JPH0751047A - 食 酢 - Google Patents

食 酢

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JPH0751047A
JPH0751047A JP5222847A JP22284793A JPH0751047A JP H0751047 A JPH0751047 A JP H0751047A JP 5222847 A JP5222847 A JP 5222847A JP 22284793 A JP22284793 A JP 22284793A JP H0751047 A JPH0751047 A JP H0751047A
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vinegar
fermentation
acetic acid
branched
cholesterol
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JP5222847A
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Shoichi Hirooka
正一 広岡
Yuji Miyashita
雄次 宮下
Shoji Tsugi
昭次 都木
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Gun Ei Chemical Industry Co Ltd
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Gun Ei Chemical Industry Co Ltd
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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、分岐オリゴ糖含有糖類をアルコール
発酵と酢酸発酵することにより得られ、酢酸の呈する独
特の酸味を和らげた極めてまろやかな呈味を示す高脂血
症改善特性を有する食酢の提供を目的とする。 【構成】本発明の食酢は、分岐オリゴ糖含有糖類をアル
コール発酵と酢酸発酵することにより得られるものであ
る。 【効果】本発明は分岐オリゴ糖含有糖類に共存する発酵
性糖類を他の有効成分に転換できるので呈味が優れてい
るとともに健康増進効果としての高脂血症改善効果を有
する新規な食酢を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は高脂血症改善特性を有す
る調味料としての食酢であって、更に詳しくは、家庭
用、業務用又は各種食品の加工用等々として好適な食酢
に関する。
【従来の技術】我国では動脈硬化によって引き起こされ
る狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の死亡率は癌に
次いで多く、人口の高齢化と食事の欧米化により更に増
加傾向にある。動脈硬化の危険因子として血清中のコレ
ステロールが高いことの関係が指摘されており、この血
清コレステロールを低下させることが動脈硬化を予防す
る上で必要とされている。生体内のコレステロールは食
事由来のものよりも、生体内で合成される量の方が断然
多いことから、食事中に含まれる要因によって生体内で
のコレステロール合成を抑制することができれば好都合
である。血液中に含まれる脂質はコレステロール、トリ
グリセライド(中性脂肪)、リン脂質、遊離脂肪酸に大
別されて、これらの脂質の内のどれか一つでも普通より
多い場合は高脂血症と呼ばれるが、特にコレステロール
とトリグリセライドは注意される。例えば、生後4週齢
程度の幼若ラットを、高果糖含有食で2週間以上飼育す
ると、コレステロール、トリグリセライドの増加した高
脂血症モデルが得られる。コレステロール増加は肝での
コレステロール合成の促進によるとされている。トリグ
リセライド増加は高果糖含有食による肝での脂肪酸とト
リグリセライドへの変換の促進、脂肪組織におけるリポ
蛋白リパーゼ活性の低下によると考えられている。生体
内においてコレステロールは細胞を組み立てる基本的な
材料となり、また各部分の働きを調節するホルモンの主
材料としても使われたり、脂肪の消化、吸収を助ける胆
汁酸の原料になるなど重要な成分であるために低すぎて
もいけないが、必要以上に多いと動脈硬化を進める原因
となる。更に、コレステロールには善玉(動脈硬化を防
ぐHDL−コレステロール)と悪玉(動脈硬化を進める
LDL−コレステロール)に分けて考えられるが、トリ
グリセライドはこの悪玉コレステロールの共犯者といわ
れ、善玉コレステロールを減らしてしまい、動脈硬化を
進める結果となる。このために、血液中の正常値として
は総コレステロール120mg〜230mg/dl、ト
リグリセライド50mg〜140mg/dlが望ましい
といわれている。最近、有用菌と考えられているビフィ
ズス菌などの増殖を促進し、腐敗菌などの有害菌の増殖
を抑制して腸内細菌叢を改善するので、例えば非発酵性
糖類である分岐オリゴ糖を始めとする難消化性のオリゴ
糖が利用されている。これらのオリゴ糖は消化されずに
