JPH0741654A - ポリカーボネート組成物の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート組成物の製造方法

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JPH0741654A
JPH0741654A JP5189550A JP18955093A JPH0741654A JP H0741654 A JPH0741654 A JP H0741654A JP 5189550 A JP5189550 A JP 5189550A JP 18955093 A JP18955093 A JP 18955093A JP H0741654 A JPH0741654 A JP H0741654A
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下 健 阪
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田 智 明 下
Koji Nagai
井 孝 司 長
Kenichi Tominari
成 研 一 富
Akio Kanazawa
澤 明 郎 金
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G64/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbonic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G64/20General preparatory processes
    • C08G64/30General preparatory processes using carbonates
    • C08G64/307General preparatory processes using carbonates and phenols

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、成形時の熱安定性、色相安定性な
どの滞留安定性に優れるとともに、耐候性、耐水性、透
明性にも優れたポリカーボネート組成物を効率よく製造
することができるポリカーボネート組成物の製造方法を
提供する。 【構成】本発明に係るポリカーボネート組成物の製造方
法は、塩基性触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物
と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させた後、反応生成物
である[A]ポリカーボネートが溶融状態にある間に、
[B]pKa値が3以下であるイオウ含有酸性化合物ま
たはその誘導体と、[C]ポリカーボネートに対して5
〜1000ppm の水と、必要に応じて[D]添加剤とを
添加することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ポリカーボネート組成物
の製造方法に関し、さらに詳しくは、成形時の熱安定
性、色相安定性などの滞留安定性に優れるとともに、耐
候性、耐水性にも優れたポリカーボネート組成物を製造
しうるポリカーボネート組成物の製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリカーボネートは、耐衝撃性な
どの機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性などにも
優れており、各種機械部品、光学用ディスク、自動車部
品などの用途に広く用いられている。
【0003】このようなポリカーボネートは、従来、ビ
スフェノールなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲ
ンとを直接反応させる方法(界面法)、あるいは、芳香
族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交
換反応させる方法(溶融法)によって製造されている。
【0004】これらのうち、溶融法(溶融重縮合法)
は、界面法と比較して安価にポリカーボネートを製造す
ることができるという利点を有するとともに、ホスゲン
などの毒性物質を用いないので、環境衛生上好ましい。
【0005】ところで従来のポリカーボネートでは、成
形時などの溶融時に滞留安定性に劣ることがあり、その
一部が熱分解して、分子量が低下したり、着色してしま
うことがあった。
【0006】このようなポリカーボネートの滞留安定性
を向上させる方法としては、従来、溶融重縮合法におい
ては、アルカリ性化合物触媒の存在下に、芳香族ジヒド
ロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させた
後、反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にあ
る間に、使用目的に応じた添加剤を混練することによっ
て製造中にポリカーボネートが受ける熱履歴回数を減ら
す方法(特開平4−103626号公報)、またアルカ
リ性化合物触媒の存在下に、芳香族ジヒドロキシ化合物
と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させた後、酸性化合物
を添加する方法(特開平4−175368号公報、特開
平4−328124号公報)が開示されている。
【0007】本発明者らは、溶融重縮合法によりポリカ
ーボネートを製造する方法についてさらに研究したとこ
ろ、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶
融重縮合させた後、反応生成物であるポリカーボネート
が溶融状態にある間に、pKa値が3以下であるイオウ
含有酸性化合物またはその誘導体と特定量の水とを添加
・混練することにより、より一層成形時の熱安定性、色
相安定性などの滞留安定性に優れるとともに、耐候性、
耐水性にも優れたポリカーボネート組成物を得ることを
見出して本発明を完成するに至った。
【0008】なお界面重合法においては、得られたポリ
カーボネート粉末を混練する際に、水をポリカーボネー
ト100重量部に対して0.2〜20重量部の量で添加
して、ガス抜きしながら押出し、塩化メチレンなどの揮
発不純物の量を減らす方法が開示されている(特公平5
−27647号公報)。
【0009】
【発明の目的】本発明は、成形時の熱安定性、色相安定
性などの滞留安定性に優れるとともに、耐候性、耐水
性、透明性にも優れたポリカーボネート組成物を効率よ
く製造することができるポリカーボネート組成物の製造
方法を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】本発明に係るポリカーボネート組成物の
製造方法は、塩基性触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させた後、反応
生成物である[A]ポリカーボネートが溶融状態にある
間に、[B]pKa値が3以下であるイオウ含有酸性化
合物またはその誘導体と、[C]ポリカーボネートに対
して5〜1000ppm の水とを添加することを特徴とし
ている。
【0011】本発明では、上記のような[B]イオウ含
有酸性化合物またはその誘導体と[C]特定量の水とと
もに、[D]添加剤を添加することが好ましい。
【0012】本発明に係るポリカーボネート組成物の製
造方法によれば、溶融重縮合により得られた反応生成物
であるポリカーボネートが溶融状態にある間に、上記の
[B]イオウ含有酸性化合物またはその誘導体、[C]
特定量の水そして必要に応じて[D]添加剤を添加する
ことによって、耐熱安定性(溶融時の滞留安定性)が向
上されたポリカーボネート組成物が得られる。したがっ
て、ポリカーボネート組成物が製造工程中に受ける熱履
歴回数は低減されるとともに、その後の加熱処理におい
ても、ポリカーボネート組成物が熱分解するのを抑制す
ることができる。
【0013】このようなポリカーボネート組成物は、成
形時においても熱分解しにくいため、透明性および色相
安定性に優れ、機械的特性に優れるとともに、耐水性、
耐候性にも優れている。
【0014】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るポリカーボネ
ート組成物の製造方法について具体的に説明する。
【0015】[A]ポリカーボネート 本発明では、まず芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエ
ステルとを、塩基性触媒の存在下に溶融重縮合させて
[A]ポリカーボネートを製造する。
【0016】このような芳香族ジヒドロキシ化合物とし
ては、特に限定されないが、下記式[I]で示される化
合物を挙げることができる。
【0017】
【化2】
【0018】式中、R1 およびR2 は水素原子または1
価の炭化水素基であり、R3 は2価の炭化水素基であ
る。またR4 、R5 は、ハロゲンまたは1価の炭化水素
基であり、これらは、同一であっても異なっていてもよ
い。p、qは0〜4の整数である。
