JPH0753580A - 含燐ジカルボン酸の製造法 - Google Patents

含燐ジカルボン酸の製造法

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JPH0753580A
JPH0753580A JP19974593A JP19974593A JPH0753580A JP H0753580 A JPH0753580 A JP H0753580A JP 19974593 A JP19974593 A JP 19974593A JP 19974593 A JP19974593 A JP 19974593A JP H0753580 A JPH0753580 A JP H0753580A
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reaction
reaction mixture
solvent
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diphenylphosphine oxide
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JP19974593A
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Inventor
Takashi Hirai
隆史 平井
Kenji Ohashi
賢治 大橋
Atsuko Ueda
敦子 植田
Tetsuo Matsumoto
哲夫 松本
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 芳香族ポリエステルに共重合させると耐炎性
と付与するに好適な含燐2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸を高収率で高純度結晶として製造でき
る方法を提供する。 【構成】 テトラヒドロフランと芳香族炭化水素溶媒と
の混合溶媒中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた溶液状の反応混合物を
還流下に加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイ
タコン酸との反応を進行させ、該反応の生成物として次
の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含燐ジカルボン酸の一
種である2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸の製造方法に関する。
【0002】さらに詳しくは、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)あるいはポリブチレンテレフタレート
(PBT)に代表されるような芳香族ポリエステルを製
造するに際し、本発明の製造方法の目的化合物を原料単
量体と共重合させることにより、ポリエステルの良好な
特性、特に染色耐光堅牢度を損わずにポリエステルに耐
炎性を付与するのに極めて好適であると認められた含燐
ジカルボン酸の一種、2−(ジフェニルホスフィニルメ
チル)コハク酸の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】特公昭60−7640号公報には、下記
の一般式(A):
【0004】〔ただし式中、R1 、R2 はそれぞれ同じ
かまたは異なる基であって、ハロゲン原子を含むかまた
は含まない炭素原子数1〜18の炭化水素基、R3 〜R
5 は水素原子または炭素原子数1〜8の低級アルキル
基、R6 、R7 はそれぞれ−COOR3 で示され、R5
は水素原子またはヒドロキシ基を含むか含まない炭素原
子数1〜18の有機基であり、R6 、R7 とは を介して環を形成してもよい。またnは0または1〜3
を表わす〕で示される含燐化合物がポリエステルの製造
時に共重合でき且つ難燃性を与える化合物として広く特
許請求されているが、その化合物としての具体的な例示
例は、(1,2−ジカルボキシエチル)ジメチルホスフ
ィンオキサイドとそのジメチル又はジエチルエステル体
を初めとする15例にすぎない。
【0005】それら例示化合物のうちには、本発明の方
法の製造対象とする2−(ジフェニルホスフィニルメチ
ル)コハク酸が(2,3−ジカルボキシプロピル)ジフ
ェニルホスフィンオキシドの名称で記載され、またそれ
の対応のジカルボン酸無水物が化学構造式で示されてい
るけれども、これら両例の化合物の具体的な物理化学的
性状も、具体的な製造法も特公昭60−7640号公報
には全く記載されていない。
【0006】また、特公昭60−7640号公報の実施
例1〜4には、上記の一般式(A)の含燐化合物のうち
の室温で液体状である(2,3−低級アルキルカルボニ
ルプロピル)ジ低級アルキルホスフィンオキサイド(何
れも、エステル体である)の製造法について、ジエチル
ホスフィンオキサイドとイタコン酸ジ(低級)アルキル
エステルを原料として用いる場合を例に取って説明する
