JPH0753580A - 含燐ジカルボン酸の製造法 - Google Patents
含燐ジカルボン酸の製造法Info
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- JPH0753580A JPH0753580A JP19974593A JP19974593A JPH0753580A JP H0753580 A JPH0753580 A JP H0753580A JP 19974593 A JP19974593 A JP 19974593A JP 19974593 A JP19974593 A JP 19974593A JP H0753580 A JPH0753580 A JP H0753580A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 芳香族ポリエステルに共重合させると耐炎性
と付与するに好適な含燐2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸を高収率で高純度結晶として製造でき
る方法を提供する。 【構成】 テトラヒドロフランと芳香族炭化水素溶媒と
の混合溶媒中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた溶液状の反応混合物を
還流下に加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイ
タコン酸との反応を進行させ、該反応の生成物として次
式 の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶を得る。
と付与するに好適な含燐2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸を高収率で高純度結晶として製造でき
る方法を提供する。 【構成】 テトラヒドロフランと芳香族炭化水素溶媒と
の混合溶媒中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた溶液状の反応混合物を
還流下に加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイ
タコン酸との反応を進行させ、該反応の生成物として次
式 の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶を得る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含燐ジカルボン酸の一
種である2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸の製造方法に関する。
種である2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸の製造方法に関する。
【0002】さらに詳しくは、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)あるいはポリブチレンテレフタレート
(PBT)に代表されるような芳香族ポリエステルを製
造するに際し、本発明の製造方法の目的化合物を原料単
量体と共重合させることにより、ポリエステルの良好な
特性、特に染色耐光堅牢度を損わずにポリエステルに耐
炎性を付与するのに極めて好適であると認められた含燐
ジカルボン酸の一種、2−(ジフェニルホスフィニルメ
チル)コハク酸の製造方法に関する。
ート(PET)あるいはポリブチレンテレフタレート
(PBT)に代表されるような芳香族ポリエステルを製
造するに際し、本発明の製造方法の目的化合物を原料単
量体と共重合させることにより、ポリエステルの良好な
特性、特に染色耐光堅牢度を損わずにポリエステルに耐
炎性を付与するのに極めて好適であると認められた含燐
ジカルボン酸の一種、2−(ジフェニルホスフィニルメ
チル)コハク酸の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】特公昭60−7640号公報には、下記
の一般式(A):
の一般式(A):
【0004】〔ただし式中、R1 、R2 はそれぞれ同じ
かまたは異なる基であって、ハロゲン原子を含むかまた
は含まない炭素原子数1〜18の炭化水素基、R3 〜R
5 は水素原子または炭素原子数1〜8の低級アルキル
基、R6 、R7 はそれぞれ−COOR3 で示され、R5
は水素原子またはヒドロキシ基を含むか含まない炭素原
子数1〜18の有機基であり、R6 、R7 とは を介して環を形成してもよい。またnは0または1〜3
を表わす〕で示される含燐化合物がポリエステルの製造
時に共重合でき且つ難燃性を与える化合物として広く特
許請求されているが、その化合物としての具体的な例示
例は、(1,2−ジカルボキシエチル)ジメチルホスフ
ィンオキサイドとそのジメチル又はジエチルエステル体
を初めとする15例にすぎない。
かまたは異なる基であって、ハロゲン原子を含むかまた
は含まない炭素原子数1〜18の炭化水素基、R3 〜R
5 は水素原子または炭素原子数1〜8の低級アルキル
基、R6 、R7 はそれぞれ−COOR3 で示され、R5
は水素原子またはヒドロキシ基を含むか含まない炭素原
子数1〜18の有機基であり、R6 、R7 とは を介して環を形成してもよい。またnは0または1〜3
を表わす〕で示される含燐化合物がポリエステルの製造
時に共重合でき且つ難燃性を与える化合物として広く特
許請求されているが、その化合物としての具体的な例示
例は、(1,2−ジカルボキシエチル)ジメチルホスフ
ィンオキサイドとそのジメチル又はジエチルエステル体
を初めとする15例にすぎない。
【0005】それら例示化合物のうちには、本発明の方
法の製造対象とする2−(ジフェニルホスフィニルメチ
ル)コハク酸が(2,3−ジカルボキシプロピル)ジフ
ェニルホスフィンオキシドの名称で記載され、またそれ
の対応のジカルボン酸無水物が化学構造式で示されてい
るけれども、これら両例の化合物の具体的な物理化学的
性状も、具体的な製造法も特公昭60−7640号公報
には全く記載されていない。
法の製造対象とする2−(ジフェニルホスフィニルメチ
ル)コハク酸が(2,3−ジカルボキシプロピル)ジフ
ェニルホスフィンオキシドの名称で記載され、またそれ
の対応のジカルボン酸無水物が化学構造式で示されてい
るけれども、これら両例の化合物の具体的な物理化学的
性状も、具体的な製造法も特公昭60−7640号公報
には全く記載されていない。
【0006】また、特公昭60−7640号公報の実施
例1〜4には、上記の一般式(A)の含燐化合物のうち
の室温で液体状である(2,3−低級アルキルカルボニ
ルプロピル)ジ低級アルキルホスフィンオキサイド(何
れも、エステル体である)の製造法について、ジエチル
ホスフィンオキサイドとイタコン酸ジ(低級)アルキル
エステルを原料として用いる場合を例に取って説明する
けれども、概説的に説明される製造方法及び実施例で具
体的に例示される製造手法は、室温で液体状である各出
発物質、すなわちジ(低級)アルキルホスフィンオキサ
イドとイタコン酸ジ(低級)アルキルエステルを溶媒の
非存在下に室温で混合した後、得られた液状の混合物を
不活性気体の雰囲気下に100℃以上、好ましくは12
0〜200℃の温度で加熱、攪拌し、次いで、得られた
反応物を減圧下に蒸留することにより、反応物から、目
的物である室温で液体状の(2,3−低級アルコキシカ
ルボニルプロピル)ジ低級アルキルホスフィンオキサイ
ド(低級アルキルエステル体である)を蒸留法で分離、
採取する方法に限られる(但し、副反応を抑制するため
に、メタノール、エタノールの如き低級アルコール、あ
るいはエチレングリコールの如きグリコールを反応溶媒
として存在させても良いとは付言されるが、溶媒を用い
た反応実験例は全く記載されない)。
例1〜4には、上記の一般式(A)の含燐化合物のうち
の室温で液体状である(2,3−低級アルキルカルボニ
ルプロピル)ジ低級アルキルホスフィンオキサイド(何
れも、エステル体である)の製造法について、ジエチル
ホスフィンオキサイドとイタコン酸ジ(低級)アルキル
エステルを原料として用いる場合を例に取って説明する
けれども、概説的に説明される製造方法及び実施例で具
体的に例示される製造手法は、室温で液体状である各出
発物質、すなわちジ(低級)アルキルホスフィンオキサ
イドとイタコン酸ジ(低級)アルキルエステルを溶媒の
非存在下に室温で混合した後、得られた液状の混合物を
不活性気体の雰囲気下に100℃以上、好ましくは12
0〜200℃の温度で加熱、攪拌し、次いで、得られた
反応物を減圧下に蒸留することにより、反応物から、目
的物である室温で液体状の(2,3−低級アルコキシカ
ルボニルプロピル)ジ低級アルキルホスフィンオキサイ
ド(低級アルキルエステル体である)を蒸留法で分離、
採取する方法に限られる(但し、副反応を抑制するため
に、メタノール、エタノールの如き低級アルコール、あ
るいはエチレングリコールの如きグリコールを反応溶媒
として存在させても良いとは付言されるが、溶媒を用い