【0019】上記の式で示される芳香族ジヒドロキシ化
合物としては、具体的には、ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒ
ドロキシフェニル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1- メ
チルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-
ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3
-ブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシア
リール)アルカン類、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)
シクロアルカン類、4,4'-ジヒドロキシジフェニルエー
テル、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルフェニルエー
テルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、4,4'-ジ
ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'-ジヒドロキシ-
3,3'-ジメチルジフェニルスルフィドなどのジヒドロキ
シジアリールスルフィド類、4,4'- ジヒドロキシジフェ
ニルスルホキシド、4,4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジメチル
ジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシジアリール
スルホキシド類、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスル
ホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類などが挙
げられる。
【0020】また芳香族ジヒドロキシ化合物としては、
下記一般式[II]で表される化合物を用いることもでき
る。
【0021】
【化3】
【0022】式中、nは0〜4の整数である。R6 は、
炭素数1〜10の炭化水素基またはそのハロゲン化物ま
たはハロゲンであって、nが2〜4であるとき、R6
同一であっても異なっていてもよい。
【0023】上記一般式[II]で表される芳香族ジヒド
ロキシ化合物としては、具体的に、レゾルシンおよび3-
メチルレゾルシン、3-エチルレゾルシン、3-プロピルレ
ゾルシン、3-ブチルレゾルシン、3-t-ブチルレゾルシ
ン、3-フェニルレゾルシン、3-クミルレゾルシン、2,3,
4,6-テトラフルオロレゾルシン、2,3,4,6-テトラブロム
レゾルシンなどの置換レゾルシン、カテコール、ハイド
ロキノンおよび3-メチルハイドロキノン、3-エチルハイ
ドロキノン、3-プロピルハイドロキノン、3-ブチルハイ
ドロキノン、3-t-ブチルハイドロキノン、3-フェニルハ
イドロキノン、3-クミルハイドロキノン、2,3,5,6-テト
ラメチルハイドロキノン、2,3,5,6-テトラ-t-ブチルハ
イドロキノン、2,3,5,6-テトラフルオロハイドロキノ
ン、2,3,5,6-テトラブロムハイドロキノンなどの置換ハ
イドロキノンを挙げることができる。
【0024】さらに本発明では、芳香族ジヒドロキシ化
合物として、下記式で示される2,2,2',2'-テトラヒドロ
-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビ-[IH-インデ
ン]-6,6'-ジオールを用いることもできる。
【0025】
【化4】
【0026】これらのうちでは、特に2,2-ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)プロパンが好ましく用いられる。これ
らの芳香族ジヒドロキシ化合物は、2種以上組合わせて
用いることもできる。
【0027】また炭酸ジエステルとしては、具体的に
は、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネー
ト、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジル
カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェ
ニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチル
カーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシ
ルカーボネートなどを挙げることができる。
【0028】これらのうち、特にジフェニルカーボネー
トが好ましく用いられる。これらの炭酸ジエステルは、
2種以上組合わせて用いることもできる。
【0029】また上記のような炭酸ジエステル中には、
好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル
%以下の量で、ジカルボン酸あるいはジカルボン酸エス
テルが含有されていてもよい。
【0030】このようなジカルボン酸あるいはジカルボ
ン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、
テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニルなど
の芳香族ジカルボン酸類、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、セバシン酸ジフェ
ニル、デカン二酸ジフェニル、ドデカン二酸ジフェニル
などの脂肪族ジカルボン酸類、シクロプロパンジカルボ
ン酸、1,2-シクロブタンジカルボン酸、1,3-シクロブタ
ンジカルボン酸、1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,
3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジ
カルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シ
クロヘキサンジカルボン酸、シクロプロパンジカルボン
酸ジフェニル、1,2-シクロブタンジカルボン酸ジフェニ
ル、1,3-シクロブタンジカルボン酸ジフェニル、1,2-シ
クロペンタンジカルボン酸ジフェニル、1,3-シクロペン
タンジカルボン酸ジフェニル、1,2-シクロヘキサンジカ
ルボン酸ジフェニル、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸
ジフェニル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジフェニ
ルなどの脂環族ジカルボン酸類を挙げることができる。
【0031】これらは、炭酸ジエステル中に2種以上含
有されていてもよい。本発明では、芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させるに際し
て、炭酸ジエステルは、芳香族ジヒドロキシ化合物1モ
ルに対して、通常、1.0〜1.30モル、好ましくは
1.01〜1.20モルの量で用いられることが望まし
い。
【0032】また本発明では、[A]ポリカーボネート
を製造するに際して、上記のような芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸ジエステルとともに、1分子中に3個以上
の官能基を有する多官能化合物とを用いることもでき
る。
【0033】このような多官能化合物としては、フェノ
ール性水酸基またはカルボキシル基を有する化合物が好
ましく、特にフェノール性水酸基を3個含有する化合物
が好ましい。具体的には、たとえば、1,1,1-トリス(4-
ヒドロキシフェニル) エタン、2,2',2"-トリス(4-ヒド
ロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、α-メチル-
α,α',α'-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジエチ
ルベンゼン、α, α',α"-トリス(4-ヒドロキシフェニ
ル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、フロログリシ
ン、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ(4-ヒドロキシフェニ
ル)-ヘプタン-2、1,3,5-トリ(4-ヒドロキシフェニル)
ベンゼン、2,2-ビス-[4,4-(4,4'-ジヒドロキシフェニ
ル)-シクロヘキシル]-プロパン、トリメリット酸、1,
3,5-ベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸などが挙
げられる。
【0034】これらのうち、1,1,1-トリス(4-ヒドロキ
シフェニル) エタン、α, α',α"-トリス(4-ヒドロキ
シフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼンなどが好
ましく用いられる。
【0035】多官能化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合
物1モルに対して、通常は0.03モル以下好ましくは
0.001〜0.02モルさらに好ましくは0.001〜
0.01モルの量で用いられる。
【0036】本発明では、上記のような芳香族ジヒドロ
キシ化合物と炭酸ジエステルとを、塩基性触媒の存在下
に溶融重縮合させてポリカーボネート[A]を得る。こ
の塩基性触媒としては、(a) アルカリ金属化合物および
/またはアルカリ土類金属化合物を用いることが好まし
い。
【0037】アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金
属化合物としては、具体的には、アルカリ金属およびア
ルカリ土類金属の有機酸塩、無機酸塩、酸化物、水酸化
物、水素化物あるいはアルコラートなどが好ましく挙げ
られる。
【0038】より具体的には、アルカリ金属化合物とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水
素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチ
ウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、
ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステ
アリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホ
ウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸
ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リ
ン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸
水素二リチウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、
二カリウム塩、二リチウム塩、フェノールのナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩などを挙げることができ
る。
【0039】またアルカリ土類金属化合物としては、具
体的に、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水
素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロン
チウムなどを挙げることができる。
【0040】これら化合物は、2種以上組合わせて用い
ることもできる。このような(a) アルカリ金属化合物お
よび/またはアルカリ土類金属化合物は、上記芳香族ジ
ヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-8〜1×10
-3モル、好ましくは1×10-7〜2×10-6モルの量で
用いられることが望ましい。
【0041】触媒として(a) アルカリ金属化合物または
アルカリ土類金属化合物を、上記のような量で使用する
と、高い重合活性でポリカーボネートを製造できるとと
もに、得られるポリカーボネートに悪影響を及ぼさない
量で後述する酸性化合物を添加して、これら化合物が示
す塩基性を充分に中和するかあるいは弱めることができ
る。
【0042】本発明では、触媒として、上記のような
(a) アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金
属化合物とともに、(b) 塩基性化合物および/または
(c) ホウ酸化合物を用いることもできる。
【0043】このような(b) 塩基性化合物としては、た
とえば高温で易分解性あるいは揮発性の含窒素塩基性化
合物が挙げられ、具体的には、下記のような化合物を挙
げることができる。
【0044】テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド
(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
(Bu4NOH)、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキ
シド(φ−CH2(Me)3NOH )などのアルキル、アリール、
アルアリール基などを有するアンモニウムヒドロオキシ
ド類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル
ベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリオクチルア
ミン、トリドデシルアミン、トリオクタデシルアミンな
どの三級アミン類、R2 NH(式中Rはメチル、エチル
などのアルキル、フェニル、トルイルなどのアリール基
などである)で示される二級アミン類、RNH2 (式中
Rは上記と同じである)で示される一級アミン類、4-ジ
メチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン、4-
ピロリジノピリジンなどのピリジン類、2-メチルイミダ
ゾール、2-フェニルイミダゾール、2-ジメチルアミノイ
ミダゾールなどのイミダゾール類、あるいはアンモニ
ア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド(Me4N
BH4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(B
u4NBH4 )、テトラブチルアンモニウムテトラフェニル
ボレート(Bu4NBPh4)、テトラメチルアンモニウムテト
ラフェニルボレート(Me4NBPh4)などの塩基性塩など。
【0045】これらのうち、テトラアルキルアンモニウ
ムヒドロキシド類、特に金属不純物の少ない電子用テト
ラアルキルアンモニウムヒドロキシド類が好ましく用い
られる。
【0046】(b) 含窒素塩基性化合物は、芳香族ジヒド
ロキシ化合物1モルに対して、1×10-6〜1×10-1
モル以下、好ましくは1×10-5〜1×10-2モルの量
で用いられることが望ましい。
【0047】また(c) ホウ酸化合物としては、ホウ酸お
よびホウ酸エステルなどを挙げることができる。ホウ酸
エステルとしては、下記一般式で示されるホウ酸エステ
ルを挙げることができる。
【0048】B(OR)n(OH)3-n 式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル、フェニルな
どのアリールなどであり、nは1、2または3である。
【0049】このようなホウ酸エステルとしては、具体
的には、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸
トリブチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリヘプチ
ル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリトリル、ホウ酸ト
リナフチルなどが挙げられる。
【0050】触媒としての(c) ホウ酸またはホウ酸エス
テルは、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1
×10-8〜1×10-1モル、好ましくは1×10-7〜1
×10-2モル、さらに好ましくは1×10-6〜1×10
-4モルの量で用いられることが望ましい。
【0051】本発明では、塩基性触媒としては、好まし
くは上記のような(a) アルカリ金属化合物および/また
はアルカリ土類金属化合物とともに、(b) 含窒素塩基性
化合物を、また(a) アルカリ金属化合物および/または
アルカリ土類金属化合物ととともに、(b) 含窒素塩基性
化合物と、(c) ホウ酸またはホウ酸エステルとを用い
る。
【0052】このように塩基性触媒として、(a) アルカ
リ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物と
ともに、上記のような量の(b) 含窒素塩基性化合物を組
合わせて用いると、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジ
エステルとの重縮合反応を十分な速度で進行させること
ができ、高分子量のポリカーボネートを、高い重合活性
で生成させることができて好ましい。
【0053】さらに塩基性触媒として、上記のような量
の三者を組合せて用いると、熱老化後に分子量低下を起
こしにくいポリカーボネートを製造することができてよ
り好ましい。
【0054】このような触媒の存在下、芳香族ジヒドロ
キシ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応は、従来知
られている重縮合反応条件と同様な条件下で行なうこと
ができる。
【0055】具体的には、第一段目の反応を80〜25
0℃、好ましくは100〜230℃、さらに好ましくは
