JP3399635B2 - 検液の検出体および便内潜血検出装置 - Google Patents

検液の検出体および便内潜血検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗原抗体反応を利用し
た免疫法により検液の所定物質の検出を行う検出体、お
よび便内潜血の検出を行なう便内潜血検出装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】集団検診および次期OTC(大衆薬)化
等の大腸癌検診において、検査技師はもちろん一般人
(受診者)に対しても、誰でも判りやすく間違いなく操
作できる便内潜血検出装置が検討されている。この場
合、便内潜血検出装置は不快感および不衛生成を伴うも
のであってはならない。
【0003】糞便排泄物中の潜血検出は、初期自覚症状
の乏しい大腸癌のスクリーニング方法として非常に貴重
な手段であり、消化器系等の多くの病態の診断における
早期発見、治療のために様々な医療機関で実施されてい
る。
【0004】検出方法は大きく2つに大別することがで
きる。これらはヘモグロビンの持つ鉄イオンを検出する
化学法と、抗体を用いる免疫法(SPIA法等)とから
なる。食事や薬の制限をしなくても良いこと、および特
異性及び感度の良さなどから、現在では免疫法が潜血検
出方法の主流になりつつある。この免疫法は、抗体に感
作する標識物として金コロイドなどの金属ゾル(SPI
A法等)、および染料ゾル、着色ラテックス、アルカリ
ホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ他の酵素
を用いる潜血検出方法である。
【0005】糞便排泄物中の潜血の検出は、従来、主に
医療機関の関係者が行うものであり、採便工程、懸濁工
程、ろ過工程、検出判定工程の各々の工程を経て行なわ
れる。そして各工程は各々独自の装置(採便スティッ
ク、懸濁装置等)を用いて実施されている。しかしなが
ら、現在では自分の健康は自分で管理する風潮が強く、
また年々増加する大腸癌の早期発見にもつながることか
ら、診断薬のOTC(大衆薬)化が望まれている。さら
に老人保険事業として、大腸癌検診が制度化されれば、
便内潜血検出装置の需要は集団検診等において今後益々
増加し、次期OTC化も具体化するものと考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように便内潜血
の検出は医療機関関係者が行うものであるが、医療機関
のみでは検診の機会が少なく、医療機関まで出向く必要
がある等の問題がある。
【0007】また、従来の便内潜血検査は採便工程、懸
濁工程、ろ過工程、検出判定(呈色判定)工程等、種々
の工程を経て行なわれ、各々独自の装置を用いているた
め、多くの操作が必要である。このため操作が煩雑で煩
わしく、操作ミスまたは不衛生感等の問題が生じること
があり、OTC化がむずかしくなっている。このような
場合、家庭で簡便に使用できる便内潜血検出装置、とり
わけ迅速かつ確実に便内潜血検出を行なうことができる
ものが求められている。
【0008】また、上記便内潜血検出装置の他に、尿中
のタンパク質、検液中の所定物質を簡便に検出すること
ができる検液の検出体を提供することができれば都合が
良い。
【0009】本発明はこのような点を考慮してなされた
ものであり、使用時の操作が簡単で迅速かつ確実に検出
できる検液の検出体および便内潜血検出装置を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
略円柱状に形成され、その軸線方向に検液を浸透させる
フィルタ部と、このフィルタ部の下流端にフィルタ部の
軸線に直交して取付けられ、前記検液を浸透させる検出
板と、この検出板に固着され、陽性時に、検液と同時に
または検液と独立して浸透する標識抗体をトラップして
呈色を示す反応固定部と、前記検出板の外周部に配置さ
れた吸収パッドと、を備えたことを特徴とする検液の検
出体である。
【0011】請求項7記載の発明は、内部に検便スティ
ックが収納されるとともに便懸濁液を作成する容器と、
この容器に連通自在に連結され潜血の有無を検出する検
出体とを備え、この検出体は、略円柱状に形成され、そ
の軸線方向に便懸濁液を浸透させるフィルタ部と、この
フィルタ部の下流端にフィルタ部の軸線に直交して取付
けられ、前記便懸濁液を浸透させる検出板と、この検出
板に固着され、陽性時に、便懸濁液と同時にまたは便懸
濁液と独立して浸透する標識抗体をトラップして呈色を
示す反応固定部と、前記検出板の外周部に配置された吸
収パッドと、を有することを特徴とする便内潜血検出装
置である。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明によれば、フィルタ部を浸
