル
フェニル)プロパン、2,2―ビス(4―ヒドロキシ―
3―ブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシ
アリール)アルカン類、1,1―ビス(4―ヒドロキシ
フェニル)シクロペンタン、1,1―ビス(4―ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシ
アリール)シクロアルカン類、4,4′―ジヒドロキシ
ジフェニルエーテル、4,4′―ジヒドロキシ―3,
3′―ジメチルフェニルエーテルなどのジヒドロキシア
リールエーテル類、4,4′―ジヒドロキシジフェニル
スルフィド、4,4′―ジヒドロキシ―3,3′―ジメ
チルジフェニルスルフィドなどのジヒドロキシジアリー
ルスルフィド類、4,4′―ジヒドロキシジフェニルス
ルホキシド、4,4′―ジヒドロキシ―3,3′―ジメ
チルジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシジアリ
ールスルホキシド類、4,4′―ジヒドロキシジフェニ
ルスルホン、4,4′―ジヒドロキシ―3,3′―ジメ
チルジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジアリール
スルホン類などが用いられる。これらのうちでは、特に
2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパンが好
ましい。
【0027】本発明で用いられる炭酸ジエステルとして
は、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール、
アラアルキル、炭素数1〜5のアルキル、炭素数3〜8
のシクロアルキル等のエステルが挙げられる。
【0028】具体的には、ジフェニルカーボネート、ジ
トリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボ
ネート、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボ
ネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカ
ーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネ
ート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが用いられ
る。これらのうちでは、特にジフェニルカーボネートが
好ましい。
【0029】またこれらの炭酸ジエステルは、ジカルボ
ン酸あるいはジカルボン酸エステルを含有していてもよ
い。このようなジカルボン酸あるいはジカルボン酸エス
テルとしては、特に炭素数の制限はなく、具体的には、
テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニ
ル、イソフタル酸ジフェニルなどが例示できる。
【0030】上記のようなジカルボン酸あるいはジカル
ボン酸エステルを炭酸ジエステルと併用した場合には、
ポリエステルポリカーボネートが得られるが、本発明の
ポリカーボネートの製造方法には、このポリエステルポ
リカーボネートの製造方法も含まれる。
【0031】炭酸ジエステルの使用量としては上記芳香
族ジヒドロキシ化合物(a)に対し80〜300モル
%、好ましくは90〜280モル%、特に好ましくは9
5〜250モル%の範囲で用いられることが望ましい。
【0032】本発明で使用する触媒としては、前述の炭
酸ジエステルおよび芳香族ジヒドロキシ化合物を出発原
料として、副反応少なく、着色等少なく、品質良好なポ
リカーボネートポリマーを与えるものが、好ましく使用
される。かかる触媒として好ましくは以下のものを挙げ
ることができる。
【0033】アルカリ金属化合物としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナ
トリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリ
ウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナト
リウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウ
ム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、
フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安
息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナト
リウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸水素ジリチウ
ム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム
塩、ジリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウ
ム塩、リチウム塩などが挙げられる。
【0034】また、アルカリ土類金属化合物としては、
具体的には、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸
化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カル
シウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭
酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カル
シウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロ
ンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリ
ウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロ
ンチウムなどが挙げられる。
【0035】含窒素塩基性化合物としては、テトラメチ
ルアンモニウムヒドロキシド(Me 4 NOH)、テトラ
エチルアンモニウムヒドロキシド(Et4 NOH)、テ
トラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4 NO
H)、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド
(φ―CH2 (Me)3 NOH)などのアルキル、アリ
ール、アルアリール基などを有するアンモニウムヒドロ
オキシド類、トリブチルアミン、トリエチルアミン、ジ
メチルベンジルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンな
どの三級アミン類、R2 NH(式中Rはメチル、エチル
などのアルキル、フェニル、トルイルなどのアリール基
などである)で示される二級アミン類、RNH 2 (式中
Rは上記と同じである)で示される一級アミン類、2―
メチルイミダゾール、2―フェニルイミダゾールなどの
イミダゾール類、あるいはテトラメチルアンモニウムボ
ロハイドライド(Me4 NBH4 )、テトラブチルアン
モニウムボロハイドライド(Bu4 NBH4 )、テトラ
ブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Bu4
BPh4 )、テトラメチルアンモニウムテトラフェニル
ボレート(Me4 NBPh4 )などの塩基性塩等を挙げ
ることができる。
【0036】また所望によりその他の金属触媒も併用使
用することもできる。例えば周期律表のIIB、III B、
IVAおよびIVB族に属する金属元素およびその化合物の
中から選ばれる。
【0037】触媒として用いられる金属化合物として
は、例えばZn(OAc)2 、Zn(OBz)2 などの
亜鉛のカルボン酸塩、ZnO、ZnSなどの亜鉛の酸化
物または硫化物、Zn(OH)2 などの亜鉛の水酸化
物、(C2 5 2 Zn、Ph2Zn、C2 5 ZnO
2 5 、PhZnCl、PhZnOAc、C4 9
nOAcなどの有機亜鉛化合物、Zn(OC
2 5 2 、Zn(OPh)2 などの亜鉛のアルコキシ
ドまたはアリーロキシド、Zn(acac)2 、Zn
(oxin)2 などの亜鉛の化合物類;Al(OAc)
3 、Al(OBz)3 などのアルミニウムのカルボン酸
塩、Al2 3 などのアルミニウムの酸化物、Al(O
H)3 などのアルミニウムの水酸化物、Ph3 Alなど
の有機アルミニウム化合物、Al(OCH3 3 、Al
(OC3 7 ―i)3 、Al(OPh)3 などのアルミ
ニウムのアルコキシドまたはアリーロキシド、Al(a
cac)3 、Al(oxin)3 などのアルミニウムの
キレート化合物などのアルミニウムの化合物類;(Ga
(OAc)3 、Ga(OBz)、GaO(OAc)など
のガリウムのカルボン酸塩、Ga2 3 などのガリウム
の酸化物、Ga(OH)3 などのガリウムの水酸化物、
(CH3 3 Ga、Ph3 Gaなどの有機ガリウム化合
物、Ga(OCH3 3 、Ga(OPh)3 などのガリ
ウムのアルコキシドまたはアリーロキシド、Ga(ac
ac)3 などのガリウムのキレート化合物などのガリウ
ムの化合物類;In(OAc)3 などのインジウムのカ
ルボン酸塩、In2 3などのインジウムの酸化物、
(C2 5 3 In、Ph3 Inなどの有機インジウム
化合物、In(acac)3 などのインジウムのキレー
ト化合物などのインジウムの化合物類;Ge(OAc)
4 、Ge(OBz)4 などのゲルマニウムのカルボン酸
塩、GeO2 などのゲルマニウムの酸化物、Ge(O
H)2 、Ge(OH)4 などのゲルマニウムの水酸化
物、(C2 5 4 Ge、Ph4 Ge、[(C4 9
2 GeO]n 、[Ph2 GeO]n などの有機ゲルマニ
ウム化合物、Ge(OCH3 4 、Ge(OPh)4
どのゲルマニウムのアルコキシドまたはアリーロキシド
などのゲルマニウムの化合物類;Sn(OAc)2 、S
n(OAc)4 、Sn(OBz)4 などのスズのカルボ
ン酸塩、(C2 5 4 Sn、Ph4 Snなどの有機ス
ズ化合物、(C4 9 2 SnO、[(C4 9 2
nO]n 、[(C8 172 SnO]n 、[(C
4 9 )PhSnO]n などの有機スズオキシド、(C
4 9 2 Sn(OAc)2 、ジブチルスズラウレート
などの有機スズのカルボン酸塩、SnO、SnO2 など
のスズの酸化物、Sn(OH)2 、Sn(OH)4 など
のスズの水酸化物、Sn(OCH3 2 、Sn(OC
H)3 、Sn(OC4 9 4 、Sn(OPh)2 、S
n(OPh)4
【0038】
【化15】
【0039】(C4 9 2 Sn(OCH3 2 などの
スズおよび有機スズのアルコキシドまたはアリーロキシ
ド、SnSO4 などのスズの無機酸塩、Pb(OAc)
2 、Pb(OAc)4 、Pb(OBz)2 などの鉛のカ
ルボン酸塩、PbCO3 、2PbCO3 ・Pb(OH)
2 などの鉛の無機酸塩、Na2 [Pb(OH)6 ]など
の鉛の錯化合物、PbO、PbO2 、Pb3 4 などの
鉛の酸化物、Pb(OH)2 などの鉛の水酸化物、(C
4 9 4 Pb、Ph4 Pb、(C2 5 3 PbC
l、Ph3 PbCl、(C2 5 2 PbCl2 、(C
2 5 3 Pb(OAc)などの有機鉛化合物、Pb
(OCH3 4 、Pb(OPh)4 、(C4 9 2
b(OPh)2 などの鉛および有機鉛のアルコキシドま
たはアリーロキシドなどの鉛の化合物類;Zr(OA
c)4 、Zr(OBz)4 などのジルコニウムのカルボ
ン酸塩、ZrO2 などのジルコニウムの酸化物、Zr
(OC4 94 、Zr(OPh)4 などのジルコニウ
ムのアルコキシドまたはアリーロキシド、Zr(OA
c)3 (π―C2 5 )、ZrH2 (π―C2 5 2
