JPH0751010B2 - 田植機における植付部の動力伝動構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、苗植付作動をする田植機における植付部の動
力伝動構造に関するものである。

［従来技術及び発明が解決しようとする問題点］ 一般に、この種田植機の植付部には、苗載台に載置され
た植付苗を掻取つて植付ける植付爪機構と、苗載台を前
記植付作動にタイミングを合せて左右横送りする横送り
機構と、苗載台が移動端に達したことに略タイミングを
合せて苗載台に載置された植付苗を縦送りする縦送り機
構とが設けられる。

しかるに従来、これら各機構への動力伝動は、例えば特
開昭59−210816号公報、同60−9414号公報に示す如く、
エンジン側の駆動力が入力する作動軸から植付爪伝動系
へは独立して行つているが、縦送り伝動系へは、横送り
伝動系を経由して行うようになつていた。このため、各
伝動系がどうしても分散されてしまい、これら伝動系の
動力供給端を一軸に集中して配設できないことになり、
従って機体の前後バランスが安定せず作業性に劣る許り
でなく、これらのものは横送り軸に縦送り爪が設けられ
ていることから、横送り機構では、移送端に達した苗載
台を逆の移送方向に変換することに略タイミングを合せ
て縦送り作動をすることになり、このため横送り機構に
大きな負担が掛かりすぎてしまい、歪んだりタイミング
が合わなくなってしまうなどの欠点がある。

一方、田植機は、田面走行をするため、軽量化が常に課
題になるものであり、そのためには、これら伝動機構の
軽量化と共に、これを被覆するギアケースの軽量化も念
頭におかなければならない。

［問題を解決するための手段］ 本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの欠点を一掃す
ることができる田植機における植付部の伝動構造を提供
することを目的として創案されたものであつて、エンジ
ン側からの駆動力を断続自在に入力するための植付けク
ラッチ機構が設けられ、かつ植付爪の植付作動をするた
めの植付爪伝動系に連結される作動軸を備え、該作動軸
と苗載台横送り用の横送り軸との左右方向一端部間に、
作動軸から横送り軸に動力伝動するための動力伝動系を
設け、該動力伝動系を伝動ケースで被覆すると共に、作
動軸の左右方向他端部には、苗載台に載置された植付苗
の縦送りをするための縦送り爪を設けると共に、前記作
動軸はギアケースで被覆し、横送り軸は伸縮自在な蛇腹
状のカバー体で被覆したことを特徴とするものである。

そして本発明は、この構成によつて、各伝動系への動力
供給を、エンジン側の動力が入力する作動軸に集中し
て、機体の前後バランスの向上を計ると共に、移送端で
の縦送りと横送りのタイミングを、軽量化を計りながら
確保ができるようにしたものである。

［実施例］ 次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図面
において、１は一輪歩行型の田植機であつて、機体前方
のエンジン２、トランスミツション３、前低後高型の苗
載台４を有した植付部５、ハンドル６、左右のサイドフ
ロート７、走行車輪８、走行車輪８の左側に配されたチ
エンケース９等の各部材によつて構成されているもので
ある。一方、10は機体前方のエンジン部側と後方の作動
部５側とを結ぶ機体フレームであつて、本実施例の田植
機１では、この機体フレーム10のみの一フレーム構造に
なつている。しかも、機体フレーム10は、トランスミツ
ション３から植付部５側にチエン伝動によつて動力伝動
をする動力伝動機構を内蔵した伝動ケースとなつている
が、この機体フレーム、即ち伝動フレーム10は、前記チ
エンケース９とは反対の右側方に配されている。

また、前記伝動フレーム10に連結されたギアケース11
（苗載台４の前下方に配設されている。）には、伝動フ
レーム10に内蔵のチエン伝動によつて回動する作動軸12
が回動自在に軸承されている。即ち、作動軸12には、上
記チエン伝動の従動スプロケット23が自由回動自在に軸
承されると共に、クラツチギア24が軸芯方向移動自在に
スプライン嵌合されている。そしてクラツチギア24は、
弾機24dによつてギア歯24aが従動スプロケット23側に設
けたギア歯23aに常時噛合し、これによってエンジン側
からの駆動力は、従動スプロケツト23、クラツチギア24
を経て作動軸12に伝達されるようになつているが、この
動力伝達は、クラツチギア24を、植付クラツチレバー25
の操作によつて従動スプロケツト23側との前記ギア歯噛
合を断つことによって遮断され作動軸12の回動が停止す
るようになつており、このようにして植付クラツチ機構
Ａが構成されている。

