JPH0752430A - サーマルヘッド - Google Patents

サーマルヘッド

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JPH0752430A
JPH0752430A JP19964093A JP19964093A JPH0752430A JP H0752430 A JPH0752430 A JP H0752430A JP 19964093 A JP19964093 A JP 19964093A JP 19964093 A JP19964093 A JP 19964093A JP H0752430 A JPH0752430 A JP H0752430A
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JP
Japan
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recording
head
heating element
temperature
heat
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JP19964093A
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English (en)
Inventor
Seiji Hibino
清司 日比野
Etsuji Shimizu
悦司 清水
Koji Mabuchi
宏司 馬▲淵▼
Satoshi Kuwabara
聡史 桑原
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、局所的な蓄熱問題と全体的な蓄
熱問題とを同時に解決し、高速で高画質の印写を可能と
すると共にヘッドの寿命と信頼性を向上したサーマルヘ
ッドを提供することを目的とする。 【構成】 この発明のサーマルヘッドは、PTCで形成
されたヘッド基板103aと、ヘッド基板103aの記
録用発熱体表面側に並んで配置した一対の補助発熱用電
極104a,104bと、ヘッド基板103aと補助発
熱用電極104a,104bとを覆う絶縁体105と、
絶縁体105の上にライン状に形成された記録用発熱体
106と、記録用電極対107a,107bと、記録用
発熱体106と記録用電極対107a,107bを覆う
保護層108とで構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】この発明は、ファクシミリ,プリンタ等に
用いられるサーマルヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】熱転写記録装置は、一般に、サーマルヘ
ッドの表面に形成された記録用発熱体をインクシートを
介して記録紙に押し当て、記録用発熱体に通電すること
で発熱を行い、その熱によって、インクシート上のイン
クを記録紙表面に転写して記録を行うものである。イン
クに溶融性の顔料を用いる場合は、溶融型熱転写と呼ば
れ、昇華性染料を用いる場合には昇華型熱転写と呼ばれ
ている。
【0003】従来の一般的なサーマルヘッドの構成を説
明する。図8は、従来の一般的なサーマルヘッドを示す
側面断面図である。この図に示すように、従来のサーマ
ルヘッドは、絶縁性基板203の上に、熱伝導率の低い
材質で保温層205を形成し、その上に記録用発熱体2
06と、記録用電極対207a,207bを形成する。
記録用発熱体206は多数の記録用電極対207a,2
07bに挟まれており、一対の記録用電極207a,2
07bに挟まれた部分が一つの発熱要素となる。この発
熱要素は個々に分割されて構成されている場合もある。
記録信号に応じて、個々の記録用電極対207a,20
7bに通電することで、任意の記録用発熱体206を発
熱することができる。そして、記録用発熱体206と記
録用電極対207a,207bの上にこれらの酸化と摩
耗を防止するために、保護層208が形成されている。
【0004】上記サーマルヘッドを用いた熱転写記録に
おける問題点を昇華型熱転写記録の場合を例にとり説明
する。
【0005】通電時間とその後の冷却時間で構成される
印写周期で、記録用発熱体が繰り返し発熱すると、その
近傍の保温層に蓄熱が発生し、温度が上昇し、いずれは
飽和する。この状態をここでは、局所的な蓄熱と呼ぶこ
とにする。
【0006】さらに発熱を繰り返すと、保温層の蓄熱
は、ヘッド基板にまで伝わり、ヘッド基板温度を上昇さ