透する検液は検出板に達し、検出板内で半径方向外方へ
浸透する。検液と同時にまたは検液と独立して浸透する
標識抗体が、陽性時に検出板の反応固定部にトラップさ
れて呈色を示す。余剰な検液はその後、検出板から吸収
パッドに吸収される。
【0013】請求項7記載の発明によれば、容器内で作
成された便懸濁液は、フィルタ部を浸透して検出板に達
し、検出板内で半径方向外方へ浸透する。便懸濁液と同
時にまたは便懸濁液と独立して浸透する標識抗体が、陽
性時に検出板の反応固定部にトラップされて呈色を示
す。便懸濁液は、その後検出板から吸収パッドに吸収さ
れる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図1乃至図4は本発明の一実施例を示す図
である。
【0015】図1乃至図4に示すように、便内潜血検出
装置は、計量穴13を有する採便スティック12が内部
に収納され、一側が開口した合成樹脂製容器11と、こ
の容器11の開口側に装着される合成樹脂製密閉蓋15
と、密閉蓋15に装着される検出体20とを備えてい
る。このうち容器11内には、便と混合される溶液が予
め充てんされている。また密閉蓋15は内周面に設けら
れた内ねじ15aを、容器11の外周面に設けられた外
ねじ11aに係合することにより、容器11に装着され
るようになっている。
【0016】また密閉蓋15は、容器11と反対側の端
部にシールフィルム17を有しており、さらに密閉蓋1
5の外周には外ねじ15bが設けられている。また密閉
蓋15の容器11側端部は、容器11に設けられたフラ
ンジ19と当接して密封性を維持している。
【0017】また、密閉蓋15に装着される検出体20
は、内ねじ36が設けられたケース21を有し、この内
ねじ36を密閉蓋15の外ねじ15bに係合させること
により、密閉蓋15に装着されるようになっている。ケ
ース21は透明性を有する合成樹脂製となっているとと
もに、円筒部21aと、円筒部21aの端部に設けられ
た箱型部21bとを有し、内部の密閉蓋11側には切断
部23が設けられている。
【0018】切断部23は図2に示すように、ケース2
1に支持固定されており、検出体20を密閉蓋15に装
着した場合、シールフィルム17を破断するようになっ
ている。
【0019】またケース21の円筒部21a内には、切
断部23側から順に、便懸濁液(検液)中の不純物を除
去する多孔質フィルタ25と、抗体感作粒子(標識抗
体)が配置された抗体感作粒子部29と、多孔質スペー
サ35とが配設されている。そして、これらフィルタ2
5、抗体感作粒子部29およびスペーサ35によって、
円柱状のフィルタ部25,29,35が構成され、この
フィルタ部25,29,35内を便懸濁液がその軸線方
向に沿って順次浸透するようになっている。これらフィ
ルタ部25、29、35は、必ずしも異なる基材により
構成される必要はなく、同一基材でも良く、さらには、
単一基材で構成されていても良い。
【0020】さらにケース21の筒型部21b内には、
スペーサ35の下流端と不織布等のクッション材34を
介して連結された検出板27が配設されている。クッシ
ョン材34はなくても良いが、このクッション材34を
設けることにより、スペーサ35の下流端面と検出板2
7が平行でなくても両者を容易に接続することができ
る。
【0021】この検出板27はフィルタ部25,29,
35の軸線に対して直交しており、図1に示すように検
出板27にはフィルタ部25,29,35と反対側の面
(裏面)にヘモグロビン抗体からなる円形の反応固定部
30が塗布されている。この反応固定部30は便懸濁液
に潜血がある陽性時に、便懸濁液と同時に浸透する抗体
感作粒子(標識抗体)と便懸濁液中のHbとが結合した
ものをトラップして呈色を示すものである。また図1お
よび図4に示すように、検出板27の裏面には反応固定
部30の外方に、標識抗体に対して結合することのでき
る抗体からなる円形の終了サイン部33が塗布され、抗
体感作粒子の通過時にこれをトラップして呈色を示し、
検出終了のサインを示すようになっている。
【0022】なお、終了サイン部33として、抗体感作
粒子に対する抗体の代わりに、便懸濁液の水分により呈
色を示す濡れチェッカーを用いてもよい。
【0023】さらに検出板27の裏面には、透明フィル
ム27aが積層されている。この透明フィルム27aは
必ずしも設ける必要はない。また、図1および図4に示
すように、ケース21の箱型部21b内であって、検出
板27の外周には、検出板27内で便懸濁液を十分浸透
させるよう、便懸濁液および抗体感作粒子を吸収するた
めの多孔質の吸収パッド32が配置されている。この吸
収パッド32は、四角形の帯状に形成されているが、形