などの有機ジルコニウム化合物、Zr(acac)4
どのジルコニウムのキレート化合物などのジルコニウム
の化合物類などが挙げられる。これらの触媒は、1種ま
たは2種以上を併用することもできる。
【0040】かかる触媒の使用量としては、上記芳香族
ジヒドロキシ化合物1モルに対し10-8〜0.1モル、
好ましくは10-7〜10-2モル、特に好ましくは10-6
〜10-3モルの範囲で使用しうる。上記使用範囲を逸脱
すると、得られるポリカーボネートの諸物性に悪影響を
及ぼしたり、また、重縮合反応が十分に進行せず高分子
量のポリカーボネートが得られない等の問題があり好ま
しくない。
【0041】本発明では反応が実質的に終了した段階以
降に下記式(I)〜(III )で示される化合物をポリカ
ーボネートに添加する。
【0042】
【化16】
【0043】
【化17】
【0044】[ここで、Aは下記式(II)―a
【0045】
【化18】
【0046】または下記式(II)―b
【0047】
【化19】
【0048】である。]
【0049】
【化20】
【0050】式中Zは、
【0051】
【化21】
【0052】P0 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素
数1〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜22のアリ
ール基および炭素数6〜22のアラルキル基から選ばれ
る。P 1 、P2 は各々独立に、水素原子、炭素数1〜2
0のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、
炭素数6〜22のアリール基および炭素数6〜22のア
ラルキル基から選ばれる。ただしP1 およびP2 がとも
に水素原子となる場合はない。
【0053】上記式(I)中、Yはヘテロ原子を含有し
ていてもよい2価の炭化水素基であり、Xは該イミノエ
ステル環を形成している環員炭素原子を1個または2個
有する、反応条件下で非反応性の2価の炭化水素基であ
り、mは0または1である。
【0054】ヘテロ原子を含有していてもよい2価の炭
化水素基Yは、好ましくは、窒素、酸素または硫黄原子
の如きヘテロ原子、特に好ましくは酸素または硫黄原子
を1〜3個含有する2価の炭化水素基であり、これらは
反応条件下で芳香族ポリカーボネートと非反応性の置換
基を有していてもよい。かかる2価の炭化水素基として
は、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6
〜12のアリーレン基、炭素数5〜12のシクロアルキ
レン基、炭素数8〜20のアルキレン―アリーレン―ア
ルキレン基およびこれらの炭素原子の1〜3個がヘテロ
原子により置換された基を好ましいものとして挙げるこ
とができる。
【0055】また、上記非反応性の置換基としては、例
えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のア
リール基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数
8〜20のアラルキル基等を好ましいものとして挙げる
ことができる。
【0056】かかる2価の炭化水素基の好ましい具体例
としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレ
ン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレ
ン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ジ
メチルメチレンの如き炭素数1〜10のアルキレン基;
フェニレンナフチレン、ジフェニレン、式
【0057】
【化22】
【0058】[ここで、Zは―O―,―CO―,―S
―,―SO2 ―,―CH2 ―,―CH2CH2 ―,―C
(CH3 2 ―である。]で表わされる基の如き炭素数
6〜12のアリーレン基;シクロペンチレン、シクロヘ
キシレン、シクロドデカメチレンの如き炭素数5〜12
のシクロアルキレン基;p―キシリレン、m―キシリレ
ンの如き炭素数8〜20のアルキレン―アリーレン―ア
ルキレン基等を挙げることができる。これらのうちアル
キレンまたはアリーレン基が特に好ましい。
【0059】置換基の好ましい具体例としては、例えば
メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、デシルの如き炭
素数1〜10のアルキル基;フェニル、ナフチルの如き
炭素数6〜12のアリール基;シクロペンチル、シクロ
ヘキシルの如き炭素数5〜12のシクロアルキル;フェ
ネチルの如き炭素数8〜20のアラルキル基等を挙げる
ことができる。これらのうち、アルキル基またはアリー
ル基が特に好ましい。
【0060】イミノエステル環を形成している環員炭素
原子を1個または2個有する、反応条件下で非反応性の
2価の炭化水素基Xとしては、例えばメチレン基、エチ
レン基、オルソフェニレン基および反応条件下で非反応
性の置換基で置換されたこれらの基を好ましいものとし
て挙げることができる。これらの置換基としては、Yに
ついて上記した置換基と同じものを挙げることができ、
またオルトフェニレン基について置換されていてもよい
2個の置換基は互いに結合して環を形成していてもよ
い。これらのうち、置換メチレン、置換エチレンおよび
オルトフェニレンが好ましく、オルトフェニレンが特に
好ましい。
【0061】式(I)のmは0または1であり、mが0
のときには式(I)は2個の環状イミノエステル基が直
接結合していることを表わしている。
【0062】一般式(I)で表わされる化合物の具体例
として以下のものが挙げられる。
【0063】すなわち、2,2′―ビス(3,1―ベン
ゾオキサジン―4―オン)、2,2′―メチレンビス
(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、2,2′―
エチレンビス(3,1―ベンゾオキサジン―4―オ