せいずれは飽和する。この状態をここでは、全体的な蓄
熱と呼ぶことにする。
【0007】まず、局所的な蓄熱が引き起こす問題点に
ついて説明する。
【0008】局所的な蓄熱が大きいほど、通電開始時点
の発熱体を含む近傍の温度が高くなるので、通電終了時
点の記録用発熱体の最高温度も高くなり、その結果、記
録画像の濃度は高くなる。このように、同じ印加エネル
ギーでも、蓄熱の状態によって、濃度に違いが発生す
る。
【0009】当該記録用発熱体の近傍の蓄熱状態は、当
該ドットの左右ドットや、過去に印写した前ドット及び
この前ドットの左右ドットといった周囲ドットの発熱状
態に影響される。周囲ドットが全て最高階調の場合に
は、当該記録用発熱体の近傍の蓄熱は大きくなり、当該
ドットの濃度は高くなる。逆に、周囲ドットが全て印写
しない場合には、当該記録用発熱体の近傍の蓄熱は小さ
くなり、当該ドットの濃度は低くなる。
【0010】このような問題が実際の画像としては、次
のような画質不良を引き起こす。第1の例としては、し
まりのない画質が挙げられる。すなわち、連続して印写
をする場合、印写開始部分では濃度が低く、徐々に濃度
が上がってくる。このため周囲が白地である面積を有す
る最高階調の画像の端部の先鋭度が悪くなり、全体的に
しまりのない画質となる。このような例は文字において
顕著であり、読みづらくなる。
【0011】第2番目の例としては、周囲が低階調であ
る面積を有する最高階調の画像を印写した場合、最高階
調部分を印写した後の低階調部分の濃度が始終低階調を
印写した部分の濃度に比べて高くなり、影を落としたよ
うな濃度ムラが発生する画質不良が挙げられる。
【0012】第3番目の例としては、印写方向に平行な
線と垂直な線と斜めの線のクロスパターンを印写した場
合、同じ印加エネルギーにも関わらず濃度が異なるとい
う画質不良が挙げられる。
【0013】続いて、全体的な蓄熱が引き起こす問題点
について説明する。
【0014】印写開始時点のヘッド基板の温度は、環境
温度に左右される。また、同じ環境温度でもヘッド基板
温度は長時間の印写を続けると高くなる。印加エネルギ
ーが同じでもヘッド基板温度が高くなれば、局所的な蓄
熱の場合と同様に、印写濃度は高くなる。従って、環境
温度の違いによる濃度変化が発生するため、印写枚数に
よって濃度が変化して、濃度の再現性が悪いという問題
が起こる。
【0015】以上のような蓄熱に起因する問題は昇華型
熱転写記録に限らず、溶融型熱転写記録や感熱紙を使用
する場合にも濃度変化に代わって、ドット形状の変化の
形で発生する。
【0016】このような蓄熱問題を解決する方法とし
て、従来種々の提案がなされている。まず、局所的な蓄
熱問題を解決する方法として、いわゆる熱履歴制御を行
う方法がある。これは、溶融型熱転写記録や感熱紙を用
いる場合といった二値画像記録に使われる方法で、周囲
ドットの印写の有無に応じて、当該ドットを印写するた
めの通電時間を制御して、ドット形状の再現性を向上さ
せる方法である。
【0017】この方法で厳密な制御を行うには、周辺ド
ットの範囲を広げていかなければならない。例えば、当
該ドットの周囲5ドットの印写状況は、25 =32通り
あり、周囲14ドットの印写状況は214=16384通
りとその数は膨大になる。そして、1ドットで濃度階調
が得られる昇華型熱転写記録の場合には、周囲ドットの
印写状況はさらに膨大な数となる。例えば、1ドットで
16階調表現する場合、当該ドットの周囲5ドットの印
写状況は165 =100万通りとなり、これに応じた通
電時間の制御を行うことは、実質上不可能に近い。
【0018】また、全体的な蓄熱問題を解決する方法の
一つとしては、ヘッド基板温度に応じて通電時間を制御
して、ドット形状や濃度の再現性を向上させる方法があ
る。例えば、ヘッド基板温度が高い場合には通電時間を
短くして、ヘッド基板温度が低い場合には通電時間を長
くする。前者の場合、通電時間を短くしただけ印写周期
が短くなり、印写速度を向上できる可能性があるが、後
者の場合に備えて、印写周期を長く取る必要があるの
で、このような制御方法をとることはできない。
【0019】他の方法としては、印写前に全記録用発熱
体を通電発熱して、ヘッド基板全体を予熱する方法があ
る。予熱によって、常にヘッド温度を一定に保つこと
で、ドット形状や濃度の再現性が向上する。実際に予熱
を行うには数分といった長い待ち時間が必要となる上
に、印写以外に長時間に渡って記録用発熱体に通電を行