た反応実験例は全く記載されない)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、芳香族
ポリエステルに容易に共重合できて且つポリエステルに
良好な耐炎性を付与できる含燐ジカルボン酸化合物を提
供する目的で研究を行った。その研究の結果、特定な含
燐ジカルボン酸化合物、すなわち後記の式(I)で表わ
される2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸
が芳香族ポリエステルに容易に共重合され、2−(ジフ
ェニルホスフイニルメチル)コハク酸を共重合した芳香
族ポリエステルは良好な耐炎性を示し、かつポリエステ
ルの欠点である染色後の耐光性(染色耐光堅牢度)の悪
化が認められない点で特にすぐれて好適であることを知
見した。
ポリエステルに容易に共重合できて且つポリエステルに
良好な耐炎性を付与できる含燐ジカルボン酸化合物を提
供する目的で研究を行った。その研究の結果、特定な含
燐ジカルボン酸化合物、すなわち後記の式(I)で表わ
される2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸
が芳香族ポリエステルに容易に共重合され、2−(ジフ
ェニルホスフイニルメチル)コハク酸を共重合した芳香
族ポリエステルは良好な耐炎性を示し、かつポリエステ
ルの欠点である染色後の耐光性(染色耐光堅牢度)の悪
化が認められない点で特にすぐれて好適であることを知
見した。
【0008】そこで、式(I)の2−(ジフェニルホス
フィニルメチル)コハク酸の工業的に有利に実施しうる
製造法を開発すべく研究を行った。しかし、式(I)の
化合物は融点が165℃以上である室温で無定形な固体
又は結晶の物質であり、また原料として使用すべきイタ
コン酸は室温で固体(ただし水溶性)であり且つ他方の
原料のジフェニルホスフィンオキサイドは室温で固体で
あるから、これら原料化合物は溶媒を使用しない限り相
互に均質に混合することができない。またそれらを反応
させた反応物からは、室温に固体状である式(I)の目
的化合物を特公昭60−7640号公報に記載の減圧蒸
留法によっては分離しがたい。しかも、イタコン酸を使
用するため、メタノール、エタノールの如き低級アルコ
ールが使用できない(エステル化の必要はない)。
フィニルメチル)コハク酸の工業的に有利に実施しうる
製造法を開発すべく研究を行った。しかし、式(I)の
化合物は融点が165℃以上である室温で無定形な固体
又は結晶の物質であり、また原料として使用すべきイタ
コン酸は室温で固体(ただし水溶性)であり且つ他方の
原料のジフェニルホスフィンオキサイドは室温で固体で
あるから、これら原料化合物は溶媒を使用しない限り相
互に均質に混合することができない。またそれらを反応
させた反応物からは、室温に固体状である式(I)の目
的化合物を特公昭60−7640号公報に記載の減圧蒸
留法によっては分離しがたい。しかも、イタコン酸を使
用するため、メタノール、エタノールの如き低級アルコ
ールが使用できない(エステル化の必要はない)。
【0009】本発明者らは、ベンゼン、トルエン、キシ
レンの如き芳香族炭化水素系の溶媒を単独に用い、これ
にイタコン酸とジフェニルホスフィンオキサイドを溶解
し、その溶液中で反応を行うことを試みたが、反応液が
攪拌しても混和しない上層と粘稠な下層に分離したり、
反応生成物として生成した式(I)の目的化合物の固体
又は結晶が反応器壁に強固に付着して回収し難い等の反
応操作上の難点を示すばかりでなく、原料化合物の変換
率は良好であるが式(I)化合物の回収収率が低い欠点
があることを見出した。
レンの如き芳香族炭化水素系の溶媒を単独に用い、これ
にイタコン酸とジフェニルホスフィンオキサイドを溶解
し、その溶液中で反応を行うことを試みたが、反応液が
攪拌しても混和しない上層と粘稠な下層に分離したり、
反応生成物として生成した式(I)の目的化合物の固体
又は結晶が反応器壁に強固に付着して回収し難い等の反
応操作上の難点を示すばかりでなく、原料化合物の変換
率は良好であるが式(I)化合物の回収収率が低い欠点
があることを見出した。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、式(I)
で表わされる2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コ
ハク酸の製造方法につき、更に種々検討した。その結
果、イタコン酸とジフェニルホスフィンオキサイドとの
反応に用いる溶剤として、テトラヒドロフランを添加さ
れた芳香族炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、等)、あるいは水を添加された芳香族炭化水素、好
ましくはトルエンを用い、しかも反応操作法も工夫する
ことによって、式(I)の含燐ジカルボン酸のきれいな
結晶を円滑に、しかも高収率、高純度で収得できること
を見いだした。
で表わされる2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コ
ハク酸の製造方法につき、更に種々検討した。その結
果、イタコン酸とジフェニルホスフィンオキサイドとの
反応に用いる溶剤として、テトラヒドロフランを添加さ
れた芳香族炭化水素溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、等)、あるいは水を添加された芳香族炭化水素、好
ましくはトルエンを用い、しかも反応操作法も工夫する
ことによって、式(I)の含燐ジカルボン酸のきれいな
結晶を円滑に、しかも高収率、高純度で収得できること
を見いだした。
【0011】したがって、第1の本発明の要旨とすると
ころは、テトラヒドロフランと芳香族炭化水素溶媒との
混合溶媒中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた溶液状の反応混合物を
還流下に加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイ
タコン酸との反応を進行させ、該反応の生成物として次
式 の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶が反応混合物から析出した後に反応混合物の加熱を続
けながら反応混合物からテトラヒドロフランと芳香族炭
化水素溶媒とを蒸留により留去し、この留去と並行的
に、溶解している未反応のジフェニルホスフィンオキサ
イドと未反応のイタコン酸と反応生成物の析出結晶とを
含む被蒸留物に芳香族炭化水素を添加して溶媒が芳香族
炭化水素のみから成るようにさせ、こうして芳香族炭化
水素のみを反応溶媒として含むように形成された反応混
合物を再び加熱下に還流させて未反応の原料化合物の反
応を続け、これにより2−(ジフェニルホスフィニルメ
チル)コハク酸の結晶の析出を続行させながらジフェニ
ルホスフィンオキサイドとイタコン酸の反応を完全又は
実質的に完全に終了するまで行うことを特徴とする、上
記の式(I)の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)
コハク酸の製造法が提供される。
ころは、テトラヒドロフランと芳香族炭化水素溶媒との
混合溶媒中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた溶液状の反応混合物を
還流下に加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイ
タコン酸との反応を進行させ、該反応の生成物として次
式 の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶が反応混合物から析出した後に反応混合物の加熱を続
けながら反応混合物からテトラヒドロフランと芳香族炭
化水素溶媒とを蒸留により留去し、この留去と並行的
に、溶解している未反応のジフェニルホスフィンオキサ
イドと未反応のイタコン酸と反応生成物の析出結晶とを
含む被蒸留物に芳香族炭化水素を添加して溶媒が芳香族
炭化水素のみから成るようにさせ、こうして芳香族炭化
水素のみを反応溶媒として含むように形成された反応混
合物を再び加熱下に還流させて未反応の原料化合物の反
応を続け、これにより2−(ジフェニルホスフィニルメ
チル)コハク酸の結晶の析出を続行させながらジフェニ
ルホスフィンオキサイドとイタコン酸の反応を完全又は
実質的に完全に終了するまで行うことを特徴とする、上
記の式(I)の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)
コハク酸の製造法が提供される。
【0012】次に、第1の本発明の方法の実施法を詳述
する。式(II)のジフェニルホスフィンオキサイドと、
式(III)のイタコン酸とを、テトラヒドロフラン(TH
F)と芳香族炭化水素溶媒との混合溶媒にとかし、その
反応混合物を窒素等の不活性ガスの雰囲気下に加熱して
還流下に反応させると、反応生成物(I)の結晶種を析
出し始める。その後、反応混合物中に存在する溶媒が芳
香族炭化水素、好ましくはトルエンのみになるように溶