120〜190℃の温度で、0〜5時間、好ましくは0
〜4時間、さらに好ましくは0〜3時間、常圧下、芳香
族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応させ
る。次いで反応系を減圧にしながら反応温度を高めて、
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を
行ない、最終的には5mmHg以下、好ましくは1mmHg
以下の減圧下で、240〜320℃で芳香族ジヒドロキ
シ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応を行なう。
【0056】上記のような重縮合反応は、連続式で行な
ってもよく、バッチ式で行なってもよい。また上記の反
応を行なうに際して用いられる反応装置は、槽型であっ
ても管型であっても塔型であってもよい。
【0057】上記のようにして得られる反応生成物であ
るポリカーボネートでは、通常、20℃塩化メチレン中
で測定した極限粘度が、0.10〜1.0dl/g、好まし
くは0.30〜0.65dl/gである。
【0058】上記のように本発明においては、ポリカー
ボネートを製造するに際して、毒性物質であるホスゲ
ン、塩化メチレンなどを用いないので、環境衛生上好ま
しい。ポリカーボネート組成物の製造 本発明では、上記のようにして得られた反応生成物であ
る[A]ポリカーボネートを冷却することなく重縮合反
応後ただちに、下記のような[B]pKa値が3以下で
あるイオウ含有酸性化合物またはその誘導体(以下
[B]酸性化合物ということもある)と、[C]特定量
の水とを添加する。
【0059】[B]酸性化合物またはその誘導体 本発明で用いられる[B]pKa値が3以下であるイオ
ウ含有酸性化合物またはその誘導体について説明する。
【0060】本発明では、[B]イオウ含有酸性化合物
またはその誘導体としては、亜硫酸、硫酸、スルフィン
酸系化合物、スルホン酸系化合物およびこれらの誘導体
を挙げることができる。具体的に、亜硫酸誘導体として
は、ジメチル亜硫酸、ジエチル亜硫酸、ジプロピル亜硫
酸、ジブチル亜硫酸、ジフェニル亜硫酸などを挙げるこ
とができる。
【0061】硫酸誘導体としては、ジメチル硫酸、ジエ
チル硫酸、ジプロピル硫酸、ジブチル硫酸、ジフェニル
硫酸などを挙げることができる。スルフィン酸系化合物
としては、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン
酸、ナフタレンスルフィン酸などを挙げることができ
る。
【0062】またスルホン酸系化合物およびこの誘導体
としては、下記一般式[III]で表わされる化合物およ
びそれらのアンモニウム塩を挙げることができる。
【0063】
【化5】
【0064】式中、R7 は炭素数1〜50の炭化水素基
(水素はハロゲンで置換されていてもよい)であり、R
8 は水素または炭素数1〜50の炭化水素基(水素はハ
ロゲンで置換されていてもよい)であり、nは0〜3の
整数である。
【0065】このようなスルホン酸系化合物またはこの
誘導体としては、以下のような化合物を挙げることがで
きる。ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸など
のスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンス
ルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼン
スルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p-
トルエンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エチ
ル、p-トルエンスルホン酸ブチル、p-トルエンスルホン
酸オクチル、p-トルエンスルホン酸フェニルなどのスル
ホン酸エステル、p-トルエンスルホン酸アンモニウムな
どのスルホン酸アンモニウム塩。
【0066】さらに上記一般式[III]で表されるスル
ホン酸化合物以外にも、トリフルオロメタンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、
アクリル酸メチル-スルホン化スチレン共重合体などの
スルホン酸化合物を挙げることができる。
【0067】本発明では、[B]イオウ含有酸性化合物
として、上記一般式[III]で表されるスルホン酸系化
合物またはこの誘導体が好ましく用いられる。特に上記
一般式[III]において、R7 、R8 は炭素数1〜8の
置換脂肪族炭化水素基であり、nは0または1であるス
ルホン酸エステル化合物が好ましく用いられる。このよ
うなスルホン酸エステル化合物としては、具体的には、
ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチ
ル、p-トルエンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン
酸エチル、p-トルエンスルホン酸ブチルなどが挙げられ
る。
【0068】これらのうちでも、p-トルエンスルホン酸
メチル、p-トルエンスルホン酸エチル、p-トルエンスル
ホン酸ブチルが特に好ましく用いられる。これらの化合
物は、2種以上組合わせて用いることもできる。
【0069】本発明では、上記のような[B]酸性化合
物を、上記で得られた[A]ポリカーボネートに対し
て、0.1〜10pmm 、好ましくは0.1〜8ppm 、特に
好ましくは0.1〜5ppm の量で添加することが望まし
い。
【0070】また本発明では、上記の[B]酸性化合物
とともに[C]特定量の水を添加するが、この[C]水
は、[A]ポリカーボネートに対して、5〜1000pp
m、好ましくは10〜500ppm、さらに好ましくは20
〜300ppm の量で添加する。
【0071】このように[B]酸性化合物とともに
[C]特定量の水を添加すると、[B]酸性化合物によ
る[A]ポリカーボネート中の塩基性触媒の中和効率が
高められ、溶融時の滞留安定性に優れ、色相、透明性、
耐水性および耐候性に優れたポリカーボネート組成物が
得られる。
【0072】なお水を1000ppmより多く添加する
と、ポリカーボネートの加水分解が起こり易くなって、
ポリカーボネートの物性が低下してしまう傾向にある。
本発明では、上記のようにして反応生成物である[A]
ポリカーボネートが溶融状態にある間に、上記[B]酸
性化合物と[C]特定量の水とを添加・混練してポリカ
ーボネート組成物を得ている。
【0073】本発明では、上記のような[B]酸性化合
物と[C]特定量の水とを、上述したように重縮合反応
により得られる[A]ポリカーボネートが、反応器内ま
たは押出機内で溶融状態にある間に添加する。この際、
[B]酸性化合物と[C]特定量の水とは、別々に添加
してもよいし、あるいは同時に添加してもよく、添加順
序は限定されないが、同時に添加するのが好ましい。ま
たポリカーボネート組成物は、通常、ペレタイズされて
得られる。
【0074】[A]ポリカーボネートと[B]酸性化合
物と[C]特定量の水との混練は、一軸押出機、二軸押
出機、スタティックミキサーなどの通常の混練機により
行われ、これらの混練機はベント付きでもベントなしで
も有効に使用される。
【0075】このように反応生成物である[A]ポリカ
ーボネートが溶融状態にある間に、[B]酸性化合物と
[C]特定量の水とを添加・混練してポリカーボネート
組成物を得るには、具体的には、たとえば反応器内にあ
る重縮合反応で得られた[A]ポリカーボネートに、
[B]酸性化合物および[C]水を添加してポリカーボ
ネート組成物を形成した後、押出機を通してペレタイズ
してもよいし、また重縮合反応で得られた[A]ポリカ
ーボネートが反応器から押出機を通ってペレタイズされ
る間に、[B]酸性化合物および[C]水を添加して、
これらを混練してポリカーボネート組成物とすることも
できる。
【0076】一般的に、ポリカーボネートを使用する時
にはポリカーボネートのペレットを再溶融して耐熱安定
剤などの種々添加剤を配合している。本発明で得られる
ポリカーボネート組成物では、上記のように溶融時の熱
安定性が向上されているので溶融時の滞留安定性に優れ
ており、各種添加剤を配合したり、成形したりするに際
して、該ポリカーボネート組成物からなるペレットを再
溶融しても、熱分解が特に抑制されるため、分子量が低
下しにくく、着色しにくい。
【0077】[D]添加剤 本発明において、ポリカーボネート組成物を製造するに
際しては、本発明の目的を損なわない範囲で、上記のよ
うな[B]酸性化合物、[C]特定量の水とともに
[D]添加剤を添加することが好ましい。
【0078】このような[D]添加剤は、溶融状態にあ
る[A]ポリカーボネートに[B]酸性化合物および
[C]水と同時に添加することもできるし、別々に添加
することもできる。本発明では、以下に示すような
[D]添加剤のうちでも、反応性の添加剤は、[B]酸
性化合物および[C]水を添加した後に添加することが
好ましい。
【0079】本発明で用いられる[D]添加剤として
は、具体的に、使用目的に応じて一般的にポリカーボネ
ートに添加される添加剤を広く挙げることができるが、