大腸に送り込まれると腸内細菌によって発酵を受け、酢
酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸と炭酸ガス、
水素ガス、メタンガスなどを生成し、腸内pHを低下さ
せることにより有害菌の増殖を抑制して腸内を浄化する
といわれていたが、この発酵によって生成される短鎖脂
肪酸には血清コレステロールを改善する作用があること
も知られていた。即ち、難消化性のオリゴ糖は酢酸やプ
ロピオン酸などを介してコレステロール合成を阻害し、
動脈硬化の抑制など脂質代謝改善に関与していた。一
方、基礎調味料として一般家庭等で常用されている食酢
は、昔から万病を治す不思議な力のあるものと信じら
れ、今日まで保健剤や健康食品としても広く利用されて
いる。食酢はその原料製法により多品種のものがあっ
て、基本的には酢酸を主成分とするものであるが、食酢
によっては、アミノ酸やペプチド等の成分等、特徴が異
なるために、特定の食酢をもって他の食酢の生理効果を
断定することはできない。その中で食酢には、胃液の分
泌促進、疲労回復、高血圧の予防、過酸化脂質の低下、
血中アルコールの低減等の効果に加えて脂肪肝防御や血
清コレステロールの低下など脂質代謝改善効果があるこ
とが判明していて、これらは基本的には酢酸の生理効果
とも考えられている。そこで、脂質代謝改善効果を有す
る食酢成分の酢酸と難消化性のオリゴ糖との組合せを基
本設計とする食品が考えられるが、このような食品は従
来殆どなかったため、この考え方を基にした高脂血症改
善についての研究はあまり検討されていないのが現状で
ある。
【発明が解決しようとする課題】食酢は優れた生理効果
を有しているが、その主成分である酢酸は、刺激的であ
り、特に鼻をつく酸臭があることが特徴であって、用途
面においては好まれない場合が多々あった。一方、イソ
マルトース、パノース、イソマルトトリオースなどのイ
ソマルトオリゴ糖を主成分とする分岐オリゴ糖含有糖類
は、うま味、こく味の付与による呈味改善効果と腸内有
用細菌増殖効果を有することにより利用が増加してきて
いるが、糖成分としてはイソマルトオリゴ糖の他にグル
コース、マルトースなどの発酵性糖類を共存するもので
ある。これ故に分岐オリゴ糖含有糖類を摂取するときに
は、発酵性糖類を同時に摂取してしまうために、イソマ
ルトオリゴ糖としての効果が低減する傾向が指摘されて
いた。そこで、本発明者らは、分岐オリゴ糖含有糖類よ
りイソマルトオリゴ糖を単分画するようなコストを必要
とせずに、イソマルトオリゴ糖の効果が十分に発揮でき
る利用法を鋭意検討したところ、分岐オリゴ糖含有糖類
を原料とする高脂血症改善特性を有する食酢の醸造法に
到達し、本発明の完成に至った。
【発明の構成】
【課題を解決するための手段】本発明に係る食酢は、分
岐オリゴ糖含有糖類をアルコール発酵と酢酸発酵するこ
とにより得られるものである。即ち、分岐オリゴ糖含有
糖類をアルコール発酵と酢酸発酵することにより得られ
る本発明に係る食酢の特性は、酢酸の呈する独特の酸味
を和らげた極めてまろやかな食酢であって、その糖成分
もイソマルトオリゴ糖を高純度、高濃度に含むことにな
るために、従来の食酢において問題であった味覚改善効
果が可能となり、また分岐オリゴ糖含有糖類に共存する
発酵性糖類を他の有効成分に転換できるという2つの課
題を同時に解決した。従って、本発明は、呈味が優れて
いるとともに健康増進効果に高脂血症改善特性を有する
新規な食酢を提供するものである。以下に本発明を詳し
く説明する。分岐オリゴ糖は、非発酵性糖類とも称せら
れ、特に日本古来の伝統的酒類である清酒中に存在する
オリゴ糖として詳細に研究されてきた。即ち、イソマル
トース(分子内にα−1,6グルコシド結合を有する二
糖類)、パノース(分子内にα−1,6とα−1,4グ
ルコシド結合を有する三糖類)、イソマルトトリオース
(分子内にα−1,6グルコシド結合を有する三糖類)
等である。これらの分岐オリゴ糖は、清酒のうま味、こ
く味に関与する成分であり、分岐オリゴ糖含有糖類製品
で、その糖成分が酒税法に適合するものは、醸造用糖類
としても利用されている。また分岐オリゴ糖は、ビフィ
ズス菌因子であり、且つ、低う蝕性などの体調調節機能
性があることが知られている。分岐オリゴ糖の製造方法
に関しては、特開昭56−51982号、特開昭61−
124389号、特開昭63−291588号、更に高
純度品の製法に関する特開平1−98601号など多く
の製造方法が示されているが、本発明に用いる分岐オリ
ゴ糖の製法に関しては特に制限はなく、如何なる製造方
法によっても良い。これらの製法上の基本は、マルトー
スを生成するアミラーゼを主体とし、これに糖の転移作
用を有する酵素を作用させるものである。即ち、この反
応は転移酵素がマルトースに作用分解して生じたグルコ
ースが受容体としてのグルコースやマルトースに転移し
てイソマルトースやパノース等を生成するものである
が、分岐オリゴ糖の生成が進行するにつれてグルコース
が副生し又未反応のマルトースもあるために、該反応液
は非発酵性糖類の分岐オリゴ糖を主体とするが、発酵性
糖類であるグルコース、マルトースも副生糖分として含
有するものである。また、クロマト分離法により、分岐
オリゴ糖含有糖類中の発酵性糖類のグルコースをほとん
