JPH0751339B2 - 複合型制振材および振動体の制振施工法 - Google Patents

複合型制振材および振動体の制振施工法

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JPH0751339B2
JPH0751339B2 JP1287945A JP28794589A JPH0751339B2 JP H0751339 B2 JPH0751339 B2 JP H0751339B2 JP 1287945 A JP1287945 A JP 1287945A JP 28794589 A JP28794589 A JP 28794589A JP H0751339 B2 JPH0751339 B2 JP H0751339B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、金属板等の剛体からなる板と高分子粘弾性体
とからなる複合型制振材ならびにその複合型制振材を用
いた振動体の制振施工法の改良に関するものである。
[従来の技術] 従来、金属板と高分子粘弾性体とからなる複合型制振材
として、第36図に示すように、薄い金属板1の片面に高
分子粘弾性層4を形成したもの、または、第37図に示す
ように、2枚の金属板1の間に高分子粘弾性層4をサン
ドイッチ状に挟んで形成したものが知られている。
第36図に示した複合型制振材は非拘束型ダンピング構造
と呼ばれ、曲げ振動に伴う高分子粘弾性の伸び変形によ
って制振効果が発揮される。一方、第37図に示した複合
型制振材は拘束型ダンピング構造と呼ばれ、曲げ振動に
伴う高分子粘弾性層の剪断変形(ずり変形)によって制
振効果が発揮される。
また、前記拘束型ダンピング構造の1つとして、金属板
の片面に高分子粘弾性層を形成してなる複合体を、その
高分子粘弾性層側で、金属板等の剛性材料からなる振動
体の表面に直接に密に接着することによって、拘束型ダ
ンピング構造となし、その高分子粘弾性層の剪断変形に
よって制振効果を発揮させるようにした構造体もある。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前記構成の複合型制振材は、それ自体に
他の部材への接着力をもっていないから、振動体に取付
けるにあたっては、接着剤や粘着剤またはボルト止め等
で振動体に密に貼り合わせ、振動体の振動を複合型制振
材の高分子粘弾性層へ伝える必要があるが、複合型制振
材が密着される振動体表面に錆が発生していたり、油が
付着していたり、水で濡れているような場合には、振動
体と制振材の貼り合わせがうまくできず振動が複合型制
振材へ確実に伝わらず、初期の制振効果が発揮されない
ので、錆、油、水等の異物を完全に除去しなければなら
ず、接着・粘着施工のための前処理では相当の工数を要
する。
また、接着剤を使用する場合、接着剤が硬化するまで一
定時間、圧力をかけて複合型制振材を振動体に圧着保持
しておかなければならない。特に屋外に設置されている
振動体への接着施工にあっては、外気温によって接着剤
の硬化時間が変わることがあり、特に冬期においては硬
化までに相当の時間を要するため、接着剤が硬化するま
で複合型制振材を動かないように保持しておかなければ
ならず、作業能率が頗る悪い。
また、接着剤、粘着材を使用して複合型制振材を貼り合
わせる時、あるいはその途中で剥離が生じると、自力で
は再密着できないため、制振性能が低下する。
さらにまた、複合型制振材を振動体に着脱自在に貼り付
けたい場合に、振動体にボルト締結用孔の切削加工がで
きない時は、粘着剤を使用することになるが、この粘着
剤の使用においても、着脱回数に限界があり、制振硬化
の持続は難しい。
加えて、前記複合型制振材は高分子粘弾性材料の制振メ
カニズムを使用しているため温度依存性が大きく、有効
な制振性能を発揮する温度範囲が狭い。
[発明の目的] 本発明は、上記の問題を解決するためになされたもの
で、磁力による吸着力のみで貼り合わせることにより、
振動体への取付けが簡単にでき、しかも着脱可能で、そ
の着脱回数に制限がなく、かつ制振特性の温度依存性が
小さく、広い温度範囲で有効な制振性能を発揮すること
ができ、また振動体への取付けが簡単にでき、かつ制振
特性に大きな温度依存性を持たせることにより、目的の
温度にて、より高い制振特性を発揮する複合型制振材な
らびに振動体の制振施工法を提供することを主たる目的
としているものである。
[課題を解決するための手段] 本発明による複合型制振材は、少なくとも1枚の炭素鋼
板、ステンレス鋼板、合板鋼板、ヤング率300kgf/mm2
上のセラミック系板および同ヤング率の合成樹脂系板か
ら選択した板と、少なくとも1層の高分子粘弾性層とか
らなる積層体であって、少なくとも1枚の前記板または
/および少なくとも1層の前記層は磁性粉を含有し、着
磁によって残留磁束密度25〜15000ガウスに磁性化され
ていることを特徴としている。
さらに本発明による振動体の制振施工法は、前記複合型
制振材をそれ自体の磁力による吸着力により振動体に取
付けることを特徴としている。
[作用] 前記構成の複合型制振材が振動体に取付けられた場合、
取付け方法が磁力による吸着力であるので、振動体の振
動エネルギーは、主に前記振動体と複合型制振材との密
接面におけるすべり摩擦により消費され吸収される。
また振動体の制振施工作業においては、制振材は前記磁
力作用によって振動体に保持されるので、振動体への取
付け時における圧着保持工程や機械加工工程が大幅に省
ける。
なお、複合型制振材の取付け方法としては、必要に応
じ、前記磁力による吸着力と接着剤または粘着剤等の接
着力とを併用することもできる。
[実施例] 以下、本発明を、各種の実施例を示す図面に基づいて具
体的に説明する。
実施例[1] この実施例は、第1図に示した制振材の構成に基づいて
なされたものであって、金属板1には厚さ0.25mmの冷間
圧延鋼板を用い、その表面をアルカリ脱脂処理を行なっ
た後、スコッチブライト法により研磨して粗面化し、次
にリン酸塩系化成処理を行ない、表面にリン酸鉄の防錆
被膜2を形成する。
基材となる金属板としては、炭素鋼板、合板鋼板、ステ
ンレス鋼板、銅および銅合金板が用いられ、厚みは複合
型制振材の要求特性によって異なるが、一般には0.1〜5
mm程度のものが使用される。ただし、金属板の厚みによ
って、製造方法に制約を受ける。例えば、厚みが0.1〜2
mm程度であれば、コイル状に巻いて連続ラインを使用
し、連続生産が可能であるが、2mmを越えると連続生産
が難しくバッチ式が有利となる。金属板1の脱脂方法に
は、溶剤脱脂法、アルカリ脱脂法、電解脱脂法、超音波
洗浄法、蒸気洗浄法等を用いればよく、粗面化方法に
は、サンドブラスト法、スコッチブライト法、サンドペ
ーパー研磨法等を用いればよい。
次工程の化成処理層(防錆被膜)は、金属板の種類によ
って異なり、冷間圧延鋼板の場合にはリン酸塩被膜、を
形成させるのが好ましい。ステンレス鋼板の場合は他の
金属に比べて化学的に不活性であるため接着が難しく、