媒を置換してから還流下に反応を終了させる。
する。式(II)のジフェニルホスフィンオキサイドと、
式(III)のイタコン酸とを、テトラヒドロフラン(TH
F)と芳香族炭化水素溶媒との混合溶媒にとかし、その
反応混合物を窒素等の不活性ガスの雰囲気下に加熱して
還流下に反応させると、反応生成物(I)の結晶種を析
出し始める。その後、反応混合物中に存在する溶媒が芳
香族炭化水素、好ましくはトルエンのみになるように溶
媒を置換してから還流下に反応を終了させる。
【0013】更に詳しく言えば、第1の本発明方法で
は、THFと芳香族炭化水素溶剤、例えばベンゼン、ト
ルエン、キシレン等との混合溶媒中にジフェニルホスフ
ィンオキサイド(II)とイタコン酸(III)とを溶解さ
せ、得られた溶液状の反応混合物を加熱して還流下反応
させる。2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸(I)の結晶が反応混合物中で析出し始めた時点で溶
媒量が一定であるようにTHF/芳香族炭化水素の混合
溶媒を単一の芳香族炭化水素と取代える溶媒置換を行
う。この溶媒置換において、THF/トルエンを使用し
たときは、トルエン又はキシレンに置換し、またTHF
/キシレンを使用したときはキシレンに置換するのが特
によい。この芳香族炭化水素と取代える溶媒置換は、反
応混合物中で結晶が析出した後、反応混合物の加熱を続
けながら反応混合物からTHFと芳香族炭化水素とを蒸
留により留去し、それと並行的に反応系へ芳香族炭化水
素を添加することにより行う。
は、THFと芳香族炭化水素溶剤、例えばベンゼン、ト
ルエン、キシレン等との混合溶媒中にジフェニルホスフ
ィンオキサイド(II)とイタコン酸(III)とを溶解さ
せ、得られた溶液状の反応混合物を加熱して還流下反応
させる。2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸(I)の結晶が反応混合物中で析出し始めた時点で溶
媒量が一定であるようにTHF/芳香族炭化水素の混合
溶媒を単一の芳香族炭化水素と取代える溶媒置換を行
う。この溶媒置換において、THF/トルエンを使用し
たときは、トルエン又はキシレンに置換し、またTHF
/キシレンを使用したときはキシレンに置換するのが特
によい。この芳香族炭化水素と取代える溶媒置換は、反
応混合物中で結晶が析出した後、反応混合物の加熱を続
けながら反応混合物からTHFと芳香族炭化水素とを蒸
留により留去し、それと並行的に反応系へ芳香族炭化水
素を添加することにより行う。
【0014】さらに芳香族炭化水素による溶媒置換をし
た後に、反応混合物の加熱と還流を再開して未反応原料
の反応を反応の終了まで続けることにより、反応生成物
の結晶が反応器壁に付着せず且つ原料の変換率が80%
より高く向上して高収率で高純度の2−(ジフェニルホ
スフィニルメチル)コハク酸(I)のきれいな結晶体を
得ることができる。
た後に、反応混合物の加熱と還流を再開して未反応原料
の反応を反応の終了まで続けることにより、反応生成物
の結晶が反応器壁に付着せず且つ原料の変換率が80%
より高く向上して高収率で高純度の2−(ジフェニルホ
スフィニルメチル)コハク酸(I)のきれいな結晶体を
得ることができる。
【0015】ここで上記の溶媒置換を行なわないで反応
を進めると、後記の比較例3に示すように原料の変換率
や収率が低い。また、最初に使用溶媒にTHFを入れて
おかないと、後記の比較例1、2に示すように原料の変
換率は高いものの、攪拌しても、反応液の二層分離が起
り、反応操作が円滑に行かないので、高純度の2−(ジ
フェニルホスフィニルメチル)コハク酸(I)を得るた
めに面倒な操作が必要となり、回収できる化合物(I)
の収率が低く留まる。
を進めると、後記の比較例3に示すように原料の変換率
や収率が低い。また、最初に使用溶媒にTHFを入れて
おかないと、後記の比較例1、2に示すように原料の変
換率は高いものの、攪拌しても、反応液の二層分離が起
り、反応操作が円滑に行かないので、高純度の2−(ジ
フェニルホスフィニルメチル)コハク酸(I)を得るた
めに面倒な操作が必要となり、回収できる化合物(I)
の収率が低く留まる。
【0016】第1の本発明方法の場合の反応開始時の最
初の使用される混合溶媒中のTHFと芳香族炭化水素溶
媒の比率は、重量比で1:1〜1:4の範囲であり、好
ましくは1:1.5〜1:2.5の範囲である。また、
混合溶媒の全量は、混合溶媒の合計量が1500〜90
00重量部に対してイタコン酸がほぼ140重量部、好
ましくは137.4重量部になるような量である。広く
は、混合溶媒の全量とイタコン酸との重量比は250
0:約140〜3500:約140の範囲にあることが
できる。また、ジフェニルホスフィンオキサイド(II)
とイタコン酸(III)との比率は、モル比で1:1〜1:
1.2の範囲であることができ、好ましくは1:1.0
5〜1:1.1の範囲である。
初の使用される混合溶媒中のTHFと芳香族炭化水素溶
媒の比率は、重量比で1:1〜1:4の範囲であり、好
ましくは1:1.5〜1:2.5の範囲である。また、
混合溶媒の全量は、混合溶媒の合計量が1500〜90
00重量部に対してイタコン酸がほぼ140重量部、好
ましくは137.4重量部になるような量である。広く
は、混合溶媒の全量とイタコン酸との重量比は250
0:約140〜3500:約140の範囲にあることが
できる。また、ジフェニルホスフィンオキサイド(II)
とイタコン酸(III)との比率は、モル比で1:1〜1:
1.2の範囲であることができ、好ましくは1:1.0
5〜1:1.1の範囲である。
【0017】また、第1の本発明の方法において、結晶
の析出開始の時点まで反応混合物を加熱及び還流させる
時間は、通常は約3時間を要するが、その時点での原料
変換率は約80%またはそれ以下である。前記の溶媒置
換を行わないままに、3時間より長く反応混合物を加
熱、還流させても、変換率の向上はみられず、還流3時
間で十分好ましい状況となる。そして、最初に使用の混
合溶媒を芳香族炭化水素のみに取代えた溶媒置換をした
後の反応混合物を加熱、還流させて反応を再開、続行す
る時間は、長ければ長いほど原料の変換率が80%を越
えて向上する。反応再開後の反応時間は所望の変換率に
応じて2〜12時間であり、3〜7時間でも十分好まし
い変換率を得ることができる。再開後の反応は、実質的
に完全に終了するまで進行できる。反応終了後のスラリ
ー状混合物を濾過又は遠心分離することにより、式
(I)の目的化合物の結晶を回収できる。第1の本発明
方法は実施例1〜2に例示した。
の析出開始の時点まで反応混合物を加熱及び還流させる
時間は、通常は約3時間を要するが、その時点での原料
変換率は約80%またはそれ以下である。前記の溶媒置
換を行わないままに、3時間より長く反応混合物を加
熱、還流させても、変換率の向上はみられず、還流3時
間で十分好ましい状況となる。そして、最初に使用の混
合溶媒を芳香族炭化水素のみに取代えた溶媒置換をした
後の反応混合物を加熱、還流させて反応を再開、続行す
る時間は、長ければ長いほど原料の変換率が80%を越
えて向上する。反応再開後の反応時間は所望の変換率に
応じて2〜12時間であり、3〜7時間でも十分好まし
い変換率を得ることができる。再開後の反応は、実質的
に完全に終了するまで進行できる。反応終了後のスラリ
ー状混合物を濾過又は遠心分離することにより、式
(I)の目的化合物の結晶を回収できる。第1の本発明
方法は実施例1〜2に例示した。
【0018】更に、第2の本発明によると、水を添加さ
れた芳香族炭化水素中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた反応混合物を還流下に
加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイタコン酸
との反応を進行させ、該反応の生成物として次式 の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶が反応混合物から析出し始めても反応混合物の加熱と
還流を続け、反応の終了後、反応生成物の析出結晶を含
む反応混合物に水を追加的に添加し、こうして形成され
た不均質な混合物を再び加熱及び還流させて2−(ジフ
ェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結晶が反応容器
壁に付着している付着物を剥離させて反応生成物を得る
ことを特徴とする、上記の式(I)の2−(ジフェニル
ホスフィニルメチル)コハク酸の製造法が提供される。
れた芳香族炭化水素中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた反応混合物を還流下に
加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイタコン酸
との反応を進行させ、該反応の生成物として次式 の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶が反応混合物から析出し始めても反応混合物の加熱と
還流を続け、反応の終了後、反応生成物の析出結晶を含
