JPH0750084B2 - 活性炭埋蔵シリカゲルをクリンアップカラムの充填剤として用いる分析法 - Google Patents

活性炭埋蔵シリカゲルをクリンアップカラムの充填剤として用いる分析法

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JPH0750084B2 JP61059665A JP5966586A JPH0750084B2 JP H0750084 B2 JPH0750084 B2 JP H0750084B2 JP 61059665 A JP61059665 A JP 61059665A JP 5966586 A JP5966586 A JP 5966586A JP H0750084 B2 JPH0750084 B2 JP H0750084B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、合成有機化合物の中でも最も毒性が強いとさ
れる2,3,7,8−四塩化ダイオキシン(T4CDD)を含むポリ
塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDDS)並びに同様
に猛毒のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFS)の微量分析
に用いられるクリンアップカラムの極めて有効な充填剤
に関する。
〔発明の背景〕 ポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDDS)及びポ
リ塩化ジベンゾフラン(PCDFS)は、ダイオキシン及び
ジベンゾフラン骨格に塩素が置換した異性体を夫々75種
及び135種もつ化合物群の総称である。これらの化合物
のうちいくつかは極めて毒性が強く、なかでも2,3,7,8
−四塩化ダイオキシン(T4CDD)及び2,3,7,8−四塩化ジ
ベンゾフラン(T4CDF)は合成有機化合物中最強の毒性
といわれている。
PCDDS,PCDFSは有機塩素系農薬をはじめ、各種の有機塩
素化合物中に不純物として含まれており、最近では焼却
過程で多量に生成されることが判り社会的な関心が高ま
っている。
都市ゴミ焼却炉のフライアッシュ中のPCDDS及びPCDFS
分析法には、多くの報告があるが、その分析手法は一般
に繁雑で、所要時間も長い。しかもPCDDS,PCDFSは毒性
の大幅に異なる異性体の混合物であるため、高感度且つ
分離能の優れた分析装置を必要とし、前処理としてクリ
ンアップカラム工程を経た後、通常、甚だ高価な高精能
のガスクロマトグラフー質量分析計(GC−MS)を用いて
これを行なっていた。
しかしながら、これら従来の残留農薬分析法に準じた方
法では共存する不純物質の除去が困難であり、従って、
正確な分析を行うことは至難の技であった。即ち、例え
ば、従来、クリンアップ工程で用いられるクリンアップ
カラムの充填剤としてはシリカゲル、フロリジル、アル
ミナ等が使用されていたが、これらの充填剤ではPCDDS,
PCDFSの異性体を完全に分画することは不可能であっ
た。また最近、米国のStallingらは活性炭の特性に着目
し、これを充填剤として用いる新しい分析法を提案した
〔D.L.Stalling,et al:Chlorinated Dioxins and Relat
ed Compounds,77−85(1982)〕が、活性炭の微粒性に
より操作上に難点があり、実用化までには到らなかっ
た。
以上のような事情から社会的関心が高いにも拘わらず、
これまでこの方面の研究があまり進展しておらず、PCDD
S,PCDFSのより優れた分析法の出現が久しく待ち望まれ
ていた。
〔発明の目的〕
本発明は上記した如き状況に鑑みなされたもので、例え
ば、都市ゴミ焼却炉から出るフライアッシュ中のPCDDS,
PCDFSの微量分析等に於てより精度の高い分析を行い得