けれども、概説的に説明される製造方法及び実施例で具
体的に例示される製造手法は、室温で液体状である各出
発物質、すなわちジ(低級)アルキルホスフィンオキサ
イドとイタコン酸ジ(低級)アルキルエステルを溶媒の
非存在下に室温で混合した後、得られた液状の混合物を
不活性気体の雰囲気下に100℃以上、好ましくは12
0〜200℃の温度で加熱、攪拌し、次いで、得られた
反応物を減圧下に蒸留することにより、反応物から、目
的物である室温で液体状の(2,3−低級アルコキシカ
ルボニルプロピル)ジ低級アルキルホスフィンオキサイ
ド(低級アルキルエステル体である)を蒸留法で分離、
採取する方法に限られる(但し、副反応を抑制するため
に、メタノール、エタノールの如き低級アルコール、あ
るいはエチレングリコールの如きグリコールを反応溶媒
として存在させても良いとは付言されるが、溶媒を用い
た反応実験例は全く記載されない)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、芳香族
ポリエステルに容易に共重合できて且つポリエステルに
良好な耐炎性を付与できる含燐ジカルボン酸化合物を提
供する目的で研究を行った。その研究の結果、特定な含
燐ジカルボン酸化合物、すなわち後記の式(I)で表わ
される2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸
が芳香族ポリエステルに容易に共重合され、2−(ジフ
ェニルホスフイニルメチル)コハク酸を共重合した芳香
族ポリエステルは良好な耐炎性を示し、かつポリエステ
ルの欠点である染色後の耐光性(染色耐光堅牢度)の悪
化が認められない点で特にすぐれて好適であることを知
見した。
【0008】そこで、式(I)の2−(ジフェニルホス
フィニルメチル)コハク酸の工業的に有利に実施しうる
製造法を開発すべく研究を行った。しかし、式(I)の
化合物は融点が165℃以上である室温で無定形な固体
又は結晶の物質であり、また原料として使用すべきイタ
コン酸は室温で固体(ただし水溶性)であり且つ他方の
原料のジフェニルホスフィンオキサイドは室温で固体で
あるから、これら原料化合物は溶媒を使用しない限り相
互に均質に混合することができない。またそれらを反応
させた反応物からは、室温に固体状である式(I)の目
的化合物を特公昭60−7640号公報に記載の減圧蒸
留法によっては分離しがたい。しかも、イタコン酸を使
用するため、メタノール、エタノールの如き低級アルコ
ールが使用できない(エステル化の必要はない)。
【0009】本発明者らは、ベンゼン、トルエン、キシ
レンの如き芳香族炭化水素系の溶媒を単独に用い、これ
にイタコン酸とジフェニルホスフィンオキサイドを溶解
し、その溶液中で反応を行うことを試みたが、反応液が
攪拌しても混和しない上層と粘稠な下層に分離したり、
反応生成物として生成した式(I)の目的化合物の固体
又は結晶が反応器壁に強固に付着して回収し難い等の反
応操作上の難点を示すばかりでなく、原料化合物の変換
率は良好であるが式(I)化合物の回収収率が低い欠点
があることを見出した。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、式(I)
で表わされる2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コ
ハク酸の製造方法につき、更に種々検討した。その結
果、イタコン酸とジフェニルホスフィンオキサイドとの
反応に用いる溶剤として、テトラヒドロフランを添加さ
れた芳香族炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、等)、あるいは水を添加された芳香族炭化水素、好
ましくはトルエンを用い、しかも反応操作法も工夫する
ことによって、式(I)の含燐ジカルボン酸のきれいな
結晶を円滑に、しかも高収率、高純度で収得できること
を見いだした。
【0011】したがって、第1の本発明の要旨とすると
ころは、テトラヒドロフランと芳香族炭化水素溶媒との
混合溶媒中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた溶液状の反応混合物を
還流下に加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイ
タコン酸との反応を進行させ、該反応の生成物として次
の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶が反応混合物から析出した後に反応混合物の加熱を続
けながら反応混合物からテトラヒドロフランと芳香族炭
化水素溶媒とを蒸留により留去し、この留去と並行的
に、溶解している未反応のジフェニルホスフィンオキサ
イドと未反応のイタコン酸と反応生成物の析出結晶とを
含む被蒸留物に芳香族炭化水素を添加して溶媒が芳香族
炭化水素のみから成るようにさせ、こうして芳香族炭化
水素のみを反応溶媒として含むように形成された反応混
合物を再び加熱下に還流させて未反応の原料化合物の反