うため、ヘッドの寿命を低下させることになる。
【0020】また、局所的蓄熱問題と全体的蓄熱問題を
同時に解決する手段が提案されている(特開昭52−4
5345号公報参照)。この方法は、抵抗温度係数が正
なる自己温度制御形の記録ヘッド加熱要素を記録用発熱
体の近傍に配置するものである。図9に、この手段を用
いたサーマルヘッドの構成を示す。
【0021】金属製の放熱層303の上に、ガラス,ア
ルミナ等の薄い熱流制御層321を設ける。その上に、
カーボンとグラファイトとポリエチレンの混合ペースト
を印刷焼成した正の抵抗温度特性を有する記録ヘッド加
熱要素322を設ける。これには図示しない駆動電極が
付属される。この記録ヘッド加熱要素322の上には、
記録用発熱体306,記録用電極対307a,307b
を設ける。記録用発熱体306,記録用電極対307
a,307bと記録ヘッド加熱要素322は、電気回路
的に独立性を有するように適当な絶縁処理をする場合も
ある。
【0022】上記構成によれば、記録ヘッド加熱要素3
22が自己温度制御を行うので、環境温度や印写による
蓄熱の状況に左右されずに、記録用発熱体306の近傍
を一定の温度に保つことができる。しかも、自己温度制
御は局所的にも作用するので、周囲ドットの印写状況に
よらず、当該記録用発熱体306の近傍の温度は一定に
保たれる。その結果、再現性のあるドット形状や濃度が
得られる。
【0023】しかし、記録ヘッド加熱要素322を形成
するのに樹脂を使用しては、予熱温度に耐えることがで
きても、記録用発熱体306の繰り返し発生する高温の
ヒートショックに耐えることはできず、損傷して記録ヘ
ッドの寿命を著しく低下させることとなる。
【0024】上記記録ヘッド加熱要素322の耐熱性を
向上させるには、材質を無機質にする必要がある。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例え
ば、チタン酸バリウム(BaTiO3 )といった、正の
抵抗温度特性を持つ無機質材料を層状に焼成して形成す
ることは製造上困難である。仮に、層状にできたとして
も、一般に正の抵抗温度特性を持つ無機質材料を層状に
焼成して形成するには、1000数百℃の焼成温度が必
要とするので、図9に示すような構造では、土台となる
金属製の放熱層303やその上のガラスやアルミナとい
った材質の熱流制御層321がこの焼成温度に耐えきれ
ない。
【0026】また、記録ヘッド加熱要素を薄い層状にし
たので、そこで発生した熱は放熱層側へすぐに伝わる。
これを防ぐためには、熱伝導率の小さい材質で熱流制御
層を設ける必要があり、構造が複雑になるという問題点
もあった。
【0027】この発明は、複雑な制御を用いることな
く、前述の局所的な蓄熱問題と全体的な蓄熱問題とを同
時に解決し、高速で高画質の印写を可能とし、しかもヘ
ッドの寿命と信頼性を向上した、製造が容易で簡単な構
造のサーマルヘッドを提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するために、自己温度制御可能で且つ耐熱性のあ
る正の抵抗温度係数を有する感温素子材料で形成された
ヘッド基板と、記録用発熱体を挟むように前記ヘッド基
板上に互いに並んで配置した一対の補助発熱用電極と、
前記ヘッド基板と補助発熱用電極とを覆う絶縁体と、こ
の絶縁体の上にライン状に形成された記録用発熱体と、
この記録用発熱体を挟むように配置された記録用電極対
と、前記記録用発熱体と記録用電極対を覆う保護層と
で、構成したことを特徴とする。
【0029】更に、このPTCヘッド基板において、上
記記録用発熱体ラインと平行な凹所を形成するとよい。
【0030】また、上記一対の補助電極間の距離が、記
録用電極対の間隔以上に形成するとよい。
【0001】また、上記PTCヘッド基板の熱伝導率
を、アルミナやステンレスより小さく且つガラスより大
きな値にするとよい。
【0031】
【作用】一対の補助発熱用電極間に一定電圧を印加する
と、正の抵抗温度係数を有する感温素子、すなわち、P
TC(Positive Temperature C
oefficient Thermistor)特性を
有するヘッド基板の表面において、補助発熱用電極間の
ライン状の部分に発熱が起こる。PTC特性を持つ材料
はその温度が物性値であるキュリー点を越えると抵抗値
が急激に上昇する。そのため、PTC特性を有するヘッ
ド基板表面の発熱部では、温度がキュリー点を越えると
電流が流れにくくなり、温度がキュリー点を下回る。す
