JPH0749650Y2 - テ−プロ−デイング機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はテープローディング機構に係り、特にヘリカル
スキャン型磁気記録再生装置に適用されるテープローデ
ィング機構に関する。

従来の技術 ヘリカルスキャン型磁気記録再生装置にはテープローデ
ィング機構が設けてあり、このテープローディング機構
が動作してテープパスを形成する。またテープローディ
ング機構の一種として、一対のテープ引出し部材を備
え、各テープ引出し部材が垂直ポールと傾斜ポールとを
有する構成である所謂パラレル型テープローディング機
構がある。

このパラレル型テープローディング機構は、記録／再生
操作により動作し、テープ引出し部材をカセット内の位
置よりドラムの両側の最終位置へ移動させる。これによ
り磁気テープはカセットより引き出され、ドラムに所定
角度範囲に亘り螺旋状に巻き付いたテープパス（これを
フルローディングテープパスという）を形成し、このパ
スに沿って走行し、ドラム内の回転ヘッドにより記録再
生が行なわれる。

また早送り／巻戻し動作を、磁気テープがカセット外に
引き出され、磁気テープの走行負荷を軽減すべくドラム
には積極的に巻き付いていず、磁気テープがドラム近傍
のコントロールヘッドに添接したテープパス（これをハ
ーフローディングテープパスという）を形成している状
態で行なう構成の磁気記録再生装置がある。磁気テープ
はコントロールヘッドにより磁気テープ上のコントロー
ル信号を再生されつつ、即ち磁気テープの走行量を計測
されつつ走行する。

ハーフローディングテープパスは、先端にガイドポール
を有するハーフローディング専用アーム等により形成さ
れているのが一般的であるが、この構成によれば専用の
機構を必要とするため、部品点数が増し、コスト高とな
るものであった。

特開昭60-195762号公報には、第７図に示すように、一
対のテープ引出し部材1,2のうちの一方を途中位置まで
移動させてハーフローディングテープパスを形成するこ
とが示されている。同図中、３は磁気テープ、４はカセ
ット、５はドラム、６はコントロールヘッドである。こ
の構成によれば、上記の問題点は解決されるが、磁気テ
ープ３は、垂直固定ポール７の他に傾斜固定ポール８に
接触して案内されている。このため、磁気テープ３が高
速走行するとき、傾斜固定ポール８により案内される個
所で傾けられると共にテープ幅方向の力を作用され、磁
気テープが幅方向に振動を起こし、テープ走行が不安定
となる。テープ走行が不安定となると、コントロールヘ
ッド６に対する接触状態が変動し、コントロール信号の
検出が不安定となり、テープ走行量の計測が不正確とな
ると共に磁気テープを傷めてしまうという問題点があっ
た。

本考案は上記問題点を解決したテープローディング機構
を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 本考案は、テープ引出し部材組立体を垂直に固定された
垂直固定ポールと、角度変化可能に支持された角度可変
ポールとを有する構造とし、テープ引出し部材組立体の
最終位置では、角度可変ポールが従来の傾斜固定ポール
と同様に傾斜して磁気テープを案内し、テープ引出し部
材組立体の途中位置では角度可変ポールが垂直状態で磁
気テープを案内するようにしたものである。

作用 角度可変ポールは、ハーフローディングテープパスに沿
って高速走行する磁気テープを、その走行状態を不安定
化させることなく案内する。

実施例 次に本考案になるテープローディング装置の一実施例に
ついて説明する。

第１図はハーフローディングテープパスが形成されてい
る状態を示す。第２図（Ａ），（Ｂ）はテープ引出し部
材組立体を示し、第３図はテープ引出し部材組立体を移
動させる機構を示す。第４図はフルローディングテープ
パスが形成されている状態を示す。

第１図及び第４図中、10はメインシャーシ、11はメイン
シャーシ10上のサブシャーシ、12は回転ヘッドを有する
ガイドドラム、13はガイドドラム12の近傍の固定ヘッド
としてのコントロールヘッド、14は供給リールディス
ク、15は巻取リールディスク、16はキャプスタン、17は
ピンチローラ、18はカセット、19は磁気テープである。

20は第１のテープ引出し部材組立体であり、第２図
（Ａ），（Ｂ）に示すように、ベース21上に垂直に固定
された垂直固定ポール22と、角度変化可能な角度可変ポ
ール23とを有する構成であり、ベース下面の凸部をサブ
シャーシ11の第１のガイド溝24に嵌合させてサブシャー
シ11上に配されており、ガイド溝24に沿って移動可能で
ある。

角度可変ポール23は、その高さ方向上略中央の位置にピ
ン26が圧入してあり、このピン26がベース21上に突設さ
れた支持アーム25の先端の孔に支持されている。ピン26
は、角度可変ポール23が第４図に示すように所定方向に
傾斜しうるような向き、即ち上記所定の傾斜方向と直交
する向きとされて支持されている。また、ポール23は、
ばね27により第２図（Ａ）中時計方向に回動付勢され、
支持アーム25より延出したストッパ28に係止されて垂直
位置に弾性的に保たれている。