応を続け、これにより2−(ジフェニルホスフィニルメ
チル)コハク酸の結晶の析出を続行させながらジフェニ
ルホスフィンオキサイドとイタコン酸の反応を完全又は
実質的に完全に終了するまで行うことを特徴とする、上
記の式(I)の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)
コハク酸の製造法が提供される。
【0012】次に、第1の本発明の方法の実施法を詳述
する。式(II)のジフェニルホスフィンオキサイドと、
式(III)のイタコン酸とを、テトラヒドロフラン(TH
F)と芳香族炭化水素溶媒との混合溶媒にとかし、その
反応混合物を窒素等の不活性ガスの雰囲気下に加熱して
還流下に反応させると、反応生成物(I)の結晶種を析
出し始める。その後、反応混合物中に存在する溶媒が芳
香族炭化水素、好ましくはトルエンのみになるように溶
媒を置換してから還流下に反応を終了させる。
【0013】更に詳しく言えば、第1の本発明方法で
は、THFと芳香族炭化水素溶剤、例えばベンゼン、ト
ルエン、キシレン等との混合溶媒中にジフェニルホスフ
ィンオキサイド(II)とイタコン酸(III)とを溶解さ
せ、得られた溶液状の反応混合物を加熱して還流下反応
させる。2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸(I)の結晶が反応混合物中で析出し始めた時点で溶
媒量が一定であるようにTHF/芳香族炭化水素の混合
溶媒を単一の芳香族炭化水素と取代える溶媒置換を行
う。この溶媒置換において、THF/トルエンを使用し
たときは、トルエン又はキシレンに置換し、またTHF
/キシレンを使用したときはキシレンに置換するのが特
によい。この芳香族炭化水素と取代える溶媒置換は、反
応混合物中で結晶が析出した後、反応混合物の加熱を続
けながら反応混合物からTHFと芳香族炭化水素とを蒸
留により留去し、それと並行的に反応系へ芳香族炭化水
素を添加することにより行う。
【0014】さらに芳香族炭化水素による溶媒置換をし
た後に、反応混合物の加熱と還流を再開して未反応原料
の反応を反応の終了まで続けることにより、反応生成物
の結晶が反応器壁に付着せず且つ原料の変換率が80%
より高く向上して高収率で高純度の2−(ジフェニルホ
スフィニルメチル)コハク酸(I)のきれいな結晶体を
得ることができる。
【0015】ここで上記の溶媒置換を行なわないで反応
を進めると、後記の比較例3に示すように原料の変換率
や収率が低い。また、最初に使用溶媒にTHFを入れて
おかないと、後記の比較例1、2に示すように原料の変
換率は高いものの、攪拌しても、反応液の二層分離が起
り、反応操作が円滑に行かないので、高純度の2−(ジ
フェニルホスフィニルメチル)コハク酸(I)を得るた
めに面倒な操作が必要となり、回収できる化合物(I)
の収率が低く留まる。
【0016】第1の本発明方法の場合の反応開始時の最
初の使用される混合溶媒中のTHFと芳香族炭化水素溶
媒の比率は、重量比で1:1〜1:4の範囲であり、好
ましくは1:1.5〜1:2.5の範囲である。また、
混合溶媒の全量は、混合溶媒の合計量が1500〜90
00重量部に対してイタコン酸がほぼ140重量部、好
ましくは137.4重量部になるような量である。広く
は、混合溶媒の全量とイタコン酸との重量比は250
0:約140〜3500:約140の範囲にあることが
できる。また、ジフェニルホスフィンオキサイド(II)
とイタコン酸(III)との比率は、モル比で1:1〜1:
1.2の範囲であることができ、好ましくは1:1.0
5〜1:1.1の範囲である。
【0017】また、第1の本発明の方法において、結晶
の析出開始の時点まで反応混合物を加熱及び還流させる
時間は、通常は約3時間を要するが、その時点での原料
変換率は約80%またはそれ以下である。前記の溶媒置
換を行わないままに、3時間より長く反応混合物を加
熱、還流させても、変換率の向上はみられず、還流3時
間で十分好ましい状況となる。そして、最初に使用の混
合溶媒を芳香族炭化水素のみに取代えた溶媒置換をした
後の反応混合物を加熱、還流させて反応を再開、続行す
る時間は、長ければ長いほど原料の変換率が80%を越
えて向上する。反応再開後の反応時間は所望の変換率に
応じて2〜12時間であり、3〜7時間でも十分好まし
い変換率を得ることができる。再開後の反応は、実質的
に完全に終了するまで進行できる。反応終了後のスラリ
ー状混合物を濾過又は遠心分離することにより、式
(I)の目的化合物の結晶を回収できる。第1の本発明
方法は実施例1〜2に例示した。
【0018】更に、第2の本発明によると、水を添加さ
れた芳香族炭化水素中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた反応混合物を還流下に
加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイタコン酸
との反応を進行させ、該反応の生成物として次式 の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶が反応混合物から析出し始めても反応混合物の加熱と
