JPH0743817B2 - 回転ヘッドドラム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は磁気記録再生装置において磁気ヘッドの姿勢
および高さを駆動制御する回転ヘッドドラムに関するも
のである。

［従来の技術］ 第13図は例えば特開昭63−76101号公報に示された従来
の回転ヘッドドラムを示す断面図である。

図において、51は回転上ドラムであり、この回転上ドラ
ム51は軸53を介してモータ54から動力を得て高速回転す
る。また、上記回転上ドラム51の周上には磁気ヘッド55
が所定量突出して取り付けられている。52は固定下ドラ
ムであり、固定下ドラム52には磁気テープ100が回転ヘ
ッドドラム50に所定の傾斜角度で巻き付くようにテープ
ガイドリード52cが設けられている。そして、上記固定
下ドラム52は、デッキベース３に傾斜して固定されてい
る。

第14図は従来の回転ヘッドドラムを使用した磁気記録再
生装置の要部斜視図である。

図において、61は入口テープガイドローラ、62は入口傾
斜ガイド、63は出口傾斜ガイド、64は出口テープガイド
ローラであり、テープカセット65から平行に引き出され
た磁気テープ100を、上記回転ヘッドドラム50の所定の
位置に巻き付ける。なお、上記入口テープガイドローラ
61および出口テープガイドローラ64のフランジ61a、64a
と上記固定下ドラム52のテープガイドリード52cとによ
り、磁気テープ100の幅方向の位置を規制するととも
に、入口傾斜ガイド62および出口傾斜ガイド63により磁
気テープ100を傾斜させることにより、上記回転ヘッド
ドラム50の外周の所定の位置に、所定の角度で磁気テー
プ100を巻き付け安定走行が図られるようになってい
る。そして、上記回転ヘッドドラム50が、所定の回転数
で回転することにより、上記磁気テープ100上に信号を
記録または再生する。

［発明が解決しようとする課題］ 従来の回転ヘッドドラムは以上のように構成されている
ので、磁気テープを平行に装填したカセットから磁気テ
ープを引き出し回転ヘッドドラムに所定の角度だけ傾斜
して巻き付けるには、必ずデッキベースに対して傾斜し
たテープガイドが必要であり、回転ヘッドドラムおよび
この傾斜ガイドに対して磁気テープが斜めに走行するた
め、磁気テープの幅方向に対して摩擦力が不均一になり
やすく、テープ走行が不安定となる。特に、磁気テープ
を反転走行されるさいにはこの磁気テープが幅方向に変
動しやすく、適正な信号の記録再生ができない場合があ
る。また、上記傾斜ガイドの分だけテープガイドの本数
が多く必要であり、よって磁気記録再生装置が大きくな
る。更に、この傾斜ガイドはローラー（回転式テープガ
イド）にできないため、磁気テープとテープガイドとの
摩擦力により磁気テープの走行負荷が増大し、メタルテ
ープ等の表面が平滑な磁気テープに対する安定走行が得
られない原因であった。また、回転ヘッドドラムが磁気
テープに対して傾斜しているため、この回転ヘッドドラ
ムの高さがテープ幅の二倍以上必要であり、磁気記録再
生装置が厚くなるなどの問題点があった。

この発明は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、テープ走行を安定させ、テープ走行が反転し
てもテープ位置が変動せず、テープ走行負荷も小さく、
テープガイドの数も少なく、ドラムの高さも低く、よっ
て薄くて小さくしかもテープを傷つけにくい信頼性の高
い性能の良い磁気記録再生装置を構成できる回転ヘッド
ドラムを得ることを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この発明に係る回転ヘッドドラムは、外周に磁気テープ
を案内する摺動部を設けた上固定ドラムと下固定ドラム
を磁気記録再生装置の基準面であるデッキベースに対し
て垂直に配置し、上記上固定ドラムと下固定ドラムとの
間隙でこの上固定ドラムと下固定ドラムに対して所定の
角度傾斜して植立された傾斜軸のまわりに回転する回転
ヘッドディスクと、上記回転ヘッドディスク上に配置さ
れ、上記磁気テープに信号を記録再生する磁気ヘッドを
支承する磁気ヘッド駆動機構とから構成され、上記磁気
ヘッド駆動機構は上記磁気ヘッドを上記傾斜軸方向に、
互いに独立して移動させる第１駆動部と第２駆動部とを
設けている。

［作用］ この発明における回転ヘッドドラムは、テープ走行方向
に対して垂直に配置したので、傾斜ガイドを不要とし、
またこの回転ヘッドドラムの高さを略テープ幅と同じで
よいものとする。そして、磁気ヘッドを回転ヘッドドラ
ムの傾斜軸方向に移動可能としたため、磁気テープに信
号を記録再生する磁気ヘッドの軌跡が良好な直線となる
ようにする。さらに、磁気ヘッドのアジマス角方向の傾
斜を可変としたため、記録トラック上のアジマス角を一
定に保つことができる。