一般的にシュウ酸塩被膜処理や接着の容易な金属、例え
ば亜鉛か銅をメッキする方法がとられる。
金属板の脱脂と粗面化化成処理の各工程は、金属板の汚
れが無いこと、プライマーの接着性、高分子粘弾性層の
高分子の種類、高分子粘弾性層形成方法によっては、1
工程あるいは、それ以上を省略することが可能である。
次に防錆被膜2の上に、次の組成表のプライマーをリバ
ースロールコーターにより両面に塗布して、150℃,90秒
加熱処理を行ない、片面厚さ約10μmのプライマー層3
を形成させた。
前記プライマー塗布工程についても、高分子粘弾性層の
高分子の種類や形成方法によっては、省略することが可
能である。また塗布面は少なくとも高分子粘弾性層形成
側のみに塗布すればよく、また金属板の腐食防止の意味
で他面に塗布してもよい。
プライマーの配合組成表 ニトリルゴム(NBR) 100RHR ステアリン酸 0.3〜1.5 亜鉛華 3〜10 カーボンブラック 100〜200 クマロインデン樹脂 20〜60 老化防止剤 1〜7 硫黄 0.5〜4 加硫促進剤 1〜7 フェノール樹脂 200〜1200 フェノール樹脂用架橋剤 1〜20 ケトン系溶剤 2000〜7000 前記プライマーは上記配合表に示すように、フェノール
樹脂を主成分としたものが主に使用される。フェノール
樹脂には純フェノール樹脂以外にクレゾール変性,カシ
ュー変性,アルキルベンゼン変性,フラン変性,ポリビ
ニルブチラール変性等のフェノール樹脂を用いてもよ
い。プライマーに使用するゴムには、ニトリルゴムの変
わりにカルボキシル基含有NBR、塩素ゴム等のゴムを使
用してもよい。また、ゴムを使用しなくてもよい。
前記配合組成表にあるケトン系の溶剤には、例えばメチ
レンエチルケトン,メチルイソブチルケトン,ジイソブ
チルケトン等が使用され、これにメタノール,エタノー
ル等のアルコール系溶剤を加えてもよい。
プライマーの固形分濃度は10〜25wt%程度がよい。プラ
イマーは塗布後130〜180℃オーブン中で、1〜10分間程
度乾燥焼付けを行ない、プライマーの乾燥後の厚みは、
5〜20μm程度が好ましい。
前記プライマー層3上には、次の組成表のゴム液を金属
板の片面側にナイフコーターにより塗布し、70℃,30分
間乾燥後180℃,20分間加硫し、片面に厚さ0.2mmのスト
ロンチウムフェライト80w%を含むゴム層5を形成させ
た。
高分子粘弾性層の高分子にゴムを使用する場合は、熱可
塑性合成樹脂を使用するのに比べ、加硫工程が増える
が、高温で軟化しにくく、耐熱性に優れたものが得られ
るので、用途によって使い分ければよい。
ゴム液配合組成表 ニトリルゴム(NBR) 100RHR ステアリン酸 0.5〜1.5 亜鉛華 3〜15 カーボンブラック 100〜150 老化防止剤 1〜10 硫黄 0.5〜4 加硫促進剤 1〜7 ストロンチウムフェライト 100〜3000 トルエン 1300〜9000 前記ゴム層に入れる磁性粉には、バリウムフェライト,
ストロンチウムフェライト等のフェライト系のもの、サ
マリウムコバルト系,ネオジウム鉄ボロン系の希土類磁
石等を用いることができる。
また、ゴム層に用いるゴムには、ニトリルゴムの他に、
スチレンブタジエンゴム,天然ゴム,ブチルゴム,ハロ
ゲン化ゴム,エチレンプロピレンゴム,ブタジエンゴ
ム,イソプレンゴム,ポリイソブチレンゴム,クロロプ
レンゴム,アクリルゴム,シリコンゴム,フッ素ゴム,
エピクロルヒドリンゴム,ウレタンゴム,ポレリノルボ
ルネンゴム,エチレンアクリルゴム等を用いることがで
きる。
ゴム液の溶剤には、トルエン,キシレン等の芳香族炭化
水素系溶剤、メチルエチルケトン,メチルイソブチルケ
トン等のケトン系溶剤,酢酸ブチル,酢酸プロピル等の
エステル系溶剤を単独または混合して用いることができ
る。また、これらにメタノール、エタノール等のアルコ
ール系溶剤を添加してもよい。
ゴム液の固形分濃度は30〜60wt%程度、また粘度はナイ
フコーターを使用する場合は、ナイフコーター使用時の
最適粘度である2000〜60000センチポアズ程度がよい。
乾燥条件は60〜130℃、5〜30分程度、加硫条件は160〜
250℃、5〜30分程度がよい。
前記ゴム層に入れる磁性粉の種類、ゴム層への充填量、
磁性粉を添加したゴム層の厚み、着磁によって決まる磁
力による密着力は、複合型制振材の自重による剥離力よ
り強くしておく必要がある。即ち、鉄材で形成された振
動体に密着し、かつ振動体から脱落することなく、制振
を行なうためには、磁性粉の充填量が多ければ、ゴム層
厚みがある程度薄くてもよいが、充填量が少ない場合
は、ゴム層厚みを厚くすることにより、磁力を強くする
必要がある。例えば、ゴム中の磁性粉充填量が80wt%の
ゴム液を用い、厚み0.2mmのゴム層を形成させたものを
着磁した場合、振動体面との密着力は、後述のT型剥離
強度で4.83g/cm2であり、複合型制振材の自重は1cm2
り約0.23gであるので良好な密着力が得られた。
ただし、充填量が少ないと、複合制振材の自重が重い場
合、ゴム層厚みを厚くする必要があり、そのことにより
更に自重が重くなるため、磁性粉充填量は最適値があ
り、一般には20〜90wt%、望ましくは30〜90%程度がよ
い。
例えばストロンチウムフェライトを使用する場合は、固
形分で40〜95wt%が望ましい。また希土類磁石等の磁力
の強い磁性粉を使用する場合は、充填率を下げることが
できる。また充填量を上げすぎると加硫時に基材金属板
との接着力が低下する。また、高分子粘弾性層と柔軟性
が失われる。
前記ゴム層を形成する方法としては、ゴムコンパウンド
を溶剤に溶かしてコートする方法、ゴムコンパウンドを
押出し成型、プレス成型、カレンダー成型、インジェク
ション成型等によって加硫ゴムシートとし、これを金属
板に接着材、粘着剤等を介して接着形成する方法、ある
いはゴムコンパウンドと金属板を加硫接着し、ゴム層を
形成する方法等があるが、形成方法は、複合型制振材の
厚み等の仕様に適した方法を選べばよい。例えば、ゴム
層が0.2mm以下の場合は、ゴムコンパウンドのままで
は、磁性粉を多量に添加しているため材料の流れが悪
く、溶剤に溶かしてコートする方法が望ましい。また、
ゴム層が0.5mm以上の場合は、ゴム液をコートする方法
では、コートしたゴム液が流れ、乾燥に時間がかかるな
どのため好ましくなく、ゴムシートを接着する方法の方
が望ましい。ただし、これはゴム層の厚みによってゴム
層形成方法を規定するものではない。
上記の如く構成した複合型制振材は、磁性粉入りゴム層
5側で着磁用ヨーク(図示してない)に密着させ、コン
デンサ着磁器により着磁処理を施す。着磁パターンは、
磁性体平面上に縞状にN極,S極が交互に並ぶようにし、
その間隔は1〜10mmで行なう。
着磁は磁性粉を添加したゴム層面を着磁ヨークに密着さ
せることが望ましい。これは金属板が着磁ヨークと磁性
粉を添加したゴム層の間にあると、着磁の際に発生する
磁力線が金属板にさえぎられて、次のゴム層にとどきに
くくなることによる。ただし、磁性後の残留磁束密度は