還流を続け、反応の終了後、反応生成物の析出結晶を含
む反応混合物に水を追加的に添加し、こうして形成され
た不均質な混合物を再び加熱及び還流させて2−(ジフ
ェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結晶が反応容器
壁に付着している付着物を剥離させて反応生成物を得る
ことを特徴とする、上記の式(I)の2−(ジフェニル
ホスフィニルメチル)コハク酸の製造法が提供される。
【0019】次に、第2の本発明の実施法について詳記
する。第2の本発明方法の最初の反応段階で原料を溶解
させるのに用いる芳香族炭化水素、好ましくはトルエン
に最初に添加される水と芳香族炭化水素との比率は、芳
香族炭化水素が1000重量部に対して水が10〜50
重量部である。芳香族炭化水素と水との重量比は100
0:10〜1000:30の範囲であるのが好ましい。
また、芳香族炭化水素とジフェニルホスフィンオキサイ
ド(II)との割合は芳香族炭化水素500〜2000重
量部当りにジフェニルホスフィンオキサイドが約200
重量部である。芳香族炭化水素とジフェニルホスフィン
オキサイドの重量比は100:約200〜1500:約
200の範囲であるのが好ましい。
【0020】ジフェニルホスフィンオキサイド(II)と
イタコン酸(III)との比率は、モル比で1:1〜1:
1.2の範囲であり、好ましくは1:1.05〜1:
1.1の範囲である。そして、式(I)の生成物の結晶
析出後に追加する水の量は、芳香族炭化水素1000重
量部当りに水が500〜2000重量部であり、反応系
中に存在する芳香族炭化水素と水との重量比は好ましく
は1000:1000〜1000:1500の範囲であ
る。
【0021】また、反応生成物の結晶が析出開始してか
ら反応終了する時点まで反応混合物を加熱、還流させる
必要時間は5〜10時間であり、6〜7時間でも十分好
ましい原料変換率を得ることができる。また、反応の終
了後に反応混合物に水を追加した後の反応混合物の加
熱、還流は、1時間を大きく超えても状況に大きな変化
はなく、1時間で十分好ましい結果を得ることができ
る。反応操作の完了後のスラリー状の反応混合物から目
的化合物の結晶を第1の本発明の方法と同様に回収でき
る。第2の本発明の方法は、実施例3〜6に示した。
【0022】第2の本発明方法で、最初に芳香族炭化水
素に水を入れておかないと、後記の比較例1、2に示す
ように、変換率は高いものの、反応混合物中に上下2層
の分離が起り、高純度の2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸を得るために面倒な操作が必要とな
り、収率が低い。また、反応混合物中で結晶が析出開始
した時点から更に反応を続け、反応が終了後に、反応混
合物に水を追加して再び還流を続行する操作を行わない
と、反応の終了時には結晶の一部は反応容器壁にこびり
ついて付着したままで除去し難く、目的生成物の収率の
低下の原因となる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により、本発明の方法を具体的
に説明する。実施例中で「部」とあるのは全て「重量
部」を意味する。また、原料の変換率は、LC分析に於
ける、式(II)のジフェニルホスフィンオキサイドと式
(I)の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸の面積比により算出した参考値(%)である。
【0024】実施例1 温度計、攪拌装置、滴下漏斗、窒素導入管付きの還流冷
却器を付したフラスコに、ジフェニルホスフィンオキサ
イド202.2部、イタコン酸137.4部、THF1
000部、トルエン2000部を仕込み、フラスコ内の
空気を窒素で置換する。次いで溶液状の反応混合物を攪
拌しながら3時間加熱および還流した。還流3時間の時
点で結晶が析出し始めたが、その時点での原料変換率は
77.0%であった。
【0025】ここで反応混合物を収容するフラスコに付
設した還流冷却器を単蒸留装置に切り替えて反応混合物
の単蒸留を行う。留出する溶媒(THF/トルエン)の
量とほぼ同量のトルエンを単蒸留の操作中に滴下漏斗か
ら加えて、2時間で、反応系中に存在する溶媒をトルエ
ンのみに取代える溶媒置換を完了させた。次いで単蒸留
装置を還流冷却器に切り替えてからフラスコ内の反応混
合物を再び加熱して2時間還流すると、結晶の析出が続
行し、反応が終了した時点では粘度の高い反応スラリー
が得られた。この時点での変換率は99.1%であっ
た。
【0026】この反応スラリーを20℃に冷却して濾過
し、トルエンで洗浄後乾燥すると、白色微粉末結晶の2
−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸315.
6部(収率95.0%)を得た。
【0027】得られた結晶のLC純度は99.9%で、
融点は165.0〜167.0℃であった。またCD3
OD中、25℃での 1H−NMRのI値は2.2〜3.