状は特に限定されない。
【0024】次に各構成部分について更に詳述する。ま
ず抗体感作粒子としては、金、銀等の金属粒子あるいは
セレン等の非金属粒子、または着色ラテック酵素等が用
いられ、粒径1nm〜100nmが好ましい。この抗体感作
粒子はフィルタ25とスペーサ35との間だけでなく、
スペーサ35の下流側に設けてもよい。
【0025】また、検出板27は、ニトロセルロース、
ガラス繊維フィルタ、クロマトグラフィ紙、PVDF
(商品名)、ナイロン系またはポリエステル系の不織布
等、浸透できるものなら何でも良く、厚さは20〜10
00μmが好ましい。
【0026】さらに透明フィルム27aとして、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ア
クリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポ
リエチレン樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹
脂、ポリイミド樹脂等の厚さ5〜250μm程度、好ま
しくは50〜180μm程度のフィルムが用いられる。
【0027】次にこのような構成からなる本実施例の作
用について説明する。
【0028】まず、容器11から密閉蓋15を取外して
おく。次に採便スティック12を用いて採便する。この
場合、採便スティック12は計量穴13側から便に突き
さされる。その後、採便スティック12が便から引抜か
れ、スキージ(図示せず)により採便スティック12が
拭き取られる。このようにして計量穴13内に一定量の
便が採取される。尚、採便スティックは12に限定され
るものではなく、計量性を有するものであればよい。
【0029】次に予め混合用の溶液が充てんされた容器
11内に採便スティック12が挿入され、容器11が密
閉蓋15によって密閉される。次に密閉蓋15によって
密閉された容器11がよく振られ、便と溶液が混合さ
れ、このようにして便懸濁液が得られる。
【0030】続いて、密閉蓋15に検出体20のケース
21が装着される。この場合、密閉体15の外ねじ15
bにケース21の内ねじ36を係合させ、密閉体15の
外側に検出体20のケース21を回転させながら押込ん
でいく。ケース21を密閉蓋15に完全に装着させたと
ころで、切断部23がシールフィルム17を破断し、容
器11内の便懸濁液がシールフィルム17を通って検出
体20側に流入する。検出体20内に流入した便懸濁液
は、その後フィルタ25を通過し、この間、便懸濁液中
の不純物がフィルタ25により除去される。
【0031】フィルタ25を通過した便懸濁液は、その
後抗体感作粒子部29を経て抗体感作粒子とともにスペ
ーサ35側へ浸透していく。便懸濁液の陽性時、抗体感
作粒子はHbと結合し、Hbと結合した抗体感作粒子は
その後、スペーサ35およびクッション材34を経て検
出板27へ浸透する。検出板27において、便懸濁液お
よび抗体感作粒子は、半径方向外方へ向って広がるよう
浸透し、Hbと結合した抗体感作粒子は反応固定部30
においてトラップされる。このようにトラップされた抗
体感作粒子は、反応固定部30において呈色を示す。抗
体感作粒子が金コロイドの場合は、赤紫色の呈色を示
す。
【0032】さらに便懸濁液および抗体感作粒子は、検
出板27内において半径方向外方へ向って浸透し、終了
サイン部33に達する。この終了サイン部33が標識抗
体に対する抗体からなる場合、終了サイン部33の抗体
がHbと結合しない標識抗体と結合して呈色を示し、こ
れが検出終了のサインとなる。また終了サイン部33が
濡れチェッカーからなる場合、濡れチェッカーが便懸濁
液の水分と反応して呈色を示す。
【0033】上述した反応固定部30における呈色およ
び終了サイン部33における呈色は、いずれも透明フィ
ルム27aを通して箱型部21bの裏面から確認するこ
とができる。
【0034】この間、余分な便懸濁液および抗体感作粒
子は、検出板27から吸収パッド32に吸収される。
【0035】本実施例によれば、フィルタ部25,2
9,35側からクッション材34を介して検出板27側
に浸透してくる便懸濁液および抗体感作粒子は、検出板
27内において半径方向外方へ広がるように浸透して反
応固定部30および終了サイン部33に達するので、検
出板27内において便懸濁液を単一方向に浸透させる場
合に比較して検出速度を速めることができる。
【0036】次に本発明の変形例を図5乃至図7により
説明する。図5に示すように、フィルタ25、抗体感作
粒子部29およびスペーサ35からなるフィルタ部2
5、29、35の検出板27側を先細状に形成し、ケー
ス21の円筒部21aをこの先細状に対応するよう形成