ど除去して、非発酵性糖類を高純度とした分岐オリゴ糖
含有糖類もできる。本発明において、分岐オリゴ糖含有
糖類を用いる原理は、分岐オリゴ糖が清酒のうま味、こ
く味の成分である如く、発酵により作られる食酢の糖成
分としてなじみ易いことと、分岐オリゴ糖をアルコール
発酵と酢酸発酵することにより香味の優れた食酢が得ら
れることにある。従って、酢酸発酵が終了した従来の食
酢に後から分岐オリゴ糖含有糖類を加えることは容易で
あるが、このような方法によって得られた食酢は、糖組
成上の発酵性糖類と非発酵性糖類のバランスにおいて
も、発酵によって得られる呈味成分及び香気成分におい
ても、本発明の食酢とは明白な差がある。即ち、本発明
は、副生糖分である発酵性糖類のグルコース或いはマル
トースをアルコール発酵させて最終的に酢酸成分とな
し、この特性を積極的に利用して非発酵性糖類のイソマ
ルトース、パノースやイソマルトトリオースなどの分岐
オリゴ糖を残糖させて食酢糖成分の主体とするものであ
る。分岐オリゴ糖含有糖類をアルコール発酵と酢酸発酵
して得られる本発明の食酢は、分岐オリゴ糖含有糖類の
有するまろやかな呈味性と発酵により生成する有機酸、
香気成分が融合一体化して、まろやかなあっさりした酸
味と風味をもちながら、食酢固有の効果に加えて、分岐
オリゴ糖を高純度、高濃度に含むために、一層顕著な高
脂血症改善特性を併せもつもので、食酢としての価値を
著しく高めるものである。このような非発酵性糖類の特
性に着目し、該特性を巧みに利用した技術思想に基づく
高脂血症改善特性を有する食酢は、本発明が最初の提示
である。このようにして得られる本発明の食酢は、家庭
用、業務用における食酢としての利用を始め、ポン酢、
すし酢、サラダ酢、ラッキョウ酢及びその他の野菜酢漬
類、海産酢漬類等の加工酢として利用でき、またスー
プ、ソース、ケチャップやマヨネーズ、サラダドレッシ
ングなどの副原料として利用でき、更に、味噌、醤油、
つゆ、タレ、ダシの素、複合調味料、発酵調味料などの
調味料用としての利用、食酢飲料、スポーツ飲料、健康
飲料、炭酸飲料、乳性飲料、果汁飲料、発酵飲料、酒類
などの飲料用としての利用、米飯、パン、米菓、和菓
子、洋菓子、冷菓、氷菓、缶詰、びん詰、チューブ詰、
乳製品や畜肉加工品、魚肉加工品、珍味類、各種ペース
ト類、ジャム、カレー、佃煮、惣菜、調味済食品、即席
飲食品等の各種食物用としての利用、餌料、飼料、ペッ
トフード等として家畜、家禽、その他蜜蜂、蚕、魚等の
飼育用としての利用、化粧水、口紅、リップクリーム等
の化粧品用としての利用、健康食品、機能性食品用とし
ての利用、口中清涼剤、うがい薬、内服薬等の医薬用と
しての利用、その他歯みがき、洗髪料、洗剤、入浴剤等
の各種日用品としての利用或いはタバコ等々の各種の多
分野で利用することができる。食酢の原理は、含アルコ
ールもろみが酢酸菌の酸化発酵により食酢となるもので
あり、該酢酸発酵を大別すると、静置発酵法(表面発酵
法)と深部発酵法(全面発酵法)の二つの方法がある。
静置発酵法は、種酢(前回の発酵終了液)にアルコール
を含有する原料液を加え充分に混合して、温度25〜3
5℃で1〜3ヶ月間静置して酢酸発酵を行うものであ
る。深部発酵法は、原料液と酢酸菌の混合物に空気を送
り込み激しく撹拌して、液面全体で急速に酢酸発酵を行
うものである。本発明における酢酸発酵の方法には特に
限定はない。また、本発明におけるアルコール発酵のた
めの酵母としては、サッカロミセス・セレビシエ(Sa
ccharomyces cerebisiae)種が
主に用いられ、また、酢酸発酵のための酢酸菌として
は、アセトバクター・アセチ(Acetobacter
aceti)、アセトバクター・パストゥーリアンス
(Acetobacter pasteurianu
s)、グルコノバクター・オキシダンス(Glucon
obacter oxydans)等が用いられるが、
その菌株の種類は問わない。分岐オリゴ糖含有糖類をア
ルコール発酵と酢酸発酵するための条件は、糖濃度5%
以上、発酵温度25〜35℃、発酵終了後の酢酸濃度4
%以上である。
【実施例】以下に本発明の実施例を詳細に説明するが、
本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、その
要旨の範囲内で種々の変形が可能である。 [実施例](市販の分岐オリゴ糖含有糖類を原料とした
食酢の製造)
【表1】 表1に示した市販の分岐オリゴ糖含有糖類[群栄化学工
業株式会社製:グンエイオリゴS(登録商標)]を純水
にて30%w/wに調整して、1000mlを原料とし
た。これに酵母[サッカロミセス・エリプソイデス(S
accharomyces ellipoideus)
の培養液]10mlと酵母エキス1g、リン酸一カリウ
ム0.5g、リン酸二アンモニウム0.5gを加え、温
度25〜30℃にて、10日間アルコール発酵を行っ
た。発酵後におけるアルコール濃度は6.5%v/vで
あった。これを温度65℃、10分間加熱して酵母を殺
菌した後、アルコール濃度を5.5%v/vに調整し
た。次に、種酢[アセトバクター・アセチ(Aceto
bacter Aceti)の酢酸発酵液]30mlを
加えて、酸度1.5%に調整した後、温度35〜40
℃、10日間酢酸発酵を行った。発酵後の酢酸濃度4.
