JPH0751863Y2 - 苗植付け機における植付け爪部のカム軸構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、苗植付け機における植付け爪部のカム軸構造
に関するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする問題点］ 一般に、この種苗植付け機のなかには、植付け駆動力が
伝達される筒状の出力軸を、歯車ケースに対して回動自
在に軸支し、その突出する先端部にプランタケースを一
体固定する一方、基端部が歯車ケースに一体固定された
カム軸を出力軸を通してプランタケース内まで延長し、
その延長した先端にカム部を形成して、プランタケース
に設けたプランタフオーク等の植付け作動部材の作動を
行うようにしたものがある。

しかるに従来、この様なものにおいて、カム軸は、その
全軸長に亘つて同径になつていて、出力軸の内周面に幅
広く摺接する構成になつていたので、摺動抵抗がどうし
ても大きくなつて、植付け作動部材の効率の良い作動が
損なわれてしまう等の問題がある。

そこで、カム軸を、先端側と基端側の二点で出力軸側に
軸支して摺動抵抗の低減を計ることが提唱される。しか
るにカム軸の基端部を、出力軸を回動自在に軸支する歯
車ケースに回り止め固定するに際し、カム軸は、出力軸
に二点支持されて自由度のない状態になつているから、
固定部の軸芯が加工誤差や組付け誤差等によつて出力軸
の軸芯に対して芯ずれがあつた場合に、取付けづらいう
え、芯ずれに伴う応力がカム軸と歯車ケースと回り止め
固定部に集中的に働くことになつて、円滑な植付け作動
が損なわれることは勿論、掻取り軌跡を一定に保つため
のガタ取り機能までもが有効に作用しなくなる等の不具
合が生じる惧れが有る。

［問題を解決する手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑み、これらの欠点を一掃
することができる苗植付け機における植付け爪部のカム
軸構造を提供することを目的として創案されたものであ
つて、動力伝動される筒状の出力軸を歯車ケースに軸受
を介して回動自在に軸支し、該出力軸の歯車ケースから
の突出部位をプランタケースに固定して出力軸とプラン
タケースとを一体回動するよう構成する一方、上記出力
軸に、プランタフオーク等の植付け作動部材の作動を行
うためのカム部が先端に形成されたカム軸を回動自在に
内嵌し、さらにカム軸の基端部を歯車ケースに一体的に
固定してなる苗植付け機において、前記カム軸の先端側
を大径部に構成し、該大径部を出力軸に対して回動自在
に嵌合支持してカム軸の出力軸側回動部材に対する支持
を該先端側での一点支持にして、カム軸基端部での出力
軸に対する支持のない構成にしたことを特徴とするもの
である。

そして本考案は、この構成によつて、仮令芯ずれがあつ
ても、カム軸の歯車ケースに対する取付けが容易で、し
かも、無理な応力が働くことがないようにしたものであ
る。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図
面において、１は乗用型走行機体の後部に上下昇降動自
在に取付けられる植付け作業部であつて、該植付け作業
部１は、従来通り左右往復動する苗載せ台２およびフロ
ート３、作業部フレーム４等の部材装置によつて構成さ
れているが、作業部フレーム４の後部に後述する植付け
爪部５が配されている。つまり作業部フレーム４の後端
部には、歯車ケース６が回動自在に設けられている。こ
の歯車ケース６の外側板には、チエン７によつて作業部
動力が入力する入力軸８がキー8bを介して一体的に固定
されている。尚、入力軸８にスプライン嵌合されたクラ
ツチ爪軸8aと、入力軸８に遊転自在に軸架されたチエン
７のスプロケツト軸7aとの間には条止め用の断続クラツ
チ9bが形成されていて、入力軸８側への動力伝動の断続
ができるようになつている。