1、7.4〜8.1、11〜13であった。また、赤外
吸収スペクトルは、2900、2530、1700、1
440、1300、1260、1240、1180、1
160、1140、1100、960、810、75
0、720、700、540、510cm-1にそれぞれ
極大吸収値を示した。
【0028】さらにその元素分析値は、P=9.30
%、C=61.40%、H=5.20%であり、理論値
P=9.32%、C=61.45%、H=5.16%と
一致した。
【0029】実施例2 実施例1の操作に準じて、ジフェニルホスフィンオキサ
イド202.2部、イタコン酸137.4部、THF2
000部、トルエン4000部を反応容器に入れ、得ら
れた溶液状の反応混合物を攪拌しながら加熱して3時間
還流した。反応混合物中に結晶析出が開始した時点で実
施例1と同様な手法で溶媒を2時間でトルエンに溶媒置
換し、その後に反応混合物の加熱を再開し、10時間還
流すると、反応の終了時には、実施例1の場合に比べ粘
度がかなり低い反応スラリーが得られた。この時点での
変換率は99.5%であった。
【0030】この反応スラリーを20℃に冷却して濾過
し、トルエンで洗浄後、乾燥すると、実施例1の場合に
比べ粒径の大きい白色結晶の2−(ジフェニルホスフィ
ニルメチル)コハク酸282.5部(収率85.0%)
を得た。このもののLC純度は99.9%であった。
【0031】実施例3 実施例1と同様のフラスコに、ジフェニルホスフィンオ
キサイド202.2部、イタコン酸143.1部、トル
エン1000部および水20部を仕込み、得られた混合
物を攪拌しながら加熱して7時間還流下に反応させた。
この7時間還流の時点で結晶が析出し、また反応が終了
したが、結晶のうちのかなりの量がフラスコ壁に付着し
た。次いで、還流を一旦中止してから、フラスコ内の反
応系に水1000部を加えてから反応混合物の加熱を再
開して1時間還流すると、結晶の一部が溶解し、フラス
コ壁から付着していた結晶が剥離した。
【0032】上記の反応操作の完了後、得られた反応ス
ラリーを20℃まで冷却して濾過し、トルエンで洗浄後
乾燥すると、白色結晶の2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸324.0部(収率97.5%)を得
た。このもののLC純度は99.0%であった。
【0033】実施例4 フラスコに、ジフェニルホスフィンオキサイド202.
2部、イタコン酸137.4部、トルエン1000部お
よび水40部を仕込み、実施例3に準じて反応と諸操作
を行った。白色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメ
チル)コハク酸274.1部(収率82.5%)を得
た。このもののLC純度は99.0%であった。
【0034】実施例5 ジフェニルホスフィンオキサイド202.2部、イタコ
ン酸137.4部、トルエン1000部および水20部
を仕込み、実施例3に準じて反応と諸操作を行った。白
色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸314.1部(収率94.5%)を得た。このものの
LC純度は99.0%であった。
【0035】実施例6 ジフェニルホスフィンオキサイド202.2部、イタコ
ン酸156.1部、トルエン1000部および水20部
を仕込み、実施例3に準じて反応と諸操作を行った。白
色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸303.7部(収率91.4%)を得た。このものの
LC純度は99.0%であった。
【0036】
【比較例】次に、本発明方法によらない式(I)の化合
物の製造例を比較例として示す。これら比較例では、反
応溶媒として、水を添加しないトルエンのみを用いて反
応を行ったときの製造例を、比較例1,2に示した。ま
た、反応溶媒として当初にTHF/トルエンの混合溶媒
を用いたが、これをトルエンのみへ溶媒置換を行わなか
ったときの製造例を比較例3に示した。また、特公昭6
0−7640号公報の実施例に準じて無溶媒で反応を行
い且つ反応物を蒸留したときの製造例を比較例4に示し
た。
【0037】比較例1 実施例1と同様のフラスコに、ジフェニルホスフィンオ
キサイド202.2部、イタコン酸137.4部、トル
エン1000部を入れ、得られた溶液状の反応混合物を
攪拌、加熱して7時間還流した。この7時間還流の時点
で反応液は、低粘度透明の上層と、高粘度淡黄色の下層
に分離した(ここで、実施例3と同様に、THFまたは
水1000部を加えて1時間還流してもこの二層分離の
状態に変化はなかった)。反応系を20℃まで冷却する
と下層は堅い粘性物となり、フラスコ壁に付着した。こ
のときの原料の変換率は97.7%であった(実施例1
では、トルエンによる溶媒置換を行うことにより、7時
間で原料変換率99.1%に達した)。
【0038】この堅い粘性物は、フラスコから取り出し
困難であったが、淡黄色固体の2−(ジフェニルホスフ
ィニルメチル)コハク酸235.9部(収率71.0
%)を何とか削り取ることができた。この固体について
アセトン、トルエン、THF、ヘキサンなどの種々の溶
媒で再結晶の操作を行ったが、結晶は形成できなかっ
た。得られた淡黄色の無定形固体状の目的生成物のLC
純度は97.7%であった。
【0039】比較例2 比較例1と同様の操作を行い、フラスコ壁にこびりつい
