JPH0753568A - トリメトキシシランの分離方法 - Google Patents

トリメトキシシランの分離方法

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JPH0753568A
JPH0753568A JP20537893A JP20537893A JPH0753568A JP H0753568 A JPH0753568 A JP H0753568A JP 20537893 A JP20537893 A JP 20537893A JP 20537893 A JP20537893 A JP 20537893A JP H0753568 A JPH0753568 A JP H0753568A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トリメトキシシランの効果的な分離方法を提
供する。 【構成】 トリメトキシシランとメタノールを含有する
液からトリメトキシシランを分離する方法において、該
液から共沸蒸留によりメタノールを分離する共沸蒸留塔
の塔頂部に共沸剤を供給することを特徴とするトリメト
キシシランの分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】トリメトキシシランは、半導体用
のシリコン製造の原料となるシランガスや、複合材、塗
料などの分野で用いられるシランカップリング材の製造
原料として産業上重要な化合物である。本発明は、この
トリメトキシシランの分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トリメトキシシランの製造方法として、
ケイ素とメタノールを塩化第一銅触媒により反応させる
((I)式)方法が知られている。
【0003】
【化1】
【0004】この方法で得られる反応生成物は、トリメ
トキシシランとメタノール及び副生するテトラメトキシ
シランを主成分とし、その他メトキシシランの重合物を
含む混合物となる。この反応生成物からトリメトキシシ
ランを単離する場合、各成分の沸点がメタノール64
℃、トリメトキシシラン86℃、テトラメトキシシラン
121℃のため蒸留法が適していると考えられるが、メ
タノールとトリメトキシシランが重量比で48:52の
共沸物(沸点58℃)を形成するため、分離できない。
このため、メタノールと重量比26:74で沸点50℃
の共沸物をつくるn−ヘキサン等の第3成分(「共沸
剤」)を反応生成物に加えて、メタノールとトリメトキ
シシランを分離する共沸蒸留法が知られている。
【0005】すなわち、メタノール・n−ヘキサン共沸
物の共沸点50℃が、メタノール・トリメトキシシラン
の共沸物の共沸点58℃より低いため、n−ヘキサンを
メタノールとの共沸組成分添加して蒸留を行なえば、メ
タノール・n−ヘキサン共沸物とトリメトキシシランの
蒸留分離ができる。メタノールを除去した後、トリメト
キシシランとテトラメトキシシランは通常の蒸留で分離
できる。この蒸留法を図1で説明する。
【0006】10はメタノールとトリメトキシシランの
分離蒸留塔であり、1からトリメトキシシランの反応生
成物をフィードする。一方4から共沸剤のn−ヘキサン
をフィードする。蒸留塔10の留出液はメタノールとn
−ヘキサンの共沸物である。これは、沸点50℃の温度
で留出するが、42℃以下に冷却して、デカンター1に
入れて静置するとn−ヘキサンに富んだ上相とメタノー
ルに富んだ下相との2相に分離する。このため、上相
は、4のn−ヘキサンとして10に再使用する。一方、
下相は5を通して蒸留塔11へフィードし、メタノール
・n−ヘキサン共沸物とメタノールに分離する。メタノ
ール・n−ヘキサン共沸物は留出液として6を通してデ
カンター13に入る。メタノールは缶出液7として得ら
れる。
【0007】蒸留塔10の缶出液2は、トリメトキシシ
ラン、テトラメトキシシランとその他高沸物の混合液で
ある。これを蒸留塔12へフィードし、留出液としてト
リメトキシシランを得る。缶出液9は、テトラメトキシ
シランと高沸物の混合液となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図1の3本の蒸留塔に
