JPH0749347A - 便内潜血検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 容易かつ簡単に潜血検出を行なうことがで
き、操作ミスおよびこれに伴う衛生上の問題を回避でき
る便内潜血検で装置を提供する。 【構成】 便内潜血検出装置は内部に採便スティック４
０が収納されるとともに、混合用溶液が充てんされた容
器１１と、この容器１１に連通自在に装着された検出体
２０とを有している。検出体２０はケース２１と、ケー
ス２１内のフィルタ部２５および潜血の有無を判定する
検出板２７とを有している。ケース２１内の検出板２７
の後方には、ケース２１内を摺動するゴム部材３５と、
ゴム部材３１を駆動するダイヤル３７および駆動軸３６
が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、抗原抗体反応を利用し
た免疫法により便内潜血の検出を行なう便内潜血検出装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】集団検診および次期ＯＴＣ（大衆薬）化
等の大腸癌検診において、検査技師はもちろん一般人
（受診者）に対しても、誰でも判りやすく間違いなく操
作できる便内潜血検出装置が検討されている。この場
合、便内潜血検出装置は不快感および不衛生感を伴うも
のであってはならない。

【０００３】糞便排泄物中の潜血検出は、初期自覚病状
の乏しい大腸癌のスクリーニング方法として非常に貴重
な手段であり、消化器系等の多くの病態の診断における
早期発見、治療のために様々な医療機関で実施されてい
る。

【０００４】検出方法は大きく２つに大別することがで
きる。これらはヘモグロビンの持つ鉄イオンを検出する
化学法と、抗体を用いる免疫法（ＳＰＩＡ法等）とから
なる。食事や薬の制限をしなくても良いこと、および特
異性及び感度の良さなどから、現在では免疫法が潜血検
出方法の主流になりつつある。この免疫法は、抗体を感
作する標識物として金銀、セレンコロイドなどの金属ゾ
ル（ＳＰＩＡ法等）、および染料ゾル、着色ラテック
ス、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダ
ーゼ他の酵素を用いる潜血検出方法である。金属ゾル、
着色ラテックス等の粒径は、好ましくは１〜１００nmが
適当である。

【０００５】糞便排泄物中の潜血の検出は、従来、主に
医療機関の関係者が行うものであり、採便工程、懸濁工
程、ろ過工程、検出判定工程の各々の工程を経て行なわ
れる。そして各工程は各々独自の装置（採便スティッ
ク、懸濁装置等）を用いて実施されている。しかしなが
ら、現在では自分の健康は自分で管理する風潮が強く、
また年々増加する大腸癌の早期発見にもつながることか
ら、診断薬のＯＴＣ（大衆薬）化が望まれている。さら
に老人保健事業として、大腸癌検診が制度化されれば、
便内潜血検出装置の需要は集団検診等において今後益々
増加し、次期ＯＴＣ化も具体化するものと考えられてい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述のように便内潜血
の検出は医療機関関係者が行うものであるが、医療機関
のみでは検診の機会が少なく、医療機関まで出向く必要
がある等の問題がある。

【０００７】従来の便内潜血検出は採便工程、懸濁工
程、ろ過工程、検出判定（呈色判定）工程等、種々の工
程を経て行なわれ、各々独自の装置を用いているため、
多くの操作が必要である。このため操作が煩雑で煩わし
く、操作ミスまたは不衛生感等の問題が生じることがあ
る。このように従来の検出装置は使用時の操作が複雑
で、家庭で簡便に使用することはできず、ＯＴＣ化はむ
ずかしい。

【０００８】本発明はこのような点を考慮してなされた
ものであり、使用時の操作が簡単で衛生上優れた便内潜
血検出装置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、内部に採便ス
ティックが収納されるとともに混合用溶液が充てんされ
た容器と、この容器に連通自在に装着された検出体とを
備え、前記検出体はケースと、このケース内に前記容器
側から順次設けられた、潜血の有無を判定する判定部、
および減圧部を有することを特徴とする便内潜血検出装
置である。

【００１０】

【作用】採便後の採便スティックを容器内に挿入し、こ
の容器を振り、便と混合用溶液とを混合させて便懸濁液
を作成する。検出体の減圧部を作動させると、容器内の
便懸濁物がケース内の判定部に流入して潜血の有無が判
定される。

【００１１】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。

【００１２】図１乃至図４は本発明による便内潜血検出
装置の一実施例を示す図である。

【００１３】図１に示すように、便内潜血検出装置は、
内部に採便スティック４０が収納されるとともに、混合
用溶液が充てんされた合成樹脂製容器１１と、この容器
１１に連通自在に装着された検出体２０とを備えてい
る。

【００１４】このうち、容器１１内は隔壁１４によっ
て、開口１３ａから採便スティック４０が収納される２
つのスティック収納部１３，１３と、混合用溶液が収納
される溶液収納部１５とに区画されている。また２つの
スティック収納部１３，１３と、溶液収納部１５との間
には、隔壁１４の一部をなす破断自在のスキージ１６，
１６が設けられている。このスキージ１６は採便スティ
ック４０をスティック収納部１３，１３に収納した場
合、採便スティック４０のスティック本体４１によって
破断され、スティック収納部１３，１３と溶液収納部１
５とを連通させるようになっている。