耐熱安定剤、エポキシ化合物、紫外線吸収剤、離型剤、
着色剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング
剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系
充填剤、無機系充填剤などを挙げることができる。
【0080】これらのうちでも、[D]添加剤として、
以下に示すような(i) 耐熱安定剤、(ii)エポキシ化合
物、(iii) 紫外線吸収剤、(iv)離型剤および(v) 着色剤
が好ましく用いられる。これらは、2種以上組合わせて
用いることができる。
【0081】(i) 耐熱安定剤 本発明で用いられる(i) 耐熱安定剤としては、具体的に
は、たとえば、リン化合物、フェノール系安定剤、有機
チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤など
を挙げることができる。
【0082】リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、
次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、リン酸エステル
および亜リン酸エステルを用いることができる。このよ
うなリン酸エステルとしては、具体的にたとえば、トリ
メチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブ
チルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリデ
シルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、ジ
ステアリルペンタエリスリチルジホスフェート、トリス
(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3-ジクロ
ロプロピル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェ
ート、トリシクロヘキシルホスフェートなどのトリシク
ロアルキルホスフェート、トリフェニルホスフェート、
トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)
ホスフェート、2-エチルフェニルジフェニルホスフェー
トなどのトリアリールホスフェートなどを挙げることが
できる。
【0083】また、亜リン酸エステルとしては、下記一
般式で表される化合物を挙げることができる。 P(OR)3 (式中、Rは脂環族炭化水素基、脂肪族炭化水素基また
は芳香族炭化水素基を表す。これらは同一であっても異
なっていてもよい。) このような式で表される化合物として、たとえば、トリ
メチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブ
チルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリス
(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリノニルホスフ
ァイト、トリデシルホスファイト、トリオクタデシルホ
スファイト、トリステアリルホスファイト、トリス(2-
クロロエチル)ホスファイト、トリス(2,3-ジクロロプ
ロピル)ホスファイトなどのトリアルキルホスファイ
ト、トリシクロヘキシルホスファイトなどのトリシクロ
アルキルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ト
リクレジルホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホ
スファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホス
ファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ト
リス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトなどのトリア
リールホスファイト、フェニルジデシルホスファイト、
ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチ
ルホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、
2-エチルヘキシルジフェニルホスファイトなどのアリー
ルアルキルホスファイトなどを挙げることができる。
【0084】さらに亜リン酸エステルとして、ジステア
リルペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,4-ジ
-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイ
トなどを挙げることができる。
【0085】これらのうち、リン化合物として、上記一
般式で表される亜リン酸エステルが好ましく、さらに芳
香族亜リン酸エステルが好ましく、特にトリス(2,4-ジ
-t-ブチルフェニル)ホスファイトが好ましく用いられ
る。
【0086】フェノール系安定剤としては、たとえば、
n-オクタデシル-3-(4-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフ
ェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン-3-
(3',5'-ジ-t- ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]メタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキ
シ-5-t- ブチルフェニル)ブタン、ジステアリル(4-ヒ
ドロキシ-3-メチル-5-t-ブチル)ベンジルマロネート、
4-ヒドロキシメチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノール等が挙
げられる。
【0087】チオエーテル系安定剤としては、たとえ
ば、ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル
・チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3'-チオジプ
ロピオネート、ジトリデシル-3,3'-チオジプロピオネー
ト、ペンタエリスリトール-テトラキス-(β-ラウリル-
チオプロピオネート)などを挙げることができる。
【0088】またヒンダードアミン系安定剤としては、
たとえば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ
ル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピ
ペリジル)セバケート、1-[2-{3-(3,5-ジ-t-ブチル-
4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]
-4-{3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プ
ロピオニルオキシ}-2,2,6,6-テトラメチルピペリジ
ン、8-ベンジル-7,7,9,9-テトラメチル-3-オクチル-1,
2,3-トリアザスピロ[4,5]ウンデカン-2,4-ジオン、4-
ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2
-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチ
ルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジ
ル)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ
ル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレートなどを挙げ
ることができる。
【0089】これらの耐熱安定剤は、2種以上組合わせ
て用いてもよい。本発明では、(i) 耐熱安定剤は、
[A]ポリカーボネート100重量部に対して、0.0
01〜5重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、
さらに好ましくは0.01〜0.3重量部の量で用いられ
ることが望ましい。
【0090】また(i) 耐熱安定剤は、固体状で添加して
もよく、液体状で添加してもよい。(i) 耐熱安定剤は、
[A]ポリカーボネートが最終重合器から冷却されてペ
レタイズされる間の溶融状態にある間に添加することが
好ましい。
【0091】(ii)エポキシ化合物 本発明では、(ii)エポキシ化合物として、1分子中にエ
ポキシ基を1個以上有する化合物が用いられる。具体的
には、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニ
ルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t-
ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシシク
ロヘキシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカル
ボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル
メチル-3',4'-エポキシ-6'-メチルシクロヘキシルカル
ボキシレート、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル-3',
4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4-(3,4
-エポキシ-5-メチルシクロヘキシル)ブチル-3',4'-エ
ポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-エポキシ
シクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチ
ル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4-
エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6'-メチルシ
ロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノール−Aジグ
リシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−Aグ
リシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、
ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス-
エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス-エポ
キシエチレングリコール、ビス-エポキシシクロヘキシ
ルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニ
ルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エ
ポキシ化ポリブタジエン、3,4-ジメチル-1,2-エポキシ
シクロヘキサン、3,5-ジメチル-1,2-エポキシシクロヘ
キサン、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-エポキシシクロヘキ
サン、オクタデシル-2,2-ジメチル-3,4-エポキシシクロ
ヘキシルカルボキシレート、N-ブチル-2,2-ジメチル-3,
4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘ
キシル-2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキ
シレート、N-ブチル-2-イソプロピル-3,4-エポキシ-5-
メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル
-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2-エ
チルヘキシル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキ
シレート、4,6-ジメチル-2,3-エポキシシクロヘキシル-
3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5-
エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3-t-ブチル-4,5-
エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル4,5-エポ
キシ-シス-1,2-シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ
-n-ブチル-3-t-ブチル-4,5-エポキシ-シス-1,2-シクロ
ヘキシルジカルボキシレートなどを挙げることができ
る。
【0092】これらのうち、脂環族エポキシ化合物が好
ましく用いられ、特に3,4-エポキシシクロヘキシルメチ
ル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが
好ましく用いられる。
【0093】これらは、2種以上組合わせて用いてもよ
い。本発明では、このような(ii)エポキシ化合物を、
[A]ポリカーボネートに対して、1〜2000ppm の
量で、好ましくは10〜1000ppm の量で添加するこ
とが好ましい。
【0094】特に[D]添加剤として(ii)エポキシ化合
物が用いられる場合には、(ii)エポキシ化合物を[B]
酸性化合物および[C]水の添加後に添加して、過剰に
添加された[B]酸性化合物を中和することが好まし
い。このようにしてポリカーボネート組成物中に過剰に
残存することのある[B]酸性化合物を(ii)エポキシ化
合物で中和すると、耐水性および透明性に優れたポリカ
ーボネート組成物が得られる。
【0095】(iii) 紫外線吸収剤 (iii) 紫外線吸収剤としては、一般的に知られている紫
外線吸収剤が挙げられ、特に限定されないが、たとえば
サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸
収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアク
リレート系紫外線吸収剤などを挙げることができる。
【0096】サリチル酸系紫外線吸収剤としては、具体
的には、フェニルサリシレート、p-t-ブチルフェニルサ
リシレートが挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収
剤としては、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒド
ロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキ
シ-4- メトキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-
4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メト
キシ-2'- カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-
メトキシ-5-スルホベンゾフェノントリヒドレート、2-
ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'
-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-
ヒドロキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒ
ドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2-ヒドロキシ-
4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸などが挙げら
れる。
【0097】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチル-フェニル)ベンゾト
リアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチル-フ
ェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t
-ブチル-5'-メチル-フェニル)-5-クロロベンゾトリア
ゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチル-フェニ
ル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ
-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'
-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3'-(3'',4'',5'',6''-テ
トラヒドロフタルイミドメチル)-5'-メチルフェニル]
ベンゾトリアゾール、2,2'-メチレンビス[4-(1,1,3,3
-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-
イル)フェノール]などを挙げることができる。
【0098】シアノアクリレート系紫外線吸収剤として
は、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリ
レート、エチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート
などを挙げることができる。
【0099】これらは、2種以上組合わせて用いてもよ
