JPH0753633B2 - 半導体エピタキシヤル成長法 - Google Patents

半導体エピタキシヤル成長法

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JPH0753633B2
JPH0753633B2 JP21404986A JP21404986A JPH0753633B2 JP H0753633 B2 JPH0753633 B2 JP H0753633B2 JP 21404986 A JP21404986 A JP 21404986A JP 21404986 A JP21404986 A JP 21404986A JP H0753633 B2 JPH0753633 B2 JP H0753633B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はIII−V族化合物半導体薄膜の成長法に関する
ものである。
[従来の技術] III−V族化合物半導体薄膜の成長法としては、これま
で有機金属気相成長法(MOCVD法)、分子線エピタキシ
法(MBE法)などが知られている。III−V族化合物半導
体としてGaAsを例として説明すれば、MOCVD法では基板
上に例えばトリメチルガリウム(TMG)とアルシン(AsH
3)を供給してGaAs層を基板に形成する。MBE法では、基
板上にGa分子線とAs分子線を基板に照射してGaAs層を形
成するが、一般的にはGaAsはAs過剰の条件下で形成され
ていた。このようにMOCVD法ではGa化合物とAs化合物を
反応させてGaAsを形成し、MBE法ではAsの過剰雰囲気下
でGaAsを形成するので、成長表面に供給される原料物質
は成長表面上またはその近傍ではGa−As分子またはそれ
に近い構造となっている。このような構造の物質の基板
表面での移動速度は遅く、しかも移動速度は成長温度の
低下とともに減小する。そのために成長温度を下げると
成長表面に供給されたGaやAsはその熱的に安定な位置で
ある格子点に到達できず、原子的に平坦な表面およびヘ
テロ界面をもつ薄膜結晶を成長させることができない欠
点があった。
MBE法におけるGaサイトへのAs侵入を防ぐために、GaAs
基板上にGa分子線とAs分子線を交互に照射する方法が特
開昭60−112692号公報において提案されている。しかし
この方法はAs分子線照射後、Ga照射まで一定時間の停止
期間を設けてあるので、成長結晶中からAsが抜ける危険
があり、また結晶成長に長時間を要する。
[発明が解決しようとする問題点] 上述したように、従来のIII−V族化合物半導体薄膜の
形成法には、(1)成長に長時間を要すること、(2)
成長温度が高温であること、(3)成長面およびヘテロ
界面が平坦でないこと、(4)成長する結晶中に不純物
が混入し易く、または欠陥が生じ易いこと、などの欠点
があった。
本発明は従来におけるこれらの問題点を解決し、原子的
に平坦な成長面、ヘテロ界面をもち、結晶の品質の良い
III−V族化合物半導体薄膜を低温の基板上に速い成長
速度で形成することのできる半導体エピタキシャル成長
法を提供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] このような目的を達成するために、本発明の半導体エピ
タキシャル成長法は基板上にIII族元素とV族元素とを
交互に供給して基板上にIII−V族化合物半導体薄膜結
晶を成長させる半導体エピタキシャル成長法において、
III族元素と反応して化合物を形成しない量のV族元素
を常時基板に照射しながら、III族元素のビームと熱的
にクラッキングされたV族元素のビームとを交互に基板
上に照射して基板上にIII−V族化合物半導体を形成す
ることを特徴とする。
[作用] 本発明によればIII族元素とV族元素を交互に供給する
ため、結晶材料のIII族原子の表面移動が活発化し低温
成長が可能になり、III族元素供給時にも少量のV族元
素を供給するため、V族原子の空格子点の少ない良質の
結晶が成長でき、さらにV族元素の分子を熱的にクラッ
キングして2原子分子または原子状として基板に供給す
ることにより、良質の結晶成長が可能になるばかりでな
く、成長時間の大幅に短縮される。
[実施例] 以下にMBE装置を用いGaAs単結晶基板上にGaAsを成長さ
せる場合を例として本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、ガリウムと結合してGaAsを形成しない