ると、また抵抗が急激に下がり、電流が流れ発熱し始め
る。このように電流の制御が自動的にしかも連続的に滑
らかに行われ、理想的な状態で温度が一定に保たれる。
【0032】このようにして、印写前に記録用発熱体の
近傍を一定温度に保っておき、印写を開始する。PTC
特性を有するヘッド基板の発熱部は極めてわずかな面積
であるので、温度の立ち上がりは数秒という短時間で行
われる。
【0033】記録信号に応じて記録用電極対に電力が印
加されると、記録用発熱体が発熱する。その熱はPTC
特性を有するヘッド基板にも伝わるので、その部分の温
度はキュリー点以上になり、その部分のみ電流は流れな
くなる。記録用発熱体への通電が終了した時点から記録
用発熱体の温度が下がり、追って、その近傍のPTC特
性を有するヘッド基板の温度も下がるが、PTC特性の
ため温度はキュリー点付近で自己制御される。
【0034】記録用発熱体が発熱しない場合でも、両隣
の記録用発熱体が発熱すると、その熱が当該記録用発熱
体の近傍に伝わるが、前述のようにその近傍のPTCヘ
ッド基板の温度は自己制御される。
【0035】従って、周囲ドットの印写状況が様々に変
化しても、当該ドットを印写開始する時点の記録用発熱
体の近傍の温度を一定に保つことができる。
【0036】更に、印写中に、記録用発熱体から繰り返
して伝わるヒートショックを層形状ではなく、基板自体
で受けることにより、耐久性が高まる。
【0037】また、熱伝導率が通常ヘッド基板に使用さ
れているアルミナやステンレスのものより大きく、且
つ、通常保温層に用いられるガラスより大きい材質をP
TC特性を有するヘッド基板に採用することで、特に熱
流制御層を設けなくても、PTCヘッド基板の表面から
の放熱を少なくすることができ、蓄熱しすぎることもな
い。
【0038】
【実施例】以下、この発明につき、図面を参照して説明
する。
【0039】まず、この発明のサーマルヘッドが用いら
れる熱転写記録装置につき簡単に説明する。図7は、こ
の発明のサーマルヘッドを用いた熱転写記録装置を示す
側面図である。
【0040】この図において、101はこの発明のサー
マルヘッドであり、PTC特性を有する材料で構成され
たヘッド基板103aと回路基板111とを、互いに隣
接してヘッド支持体112に、絶縁性接着剤113で接
着されている。この回路基板111には、記録用発熱体
の駆動IC114、電力供給及び記録信号用のコネクタ
117がそれぞれ設けられている。102は記録用発熱
部、115はボンディングワイヤ、116は絶縁体であ
る。また、118はインクシート、119は記録紙、1
20はプラテンローラである。
【0041】そして、インクシート118と記録紙11
9は、サーマルヘッド101の記録用発熱部102とプ
ラテンローラ120とによって圧接される。サーマルヘ
ッド101の記録用発熱部102は、記録信号に応じて
発熱し、この熱によって、インクシート118のインク
が記録紙119に転写され、記録が行われる。
【0042】図1は、この発明による第1実施例のサー
マルヘッドの要部を示す側面断面図である。図2は、こ
の発明による第1実施例のサーマルヘッドの補助発熱用
電極部分を示す下面図である。
【0043】これらの図において、103aは正の抵抗
温度特性を持ち自己温度制御可能な材質で形成されたヘ
ッド基板(以下、PTCヘッド基板という。)である。
このヘッド基板103aは、例えば、抵抗が急激に変化
する温度であるキュリー点が100℃,厚み0.6m
m,熱伝導率が2〜3W/mdegのチタン酸バリウム
を用いる。そして、このPTCヘッド基板103aは、
熱伝導率が通常のヘッド基板に使用されているアルミナ
やステンレスのものより大きく、且つ、通常保温層に用
いられるガラスより大きい。
【0044】104a,104bは補助発熱用電極であ
り、金,銀,銅,アルミ等を用い、薄膜技術或いは厚膜
技術で形成する。また、これら材質以外にニッケルメッ
ッキを用いてもよい。そして、図2に示す如く、補助発
熱用電極104a,104bは互いに記録用電極対10
7a,107bの間隔部を挟んで並んで平行に2本のラ
イン状に形成される。
【0045】105は保温層であり、PTCヘッド基板
103aと補助発熱用電極104a,104bを覆う電
気絶縁性,耐熱性があり熱伝導率が小さい材質、例え
ば、ガラスが用いられる。この保温層105の厚みは、
記録用発熱体部分102とインクシート118との密着
性を向上するために、記録用発熱体106が形成される
部分において他の部分より厚くしてもよい。