い。本発明では、(iii) 紫外線吸収剤は、[A]ポリカ
ーボネート100重量部に対して、通常0.001〜5
重量部、好ましくは0.005〜1.0重量部、さらに好
ましくは0.01〜0.5重量部の量で用いることができ
る。
【0100】(iv)離型剤 (iv)離型剤としては、一般的な離型剤でよく、特に限定
されない。たとえば炭化水素系離型剤としては、天然、
合成パラフィン類、ポリエチレンワックス類、フルオロ
カーボン類などを挙げることができる。
【0101】脂肪酸系離型剤としては、ステアリン酸、
ヒドロキシステアリン酸などの高級脂肪酸、オキシ脂肪
酸類などを挙げることができる。脂肪酸アミド系離型剤
としては、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアロ
アミドなどの脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミ
ド類などを挙げることができる。
【0102】アルコール系離型剤としては、ステアリル
アルコール、セチルアルコールなどの脂肪族アルコー
ル、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロー
ル類などを挙げることができる。
【0103】脂肪酸エステル系離型剤としては、ブチル
ステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレー
トなどの脂肪族酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価
アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル類
などを挙げることができる。
【0104】シリコーン系離型剤としては、シリコーン
オイル類などを挙げることができる。これらは、2種以
上組合わせて用いてもよい。
【0105】本発明では、(iv)離型剤は、[A]ポリカ
ーボネート100重量部に対して、通常、0.001〜
5重量部、好ましくは0.005〜1重量部、さらに好
ましくは0.01〜0.5重量部の量で用いることができ
る。
【0106】(v) 着色剤 (v) 着色剤としては、顔料であってもよく、染料であっ
てもよい。着色剤には、無機系と有機系の着色剤がある
が、どちらを使用してもよく、また組み合わせて用いて
もよい。
【0107】無機系着色剤として、具体的には、二酸化
チタン、ベンガラなどの酸化物、アルミナホワイトなど
の水酸化物、硫化亜鉛などの硫化物、セレン化物、紺青
などのフェロシアン化物、ジンククロメート、モリブデ
ンレッドなどのクロム酸塩、硫酸バリウムなどの硫酸
塩、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、群青などの硅酸塩、
マンガンバイオレットなどのリン酸塩、カーボンブラッ
クなどの炭素、ブロンズ粉やアルミニウム粉などの金属
粉着色剤などが挙げられる。
【0108】有機系着色剤としては、具体的には、ナフ
トールグリーンBなどのニトロソ系、ナフトールイエロ
ーSなどのニトロ系、リソールレッドやボルドー10
B、ナフトールレッド、クロモフタールイエローなどの
アゾ系、フタロシアニンブルーやファストスカイブルー
などのフタロシアニン系、インダントロンブルーやキナ
クリドンバイオレット、ジオクサジンバイオレットなど
の縮合多環系着色剤などが挙げられる。
【0109】これらは、2種以上組合わせて用いてもよ
い。本発明では、(v) 着色剤は、[A]ポリカーボネー
ト100重量部に対して、通常1×10-6〜5重量部、
好ましくは1×10-5〜3重量部、さらに好ましくは1
×10-5〜1重量部の量で用いることができる。
【0110】本発明では、上記のような[D]添加剤と
して(ii)エポキシ化合物を用いることが好ましく、上述
したように(ii)エポキシ化合物をを[B]酸性化合物お
よび[C]水の添加後に添加して、過剰に添加された
[B]酸性化合物を中和することが好ましい。
【0111】なお本発明では、上記のような[B]酸性
化合物、[C]水および[D]添加剤は、反応生成物で
ある[A]ポリカーボネートに添加するに際しては、こ
れらの物性を損なわない程度に、ポリカーボネート粉末
で希釈して用いて、あるいは予め[B]および[D]を
高濃度に含むポリカーボネートマスターペレットを作成
して、このマスターペレットを添加して、最終的に目的
濃度の[B]および[D]を含むポリカーボネート組成
物を製造することもできる。特にこのようなポリカーボ
ネート粉末またはマスターペレットを使用する場合に
は、吸水量分の水が同伴されるので、目的量に不足する
水を添加して、[C]特定量の水を含むようにすれば良
い。
【0112】
【発明の効果】本発明によれば、溶融時の熱安定性、色
相安定性などの滞留安定性に優れたポリカーボネート組
成物を、確実に効率よく製造することができる。
【0113】このような本発明で得られるポリカーボネ
ート組成物は、成形時に熱分解が起こりにくいため分子
量が低下しにくいとともに、黄色化しにくく色相安定性
にも優れている。
【0114】さらに本発明によれば、ポリカーボネート
中の塩基性触媒は中性化され安定化されているので、他
の添加剤を添加する場合には、添加剤が本来有する特性
を損なうことなく、耐熱性、耐候性、耐水性などに優れ
たポリカーボネート組成物が得られる。
【0115】本発明の方法により製造されたポリカーボ
ネート組成物は、一般の成形材料として、さらにシート
などの建築材料、自動車用ヘッドランプレンズ、メガネ
などの光学用レンズ類、光学用記録材料などとして好適
に用いられる。
【0116】以下本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0117】
【実施例】本明細書において、ポリカーボネート組成物
の極限粘度[η]、MFR、色相〔YI〕、光線透過
率、ヘイズ、滞留安定性、耐水性は、以下のようにして
測定される。
【0118】[極限粘度[η]]塩化メチレン中、20
℃でウベローデ粘度計を用いて測定した。 [MFR]JIS K−7210の方法に準拠し、温度
300℃、荷重1.2Kgで測定した。
【0119】[色相]3mm厚の射出成形板をシリンダ
ー温度290℃、射出圧力1000Kg/cm、1サイクル
45秒、金型温度100℃で成形し、X、Y、Z値を日
本電色工業(株) 製の Colorand Color Defference Met
er ND-1001 DP を用いて透過法で測定し、黄色度〔Y
I〕を測定した。
【0120】 YI=100(1.277X−1.060Z)/Y [光線透過率]ASTM D 1003の方法に従い、
色相測定用の射出成形板を用いて測定した。
【0121】[ヘイズ]日本電色工業( 株) 製のNDH
−200を用い、色相測定用の射出成形板のヘイズを測
定した。
【0122】[滞留安定性]320℃の温度で15分間
射出成形機のシリンダー内に樹脂を滞留させた後、その
温度で射出成形を行い、その成形板のMFR、色相(Y
I)、光線透過率を測定した。
【0123】[耐水性]色相測定用の射出成形板をオー
トクレーブ中の水に浸漬し、125℃のオーブン中に5
日間保持する。この試験片を用いてヘイズを測定した。
【0124】[耐候性]色相測定用の射出成形板をサン
シャインウエザロメーター(スガ試験機(株)製:63
℃、カーボンアーク光源、2時間に18分の雨降り)中
に、1000時間保持した後、色相(YI)、光線透過
率を測定した。
【0125】
【実施例1】ビスフェノールA[2,2-ビス(4-ヒドロ
キシフェニル)プロパン](日本ジーイープラスチック
ス(株)製)0.44キロモルと、ジフェニルカーボネ
ート(エニィ社製)0.46キロモルとを、250リッ
トル槽型攪拌槽に仕込み、窒素置換をした後に、140
℃で溶解した。
【0126】次にこれを180℃の温度まで昇温し、触
媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを0.
11モルおよび水酸化ナトリウムを0.00044モル
(1×10-6モル/モル−ビスフェノールA)添加して
30分間攪拌した。
【0127】次に、温度を210℃まで昇温させると同
時に除々に200mmHgまで下げて30分後、温度を2
40℃まで昇温させると同時に徐々に15mmHgまで下
げて温度圧力を一定に保ち留出するフェノールの量を測
定し、留出するフェノールがなくなった時点で窒素にて
大気圧に戻した。反応に要した時間は1時間であった。
得られた反応物の極限粘度[η]は0.15dl/gであ
った。
【0128】次にこの反応物をギヤポンプで昇圧し、遠
心式薄膜蒸発機に送入し、反応を進めた。薄膜蒸発機の
温度、圧力はそれぞれ270℃、2mmHgにコントロー
ルした。蒸発機下部よりギヤポンプにて290℃、0.
2mmHgにコントロールされた二軸横型攪拌重合槽(L
/D=3、攪拌翼回転直径220mm、内容積80リット
ル)に40kg/時間で送り込み滞留時間30分にて重合
させた。
【0129】次に、得られた反応生成物を溶融状態のま
までギヤポンプにより二軸押出機(L/D=17.5、
バレル温度285℃)に送入し、反応生成物(ポリカー
ボネート)に対して、p-トルエンスルホン酸ブチル1.