微量のひ素を基板上に常時供給しながらガリウムとひ素
を基板上に交互に供給する。そして少なくとも交互に供
給されるひ素として熱的にクラックされた2原子分子の
As2または単原子のAsを用いる。
第1図にGaAs基板上にGaAs薄膜をエピタキシャル成長さ
せる場合の原料元素の供給のタイムチャートを示す。
図示するように、ひ素ビームの強度はφとφの間で
かわり、ガリウムビームの強度は0とφGaの間でパルス
状に変化する。2個のひ素源を用いて、そのうちの1個
から常時強度φのビームを基板に照射しながら、ガリ
ウム源と第2のひ素源からそれぞれφGaの強度のガリウ
ムビームとφ−φの強度のひ素ビームを基板上に交
互に照射してもよい。
φGaの大きさは、ガリウム源の加熱温度と、1照射ごと
の供給時間とで決めることができる。GaAs単結晶基板の
(100)面上に結晶を成長させる場合は、配位側から1
原子面の形成に6.4×1014個/cm2のガリウム原子の供給
を必要とする。従って第1図のタイムチャートにおいて
τを1秒とすれば、φGaは6.4×1014個/cm2・secとな
る。ただしφGaの大きさは厳密でなく、1原子面形成に
必要なGa原子量の90〜110%のGa原子を基板上に供給で
きればよい。
一方φとしては、ガリウム原子と結合しないひ素量に
抑えねばならず、ひ素安定化表面の形成に必要なひ素分
圧の1/10以下とする。この分圧は基板温度の関数であ
り、基板温度400℃では2×10-7Torr程度,100℃では0.5
×10-7〜1×10-7Torr程度である。この分圧はひ素原子
の照射強度としては、基板温度400℃で1×1014個/cm2
・sec,100℃では2.5×1013〜5×1013個/cm2・secに相
当する。
φはGaAsを形成するために必要なひ素原子の照射強度
であり、GaAs単結晶基板の(100)面における成長では
6.4×1014個/cm2以上のひ素原子を1回の照射で(第1
図における時間τの間に)基板上に照射し得る強度で
ある。これはひ素分圧で言えば基板温度400℃で1×10
-6〜2×10-6Torr,100℃では0.5×10-6〜1×10-6Torr
またはそれ以上のひ素分圧で実現される。
本発明においては、ひ素ビームのうち、少なくともGaAs
形成のためのビーム(φに相当するビーム)を熱的に
クラッキングして2原子分子As2またはAs原子ビームと
する。
本発明の方法によると照射時のひ素分圧が低いので、ガ
リウムはほとんどGa原子として表面に吸着される。ひ素
原子面上に吸着されたこのようなGa原子は表面での移動
は極めて活発である。このため低温でもGa原子の平坦な
原子面が形成され、良質の結晶が得られる。すなわちひ
素の分圧が低いので基板表面でGaはAsと結合せず、活発
に基板表面で移動し得るので基板表面全体にいきわた
り、Gaの空孔が発生しない。また常時ひ素の分圧が存在
するので、成長中の結晶からAs原子が抜けることもな
い。また後に説明するようにひ素をクラッキングするこ
とによって成長速度を速めることができる。
第2図にクラッカセルの1例の断面図を示す。図におい
て、1はセル本体で、内部に金属ひ素2を納めている。
3はセルに内蔵されているヒータである。ヒータ3によ
って加熱され、蒸発した4原子分子As4はクラッキング
部5に入り、ヒータ6によって高温に加熱される。7は
タンタルなどの高融点金属板で、加熱されたAs4蒸気を
衝突させる。高温加熱による熱解離に加え、衝突によっ
て、As4→As2の解離が促進される。8は例えばメッシュ
のようなディフューザで、2原子分子As2を基板に一様
に照射させるためのものである。9はセル本体とクラッ
キング部を熱的に遮断する断熱フィルタ、10はシャッ
タ、11はシャッタ開閉用の軸である。
2個のクラッカセルを準備し、一方のクラッカセルのシ
ャッタは開放のままとし、セルの温度を比較的低温に保
ってビーム強度φの照射を行い、他のセルは比較的高
温に保ち、シャッタ10を開閉してパルス状に強度φ
照射を行うことができる。
また第3図に示すように、シャッタ10に孔12を設けてお
き、シャッタ10を開放した時にビーム強度がφに、シ
ャッタ10を閉じた時にビーム強度がφとなるようにす
ることができる。このようにすれば1個のひ素源によっ
て、ひ素の照射強度をφとφの間でパルス状に変化
させることができる。
温度200℃のGaAs単結晶(100)面上にGaAs薄膜を成長さ
せた。原料元素の供給は、ガリウム源の温度970℃、1
照射時間(第1図のτ)を1秒とした。これはほぼ6.