弱くなるものの着磁は可能であり、着磁方法を規定する
ものではない。
また、S極,N極の最適間隔は、相手振動体の複合型制振
材を密着させる面の表面状態により異なる。表面が荒い
場合や塗装が厚い場合は、磁力線を遠くまで飛ばす必要
があり、N極,S極の間隔を広めにとるのが望ましい。
磁性粉を添加した高分子粘弾性層への着磁による密着力
は、制振材が振動体に密着する面の残留磁束速度(ガウ
ス[G])として表わされる。その範囲は25〜15000Gで
あり、望ましくは100〜10000Gである。この残留磁束密
度が低すぎると、制振材の脱落、ズレ、振動によるバタ
ツキが発生し、逆に高すぎると磁性粉を含有した高分子
粘弾性層の柔軟性が失われ、また、磁力のみで振動体に
張り合わせる場合は、振動体への密着が強固になりす
ぎ、すべり摩擦が起こりにくくなり、すべり摩擦による
制振作用が減少し、代って高分子粘弾性層の曲げ変形、
剪断変形(ずり変形)による制振作用の影響が出てくる
ので、損失係数の温度依存性が大きくなる。
上記複合型制振材を構成する高分子粘弾性層は、ゴム系
高分子材料のほかに、熱可塑性樹脂系高分子材料も使用
できる。
熱過疎性樹脂としては、ポリスチレン,ポリエチレン,
ポリプロピレン,ポリアミド,ポリフェニレンスルフォ
ン,ポリブチレンテレフタレート,塩化ビニル,エポキ
シ樹脂、EVA樹脂等を用いることができる。金属板への
接着方法は、接着剤を介する方法、その熱可塑性樹脂を
融点以上に加熱溶融して接着させる方法等がある。
接着剤としては、溶剤型ゴム系,水系型ゴム系,溶剤型
アクリル系,水系型アクリル系,シリコーン系,ホット
メルト型,液状硬化型,等の感圧型接着剤系のものか、
ユリア樹脂系,メラミン樹脂系,フェノール樹脂,エポ
キシ樹脂,酢酸ビニル系,シアノアクリレート系,ポリ
ウレタン系,α−オレフィン−無水マレイン酸樹脂系,
水性高分子−イソシアネート系,反応型アクリル樹脂
系,変性アクリル樹脂系,酢酸ビニル樹脂系エマルジョ
ン型,酢ビ共重合樹脂系エマルジョン型,EVA樹脂系エマ
ルジョン型,アクリル樹脂系エマルジョン型,EVA系ホッ
トメルト型,エラストマー系ホットメルト型,ポリアミ
ド系ホットメルト型,合成ゴム系溶剤型,合成ゴム系ラ
テックス型等の接着剤を用いることができる。
前記の如く構成された複合型制振材を用いて振動体を制
振施工するには、その高分子粘弾性層の着磁面を振動体
面に磁力作用によって密着させる。
この密着により、振動エネルギーは主に振動体と複合型
制振材との界面のすべり摩擦によって消費され吸収され
る。とくに、振動体に密着させた高分子粘弾性層の裏面
側に金属板が存在する構造(第1図)では、単に高分子
粘弾性層だけを振動体に密着させた場合より制振性能が
向上する。
実施例[2] 第2図において、厚さ0.5mmの冷間圧延鋼板による金属
板1表面をトリクロロエチレン中で蒸気脱脂処理を行な
った後、スコッチブライト法によって、研磨して粗面化
し、次にリン酸塩系化成処理を行なって表面にリン酸鉄
の防錆被膜2を形成する。
次に実施例[1]に基づき、金属板1の両面にプライマ
ー層を形成させた。
次にバリウムフェライトを70wt%添加したナイロン6の
0.4mmシート7の片面をメチルエチルケトンでふき、完
全に乾燥させ、このシート7の脱脂処理面と金属板の一
方のプライマー層面とを向い合わせ、160℃,20分間プレ
スし、片面厚さ0.4mmの熱可塑性樹脂層を形成させた。
プレス時に熱可塑性樹脂の融点以上にプレス温度を上げ
る場合は、適当な隙間のある金型を使用し、熱可塑性樹
脂量を調節すれば任意の厚さの熱可塑性樹脂層を形成す
ることができる。また、この時は、熱可塑性樹脂の形状
はシートでなくてもよい。次に着磁ヨークに磁性体層面
を密着させ、コンデンサ着磁器によって磁性体平面上に
縞状にN極,S極が交互に並ぶようにし、その間隔は1〜
10mmで着時を行なう。
実施例[3] 実施例[1]に基づき、片面にストロンチウムフェライ
ト80wt%を含む厚み0.2mmのゴム層を形成させた。ただ
し、ゴム層の形成において、ゴム液を使用せず、未加硫
ゴムコンパウンドをロールにて厚さ約0.3mmのシート状
にし、この未加硫ゴムシートとプライマー層面を向い合
わせ、コンプレッション成型にて170℃,20分間加硫を行
なった。
次に着磁ヨークに磁性ゴム層を密着させ、コンデンサー
着磁器によってゴム層平面上に縞状にN極,S極が交互に
並ぶようにし、その間隔は1〜10mmになるパターンで着
磁を行なった。
実施例[4]〜[6] 実施例[1]に基づき、下記表に記載する仕様にて、金
属板の片面に磁性粉を添加したゴム層を形成し、着磁を
行なって複合型制振材を作製した。
実施例[7] 第3図において、実施例[1]に基づき厚さ0.4mmの冷
間圧延鋼板による金属板1に化成処理による防錆被膜2
を形成させる。次に下記配合組成表のゴムコンパウンド
を成型して厚さ0.4mmの加硫ゴムシート5を形成する。
ゴムコンパウンド配合組成表 ニトリルゴム 100RHR ステアリン酸 0.5〜1.5 亜鉛華 3〜15 カーボンブラック 10〜150 老化防止剤 1〜10 硫黄 0.5〜4 加硫促進剤 1〜7 ストロンチウムフェライト 100〜3000 次に金属板1とゴムシート5の間に、ポリアミド系熱融
着性合成樹脂フィルム8を挟み、ポリアミド系熱融着性
合成樹脂フィルムの融点以上の温度で、かつフィルムと
金属板とゴムシートが十分に接触する圧力をかけた状態
で、3秒間〜10分間程度保持し、次いで圧力をかけた状
態で、温度を融点以下に下げて圧力を解放することによ
り、金属板の片面に厚さ0.4mmのストロンチウムフェラ
イト80wt%含むゴム層を形成する。このときに用いられ
る高融点の熱融着性合成樹脂フィルムには、ポリアミド
系の他に、ポリエステル系,ポリオレフィン系,フッ素
樹脂系等が用いられる。
また、高融点の熱融着性合成樹脂フィルム以外に接着剤
として、溶剤型ゴム系,水系型ゴム系,溶剤型アクリル
系,水系型アクリル系,シリコーン系,ホットメルト
型,液状硬化型,等の感圧型接着剤系のものか、ユリア
樹脂系,メラミン樹脂系,フェノール樹脂,エポキシ樹
脂系,酢酸ビニル系,シアノアクリレート系,ポリウレ
タン系,α−オレフィン−無水マレイン酸樹脂系、水性
高分子−イソシアネート系,反応型アクリル樹脂系,変
性アクリル樹脂系,酢酸ビニル樹脂系エマルジョン系,
酢ビ共重合樹脂系エマルジョン型,EVA樹脂系エマルジョ
ン型,アクリル樹脂系エマルジョン型,合成ゴム系溶剤
型,合成ゴム系ラテックス型等の接着剤を用いてもよ
い。この場合、接着条件は、それぞれの接着剤に適した
方法を用いればよい。
次に着磁ヨークに磁性ゴム層面を密着させ、コンデンサ
ー着磁器によって磁性ゴム層平面上に縞状にN極,S極が
交互に並ぶようにし、その間隔が1〜10mmになるパター
ンで着磁を行ない、複合型制振材を作製した。
実施例[8] 第4図において、実施例[1]に基づき、0.25mmの冷間
圧延鋼板による金属板1の画面に防錆被膜2とプライマ
ー層3を形成する。