る極めて効果的なクリンアップカラム用充填剤とこれを
用いるPCDDS,PCDFSの優れた分析法を提供することを目
的とする。
〔発明の概要〕
本発明は、珪酸ナトリウム(水ガラス)と活性炭の混合
物を鉱酸と反応させることにより得られる活性炭埋蔵シ
リカゲルをクリンアップカラムの充填剤として用いるこ
とを特徴とする、ポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン
又は/及びポリ塩化ジベンゾフランの微量分析法の発明
である。
即ち、本発明者らは、例えば、都市ゴミ焼却炉から出る
フライアッシュ中のPCDDS,PCDFSの微量分析等に於て、
より精度の高い分析を行い得る、クリンアップカラム用
充填剤を求めて鋭意研究を重ねた結果、活性炭の微粒子
をシリカゲルの中に埋蔵した活性炭埋蔵シリカゲルを充
填剤として用いることにより、PCDDS,PCDFSのクリンア
ップを著しく向上させ得ることを見出し、精度の高い、
操作性に優れたPCDDS,PCDFSの微量分析法を提供し得る
本発明を完成するに到った。
本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲルは、通常、下記の如
くして得られる。
即ち、例えば、珪酸ナトリウム溶液(水ガラス)に、こ
れに対して1〜6%量の活性炭粉末と適当量の水(通常
水ガラスの2〜5倍量)を加え、撹拌下、これを鉱酸例
えば塩酸を要すれば水で希釈して加え、反応させる。反
応後、要すれば、一夜放置して熟成させた後、黒灰色の
沈澱物を取し、脱水、水洗、乾燥の後整粒して目的と
する本発明の活性炭埋蔵シリカゲルを得る。即ち、本発
明に係る活性炭埋蔵シリカゲルの製法は、水ガラスと鉱
酸の反応時に活性炭を存在させる以外は、自体公知のカ
ラムクロマト用シリカゲルの製法に準じてこれを行えば
足りる。
本発明で用いられる活性炭は、カラムクロマトグラフィ
ーに用い得る活性炭であればいずれのメーカーによるい
ずれの種類のものでもよく、特に制約はない。これら
は、通常、適当なメッシュ(200〜300メッシュ)に整粒
し、トルエン、アセトン等の溶媒で充分に洗浄、精製し
た後用いられる。活性炭は、粒子が大きい(30メッシュ
以上)と粒子内を拡散することによるテーリングがあ
り、あまり小さくし過ぎると(300メッシュ以下)、そ
の一部がトルエンに溶解し始めるので好ましくない。
本発明で用いられる鉱酸としては、例えば塩酸、硝酸、
硫酸、リン酸等カラムクロマト用シリカゲルの製法に於
て一般に用いられる鉱酸類が全て挙げられるが、なかで
も塩酸が特に好ましく用いられる。生成物の乾燥は通常
室温で行われる。また、粒度は通常32メッシュ以下、好
ましくは、40〜300メッシュ80%以上、より好ましくは8
0〜150メッシュ80%以上になるよう整粒される。本発明
に係る活性炭埋蔵シリカゲルは、他の充填剤同様、活性
化した後使用されることが望ましい。活性化は通常120
〜130℃、30分程度で充分である。
活性炭埋蔵シリカゲルをクリンアップカラムの充填剤と
して用いる本発明のPCDDS,PCDFSの微量分析法は、例え
ば試料として都市ゴミ焼却炉のフライアッシュを用いた
場合を例にとると、通常、下記の手順で行われる。
即ち、先ず、ソックスレー抽出により試料(フライアッ
シュ)中からPCDDS,PCDFSを抽出する。この際、トルエ
ン・ソックスレー法で行うのが一般的であるが、本発明
者らはトルエンの代りにベンゼンを用いてこれを行うこ
とにより、ウォーターバスによるソックスレー抽出を可
能とした。また、これにより濃縮も容易となり、常圧濃
縮が可能となった。かくして抽出及び濃縮を行った後、
濃縮物を常法により硫酸処理して着色有機物や塩基性成
分等を除き、然る後本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲル
を充填剤とするカラムクロマトグラフィーによりクリン
アップ操作を行う。即ち、試料添加後、先ず、ジクロロ
メタン/ヘキサン(特に1:3の割合が好ましい)又はア
セトン/ヘキサン、低級アルコール/ヘキサン、エーテ
ル/ヘキサン等の溶媒でPCBS(ポリ塩化ビフェニル)そ
の他の画分を溶出させると共にPCDDS,PCDFSを充填剤に
吸着させ、次いで、トルエンで各異性体を分画溶出させ
る。この後、更に珪藻土等をカラム充填剤とするGC(ガ
スクロ)クリンアップによりキャピラリーカラムの劣化
の原因となる高沸点成分を除き、濃縮後、簡易型GC−MS
によるマスフラグメントグラフィーで多成分の分離分析
を行うことにより、該分析を精度よく且つ再現性よく行
うことができる。尚、本発明の方法に於ては高価な高精
度のGC−MSは用いる必要がない。
また、本発明の方法により、例えば人の脂肪組織中に蓄
積されたPCDDS,PCDFSを検出、測定せんとする場合に
は、以下の如き前処理操作を行った後、本発明に係る活
性炭埋蔵シリカゲルをクリンアップカラムの充填剤とし
て用いたクリンアップ操作を行えばよい。
即ち、先ず試料を細かく破砕し、苛性カリのアルコール
性水溶液中に1乃至数時間振盪浸漬させた後、ヘキサン
で抽出する。抽出液を硫酸で洗浄し、水洗、脱水乾燥
後、濃縮し、これをシリカゲル、及びアルミナを充填剤
とする通常のカラムクロマト処理により精製する。次い
で、GCクリンアップにより低揮発性の不純物を除き、然
る後、本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲルを充填剤とす
るカラムクロマトグラフィーによるクリンアップ操作を
行う。クリンアップ操作の方法はフライアッシュを試料
とした場合と全く同様で、試料添加後、先ず、ジクロロ
メタン/ヘキサン(特に1:3の割合が好ましい)又はア
セトン/ヘキサン、低級アルコール/ヘキサン、エーテ
ル/ヘキサン等の溶媒でPCBSその他の画分を溶出させる
と共に、PCDDS,PCDFSを充填剤に吸着させ、次いで、ト
ルエンで各異性体を分画溶出させる。
この後、簡易型GC−MSによるマスフラグメントグラフィ
ーで多成分の分離分析を行うことにより該分析を精度よ
く且つ再現性よく行い得ることはフライアッシュを試料
とした場合と全く同様である。
尚、フライアッシュを試料とした場合には、通常、活性
炭埋蔵シリカゲルを用いるクリンアップ操作の後にGCク
リンアップ操作を行うが、人の脂肪組織等生体試料を用
いる場合には、活性炭埋蔵シリカゲルを用いるクリンア
ップ操作の前にGCクリンアップ工程を入れた方がより効
果的である。
即ち、活性炭埋蔵シリカゲルを用いるクリンアップ工程
とGCクリンアップ工程とは、特にどちらを先に行わねば
ならないというようなことはなく、場合に応じて、ま
た、用いる被検試料の種類に応じて、より効果的と思わ
れる順序を適宜選択すればよい。
クリンアップ工程に於けるカラムの充填剤として、本発
明に係る活性炭埋蔵シリカゲルを用いた場合の利点を、
活性炭やシリカゲル、アルミナ等を単独で用いた場合そ
の他との比較により示すと以下の如くなる。
(i)シリカゲルやアルミナ等を単独で用いた場合に
は、PCDDS,PCDFSの異性体を完全に分画することは不可
能である。
(ii)これに対し、本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲル
では、活性炭が、PCDDS,PCDFSのようなプラナー構造
(平板構造)を有する分子を特異的に吸着する能力をも
つため、質量分析計での定量妨害となるPCBSや高沸点炭
化水素等の成分を完全に除去することができるので、GC
−MSによるPCDDS,PCDFSの異性体の分画を極めて効果的
に行うことができる。
(iii)一方、活性炭単独の場合には、吸着成分の溶出
に際し、その吸着力の強さから逆流出法(reverseflo