た状態で固体の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)
コハク酸を得た。上層のトルエン層をデカントで取り除
いた後、塩化メチレン3000部を注いで固体を溶解
し、水酸化ナトリウム108.5部を水1000部に溶
いた溶液を氷冷下で加え、分液して上層の水層を取っ
た。また、下層の塩化メチレン層を、水酸化ナトリウム
108.5部を水1000部に溶いたもので抽出して、
先の分液上層に加えた。これを、THF200部とトル
エン400部との混合溶媒で2回洗浄した。これに塩化
メチレン3000部を加え、氷冷下で濃塩酸672.3
部を滴下し、下層の塩化メチレン層を分液して取り、水
洗を、水洗水が中性になるまで行った。
【0040】その後、水洗された塩化メチレン層から塩
化メチレンを留去して乾固させ乾燥すると、2−(ジフ
ェニルホスフィニルメチル)コハク酸212.8部(収
率64.0%)を得た(実施例1では、収率95.0%
であった)。この固体についてアセトン、THF、トル
エン、ヘキサンなどの種々の溶媒で再結晶操作を行った
が、結晶は形成できなかった。このもののLC純度は9
9.9%であった。
【0041】比較例3 実施例1と同様のフラスコに、ジフェニルホスフィンオ
キサイド202.2部、イタコン酸137.4部、TH
F1000部、トルエン2000部を入れ、得られた溶
液状の反応混合物を攪拌下に加熱して7時間還流した。
この時点で結晶が析出し、変換率は78.8%であった
(実施例1では、溶媒置換を行う事により、合計7時間
の反応操作時間で変換率99.1%に達する)。
【0042】析出結晶を含む反応混合物の全体を20℃
まで冷却して濾過し、トルエンで洗浄後乾燥すると、白
色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸211.0部(収率63.5%)を得た(実施例1で
は、収率95.0%であった)。
【0043】比較例4 実施例1と同様のフラスコに、ジフェニルホスフィンオ
キサイド202.2部とイタコン酸ジメチル158.2
部とを入れて攪拌下に混合した。得られた液状混合物を
収容するフラスコを、次いで100℃の油浴に浸して、
攪拌下に2時間反応させた。反応終了後、反応物を減圧
下に蒸留すると、2−(ジフェニルホスフィニルメチ
ル)コハク酸ジメチル〔沸点243℃(0.3mmH
g)〕の254.1部(収率70.5%)を得た。これ
に、水50部、エタノール800部、水酸化カリウム6
0部を加え、加熱して3時間還流下に反応させた。反応
液に、水1000部を加えた後エタノールを留去し、塩
化メチレン3000部を加え、得られた混合物に氷冷下
で濃塩酸120部を滴下した。
【0044】この塩化メチレン層を分液して取り、水洗
を、水洗水が中性となるまで行った。その後、塩化メチ
レンを留去して乾固させ、乾燥すると、2−(ジフェニ
ルホスフィニルメチル)コハク酸222.6部(収率6
7.0%)を得た。この固体についてアセトン、TH
F、トルエン、ヘキサンなどの溶媒で再結晶操作を行っ
たが、結晶は取れなかった。また、この固体のLC純度
は99.9%であった。
【0045】次に、本発明の方法により得た2−(ジフ
ェニルホスフィニルメチル)コハク酸を共重合したポリ
エステルを製造する方法について詳述する。
【0046】上記のポリエステルを形成するに用いうる
ポリアルキレンテレフタレートとしては、ポリエチレン
テレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレー
ト(PBT)があり、他にイソフタル酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等を共
重合成分として併用してもよい。また、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ペンタエリスリトール等を共重合成分
として併用してもよく、4−オキシ安息香酸、ε−カプ
ロラクトン等を使用してもよい。
【0047】本発明により製造された含燐ジカルボン酸
である2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸
はそのままで、またはそれのジエステルまたはカルボン
酸無水物の形にして、ポリエステルを製造する際の単量
体状原料混合物または初期縮合物に添加すればよい。即
ち、テレフタル酸又はテレフタル酸ジエステルとジオー
ルとからエステル化又はエステル交換反応及び重縮合反
応によりポリエステルを製造する際に、エステル化又は
エステル交換反応から重縮合反応の初期までの任意の段
階で添加することができる。また、テレフタル酸、イソ
フタル酸等の酸成分と反応させたモノマー、オリゴマー
又はポリマーの形にして使用してもよい。
【0048】式(I)の含燐ジカルボン酸の添加量はリ
ン原子として換算して500ppm以上、好ましくは1
000〜50000ppm、最適には2000〜150
00ppmの含有量となるようにポリエステルに配合す
る必要がある。この有機リン化合物の量が500ppm
未満では、ポリエステルの耐炎性能が不十分であり、あ
まり多くすると得られるポリエステルの物理的性質が損
なわれる等、ポリエステルの物性上問題が生ずることが
ある。
【0049】また、実用に供する繊維の強度にするため
にポリエステルの極限粘度は、0.5以上にする必要が
ある。
【0050】ポリエステルを製造する際の重縮合反応