5%v/w、アルコール濃度0.3%v/vであった。
これを濾過して菌体を除き、75℃で加熱処理して分岐
オリゴ糖を主成分とする食酢とした。この食酢は、まろ
やかなあっさりした酸味と風味が特徴であった。下記表
2に、本実施例により製造された食酢の酸度、無塩可溶
性固形分及び糖組成を示す。なお、酸度及び無塩可溶性
固形分の分析法は、食酢の日本農林規格、昭和54年6
月8日、農林水産省告示第801号、第5条(測定方
法)で行った。糖組成分の分析装置としては、HPLC
(高速液体クロマトグラフィー):ウォーターズ590
型、カラムSCR101N(島津)(触媒は水)と島津
LC4A型、カラムZorbax NH(デュポン)
(溶媒はアセトニトリル:水=70:30)を使用し
た。
【表2】 前記表2から明らかなように、本実施例の食酢は従来の
食酢とは異なり、高糖分であって、その糖組成が非発酵
性糖類であるイソマルトースやパノース、イソマルトト
リオース等の分岐オリゴ糖を主体とする新規な食酢であ
る。 [比較例](本実施例に係る食酢中の分岐オリゴ糖の抽
出調製) 本実施例に係る食酢と前記市販の分岐オリゴ糖との高脂
血症改善特性とを比較するために、分岐オリゴ糖含有糖
類をアルコール発酵と酢酸発酵して得られた本実施例に
係る食酢をイオン交換樹脂[三菱化成工業製:ダイヤイ
オン(登録商標)]を用いて脱塩、精製を行い、食酢中
の分岐オリゴ糖を抽出調製した。表2に示した本実施例
に係る食酢(本出願の対象発明であることから『市販
の』を削除)3リットルを、内径5cm、長さ50cm
のカラム各々に、「強酸性陽イオン交換樹脂(PK21
8)」、「弱塩基性陰イオン交換樹脂(WA30)」及
び「強酸性陽イオン交換樹脂(PK218)と強塩基性
陰イオン交換樹脂(PA408)との混床」の順に充填
した後、空間速度(SV.hr)0.5で通液した。こ
の操作を3回繰り返して完全に脱塩、精製した後、更に
活性炭にて精製後、固形分75%(w/w)まで減圧濃
縮して食酢中の分岐オリゴ糖を抽出調製した。この分岐
オリゴ糖を前記のHPLC(高速液体クロマトグラフィ
ー)にて分析した結果を表3に示す。
【表3】 [実験例](動物実験) (高果糖食誘導、高脂血症の作成と被験物質の投与)動
物は4週齢wistar系雄性ラットを1群5〜6匹と
して用いた。ラットは個別ケージに入れ、高果糖食で2
週間飼育し、高脂血症を作成した。被験物質である本実
施例の分岐オリゴ糖含有糖類を原料とした食酢は、1.
0ml/kg(酢酸45mgと分岐オリゴ糖200mg
を含む)を投与量(実験群)とし、前記比較例の食酢中
より抽出調製した分岐オリゴ糖は固形換算で分岐オリゴ
糖が200mgとなる投与量(比較群)とし、高果糖食
飼育開始と同時に、1日1回、2週間経口投与した。対
照ラット(コントロール群)は市販の普通食(固形食)
で飼育し、高果糖食対照(対照群)とともに蒸留水1.
0ml/kgを経口投与した。なお、高果糖食の調整は
果糖68.0%、カゼイン23.7%、メチオニン0.
3%、コーンオイル1.0%、ミネラル4.0%、ビタ
ミン1.0%、セルロース2.0%、塩化コリン0.0
1%の組成である。以下の表4に実験区(4群)の投与
量をまとめて示す。
【表4】 (測定項目と試験期間中の体重、摂餌量)体重、摂餌量
は、被験物質投与時に1日1回2週間測定した。2週間
後にラットは18時間絶食し、麻酔下に血液、肝を摂取
した。血液は2500r.p.m.、15分間の遠心分
離を行い、血清を分取し、生化学的測定を行った。コレ
ステロール、トリグリセライド、リン脂質、遊離脂肪
酸、トランスアミナーゼ(GOT、GPT)、高密度リ
ポ蛋白(HDL)などの測定は市販のキットを用いた。
表5に2週間後の各群における体重並びに1日の摂餌量
の平均値を示す。
【表5】 表5に示す如く、コントロール群と高果糖食飼育、即
ち、対照群、実験群、比較群では差があったが、高果糖
食飼育(対照群、実験群、比較群)の間には差異は認め
られなかった。 (血清脂質並びに血清トランスアミナーゼに対する影
響)表6に2週間後の各群における血清脂質並びに血清
トランスアミナーゼの測定値を示す。
【表6】 表6に示した如く、普通食飼育のコントロール群に比べ
て高果糖食飼育の対照群は血清中のコレステロール、ト
リグリセライド、リン脂質、遊離脂肪酸が増加した高脂
血症モデルである。高果糖食飼育と同時に実施例の食酢
を投与した実験群並びに比較例の分岐オリゴ糖を投与し
た比較群ではコレステロール、トリグリセライド、リン
脂質、遊離脂肪酸の増加を抑制した。この抑制効果は比
較群よりも実験群の方が高いことが明らかであり、ま
た、血清トランスアミナーゼの抑制も優れていた。この