【００１５】また採便スティック４０は、図１および図
２に示すようにスティック本体４１と、スティック本体
４１を伸縮自在に保持するスティック保持部４２とから
なり、スティック本体４１がスティック保持部４２内を
摺動することによって採便スティック４０の長さが可変
となっている。またスティック本体４１は、その先端部
４１ａが半球状をなしており、半球状の先端部４１ａの
後方には計量溝４１ｂが形成されている。

【００１６】また、容器１１は内部に２つのスティック
収納部１３，１３が設けられているため、断面がだ円形
状になっているが（図４）、溶液収納部１５側は円筒状
となり、この円筒部１２の端部にはシール１９で密閉さ
れた連通孔１７が形成されている。

【００１７】一方、検出体２０は円筒状の合成樹脂製透
明ケース２１を有し、ケース２１の容器１１側端部には
フランジ２２が設けられている。またケース２１内は小
孔３１ａを有する隔壁３１によって区画され、隔壁３１
の容器１１側の面には軸３３ａ、３３ｂが突設されてい
る。このうち軸３３ａの外周には、ケース２１内面に接
するフィルタ部２５が設けられている。また軸３３ｂ
は、ケース２１のフランジ２２を容器１１に当接させた
場合に、シール１９を連通孔１７から引剥すようになっ
ている。すなわち、容器１１の円筒部１２外周には、容
器１１とフランジ２２との間に半円状の環状ストッパ２
３が嵌着され、この環状ストッパ２３を円筒部１２から
取外してフランジ２２を容器１１に当接させることによ
り、軸３３ｂがシール１９を連通孔１７から引剥すよう
になっている。

【００１８】また図１において、ケース２１内の隔壁３
１より右側には、隔壁３１側から順に、抗体固定部３０
が取付られた検出板２７と、吸収パット３２と、ゴム部
材３５が設けられている。このうち抗体固定部３０が取
付けられた検出板２７と吸収パット３２とにより判定部
が構成されている。

【００１９】図１に示すように、ゴム部材３５はケース
３１内面に摺動自在に設けられており、またゴム部材３
５の右側には、外ねじ３６ａを有する駆動軸３６が取付
けられている。さらにケース２１の右側端には、駆動軸
３６ａの外ねじ３６ａと係合する内ねじ３７ａを有する
ダイヤル３７が回転自在に取付けられている。このた
め、ダイヤル３７を回転させることにより、駆動軸３６
を、図１の左右方向に移動させて、ゴム部材３５をケー
ス２１内で摺動させることができる。

【００２０】次にケース２１内の各構成部について詳述
する。

【００２１】まずフィルタ部２５は容器１１側から流入
する便懸濁液内の不純物を除去するものであり、ここで
は中間にパウダ層を有する３段構成となっている。ただ
し、フィルタ部２５は３段に限るものではなく、これよ
り少ないあるいは多い構成でも可能である。また検出板
２７と隔壁３１との間には、抗体感作粒子２９が設けら
れている。なお、この金抗体感作粒子２９は、フィルタ
部２５内あるいは検出板２７上に設けても良い。以下、
金コロイドを用いた場合について述べる。

【００２２】図１および図３に示すように、検出板２７
は、隔壁３１と吸収パット３２との間にケース２１の内
面と同一形状にリング状に丸めて配置されており、容器
１１側から流入する便懸濁液を浸透させるとともに、便
懸濁液とともに通過する抗体感作金コロイド２９を陽性
時に抗体固定部３０でトラップするようになっている。
なお、この検出板２７は、ニトロセルロース、ガラス繊
維フィルタ、クロマトグラフィ紙、ＰＶＤＦ（商品
名）、ナイロン系またはポリエステル系の不織布等によ
り構成されている。また抗体固定部３０には、ヘモグロ
ビン抗体が固定されている。さらに、余分な便懸濁物お
よび金コロイドは、検出板２７を通過して吸収パット３
２に吸収されるようになっている。

【００２３】次にこのような構成からなる本実施例の作
用について説明する。まず、採便スティック４０のステ
ィック本体４１をスティック保持部４２から引伸ばして
おく。次に採便スティック４０を用いて採便する。この
場合、スティック本体４１は先端部４１ａ側から便に突
き刺される。その後、スティック本体４１が便から引抜
かれ、図示しない手動スキージによりスティック本体４
１が拭き取られる。このようにして計量溝４１ａ内に一
定量の便が採取される。この作業を同一人の便について
２回繰返し、採便済の採便スティック４０を２本準備す
る。必要に応じて採便ステッイ４０及び収納部１３の数
を増減することができる。この場合、同一人の便の異な
る箇所について採便することが好ましい。