8ppm 、蒸留水50ppm を添加して混練し、ダイを通し
てストランド状とし、カッターで切断してペレットとし
た。
【0130】得られたポリカーボネート組成物の極限粘
度[η]は0.49dl/gであった。結果を表1に示
す。
【0131】
【実施例2、3】実施例1において、酸性化合物と蒸留
水とをそれぞれ表1に示すような種類と量で用いた以外
は、実施例1と同様にしてペレットを得た。
【0132】結果を表1に示す。
【0133】
【比較例1】実施例1において、蒸留水を添加しなかっ
た以外は実施例1と同様にしてペレットを得た。
【0134】結果を表1に示す。
【0135】
【比較例2】実施例1において、蒸留水を表1に示す量
で用いた以外は実施例1と同様にしてペレットを得た。
【0136】結果を表1に示す。
【0137】
【比較例3】実施例1において、p-トルエンスルホン酸
ブチルおよび蒸留水を添加せずに反応生成物を直接二軸
横型攪拌重合槽からストランド状として抜き出し、カッ
ターで切断して一旦ペレットとした。
【0138】次にこのペレットに対して、p-トルエンス
ルホン酸ブチル1.8ppm 、蒸留水50ppm を添加し
て、実施例1と同様の二軸押出機により285℃で混練
してペレットを得た。
【0139】結果を表1に示す。
【0140】
【実施例4】実施例1において、p-トルエンスルホン酸
ブチル1.8ppm 、蒸留水50ppmとともに、トリス
(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(マーク 21
12 :アデカアーガス社製)500ppm 、n-オクタデシ
ル-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロ
ピオネート(マーク AO50 :アデカアーガス社製)5
00ppm 、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3',4'-
エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(セロキサイ
ド 2021P:ダイセル化学社製)500ppm 、2-(2'-ヒ
ドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
(サイアソルブ UV5411:サンケミカル社製)3000
ppm 、シリコーン離型剤(TSF437:東芝シリコーン社
製)3000ppm 、および着色剤(Plast Violet 884
0:バイエル社製)0.5ppmを添加して混練し、実施例
1と同様にしてペレットを得た。
【0141】結果を表1に示す。
【0142】
【実施例5】実施例4において、p-トルエンスルホン酸
ブチルに代えて、p-トルエンスルホン酸エチルを1.6
ppm 用いた以外は、実施例4と同様にしてペレットを得
た。
【0143】結果を表1に示す。
【0144】
【比較例4】実施例4において、蒸留水を添加しなかっ
た以外は実施例4と同様にしてペレットを得た。
【0145】結果を表1に示す。
【0146】
【実施例6】実施例4において、3,4-エポキシシクロヘ
キシルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキシルカルボキ
シレートとシリコーン離型剤とを、p-トルエンスルホン
酸ブチル、蒸留水50ppm 、トリス(2,4-ジ-t-ブチル
フェニル)ホスファイト、n-オクタデシル-3-(4-ヒド
ロキシ-3,5,-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、2
-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリ
アゾールおよび着色剤を添加した後に、押出機の下流の
フィード口より添加して混練した以外は、実施例4と同
様にしてペレットを得た。
【0147】結果を表1に示す。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/41 (72)発明者 長 井 孝 司 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 日本ジーイープラスチックス株式会社岩国 研究所内 (72)発明者 富 成 研 一 千葉県市原市千種海岸3番地 日本ジーイ ープラスチックス株式会社千葉事業所内 (72)発明者 金 澤 明 郎 千葉県市原市千種海岸3番地 日本ジーイ ープラスチックス株式会社千葉事業所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩基性触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ
    化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させた後、反応
    生成物である[A]ポリカーボネートが溶融状態にある
    間に、[B]pKa値が3以下であるイオウ含有酸性化
    合物またはその誘導体、および[C]ポリカーボネート
    に対して5〜1000ppm の水を添加し混練することを
    特徴とするポリカーボネート組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】塩基性触媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ
    化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させた後、反応
    生成物である[A]ポリカーボネートが溶融状態にある
    間に、[B]pKa値が3以下であるイオウ含有酸性化
    合物またはその誘導体、[C]ポリカーボネートに対し
    て5〜1000ppm の水、および[D]添加剤を添加し
    混練することを特徴とするポリカーボネート組成物の製
    造方法。
  3. 【請求項3】塩基性触媒は、 芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1×10-8
    〜1×10-3モルの量の(a) アルカリ金属化合物および
    /またはアルカリ土類金属化合物を含有することを特徴
    とする請求項1または2に記載のポリカーボネート組成
    物の製造方法。
  4. 【請求項4】(a) アルカリ金属化合物および/またはア
    ルカリ土類金属化合物は、 芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、1×10-7
    〜2×10-6モルの量であることを特徴とする請求項3
    に記載のポリカーボネート組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】[B]pKa値が3以下であるイオウ含有
    酸性化合物またはその誘導体を、 反応生成物である[A]ポリカーボネートに対して、
    0.1〜10ppm の量で用いることを特徴とする請求項
    1に記載のポリカーボネート組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】[B]pKa値が3以下であるイオウ含有
    酸性化合物またはその誘導体を、 反応生成物である[A]ポリカーボネートに対して、
    0.1〜5ppm の量で用いることを特徴とする請求項1
    に記載のポリカーボネート組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】[B]pKa値が3以下であるイオウ含有
    酸性化合物またはその誘導体が、下記一般式[III]で
    表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載
    のポリカーボネート組成物の製造方法: 【化1】 〔式中、R7 は炭素数1〜50の炭化水素基(水素はハ
    ロゲンで置換されていてもよい)であり、R8 は水素ま
    たは炭素数1〜50の炭化水素基(水素はハロゲンで置
    換されていてもよい)であり、nは0〜3の整数であ
    る。〕。
  8. 【請求項8】前記一般式[III]で表される化合物にお
    いて、R8 は炭素数1〜8の炭化水素基(水素はハロゲ
    ンで置換されていてもよい)であることを特徴とする請
    求項7に記載のポリカーボネート組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】[D]添加剤は、耐熱安定剤、エポキシ化
    合物、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤からなる群より選
    ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2
    に記載のポリカーボネート組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】[D]添加剤がエポキシ化合物であっ
    て、かつエポキシ化合物を、 反応生成物である[A]ポリカーボネートに、 上記[B]pKa値が3以下であるイオウ含有酸性化合
    物またはその誘導体および[C]水を添加した後に添加
    することを特徴とする請求項2に記載のポリカーボネー
    ト組成物の製造方法。
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