おいて、処理液の量が最大となるのは蒸留塔10であ
り、10の処理液量および段数は、図1で示すトリメト
キシシランの単離の設備全体のコストに大きく影響す
る。
【0009】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、以上の事
実に鑑み、蒸留塔10の処理液量、および段数を少なく
する方法について検討した結果、共沸剤のn−ヘキサン
を蒸留塔の塔頂部に供給する事により効果的にその目的
が達せられる事を見い出した。すなわち本願発明は、ト
リメトキシシランとメタノールを含有する液からトリメ
トキシシランを分離する際に、該液から共沸蒸留により
メタノールを分離する共沸蒸留塔の塔頂部に共沸剤を供
給することを特徴とするトリメトキシシランの分離方法
に存する。
【0010】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明で、蒸留原料となるトリメトキシシランとメタノール
を含有する液としては、例えばケイ素とメタノールを塩
化第一銅等の触媒で反応させて得られる反応生成物で、
メタノール含有量1〜90%、トリメトキシシラン含有
量1〜90%その他の成分として、テトラメトキシシラ
ンとそれより高沸点(121℃以上)の化合物を含有す
る混合物である。
【0011】また、メタノールの共沸剤として用いるn
−ヘキサンは純度95%以上、好ましくは97%以上で
あることが望ましい。メタノールの共沸蒸留に用いる蒸
留塔(図1の蒸留塔10)の理論段数は3〜50段好ま
しくは、10〜30段である。トリメトキシシラン反応
生成物の供給位置は、中段付近で好ましくは、中段と塔
底の間の段である。
【0012】一方、本発明での共沸剤の供給位置は塔頂
部、すなわち蒸留塔の段数を上から順番に数えて第1段
目に、還流液として供給する。これを図で説明すると図
2の様になる。共沸剤の組成は、n−ヘキサン単独でも
よいが、n−ヘキサンと共沸する濃度(26%)以下の
メタノールや10%以下のトリメトキシシラン、テトラ
メトキシシランを含有してもよい。実際、図1の4は、
デカンター静置温度での溶解度分のメタノールを含有す
る事になる。共沸剤の供給流量は、トリメトキシシラン
反応生成物中のメタノールと共沸剤に含まれるメタノー
ルの総和に対して共沸組成を作るn−ヘキサン量を供給
するようにするのが好適である。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例によってその範囲を制限されるものではない。 実施例1 メタノールの共沸蒸留を図3に示す装置で行なった。図
3中の23の蒸留塔は、直径1mm程度の孔の多孔板で
気液接触を行なうオルダーショウ型(柴田科学社製)の
分留管(内径32mm)を用い、全段数35段で、塔頂
から数えて25段目と26段目の間にトリメトキシシラ
ン反応生成物をフィードする段構成とした。一方、共沸
剤は1段目にフィードした。留出蒸気はコンデンサー2
4で凝縮させ、受器25へ全量留める様にした。以下、
図3のラインに沿って説明する。
【0014】タンク20に共沸剤として、5%のメタノ
ールを含むn−ヘキサン3000gを仕込んだ。一方、
メタノール、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラ
ンの3成分をそれぞれの試薬を用いて混合して調製した
トリメトキシシラン反応生成物(組成:メタノール2
9.6%、トリメトキシシラン47.4%、テトラメト
キシシラン23.0%)3000gをタンク22に仕込
んだ。次に、タンク20,22のフィードポンプ21を
用い、タンク20,22の原料を蒸留塔23にフィード
した。流量は、2つのフィード液のメタノールとn−ヘ
キサンが、26:74の共沸組成になる様に調節した。
また、蒸留塔ボトムのリボイラー15の熱媒温度をコン
トロールして、フィードポンプ21からフィードされる
メタノールとn−ヘキサンの合計量が留出する様にし
た。この様にして、蒸留塔内の気液接触が最適に行なわ
れるフィード流量を調べた結果、共沸剤219g/h
(タンク20のフィードポンプ21)、トリメトキシシ
ラン反応生成物210g/h(タンク22のフィードポ
ンプ21)、留出液量288g/hであった。この条件