【００２４】次に容器１１のスティック収納部１３内
に、開口１３ａ側から採便スティック４０が２本挿入さ
れる。この場合、まず採便スティック４０のスティック
本体４１がスキージ１６に当接してスティック保持部４
２内に引込む（図１の状態）。次に採便スティック４０
のスティック保持部４２を更にスティック収納部１３内
に押込むことにより、スティック本体４１がスキージ１
６を破断しスティック本体４１が溶液収納部１５に進入
する。スティック本体４１がスキージ１６を破断する
際、スキージ１６によって先端部４１ａが更に拭きら
れ、計量溝４１ｂ内に残る便の量が正確に定められる。

【００２５】スティック保持部４２をスティック収納部
１３内に完全に挿入した時、スティック保持部４２によ
りスティック収納部１３の開口１３ａが完全に密閉され
る。この場合、円筒部１２の外周には、まだ環状ストッ
パ２３が嵌込まれており、この状態で容器１１を振るこ
とにより便と溶液が混合して便懸濁液が得られる。

【００２６】続いて、円筒部１２の外周から環状ストッ
パ２３が取外され、容器１１とケース２１とを互いに押
付け合うことによりケース２１のフランジ２２が容器１
１に当接する。この場合、軸３３ｂがシール１９を連通
孔１７から引剥し、連通孔１７が開口する。

【００２７】次に容器１１内の便懸濁液が連通孔１７を
通って検出体２０のケース２１側に流入する。ケース２
１内に流入した便懸濁液は、その後フィルタ部２５を通
り、便懸濁液内の不純物がフィルタ部２５によって除去
された後、隔壁３１の小孔３１ａから抗体感作金コロイ
ド２９とともに検出板２７側へ流入する。

【００２８】この間、ダイヤル３７を回転させ、ゴム部
材３５を図１の右側に移動させることにより、ケース２
１内の隔壁３１より右側の部屋を減圧させることができ
る。このため、容器１１内の便懸濁液を検出板２７側へ
スムースに移行させることができる。

【００２９】次に便懸濁液は、抗体感作金コロイド２９
とともに検出板２７内を吸収パット３２側に向って浸透
していく。そして便が陽性の場合、便懸濁液中の金コロ
イド２９が抗体固定部３０にトラップされる。このよう
に抗体固定部３０にトラップされた金コロイド２９は、
抗体固定部３０で赤紫色を示し、この結果はケース２１
の外方から確認することができる。

【００３０】この間、余分な便懸濁液および金コロイド
は、吸収パット３２に吸収されるので、便懸濁液および
金コロイド２９の検出板２７内の浸透をよりスムースに
行なうことができる。

【００３１】以上説明したように、本実施例によれば、
採便済の採便スティック４０をスティック収納部１３内
に挿入し、容器１１を振った後、容器１１と検査体２０
のケース２１を押付けてダイヤル３７を回転させるだけ
で容易かつ簡単に潜血検出を行なうことができる。この
ため、操作ミスをなくすことができるとともに、衛生上
問題なく潜血検出を行なうことができる。また同一人の
便について２本の採便スティック４０を準備することに
より、かたよりのない精度の高い潜血検出を行うことが
できる。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば採
便済スティックを容器内に挿入し、容器を振った後、減
圧部を作動させるだけで容易かつ簡単に潜血検出を行な
うことができる。このため操作ミスを防止することがで
きるとともに、操作ミスに伴う衛生上の問題を回避する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による便内潜血検出装置の一実施例を示
す側断面図。

【図２】採便スティックの外観図。

【図３】図１の便内潜血検出装置のIII −III 線断面
図。

【図４】図１の便内潜血検出装置のIV線方向矢視図。

【符号の説明】

１１ 容器 １３ スティック収納部 １５ 溶液収納部 １７ シールフィルム ２０ 検出体 ２１ ケース ２５ フィルタ部 ２７ 検出板 ３０ 抗体固定部 ３５ ゴム部材 ３６ 駆動軸 ３７ ダイヤル ４０ 採便スティック

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に採便スティックが収納されるととも
   に混合用溶液が充てんされた容器と、 この容器に連通自在に装着された検出体とを備え、 前記検出体はケースと、このケース内に前記容器側から
   順次設けられた、潜血の有無を判定する判定部、および
   減圧部を有することを特徴とする便内潜血検出装置。
2. 【請求項２】判定部は便懸濁液を浸透させる検出板と、
   この検出板に取付けられ便懸濁液とともに通過する抗体
   感作粒子を陽性時にトラップする抗体固定部と、余分な
   便懸濁液と抗体感作粒子を吸収することのできる吸収体
   とからなることを特徴とする請求項１記載の便内潜血検
   出装置。
3. 【請求項３】容器の内部は採便スティックによって破断
   される隔壁により、採便スティックが収納されるスティ
   ック収納部と、混合用溶液収納用の溶液収納部とに区画
   されていることを特徴とする請求項１記載の便内潜血検
   出装置。
4. 【請求項４】減圧部はケース内に摺動自在に設けられた
   ゴム部材と、このゴム部材をケース内で駆動させる駆動
   部とを有することを特徴とする請求項１記載の便内潜血
   検出装置。