は、通常0.01〜10トル程度の減圧下で260〜3
10℃、好ましくは275〜290℃の温度で所定の重
合度のものが得られるまで行われる。
【0051】また、重縮合反応は、触媒の存在下に行わ
れ、触媒としては従来一般に用いられているアンチモ
ン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウ
ム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト等
の金属化合物のほか、スルホサリチル酸、o−スルホ安
息香酸無水物等の有機スルホン酸化合物が好ましく用い
られる。触媒の添加量は、ポリエステルを構成する酸成
分1モルに対して1×10-5〜1×10-2モル、好まし
くは5×10-5〜10×10-3モル、最適には1×10
-4〜3×10-4モルである。
【0052】なおポリエステルには、ヒンダードフェノ
ール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光剤、
染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料等
の添加剤を添加させても差し支えない。
【0053】本発明の方法で製造された結晶状の式
(I)の含燐ジカルボン酸を用いてのポリエステル樹脂
の製造例を参考例1および2に示した。
【0054】参考例1 ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHE
Tと略記する)及びその低重合物を収容するエステル化
槽に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール
(EG)とのスラリー(EG/TPAのモル比=1.6
/1)を連続的に供給し、250℃、滞留時間8時間で
反応させて、反応率95%のBHETを連続的に得た。
【0055】得られたBHETを重合槽に移送し、28
0℃に加熱し、本発明の前記実施例1で得られた結晶状
の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸を5
モル%となるように添加し、触媒として全酸成分1モル
当りに2×10-4モルの三酸化アンチモンを加え、28
0℃、0.4トルの減圧下で重縮合反応をおこない、極
限粘度0.72のポリエステルを得た。
【0056】得られたポリエステルの色調は、L値が5
2.6、a値が−4.1、b値が7.4であり良好であ
った。ポリエステルの融点は241℃、ガラス転移点は
69℃で、ポリマー中のリン含有量は7800ppmで
あった。
【0057】このポリエステルを減圧乾燥後、通常の熔
融紡糸装置を用いて紡糸温度290℃で熔融吐出後冷却
を行い、1,400m/minで引き取り未延伸糸を得た。
この未延伸糸を延伸速度700m/min、延伸温度90
℃、ヒートプレート温度105℃、延伸倍率3.0で延
伸熱処理し、75デニール36フィラメントのフィラメ
ントを得た。この繊維は強度4.9g/d、伸度32%
の性状を有し、また耐炎性試験にかけたところ、接炎回
数は5.0回であり、優れた耐炎性を有していた。
【0058】このポリエステル繊維を染色し、光照射前
後の色調を測定したところ、ΔE=0.9であり、良好
な耐光性を有していた。
【0059】参考例2 ジメチルテレフタレート(DMT)184.5部、実施
例1で得られた結晶状の2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸を16.6部、1,4−ブタンジオー
ル145.0部、触媒としてテトラブチルチタネート
0.136部を収容するエステル化槽を160℃から徐
々に昇温させ、溜出するメタノールを系外に出しながら
最終的に240℃まで昇温し、エステル交換反応を行っ
た。
【0060】得られたエステル化物を重合槽に移送し、
250℃に加熱し、触媒として全酸成分1モル当りに2
×10-4モルのテトラブチルチタネートを加え、250
℃、0.4トルの圧力下で重縮合反応をおこない、極限
粘度0.86のポリエステルを得た。
【0061】得られたポリエステルの色調は、L値が5
8.2、a値が−3.0、b値が9.1であり良好であ
った。ポリエステルの融点は205℃、ポリマー中のリ
ン含有量は7780ppmであった。
【0062】このポリエステルを減圧乾燥後、通常の熔
融紡糸装置を用いて紡糸温度270℃で熔融吐出後冷却
を行い、1,400m/minで引き取り未延伸糸を得た。
この未延伸糸を延伸速度700m/min、延伸温度50
℃、延伸倍率2.2で延伸した後、緊張熱処理し、10
0デニール48フィラメントのフィラメントを得た。こ
の繊維は強度4.1g/d、伸度36%の性状を有し、
また耐炎性試験にかけたところ、接炎回数は5.0回で
あり、優れた耐炎性を有していた。
【0063】このポリエステル繊維を染色し、光照射前
後の色調を測定したところ、ΔE=1.2であり、良好
な耐光性を有していた。
【0064】なお、上記参考例1および2で用いた技術
用語について若干の説明を加える。極限粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし
て、温度20.0℃で測定した溶液粘度から求めた値で
ある。
【0065】リン原子含有量 ポリエステル中のリン原子の含有量は、蛍光X線法によ
り定量した(「リン含有量」はポリエステル全体に対す
