JPH0752887Y2 - 型枠パネル支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、鉄筋コンクリート建築物等において、コンク
リートスラブを形成する際に使用される型枠パネルの支
持装置に関するものである。

〔従来の技術〕 従来、多層階鉄筋コンクリート建築物において、対設し
た梁の上面間に架設されるスチールデッキ上にコンクリ
ートを打設してスラブを形成する場合、例えば適宜長さ
の鉄筋切断片等からなるパネル支持用支柱を複数本準備
し、このパネル支持用支柱を上記梁の上面に長さ方向に
一列に並ぶように所定間隔毎に溶接して、このパネル支
持用支柱列に型枠パネルを起立姿勢で支持させるように
していた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような方法によると、地上から離れ
た高位置に架設されている梁上のような極めて不安定な
足場上で、多数本のパネル支持用支柱を溶接しなければ
ならず、しかもこのような危険な足場上で行う溶接作業
は無理な姿勢を取らざるを得ないため、作業に非常な危
険性を伴うものであった。

また、それぞれのパネル支持用支柱を予め定められた梁
上の位置に正確に溶接を行わなければならないという極
めて非能率的な作業を強いられる上、高価な溶接工程を
必要とするものであるため、施工費用に大きく反映する
といった問題点があった。

更に、梁上面に立設したパネル支持用支柱はコンクリー
トスラブの打設後、型枠パネルと同時に撤去する必要が
あるが、この場合もパネル支持用支柱が梁上に溶接によ
り固着されている関係上、取り外し作業も面倒であり、
また、取り外されたパネル支持用支柱は再使用できず、
使い捨てにするしかなかった。

本考案は、繰り返し使用が可能で、極めて簡単且つ確実
に型枠パネルを支持できて作業性に優れた型枠パネルの
支持装置を提供しようとするものであり、これによって
上記のようなスラブ施工時における種々の問題点を一挙
に解決することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本考案の型枠パネル支持装置
は実施例に対応する図面に示すように、型枠パネル
（ａ）の上端部に係止させる係止部（11）を上端に設け
且つ表面に縦方向の被ガイド部（13）を設けてなる型枠
パネル保持金具（１）と、この保持金具（１）の前記被
ガイド部（13）に上下摺動自在に挿通させるガイド部
（21）を備え且つ下端に梁（ｂ）等の架設材の板状端部
に挟着させる挟持手段（22）を設けた固定金具（２）と
により構成したことを特徴とするものである。

〔作用〕

上記構成の支持装置を複数準備し、各支持装置を梁
（ｂ）等の長さ方向に適宜間隔毎に取付ける。各支持装
置の梁（ｂ）等への取付けは、それぞれ固定金具（２）
を挟持手段（22）によって架設材の板状端部に挟着する
ことによって行うことができる。次いで、各支持装置の
保持金具（１）の前面に亘って型枠パネル（ａ）を添接
させた上で、該保持金具（１）の被ガイド部（13）を固
定金具（２）のガイド部（21）に沿って上下摺動操作し
て、係止部（11）を型枠パネル（ａ）の上端部に係止さ
せることにより、型枠パネル（ａ）を架設材に一列状に
取り付けられた各支持装置の保持金具（１）前面に沿う
位置に配設することができる。

また、コンクリートスラブの打設完了後は、型枠パネル
（ａ）の取り外しの際に、該パネル（ａ）に装着された
ままの状態で取り外され、その後、パネル（ａ）から取
り外すことにより、繰り返し使用することができる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
第１図〜第３図に示したこの実施例に係る型枠パネルの
支持装置は、型枠パネル（ａ）の上端部に係止させる保
持金具（１）と、この保持金具（１）を上下摺動自在に
挿通して梁（ｂ）の端部に挟着させる固定金具（２）と
により構成されている。

保持金具（１）は縦長短冊状の金属板の上半部を前側に
下向きコ字形状に屈曲させてフック状の係止部（11）を
形成すると共に、下半部前面にブリキ板等の薄肉金属板
を偏平角筒状ないし断面偏平Ｃ字形状に成形してなる筒
体（12）を溶接等によって固着し、この筒体（12）と金
属板下半部の後面間に上記固定金具（２）が挿通される
偏平角孔形状の被ガイド部（13）を縦方向に形成してな
るものである。

上記フック状係止部（11）は型枠パネル（ａ）の上端部
に係止させるもので、該パネル上端部の係合作業を容易
にするために、パネル（ａ）の前面に対向させる前端係
止片（11a）を下方に向かってやゝ開き気味に形成する
ことが好ましい。