第１図中30は第２のテープ引出し部材組立体である。こ
の組立体30は、上記の組立体20と同様に、ベース31上に
垂直固定ポール32及び角度可変ポール33を有する構成で
あり、第２のガイド溝34に沿って移動可能である。角度
可変ポール33は、上記と同様に垂直状態に弾性的に保持
されている。

メインシャーシ10とサブシャーシ11との間には、第３図
に示すように、第1,第２のローディングリング36,37が
積重して設けてある。各ローディングリング36,37に
は、夫々ローディングプレート38,39が設けてある。各
プレート38,39に上記リングの略径方向に延在形成され
ている長孔40,41に、夫々上記ベース21,31よりの垂下ピ
ン42,43が嵌合している。ローディングリング36,37は、
モータ44により、ギヤ45,46を介して互いに逆方向に回
動する。

停止モード時、テープ引出し部材組立体20,30は夫々第
４図中二点鎖線で示すようにカセット18内に位置してい
る。記録又は再生操作すると、ローディングリング36,3
7が回動し、テープ引出し部材組立体20,30は、ピン42,4
3を長孔40,41の側面に押されてガイド溝24,34に沿って
移動し、磁気テープ19をカセット18外に引き出しテープ
ローディングが行なわれる。テープ引出し部材組立体2
0,30は夫々キャッチャ47,48に押圧係止される最終位置
まで移動する。

移動の最終段階で、ポール23は、下部をキャッチャ47の
ガイド部47aに案内されて、ピン26を支点にばね27に抗
して第２図（Ａ）中二点鎖線で示すように反時計方向に
回動せしめられ、角度を変える。最終位置ではポール23
は下部を凹部47bに係止されて所定角度α傾斜した状態
に固定される。別のポール33も上記と同様に、キャッチ
ャ48のガイド部48aに案内されて回動せしめられて角度
を変え、凹部48bに係止されて所定角度傾斜状態に固定
される。ポール23,33は従来の傾斜固定ポールと同様に
機能する。即ち、ポール23は、ガイドドラム12と垂直固
定ポール22との間に位置して、ガイドドラム12を離れた
傾斜している磁気テープ19をサブシャーシ11に垂直とな
るように補正する。別のポール33は、垂直固定ポール32
とガイドドラム12との間に位置して、サブシャーシ11に
垂直な磁気テープ19を傾斜しているガイドドラム12の周
面と一致するように傾けてガイドドラム12に導く。

磁気テープ19は、ポール23,33により定まる角度範囲に
亘ってガイドドラム12に螺旋状に巻き付き、消去ヘッド
47及びコントロールヘッド13に接触したフルローディン
グテープパス19Aを形成する。磁気テープ19はピンチロ
ーラ17とキャプスタン16とにより挟持駆動されて走行
し、ガイドドラム12に添接走行する間に回転ヘッドによ
り映像信号を記録又は再生される。なお、ポール23,33
の傾斜角は、磁気テープ19の下側縁をドラム12のリード
に沿わせるべく、磁気テープ19に下張りのテープテンシ
ョンが作用するように定めてある。

停止モード時、又は記録再生モード時に、巻戻し操作を
すると、ローディングリング36,37が回動し、テープ引
出し部材組立体20,30がガイド溝24,34に沿って移動す
る。スイッチ49がテープ引出し部材組立体20を検出する
と、モータ44が停止し、テープ引出し部材組立体20,30
は第１図に示す位置で停止し、ハーフローディングを完
了する。磁気テープ19は、カセット18内に引き出され、
テープ引出し部材組立体20,30により案内され、コント
ロールヘッド13に接触したハーフローディングテープパ
ス19Bを形成する。供給リールディスク14がアイドラ50
を介して回転し、磁気テープ19はテープパス19Bに沿っ
て逆方向に高速走行する。なお磁気テープ19は消去ヘッ
ド51には接触していない。

早送り操作をした場合には、アイドラ50が巻取リールデ
ィスク15に圧接する他は上記と同様に動作し、磁気テー
プ19はハーフローディングテープパス19Bに沿って順方
向に高速走行する。

角度可変ポール23及び33は共に垂直状態にある。磁気テ
ープ19は、第１のテープ引出し部材組立体20の個所で
は、共に垂直状態のポール22,23により案内され、第２
のテープ引出し部材組立体30の個所でも、共に垂直状態
のポール32,33により案内される。このため磁気テープ1
9は、従来のようにテープ軸方向に変位する力を何ら作
用されることなく、然してテープ幅方向の振動を伴わず
に高速走行する。これにより、磁気テープ19のコントロ
ールヘッド13に対する接触状態が安定に保たれ、磁気テ
ープ19はコントロール信号を正常に再生されつつ高速走
行し、テープ走行量が正常に計測される。

なお、磁気テープ19はガイドドラム12に一部接している
が、ガイドドラム12の傾斜方向は図中左方向、即ちガイ
ドドラム12に接触している個所での磁気テープの走行方
向と同一方向であり、磁気テープ19を傾斜させないた
め、磁気テープ19の走行に対する悪影響は無視出来る。