w)を用いなければテーリングが激しく使用できない。
ところが、逆流出法は特殊な仕掛が必要で一般化し難い
という欠点がある。
(iv)本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲルは、微粒子の
活性炭を用いることにより表面積を大きくしてあるの
で、少量で充分吸着することができ、しかも活性炭は、
シリカゲルの粒子中に分散状態で埋蔵されているので、
溶出に際してはトルエンとの接触効果が酔いため逆流出
法を用いなくても一般のカラムクロマトグラフィーによ
る操作で充分溶出可能である。
(v)本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲルは、乾式充填
法による使用に適しているので、充填に際して粒子のチ
ャンネリングの心配がなく再現性が良い。
(vi)本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲルは、活性炭が
シリカゲルの粒子中に分散状態で埋蔵されているので、
欧米で使用されている珪藻土やガラスウールにまぶす方
法に比べ均一性が高く、分析条件の再現性が良い。
(vii)当然のことながら、活性炭とシリカゲルを単に
混合しただけでは、即ち、活性炭を単にシリカゲルにま
ぶしただけでは、本発明の如き効果は全く得られない。
本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲルを充填剤として用い
たカラムクロマトグラフィーにより、PCBS,PCDDSを含む
試料について分画試験を行った結果(溶出パターン)を
第1図に示す。第1図より明からな如く、PCBSはジクロ
ロメタン/ヘキサンにより速かに溶出されるか、PCDDS
はこれによっては全く溶出されず、トルエンを用いた場
合に初めて分画溶出される。但し、D2CDDは二塩化ジベ
ンゾ−p−ダイオキシン、T4CDDは四塩化ジベンゾ−p
−ダイオキシン、O8CDDは八塩化ジベンゾ−p−ダイオ
キシンを夫々示す。
また、本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲルを充填剤とし
たカラムクロマトグラフィーによりPCDDSを分画した場
合の回収率を表1に示す。但し、T3CDDは三塩化ジベン
ゾ−p−ダイオキシン、P5CDDは五塩化ジベンゾ−p−
ダイオキシン、H6CDDは六塩化ジベンゾ−p−ダイオキ
シン、H7CDDは七塩化ジベンゾ−p−ダイオキシンを夫
々示し、D2CDD,T4CDD,O8CDDは前記と同じである。
表1より明らかな如く、本発明に係る活性炭埋蔵シリカ
ゲルを充填剤として用いた場合の各種PCDDSの回収率は
極めて良好である。
以下に製造例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれら製造例、実施例により何ら制
約されるものではない。
〔実施例〕
製造例1.活性炭埋蔵シリカゲルの製造 市販の活性炭(和光純薬工業(株)製、クロマトグラフ
用)を200メッシュ整粒し、トルエンにて数回洗浄精製
した。
水ガラス(溶液)50gに上記精製活性炭1gとイオン交換
水150mlを加え充分撹拌混合した。これに撹拌下、3N−H
Cl100mlを少量ずつ滴下して反応させた後、一夜放置し
て熟成させた。結晶を取し、水洗、乾燥(室温)、整
粒(32メッシュ以下)後、130℃で30分間活性化して、
目的とする活性炭埋蔵シリカゲルの黒灰色微粒を得た。
実施例1.フライアッシュ中のPCDDS,PCDFSの分析(簡易
分析法による) 試料(都市ゴミ焼却場のフライアッシュ)25gを300mlの
ビーカーに秤りとり、1規定塩酸200mlを加えてときど
き撹拌しながら約1時間放置した。酸浸漬試料を脱イオ
ン水を用いてブフナー型吸引過器に洗い込む(紙は