ン)、2,2′―テトラメチレンビス(3,1―ベンゾ
オキサジン―4―オン)、2,2′―ヘキサメチレンビ
ス(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、2,2′
―デカメチレンビス(3,1―ベンゾオキサジン―4―
オン)、2,2′―p―フェニレンビス(3,1―ベン
ゾオキサジン―4―オン)、2,2′―m―フェニレン
ビス(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、2,
2′―ナフタレンビス(3,1―ベンゾオキサジン―4
―オン)、2,2′―(4,4′―ジフェニレン)ビス
(3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、2,2′―
(1,4―シクロヘキサシレン)ビス(3,1―ベンゾ
オキサジン―4―オン)、2,2′―ビス(4,5―ジ
ヒドロ―1,3,6H―オキサジン―6―オン)、2,
2′―p―フェニレンビス((4,5―ジヒドロ―1,
3,6H―オキサジン―6―オン)、2,2′―p―フ
ェニレンビス(4―メチル―5―ヒドロ―1,3,6H
―オキサジン―6―オン)等のビスオキサジノン;2,
2′―p―フェニレンビス(5(4H)―オキサゾロ
ン)、2,2′―テトラメチレンビス(4―メチル―5
(4H)―オキサゾロン)、2,2′―ヘキサメチレン
ビス(4―メチル―5(4H)―オキサゾロン)、2,
2′―テトラメチレンビス(4,4―ジメチル―5(4
H)―オキサゾロン)、2,2′―ヘキサメチレンビス
(4,4―ジメチル―5(4H)―オキサゾロン)、
2,2′―p―フェニレンビス(4,4―ジメチル―5
(4H)―オキサゾロン)等のビスオキサゾロン等が挙
げられる。
【0064】上記式(II)中、Arはヘテロ原子を含有
していてもよい4価の芳香族基であり、R1 およびR2
は同一もしくは異なる1価の炭化水素基である。
【0065】ヘテロ原子を含有していてもよい4価の芳
香族基(式(II)のAr)としては、例えば、式
【0066】
【化23】
【0067】(Zは上記定義に同じ)で表わされる単
環、縮合環または多環の4価の芳香族基を好ましいもの
として挙げることができる。これらのうち、
【0068】
【化24】
【0069】が特に好ましい。これらはYについて上記
した置換基と同じ置換基で置換されていてもよい。
【0070】式(II)のR1 およびR2 を表わす1価の
炭化水素基としては、例えば炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数6〜1
8のアリール基を好ましいものとして挙げることができ
る。これらのうち炭素数1〜10のアルキル基が特に好
ましい。
【0071】一般式(II)で表わされる化合物Xの具体
例として下記のものが挙げられる。
【0072】すなわち、2,8―ジメチル―4H,6H
―ベンゾ[1,2―d:5,4―d′]ビス―[1,
3]―オキサジン―4,6―ジノン、2,7―ジメチル
―4H,9H―ベンゾ[1,2―d:4,5―d′]ビ
ス―[1,3]―オキサジン―4,9―ジオン、2,8
―ジフェニル―4H,8H―ベンゾ[1,2―d:5,
4―d′]ビス―[1,3]―オキサジン―4,6―ジ
オン、2,7―ジフェニル―4H,9H―ベンゾ[1,
2―d:4,5―d′]ビス―[1,3]―オキサジン
―4,6―ジオン、6,6′―ビス(2―メチル―4
H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、6,6′
―ビス(2―エチル―4H,3,1―ベンゾオキサジン
―4―オン)、6,6′―ビス(2―フェニル―4H,
3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、6,6′―メ
チレンビス(2―メチル―4H,3,1―ベンゾオキサ
ジン―4―オン)、6,6′―メチレンビス(2―フェ
ニル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、
6,6′―オキシビス(2―フェニル―4H,3,1―
ベンゾオキサジン―4―オン)、6,6′―スルホニル
ビス(2―メチル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―
4―オン)、6,6′―スルホニルビス(2―フェニル
―4H,3,1―ベンゾオキサジン―4―オン)、6,
6′―カルボニルビス(2―メチル―4H,3,1―ベ
ンゾオキサジン―4―オン)、6,6′―カルボニルビ
ス(2―フェニル―4H,3,1―ベンゾオキサジン―
4―オン)等が挙げられる。
【0073】式(III )で表わされる化合物において、
0 は各々独立に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数
1〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜22のアリー
ル基および炭素数6〜22のアラルキル基から選ばれ
る。P1 、P2 は各々独立に、水素原子、炭素数1〜2
0のアルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、
炭素数6〜22のアリール基および炭素数6〜22のア
ラルキル基から選ばれる。ただし、P1 およびP2 がと
もに水素原子となる場合はない。これらの具体例として
は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、デ
シル、トリデシル、ヘキサデシルの如き、炭素数1〜2
0のアルキル基;フェニル、ナフチルの如き炭素数6〜
22のアリール基;シクロペンチル、シクロヘキシル、
4―ノニルシクロヘキシルの如き炭素数5〜20のシク
ロアルキル;トリル、フェネチル、4―トリデシルトリ
ルの如き炭素数7〜22のアラルキル基等を挙げること
ができる。
【0074】一般式(III )で表わされる化合物の具体
例として以下のものが挙げられる。