む反応混合物に水を追加的に添加し、こうして形成され
た不均質な混合物を再び加熱及び還流させて2−(ジフ
ェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結晶が反応容器
壁に付着している付着物を剥離させて反応生成物を得る
ことを特徴とする、上記の式(I)の2−(ジフェニル
ホスフィニルメチル)コハク酸の製造法が提供される。
【0019】次に、第2の本発明の実施法について詳記
する。第2の本発明方法の最初の反応段階で原料を溶解
させるのに用いる芳香族炭化水素、好ましくはトルエン
に最初に添加される水と芳香族炭化水素との比率は、芳
香族炭化水素が1000重量部に対して水が10〜50
重量部である。芳香族炭化水素と水との重量比は100
0:10〜1000:30の範囲であるのが好ましい。
また、芳香族炭化水素とジフェニルホスフィンオキサイ
ド(II)との割合は芳香族炭化水素500〜2000重
量部当りにジフェニルホスフィンオキサイドが約200
重量部である。芳香族炭化水素とジフェニルホスフィン
オキサイドの重量比は100:約200〜1500:約
200の範囲であるのが好ましい。
する。第2の本発明方法の最初の反応段階で原料を溶解
させるのに用いる芳香族炭化水素、好ましくはトルエン
に最初に添加される水と芳香族炭化水素との比率は、芳
香族炭化水素が1000重量部に対して水が10〜50
重量部である。芳香族炭化水素と水との重量比は100
0:10〜1000:30の範囲であるのが好ましい。
また、芳香族炭化水素とジフェニルホスフィンオキサイ
ド(II)との割合は芳香族炭化水素500〜2000重
量部当りにジフェニルホスフィンオキサイドが約200
重量部である。芳香族炭化水素とジフェニルホスフィン
オキサイドの重量比は100:約200〜1500:約
200の範囲であるのが好ましい。
【0020】ジフェニルホスフィンオキサイド(II)と
イタコン酸(III)との比率は、モル比で1:1〜1:
1.2の範囲であり、好ましくは1:1.05〜1:
1.1の範囲である。そして、式(I)の生成物の結晶
析出後に追加する水の量は、芳香族炭化水素1000重
量部当りに水が500〜2000重量部であり、反応系
中に存在する芳香族炭化水素と水との重量比は好ましく
は1000:1000〜1000:1500の範囲であ
る。
イタコン酸(III)との比率は、モル比で1:1〜1:
1.2の範囲であり、好ましくは1:1.05〜1:
1.1の範囲である。そして、式(I)の生成物の結晶
析出後に追加する水の量は、芳香族炭化水素1000重
量部当りに水が500〜2000重量部であり、反応系
中に存在する芳香族炭化水素と水との重量比は好ましく
は1000:1000〜1000:1500の範囲であ
る。
【0021】また、反応生成物の結晶が析出開始してか
ら反応終了する時点まで反応混合物を加熱、還流させる
必要時間は5〜10時間であり、6〜7時間でも十分好
ましい原料変換率を得ることができる。また、反応の終
了後に反応混合物に水を追加した後の反応混合物の加
熱、還流は、1時間を大きく超えても状況に大きな変化
はなく、1時間で十分好ましい結果を得ることができ
る。反応操作の完了後のスラリー状の反応混合物から目
的化合物の結晶を第1の本発明の方法と同様に回収でき
る。第2の本発明の方法は、実施例3〜6に示した。
ら反応終了する時点まで反応混合物を加熱、還流させる
必要時間は5〜10時間であり、6〜7時間でも十分好
ましい原料変換率を得ることができる。また、反応の終
了後に反応混合物に水を追加した後の反応混合物の加
熱、還流は、1時間を大きく超えても状況に大きな変化
はなく、1時間で十分好ましい結果を得ることができ
る。反応操作の完了後のスラリー状の反応混合物から目
的化合物の結晶を第1の本発明の方法と同様に回収でき
る。第2の本発明の方法は、実施例3〜6に示した。
【0022】第2の本発明方法で、最初に芳香族炭化水
素に水を入れておかないと、後記の比較例1、2に示す
ように、変換率は高いものの、反応混合物中に上下2層
の分離が起り、高純度の2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸を得るために面倒な操作が必要とな
り、収率が低い。また、反応混合物中で結晶が析出開始
した時点から更に反応を続け、反応が終了後に、反応混
合物に水を追加して再び還流を続行する操作を行わない
と、反応の終了時には結晶の一部は反応容器壁にこびり
ついて付着したままで除去し難く、目的生成物の収率の
低下の原因となる。
素に水を入れておかないと、後記の比較例1、2に示す
ように、変換率は高いものの、反応混合物中に上下2層
の分離が起り、高純度の2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸を得るために面倒な操作が必要とな
り、収率が低い。また、反応混合物中で結晶が析出開始
した時点から更に反応を続け、反応が終了後に、反応混
合物に水を追加して再び還流を続行する操作を行わない
と、反応の終了時には結晶の一部は反応容器壁にこびり
ついて付着したままで除去し難く、目的生成物の収率の
低下の原因となる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により、本発明の方法を具体的
に説明する。実施例中で「部」とあるのは全て「重量
部」を意味する。また、原料の変換率は、LC分析に於
ける、式(II)のジフェニルホスフィンオキサイドと式
(I)の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸の面積比により算出した参考値(%)である。
に説明する。実施例中で「部」とあるのは全て「重量
部」を意味する。また、原料の変換率は、LC分析に於
ける、式(II)のジフェニルホスフィンオキサイドと式
(I)の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸の面積比により算出した参考値(%)である。
【0024】実施例1 温度計、攪拌装置、滴下漏斗、窒素導入管付きの還流冷
却器を付したフラスコに、ジフェニルホスフィンオキサ
イド202.2部、イタコン酸137.4部、THF1
000部、トルエン2000部を仕込み、フラスコ内の
空気を窒素で置換する。次いで溶液状の反応混合物を攪
拌しながら3時間加熱および還流した。還流3時間の時
点で結晶が析出し始めたが、その時点での原料変換率は
77.0%であった。
却器を付したフラスコに、ジフェニルホスフィンオキサ
イド202.2部、イタコン酸137.4部、THF1
000部、トルエン2000部を仕込み、フラスコ内の
空気を窒素で置換する。次いで溶液状の反応混合物を攪
拌しながら3時間加熱および還流した。還流3時間の時
点で結晶が析出し始めたが、その時点での原料変換率は
77.0%であった。
【0025】ここで反応混合物を収容するフラスコに付
設した還流冷却器を単蒸留装置に切り替えて反応混合物
の単蒸留を行う。留出する溶媒(THF/トルエン)の
量とほぼ同量のトルエンを単蒸留の操作中に滴下漏斗か
ら加えて、2時間で、反応系中に存在する溶媒をトルエ
ンのみに取代える溶媒置換を完了させた。次いで単蒸留
装置を還流冷却器に切り替えてからフラスコ内の反応混
合物を再び加熱して2時間還流すると、結晶の析出が続
行し、反応が終了した時点では粘度の高い反応スラリー
が得られた。この時点での変換率は99.1%であっ
た。
設した還流冷却器を単蒸留装置に切り替えて反応混合物
の単蒸留を行う。留出する溶媒(THF/トルエン)の
量とほぼ同量のトルエンを単蒸留の操作中に滴下漏斗か
ら加えて、2時間で、反応系中に存在する溶媒をトルエ
ンのみに取代える溶媒置換を完了させた。次いで単蒸留
装置を還流冷却器に切り替えてからフラスコ内の反応混
合物を再び加熱して2時間還流すると、結晶の析出が続
行し、反応が終了した時点では粘度の高い反応スラリー
が得られた。この時点での変換率は99.1%であっ
た。
【0026】この反応スラリーを20℃に冷却して濾過
し、トルエンで洗浄後乾燥すると、白色微粉末結晶の2
−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸315.
6部(収率95.0%)を得た。
し、トルエンで洗浄後乾燥すると、白色微粉末結晶の2
−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸315.
6部(収率95.0%)を得た。
【0027】得られた結晶のLC純度は99.9%で、
融点は165.0〜167.0℃であった。またCD3
OD中、25℃での 1H−NMRのI値は2.2〜3.
1、7.4〜8.1、11〜13であった。また、赤外
吸収スペクトルは、2900、2530、1700、1
440、1300、1260、1240、1180、1
160、1140、1100、960、810、75
0、720、700、540、510cm-1にそれぞれ
極大吸収値を示した。
融点は165.0〜167.0℃であった。またCD3
OD中、25℃での 1H−NMRのI値は2.2〜3.