してもよい。この場合は、クッション材34を経た便懸
濁液を検出板27上の狭い領域に集中して送ることがで
きる。
【0037】また、図6に示すように、検出板27上に
フィルタ部(クッション材34)と同芯の円周に沿って
反応固定部30を複数設けてもよい。この場合、各反応
固定部30の塗布量は相互に異なっていても良く、この
場合、便内潜血の定量検出を行うことができる。
【0038】また図7(a)に示すように、ケース21
の箱型部21bを細長状に形成し、検出板27上に塗布
される反応固定部30をフィルタ部(クッション材3
4)の下流端中心に一箇所設け、一対の吸収パッド3
2,32を箱型部21bの両端部に設けてもよい。この
場合、一対の吸収パッド32,32と反応固定部30と
の間に、一対の終了サイン部33,33が設けられてい
る。
【0039】また、図7(b)に示すように、一対の吸
収パッド32,32をケース21の箱型部21bの両端
部に設け、フィルタ部(クッション材34)の下流端中
心と一対の吸収パッド32,32との間に、一対の反応
固定部30,30および一対の終了サイン33,33を
各々設けてもよい。
【0040】なお、上記各実施例において、ケース21
の箱型部21bの裏面または透明フィルム27の裏面
に、表示用の文字または図形等を印刷または刻印するこ
とにより設けてもよい。
【0041】また、上記実施例において反応固定部30
を検出板27の裏面に設けた例を示したが、これに限ら
ず検出板27の表面(フィルタ部25,29,35側の
面)に設けてもよい。検出板27を上述のように20〜
1000μmの厚さとした場合、検出板27の表面に設
けられた反応固定部30の呈色を、箱型部21bの裏面
から十分確認することができる。
【0042】また、上記実施例において抗体感作粒子部
29を、フィルタ25の下流に設けた例を示したが、抗
体感作粒子部29は必ずしも設ける必要はなく、容器1
1で便懸濁液を作成する際に抗体感作粒子を便懸濁液中
に予め混入させてもよい。また便懸濁液をフィルタ部か
ら検出板27の反応固定部まで浸透させた後、抗体感作
粒子のみをフィルタ部から検出板27の反応固定部まで
浸透させてもよい。
【0043】さらに、上記実施例において、検出体20
を便内潜血検出装置の一部として用いた例を示したが、
抗原抗体反応を行うものであれば何でも良く、反応固定
部30を種々変化させることにより検出体20を便内潜
血検出だけでなく、他の検液中の所定物質の検出にも用
いることができる。
【0044】例えば検液として尿を採用した場合は、反
応固定部30を適宜選択することにより尿中の潜血、尿
タンパク、hLH等を検出することができ、また尿を検
液として妊娠の診断も行うことができる。さらにまた、
尿を検液とした場合、例えば反応固定部30として、潜
血用反応固定部、尿タンパク用反応固定部およびhLH
用反応固定部を各々検出板に設けることにより、一回の
作業で尿中の複数種類の物質の検出を行うことができ
る。
【0045】尿を検液として用いる場合は、図1におい
て、容器11内に直接尿を充てんすればよい。この場合
は、容器11内の検便スティック12は不要となる。ま
た、図1に示す検出体20において、フィルタ25に直
接尿を滴下してもよい。
【0046】また、物質を検出するための標識抗体は、
便内潜血検出装置と同様、検出体内に設けてもよく、ま
た検液を検出板27の反応固定部30まで浸透させた後
に標識抗体のみを検出板27の反応固定部30に浸透さ
せてもよい。また、標識抗体として酵素を用いた場合
は、標識抗体を発色させるための試薬を反応固定部30
まで浸透させる。
【0047】(具体例)次に本発明の具体例について説
明する。
【0048】まず第1の具体例について説明する。第1
の具体例は便内潜血検出装置に係るものである。
【0049】PET製透明フィルム27aをラミネート
したニトロセルロース基材(S&S社製)を適当な大き
さに裁断し、この基材に反応固定部30となる抗Hb抗
体(ダコ社製、lot.120)を1μl滴下して30分か
ら1時間風乾させた。その後ブロッキング溶液(2%B
SA及び0.1%Tween 20となるようリン酸バッファ
ーに溶解したもの)に、抗Hb抗体を固定した基材を1
時間ほど含浸し、引上げて濾紙上で風乾した。乾燥した
ものを検出板27とし、この検出板27を透明フィルム
27aがケース裏面側に接するとともに、ニトロセルロ
ース基材上の反応固定部30がスペーサ35に接するよ
うにケース21内に配設した。さらにスペーサ35の検
出板27と反対側に、抗Hb抗体感作金コロイド溶液
(日本バイオテスト研究所製、No. 114)を50μl
含浸した金コロイドパッド29を配設した。また、反応
固体部30の周辺に検出板27と接するように吸収パッ
ド32を配設した。この場合、反応固定部30は検出板
