JPH0752164Y2 - 水中型枠シール材の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、水中に橋脚等の構造物を建造する際に、水
中構造物の建設用型枠内にプレパックドコンクリートま
たは水中コンクリートを封建する工法において使用する
水中型枠シール材の構造に係わり、更に詳しくは、水
中、特に水底の岩盤上に直接設置された橋脚等の水中構
造物の型枠の底部刃口と水底の岩盤との間との間に於け
る岩盤の凹凸によって生ずる間隙をシールし、型枠内に
打設する水中コンクリートの漏洩を有効に防止すると共
に、型枠の付着力低下も防止する水中型枠シール材の構
造に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、水底の岩盤上に直接設置された橋脚等の水中構造
物の型枠の底部刃口と水底の岩盤との間との間に於ける
岩盤の凹凸によって生ずる間隙をシールする水中型枠シ
ール材としては、例えば、断面略台形状で、かつ取付け
フランジを有する中実のゴム状弾性体から成るゴムガス
ケットや、断面Ｐ型状の中空ゴムガスケットが知られて
いる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

然しながら、上記のような従来の水中型枠シール材は、
潮位変動等で水中型枠荷重が変動すると、ガスケットの
変位が変動して水中型枠が上下動し、打設した水中コン
クリートと型枠との付着力の低下を招くと言う問題があ
り、また圧縮特性（変位荷重の関係）は、第３図の破線
Ｐに示すように２次曲線状であって、変位の増加につれ
て圧縮反力が急増するため、耐支圧強度が低く、かつ不
陸（水底面に対して水中型枠底面が接触しない状態を言
う）を有する水底面と水中型枠底面との間をシールする
ので、ゴムガスケットを両面間に介在させて圧縮させた
時、不陸山部で圧縮反力が水底面の支圧強度以上とな
り、水底面を凹状に損傷させてシール不能となる問題が
あった。

〔考案の目的〕

この考案は、かかる従来の課題に着目して案出されたも
ので、水底面と水中型枠底面との間の間隙を一定に保
ち、水中型枠の重量変化が生じても型枠の変位を有効に
防止し、型枠内に打設する水中コンクリートの漏洩を有
効に防止すると共に、型枠の付着力低下も防止し、更に
過圧縮によるゴムガスケットの破損を防止出来る上、ま
たゴムガスケットの圧縮特性を、水底不陸吸収域（不陸
谷部〜不陸山部）において圧縮反力の変化を少なくし、
水底面の許容支圧強度以下に設定することが出来る水中
型枠シール材の構造を提供することを目的とするもので
ある。

〔課題を解決するための手段〕

この考案は上記目的を達成するため、水中型枠の底面部
に、内部に中空部を構成するゴム状可撓性材料から成る
断面台形状のゴムガスケットを装着し、前記水中型枠の
底面部と水底面との間に、底面部と水底面との間隙を、
最低水中型枠荷重によるゴムガスケットの圧縮後高さ以
上となるストッパ部材を介設したことを要旨とするもの
である。また、前記ゴムガスケットの側面に、中空部と
連通する少なくとも１箇所以上の排水口を設けて構成し
たことを要旨とするものである。

〔考案の作用〕

この考案は、上記のように構成され、断面台形状のゴム
ガスケットを中空状にすることで、ゴムガスケットの圧
縮特性を、水底不陸吸収域（不陸谷部〜不陸山部）にお
いて圧縮反力の変化を省き、水底面の許容支圧強度以下
にすることが出来ると共に、水底面と水中型枠底面との
間の間隙を一定に保つことで、水中型枠の重量変化が生
じても型枠の変位を有効に防止し、型枠内に打設する水
中コンクリートの漏洩を有効に防止すると共に、型枠の
付着力低下も防止し、過圧縮によるゴムガスケットの破
損を防止し、更にゴムガスケットの側面に、中空部と連
通する少なくとも１箇所以上の排水口を設けることで、
中空部に浸入した水は、型枠沈設によるゴムガスケット
圧縮時に外部へ排出でき、ゴムガスケットの封水圧によ
る異常変形や圧縮反力の増加を防止し、ゴムガスケット
及び水底面の損傷を有効に防止出来ることを特徴として
いる。

〔考案の実施例〕

以下、添付図面に基づき、この考案の実施例を説明す
る。

第１図及び第２図は、この考案を実施した水中型枠底面
の断面図を示し、第１図は水中型枠１の底面部1aが水底
面Ｇに着底前の状態、第２図は着底後の状態を示してい
る。

前記、水中型枠１の底面部1aには、内部に中空部２を構
成するゴム状可撓性材料から成る断面台形状のゴムガス
ケット３のフランジ部４が取付け金具５を介して装着さ
れており、ゴムガスケット３の頂部3aには、三角形状の
突起3bが一体的に形成されている。