1、7.4〜8.1、11〜13であった。また、赤外
吸収スペクトルは、2900、2530、1700、1
440、1300、1260、1240、1180、1
160、1140、1100、960、810、75
0、720、700、540、510cm-1にそれぞれ
極大吸収値を示した。
【0028】さらにその元素分析値は、P=9.30
%、C=61.40%、H=5.20%であり、理論値
P=9.32%、C=61.45%、H=5.16%と
一致した。
%、C=61.40%、H=5.20%であり、理論値
P=9.32%、C=61.45%、H=5.16%と
一致した。
【0029】実施例2 実施例1の操作に準じて、ジフェニルホスフィンオキサ
イド202.2部、イタコン酸137.4部、THF2
000部、トルエン4000部を反応容器に入れ、得ら
れた溶液状の反応混合物を攪拌しながら加熱して3時間
還流した。反応混合物中に結晶析出が開始した時点で実
施例1と同様な手法で溶媒を2時間でトルエンに溶媒置
換し、その後に反応混合物の加熱を再開し、10時間還
流すると、反応の終了時には、実施例1の場合に比べ粘
度がかなり低い反応スラリーが得られた。この時点での
変換率は99.5%であった。
イド202.2部、イタコン酸137.4部、THF2
000部、トルエン4000部を反応容器に入れ、得ら
れた溶液状の反応混合物を攪拌しながら加熱して3時間
還流した。反応混合物中に結晶析出が開始した時点で実
施例1と同様な手法で溶媒を2時間でトルエンに溶媒置
換し、その後に反応混合物の加熱を再開し、10時間還
流すると、反応の終了時には、実施例1の場合に比べ粘
度がかなり低い反応スラリーが得られた。この時点での
変換率は99.5%であった。
【0030】この反応スラリーを20℃に冷却して濾過
し、トルエンで洗浄後、乾燥すると、実施例1の場合に
比べ粒径の大きい白色結晶の2−(ジフェニルホスフィ
ニルメチル)コハク酸282.5部(収率85.0%)
を得た。このもののLC純度は99.9%であった。
し、トルエンで洗浄後、乾燥すると、実施例1の場合に
比べ粒径の大きい白色結晶の2−(ジフェニルホスフィ
ニルメチル)コハク酸282.5部(収率85.0%)
を得た。このもののLC純度は99.9%であった。
【0031】実施例3 実施例1と同様のフラスコに、ジフェニルホスフィンオ
キサイド202.2部、イタコン酸143.1部、トル
エン1000部および水20部を仕込み、得られた混合
物を攪拌しながら加熱して7時間還流下に反応させた。
この7時間還流の時点で結晶が析出し、また反応が終了
したが、結晶のうちのかなりの量がフラスコ壁に付着し
た。次いで、還流を一旦中止してから、フラスコ内の反
応系に水1000部を加えてから反応混合物の加熱を再
開して1時間還流すると、結晶の一部が溶解し、フラス
コ壁から付着していた結晶が剥離した。
キサイド202.2部、イタコン酸143.1部、トル
エン1000部および水20部を仕込み、得られた混合
物を攪拌しながら加熱して7時間還流下に反応させた。
この7時間還流の時点で結晶が析出し、また反応が終了
したが、結晶のうちのかなりの量がフラスコ壁に付着し
た。次いで、還流を一旦中止してから、フラスコ内の反
応系に水1000部を加えてから反応混合物の加熱を再
開して1時間還流すると、結晶の一部が溶解し、フラス
コ壁から付着していた結晶が剥離した。
【0032】上記の反応操作の完了後、得られた反応ス
ラリーを20℃まで冷却して濾過し、トルエンで洗浄後
乾燥すると、白色結晶の2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸324.0部(収率97.5%)を得
た。このもののLC純度は99.0%であった。
ラリーを20℃まで冷却して濾過し、トルエンで洗浄後
乾燥すると、白色結晶の2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸324.0部(収率97.5%)を得
た。このもののLC純度は99.0%であった。
【0033】実施例4 フラスコに、ジフェニルホスフィンオキサイド202.
2部、イタコン酸137.4部、トルエン1000部お
よび水40部を仕込み、実施例3に準じて反応と諸操作
を行った。白色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメ
チル)コハク酸274.1部(収率82.5%)を得
た。このもののLC純度は99.0%であった。
2部、イタコン酸137.4部、トルエン1000部お
よび水40部を仕込み、実施例3に準じて反応と諸操作
を行った。白色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメ
チル)コハク酸274.1部(収率82.5%)を得
た。このもののLC純度は99.0%であった。
【0034】実施例5 ジフェニルホスフィンオキサイド202.2部、イタコ
ン酸137.4部、トルエン1000部および水20部
を仕込み、実施例3に準じて反応と諸操作を行った。白
色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸314.1部(収率94.5%)を得た。このものの
LC純度は99.0%であった。
ン酸137.4部、トルエン1000部および水20部
を仕込み、実施例3に準じて反応と諸操作を行った。白
色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸314.1部(収率94.5%)を得た。このものの
LC純度は99.0%であった。
【0035】実施例6 ジフェニルホスフィンオキサイド202.2部、イタコ
ン酸156.1部、トルエン1000部および水20部
を仕込み、実施例3に準じて反応と諸操作を行った。白
色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸303.7部(収率91.4%)を得た。このものの
LC純度は99.0%であった。
ン酸156.1部、トルエン1000部および水20部
を仕込み、実施例3に準じて反応と諸操作を行った。白
色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸303.7部(収率91.4%)を得た。このものの
LC純度は99.0%であった。
【0036】
【比較例】次に、本発明方法によらない式(I)の化合
物の製造例を比較例として示す。これら比較例では、反
応溶媒として、水を添加しないトルエンのみを用いて反
応を行ったときの製造例を、比較例1,2に示した。ま
た、反応溶媒として当初にTHF/トルエンの混合溶媒
を用いたが、これをトルエンのみへ溶媒置換を行わなか
ったときの製造例を比較例3に示した。また、特公昭6
0−7640号公報の実施例に準じて無溶媒で反応を行
い且つ反応物を蒸留したときの製造例を比較例4に示し
た。
物の製造例を比較例として示す。これら比較例では、反
応溶媒として、水を添加しないトルエンのみを用いて反
応を行ったときの製造例を、比較例1,2に示した。ま
た、反応溶媒として当初にTHF/トルエンの混合溶媒
を用いたが、これをトルエンのみへ溶媒置換を行わなか
ったときの製造例を比較例3に示した。また、特公昭6
0−7640号公報の実施例に準じて無溶媒で反応を行
い且つ反応物を蒸留したときの製造例を比較例4に示し
た。
【0037】比較例1 実施例1と同様のフラスコに、ジフェニルホスフィンオ
キサイド202.2部、イタコン酸137.4部、トル
エン1000部を入れ、得られた溶液状の反応混合物を
攪拌、加熱して7時間還流した。この7時間還流の時点
で反応液は、低粘度透明の上層と、高粘度淡黄色の下層
に分離した(ここで、実施例3と同様に、THFまたは
水1000部を加えて1時間還流してもこの二層分離の
状態に変化はなかった)。反応系を20℃まで冷却する
と下層は堅い粘性物となり、フラスコ壁に付着した。こ
のときの原料の変換率は97.7%であった(実施例1
では、トルエンによる溶媒置換を行うことにより、7時
間で原料変換率99.1%に達した)。
キサイド202.2部、イタコン酸137.4部、トル
エン1000部を入れ、得られた溶液状の反応混合物を
攪拌、加熱して7時間還流した。この7時間還流の時点
で反応液は、低粘度透明の上層と、高粘度淡黄色の下層
に分離した(ここで、実施例3と同様に、THFまたは
水1000部を加えて1時間還流してもこの二層分離の
状態に変化はなかった)。反応系を20℃まで冷却する
と下層は堅い粘性物となり、フラスコ壁に付着した。こ
のときの原料の変換率は97.7%であった(実施例1
では、トルエンによる溶媒置換を行うことにより、7時
間で原料変換率99.1%に達した)。
【0038】この堅い粘性物は、フラスコから取り出し
困難であったが、淡黄色固体の2−(ジフェニルホスフ
ィニルメチル)コハク酸235.9部(収率71.0
%)を何とか削り取ることができた。この固体について
アセトン、トルエン、THF、ヘキサンなどの種々の溶
媒で再結晶の操作を行ったが、結晶は形成できなかっ
た。得られた淡黄色の無定形固体状の目的生成物のLC
純度は97.7%であった。
困難であったが、淡黄色固体の2−(ジフェニルホスフ
ィニルメチル)コハク酸235.9部(収率71.0