【0075】すなわち、かかるモノイミノエステル化合
物としては、2―N―メチルアミノ―3,1―ベンゾオ
キサジン―4―オン、2―N―ヘキシルアミノ―3,1
―ベンゾオキサジン―4―オン、2―N,N―ジメチル
アミノ―3,1―ベンゾオキサジン―4―オン、2―
N,N―フェニルメチルアミノ―3,1―ベンゾオキサ
ジン―4―オン、2―メトキシ―3,1―ベンゾオキサ
ジン―4―オン、2―ヘプチルオキシ―3,1―ベンゾ
オキサジン―4―オン、2―アリルオキシ―3,1―ベ
ンゾオキサジン―4―オン、2―N―エチルアミノ―
4,5―ジヒドロ―1,3,6H―オキサジン―6―オ
ン、2―N,N―ジプロピルアミノ―4,5―ジヒドロ
―1,3,6H―オキサジン―6―オン、2―N,N―
フェニルエチルアミノ―4,5―ジヒドロ―1,3,6
H―オキサジン―6―オン、2―エトキシ―4,5―ジ
ヒドロ―1,3,6H―オキサジン―6―オン、2―オ
クチルオキシ―4,5―ジヒドロ―1,3,6H―オキ
サジン―6―オン、2―メタアリルオキシ―4,5―ジ
ヒドロ―1,3,6H―オキサジン―6―オン、2―N
―プロピルアミノ―5(4H)―オキサゾロン、2―N
―オクチルアミノ―5(4H)―オキサゾロン、2―
N,N―ジプロピルアミノ―5(4H)―オキサゾロ
ン、2―N,N―ジフェニルアミノ―5(4H)―オキ
サゾロン、2―プロポキシ―5(4H)―オキサゾロ
ン、2―ノニルオキシ―5(4H)―オキサゾロン、2
―クロチルオキシ―5(4H)―オキサゾロン、2―N
―ブチルアミノ―4―メチル―5(4H)―オキサゾロ
ン、2―N―アリルアミノ―4―メチル―5(4H)―
オキサゾロン、2―N,N―ジブチルアミノ―4―メチ
ル―5(4H)―オキサゾロン、2―N―フェニルアミ
ノ―4―メチル―5(4H)―オキサゾロン、2―ブト
キシ―4―メチル―5(4H)―オキサゾロン、2―デ
シルオキシ―4―メチル―5(4H)―オキサゾロン、
2―シクロペンチルオキシ―4―メチル―5(4H)―
オキサゾロン、2―クロチルオキシ―4―メチル―5
(4H)―オキサゾロン、2―N―ペンチルアミノ―
4,4―ジメチル―5(4H)―オキサゾロン、2―N
―フェニルエチルアミノ―4,4―ジメチル―5(4
H)―オキサゾロン、2―N―ナフチルアミノ―4,4
―ジメチル―5(4H)―オキサゾロン、2―N,N―
ジアリルアミノ―4,4―ジメチル―5(4H)―オキ
サゾロン、2―N,N―ジエチルアミノ―4,4―ジメ
チル―5(4H)―オキサゾロン、2―ペンチルオキシ
―4,4―ジメチル―5(4H)―オキサゾロン、2―
ヘキシルオキシ―4,4―ジメチル―5(4H)―オキ
サゾロン、2―シクロペンチルオキシ―4,4―ジメチ
ル―5(4H)―オキサゾロン、2―シクロヘキシルオ
キシ―4,4―ジメチル―5(4H)―オキサゾロン、
2―クロチルオキシ―4,4―ジメチル―5(4H)―
オキサゾロン等を挙げることができる。
【0076】上記化合物(I)〜(III )の使用量とし
ては、ポリカーボネート末端OH基数1当量当り、化学
量論的には1当量使用すればよいが、好ましくは1当量
以上使用される。また1当量以下の使用量では、化合物
(I)〜(III )の使用量は不足であるが、本発明の目
的とする効果は、ある程度得ることができる。従って化
合物(I)〜(III )の使用量は末端OH基1当量当り
0.5〜100当量の範囲で使用しうる。しかし化学量
論的見地よりは、0.6〜50当量使用するのが好まし
く、更に好ましくは0.6〜30当量の範囲で使用され
る。
【0077】本発明に係るポリカーボネートの製造方法
では、上記化合物(I)〜(III )とともにリン化合物
を添加してもよい。このようなリン化合物としては、リ
ン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン
酸、リン酸エステルおよび亜リン酸エステルを用いるこ
とができる。
【0078】このようなリン酸エステルとしては、具体
的に、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホ
スフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホ
スフェート、トリデシルホスフェート、トリオクタデシ
ルホスフェート、ジステアリルペンタエリスリチルジホ
スフェート、トシル(2―クロロエチル)ホスフェー
ト、トリス(2,3―ジクロロプロピル)ホスフェート
などのトリアルキルホスフェート、トリシクロヘキシル
ホスフェートなどのトリシクロアルキルホスフェート、
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェー
ト、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2―エチ
ルフェニルジフェニルホスフェートなどのトリアリール
ホスフェートなどを挙げることができる。
【0079】また、亜リン酸エステルとしては、下記一
般式で表わされる化合物を挙げることができる。
【0080】P(OR)3 (式中、Rは脂環族炭化水素基、脂肪族炭化水素基また
は芳香族炭化水素基を表わす。これらは同一であっても
異なっていてもよい。)このような式で表わされる化合
物として、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチ
ルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリオクチ
ルホスファイト、トリス(2―エチルヘキシル)ホスフ
ァイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファ
イト、トリオクタデシルホスファイト、トリステアリル
ホスファイト、トリス(2―クロロエチル)ホスファイ
ト、トリス(2,3―ジクロロプロピル)ホスファイト
などのトリアルキルホスファイト、トリシクロヘキシル
ホスファイトなどのトリシクロアルキルホスファイト、
トリフェニルホスファイト、トリクリジルホスファイ