【0046】また、保温層105の上には、従来ヘッド
と同様に、記録用発熱体106,記録用電極対107
a,107bを薄膜技術や厚膜技術を用いて形成する。
【0047】108は、記録用発熱体106及び記録用
電極対104a,104bを覆う保護層で、インクシー
トとの摩耗と酸化を防止する。
【0048】次に、この発明の第1の実施例のサーマル
ヘッドを用いた熱転写記録のメカニズムを説明する。
【0049】補助発熱用電極104a,104bに一定
電圧を約20V印加すると、PTCヘッド基板103a
の表面において、補助発熱用電極104a,104b間
のライン状の部分に発熱が起こる。PTC特性を持つ材
料はその温度が物性値であるキュリー点を越えると抵抗
値が急激に上昇する。そのため、PTC基板103a表
面の発熱部では、温度がキュリー点を越えると電流が流
れにくくなり、温度がキュリー点を下回る。そして、温
度がキュリー点を下回ると、抵抗が急激に下がり、電流
が流れ発熱し始める。このように電流の制御が自動的に
しかも連続的に滑らかに行われ、理想的な状態で温度が
一定に保たれる。従って、環境温度や印写による蓄熱の
状況に左右されず、記録用発熱体の近傍を一定の温度に
保つことができる。その結果、再現性のあるドット形状
や濃度が得られる。
【0050】このようにして、印写前に記録用発熱体1
06の近傍を一定温度に保っておき、印写を開始する。
PTCヘッド基板103aの発熱部は極めてわずかな面
積であるので、温度の立ち上がりは数秒という短時間で
行われる。給紙や信号待ち時間があるので、ウォームア
ップのための待ち時間は、使用において差し支えない。
立ち上がりが速ければ、常時通電する必要はなく、無駄
な電力消費はほとんどない。
【0051】そして、記録信号に応じて記録用電極対1
04a,104bに電力が印加されると、記録用発熱体
106が発熱する。その熱はPTCヘッド基板103a
にも伝わるのでその部分の温度はキュリー点以上にな
り、その部分のみ電流は流れなくなる。記録用電極対1
04a,104bへの通電が終了した時点から、記録用
発熱体106の温度が下がり、追ってその近傍のPTC
ヘッド基板103aの温度も下がるが、PTC特性のた
め温度はキュリー点付近で自己制御される。
【0052】記録用発熱体106が発熱しない場合で
も、図示しない両隣の記録用発熱体が発熱すると、その
熱が当該記録用発熱体106の近傍に伝わるが、前述の
ようにその近傍のPTCヘッド基板103aの温度は自
己制御される。
【0053】この発明によるサーマルヘッドが局所的に
も温度が自己制御される原理を以下に説明する。
【0054】補助発熱用電極104a,104bは平行
な2本のライン状であるため、補助発熱用電極104
a,104bとPTCヘッド基板103aから構成され
る抵抗回路は、無限の並列回路と等価である。このた
め、発熱部に温度の不均一ができた場合、温度が低い部
分のみに電流が流れ、温度が均一になるように作用す
る。
【0055】従って、周囲ドットの印写状況が様々に変
化しても、当該ドットを印写開始する時点の記録用発熱
体の近傍の温度を、一定に保つことができる。その結
果、再現性のあるドット形状や濃度が得られる。
【0056】PTCヘッド基板103aの自己制御温度
及び記録用発熱体106への印加電力の設定について説
明する。
【0057】この発明のサーマルヘッド101におい
て、補助発熱用電極104a,104bには通電せずに
PTCヘッド基板103aを発熱させずに、記録用発熱
体106の発熱のみで熱転写記録を行う。連続発熱によ
って発生する全体的な蓄熱及び局所的な蓄熱を利用して
最高濃度を得る。次に、印写方向に1ラインおきのパタ
ーンを印写して、印写市内部分に着色がないことを確認
する。その時の設定から印加電力,通電時間,印写周期
を決める。
【0058】また逆に、記録用電極対107a,107
bには通電せず、記録用発熱体106を発熱させず、補
助発熱用電極104a,104bのみ通電させてPTC
ヘッド基板103aのみに発熱させて熱転写記録を行
う。違った値のキュリー点を持ついくつかのPTCヘッ
ド基板で転写を行い、着色がおこらない範囲で、なるべ
く高い自己制御温度となるキュリー点を求め、これを設
定値とする。
【0059】このようにして設定した印加電力,通電時
間,印写周期,キュリー点で印写を行うと、全ドットを
同時に連続印写するといった、最も発熱量が大きな状態
でも、記録用発熱体106の近傍の温度が,PTCヘッ