No.5A)と共に、脱イオン水200mlで洗浄し、十分脱水後
拡げて室温で風乾した。風乾試料をベンゼンを抽出溶剤
として、ソックスレー抽出器で15時間抽出した後、ベン
ゼン抽出溶液をスナイダーカラムを付した濃縮器で2〜
5mlとし、少量濃縮管に移して窒素ガスを吹きつけなが
ら約200μまで濃縮した。これにヘキサン5mlを加えて
クリンアップ供試液とした。この濃縮液にヘキサン100m
lを加え分液ロートに移して20mlの濃硫酸でヘキサン溶
液が無色透明になるまで洗浄した。ヘキサン層を50mlの
水で3回洗い、芒硝で脱水後KD濃縮器で約5mlに濃縮
し、濃縮液を本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲルを充填
剤とするカラムクリンアップ操作に付した。即ち、試料
(ヘキサン溶液)を活性炭埋蔵シリカゲルを充填剤とす
るカラムにチャージし、25%CH2Cl2/ヘキサン(v/v)で
洗浄してPCBSその他の成分を除去した後、PCDDS,PCDFS
の各異性体をトルエンで溶出させた。
次いでこれをGCクリンアップ操作に付し、低揮発性の不
純物を除去した、GCクリンアップは以下の手順で行っ
た。即ち、先ず吸着剤(液相:2%OV−17,担体:クロモ
ソルブW HMDS)を予め窒素ガスを300℃で1時間通ずる
ことにより洗浄し、然る後、室温で試料を注入した。次
いで、窒素ガスを通じてカラム中の溶媒を除去し、カラ
ムを240℃で15分間加熱してPCDDS及びPCDFSを熱がかか
っていないガラス管中に捕集した(キャリアーガス:窒
素、流速40ml/分)後、ガラス管を切り取り、捕集され
ている物質をジクロロメタンで溶出させた。
この後、ジクロロメタンをトルエンに置き換え、GC−MS
(市販されているGC−MSの中で最も簡易型のものを使
用)により分離分析を行った。尚、GC−MSの測定条件は
下記の通りである。
島津GCM−QP1000,E.I.型 カラム:CP sil88,0.2mm(内径)×50m 熔融シリカキャピラリカラム(WCOT) カラム温度:200℃に1分間保った後昇温 (200→240℃) 試料注入口温度:240℃ 分離器温度:240℃ イオン源温度:240℃ キャリアガス:He,3.0kg/cm2 電子加速電圧:70eV 特有なフラグメント:m/z=M+,(M+2)+,M+−COCl,
(M+2)−COCl <測定結果> 検出されたフライアッシュ中のPCDDSの量(未乾燥試料
中の濃度ng/g)を表2(a)〜(g)に、PCDFSの量
(未乾燥試料中の濃度ng/g)を表3(a)〜(g)に夫
々示す。
尚、表中D2CDFは二塩化ジベンゾフラン、T3CDFは三塩化
ジベンゾフラン、P5CDFは五塩化ジベンゾフラン、H6CDF
は六塩化ジベンゾフラン、H7CDFは七塩化ジベンゾフラ
ン、O8CDFは八塩化ジベンゾフランを夫々示し、他の略
号は先に示した通りである。
実施例2.人の脂肪組織中のPCDDS,PCDFSの分析 日本人(癌患者)13人から摘出した脂肪組織(分析まで
−18℃で凍結保管)を夫々小片に破砕し、エタノール+
40%苛性カリ水溶液(1:1)300ml中に室温で1時間振盪
浸漬した後、これを取り出し、ヘキサン300ml(1回
目)及び100ml(2回目)で2回抽出した。抽出液を合
せ、硫酸で、水層の着色が殆どなくなるまで洗浄し、水
洗、芒硝脱水後濃縮して液量を5mlとした。この濃縮液
をシリカゲルを充填剤とするカラムにチャージし、10%
CH2Cl2/ヘキサン(v/v)で溶出させた後、この溶出液を
5mlまで濃縮した。更に、これをアルミナを充填剤とす
るカラムにチャージし、ヘキサンで洗浄後、50%CH2Cl2
/ヘキサン(v/v)で溶出させた。次いで、溶出液を300
μまで濃縮し、GCクリンアップ操作に付し、低揮発性
の不純物を除去した。GCクリンアップは以下の手順で行
った。即ち、先ず吸着剤(液相:2%OV−17,担体:クロ