4×1014個/cm2・secのビーム強度である。ひ素について
はガリウム周期にはひ素分圧を1×10-7Torrに保ちなが
ら、ガリウムと交互に1×10-6Torrの分圧を2秒間保っ
た(τ=2秒)。ひ素のクラッキングは1000℃で行っ
た。成長の開始前に基板温度を約580〜600℃に昇温し、
ひ素ビームを照射して基板表面の酸化膜を除去してか
ら、基板温度を所定温度に下げて成長を行わせてもよ
い。
第4図の曲線Aはこのようにして作成したGaAs薄膜の反
射電子線回折(RHEED)強度の変化を示す。Gaセルのシ
ャッタはt=0で開かれるが、それと同時にRHEED鏡面
反射ビーム強度は減少する。時間τ後1原子層成長を
終了してGaシャッタを閉じ、Asビームの強度をφ→φ
に上昇させるとRHEED強度は再び回復し、ほとんども
との強度まで戻る。Gaは基板表面を移動しやすく、表面
の乱れを誘起するため、Ga供給時にRHEED強度は弱くな
り、AsはGaをとらえてGaAsを形成し基板表面の配列を規
則的にするためRHEED強度を強くすると考えられる。
他の条件は同じで、ひ素のクラッキングを行わない場合
のRHEED強度の変化を第4図の曲線Bに示す。クラッキ
ングを行わず、4原子分子As4を用いた場合はRHEED強度
回復に長時間を要し、このため一定時間τの間には回
復が十分にすすまず曲線Bのような結果となる。これは
Ga原子面上へのAsの吸着が、低基板温度のためにAs4→A
s2→Asへのクラッキングが進まず、長時間を必要とする
ためである。
クラッキングの温度は高いほどよいが、As4分子をクラ
ッキングするには900℃以上で効果がある。またひ素源
として金属ひ素でなく、ひ素の水素化物であるAsH3を例
えば導入管を通して装置内に導き、導入管を加熱するこ
とによってAsH3をクラッキングしてAs原子とすることも
できる。この場合も第4図の曲線Aに示したと同様にRH
EED強度の振動に減衰が起らない。
以上の実施例では、基板温度を200℃とした例について
説明したが、本発明の方法によれば、従来の基板温度約
600℃に対し、基板温度400℃以下の低温、最低100℃で
も良好な結晶を速い成長速度で成長させることができ
る。
またこれまでGaAsを例として説明してきたが本発明は他
のIII−V族化合物半導体に広く適用できることは言う
までもない。
[発明の効果] 以上説明したように本発明によればIII族元素とV族元
素を交互に供給し、かつIII族元素供給時に少量のV族
元素を供給するため 1) 結晶材料の表面移動が活発化し低温成長が可能に
なること、 2) III族元素供給時にも少量のV族元素を供給する
ため、V族原子の空格子点の少ない良質の結晶が成長で
きること、 3) さらにV族元素の分子を熱的にクラッキングして
2原子分子または原子状として基板に供給することによ
り、良質の結晶成長が可能になるばかりでなく、成長時
間の大幅に短縮される等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例における原料元素供給のタイミ
ングチャート、 第2図はクラッカセルの概略を示す断面図、 第3図はシャッタの一例の平面図、 第4図は成長させたGaAs結晶の反射電子ビーム強度の時
間変化を示す線図である。 1……セル本体、 2……金属ひ素、 3,6……ヒータ、 5……クラッキング部、 7……金属板、 8……ディフューザ、 9……断熱フィルタ、 10……シャッタ、 11……シャッタ駆動軸、 12……孔。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上にIII族元素とV族元素とを交互に
    供給して前記基板上にIII−V族化合物半導体薄膜結晶
    を成長させる半導体エピタキシャル成長法において、II
    I族元素と反応して化合物を形成しない量のV族元素を
    常時前記基板に照射しながら、III族元素のビームと熱
    的にクラッキングされたV族元素のビームとを交互に前
    記基板上に照射して該基板上にIII−V族化合物半導体
    を形成することを特徴とする半導体エピタキシャル成長
    法。
  2. 【請求項2】前記熱的にクラッキングされたV族元素
    が、V族の金属元素を加熱蒸発して発生させた4原子分
    子を熱的にクラッキングした2原子分子であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の半導体エピタキシ
    ャル成長法。
  3. 【請求項3】前記熱的にクラッキングされたV族元素
    が、V族元素の水素化物を熱的にクラッキングしたV族
    元素の原子であることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の半導体エピタキシャル成長法。
JP21404986A 1985-12-09 1986-09-12 半導体エピタキシヤル成長法 Expired - Lifetime JPH0753633B2 (ja)

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US07/088,641 US4829022A (en) 1985-12-09 1986-12-09 Method for forming thin films of compound semiconductors by flow rate modulation epitaxy
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