ド基板の自己制御温度を越えて上昇することはない。
【0060】そして、予熱温度を最大限に高く設定して
いるため、記録用発熱体106への印加エネルギーを最
小限にすることができる。そのため、長時間に渡り使用
したときに発生する記録用発熱体106の抵抗値変化を
少なく抑えられるし、記録用発熱体106の繰り返し温
度変化の振幅が小さくなって、ヒートショックが緩和さ
れる。その結果、サーマルヘッドの寿命が伸び、信頼性
が向上する。
【0061】補助発熱に必要なエネルギー及び立ち上が
り、時間の観点から考えると、補助発熱用電極104a
と104bとの間隔は、短いほど有利であるが、記録用
発熱体106の発熱部分、即ち記録用電極対107a,
107bの間隔より短くては、予熱の効果が十分得られ
ない。従って、記録用電極対107aと107bとの間
隔以上とするのがよい。本実施例では、PTC材料の耐
圧を考慮して1mm程度とした。
【0062】補助発熱用電極104a,104bのPT
Cヘッド基板103aの外縁への引き出し方を図2を用
いて説明する。
【0063】補助発熱用電極104a,104bを同一
面上でコネクタ側117へ引き出した場合、引き出し部
分が接近していると、その間のPTCヘッド基板103
aが発熱してしまうので、間隔を広くあける必要があ
る。また、記録用発熱体106ライン方向に引き出す
と、サーマルヘッド101を記録装置に装着した時の使
い勝手が悪くなる。そこで、PTCヘッド基板103a
の長手方向のそれぞれの端部に、補助発熱用電極104
a,104bを引き出すのがよい。
【0064】次に、この発明の第2の実施例を示す。図
3は、この発明による第2実施例のサーマルヘッドの要
部を示す側面断面図である。図4は、この発明による第
2実施例のサーマルヘッドの補助発熱用電極部分を示す
下面図である。
【0065】補助発熱用電極104c,104dをPT
Cヘッド基板103aの両側に配置する。補助発熱用電
極104c,104dとPTCヘッド基板103aとに
よって構成される抵抗回路は、第1の実施例と同様に、
無限の並列回路と等価である。
【0066】補助発熱用電極104c,104dの、P
TCヘッド基板103aの外縁への引き出し方を図4を
用いて説明する。補助発熱用電極104c,104dを
PTCヘッド基板103aを介して重なるような位置関
係で、コネクタ117側へ引き出した場合、その間のT
PCヘッド基板103aが発熱してしまうので、PTC
ヘッド基板103aの長手方向のそれぞれの端部に、補
助発熱用電極104a,104bを引き出すのがよい。
第1の実施例と同様に記録用発熱体106ライン方向に
引き出すと、サーマルヘッド101を記録装置に装着し
た時の使い勝手が悪くなる。
【0067】その他の構成、メカニズムは第1の実施例
と同じであり、説明の重複を避けるために、ここでは説
明を省略する。
【0068】次に、この発明の第3の実施例を示す。図
5は、この発明による第3実施例のサーマルヘッドの要
部を示す側面断面図である。
【0069】この実施例のPTCヘッド基板103b
は、記録用発熱体106の付近凹所109を形成し、凹
んだ形状となっている。
【0070】この第3の実施例の特徴を説明するにあた
り、第1の実施例において、PTCヘッド基板103a
の発熱部分において、厚み方向への電流の広がりを説明
する。PTCヘッド基板103aへ通電を開始した時点
では、電流は補助発熱用電極104a,104b間の最
短距離である表面を流れる。表面の温度がキュリー点以
上に上昇すると、表面の抵抗値が急上昇して電流の流れ
がとまり、代わりにまだ温度がキュリー点以下の内部に
電流が流れるようになる。このように電流はPTCヘッ
ド基板103a内部へ広がりを見せるが、表面の温度が
再びキュリー点以下になれば、表面を流れることにな
る。
【0071】効率的に記録用発熱体106の近傍を一定
温度に保つには、電流がなるべく表面だけを流れた方が
よい。図9に示した従来例のように、ヘッド加熱要素3
22を薄い層で形成すれば、この点では有利であるが、
耐熱性のある無機質のPTC材料で薄い層を焼成するこ
とは困難である。
【0072】そこで、この第3の実施例では、PTCヘ
ッド基板103bを記録用発熱体106の付近で凹んだ
形状としている。これには、PTCヘッド基板103b
を焼成する前に、変形させてもよいし、焼成後に切削し
てもよいが、前者の方が容易である。
【0073】このように凹形状としたため、PTCヘッ
ド基板103bの発熱部の厚みが小さくなり、流れる電