27のフィルタ部25,29,35側の面に配置され
る。
【0050】フィルタ25を通過した便懸濁液は、金コ
ロイドパッド29を通過時に金コロイドと反応する。こ
れらの結合体はスペーサ35を展開し、ニトロセルロー
ス基板からなる検出板27上の反応固定部30に到達す
る。ここで固定化抗体にHbがトラップされ、Hbに結
合した金コロイドにより赤紫色に呈色する。この呈色は
透明なPETフィルム27aを介して透明ケース21の
裏面から確認することができるため、簡単に特別な操作
もなく判定することができる。余剰の展開液は、ニトロ
セルロース基板からなる検出板27をさらに展開してい
き、吸収パッド32へと吸収される。
【0051】次に具体例2について説明する。第2の具
体例は検液として尿を用いたhLH検出体に係るもので
ある。
【0052】まず尿をフィルタ25に滴下し、尿を検出
板27に浸透させ、尿中のhLHを反応固定部に反応さ
せる。なお、具体例2において、標識抗体は検出体内に
設けられていない。
【0053】次に標識抗体としてのPOD標識抗hLH
抗体がフィルタ25に滴下され、この標識抗体は反応固
定部30においてhLHと反応する。続いて呈色試薬と
してのテトラメチルベンチジン(TMB)と、発色試薬
としてのH2 2 がフィルタ25に滴下され、反応固定
部30において呈色を示す。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
フィルタ部から検出板に達した検液または便懸濁液が、
検出板内で半径方向外方へ広がるように浸透して反応固
定部へ達するので、例えば検出板内で単一方向に浸透さ
せる場合に比較して検出する速度を速めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による便内潜血検出装置の一実施例を示
す側断面図。
【図2】図1に示す便内潜血検出装置の切断部を示す
図。
【図3】便内潜血検出装置の検出体を示す斜視図。
【図4】便内潜血検出装置の検出体の裏面を示す図。
【図5】便内潜血検出装置の検出体の変形例を示す側断
面図。
【図6】便内潜血検出装置の検出体の他の変形例を示す
裏面図。
【図7】便内潜血検出装置の検出体の更に他の変形例を
示す裏面図。
【符号の説明】
11 容器 12 採便スティック 20 検出体 25 フィルタ 27 検出板 29 抗体感作粒子部 30 反応固定部 32 吸収パッド 33 終了サイン部 34 クッション材

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】略円柱状に形成され、その軸線方向に検液
    を浸透させるフィルタ部と、 このフィルタ部の下流端にフィルタ部の軸線に直交して
    取付けられ、前記検液を浸透させる検出板と、 この検出板に固着され、陽性時に、検液と同時にまたは
    検液と独立して浸透する標識抗体をトラップして呈色を
    示す反応固定部と、 前記検出板の外周部に配置された吸収パッドと、 を備えたことを特徴とする検液の検出体。
  2. 【請求項2】検出板の反応固定部は、検出板裏面より確
    認自在であることを特徴とする請求項1記載の検液の検
    出体。
  3. 【請求項3】検出板は、厚さが20〜1000μmの基
    材からなることを特徴とする請求項2記載の検液の検出
    体。
  4. 【請求項4】反応固定部は、検出板の裏面に設けられて
    いることを特徴とする請求項2記載の検液の検出体。
  5. 【請求項5】反応固定部は、フィルタ部の下流端中心に
    設けられていることを特徴とする請求項1記載の検液の
    検出体。
  6. 【請求項6】反応固定部は、フィルタ部の下流端中心か
    ら略同一半径の円周位置に複数塗布され、各反応固定部
    の塗布量は互いに相違することを特徴とする請求項1記
    載の検液の検出体。
  7. 【請求項7】内部に検便スティックが収納されるととも
    に便懸濁液を作成する容器と、 この容器に連通自在に連結され潜血の有無を検出する検
    出体とを備え、 この検出体は、略円柱状に形成され、その軸線方向に便
    懸濁液を浸透させるフィルタ部と、 このフィルタ部の下流端にフィルタ部の軸線に直交して
    取付けられ、前記便懸濁液を浸透させる検出板と、 この検出板に固着され、陽性時に、便懸濁液と同時にま
    たは便懸濁液と独立して浸透する標識抗体をトラップし
    て呈色を示す反応固定部と、 前記検出板の外周部に配置された吸収パッドと、を有す
    ることを特徴とする便内潜血検出装置。
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