ト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス
(2,4―ジ―t―ブチルフェニル)ホスファイト、ト
リス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ヒドロ
キシフェニル)ホスファイトなどのトリアリールホスフ
ァイト、フェニルジデシルホスファイト、ジフェニルデ
シルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイ
ト、フェニルイソオクチルホスファイト、2―エチルヘ
キシルジフェニルホスファイトなどのアリールアルキル
ホスファイトなどを挙げることができる。
【0081】さらに亜リン酸エステルとして、ジステア
リルペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,4
―ジ―t―ブチルフェニル)ペンタエリスリチルジホス
ファイトなどである。
【0082】これらの化合物は、単独で、あるいは組合
せて用いることができる。これらは別々に添加してもよ
いし、あるいは同時に添加してもよい。本発明では、上
記の如きリン化合物をポリカーボネート樹脂に対して、
10〜1000ppm、好ましくは50〜500ppm
の量で添加してもよい。
【0083】上記化合物(I)〜(III )および必要に
応じてリン化合物は、重縮合反応が実質的に終了した段
階以降で添加する。すなわち、反応生成物であるポリカ
ーボネートが溶融状態にある間にこれらを添加してもよ
いし、一旦ポリカーボネートをペレタイズした後再溶融
して添加してもよい。前者においては、重縮合反応が終
了して得られる溶融状態にある反応器内または押出機内
の反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある
間に、これらを添加する。
【0084】具体的には、例えば、反応器内にある重縮
合反応で得られたポリカーボネートに化合物(I)〜
(III )および必要に応じてリン化合物を添加してポリ
カーボネートを形成した後、押出機を通してペレタイズ
してもよいし、また、重縮合反応で得られたポリカーボ
ネートが反応器から押出機を通ってペレタイズされる間
に、化合物(I)〜(III )および必要に応じて、リン
化合物を添加して、これらを混練することによってポリ
カーボネートを得ることができる。
【0085】本発明では、上記のようにして得られるポ
リカーボネートに、本発明の目的を損なわない範囲で、
以下に示すような通常の耐熱安定剤、紫外線吸収剤、離
型剤、着色剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッ
キング剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、
有機系充填剤、無機系充填剤などを添加してもよい。こ
のような添加剤は、上記化合物(I)〜(III )と同時
に添加してもよいし、別々に添加してもよい。
【0086】このような耐熱安定剤としては、具体的に
は、例えば、フェノール系安定剤、有機チオエーテル系
安定剤、ヒンダードアミン系安定剤などを挙げることが
できる。
【0087】フェノール系安定剤としては、例えば、n
―オクタデシル―3―(4―ヒドロキシ―3′,5′―
ジ―t―ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス
[メチレン―3―(3′,5′―ジ―t―ブチル―4―
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,
1,3―トリス(2―メチル―4―ヒドロキシ―5―t
―ブチルフェニル)ブタン、ジステアリル(4―ヒドロ
キシ―3―メチル―5―t―ブチル)ベンジルマロネー
ト、4―ヒドロキシメチル―2,6―ジ―t―ブチルフ
ェノール等が挙げられ、これらを単独で用いても2種以
上混合して用いてもよい。
【0088】チオエーテル系安定剤としては、例えば、
ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チ
オジプロピオネート、ジミリスチル―3,3′―チオジ
プロピオネート、ジトリデシル―3,3′―チオジプロ
ピオネート、ペンタエリスリトール―テトラキス―(β
―ラウリル―チオプロピオネート)などを挙げることが
できる。
【0089】これらは単独で用いても2種以上混合して
用いてもよい。またヒンダードアミン系安定剤として
は、例えば、ビス(2,2,6,6―テトラメチル―4
―ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6
―ペンタメチル―4―ピペリジル)セバケート、1―
[2―{3―(3,5―ジ―t―ブチル―4―ヒドロキ
シフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]―4―{3
―(3,5―ジ―t―ブチル―4―ヒドロキシフェニ
ル)プロピオニルオキシ}―2,2,6,6―テトラメ
チルピペリジン、8―ベンジル―7,7,9,9―テト
ラメチル―3―オクチル―1,2,3―トリアザスピロ
[4,5]ウンデカン―2,4―ジオン、4―ベンゾイ
ルオキシ―2,2,6,6―テトラメチルピペリジン、
2―(3,5―ジ―t―ブチル―4―ヒドロキシベンジ
ル)―2―n―ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,
6―ペンタメチル―4―ピペリジル)、テトラキス
(2,2,6,6―テトラメチル―4―ピペリジル)
1,2,3,4―ブタンテトラカルボキシレートなどを
挙げることができる。
【0090】これらは単独で用いても2種以上混合して
用いてもよい。これらの耐熱安定剤は、ポリカーボネー
ト100重量部に対して0.001〜5重量部、好まし
くは0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.