%)を何とか削り取ることができた。この固体について
アセトン、トルエン、THF、ヘキサンなどの種々の溶
媒で再結晶の操作を行ったが、結晶は形成できなかっ
た。得られた淡黄色の無定形固体状の目的生成物のLC
純度は97.7%であった。
【0039】比較例2 比較例1と同様の操作を行い、フラスコ壁にこびりつい
た状態で固体の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)
コハク酸を得た。上層のトルエン層をデカントで取り除
いた後、塩化メチレン3000部を注いで固体を溶解
し、水酸化ナトリウム108.5部を水1000部に溶
いた溶液を氷冷下で加え、分液して上層の水層を取っ
た。また、下層の塩化メチレン層を、水酸化ナトリウム
108.5部を水1000部に溶いたもので抽出して、
先の分液上層に加えた。これを、THF200部とトル
エン400部との混合溶媒で2回洗浄した。これに塩化
メチレン3000部を加え、氷冷下で濃塩酸672.3
部を滴下し、下層の塩化メチレン層を分液して取り、水
洗を、水洗水が中性になるまで行った。
た状態で固体の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)
コハク酸を得た。上層のトルエン層をデカントで取り除
いた後、塩化メチレン3000部を注いで固体を溶解
し、水酸化ナトリウム108.5部を水1000部に溶
いた溶液を氷冷下で加え、分液して上層の水層を取っ
た。また、下層の塩化メチレン層を、水酸化ナトリウム
108.5部を水1000部に溶いたもので抽出して、
先の分液上層に加えた。これを、THF200部とトル
エン400部との混合溶媒で2回洗浄した。これに塩化
メチレン3000部を加え、氷冷下で濃塩酸672.3
部を滴下し、下層の塩化メチレン層を分液して取り、水
洗を、水洗水が中性になるまで行った。
【0040】その後、水洗された塩化メチレン層から塩
化メチレンを留去して乾固させ乾燥すると、2−(ジフ
ェニルホスフィニルメチル)コハク酸212.8部(収
率64.0%)を得た(実施例1では、収率95.0%
であった)。この固体についてアセトン、THF、トル
エン、ヘキサンなどの種々の溶媒で再結晶操作を行った
が、結晶は形成できなかった。このもののLC純度は9
9.9%であった。
化メチレンを留去して乾固させ乾燥すると、2−(ジフ
ェニルホスフィニルメチル)コハク酸212.8部(収
率64.0%)を得た(実施例1では、収率95.0%
であった)。この固体についてアセトン、THF、トル
エン、ヘキサンなどの種々の溶媒で再結晶操作を行った
が、結晶は形成できなかった。このもののLC純度は9
9.9%であった。
【0041】比較例3 実施例1と同様のフラスコに、ジフェニルホスフィンオ
キサイド202.2部、イタコン酸137.4部、TH
F1000部、トルエン2000部を入れ、得られた溶
液状の反応混合物を攪拌下に加熱して7時間還流した。
この時点で結晶が析出し、変換率は78.8%であった
(実施例1では、溶媒置換を行う事により、合計7時間
の反応操作時間で変換率99.1%に達する)。
キサイド202.2部、イタコン酸137.4部、TH
F1000部、トルエン2000部を入れ、得られた溶
液状の反応混合物を攪拌下に加熱して7時間還流した。
この時点で結晶が析出し、変換率は78.8%であった
(実施例1では、溶媒置換を行う事により、合計7時間
の反応操作時間で変換率99.1%に達する)。
【0042】析出結晶を含む反応混合物の全体を20℃
まで冷却して濾過し、トルエンで洗浄後乾燥すると、白
色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸211.0部(収率63.5%)を得た(実施例1で
は、収率95.0%であった)。
まで冷却して濾過し、トルエンで洗浄後乾燥すると、白
色結晶の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク
酸211.0部(収率63.5%)を得た(実施例1で
は、収率95.0%であった)。
【0043】比較例4 実施例1と同様のフラスコに、ジフェニルホスフィンオ
キサイド202.2部とイタコン酸ジメチル158.2
部とを入れて攪拌下に混合した。得られた液状混合物を
収容するフラスコを、次いで100℃の油浴に浸して、
攪拌下に2時間反応させた。反応終了後、反応物を減圧
下に蒸留すると、2−(ジフェニルホスフィニルメチ
ル)コハク酸ジメチル〔沸点243℃(0.3mmH
g)〕の254.1部(収率70.5%)を得た。これ
に、水50部、エタノール800部、水酸化カリウム6
0部を加え、加熱して3時間還流下に反応させた。反応
液に、水1000部を加えた後エタノールを留去し、塩
化メチレン3000部を加え、得られた混合物に氷冷下
で濃塩酸120部を滴下した。
キサイド202.2部とイタコン酸ジメチル158.2
部とを入れて攪拌下に混合した。得られた液状混合物を
収容するフラスコを、次いで100℃の油浴に浸して、
攪拌下に2時間反応させた。反応終了後、反応物を減圧
下に蒸留すると、2−(ジフェニルホスフィニルメチ
ル)コハク酸ジメチル〔沸点243℃(0.3mmH
g)〕の254.1部(収率70.5%)を得た。これ
に、水50部、エタノール800部、水酸化カリウム6
0部を加え、加熱して3時間還流下に反応させた。反応
液に、水1000部を加えた後エタノールを留去し、塩
化メチレン3000部を加え、得られた混合物に氷冷下
で濃塩酸120部を滴下した。
【0044】この塩化メチレン層を分液して取り、水洗
を、水洗水が中性となるまで行った。その後、塩化メチ
レンを留去して乾固させ、乾燥すると、2−(ジフェニ
ルホスフィニルメチル)コハク酸222.6部(収率6
7.0%)を得た。この固体についてアセトン、TH
F、トルエン、ヘキサンなどの溶媒で再結晶操作を行っ
たが、結晶は取れなかった。また、この固体のLC純度
は99.9%であった。
を、水洗水が中性となるまで行った。その後、塩化メチ
レンを留去して乾固させ、乾燥すると、2−(ジフェニ
ルホスフィニルメチル)コハク酸222.6部(収率6
7.0%)を得た。この固体についてアセトン、TH
F、トルエン、ヘキサンなどの溶媒で再結晶操作を行っ
たが、結晶は取れなかった。また、この固体のLC純度
は99.9%であった。
【0045】次に、本発明の方法により得た2−(ジフ
ェニルホスフィニルメチル)コハク酸を共重合したポリ
エステルを製造する方法について詳述する。
ェニルホスフィニルメチル)コハク酸を共重合したポリ
エステルを製造する方法について詳述する。
【0046】上記のポリエステルを形成するに用いうる
ポリアルキレンテレフタレートとしては、ポリエチレン
テレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレー
ト(PBT)があり、他にイソフタル酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等を共
重合成分として併用してもよい。また、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ペンタエリスリトール等を共重合成分
として併用してもよく、4−オキシ安息香酸、ε−カプ
ロラクトン等を使用してもよい。
ポリアルキレンテレフタレートとしては、ポリエチレン
テレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレー
ト(PBT)があり、他にイソフタル酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等を共
重合成分として併用してもよい。また、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、ペンタエリスリトール等を共重合成分
として併用してもよく、4−オキシ安息香酸、ε−カプ
ロラクトン等を使用してもよい。
【0047】本発明により製造された含燐ジカルボン酸
である2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸
はそのままで、またはそれのジエステルまたはカルボン
酸無水物の形にして、ポリエステルを製造する際の単量
体状原料混合物または初期縮合物に添加すればよい。即
ち、テレフタル酸又はテレフタル酸ジエステルとジオー
ルとからエステル化又はエステル交換反応及び重縮合反
応によりポリエステルを製造する際に、エステル化又は
エステル交換反応から重縮合反応の初期までの任意の段
階で添加することができる。また、テレフタル酸、イソ
フタル酸等の酸成分と反応させたモノマー、オリゴマー
又はポリマーの形にして使用してもよい。
である2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸
はそのままで、またはそれのジエステルまたはカルボン
酸無水物の形にして、ポリエステルを製造する際の単量
体状原料混合物または初期縮合物に添加すればよい。即
ち、テレフタル酸又はテレフタル酸ジエステルとジオー
ルとからエステル化又はエステル交換反応及び重縮合反
応によりポリエステルを製造する際に、エステル化又は
エステル交換反応から重縮合反応の初期までの任意の段
階で添加することができる。また、テレフタル酸、イソ