次に、金属板1の片面に実施例[1]に基づき、実施例
[1]のゴム液を使用し、厚さ0.4mmのストロンチウム
フェライト80wt%を含むゴム層5を形成し、同じ金属板
のもう一方の面に実施例[1]のゴム液配合のうち、ス
トロンチウムフェライトを添加しないゴム液を作製し、
これを塗布して厚さ0.12mmの磁性粉を含まないゴム層6
を形成する。
このとき金属板の一方の面にゴム液を塗布し、乾燥後、
加硫を行なわずに、もう一方の面にゴム液を塗布して乾
燥し、加硫は両面のゴム層を同時に行なうようにする。
これは、片面のみゴムを塗布しただけでは、もう一方の
面はプライマー層が露出しており、この状態で加硫を行
なうと、プライマーの架橋が進んでゴムとプライマーと
の接着が低下するためである。ゴム層の塗布直前のプラ
イマー層がゴム層と反応しやすい状態にしておくことが
好ましい。
次に別の0.25mmの冷間圧延鋼板による金属板1に実施例
[1]に基づき、実施例[1]のゴム液のうち、磁性粉
を添加しないゴム液を用い、厚さ0.12mmの磁性粉を含ま
ないゴム層6を片面のみに形成する。
次に2枚の金属板1,1のうち、磁性粉を含まないゴム層
6,6同士を向い合わせ、ポリアミド系の熱融着性フィル
ム8で貼り合わせ、2板の金属板の間に0.24mmの磁性粉
を添加しないゴム層6を、一方の最外面に厚さ0.4mmの
磁性粉を添加したゴム層5を形成した。
次に着磁ヨークに、最外面に形成させた磁性ゴム層5の
面を密着させ、コンデンサー着磁器によって最外面に形
成させた磁性ゴム層5の平面上に縞状にN極,S極が交互
に並ぶようにし、その間隔が1〜10mmになるパターンで
着磁を行ない、複合型制振材を作製した。
実施例[9] 第5図において、厚さ0.25mmの冷間圧延鋼板による金属
板3枚に、それぞれ脱脂処理、粗面化を行なったあと防
錆被膜2を形成し次いでプライマー層3を形成させる。
次に実施例[7]で使用したゴムコンパウンドのうち、
ストロンチウムフェライトを添加していない未加硫のゴ
ムコンパウンドを厚さ0.3mmのゴムシート6を予備成型
しておく。
次に前記金属板,ゴムシート,金属板,ゴムシート,金
属板の順で重ね合わせて加硫接着を行ない、各ゴム層の
厚み0.2mmの金属−ゴム積層体を作る。
次に、一方の金属板1上にアクリル酸エステルを主成分
とした溶剤型アクリル樹脂系粘着剤を塗布して厚さ0.1m
mの粘着剤層9を形成させる。
次に、実施例[7]で使用したゴムコンパウンドを用い
て厚さ2mmのゴムシートを成型し、着磁ヨークに一方の
面を密着させ、コンデンサー着磁器により、ゴムシート
平面上に縞状にN極,S極が交互に並ぶようにし、その間
隔が1〜10mmになるパターンで着磁を行ない厚さ2mmの
ストロンチウムフェライト80wt%を含む磁性化したゴム
シート5を作る。
そして、粘着剤層9を形成した面と、磁性化したゴムシ
ート5の着磁ヨークに密着させた面とは逆の面を向い合
わせて貼り合わせ、複合型制振材を得た。
前記粘着剤層に用いる粘着剤としては、溶剤型アクリル
樹脂系着脱剤の他に、天然ゴム,SBR,SIS,SBS,ポリイソ
ブチレン,IR等のエラストマーを用いた溶液型ゴム系粘
着剤,天然ゴムラテックス,SBRラテックス,クロロプレ
ンラテックス,等のラテックスを使用した水系型ゴム系
粘着剤,水系型アクリル系粘着剤,シリコーン系粘着
剤,ホットメルト系粘着剤,液状硬化型粘着剤等が用い
られる。
実施例[10] 実施例[1]に基づき、厚さ5mmの冷間圧延鋼板による
金属板に防錆被膜2、プライマー層3を形成させる。
次に下記配合組成表のサマリウムコバルト系希土類磁石
粉を80wt%含んだゴムコンパウンドを使い、加硫接着を
行なうことにより、5mmの冷間圧延鋼板の片側に厚さ5mm
のサマリウムコバルト系希土類磁石粉を80wt%含むゴム
層を形成させる。次に実施例[1]と同じ方法で着磁を
行なって磁性化し、複合型制振材を得た。
ゴムコンパウンド配合組成表 ブチルゴム 100PHR ステアリン酸 0.5〜1.5 亜鉛華 3〜15 カーボンブラック 10〜150 老化防止剤 1〜10 硫黄 0.5〜4 加硫促進剤 1〜7 サマリウムコバルト系粉末 100〜3000 比較例[1] 2枚の厚さ0.25mmの冷間圧延鋼板の間に厚さ0.25mmのゴ
ム系の高分子粘弾性層をサンドイッチ状に接着形成した
複合型制振材を得た。
次に前記実施例と比較例の複合型制振材について行なっ
た制振性能試験および鉄面への密着力試験の結果を下記
に示す。
<制振性能試験> 厚さ3mmの鉄板から長方形のベース板を作り、そこに同
寸法の試料片を貼り合わせその中心部を動電加振器で加
振し、そのあいだに挿入してあるインピーダンスヘッド
から力と振動加速度を計測しながら加振周波数を変化さ
せ、加振点の機械インピーダンスを計測し、共振曲線か
ら損失係数(振動がどの程度速く減衰するかを示す値)
を算出する装置を使用する。
次に、実施例[1]〜実施例[10]までは、複合型制振
材をその磁力により、前記鉄板から作った長方形のベー
ス板に密着させる。比較例[1]は、エポキシ系接着剤
を用いて鉄板から作った長方形のベース板に接着し、接
着剤が硬化するまで十分圧着保持させる。これらの状態
で、それぞれ損失係数を測定した。ただし、この時、鉄
板のベース板と複合型制振材は同一の寸法の物を用い
た。
損失係数測定結果を第6図、第7図および第8図に分け
て示す。ただし、実施例[6]の制振材は、制振性能測
定中に、鉄板から作った長方形のベース板から脱落して
測定できなかった。
<鉄面への密着力試験> 塗装しておらず、かつサビの発生、油の付着等のない厚
さ1mmの鉄板を水平に保持し、次にその上面に複合型制
振材の着磁面を合わせ、磁力によって密着させる。この
とき複合型制振材の密着面全面が鉄板に密着している必
要がある。
次に複合型制振材を水平に持ち上げ、この時の剥離強度
を測定した。その結果を下記表に示す。
前記の如く構成された複合型制振材は、磁力をもってい
るので、これを振動体に磁力作用で密着させることによ
り、振動体と複合型制振材の密着面ですべり摩擦が発生
し、主にこれにより制振性能が発揮されるため、高分子
粘弾性体の伸び変形や剪断変形によって制振性能を発揮
するものに比べ、温度依存性が大幅に小さく、広い温度
範囲で損失係数がほぼ一定となるので、使用範囲が広
い。
また、前記構成の複合型制振材は、それ自体が振動体に
密着するので、振動体の表面状態や外気温に対しても、
あまり影響されず、しかも取付け作業にあたり、一定時
間固定するための治具等を必要としない。また、振動体
への脱着を繰返しても、制振体自体の密着力に変化がな
く、密着力を接続させることができる。
次に、本発明による複合型制振材を、その磁力作用と接
着剤の接着作用とによって振動体に取付ける場合を、実
施例[11]〜[15]として下記に示す。なお、前記と同
一または類似する部材には同じ符号を付してある。
実施例[11] 第9図において、1は0.25mmの冷間圧延鋼板による金属
板、2は防錆被膜、3はプライマー層、5はストロンチ