［実施例］ 以下、この発明を図に基づいて説明する。

第１図はこの発明の一実施例による回転ヘッドドラムを
示す断面側面図である。

図において、1,2はそれぞれ上、下固定ドラムであり外
周部にテープ摺動面を有し、さらにこの下固定ドラム２
にはテープの幅方向を規制位置決めするテープガイドリ
ード2aが設けられデッキベース３に対して垂直に固定さ
れている。４は回転ヘッドディスクであり、上記上、下
固定ドラム１、２の間隙に配置され、上記上、下固定ド
ラム１、２に対して傾斜して植立された軸５のまわりに
回転可能に軸受９を介して保持されている。また、回転
ヘッドディスク４には磁気ヘッド６が上記上、下固定ド
ラム１、２の外周から所定量突出するように磁気ヘッド
駆動機構７を介して固着されている。また、上記固定下
ドラム２にはPGヘッド10が取り付けられ、これと対応し
て上記回転ヘッドディスク４にはマグネット11が取り付
けられてこの回転ヘッドディスク４の回転位相を検出す
るように構成されている。

次に、この発明の一実施例における磁気ヘッド駆動機構
を第２図から第７図を用いて説明する。

第２図において、71は永久磁石であり、この永久磁石71
と同軸上に固着したセンターヨーク72と、このセンター
ヨーク72と同心状に配置されたアウターヨーク73と、上
記永久磁石71を固着する上ヨーク74および下ヨーク75と
で磁気回路を構成する。76〜79は板ばねであり、これら
の外周が上記アウターヨーク73あるいは上、下ヨーク7
4、75に固着されており、第一および第二コイル80、81
をそれぞれ固着した第一および第二コイルボビン82、83
は上記センターヨーク72と上記アウターヨーク73との間
隙の磁気ギャップにおいて上記センターヨーク72の中心
軸方向に移動可能に固着支持することにより、第１駆動
部200と第２駆動部300を構成している。また板ばね77お
よび79には延在部77aおよび79aが形成され上記磁気ヘッ
ド６はこの延在部77aおよび79aにまたがり取り付けられ
てる。

次に、動作について説明する。

第１図に示した固定下ドラム２のテープガイドリード2a
に添って磁気テープ100が移送され、上記回転ヘッドデ
ィスク４が所定の回転をすると、上記磁気ヘッド駆動装
置７が動作しない時は磁気ヘッド６は磁気テープ100上
に第８図（ａ）に示すように直線軌跡ｂよりずれた非直
線軌跡ａ上を走査する。そこで磁気ヘッド６を支持して
いる磁気ヘッド駆動機構７に印加電圧をかけることによ
り磁気ヘッド６が回転ヘッドドラムの傾斜軸方向に移動
して直線軌跡ｂ上を走査することが出来る。

すなわち、磁気ヘッド駆動機構７のコイル80および81に
PGヘッド10より得られた回転ディスク４の位相情報を基
に所定の駆動電圧が印加されて、センターヨーク72とア
ウターヨーク73とで作る磁界との反発により、コイルボ
ビン82、83がセンターヨーク72の中心軸方向に移動し
て、板ばね76、77、78および79が変形しこれらの板ばね
77および79の延在部77aおよび79aがセンターヨーク72の
中心軸方向に移動することになる。この時、二つのコイ
ル80、81へそれぞれ独立に所定の値の印加電圧を加え、
上記板ばね77と79との相対位置を変化させることにより
アジマス角θも磁気ヘッド６の走査軌跡に対して所定の
角度に保持することができる。すなわち、二つのコイル
80、81に同一の印加電圧を加えた場合は、コイルボビン
82と83が常に同一方向に同一距離移動するため、磁気ヘ
ッド６は磁気ヘッド駆動機構７に対してアジマス角方向
にねじれた状態にならない。

従って、第９図（ａ）に示すように、磁気ヘッドの走査
軌跡は非直線軌跡ａから直線軌跡ｂに修正することはで
きるが、アジマス角は修正されずに平行移動されてしま
う。従って、非直線軌跡ａと直線軌跡ｂとの交差する角
度αとした場合、直線軌跡ｂを走査する磁気ヘッド６の
アジマス角はθ＋αからθ−αまで大きく変動してしま
い、他の記録再生機との互換が保てない恐れが生じる。
ところが、コイル80とコイル81に異なった印加電圧を加
えると、板ばねの延在部77aと79aの相対高さ関係がずれ
ながら磁気ヘッド６が移動することになり、この相対高
さ関係のずれの作用により磁気ヘッド６がアジマス角方
向にねじられることになる。従って、磁気ヘッド６の回
転位置に応じて所定の電圧をコイル80とコイル81に印加
することにより、第９図（ｂ）に示すように、直線軌跡
ｂを通りかつ走査軌跡方向に対して一定のアジマス角を
有する走査が可能となる。

なお、上記実施例では、磁気ヘッド駆動機構７の板ばね
の延在部79aを折り曲げた形状を示したが、第10図に示
すように、板ばねの延在部79aにスペーサー85を固着し
ても良い。