ことから、抗高脂血症作用は分岐オリゴ糖よりも、酢酸
と分岐オリゴ糖を組成とする成分、即ち本実施例の分岐
オリゴ糖含有糖類を原料とした食酢の方が高く、高脂血
症改善特性が強いことが分かる。
【発明の効果】本発明は、分岐オリゴ糖含有糖類をアル
コール発酵と酢酸発酵することにより得られるもので、
酢酸の呈する独特の酸味をやわらげた、極めてまろやか
な食酢である。その糖成分もイソマルトース、パノー
ス、イソマルトトリオース等のイソマルトオリゴ糖を高
純度、高濃度に含むものであるために、味覚を改善しな
がら、高脂血症を改善する効果を有する新規な食酢であ
る。本発明に係る食酢は、調味料として家庭用、業務用
又は各種食品の加工用等々として多分野で利用できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は高脂血症改善特性を有す
る調味料としての食酢であって、更に詳しくは、家庭
用、業務用又は各種食品の加工用等々として好適な食酢
に関する。
【従来の技術】我国では動脈硬化によって引き起こされ
る狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の死亡率は癌に
次いで多く、人口の高齢化と食事の欧米化により更に増
加傾向にある。動脈硬化の危険因子として血清中のコレ
ステロールが高いことの関係が指摘されており、この血
清コレステロールを低下させることが動脈硬化を予防す
る上で必要とされている。生体内のコレステロールは食
事由来のものよりも、生体内で合成される量の方が断然
多いことから、食事中に含まれる要因によって生体内で
のコレステロール合成を抑制することができれば好都合
である。血液中に含まれる脂質はコレステロール、トリ
グリセライド(中性脂肪)、リン脂質、遊離脂肪酸に大
別されて、これらの脂質の内のどれか一つでも普通より
多い場合は高脂血症と呼ばれるが、特にコレステロール
とトリグリセライドは注意される。例えば、生後4週齢
程度の幼若ラットを、高果糖含有食で2週間以上飼育す
ると、コレステロール、トリグリセライドの増加した高
脂血症モデルが得られる。コレステロール増加は肝での
コレステロール合成の促進によるとされている。トリグ
リセライド増加は高果糖含有食による肝での脂肪酸とト
リグリセライドへの変換の促進、脂肪組織におけるリポ
蛋白リパーゼ活性の低下によると考えられている。生体
内においてコレステロールは細胞を組み立てる基本的な
材料となり、また各部分の働きを調節するホルモンの主
材料としても使われたり、脂肪の消化、吸収を助ける胆
汁酸の原料になるなど重要な成分であるために低すぎて
もいけないが、必要以上に多いと動脈硬化を進める原因
となる。更に、コレステロールには善玉(動脈硬化を防
ぐHDL−コレステロール)と悪玉(動脈硬化を進める
LDL−コレステロール)に分けて考えられるが、トリ
グリセライドはこの悪玉コレステロールの共犯者といわ
れ、善玉コレステロールを減らしてしまい、動脈硬化を
進める結果となる。このために、血液中の正常値として
は総コレステロール120mg〜230mg/dl、ト
リグリセライド50mg〜140mg/dlが望ましい
といわれている。最近、有用菌と考えられているビフィ
ズス菌などの増殖を促進し、腐敗菌などの有害菌の増殖
を抑制して腸内細菌叢を改善するので、例えば非発酵性
糖類である分岐オリゴ糖を始めとする難消化性のオリゴ
糖が利用されている。これらのオリゴ糖は消化されずに
大腸に送り込まれると腸内細菌によって発酵を受け、酢
酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸と炭酸ガス、
水素ガス、メタンガスなどを生成し、腸内pHを低下さ
せることにより有害菌の増殖を抑制して腸内を浄化する
といわれていたが、この発酵によって生成される短鎖脂
肪酸には血清コレステロールを改善する作用があること
も知られていた。即ち、難消化性のオリゴ糖は酢酸やプ
ロピオン酸などを介してコレステロール合成を阻害し、
動脈硬化の抑制など脂質代謝改善に関与していた。一
方、基礎調味料として一般家庭等で常用されている食酢
は、昔から万病を治す不思議な力のあるものと信じら
れ、今日まで保健剤や健康食品としても広く利用されて
いる。食酢はその原料製法により多品種のものがあっ
て、基本的には酢酸を主成分とするものであるが、食酢
によっては、アミノ酸やペプチド等の成分等、特徴が異
なるために、特定の食酢をもって他の食酢の生理効果を
断定することはできない。その中で食酢には、胃液の分
泌促進、疲労回復、高血圧の予防、過酸化脂質の低下、
血中アルコールの低減等の効果に加えて脂肪肝防御や血