固定金具（２）は保持金具（１）を構成する金属板より
も厚手の金属板、もしくは剛性の高い金属板を縦長短冊
状に形成したものからなり、この金属板の上半部を上記
保持金具（１）の被ガイド部（13）に上下摺動自在に挿
通させる縦長平板状のガイド部（21）に形成すると共
に、該ガイド部（21）の下端部より下方部分に、梁
（ｂ）の板状端部（Ｈ型鋼製梁においてはフランジ
（ｃ）の端部に挟着させる挟持手段（22）を設けたもの
である。

この挟持手段（22）は固定金具（２）を構成する上記金
属板の下半部を横長なコ字形状に屈曲成形して、梁
（ｂ）の板状端部に嵌め込む挟持部（23）を形成すると
共に、この挟持部（23）の上面板部（23a）に縦方向の
ねじ孔（24a）（24b）を穿設して、各ねじ孔（24a）（2
4b）に蝶ボルト（25a）（25b）を螺装してなり、梁
（ｂ）の板状端部に挟持部（23）を嵌め込んで蝶ボルト
（25a）（25b）を締め込むことにより、該蝶ボルト（25
a）（25b）と下面板部（23b）間で梁（ｂ）の板状端部
を挟圧するものである。

尚、これらの蝶ボルト（24a）（24b）はいずれも下端部
に梁（ｂ）の上面に圧接させる押さえパッド（26）を取
付けることが好ましい。

また、固定金具（２）は比較的幅狭に形成されるもので
あるため、挟持部（23）の上面板部（23a）に一対の蝶
ボルト（25a）（25b）を一列に並べて配設することは困
難である。このため、この実施例では両方のねじ孔（24
a）（24b）を上面板部（23a）の幅方向に適宜寸法位置
ずれさせて穿設して、２本の蝶ボルト（25a）（25b）を
取付けられるようにすると共に、操作時手前に位置する
蝶ボルト（25a）を向こう側の蝶ボルト（25b）よりも短
いものを使用し、各ボルト（25a）（25b）の操作部の高
さを変えることにより、いずれの蝶ボルト（25a）（25
b）も無理なく操作できるようにしている。

上記構成の支持装置を用いて、スチールデッキ（ｄ）を
架設した梁（ｂ）の上面に型枠パネル（ａ）を立設する
場合、コ字形状挟持部（23）をその開放端から梁（ｂ）
のフランジ（ｃ）端部に係入し、各蝶ボルト（25a）（2
5b）を締め込むことにより、該フランジ（ｃ）に固定金
具（２）を固定する。この実施例では挟持手段（22）の
挟持部（23）が横長なコ字形状に形成されていることに
より、該フランジ（ｃ）には固定金具（２）のガイド部
（21）による保持金具（１）の被ガイド部（13）の案内
方向に対して直交する横方向に固定されるものであり、
これによって水平フランジ（ｃ）に固定された固定金具
（２）のガイド部（21）はデッキ（ｄ）に対して垂直に
起立する姿勢となるものである。

このようにして複数の支持装置（Ａ）（Ａ）…（Ａ）を
梁（ｂ）のフランジ（ｃ）の長さ方向に所定間隔毎に固
定した後、各支持装置（Ａ）の保持金具（１）の前面に
沿って型枠パネル（ａ）を起立状態で配置し、保持金具
（１）の被ガイド部（13）を固定金具（２）のガイド部
（21）に沿って上下摺動させ、該保持金具（１）の係止
部（11）をパネル（ａ）の上端部に係合することによ
り、パネル（ａ）は保持金具（１）の係止部（11）に係
止され、垂直な起立姿勢に保持されるものである。

また、パネル（ａ）に囲まれたデッキ（ｄ）上へコンク
リートスラブ（ｅ）の打設完了後は、固定金具（２）の
蝶ボルト（25a）（25b）を緩めて、パネル（ａ）を支持
装置（Ａ）が装着されたままの状態で取り外した後、該
パネル（ａ）から支持装置（Ａ）を取り外す。このよう
に本案の支持装置（Ａ）は使用後、パネル（ａ）から取
り外すことにより、繰り返し使用することができる。

第４図及び第５図は本考案の他の実施例を示しており、
この実施例では、固定金具（２）はガイド部（21）を縦
方向に配置される短冊状金属板によって形成すると共
に、挟持手段（22）を該ガイド部（21）を構成する金属
板の下端部後面に該金属板と直交する横方向に溶接等に
よって固着してなる金属板によって形成し、更に、該横
方向の金属板の後端部を下向きコ字形状に屈曲成形して
ガイド部（21）と平行な挟持部（23）に形成したもので
あり、また、挟持手段（22）を補強するために挟持部
（23）の頂面と縦方向の金属板間に補強板（27）を架着
してある。