一方、９は入力軸８に自由回動自在に軸承され、かつ作
業部フレーム４側に噛み合い爪部9aを介して回り止めさ
れる状態で一体化された太陽ギアであつて、該太陽ギア
９には一対の中間ギア10が互いに180度位相ずれする関
係でそれぞれ噛合し、さらに各中間ギア10には最終ギア
11がそれぞれ噛合している。この最終ギア11が一体的に
スプライン嵌合する円筒状の出力軸12に前述の植付け爪
部５が設けられており、而して植付け爪部５はギア伝動
機構を介して植付けの姿勢制御される様に構成されてい
る。しかも前記太陽ギア９、中間ギア10、最終ギア11は
何れも偏心ギア（勿論楕円ギア若しくは非円形ギアであ
つてよい）で形成されている。そして植付け作動をすべ
く入力軸８が回転したことに連動する歯車ケース６の回
転で、フレーム４側に固定の太陽ギア９の周りを中間ギ
ア10が公転しながら自転をし、さらにこの中間ギア10の
作動によつて最終ギア11が逆回りに自転しながら公転す
ることになり、これによつて出力軸12が回動し、この出
力軸12の回動と歯車ケース６の回転作動とによつて、植
付け爪部５は、歯車ケース６に対する姿勢を苗載せ台２
側に常時向くよう変化させながら一定の植付け軌跡を描
いて作動するようになつている。尚、23、25は出力軸を
歯車ケース６の各半部6b、6cにそれぞれ回動自在に軸承
する軸受である。

前記中間ギア10を軸承する中間ギア軸10aにはカム機構
を構成する第一カム13が回動自在に設けられているが、
この第一カム13は、歯車ケース６との間に介装される弾
機14の付勢力によつて第二カム15に押圧されている。こ
の第二カム15は、出力軸12に一体的に固着されていて最
終ギア11と一体回動するように設定されている。そして
前述した植付け作動において、植付け爪部５が、その植
付け軌跡において、その下死点から上死点に至る上昇過
程で第二カム15のカム突起15aが第一カム13のカム突起1
3aを越え、このとき第一カム13が弾機14による付勢力に
抗する揺動によつて、植付け詰込部５の上死点方向への
移動に制動を与え、そして植付け爪部５が上死点の少し
前位置で上記カム越えが成されると、第二カム15は、逆
に弾機14の付勢力を受けて背後側から押圧されることと
なり、これによつて植付け爪部５は、爪先端部が植付け
軌跡の外側方に常に向く状態になつてギア噛合のガタ取
りをし、これによつて爪先端部が苗載せ台２の繰り出し
下端に設けた苗受け体16上の植付け苗を掻き取るように
構成されている。

一方、17は出力軸12に回動自在と成り、かつ歯車ケース
６には固定されるカム軸、17aはカム軸17の一端部に設
けたカム体、18はプランタアーム5aに設けたプランタビ
ーク、19はプランタフオーク、20はプランタフオーク19
を常時引込み側に付勢する弾機、21はプランタアーム5a
に支軸21aを介して枢支され先端部21bがプランタフオー
ク19の上端部に係合する作動腕、21cはカム体17aに接当
すべく作動腕21に形成したカム腕である。そしてプラン
タフオーク19は、弾機20によつて付勢される状態で、カ
ム体17aのカム作動によつてプランタビーク19に保持す
る植付け苗の離脱押出し作動をするようになつている。

ここで前記カム軸17は次のようにして組付けられてい
る。つまりカム軸17の基端部17cには面取り17bが形成さ
れている一方、歯車ケース６の一半部6bにはカム軸17の
基端部を臨める嵌合孔6aが穿設されている。また、22は
スリーブであつて、該スリーブ22には、内周に上記面取
り17bに対応して面取りされた回り止め孔22bが穿設され
ており、そしてスリーブ22は、嵌合孔6aに嵌合した状態
で、キー22aによつて歯車ケース６に対して回り止め状
に一体組付けされる構成となつている。さらにカム軸17
は、カム部17aが形成される先端部17dとスリーブ22に回
り止め固定される基端部17cとは大径状になつていて、
出力軸12とスリーブ22とにそれぞれ摺接する構成になつ
ているが、中間部17eは小径状になつていて、出力軸12
の内周面に対し間隙を存するようにして離間している。
また出力軸12とスリーブ22との間に挟まれるようにして
Ｃ−リング24が組付けられており、出力軸12にスプライ
ン嵌合した一体固定した前記第二カム15と出力軸12を歯
車ケース６に対して回動自在に軸承する軸受25との間に
Ｃ−リング26が設けられていて、出力軸12のカム体方向
のずれ止め作用もしている。さらに嵌合孔6aにはキヤツ
プ27が外側から嵌着される構成になつている。

叙述の如く構成された本考案の実施例において、機体走
行にタイミングを合わせた入力軸８の回動によつて歯車
ケース６が一回転した場合、各植付け爪部５が植付け軌
跡に沿つて移動し、苗載せ台２に載置したマツト状苗を
所定量宛掻取つて田面に植付ける所謂高速植付けができ
ることになる。