清コレステロールの低下など脂質代謝改善効果があるこ
とが判明していて、これらは基本的には酢酸の生理効果
とも考えられている。そこで、脂質代謝改善効果を有す
る食酢成分の酢酸と難消化性のオリゴ糖との組合せを基
本設計とする食品が考えられるが、このような食品は従
来殆どなかったため、この考え方を基にした高脂血症改
善についての研究はあまり検討されていないのが現状で
ある。
【発明が解決しようとする課題】食酢は優れた生理効果
を有しているが、その主成分である酢酸は、刺激的であ
り、特に鼻をつく酸臭があることが特徴であって、用途
面においては好まれない場合が多々あった。一方、イソ
マルトース、パノース、イソマルトトリオースなどのイ
ソマルトオリゴ糖を主成分とする分岐オリゴ糖含有糖類
は、うま味、こく味の付与による呈味改善効果と腸内有
用細菌増殖効果を有することにより利用が増加してきて
いるが、糖成分としてはイソマルトオリゴ糖の他にグル
コース、マルトースなどの発酵性糖類を共存するもので
ある。これ故に分岐オリゴ糖含有糖類を摂取するときに
は、発酵性糖類を同時に摂取してしまうために、イソマ
ルトオリゴ糖としての効果が低減する傾向が指摘されて
いた。そこで、本発明者らは、分岐オリゴ糖含有糖類よ
りイソマルトオリゴ糖を単分画するようなコストを必要
とせずに、イソマルトオリゴ糖の効果が十分に発揮でき
る利用法を鋭意検討したところ、分岐オリゴ糖含有糖類
を原料とする高脂血症改善特性を有する食酢の醸造法に
到達し、本発明の完成に至った。
【発明の構成】
【課題を解決するための手段】本発明に係る食酢は、分
岐オリゴ糖含有糖類をアルコール発酵と酢酸発酵するこ
とにより得られるものである。即ち、分岐オリゴ糖含有
糖類をアルコール発酵と酢酸発酵することにより得られ
る本発明に係る食酢の特性は、酢酸の呈する独特の酸味
を和らげた極めてまろやかな食酢であって、その糖成分
もイソマルトオリゴ糖を高純度、高濃度に含むことにな
るために、従来の食酢において問題であった味覚改善効
果が可能となり、また分岐オリゴ糖含有糖類に共存する
発酵性糖類を他の有効成分に転換できるという2つの課
題を同時に解決した。従って、本発明は、呈味が優れて
いるとともに健康増進効果に高脂血症改善特性を有する
新規な食酢を提供するものである。以下に本発明を詳し
く説明する。分岐オリゴ糖は、非発酵性糖類とも称せら
れ、特に日本古来の伝統的酒類である清酒中に存在する
オリゴ糖として詳細に研究されてきた。即ち、イソマル
トース(分子内にα−1,6グルコシド結合を有する二
糖類)、パノース(分子内にα−1,6とα−1,4グ
ルコシド結合を有する三糖類)、イソマルトトリオース
(分子内にα−1,6グルコシド結合を有する三糖類)
等である。これらの分岐オリゴ糖は、清酒のうま味、こ
く味に関与する成分であり、分岐オリゴ糖含有糖類製品
で、その糖成分が酒税法に適合するものは、醸造用糖類
としても利用されている。また分岐オリゴ糖は、ビフィ
ズス菌因子であり、且つ、低う蝕性などの体調調節機能
性があることが知られている。分岐オリゴ糖の製造方法
に関しては、特開昭56−51982号、特開昭61−
124389号、特開昭63−291588号、更に高
純度品の製法に関する特開平1−98601号など多く
の製造方法が示されているが、本発明に用いる分岐オリ
ゴ糖の製法に関しては特に制限はなく、如何なる製造方
法によっても良い。これらの製法上の基本は、マルトー
スを生成するアミラーゼを主体とし、これに糖の転移作
用を有する酵素を作用させるものである。即ち、この反
応は転移酵素がマルトースに作用分解して生じたグルコ
ースが受容体としてのグルコースやマルトースに転移し
てイソマルトースやパノース等を生成するものである
が、分岐オリゴ糖の生成が進行するにつれてグルコース
が副生し又未反応のマルトースもあるために、該反応液
は非発酵性糖類の分岐オリゴ糖を主体とするが、発酵性
糖類であるグルコース、マルトースも副生糖分として含
有するものである。また、クロマト分離法により、分岐
オリゴ糖含有糖類中の発酵性糖類のグルコースをほとん
ど除去して、非発酵性糖類を高純度とした分岐オリゴ糖
含有糖類もできる。本発明において、分岐オリゴ糖含有
糖類を用いる原理は、分岐オリゴ糖が清酒のうま味、こ
く味の成分である如く、発酵により作られる食酢の糖成
分としてなじみ易いことと、分岐オリゴ糖をアルコール
発酵と酢酸発酵することにより香味の優れた食酢が得ら
れることにある。従って、酢酸発酵が終了した従来の食
酢に後から分岐オリゴ糖含有糖類を加えることは容易で
あるが、このような方法によって得られた食酢は、糖組
成上の発酵性糖類と非発酵性糖類のバランスにおいて