フタル酸等の酸成分と反応させたモノマー、オリゴマー
又はポリマーの形にして使用してもよい。
【0048】式(I)の含燐ジカルボン酸の添加量はリ
ン原子として換算して500ppm以上、好ましくは1
000〜50000ppm、最適には2000〜150
00ppmの含有量となるようにポリエステルに配合す
る必要がある。この有機リン化合物の量が500ppm
未満では、ポリエステルの耐炎性能が不十分であり、あ
まり多くすると得られるポリエステルの物理的性質が損
なわれる等、ポリエステルの物性上問題が生ずることが
ある。
ン原子として換算して500ppm以上、好ましくは1
000〜50000ppm、最適には2000〜150
00ppmの含有量となるようにポリエステルに配合す
る必要がある。この有機リン化合物の量が500ppm
未満では、ポリエステルの耐炎性能が不十分であり、あ
まり多くすると得られるポリエステルの物理的性質が損
なわれる等、ポリエステルの物性上問題が生ずることが
ある。
【0049】また、実用に供する繊維の強度にするため
にポリエステルの極限粘度は、0.5以上にする必要が
ある。
にポリエステルの極限粘度は、0.5以上にする必要が
ある。
【0050】ポリエステルを製造する際の重縮合反応
は、通常0.01〜10トル程度の減圧下で260〜3
10℃、好ましくは275〜290℃の温度で所定の重
合度のものが得られるまで行われる。
は、通常0.01〜10トル程度の減圧下で260〜3
10℃、好ましくは275〜290℃の温度で所定の重
合度のものが得られるまで行われる。
【0051】また、重縮合反応は、触媒の存在下に行わ
れ、触媒としては従来一般に用いられているアンチモ
ン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウ
ム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト等
の金属化合物のほか、スルホサリチル酸、o−スルホ安
息香酸無水物等の有機スルホン酸化合物が好ましく用い
られる。触媒の添加量は、ポリエステルを構成する酸成
分1モルに対して1×10-5〜1×10-2モル、好まし
くは5×10-5〜10×10-3モル、最適には1×10
-4〜3×10-4モルである。
れ、触媒としては従来一般に用いられているアンチモ
ン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウ
ム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト等
の金属化合物のほか、スルホサリチル酸、o−スルホ安
息香酸無水物等の有機スルホン酸化合物が好ましく用い
られる。触媒の添加量は、ポリエステルを構成する酸成
分1モルに対して1×10-5〜1×10-2モル、好まし
くは5×10-5〜10×10-3モル、最適には1×10
-4〜3×10-4モルである。
【0052】なおポリエステルには、ヒンダードフェノ
ール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光剤、
染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料等
の添加剤を添加させても差し支えない。
ール化合物のような安定剤、コバルト化合物、蛍光剤、
染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料等
の添加剤を添加させても差し支えない。
【0053】本発明の方法で製造された結晶状の式
(I)の含燐ジカルボン酸を用いてのポリエステル樹脂
の製造例を参考例1および2に示した。
(I)の含燐ジカルボン酸を用いてのポリエステル樹脂
の製造例を参考例1および2に示した。
【0054】参考例1 ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHE
Tと略記する)及びその低重合物を収容するエステル化
槽に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール
(EG)とのスラリー(EG/TPAのモル比=1.6
/1)を連続的に供給し、250℃、滞留時間8時間で
反応させて、反応率95%のBHETを連続的に得た。
Tと略記する)及びその低重合物を収容するエステル化
槽に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール
(EG)とのスラリー(EG/TPAのモル比=1.6
/1)を連続的に供給し、250℃、滞留時間8時間で
反応させて、反応率95%のBHETを連続的に得た。
【0055】得られたBHETを重合槽に移送し、28
0℃に加熱し、本発明の前記実施例1で得られた結晶状
の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸を5
モル%となるように添加し、触媒として全酸成分1モル
当りに2×10-4モルの三酸化アンチモンを加え、28
0℃、0.4トルの減圧下で重縮合反応をおこない、極
限粘度0.72のポリエステルを得た。
0℃に加熱し、本発明の前記実施例1で得られた結晶状
の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸を5
モル%となるように添加し、触媒として全酸成分1モル
当りに2×10-4モルの三酸化アンチモンを加え、28
0℃、0.4トルの減圧下で重縮合反応をおこない、極
限粘度0.72のポリエステルを得た。
【0056】得られたポリエステルの色調は、L値が5
2.6、a値が−4.1、b値が7.4であり良好であ
った。ポリエステルの融点は241℃、ガラス転移点は
69℃で、ポリマー中のリン含有量は7800ppmで
あった。
2.6、a値が−4.1、b値が7.4であり良好であ
った。ポリエステルの融点は241℃、ガラス転移点は
69℃で、ポリマー中のリン含有量は7800ppmで
あった。
【0057】このポリエステルを減圧乾燥後、通常の熔
融紡糸装置を用いて紡糸温度290℃で熔融吐出後冷却
を行い、1,400m/minで引き取り未延伸糸を得た。
この未延伸糸を延伸速度700m/min、延伸温度90
℃、ヒートプレート温度105℃、延伸倍率3.0で延
伸熱処理し、75デニール36フィラメントのフィラメ
ントを得た。この繊維は強度4.9g/d、伸度32%
の性状を有し、また耐炎性試験にかけたところ、接炎回
数は5.0回であり、優れた耐炎性を有していた。
融紡糸装置を用いて紡糸温度290℃で熔融吐出後冷却
を行い、1,400m/minで引き取り未延伸糸を得た。
この未延伸糸を延伸速度700m/min、延伸温度90
℃、ヒートプレート温度105℃、延伸倍率3.0で延
伸熱処理し、75デニール36フィラメントのフィラメ
ントを得た。この繊維は強度4.9g/d、伸度32%
の性状を有し、また耐炎性試験にかけたところ、接炎回
数は5.0回であり、優れた耐炎性を有していた。
【0058】このポリエステル繊維を染色し、光照射前
後の色調を測定したところ、ΔE=0.9であり、良好
な耐光性を有していた。
後の色調を測定したところ、ΔE=0.9であり、良好
な耐光性を有していた。
【0059】参考例2 ジメチルテレフタレート(DMT)184.5部、実施
例1で得られた結晶状の2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸を16.6部、1,4−ブタンジオー
ル145.0部、触媒としてテトラブチルチタネート
0.136部を収容するエステル化槽を160℃から徐
々に昇温させ、溜出するメタノールを系外に出しながら
最終的に240℃まで昇温し、エステル交換反応を行っ
た。
例1で得られた結晶状の2−(ジフェニルホスフィニル
メチル)コハク酸を16.6部、1,4−ブタンジオー
ル145.0部、触媒としてテトラブチルチタネート
0.136部を収容するエステル化槽を160℃から徐
々に昇温させ、溜出するメタノールを系外に出しながら
最終的に240℃まで昇温し、エステル交換反応を行っ
た。
【0060】得られたエステル化物を重合槽に移送し、
250℃に加熱し、触媒として全酸成分1モル当りに2
×10-4モルのテトラブチルチタネートを加え、250
℃、0.4トルの圧力下で重縮合反応をおこない、極限
粘度0.86のポリエステルを得た。
250℃に加熱し、触媒として全酸成分1モル当りに2
×10-4モルのテトラブチルチタネートを加え、250
℃、0.4トルの圧力下で重縮合反応をおこない、極限
粘度0.86のポリエステルを得た。
【0061】得られたポリエステルの色調は、L値が5
8.2、a値が−3.0、b値が9.1であり良好であ
った。ポリエステルの融点は205℃、ポリマー中のリ
ン含有量は7780ppmであった。
8.2、a値が−3.0、b値が9.1であり良好であ
った。ポリエステルの融点は205℃、ポリマー中のリ
ン含有量は7780ppmであった。
【0062】このポリエステルを減圧乾燥後、通常の熔
融紡糸装置を用いて紡糸温度270℃で熔融吐出後冷却
を行い、1,400m/minで引き取り未延伸糸を得た。
この未延伸糸を延伸速度700m/min、延伸温度50
℃、延伸倍率2.2で延伸した後、緊張熱処理し、10