で、十分定常になった時点で留出液、缶出液を受器2
5,27からサンプリングして、ガスクロマトグラフィ
ーで分析した。その結果を第1表に示す。また、蒸留塔
の負荷を見積るため濃縮部の蒸気流量を次の様に計算し
た。
【0015】等モルいつ流の仮定をおくと、濃縮部の蒸
気流量は、留出液の流量に等しいため、表1の留出組成
と留出流量288g/hから
【数1】蒸気流量=288×(0.254/32)+2
88×(0.724/86.2)+288×(0.02
2/122.2) =4.76mol/h トリメトキシシラン反応生成物流量に対して蒸気流量を
計算すると、 4.76÷210=0.0227mol/g=22.7mol/kg
【0016】比較例1 図4に示す蒸留装置でメタノールの共沸蒸留を行った。
図4では、共沸剤をトリメトキシシラン反応生成物と同
一段(26段)にフィードするラインとなっている。ま
た、28に開閉式の還流器をとりつけ、留出液の一部を
蒸留塔23の一段目に還流するようになっている。共沸
剤とトリメトキシシラン反応生成物は、実施例1と同じ
組成のものを用いた。還流比5の条件でフィード流量を
調べたところ、共沸剤51g/h、トリメトキシシラン
反応生成物49g/h、留出液量67g/hが最適であ
った。また、この条件で十分定常になった時点で留出液
と缶出液を分析した結果と濃縮部の蒸気量を表2に示
す。
【0017】メタノールとトリメトキシシランの分離効
率でみると、実施例1では留出のトリメトキシシランが
2.2%に対し、比較列1では8.0%と多く、しかも
缶出にn−ヘキサンが残存しており、明らかに分離が悪
くなっている。すなわち、理論段数が比較例1では不足
していると考えられる。一方、蒸留塔の負荷をみると、
蒸気量は比較例1の方が5.6倍も多く、同じ量のメタ
ノールを分離するのに、比較例1の方が塔径が5.6倍
大きい蒸留塔が必要である。この様に共沸剤の供給位置
により蒸留塔のサイズに差がある。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】 *蒸留塔へフィードしたトリメトキシシラン反応生成物
1kgに対する蒸留塔濃縮部の蒸気留量計算値
【0020】
【発明の効果】トリメトキシシランの効果的な分離を可
能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に用いる装置の一例を示す。
【図2】本願発明に用いる装置の一例を示す。
【図3】本願発明に用いる装置の一例を示す。
【図4】本願発明に用いる装置の一例を示す。
【符号の説明】
1 トリメトキシシラン反応生成物 2 1からメタノールを除去した缶出液 3 メタノール・n−ヘキサン共沸物 4 デカンターの上相液(n−ヘキサンリッチ液)で
あるメタノール共沸剤 5 デカンターの下相液(メタノールリッチ液) 6 メタノール・n−ヘキサン共沸物 7 メタノール 8 トリメトキシシラン 9 テトラメトキシシランとその他高沸物 10 メタノールを分離する共沸蒸留塔 11 メタノールとn−ヘキサンを分離する蒸留塔 12 トリメトキシシランとテトラメトキシシランを
分離する蒸留塔 13 蒸留塔A,Bの留出液を静置し、n−ヘキサン
とメタノールを液−液分離する装置 14 留出液コンデンサー 15 リボイラー 16 蒸留原料であるトリメトキシシラン反応生成物 17 メタノール・n−ヘキサン共沸混合物 18 共沸剤(主成分n−ヘキサン) 19 1からメタノールを除去した缶出液 20 共沸剤タンク 21 フィードポンプ 22 トリメトキシシラン反応生成物タンク 23 蒸留塔(オルダーショウ型) 24 留出蒸気のコンデンサー 25 留出液の受器 26 缶出液抜き出し弁 27 缶出液の受器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリメトキシシランとメタノールを含有
    する液からトリメトキシシランを分離する際に、該液か
    ら共沸蒸留によりメタノールを分離する共沸蒸留塔の塔
    頂部に共沸剤を供給することを特徴とするトリメトキシ
    シランの分離方法。
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