モソルブW HMDS)を予め窒素ガスを300℃で1時間通ず
ることにより洗浄し、然る後、室温で試料を注入した。
次いで、窒素ガスを通じてカラム中の溶媒を除去し、カ
ラムを240℃で15分間加熱してPCDDS及びPCDFSを熱がか
かっていないガラス管中に捕集した(キャリア−ガス:
窒素、流速40ml/分)後、ガラス管を切り取り、捕集さ
れている物質をジクロロメタンで溶出させた。
この後、ジクロロメタンをヘキサンに置き換え、このヘ
キサン溶液を濃縮して500μとした後、本発明に係る
活性炭埋蔵シリカゲルを充填剤とするカラムクリンアッ
プ操作に付した。即ち、試料(ヘキサン溶液)を活性炭
埋蔵シリカゲルを充填剤とするカラムにチャージし、25
%CH2Cl2/ヘキサン(v/v)で洗浄してPCBSその他の成分
を除去した後、PCDDS,PCDFSの各異性体をトルエンで溶
出させた。
この後、この溶出液を30μに濃縮し、GC−MS(市販さ
れているGC−MSの中で最も簡易型のものを使用)により
分離分析を行った。尚、GC−MSの測定条件は実施例2と
同じである。
<測定結果> 上記方法により日本人(癌患者)13人の脂肪組織中から
検出されたPCDDS及びPCDFSの量(未乾燥試料中の濃度pg
/g)を表4に示す。尚、表中の略号は先に記した通りで
ある。
〔発明の効果〕 以上述べた如く、本発明は、例えば都市ゴミ焼却炉から
出るフライアッシュ中や、人の脂肪組織等生体試料中に
含まれる微量のPCDDS,PCDFSを検出、測定する為の、極
めて効果的なクリンアップカラム用充填剤と、これを用
いるPCDDS,PCDFSの優れた分析法を提供するものであ
り、下記の如き作用効果を有する。
即ち、クリンアップ工程に於けるカラムの充填剤として
本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲルを用いた場合には、 質量分析計での定量妨害となるPCBSや高沸点炭化水素
等の成分を完全に除去することができるので、GC−MSに
よるPCDDS,PCDFSの異性体の分画を極めて効果的に行う
ことができる。
逆流出法を用いなくても、一般のカラムクロマトグラ
フィーによる操作でテーリングすることなく充分溶出可
能である。
乾式充填法による使用に適しているので、充填に際し
て粒子のチャンネリングの心配がなく再現性が良い。
充填剤の均一性が高いので、分析条件の再現性が良
い。
等の点に甚だ顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る活性炭埋蔵シリカゲルを充填剤
として用いたカラムクロマトグラフィーにより、PCB
S(ポリ塩化ビフェニル)とPCDDS(ポリ塩化ジベンゾ−
p−ダイオキシン)を含む試料について分画試験を行っ
た際の溶出パターンを示す。但し、D2CDDは二塩化ジベ
ンゾ−p−ダイオキシン、T4CDDは四塩化ジベンゾ−p
−ダイオキシン、O8CDDは八塩化ジベンゾ−p−ダイオ
キシンを夫夫示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】珪酸ナトリウム(水ガラス)と活性炭の混
    合物を鉱酸と反応させることにより得られる活性炭埋蔵
    シリカゲルをクリンアップカラムの充填剤として用いる
    ことを特徴とする、ポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオキシ
    ン又は/及びポリ塩化ジベンゾフランの微量分析法。
JP61059665A 1986-03-17 1986-03-17 活性炭埋蔵シリカゲルをクリンアップカラムの充填剤として用いる分析法 Expired - Lifetime JPH0750084B2 (ja)

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