ウムフェライト80wt%を含む厚さ0.2mmのゴム層であ
り、着磁によって磁性化されている。このゴム層5に
は、エポキシ樹脂系接着剤による接着剤層10を形成さ
せ、接着剤が接着力を保っている間に鉄等の弾性体の振
動体11に軽く接触させて貼り合わせる。
前記接着剤層に用いる接着剤としては、溶剤型ゴム系,
水系型ゴム系,溶剤型アクリル系,水系型アクリル系,
シリコーン系,ホットメルト型,液状硬化型等の感圧型
接着剤(粘着剤)系のもの、またはユリア樹脂系,メラ
ミン樹脂系,フェノール樹脂系,エポキシ樹脂系,酢酸
ビニル系,シアノアクリレート系,ポリウレタン系,α
−オレフィン−無水マレイン酸樹脂系,水性高分子−イ
ソシアネート系,反応型アクリル樹脂系,変性アクリル
樹脂系,酢酸ビニル樹脂系エマルジョン系,酢ビ共重合
樹脂系エマルジョン型,EVA樹脂系エマルジョン型,アク
リル樹脂系エマルジョン型,合成ゴム系溶剤型,合成ゴ
ム系ラテックス型等の接着剤を用いることができる。
これらの接着剤は、接着剤の接着力が十分にあるうちに
複合型制振材を振動体に貼り合わせる必要があるが、接
着剤は複合型制振材側あるいは振動体側または双方に塗
布されてもよい。またプライマーを使用する場合は、制
振材側に接着剤、振動体側にプライマーを塗布またはそ
の逆等、それぞれの仕様にあった手段を選べばよい。
接着剤層10の厚さは、1〜5000μm、好ましくは5〜30
00μm程度である。厚さが薄いと十分な接着力が得られ
ず、また厚いと磁力による吸着力が弱くなり、十分な圧
着保持ができなくなる。
また感圧接着剤等を使用する場合は、磁性粉を添加した
ゴム層が最外側にある時、接着剤層を形成後、離型紙等
をはり、その上から着磁を行なってもよい。
上記複合型制振材を振動体に貼り合わせると、振動体と
金属板の間に、接着剤によって拘束された磁性粉を含む
高分子粘弾性層が形成された構造となる。また貼り合わ
せた工程では、複合型制振材自体の磁力により吸着力を
生じるため、接着剤が硬化するまでの圧着保持のための
治具等は必要としない。
また複合型制振材の振動体貼り合わせ面が金属板から成
る時は接着剤が完全に硬化するタイプでは、振動体の振
動は接着剤層では減衰されにくく、大部分が次の金属板
層へ伝えられる。その金属板も同様で、その次の高分子
粘弾性層へ振動が伝えられ、この高分子粘弾性体で主に
制振が行なわれる。このとき複合型制振材の構造によっ
て、拘束型あるいは非拘束型または両者の構造となる。
接着剤が完全に硬化せず、粘弾性特性を持っている場合
は、接着剤層が高分子粘弾性層となり、振動体と金属板
の間に拘束された拘束型ダンピング構造をとり、振動が
ここで主に制振されることになる。
また前記磁力による吸着力は、接着剤層を形成しない状
態で25〜15000ガウス好ましくは、100〜10000ガウス程
度が望ましい。
前記の磁力が弱いと、振動体への吸着力が弱くなり、接
着剤が十分な接着強度に達するまでにズレたり、脱落し
たりする。磁力を強くするには充填率を上げなければな
らないが、充填率を上げると、前述したように、加硫接
着を行なう場合、接着強度が低下する。また高分子粘弾
性体の柔軟性が失われる。
実施例[12] 第10図において、1は厚さ0.25mmの冷間圧延鋼板による
金属板で、その片面にゴム層の厚さ0.2mmのストロンチ
ウムフェライト80wt%を含むゴム層5を形成し、ゴム層
平面上に縞状にN極,S極が交互に並び、その間隔が1〜
10mmになるように着磁して磁性化を行なう。
次に着磁を行なったゴム層5上へアクリル酸エステルを
主成分とした溶剤型アクリル系感圧接着剤をコーターに
より塗布し、乾燥して溶剤を飛ばし、厚さ0.1mmの粘着
剤層9を形成し、振動体に軽く接触させることにより貼
り合わせる。
実施例[13] 第11図において、厚さ0.6mmの3枚の冷間圧延鋼板によ
る金属板1を用い、この3枚の金属板の間それぞれに磁
性粉を含まない未加硫のゴムシートを挟み、加硫接着に
よってゴム層6の厚さ0.2mmの積層体を形成する。
次にストロンチウムフェライト70wt%含むゴムコンパウ
ンドをプレス成型によって厚さ3mmの磁性粉を含む加硫
ゴムシート5を形成する。
次にこの磁性粉を含んだゴムシート5の平面上に波状に
N極,S極が交互に並び、その間隔が1〜10mmにあるよう
に着磁して磁性化を行なう。
次にエポキシ樹脂系接着剤を使用して、積層体の金属面
とゴムシート5の着磁ヨークを密着させなかった面とを
向い合わせて接着剤層10を介して接着させる。
次にアクリル樹脂系エマルジョン型接着剤を用い、接着
剤層10を磁性粉を添加したゴム層上へ0.1mmの厚さで形
成し、振動体11へ軽く接触させることにより貼り合わせ
る。
実施例[14] 第12図において、0.5mmの冷間圧延鋼板による金属板1
を用い、脱脂処理、粗面化後、両面にプライマー層3を
形成させ、別にバリウムフェライトを70wt%含むポリエ
チレン樹脂層の平面上に縞状にN極,S極が交互になるよ
うに磁性化した厚さ1mmのシートを形成し、金属板の一
方のプライマー層面とシートとを向い合わせ、熱プレス
によって接着を行ない、金属板の片面に磁性化した磁性
粉を含むポリエチレンによる熱可塑性樹脂層7を形成す
る。
次に磁性化した磁性粉を含む熱可塑性樹脂層7上に厚さ
0.1mmのエポキシ樹脂系接着剤を用いた接着剤層10を形
成し、振動体11面に軽く接触させて貼り合わせる。
実施例[15] 第13図において、サマリウムコバルト系希土類磁石粉を
80wt%含むゴムコンパウンドを加硫成型することによ
り、厚さ5mmの磁性粉を含んだ加硫ゴムシート5を形成
する。
次にこの磁性粉を含んだゴムシートの平面上に縞状にN
極,S極が交互に並び、その間隔が1〜10mmになるように
着磁して磁性化を行なう。
次に厚さ5mmの冷感圧延鋼板による金属板1と前記ゴム
シート5を合成ゴム系溶剤型接着剤を用い接着剤層10で
貼り合わせて積層体を形成する。
次に前記積層体のゴム層上に厚さ0.1mmにエポキシ樹脂
系接着剤を用いた接着剤層10を塗布形成し、振動体11に
軽く接触させることにより貼り合わせる。
比較例[2] 比較例[1]の一方の金属板の外側に厚さ0.1mmのエポ
キシ樹脂系接着剤を形成して振動体に貼り合わせる。
この時、接着剤層の硬化までに一切の圧着支持はしなか
った。
比較例[3] 実施例[3]に基づき、複合型制振材を形成する。ただ
し磁性化された磁性粉を含むゴム層においてストロンチ
ウム添加量を57wt%とし、厚さを0.15mmとする。
比較例[4] 実施例[11]に基づき、複合型制振材を形成する。ただ
し磁性化された磁性粉を含むゴム層の上に形成するエポ
キシ樹脂系接着剤の厚さを7mmとする。これを振動体に
軽く接触させることにより貼り合わせる。ただし、接着
剤が硬化するまで圧着保持等は行なわない。
次に、前記実施例と比較例の複合型制振材について行な
った複合型制振材の貼り合わせ試験および制振性能試験
について述べる。この結果を下記に示す。
複合型制振材の貼り合わせ実験 厚さ3mmの鉄板を垂直に固定し、前記実施例で用いた接