も、発酵によって得られる呈味成分及び香気成分におい
ても、本発明の食酢とは明白な差がある。即ち、本発明
は、副生糖分である発酵性糖類のグルコース或いはマル
トースをアルコール発酵させて最終的に酢酸成分とな
し、この特性を積極的に利用して非発酵性糖類のイソマ
ルトース、パノースやイソマルトトリオースなどの分岐
オリゴ糖を残糖させて食酢糖成分の主体とするものであ
る。分岐オリゴ糖含有糖類をアルコール発酵と酢酸発酵
して得られる本発明の食酢は、分岐オリゴ糖含有糖類の
有するまろやかな呈味性と発酵により生成する有機酸、
香気成分が融合一体化して、まろやかなあっさりした酸
味と風味をもちながら、食酢固有の効果に加えて、分岐
オリゴ糖を高純度、高濃度に含むために、一層顕著な高
脂血症改善特性を併せもつもので、食酢としての価値を
著しく高めるものである。このような非発酵性糖類の特
性に着目し、該特性を巧みに利用した技術思想に基づく
高脂血症改善特性を有する食酢は、本発明が最初の提示
である。このようにして得られる本発明の食酢は、家庭
用、業務用における食酢としての利用を始め、ポン酢、
すし酢、サラダ酢、ラッキョウ酢及びその他の野菜酢漬
類、海産酢漬類等の加工酢として利用でき、またスー
プ、ソース、ケチャップやマヨネーズ、サラダドレッシ
ングなどの副原料として利用でき、更に、味噌、醤油、
つゆ、タレ、ダシの素、複合調味料、発酵調味料などの
調味料用としての利用、食酢飲料、スポーツ飲料、健康
飲料、炭酸飲料、乳性飲料、果汁飲料、発酵飲料、酒類
などの飲料用としての利用、米飯、パン、米菓、和菓
子、洋菓子、冷菓、氷菓、缶詰、びん詰、チューブ詰、
乳製品や畜肉加工品、魚肉加工品、珍味類、各種ペース
ト類、ジャム、カレー、佃煮、惣菜、調味済食品、即席
飲食品等の各種食物用としての利用、餌料、飼料、ペッ
トフード等として家畜、家禽、その他蜜蜂、蚕、魚等の
飼育用としての利用、化粧水、口紅、リップクリーム等
の化粧品用としての利用、健康食品、機能性食品用とし
ての利用、口中清涼剤、うがい薬、内服薬等の医薬用と
しての利用、その他歯みがき、洗髪料、洗剤、入浴剤等
の各種日用品としての利用或いはタバコ等々の各種の多
分野で利用することができる。食酢の原理は、含アルコ
ールもろみが酢酸菌の酸化発酵により食酢となるもので
あり、該酢酸発酵を大別すると、静置発酵法(表面発酵
法)と深部発酵法(全面発酵法)の二つの方法がある。
静置発酵法は、種酢(前回の発酵終了液)にアルコール
を含有する原料液を加え充分に混合して、温度25〜3
5℃で1〜3ヶ月間静置して酢酸発酵を行うものであ
る。深部発酵法は、原料液と酢酸菌の混合物に空気を送
り込み激しく撹拌して、液面全体で急速に酢酸発酵を行
うものである。本発明における酢酸発酵の方法には特に
限定はない。また、本発明におけるアルコール発酵のた
めの酵母としては、サッカロミセス・セレビシエ(Sa
ccharomyces cerebisiae)種が
主に用いられ、また、酢酸発酵のための酢酸菌として
は、アセトバクター・アセチ(Acetobacter
aceti)、アセトバクター・パストゥーリアンス
(Acetobacter pasteurianu
s)、グルコノバクター・オキシダンス(Glucon
obacter oxydans)等が用いられるが、
その菌株の種類は問わない。分岐オリゴ糖含有糖類をア
ルコール発酵と酢酸発酵するための条件は、糖濃度5%
以上、発酵温度25〜35℃、発酵終了後の酢酸濃度4
%以上である。
【実施例】以下に本発明の実施例を詳細に説明するが、
本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、その
要旨の範囲内で種々の変形が可能である。 [実施例](市販の分岐オリゴ糖含有糖類を原料とした
食酢の製造)
【表1】 表1に示した市販の分岐オリゴ糖含有糖類[群栄化学工
業株式会社製:グンエイオリゴS(登録商標)]を純水
にて30%w/wに調整して、1000mlを原料とし
た。これに酵母[サッカロミセス・エリプソイデス(S
accharomyces ellipoideus)
の培養液]10mlと酵母エキス1g、リン酸一カリウ
ム0.5g、リン酸二アンモニウム0.5gを加え、温
度25〜30℃にて、10日間アルコール発酵を行っ
た。発酵後におけるアルコール濃度は6.5%v/vで
あった。これを温度65℃、10分間加熱して酵母を殺
菌した後、アルコール濃度を5.5%v/vに調整し
た。次に、種酢[アセトバクター・アセチ(Aceto
bacter Aceti)の酢酸発酵液]30mlを
加えて、酸度1.5%に調整した後、温度35〜40
℃、10日間酢酸発酵を行った。発酵後の酢酸濃度4.