この固定金具（２）のガイド部（21）に上下摺動自在に
装着される保持金具（１）は上記実施例と同様の構成で
あるので、重複を避けるためにその説明省略する。

このように構成された支持装置（Ｂ）では、固定金具
（２）に設けられた挟持手段（22）の挟持部（23）が、
ガイド部（21）に対して平行に設けられているので、例
えば梁（ｂ）の上面外端部に外装パネル固定用のアング
ル材（ｆ）を溶接してある施工部位に好適に使用できる
ものである。

即ち、アングル材（ｆ）の起立片（ｇ）に固定金具
（２）のコ字形状の挟持部（23）を差し込んで固定する
ことにより、ガイド部（21）が所定位置に垂直起立状態
で固定することができる。尚、固定金具（２）の挟持部
（23）はその前後面板部（23c）（23d）間の空隙が下方
になるほど狭くなるように形成することにより、挟持部
（23）をアングル材（ｆ）の起立片（ｇ）に差し込んだ
とき、該前後面板部（23c）（23d）にばね作用が生じ
て、起立片（ｇ）を強固に挟圧することになり、固定金
具（２）の取付けを一層確実にすることができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案の型枠パネル支持装置は、型
枠パネル（ａ）の上端部に係止させる係止部（11）を上
端に設け且つ表面に縦方向の被ガイド部（13）を設けて
なる型枠パネル保持金具（１）と、この保持金具（１）
の前記被ガイド部（13）に上下摺動自在に挿通させるガ
イド部（21）を備え且つ下端に梁（ｂ）等の架設材の板
状端部に挟着させる挟持手段（22）を設けた固定金具
（２）とにより構成したものであるから、固定金具
（２）を挟持手段（22）によって架設材の板状端部に固
定するだけの操作で、保持金具（１）を型枠パネル
（ａ）の配設位置に正確に固定できる。このように本案
支持装置は固定金具（２）の挟持手段（22）を架設材の
板状端部に挟着するだけでセットできるので、作業者は
安全なデッキ上にいて装置を取付けることができ、従来
のような架設材上にパネル支持用支柱を溶接するという
危険な作業をなくすことができる。

また、架設材の端部に固定された本案支持装置に沿って
型枠パネル（ａ）を立設すると共に、保持金具（１）の
被ガイド部（13）を固定金具（２）のガイド部（21）に
沿って上下摺動して係止部（11）の高さを調整すること
により該係止部（11）をパネル（ａ）の上端部に係止さ
せるだけの極めて簡単な作業でパネル（ａ）を予め設定
された配設位置に正確且つ確実に固定することができ
る。従って、本案支持装置を複数準備し、上記の要領で
架設材の板状端部に適宜間隔毎に取付けることにより、
安全にして迅速且つ簡単にパネル（ａ）の取付けができ
る。

しかも、コンクリートスラブの打設後は、型枠パネル
（ａ）を取り外す際に挟持手段（22）を架設材から離脱
させて、該パネル（ａ）と共に簡単に取り外すことがで
きるので、作業の後仕舞が簡単な上に何度も繰り返し使
用できる。

このように本考案によれば、繰り返し使用が可能で、極
めて簡単且つ確実に型枠パネルを支持できて作業性に優
れた型枠パネルの支持装置を提供できるものであり、こ
れによって上記のようなスラブ施工時における種々の問
題点を一挙に解決することができるという優れた効果を
奏するものとなった。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の実施例を示しており、第１図
は縦断側面図、第２図は架設材への取付状態の斜視図、
第３図は同側面図、第４図及び第５図は本考案の他の実
施例を示しており、第４図は斜視図、第５図は架設材へ
の取付状態の側面図である。 （１）…型枠パネル保持金具、（11）…係止部、（13）
…被ガイド部、（２）…固定金具、（21）…ガイド部、
（22）…挟持手段、（ａ）…型枠パネル、（ｂ）…梁、
（ｆ）…アングル材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】型枠パネル（ａ）の上端部に係止させる係
   止部（11）を上端に設け且つ表面に縦方向の被ガイド部
   （13）を設けてなる型枠パネル保持金具（１）と、この
   保持金具（１）の前記被ガイド部（13）に上下摺動自在
   に挿通させるガイド部（21）を備え且つ下端に梁（ｂ）
   等の架設材の板状端部に挟着させる挟持手段（22）を設
   けた固定金具（２）とにより構成したことを特徴とする
   型枠パネル支持装置。