なお、上記実施例は、現行の機種にも、テープ引出し部
材組立体の構造及びキャッチャの形状を変えるだけで適
用し得、適用性の点でも好ましい。

また上記実施例においては、第1,第２のテープ引出し部
材組立体20,30の両方を移動させてハーフローディング
テープパス19Bを形成するようにしているが、第５図に
示すように第２のテープ引出し部材組立体60はカセット
内の位置に留め、第１のテープ引出し部材組立体20だけ
を途中位置まで移動させて磁気テープ19がコントロール
ヘッド13に接触するハーフローディングテープパス19C
を形成するようにすることもできる。この場合には、第
２のテープ引出し部材組立体60は磁気テープ19を案内し
ないため、垂直固定ポール61と傾斜固定ポール62を備え
た従来の構成のものでよい。

上記テープパス19Cについてみると、前記のテープパス1
9Bに比べて、ドラム12への接触範囲が狭く、それだけテ
ープ走行負荷が少なくなり、好ましい。

第６図（Ａ），（Ｂ）は、前記第１のテープ引出し部材
組立体20の変形例を示す。テープ引出し部材組立体70
は、第２図（Ａ），（Ｂ）中、ばね27及びストッパ28を
有しない構造である。角度可変ポール23は、矢印方向に
回動自在であり、磁気テープにならう。

第１図及び第５図に示すようにハーフローディングテー
プパス19B,19Cにおいて、ポール22の側面は勿論、磁気
テープ19が接触している部分のガイドドラム12の側面も
垂直面である。このためポール22とガイドドラム12との
間の磁気テープ19はサブシャーシ11に対して垂直であ
り、且つこの状態で上側のテンションと下側縁側のテン
ションと下側縁側のテンションとは等しい。このため、
ポール23は磁気テープ19にならって垂直姿勢をとる。従
って、磁気テープ19はポール23により走行状態を何ら乱
されることなく走行し、前記の組立体20を使用した場合
と同様の効果が得られる。

また第４図に示すフルローディング時には、磁気テープ
19は傾斜しているガイドドラム12に巻き付くため傾斜
し、上記ポール23はこれにならって第６図（Ａ）中二点
鎖線で示すように傾斜し、従来の傾斜固定ポールと同様
に機能する。

考案の効果 本考案によれば、ハーフローディングのための専用のテ
ープ引出し部材が不要であるため、コストアップを避け
ることが出来ることは勿論のこと、テープ引出し部材組
立体の最終位置では従来の傾斜固定ポールと同様に傾斜
してドラムより離れた磁気テープを正常に案内する角度
可変ポールがテープ引出し部材組立体の途中位置では垂
直の姿勢をとるため、磁気テープは角度可変ポールによ
り従来の傾斜固定ポールのような悪影響を受けず、磁気
テープのハーフローディングテープパスに沿う走行の安
定化を図ることが出来、これにより走行する磁気テープ
の固定ヘッドに対する接触状態を良好に保つことが出
来、然して早送り／巻戻しモード時におけるテープ走行
量の計測の正確性、安定性を向上し得るという特長を有
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案になるテープローディング機構の一実施
例のハーフローディングテープパス形成状態（早送り／
巻戻しモード時）を示す図、第２図（Ａ），（Ｂ）は第
１図中のテープ引出し部材組立体の立面図及びキャッチ
ャと対応させて示す平面図、第３図はテープ引出し部材
組立体を移動させる機構を示す図、第４図は記録／再生
モード時の状態を示す図、第５図は本考案機構の変形例
を示す図、第６図（Ａ），（Ｂ）はテープ引出し部材組
立体の変形例を示す立面図及び平面図、第７図は従来例
を示す図である。 11……サブシャーシ、12……ガイドドラム、13……コン
トロールヘッド、18……カセット、19……磁気テープ、
20……第１のテープ引出し部材組立体、22,32……垂直
固定ポール、23,33……角度可変ポール、24……第１の
ガイド溝、25……支持アーム、26……ピン、27……ば
ね、28……ストッパ、30,60……第２のテープ引出し部
材組立体、34……第２のガイド溝、36……第１のローデ
ィングリング、37……第２のローディングリング、47,4
8……キャッチャ、47a,48a……ガイド部、47b,48b……
凹部、49……スイッチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】テープ引出し部材組立体が記録／再生モー
   ド時にはテープカセット内の位置より最終位置に移動し
   て磁気テープがドラムに巻き付いたテープパスを形成
   し、早送り／巻戻しモード時には上記カセット内位置と
   上記最終位置との間の途中位置に移動して上記磁気テー
   プが上記ドラム近傍の固定ヘッドに添接するテープパス
   を形成するテープローディング機構において、上記テー
   プ引出し部材組立体を、垂直に固定された垂直固定ポー
   ルと角度変化可能に支持された角度可変ポールとを有す
   る構造とし、上記最終位置では、上記角度可変ポールが
   上記ドラムの傾斜に対応して傾斜して該ドラムと上記垂
   直固定ポールとの間の位置で上記磁気テープを案内し、
   上記途中位置では、上記角度可変ポールが垂直状態とさ
   れて上記磁気テープと接触してこれを案内する構成のテ
   ープローディング機構。