0デニール48フィラメントのフィラメントを得た。こ
の繊維は強度4.1g/d、伸度36%の性状を有し、
また耐炎性試験にかけたところ、接炎回数は5.0回で
あり、優れた耐炎性を有していた。
融紡糸装置を用いて紡糸温度270℃で熔融吐出後冷却
を行い、1,400m/minで引き取り未延伸糸を得た。
この未延伸糸を延伸速度700m/min、延伸温度50
℃、延伸倍率2.2で延伸した後、緊張熱処理し、10
0デニール48フィラメントのフィラメントを得た。こ
の繊維は強度4.1g/d、伸度36%の性状を有し、
また耐炎性試験にかけたところ、接炎回数は5.0回で
あり、優れた耐炎性を有していた。
【0063】このポリエステル繊維を染色し、光照射前
後の色調を測定したところ、ΔE=1.2であり、良好
な耐光性を有していた。
後の色調を測定したところ、ΔE=1.2であり、良好
な耐光性を有していた。
【0064】なお、上記参考例1および2で用いた技術
用語について若干の説明を加える。極限粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし
て、温度20.0℃で測定した溶液粘度から求めた値で
ある。
用語について若干の説明を加える。極限粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし
て、温度20.0℃で測定した溶液粘度から求めた値で
ある。
【0065】リン原子含有量 ポリエステル中のリン原子の含有量は、蛍光X線法によ
り定量した(「リン含有量」はポリエステル全体に対す
るリン原子としての重量分率を示す)。
り定量した(「リン含有量」はポリエステル全体に対す
るリン原子としての重量分率を示す)。
【0066】耐炎性 常法に従って紡糸、延伸して得た糸を筒編地にし、その
1gを長さ10.0cmに丸めて10.0mm径の針金
コイル中に挿入し、45度の角度に保持して、下端から
ミクロバーナー(口径0.64mm)で点火した後、火
源を遠ざける。消火した場合は再び点火を繰り返し、全
試料が燃焼しつくすまでに要する点火回数を求め、5個
の試料についての点火回数の平均値(接炎回数と記す)
で表した。
1gを長さ10.0cmに丸めて10.0mm径の針金
コイル中に挿入し、45度の角度に保持して、下端から
ミクロバーナー(口径0.64mm)で点火した後、火
源を遠ざける。消火した場合は再び点火を繰り返し、全
試料が燃焼しつくすまでに要する点火回数を求め、5個
の試料についての点火回数の平均値(接炎回数と記す)
で表した。
【0067】融点(Tm)とガラス転移点(Tg) 示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−2型)
を用いて、昇温速度20℃/minで測定した。
を用いて、昇温速度20℃/minで測定した。
【0068】染色品の光照射前後の色調の差(ΔE) 染色条件:染料 M/P Blue FBL 5 %owf (三井東圧染料(株)製品) 2部 ニッカサンソルトRM-340 (日華化学(株)製品) 2部 酢酸ナトリウム 4部 酢酸 2部 水 2000部 浴比 1:100 温度×時間 130℃×60分 光照射条件:サンシャインウェザーメータで63℃×2
50時間
50時間
【0069】上記染色条件で染色した筒編地を光照射
し、光照射前後の色調を測定し下記の計算式からΔEを
求めた。
し、光照射前後の色調を測定し下記の計算式からΔEを
求めた。
【0070】
【0071】
【発明の効果】第1および第2の本発明の方法によれ
ば、式(I)の含燐ジカルボン酸を、簡単な操作で収率
良く高純度の結晶の形で容易に収得することができる。
しかも、反応操作が円滑に実施できて且つ得られた反応
生成物の特に別段の精製の操作を必要としないで高純度
のきれいな結晶形で収得できるため、本発明の方法は工
業的に有利である。
ば、式(I)の含燐ジカルボン酸を、簡単な操作で収率
良く高純度の結晶の形で容易に収得することができる。
しかも、反応操作が円滑に実施できて且つ得られた反応
生成物の特に別段の精製の操作を必要としないで高純度
のきれいな結晶形で収得できるため、本発明の方法は工
業的に有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植田 敦子 愛知県安城市東別所町戌新畑1番地 (72)発明者 松本 哲夫 愛知県岡崎市大和町字沓市場49番地6
Claims (2)
- 【請求項1】 テトラヒドロフランと芳香族炭化水素溶
媒との混合溶媒中に原料として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた溶液状の反応混合物を
還流下に加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイ
タコン酸との反応を進行させ、該反応の生成物として次
式 の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶が反応混合物から析出した後に反応混合物の加熱を続
けながら反応混合物からテトラヒドロフランと芳香族炭
化水素溶媒とを蒸留により留去し、この留去と並行的
に、溶解している未反応のジフェニルホスフィンオキサ
イドと未反応のイタコン酸と反応生成物の析出結晶とを
含む被蒸留物に芳香族炭化水素を添加して溶媒が芳香族
炭化水素のみから成るようにさせ、こうして芳香族炭化
水素のみを反応溶媒として含むように形成された反応混
合物を再び加熱下に還流させて未反応の原料化合物の反
応を続け、これにより2−(ジフェニルホスフィニルメ
チル)コハク酸の結晶の析出を続行させながらジフェニ
ルホスフィンオキサイドとイタコン酸の反応を完全又は
実質的に完全に終了するまで行うことを特徴とする、上
記の式(I)の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)
コハク酸の製造法。 - 【請求項2】 水を添加された芳香族炭化水素中に原料
として次式 のジフェニルホスフィンオキサイドと次式 のイタコン酸を溶解し、得られた反応混合物を還流下に
加熱してジフェニルホスフィンオキサイドとイタコン酸
との反応を進行させ、該反応の生成物として次式 の2−(ジフェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結
晶が反応混合物から析出し始めても反応混合物の加熱と
還流を続け、反応の終了後、反応生成物の析出結晶を含
む反応混合物に水を追加的に添加し、こうして形成され
た不均質な混合物を再び加熱及び還流させて2−(ジフ
ェニルホスフィニルメチル)コハク酸の結晶が反応容器
壁に付着している付着物を剥離させて反応生成物を得る
ことを特徴とする、上記の式(I)の2−(ジフェニル
ホスフィニルメチル)コハク酸の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19974593A JPH0753580A (ja) | 1993-08-11 | 1993-08-11 | 含燐ジカルボン酸の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19974593A JPH0753580A (ja) | 1993-08-11 | 1993-08-11 | 含燐ジカルボン酸の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0753580A true JPH0753580A (ja) | 1995-02-28 |
Family
ID=16412928
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19974593A Pending JPH0753580A (ja) | 1993-08-11 | 1993-08-11 | 含燐ジカルボン酸の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0753580A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103333205A (zh) * | 2013-06-28 | 2013-10-02 | 青岛富斯林化工科技有限公司 | 磷系阻燃剂2,3-二羧基丙基二苯基氧化膦及其制备方法和阻燃聚酯组合物 |
JP2016053011A (ja) * | 2014-09-04 | 2016-04-14 | 東ソー株式会社 | 水酸化イミノホスファゼニウム含有溶液の精製方法 |
-
1993
- 1993-08-11 JP JP19974593A patent/JPH0753580A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103333205A (zh) * | 2013-06-28 | 2013-10-02 | 青岛富斯林化工科技有限公司 | 磷系阻燃剂2,3-二羧基丙基二苯基氧化膦及其制备方法和阻燃聚酯组合物 |
JP2016053011A (ja) * | 2014-09-04 | 2016-04-14 | 東ソー株式会社 | 水酸化イミノホスファゼニウム含有溶液の精製方法 |
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