また、上記実施例では、磁気ヘッド駆動機構７のコイル
80、81をセンターヨーク72に沿って配置したが、第11図
に示すようにセンターヨーク72と同心状に配置しても良
い。

さらに、上記実施例では、上固定ドラム１および下固定
ドラム２を円筒状としたが、第12図に示すように、楕円
状としてもよく、特に上固定ドラム１と下固定ドラム２
に対する軸５の傾斜角が大きい場合は、上記磁気ヘッド
６の突出量の変化を補正する。

また、上記実施例では、下固定ドラム２に磁気テープ10
0の幅方向を位置決め規制するテープガイドリード2aを
設けたが、上固定ドラム１あるいは下固定ドラム２に必
要に応じて磁気テープ100の位置決め規制部材があれば
良い。

［発明の効果］ 以上のように、この発明によればテープ走行方向に対し
て回転ヘッドドラムを垂直に配置し、磁気ヘッドのみを
磁気テープに対して斜めに走査するようにしたので、傾
斜ガイドを不用とし、テープガイドをテープ走行方向に
対して全て垂直にできるため、テープガイドに対する磁
気テープの幅方向の摩擦力が均一となりテープ走行を安
定にして磁気テープを傷つけることを大幅に減少させ、
またテープ走行系の設計裕度を大幅に増し、信頼性の高
い磁気記録再生装置の回転ヘッドドラムを得られ、さら
に上記のように回転ヘッドドラムをテープ走行系に対し
て垂直な一平面内で構成できるようにしたので、回転ヘ
ッドドラムの高さを略テープ幅と同じで良いものとし、
よって薄くて小さい磁気記録再生装置の回転ヘッドドラ
ムを得られる効果がある。

また、磁気ヘッド駆動装置により磁気ヘッドの高さおよ
び傾きを制御するようにしたので、磁気テープに対して
磁気ヘッドが良好な直線状に走査するとともにアジマス
角も変化せず良好に信号を記録再生できる磁気記録再生
装置の回転ヘッドドラムを得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例による回転ヘッドドラムを
示す断面側面図、第２図はこの発明の一実施例による磁
気ヘッド駆動機構を示す断面側面図、第３図〜第６図は
この発明の一実施例による磁気ヘッド駆動機構における
板ばねを示す平面図、第７図はこの発明の一実施例によ
る磁気ヘッド駆動機構の一部の斜視図、第８図はこの発
明の一実施例による磁気ヘッドの磁気テープに対する走
査軌跡を示す概念図、第９図はこの発明の一実施例によ
る磁気ヘッドの磁気テープに対する走査軌跡およびアジ
マス角の制御を示す概念図、第10図はこの発明における
磁気ヘッド駆動機構の板ばね部の他の実施例を示す斜視
図、第11図はこの発明における磁気ヘッド駆動機構のコ
イル部の他の実施例を示す断面図、第12図はこの発明に
おける上および下固定ドラムの外周形状の他の実施例を
示す平面図および側面図、第13図は従来の回転ヘッドド
ラムを示す断面図、第14図は従来の回転ヘッドドラムを
使用した磁気記録再生装置の要部斜視図である。 図において、１は上固定ドラム、２は下固定ドラム、３
はデッキベース、４は回転ヘッドディスク、５は軸、６
は磁気ヘッド、７は磁気ヘッド駆動機構、71は磁気ヘッ
ド駆動機構における永久磁石、72は磁気ヘッド駆動機構
におけるセンターヨーク、73は磁気ヘッド駆動機構にお
けるアウターヨーク、74は磁気ヘッド駆動機構における
上ヨーク、75は磁気ヘッド駆動機構における下ヨーク、
76〜79は磁気ヘッド駆動機構における板バネであり、77
aおよび79aはその延在部、80および81は磁気ヘッド駆動
機構におけるコイル、82および83は磁気ヘッド駆動機構
におけるコイルボビン、200は第１駆動部、300は第２駆
動部である。 なお、各図中、同一符号は同一叉は相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気テープが巻回された供給リールおよび
   巻取りリールから上記磁気テープ引出し信号を記録ある
   いは再生する磁気記録再生装置の回転ヘッドドラムにお
   いて、 外周に上記磁気テープを案内する摺動部を設けた上固定
   ドラムと下固定ドラムを上記磁気記録再生装置の基準面
   であるデッキベースに対して垂直に配置し、上記上固定
   ドラムと下固定ドラムとの間隙でこの上固定ドラムと下
   固定ドラムに対して所定の角度傾斜して植立された傾斜
   軸のまわりに回転する回転ヘッドディスクと、上記回転
   ヘッドディスク上に配置され、上記回転ヘッドの左右端
   を各別に保持し、互いに独立して各端部を上記傾斜軸と
   平行に移動させる磁気回路とコイルとこのコイルの上下
   端を保持する一対のばねとで構成されている第１駆動部
   および第２駆動部から構成された磁気ヘッド駆動機構を
   備えたことを特徴とする回転ヘッドドラム。