着方法によって貼り合わせる。その結果を下記表に示
す。
<制振性能試験> 厚さ3mmの鉄板から長方形のベース板を作り、そこに同
寸法の試料片を貼り合わせその中心部を動電加振器で加
振し、そのあいだに挿入してあるインピーダンスヘッド
から力と振動加速度を計測しながら加振周波数を変化さ
せ、加振点の機械インピーダンスを計測し、共振曲線か
ら損失係数を算出する装置を使用する。
次に、複合型制振材を垂直に固定したベース板に前記実
施例、比較例で用いた接着方法によって、前記試験片に
貼り合わせる。ただし、前記複合型制振材の貼り合わせ
実験にて脱落、ズレが生じた試料については測定を行な
わない。
前記接着剤が十分な接着強度に達したあと測定を行な
う。その測定結果を第14図に示す。
上記構成の複合型制振材を振動体に支持させる制振施工
法によれば、複合型制振材自体の磁力のみ、または磁力
と接着剤の接着力との併用によって制振材を振動体に強
固に支持させることができる。特に複合型制振材自体が
磁力作用で振動体に吸着する力をもっているので、接着
剤が十分な接着力に達するまで、治具等で圧着保持する
工程を省くことができる。また、その場合、凝集力が弱
いが脱着が可能な感圧接着剤を使用しても、自重、振動
によるズレや脱落等がなく、制振材を振動体に支持させ
ることができる。
なお前述したように、磁力のみで吸着させる制振材で
は、その制振性能は、主に振動体面と複合型制振材の高
分子粘弾性層面とのすべり摩擦によるため、温度依存性
が少なく、損失係数が広い温度範囲で一定になるという
特徴があるのに対し、拘束型ダンピング構造では、高分
子粘弾性体の特性が利用され、ある温度に損失係数のピ
ークを持ち、損失係数のピーク値を比べて場合、一般に
は拘束型ダンピング構造が大きいが、その温度付近以外
では、磁力による吸着力を利用したものが大きくなる傾
向にある。
次に、第15図〜第22図に、実用上最も好ましい複合型制
振材の具体例を示す。
第15図において、1は厚さ0.20〜0.60mmのSPCCまたはSU
Sの金属板、2は防錆被膜、3はプライマー層、5は厚
さ0.2〜0.5mmで、ストロンチウムフェライト(またはバ
リウムフェライト)を70〜90wt%含むゴム層である。ゴ
ム層への着磁は片面多極着磁(片面にS,N極が縞状に交
互にならぶ)である。
第16図において、1,1は厚さ0.20〜0.60mmのSPCCまたはS
USの金属板、2は防錆被膜、3はプライマー層、5は厚
さ0.2〜0.5mmで、ストロンチウムフェライト(またはバ
リウムフェライト)を70〜90wt%含むゴム層、6は厚さ
0.05〜0.3mmの磁性粉を含まないゴム層、12は厚さ0.2〜
0.5mmの接着剤または粘着剤層である。着磁は片面多極
着磁である。
第17図において、金属板1に厚さ0.05〜0.3mmの磁性粉
を含まないゴム層6を形成したものと、金属板1の片面
に厚さ0.05〜0.3mmの磁性粉を含まないゴム層6と、他
面に厚さ0.2〜0.5mmでストロンチウムフェライト(また
はバリウムフェライト)を70〜90wt%含むゴム層5を形
成したものが、ポリアミド系樹脂フィルム8で貼り合わ
され、ゴム層5の上に粘着剤または接着剤層12が形成さ
れた構成のものである。着磁は片面多極着磁である。
第18図においては、厚さ0.4〜2.0mmのSPCCまたはSUSの
金属板、12は厚さ0.01〜0.3mmの粘着剤または接着剤
層、5は厚さ0.5〜3mmで、ストロンチウムフェライト
(またはバリウムフェライト)を70〜98wt%を含むゴム
層であり、このゴム層は予め加硫したものが使用されて
いる。着磁は片面多極着磁であって、接着前あるいは接
着後のいずれに着磁を行ってもよい。
第19図において、1,1は厚さ0.2〜0.6mm金属板、12は粘
着剤または接着剤層、6は厚さ0.05〜0.1mmの磁性粉を
含まないゴム層、5は厚さ0.2〜0.5mmでストロンチウム
フェライト(またはバリウムフェライト)を70〜98wt%
を含むゴム層であって、磁性粉を含んだゴム層5および
磁性粉を含まないゴム層6は、第18図と同様の手段で形
成され、最外側の金属板1は粘着剤または接着剤で貼り
合わされるものである。着磁は片面多極着磁である。
第20図において、1は厚さ0.2〜0.6mmのSPCCまたはSUS
の金属板、5は厚さ0.2〜0.5mmでストロンチウムフェラ
イト(またはバリウムフェライト)を70〜98wt%含むゴ
ム層、12は厚さ0.01〜0.3mmの粘着剤または接着剤層で
あり、ゴム層の上に接着剤または粘着剤層12が形成され
るものである。
第21図において、1,1は厚さ0.2〜0.6mmのSPCCまたはSUS
の金属板、6は厚さ0.05〜0.3mmの磁性粉を含まないゴ
ム層、5は厚さ0.5〜3mmで、ストロンチウムフェライト
(またはバリウムフェライト)を70〜98wt%含むゴム層
であり、ゴム層6は加硫ゴムシートが使用され、粘着剤
または接着剤にて貼り合わされる。
第22図において、1は厚さ0.4〜2.0mmのSPCCまたはSUS
の金属板、5は厚さ0.5〜3mmで、ストロンチウムフェラ
イト(またはバリウムフェライト)を70〜98wt%含むゴ
ム層、12は厚さ0.01〜0.3mmの接着剤または粘着剤層で
ある。
次に剛体からなる板で、金属板以外のものを用いた実施
例について説明する。
金属板以外の剛体材料としては、けい酸カルシウム板,
セッコウボード,セッコウ,スラグ板,石綿セメント板
セメントあるいは石灰に珪藻土あるいは、副産シリカな
どを主原料としてオートクレーブ処理を施したもの、ア
ルミナ,コージェライト,チタン,フェライト等の焼結
処理を施したセラミック系のもの、不飽和ポリエステ
ル,エポキシ樹脂,フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、
またはナイロン,ポリカーボネート,アセタール,ポリ
エチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をガラス繊
維等で強化した繊維強化プラスチック等の合成樹脂系の
もの等を用いることができる。
上記材料による剛体のヤング率は300kgf/mm2以上、好ま
しくは500kgf/mm2以上が望ましい。剛体のヤング率が小
さいと振動体の振動に対して複合型制振材が容易に追従
してしまい、振動体と複合型制振材との磁力のみで接触
している接触面のすべりが起きにくくなる。また、複合
型制振材内の拘束型ダンピング構造、非拘型ダンピング
構造部での高分子粘弾性体のずり変形、曲げ変形等がお
きにくくなる等により制振性が低下する。
また、前記剛体からなる板の厚さは、その剛体のヤング
率が大きければ厚さを薄くしても板の剛性を保つことが
できる。また、前記剛体のヤング率が小さい場合は、そ
の剛体からなる板の厚さを厚くすることによって、剛性
を確保することができる。
合成樹脂系の剛体は、比較的ヤング率が小さく、剛性を
確保するために板の厚さをある程度厚くする必要があ
る。
また、セラミック系の剛体はヤング率が大きく、厚さが