また、前記ゴムガスケット３の側面には、中空部２と連
通する少なくとも１箇所以上の排水口６が形成してあ
り、また水中型枠１の底面部1aと水底面Ｇとの間には、
水底面Ｇの一部に埋設した支圧強度を高した台座７と対
向してストッパ部材８が突設させてある。

なお、水中型枠１の底面部1aにストッパ部材８を突設さ
せずに、台座７を水底面Ｇより所定の高さだけ突設させ
ても良い。

前記、ストッパ部材８は、底面部1aと水底面Ｇとの間隙
Ｈを一定に保つもので、この間隙Ｈは、最低水中型枠荷
重によるゴムガスケット３の圧縮後高さ以上となるよう
に設定する。

即ち、水中型枠１の沈設時に水底面Ｇと水中型枠１の底
面部1aとの間に一定の間隙Ｈを保つようにし、ゴムガス
ケット３の圧縮荷重を一定の範囲（水底面Ｇの不陸に基
づく）に留めるものである。

この考案は、上記のような構成であって、第１図の水中
型枠１の底面部1aが水底面Ｇに着底前の状態から、第２
図の着底状態になると、ゴムガスケット３の中空部２内
に浸入していた水は、少なくとも１箇所以上の排水口６
から外部へ排水され、ゴムガスケット３の封水圧による
異常変形や圧縮反力の増加を防止し、ゴムガスケット３
及び水底面Ｇの損傷を有効に防止出来るものである。

また、ストッパ部材８により、水底面Ｇと水中型枠１の
底面部1aとの間の間隙Ｈを一定に保つことで、水中型枠
１の重量変化が生じても型枠の変位を有効に防止し、型
枠内に打設する水中コンクリートの漏洩を有効に防止す
ると共に、型枠の付着力低下も防止し、過圧縮によるゴ
ムガスケット３の破損を防止することも出来るのであ
る。

更に、ゴムガスケット３の圧縮特性を、第３図の実線Ｓ
に示すように、水底不陸吸収域（不陸谷部〜不陸山部）
を備えるようにすることで圧縮反力の変化を省くことが
出来、水底面の許容支圧強度以下にすることが出来、こ
れによりゴムガスケット３の水底面Ｇ側が損傷するのを
防止でき、シール性を高めることも出来るものである。

〔考案の効果〕

この考案は上記のように、上記のように構成したので、
以下のような優れた効果を奏するものである。

（ａ）．断面台形状のゴムガスケットを中空状にするこ
とで、ゴムガスケットの圧縮特性を、水底不陸吸収域
（不陸谷部〜不陸山部）において圧縮反力の変化を省
き、水底面の許容支圧強度以下にすることが出来る結
果、ゴムガスケットの水底面側が損傷するのを防止で
き、シール性を高めることも出来る。

（ｂ）．水底面と水中型枠底面との間の間隙を一定に保
つことで、水中型枠の重量変化が生じても型枠の変位を
有効に防止し、型枠内に打設する水中コンクリートの漏
洩を有効に防止すると共に、型枠の付着力低下も防止
し、過圧縮によるゴムガスケットの破損を防止出来る。

（ｃ）．ゴムガスケットの側面に、中空部と連通する少
なくとも１箇所以上の排水口を設けることで、中空部に
浸入した水は、型枠沈設によるゴムガスケット圧縮時に
外部へ排出でき、ゴムガスケットの封水圧による異常変
形や圧縮反力の増加を防止し、ゴムガスケット及び水底
面の損傷を有効に防止出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、この考案を実施した水中型枠底面
の断面図を示し、第１図は水中型枠の底面部が水底面に
着底前の状態を示す断面図、第２図は着底後の状態の断
面図、第３図はこの考案のゴムガスケットと従来のゴム
ガスケットとの圧縮特性を示すグラフ説明図である。 １……水中型枠、1a……底面部、２……中空部、３……
ゴムガスケット、４……フランジ部、６……排水口、７
……台座、８……ストッパ部材、Ｇ……ストッパ部材、
Ｈ……間隙。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】水中型枠の底面部に、内部に中空部を構成
   するゴム状可撓性材料から成る断面台形状のゴムガスケ
   ットを装着し、前記水中型枠の底面部と水底面との間
   に、底面部と水底面との間隙が最低水中型枠荷重による
   ゴムガスケットの圧縮後高さ以上となるストッパ部材を
   介設したことを特徴とする水中型枠シール材の構造。
2. 【請求項２】前記ゴムガスケットの側面に、中空部と連
   通する少なくとも１箇所以上の排水口を設けた請求項１
   に記載の水中型枠シール材の構造。