るリン原子としての重量分率を示す)。
【0066】耐炎性 常法に従って紡糸、延伸して得た糸を筒編地にし、その
1gを長さ10.0cmに丸めて10.0mm径の針金
コイル中に挿入し、45度の角度に保持して、下端から
ミクロバーナー(口径0.64mm)で点火した後、火
源を遠ざける。消火した場合は再び点火を繰り返し、全
試料が燃焼しつくすまでに要する点火回数を求め、5個
の試料についての点火回数の平均値(接炎回数と記す)
で表した。
【0067】融点(Tm)とガラス転移点(Tg) 示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−2型)
を用いて、昇温速度20℃/minで測定した。
【0068】染色品の光照射前後の色調の差(ΔE) 染色条件:染料 M/P Blue FBL 5 %owf (三井東圧染料(株)製品) 2部 ニッカサンソルトRM-340 (日華化学(株)製品) 2部 酢酸ナトリウム 4部 酢酸 2部 水 2000部 浴比 1:100 温度×時間 130℃×60分 光照射条件:サンシャインウェザーメータで63℃×2
50時間
【0069】上記染色条件で染色した筒編地を光照射
し、光照射前後の色調を測定し下記の計算式からΔEを
求めた。
【0070】
【0071】
【発明の効果】第1および第2の本発明の方法によれ
ば、式(I)の含燐ジカルボン酸を、簡単な操作で収率
良く高純度の結晶の形で容易に収得することができる。
しかも、反応操作が円滑に実施できて且つ得られた反応
生成物の特に別段の精製の操作を必要としないで高純度
のきれいな結晶形で収得できるため、本発明の方法は工
業的に有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植田 敦子 愛知県安城市東別所町戌新畑1番地 (72)発明者 松本 哲夫 愛知県岡崎市大和町字沓市場49番地6

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テトラヒドロフランと芳香族炭化水素溶
    媒との混合溶媒中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた溶液状の反応混合物を
    還流下に加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイ
    タコン酸との反応を進行させ、該反応の生成物として次
    の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
    晶が反応混合物から析出した後に反応混合物の加熱を続
    けながら反応混合物からテトラヒドロフランと芳香族炭
    化水素溶媒とを蒸留により留去し、この留去と並行的
    に、溶解している未反応のジフェニルホスフィンオキサ
    イドと未反応のイタコン酸と反応生成物の析出結晶とを
    含む被蒸留物に芳香族炭化水素を添加して溶媒が芳香族
    炭化水素のみから成るようにさせ、こうして芳香族炭化
    水素のみを反応溶媒として含むように形成された反応混
    合物を再び加熱下に還流させて未反応の原料化合物の反
    応を続け、これにより2−(ジフェニルホスフィニルメ
    チル)コハク酸の結晶の析出を続行させながらジフェニ
    ルホスフィンオキサイドとイタコン酸の反応を完全又は
    実質的に完全に終了するまで行うことを特徴とする、上
    記の式(I)の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)
    コハク酸の製造法。
  2. 【請求項2】 水を添加された芳香族炭化水素中に原料
    として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた反応混合物を還流下に
    加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイタコン酸
    との反応を進行させ、該反応の生成物として次式 の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
    晶が反応混合物から析出し始めても反応混合物の加熱と
    還流を続け、反応の終了後、反応生成物の析出結晶を含
    む反応混合物に水を追加的に添加し、こうして形成され
    た不均質な混合物を再び加熱及び還流させて2−(ジフ
    ェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結晶が反応容器
    壁に付着している付着物を剥離させて反応生成物を得る
    ことを特徴とする、上記の式(I)の2−(ジフェニル
    ホスフィニルメチル)コハク酸の製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103333205A (zh) * 2013-06-28 2013-10-02 青岛富斯林化工科技有限公司 磷系阻燃剂2,3-二羧基丙基二苯基氧化膦及其制备方法和阻燃聚酯组合物
JP2016053011A (ja) * 2014-09-04 2016-04-14 東ソー株式会社 水酸化イミノホスファゼニウム含有溶液の精製方法

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