薄くても剛性が確保できるが、材質的に脆いため薄く加
工することは難しい。
これに対し、金属板はヤング率も大きく、また薄く加工
することも容易であり、複合型制振材の厚さを薄くする
ことが容易である。ただし、金属板は他の材質と異な
り、防錆のための処理を施しておかなければならない。
上記剛体の種類は、それぞれの複合型制振材の用途にあ
わせ選択すればよい。
また、剛体に焼結フェライト板等の強磁性体で形成した
ものか、あるいは剛体に強磁性粉を含有させたもの等を
使用する場合は、高分子粘弾性層に強磁性粉を含有しな
くても、磁力による吸着力をもたせることができる。ま
た、さらに高分子粘弾性層に強磁性粉を添加することに
よって強磁性粉の絶対量を増やすことができ、複合型制
振材としての磁力を上げることができる。
以下に、金属板以外の剛体を用いた実施例を、第23図な
いし第28図に示した図面に基づいて具体的に説明する。
実施例[16] 第23図において、ストロンチウムフェライトを80wt%含
むニトリルゴムのゴムコンパウンドを加硫成型すること
により、厚さ3.0mmのストロンチウムフェライトを80wt
%含んだゴムシート5を成型し、このゴムシートの片面
を着磁ヨークに密着させ、コンデンサ着磁器により、平
面上に縞状にN極,S極が交互にならび、その間隔は1〜
10mmになるパターンで着磁を行う。
次に厚さ6.0mmの繊維混入けい酸カルシウム板13の片面
を脱脂し、エポキシ系接着剤を塗布して接着剤層10とな
し、磁性化したゴムシート5のうち着磁ヨークに密着さ
せた面とは反対の面で貼り合わせ、接着剤が十分な強度
に達するまで、圧着保持する。
この実施例に用いた繊維混入けい酸カルシウム板13のヤ
ング率は、5.2×102kgf/mm2であった。
実施例[17] 第24図において、厚さ5mmのガラス繊維強化不飽和ポリ
エステル板14の片面を脱脂処理、粗面化し、エポキシ系
接着剤層10となし、実施例[19]で作成した厚さ3mmの
ストロンチウムフェライトを80wt%含有し、着磁により
磁性化しているニトリルゴムのゴムシート5を実施例
[19]と同様の方法で、前記ガラス繊維強化不飽和ポリ
エステル板14に貼り合わせる。
この実施例に用いたガラス繊維強化不飽和ポリエステル
板のヤング率は900kgf/mm2であった。
実施例[18] 第28図において、厚さ5mmの焼結バリウムフェライオ板1
5の片面を着磁ヨークに密着させ、コンデンサ着磁器に
より、平面上に縞状にN極,S極が交互にならび、その間
隔は1〜10mmになるパターンで着磁を行う。
次に磁性粉を含んでいないブチルゴムコンパウンドを加
硫成型することにより、厚さ0.5mmの磁性粉を含んでい
ないブチルゴムのゴムシート6を成型し、このブチルゴ
ムのゴムシートの片面に、アクリル酸エステルを主成分
とした溶剤型アクリル系感圧粘着剤を塗布して粘着剤層
9となし、前記焼結バリウムフェライト板15のうち着磁
ヨークに密着させた側で、十分な密着力になるまで圧着
して貼り合わせた。
この実施例に用いた焼結バリウムフェライト板のヤング
率は、2.4×104kgf/mm2であった。
なお、実施例[18]では、焼結バリウムフェライト板を
磁性体層とした。
<鉄面への密着力試験> 塗装しておらず、かつサビの発生、油の付着等のない厚
さ1mmの鉄板を水平に保持し、次にその上面に複合型制
振材の着磁面を合わせ、磁力によって、密着させ、複合
型制振材を水平に持ち上げ、この時の剥離強度を測定し
た。その結果を下記表に示す。
<制振性能試験> 厚さ3mmの鉄板から長方形のベース板を作り、そこに同
寸法の試料片を磁力のみで貼り合わせその中心部を動電
加振器で加振し、そのあいだに挿入してあるインピーダ
ンスヘッドから力と振動加速度を計測しながら加振周波
数を変化させ、加振点の機械インピーダンスを計測し、
共振曲線から損失係数を算出する装置を使用する。
前記実施例[16]〜[18]の制振材をベース板に貼り合
わせた状態での損失係数の測定結果を第29図に示す。
実施例[19] 第26図において、実施例[16]で作成した複合型制振材
のうち、最外層の着磁により磁性化したゴムシート5の
さらに外側に厚さ0.1mmにエポキシ樹脂系接着剤を塗布
して接着剤層10となし、振動体11に軽く接触させること
により貼り合わせる。
実施例[20] 第27図において、実施例[20]で作成した複合型制振材
のうち、最外層の着磁により磁性化したゴムシート5の
さらに外側にアクリル酸エステルを主成分とした溶剤型
アクリル系感圧粘着剤をコーターにより塗布し、乾燥し
て溶剤を飛ばして厚さ0.1mmの粘着剤層9を形成し、振
動体11に軽く接触させることにより貼り合わせる。
実施例[21] 実施例[18]で作成した複合型制振材のうち、最外層の
ブチルゴムシート6のさらに外側に、実施例[20]と同
様の方法により、溶剤型アクリル系感圧粘着剤層9を形
成し、振動体11に軽く接触させることにより貼り合わせ
る。
実施例[22] 第31図において、ストロンチウムフェライトを80wt%含
むアクリルゴムのゴムコンパウンドを加硫成型すること
により、厚さ0.3mmのストロンチウムフェライトを80wt
%含んだゴムシート5を成型し、このゴムシートの片面
を着磁ヨークに密着させ、コンデンサ着磁器により、平
面上に縞状にN極,S極に交互にならび、その間隔は1〜
10mmになるパターンで着磁を行う。
次に厚さ10.0mmのヘミット板(JIS C2210)の非アスベ
スト相当品の板16の片面を脱脂・洗浄し、反応性アクリ
ル系接着剤を塗布して接着剤層10となし、磁性化したゴ
ムシート5のうち、着磁ヨークに密着させた面とは反対
の面で貼り合わせ、接着剤が十分な強度に達するまで圧
着保持する。
次に最外層の着磁によって磁性化したゴムシート5のさ
らに外側に反応型アクリル系接着剤を塗布して接着剤層
10となし、振動体11に軽く接触させることにより貼り合
わせる。
この実施例に用いたヘミット板(JIS C2210)の非アス
ベスト相当品の板16のヤング率は、1×103kgf/mm2であ
った。
実施例[23] 第32図において、実施例[22]に基づき、複合型制振材
を作成し、振動体に貼り合わせる。
ただし、以下の点で実施例[22]とは異なる。
ゴムシート5は、ストロンチウムフェライトを80wt%含
んだブチルゴムのコンパウンドを用い、ブチルゴムの可
塑化温度程度でプレスしてシート状としたもので、非加
硫状態のまま使用する。
シート化する方法としては、プレスの他に押し出し成
型、カレンダー成型等でシート化できる方法であれば、
いずれでもよい。
実施例[24] 第33図において、ストロンチウムフェライトを80wt%含
むSIS系熱可塑性エラストマーをプレス成型することに
よって厚さ3.0mmのストロンチウムフェライトを80wt%
含んだ熱可塑性エラストマーシート17を成型し、この熱
可塑性エラストマーシート17の片面を着磁ヨークに密着
させ、コンデンサー着磁器により、平面上に縞状にN
極,S極が交互にならび、その間隔は1〜10mmになるパタ