この場合にカム軸17は、出力軸12に対しカム部17aが形
成され先端大径部17dのみが摺接し、小径の中間部17dは
出力軸12から離間している。このためカム軸17の出力軸
12に対する摺動抵抗は、従来の抵抗の中間部まで摺接す
るものに比して著しく小さくなり、効率の良い植付け作
動が成されることになる。

また、カム軸17は、出力軸12側部材に対しカム部17aが
形成される先端大径部のみが回動自在に嵌合支持される
ことになつて、カム軸17が歯車ケース６に固定される基
端部側では出力軸12に回動支持されることがない。この
結果、カム軸17の出力軸12に対する支持は、カム軸17が
歯車ケース６に固定される基端部側からは遠く、カム部
17aが形成される先端部側のみの一点支持となるから、
基端部までをも支持した二点支持のもののように、カム
軸17の出力軸12に対する芯合わせが厳格になつて、カム
軸17を歯車ケース６に固定する際の芯合わせに自由度が
なくなつてしまうことがない。

従つてスリーブ22を介してのカム軸17の歯車ケース６へ
の固定取付けにあたり、加工誤差や組込み誤差等によつ
て出力軸12、カム軸17、そしてスリーブ22の軸芯のあい
だに芯ずれを生じたような場合に、カム軸17は、出力軸
12に対して歯車ケース固定側から遠い先端部17bが摺接
して一点支持されるのみで離間しているため、前記芯ず
れがあつても取付けが容易になるうえ、芯ずれに起因す
る応力を吸収できることになつて、スリーブ22に支持さ
れる基端部側に集中して働くようなことがない。このた
め作動抵抗が不用意に大きくなつて円滑な植付け作動が
損なわれてしまうことは勿論のこと、掻取り軌跡を一定
に保つためのガタ取り機能までもが損なわれてしまうこ
とも有効に防止できることになり、植付け性能の向上に
寄与できることとなる。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたものであ
るから、カム軸は、出力軸側回動部材に対しカム部が形
成される先端大径部のみが回動自在に嵌合支持されるこ
とになつて、カム軸が歯車ケースに固定される基端部側
では出力軸に支持されることがない。

この結果、カム軸の出力軸に対する支持は、カム軸が歯
車ケースに固定される基端部側からは遠い先端部側のみ
の一点支持となるから、従来の先端部と基端部の少なく
とも二点で支持するもののように、カム軸の出力軸に対
する芯合わせが厳格になつて、カム軸を歯車ケースに固
定する際の芯合わせに自由度がなくなつてしまうことが
なく、これによつてカム軸の出力軸に対する回動支持
と、歯車ケースに対する固定支持とが容易にできること
になると共に、回動抵抗が大きくなつて円滑な植付け作
動が損なわれてしまうことも防止できて、植付け性能の
向上に寄与できる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る苗植付け機における植付け爪部の
カム軸構造の一実施例を示したものであつて、第１図は
植付け部の要部側面図、第２図は歯車ケース部の一部を
切欠いた拡大側面図、第３図は同上水平断面図、第４図
はカム軸基端部の部分斜視図、第５図は同上断面図であ
る。 図中、１は植付け作業部、５は植付け爪部、６は歯車ケ
ース、12は出力軸、17はカム軸、17aはカム部、17cは基
端部、17dは先端部、17eは中間部、22はスリーブであ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】動力伝動される筒状の出力軸を歯車ケース
   に軸受を介して回動自在に軸支し、該出力軸の歯車ケー
   スからの突出部位をプランタケースに固定して出力軸と
   プランタケースとを一体回動するよう構成する一方、上
   記出力軸に、プランタフオーク等の植付け作動部材の作
   動を行うためのカム部が先端に形成されたカム軸を回動
   自在に内嵌し、さらにカム軸の基端部を歯車ケースに一
   体的に固定してなる苗植付け機において、前記カム軸の
   先端側を大径部に構成し、該大径部を出力軸に対して回
   動自在に嵌合支持してカム軸の出力軸側回動部材に対す
   る支持を該先端側での一点支持にして、カム軸基端部で
   の出力軸に対する支持のない構成にしたことを特徴とす
   る苗植付け機における植付け爪部のカム軸構造。