5%v/w、アルコール濃度0.3%v/vであった。
これを濾過して菌体を除き、75℃で加熱処理して分岐
オリゴ糖を主成分とする食酢とした。この食酢は、まろ
やかなあっさりした酸味と風味が特徴であった。下記表
2に、本実施例により製造された食酢の酸度、無塩可溶
性固形分及び糖組成を示す。なお、酸度及び無塩可溶性
固形分の分析法は、食酢の日本農林規格、昭和54年6
月8日、農林水産省告示第801号、第5条(測定方
法)で行った。糖組成分の分析装置としては、HPLC
(高速液体クロマトグラフィー):ウォーターズ590
型、カラムSCR101N(島津)(触媒は水)と島津
LC4A型、カラムZorbax NH(デュポン)
(溶媒はアセトニトリル:水=70:30)を使用し
た。
【表2】 前記表2から明らかなように、本実施例の食酢は従来の
食酢とは異なり、高糖分であって、その糖組成が非発酵
性糖類であるイソマルトースやパノース、イソマルトト
リオース等の分岐オリゴ糖を主体とする新規な食酢であ
る。 [比較例](本実施例に係る食酢中の分岐オリゴ糖の抽
出調製) 本実施例に係る食酢と前記市販の分岐オリゴ糖との高脂
血症改善特性とを比較するために、分岐オリゴ糖含有糖
類をアルコール発酵と酢酸発酵して得られた本実施例に
係る食酢をイオン交換樹脂[三菱化成工業製:ダイヤイ
オン(登録商標)]を用いて脱塩、精製を行い、食酢中
の分岐オリゴ糖を抽出調製した。表2に示した本実施例
に係る食酢3リットルを、内径5cm、長さ50cmの
カラム各々に、「強酸性陽イオン交換樹脂(PK21
8)」、「弱塩基性陰イオン交換樹脂(WA30)」及
び「強酸性陽イオン交換樹脂(PK218)と強塩基性
陰イオン交換樹脂(PA408)との混床」の順に充填
した後、空間速度(SV.hr)0.5で通液した。こ
の操作を3回繰り返して完全に脱塩、精製した後、更に
活性炭にて精製後、固形分75%(w/w)まで減圧濃
縮して食酢中の分岐オリゴ糖を抽出調製した。この分岐
オリゴ糖を前記のHPLC(高速液体クロマトグラフィ
ー)にて分析した結果を表3に示す。
【表3】 [実験例](動物実験) (高果糖食誘導、高脂血症の作成と被験物質の投与)動
物は4週齢wistar系雄性ラットを1群5〜6匹と
して用いた。ラットは個別ケージに入れ、高果糖食で2
週間飼育し、高脂血症を作成した。被験物質である本実
施例の分岐オリゴ糖含有糖類を原料とした食酢は、1.
0ml/kg(酢酸45mgと分岐オリゴ糖200mg
を含む)を投与量(実験群)とし、前記比較例の食酢中
より抽出調製した分岐オリゴ糖は固形換算で分岐オリゴ
糖が200mgとなる投与量(比較群)とし、高果糖食
飼育開始と同時に、1日1回、2週間経口投与した。対
照ラット(コントロール群)は市販の普通食(固形食)
で飼育し、高果糖食対照(対照群)とともに蒸留水1.
0ml/kgを経口投与した。なお、高果糖食の調整は
果糖68.0%、カゼイン23.7%、メチオニン0.
3%、コーンオイル1.0%、ミネラル4.0%、ビタ
ミン1.0%、セルロース2.0%、塩化コリン0.0
1%の組成である。以下の表4に実験区(4群)の投与
量をまとめて示す。
【表4】 (測定項目と試験期間中の体重、摂餌量)体重、摂餌量
は、被験物質投与時に1日1回2週間測定した。2週間
後にラットは18時間絶食し、麻酔下に血液、肝を摂取
した。血液は2500r.p.m.、15分間の遠心分
離を行い、血清を分取し、生化学的測定を行った。コレ
ステロール、トリグリセライド、リン脂質、遊離脂肪
酸、トランスアミナーゼ(GOT、GPT)、高密度リ
ポ蛋白(HDL)などの測定は市販のキットを用いた。
表5に2週間後の各群における体重並びに1日の摂餌量
の平均値を示す。
【表5】 表5に示す如く、コントロール群と高果糖食飼育、即
ち、対照群、実験群、比較群では差があったが、高果糖
食飼育(対照群、実験群、比較群)の間には差異は認め
られなかった。 (血清脂質並びに血清トランスアミナーゼに対する影
響)表6に2週間後の各群における血清脂質並びに血清
トランスアミナーゼの測定値を示す。
【表6】 表6に示した如く、普通食飼育のコントロール群に比べ
て高果糖食飼育の対照群は血清中のコレステロール、ト
リグリセライド、リン脂質、遊離脂肪酸が増加した高脂
血症モデルである。高果糖食飼育と同時に実施例の食酢
を投与した実験群並びに比較例の分岐オリゴ糖を投与し
た比較群ではコレステロール、トリグリセライド、リン
脂質、遊離脂肪酸の増加を抑制した。この抑制効果は比
較群よりも実験群の方が高いことが明らかであり、ま
た、血清トランスアミナーゼの抑制も優れていた。この
ことから、抗高脂血症作用は分岐オリゴ糖よりも、酢酸
と分岐オリゴ糖を組成とする成分、即ち本実施例の分岐
オリゴ糖含有糖類を原料とした食酢の方が高く、高脂血
症改善特性が強いことが分かる。
【発明の効果】本発明は、分岐オリゴ糖含有糖類をアル
コール発酵と酢酸発酵することにより得られるもので、
酢酸の呈する独特の酸味をやわらげた、極めてまろやか
な食酢である。その糖成分もイソマルトース、パノー
ス、イソマルトトリオース等のイソマルトオリゴ糖を高
純度、高濃度に含むものであるために、味覚を改善しな
がら、高脂血症を改善する効果を有する新規な食酢であ
る。本発明に係る食酢は、調味料として家庭用、業務用
又は各種食品の加工用等々として多分野で利用できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分岐オリゴ糖含有糖類をアルコール発酵と
    酢酸発酵することにより得られる高脂血症改善食酢。
JP5222847A 1993-08-16 1993-08-16 食 酢 Pending JPH0751047A (ja)

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Cited By (2)

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