ーンで着磁を行う。
次に厚さ10.0mmのヘミット板16の片面を脱脂・洗浄し、
エポキシ系接着剤を塗布して接着剤層10となし、磁性化
した熱可塑性エラストマーシート17のうち、着磁ヨーク
に密着させた面とは反対の面で貼り合わせ、接着剤が十
分な強度に達するまで圧着保持する。
次に最外層の着磁によって磁性化した熱可塑性エラスト
マーシート17のさらに外側に、エポキシ系接着剤を塗布
して接着剤層10となし、振動体に軽く接触させることに
より貼り合わせる。
この実施例に用いたヘミット板16のヤング率は、2×10
3kgf/mm2であった。
また、この場合に、熱可塑性エラストマーシートに用い
た熱可塑性エラストマーとしては、SIS系以外にSBS系,S
EBS系等のスチレン系熱可塑性エラストマー,オレフィ
ン系,塩ビ系,ウレタン系,エステル系,アミド系等の
熱可塑性エラストマーを用いることができる。
実施例[25] 第34図において、実施例[22]に基づき、複合型制振材
を作成し、振動体に貼り合わせる。
ただし、以下の点で実施例[22]とは異なる。
ヘミット板の非アスベスト相当品の板16と磁性ゴムシー
トの接着および制振材と振動体の接着には、反応型アク
リル系接着剤を使用せず、アクリル酸エステルを主成分
とした溶剤型アクリル系感圧粘着剤を使用する。
<複合型制振材の貼り合わせ実験> 厚さ3mmの鉄板を垂直に固定し、前記実施例[19]〜[2
1]で用いた接着方法により、試料片を貼り合わせる。
その結果を下記表に示す。
<制振性能試験> 前記と同様な装置を用いて制振材の損失係数を測定し
た。その結果を第33図、第35図に分けて示す。
[発明の効果] 以上に述べたように、本発明による複合型制振材は、そ
れ自体に磁力による吸着力を有するので、振動体に取付
けて制振施工をする場合、前記磁力による吸着力によ
り、その制振材を振動体へ簡単容易に取付けることがで
きる。
加えて、前記複合型制振材が磁力による吸着力で振動体
面に密着されている場合には、振動体の振動時、振動体
と複合型制振材との密着面ですべり摩擦が発生し、そこ
で主に振動が吸収されて、制振性能が発揮される。な
お、磁力による吸着力と接着剤や粘着剤等の接着力を併
用し、振動体面に密着されている場合には、振動体の振
動時、振動が高分子粘弾性体の伸びや剪断変形と、磁力
で吸着していることによる密着力とにより吸収されるた
め、高分子粘弾性体の伸びや剪断変形だけで制振性能が
発揮されるものに比べると、磁力による吸着力のみで密
着している場合は、温度依存性が大幅に小さくなり、広
い温度範囲において損失係数がほぼ一定の値に保持され
るので、制振材の使用範囲が拡大化が図れる。
また、磁力による吸着力と、接着剤または粘着剤等の接
着力とを併用する場合では、温度特性は、磁力による吸
着力を使用しないと同様の傾向であるが、損失係数の絶
対値の向上が図れる。
また、本発明の制振施工法によれば、前記構成の複合型
制振材を用いれば、磁力による吸着力のみで振動体に取
付ける場合はもちろん、磁力による吸着力と接着剤また
は粘着剤の接着力とを併用する場合でも、接着剤が十分
な接着力に達するまで、治具等で圧着保持する工程を省
くことができる。
また凝集力の弱い感圧接着剤等を使用しても自重や振動
によるズレ、脱落がなく、振動体に強固に取付けること
ができる。
また、振動体が多少湾曲していても、複合型制振材の全
面に吸着力があるため、すき間なく貼り合わせることが
できる。
とくに感圧接着剤を使用したものは脱着が可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第5図は、本発明の各種の実施例による複
合型制振材の断面図、第6図ないし第8図はその複合型
制振材の損失係数を示すグラフ、第9図ないし第13図は
接着剤を用いて振動体に貼り合わせる各種の実施例によ
る複合型制振材の断面図、第14図はその複合型制振材の
損失係数を示すグラフ、第15図ないし第22図は実用上に
適した各種の具体例による複合型制振材の断面図、第23
図ないし第28図は金属板以外の剛体を用いた実施例によ
る複合型制振材の断面図、第29図および第30図はその複
合型制振材の損失係数を示すグラフ、第31図ないし第34
図は金属板以外の剛体を用いた別の実施例による複合型
制振材の断面図、第35図はその複合型制振材の損失係数
を示すグラフ、第36図および第37図は従来の複合型制振
材の断面図である。 1……金属板、2……防錆被膜、3……プライマー層、
4……高分子粘弾性層、5……磁性粉を含むゴム層、6
……磁性粉を含まないゴム層、7……磁性粉を含む熱可
塑性樹脂層、8……高融点の熱融着性フィルム層、9…
…粘着剤層、10……接着剤層、11……振動体、12……接
着剤または粘着剤層、13……繊維混入けい酸カルシウム
板、14……ガラス繊維強化不飽和ポリエステル板、15…
…焼結バリウムフェライト板、16……ヘミット板(JIS
C2110)の非アベスト相当品の板、17……熱可塑性エ
ラストマーシート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横田 敦 東京都国分寺市光町2丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 永井 靖隆 東京都国分寺市光町2丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 芦澤 正明 神奈川県横浜市南区永田みなみ台1番1― 1319号 (72)発明者 西本 一夫 神奈川県横浜市戸塚区上柏尾町135番1 (72)発明者 丹羽 隆弘 奈良県生駒郡斑鳩町竜田西7丁目4―40― 402 (72)発明者 伊藤 修二 埼玉県新座市東北2丁目22―2―104 (56)参考文献 特開 平3−159735(JP,A) 実開 昭61−82857(JP,U) 実開 昭57−183146(JP,U) 実公 昭54−18635(JP,Y2)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1枚の炭素鋼板、ステンレス鋼
    板、合板鋼板、ヤング率300kgf/mm2以上のセラミック系
    板および同ヤング率の合成樹脂系板から選択した板と、
    少なくとも1層の高分子粘弾性層とからなる積層体であ
    って、少なくとも1枚の前記板または/および少なくと
    も1層の前記層は磁性粉を含有し、着磁によって残留磁
    束密度25〜15000ガウスに磁性化されていることを特徴
    とする複合型制振材。
  2. 【請求項2】前記積層体において、前記高分子粘弾性層
    は、前記板にシートとして接着されていることを特徴と
    する第1請求項記載の複合型制振材。
  3. 【請求項3】前記複合型制振材をそれ自体の磁力による
    吸着力により振動体に取付けることを特徴とする振動体
    の制振施工法。
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