しかもクラツチギア24には、一部が切欠かれた鍔部24b
が形成されている。そして植付クラツチレバー25を前述
した切り操作する場合に、後述する植付爪14がその上下
植付循環軌跡の略上動位置に達する以外のときには鍔部
24bがギアケース11に設けたストツパ26に接当して植付
クラッチレバー25の切り操作が規制されて出来ず、植付
爪14が略上動位置に達したときに鍔部24bに設けた切欠
き部24cが丁度ストツパ26位置に位置して切欠き部24cが
ストツパ26に噛合可能状態となり、これによつて、植付
クラツチレバー25の前記切り操作が出来るようになつて
おり、この様にして植付爪14が下動位置に位置する状態
で作動軸12が停止するのを規制する植付爪停止機構Ｂが
構成されている。

また、前記ギアケース11には走行車輪８を中心にしてそ
の後方左右両側に一対の植付駆動ケース13が設けられて
おり、該植付駆動ケース13のそれぞれ外側に設けられた
植付爪14側に作動軸12からの動力をチエン伝動で伝動を
し、植付作動を行なわしめる植付爪駆動機構Ｃを構成し
ている。そして本実施例では、この様に走行車輪８の左
右両側に伝動ケース13を配し、その外側に前述の植付爪
14が配されている。さらに、前記ギアケース11の一端側
には伝動ケース15aが設けられており、該伝動ケース15a
に内装されるチエン伝動を介して作動軸12から苗載台４
の前方に配された苗載台横送り用の横送り軸15に対して
減速される状態で動力伝動されるようになつている。し
かも、この横送り軸15には横送り駒16が係合していて、
横送り軸15が作動軸12の駆動に連動して回動することに
よつて、横送り駒16は横送り軸15に刻設したスクリユー
溝にガイドされて左右往復移動することになるが、この
横送り駒16は連結フレーム17を介して苗載台４に連結さ
れており、苗載台４を横送り駒16の横送りに追随して一
体的に左右往復の横送り作動を行うようになつており、
これによつて苗載台４の横送り機構Ｄが構成されてい
る。

また、15bは横送り軸15を被覆保護するカバー体であつ
て、該カバー体15bは蛇腹状になつていて横送り駒16の
横移動に応動して伸縮するものであるが、カバー体15b
は、横送り軸15との間隔が下側よりも上側が大きくなる
よう偏心しており、これによつて横送り軸15を可及的に
下方の作動軸12側に配設して機体重心を低くできるよう
に配慮されている。

さらにまた、作動軸12の他端側には縦送り爪18が設けら
れていて作動軸12と一体回動するようになつているが、
該縦送り爪18は、苗載台４が左右横移動の端部位置に達
したことにタイミングを合わして、苗載台４の苗葉受体
19側に揺動変位自在に設けた揺動腕20のピン20aを押し
上げてこれを下動せしめるようになつている。そしてこ
の揺動腕20は、リンク杆21を介して苗載台４の背面に設
けた縦送り体22に連動連結されており、前記揺動腕20の
下動に連動して縦送り体22が一ピツチ分だけ間欠的に回
動し、苗載台４に載置される植付苗を縦送りするように
なつており、このようにして植付苗の間欠的な縦送り機
構Ｅが構成されている。

また、前記植付爪14は、植付杆27に設けられているが、
この植付杆27には、さらに植付フオーク28cが設けられ
た押出しロツド28が出没自在に設けられている。この押
出しロツド28は、実施例では弾機28aによつて付勢され
るが、押出しロツド28の上端部は二又状に分岐され、作
動アーム29の先端部が嵌入する嵌入部28bが形成されて
いる。作動アーム29はクランクアーム30の作動に連繋し
て回動するカム31のカム作動によつて支軸29aを支点と
して揺動することになるが、作動アーム29は、一枚状の
金属等の板体を加工したものであり、実施例では鉄板を
熱処理して成形したものである。そして、作動アーム29
が、苗の植付作動にタイミングを合せて前記カム作動を
することによつて、弾機28aに抗して押出しロツド28を
押出し、これによつて略田面に没入した植付苗を押し出
して田面に植付けるようになつている。この場合、作動
アーム29は一枚板状になつているので、該作動アーム29
の成形が容易で、かつ均一にしかも確実な作動を行なわ
しめることができると共に、肉厚を薄くし得て、軽量コ
ンパクト化にも寄与できるものである。尚、28dは作動
アーム29用の止めピンである。

叙述の如く構成された本発明の実施例において、走行車
輪８の走行にタイミングを合せた植付爪14の苗植付作動
によつて水田への苗植付作業が行なわれることになる
が、これら植付作動を行なう植付部５での植付爪駆動機
構Ｃ、横送り機構Ｄ、縦送り機構Ｅの各動力伝動系は作
動軸12に集中されてここから各機構Ｃ、Ｄ、Ｅの各伝動
系に供給されることになる。