流を制限できる。また、厚み方向への熱の伝わりを比べ
ると、従来例ではガラスや、アルミナの熱流制御層32
1へ伝わり、第1の実施例ではPTCヘッド基板103
aに熱が伝わるのに対して第3の実施例では、空気に伝
わるので熱逃げが減少するというメリットもある。
【0074】次に、この発明の第4の実施例を示す。図
6は、この発明による第4実施例のサーマルヘッドの要
部を示す側面断面図である。
【0075】第3の実施例の凹部109に機械強度的に
不安があれば、第4の実施例のように、この凹部109
を絶縁体110で埋めることができる。PTCヘッド基
板103bを焼成する前に、凹状に凹ませて、その部分
に絶縁材料110を充填する方法が容易である。但し、
PTC材料と化学反応を起こさない材質を選定しなけれ
ばならない。例えば、PTC材料にはPTC特性を持つ
チタン酸バリウムを用い、絶縁材料にはPTC特性を持
たず、比抵抗が非常に大きい。同じくチタン酸バリウム
を用いればよい。
【0076】第3の実施例及び第4の実施例について説
明をしなかった構成やメカニズムは第1の実施例と同じ
であり、説明の重複を避けるために、ここでは説明を省
略する。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、この発明は、複雑
な制御を用いることなく、前述の局所的な蓄熱問題と全
体的な蓄熱問題を同時に解決し、濃度ムラがなく、濃度
階調の再現性がよい高画質を実現できる。
【0078】更に、冷却終了後の記録用発熱体の温度を
高く設定することで、冷却時間を短く設定することがで
き、高速印写が可能となる。また、予熱効果が高まり、
記録用発熱体への印加エネルギーを低く抑えると共に、
ヒートショックを軽減して、ヘッドの寿命を伸ばし、信
頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例のサーマルヘッドの要部
を示す断面図である。
【図2】図1の補助発熱用電極部分を示す下面図であ
る。
【図3】この発明の第2実施例のサーマルヘッドの要部
を示す断面図である。
【図4】図3の補助発熱用電極部分を示す下面図であ
る。
【図5】この発明の第3実施例のサーマルヘッドの要部
の断面図である。
【図6】この発明の第4実施例のサーマルヘッドの要部
の断面図である。
【図7】この発明のサーマルヘッドを用いた熱転写記録
装置の側面断面図である。
【図8】従来のサーマルヘッドの要部を示す断面図であ
る。
【図9】従来のサーマルヘッドの要部を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
103a PTCヘッド基板 103b PTCヘッド基板 104a,104b 補助発熱用電極 104c,104d 補助発熱用電極 105 保温層 106 記録用発熱体 107a,107b 記録用電極対 109 凹部 110 絶縁体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桑原 聡史 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三洋 電機株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己温度制御可能で且つ耐熱性のある正
    の抵抗温度係数を有する感温素子材料で形成されたヘッ
    ド基板と、記録用発熱体を挟むように前記ヘッド基板上
    に互いに並んで配置した一対の補助発熱用電極と、前記
    ヘッド基板と補助発熱用電極とを覆う絶縁体と、この絶
    縁体上にライン状に形成された記録用発熱体と、この記
    録用発熱体を挟むように配置された記録用電極対と、前
    記記録用発熱体と記録用電極対を覆う保護層とで、構成
    したことを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 【請求項2】 前記ヘッド基板の一部に前記記録用発熱
    体と平行な凹所を形成したことを特徴とする請求項1に
    記載のサーマルヘッド。
  3. 【請求項3】 前記一対の補助電極間の距離が前記記録
    用電極対の間隔以上であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のサーマルヘッド。
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