01〜0.3重量部の量で用いられることが望ましい。
【0091】このような耐熱安定剤は、固体状で添加し
てもよく、液体状で添加してもよい。このような耐熱安
定剤は、得られるポリカーボネートが最終重合器から冷
却されてペレタイズされる間の溶融状態にある間に添加
することが好ましく、このようにするとポリカーボネー
トが受ける熱履歴回数が少ない。また、押出成形やペレ
タイズなど再び加熱処理をする際には、ポリカーボネー
トは耐熱安定剤を含有しているので、熱分解を抑制する
ことができる。
【0092】また紫外線吸収剤としては、一般的な紫外
線吸収剤でよく、特に限定されないが、例えば、サリチ
ル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレー
ト系紫外線吸収剤などを挙げることができる。
【0093】サリチル酸系紫外線吸収剤としては、具体
的には、フェニルサリシレート、p―t―ブチルフェニ
ルサリシレートが挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線
吸収剤としては、2,4―ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2―ヒドロキシ―4―メトキシベンゾフェノン、
2,2′―ジヒドロキシ―4―メトキシベンゾフェノ
ン、2,2′―ジヒドロキシ―4,4′―ジメトキシベ
ンゾフェノン、2―ヒドロキシ―4―メトキシ―2′―
カルボキシベンゾフェノン、2―ヒドロキシ―4―メト
キシ―5―スルホベンゾフェノントリヒドレート、2―
ヒドロキシ―4―n―オクトキシベンゾフェノン、2,
2′,4,4′―テトラヒドロキシベンゾフェノン、4
―ドデシロキシ―2―ヒドロキシベンゾフェノン、ビス
(5―ベンゾイル―4―ヒドロキシ―2―メトキシフェ
ニル)メタン、2―ヒドロキシ―4―メトキシベンゾフ
ェノン―5―スルホン酸などが挙げられる。
【0094】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、2―(2′―ヒドロキシ―5′―メチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2―(2′―ヒドロキシ―3′,
5′―ジ―t―ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2―(2′―ヒドロキシ―3′―t―ブチル―5′―メ
チルフェニル)―5―クロロベンゾトリアゾール、2―
(2′―ヒドロキシ―3′,5′―ジ―t―ブチルフェ
ニル)―5―クロロベンゾトリアゾール、2―(2′―
ヒドロキシ―5′―t―オクチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2―(2′―ヒドロキシ―3′,5′―ジ―
t―アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2―[2′
―ヒドロキシ―3′―(3″,4″,5″,6″―テト
ラヒドロフタルイミドメチル)―5′―メチルフェニ
ル]ベンゾトリアゾール、2,2′―メチレンビス[4
―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)―6―(2
H―ベンゾトリアゾール―2―イル)フェノール]など
を挙げることができる。
【0095】シアノアクリレート系紫外線吸収剤として
は、2―エチルヘキシル―2―シアノ―3,3―ジフェ
ニルアクリレート、エチル―2―シアノ―3,3―ジフ
ェニルアクリレートなどを挙げることができる。これら
を単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
【0096】これらの紫外線吸収剤は、ポリカーボネー
ト100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、
好ましくは0.005〜1.0重量部、さらに好ましく
は0.01〜0.5重量部の量で用いることができる。
【0097】さらに、離型剤としては、一般的な離型剤
でよく、特に限定されない。例えば、炭化水素系離型剤
としては、天然、合成パラフィン類、ポリエチレンワッ
クス類、フルオロカーボン類などを挙げることができ
る。
【0098】これらの離型剤は、ポリカーボネート10
0重量部に対して、通常、0.001〜5重量部、好ま
しくは0.005〜1重量部、さらに好ましくは0.0
1〜0.5重量部の量で用いることができる。
【0099】さらに、着色剤としては、顔料であっても
よく、染料であってもよい。着色剤には、無機系と有機
系の着色剤があるが、どちらを使用してもよく、また、
組み合わせて用いてもよい。
【0100】これらの着色剤は、単独で用いても組み合
わせて用いてもよい。これらの着色剤は、ポリカーボネ
ート100重量部に対して、通常1×10-6〜5重量
部、好ましくは1×10-5〜3重量部、さらに好ましく
は1×10-5〜1重量部の量で用いることができる。
【0101】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ
ルとの重縮合反応は、従来知られている芳香族ジヒドロ
キシ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応条件と同様
な条件下で行うことができるが、具体的には、第一段目
の反応を80〜250℃、好ましくは100〜240
℃、さらに好ましくは120〜230℃の温度で0〜5
時間、好ましくは0〜4時間、さらに好ましくは0.2
5〜3時間常圧で、両者を反応させる。次いで反応系を
減圧にしながら反応温度を高めて芳香族ジヒドロキシ化