即ち、本発明が実施されたものにあつては、エンジン側
からの動力が入力する作動軸12に、植付けクラツチ機
構、植付爪14への動力伝動系、横送り軸15への動力伝動
系、並びに縦送り爪18の駆動が総て集中せしめられ、こ
こから動力が供給されるようになつている。このため、
例えば従来の縦送り爪を横送り軸15に設けたものの如
く、その伝動系が分散してしまうことがなく、作動軸12
にコンパクトに集中せしめられることになる。従つて、
植付部での動力伝動系が簡略化される許りでなく、これ
ら各伝動系を作動軸12側、即ち機体中心側に位置せしめ
得て、機体の前後バランスの向上を計ることができ、安
定した機体走行性を確保し得ることになる。しかも、縦
送り爪18は、従来の如く横送り軸15ではなく、作動軸12
に設けられることになるので、移送端に達した苗載台４
を逆方向に移送変換する際の縦送り作動による負荷が同
時に横送り軸15に加わることがなく、これらの負荷を作
動軸12において両側で受けることになり、従つて、両作
動のバランスが崩れてしまう様なこともなく縦送りと横
送りを行うことができる。

そのうえ、前記エンジン側からの駆動力が入力する作動
軸12については、植付部の各伝動系のの動力伝動が集中
するようになつていることから、ギアケース11で被覆
し、これに平行配設される横送り軸15は伸縮自在な蛇腹
状のカバー体15bで被覆する構成にして、横送り軸15ま
ではギアケース11で被覆する構成としないでよく、この
結果、ギアケース11の軽量コンパクト化が達成できるこ
とになる。

また、作動軸12には、さらに植付クラツチ機構Ａと植付
爪停止機構Ｂとが設けられていて、これら二つの機能に
加えて前記縦送り機構Ｅ、横送り機構Ｄ、並びに植付爪
駆動機構Ｃの都合五種類の機能が集中して設けられてい
るので、一段と優れた構造の簡略化が計れてコンパクト
化を達成することができる許りでなく、これら各機構を
可及的に機体中心側にまとめて、機体の前後バランスを
尚一層安定なものにすることができる。

［作用効果］ 以上要するに、本発明は叙述の如く構成したものである
から、植付伝動系、横送り伝動系、並びに縦送り伝動系
への動力供給は、エンジン側の駆動力を断続自在に入力
するための植付けクラツチ機構が設けられる作動軸に直
接的に集中されることになり、従つて、植付部での総合
的な動力伝動系が簡略化される許りでなく、これら各伝
動系を機体中心側に位置せしめ得て、機体の前後バラン
スの向上を計ることができ、機体走行の安定性を確保し
得ることになる。

しかも、縦送り爪は、従来のように横送り軸ではなく、
作動軸の他端部に設けられているので、移送端に達した
苗載台を逆方向に移動変換することにタイミングを合せ
た縦送り作動による負荷が横送り軸に同時に働いてしま
うことがなく、苗載台を逆方向に移送変換する負荷と縦
送り時の負荷を、作動軸において左右両端部において受
けることになり、従つて、両作動のバランスが崩れてし
まう様なことなく縦送りと横送りを行うことができる。

そのうえ、前記エンジン側からの駆動力が入力する作動
軸については、植付部の各伝動系の動力伝動が集中する
ようになつていることから、ギアケースで被覆するもの
の、これに平行配設される横送り軸は伸縮自在な蛇腹状
のカバー体で被覆する簡略化された構成にして、横送り
軸まではギアケースで被覆する構成としないでよく、こ
の結果、ギアケースの軽量コンパクト化が達成できるこ
とになる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明に係る歩行型田植機の一実施例を示すも
のであつて、第１図は田植機の全体側面図、第２図は同
上平面図、第３図は植付部の伝動部を示す要部背面図、
第４図は同上要部側面図、第５図は同上展開図、第６図
は植付爪部の一部切欠き側面図、第７図は同上縦断面
図、第８図は同上要部斜視図である。 図中、１は田植機、２はエンジン、４は苗載台、５は植
付部、11はギアケース、12は作動軸、14は植付爪、15は
横送り軸、15bはカバー体、18は縦送り爪である。

フロントページの続き (72)発明者 梶谷 博正 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １ 三菱農機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−63308（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−9414（ＪＰ，Ａ) 実開 昭57−194614（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジン側からの駆動力を断続自在に入力
   するための植付けクラツチ機構が設けられ、かつ植付爪
   の植付作動をするための植付爪伝動系に連結される作動
   軸を備え、該作動軸と苗載台横送り用の横送り軸との左
   右方向一端部間に、作動軸から横送り軸に動力伝動する
   ための動力伝動系を設け、該動力伝動系を伝動ケースで
   被覆すると共に、作動軸の左右方向他端部には、苗載台
   に載置された植付苗の縦送りをするための縦送り爪を設
   けると共に、前記作動軸はギアケースで被覆し、横送り
   軸は伸縮自在な蛇腹状のカバー体で被覆したことを特徴
   とする田植機における植付部の動力伝動構造。