合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には1m
mHg以下の減圧下で200〜320℃の温度で芳香族
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応を
行う。
【0102】ポリカーボネートの重合度は、特別の範囲
に限定されるものではないが、好ましくは固有粘度で測
定して、0.1を超えるものについて、本発明記載の安
定化方法が有効に適用しうる。
【0103】上記のような芳香族ジヒドロキシ化合物と
炭酸ジエステルとの反応は、連続式で行ってもよくまた
バッチ式で行ってもよい。また上記の反応を行うに際し
て用いられる反応装置は、槽型であっても管型であって
も塔型であってもよい。
【0104】
【発明の効果】本発明によれば芳香族ジヒドロキシ化合
物と炭酸ジエステルとを触媒の存在下溶融重縮合して得
られるポリカーボネートに上記化合物(I)〜(III )
を配合することにより溶融安定性、耐加水分解性に優れ
たポリカーボネートを製造することができる。
【0105】
【実施例】以下実施例をあげて本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0106】
【実施例1〜6および比較例1〜6】2,2―ビス(4
―ヒドロキシフェニル)プロパン228重量部、ジフェ
ニルカーボネート208重量部および表1〜3に示す触
媒の所定量を、攪拌装置、減圧装置、蒸留塔等を具備し
た反応装置に仕込み、180℃、窒素雰囲気下、30分
間攪拌し溶解した。
【0107】次いで同温度で100mmHgの減圧下、
1時間フェノールを留出しつつ反応させた。さらに22
0℃に昇温しつつ、30mmHgに減圧し同温、同圧で
1時間反応せしめた。さらに反応系を290℃に昇温
し、0.5mmHgに減圧し、同温、同圧で1時間反応
せしめポリカーボネート樹脂を製造した。
【0108】次いで、溶融状態にある該ポリマーの末端
OH等量をNMR法により求め、表1〜3に記載の化合
物(I)〜(III )を表1に記載された量、添加し混合
した。
【0109】次に溶融状態のままで、このポリマーをギ
アポンプで、二軸押出機(L/D=20、バレル温度2
90℃)に送入した。この時必要に応じ、表1に記載の
リン化合物、フェノール系安定剤を表1に記載の所定
量、添加した。
【0110】得られたポリマーに老化試験および耐加水
分解試験を実施した。
【0111】化合物(I)〜(III )を使用しない場合
を比較例1〜6として併記した。結果はまとめて表1〜
3に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【0115】物性測定は以下のように行った。
【0116】固有粘度IV:塩化メチレン中、20℃で
測定した。 メルトフローレートMFR:JIS K―7210に準
拠測定した。 ポリマー熱老化試験:ポリマーを320℃、15分間熱
老化させた。 耐加水分解試験:ポリマーを120℃の水封オートクレ
ーブ中で10時間反応せしめ、主鎖切断割合(%)を求
めた。 末端OH等量の定量:600MHz NMRにより末端
【0117】
【化25】
【0118】の水酸基の結合している炭素原子に隣接す
る炭素原子に結合する水素原子および2,2―ビス(4
―ヒドロキシフェニル)プロパン骨格のメチル基のプロ
トン信号比より計測した。
【0119】表1〜3によれば、本発明の化合物(I)
〜(III )を添加した系では、主鎖切断割合が大巾に低
下し、ポリマー耐加水分解性が大巾に向上していること
がわかる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
    テルとを、触媒の存在下溶融重縮合してポリカーボネー
    ト樹脂を製造する方法において、反応が実質的に終了し
    た段階以降に、下記一般式(I)、(II)および(III
    )で表わされる化合物からなる群より選ばれる少くと
    も一種の化合物を添加することを特徴とする安定化され
    たポリカーボネート樹脂の製造方法。 【化1】 [式中、Yはヘテロ原子を含有していてもよい2価の炭
    化水素基、Xは該イミノエステル環を形成している環員
    炭素原子を1個または2個有する反応条件下で非反応性
    の2価の炭化水素基、mは0または1である。] 【化2】 [式中、Aは下記式(II)―a 【化3】 (ここでR2 は1価の炭化水素基である。)または下記
    式(II)―b 【化4】 (ここでR2 の定義は上記に同じである。)で表わされ
    る基であり、Arはヘテロ原子を含有していてもよい4
    価の芳香族基であり、R1 はR2 と同一もしくは異なる
    1価の炭化水素基である。] 【化5】 [式中、Zは、 【化6】 であり、P0 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1
    〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜22のアリール
    基および炭素数6〜22のアラルキル基から選ばれる。
    1 、P2 は各々独立に、水素原子、炭素数1〜20の
    アルキル基、炭素数1〜20のシクロアルキル基、炭素
    数6〜22のアリール基および炭素数6〜22のアラル
    キル基から選ばれる。ただし、P1 およびP2 がともに
    水素原子となる場合はない。]
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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