JPH0749233Y2 - 不完全燃焼検知装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ガスを燃焼させてその発生熱を利用するガ
ス燃焼装置における不完全燃焼を検出するための不完全
燃焼検知装置に関するものである。

〔従来の技術〕 ガス燃焼装置、例えば給湯器は第３図に示すような構成
をしている。すなわち、１は燃焼室で、下部にガス燃焼
器２が設けられ、上部には蓋３が被着される。蓋３は下
方が広く、上方に行くに従い断面が次第に小さくなるよ
うにテーパ状をしている。そして、蓋３には排気筒４が
取り付けられている。５は熱交換器で、この例ではパイ
プに集熱フィン（図示は省略）が取り付けられており、
燃焼室１の外壁面に沿って巻回されている。６は外囲体
で、燃焼室１の外周を燃焼室１との間に空間11を保って
取り囲んでおり、高温部分の接触事故と外風による燃焼
の立消えとを防止している。

次に動作について説明する。

ガス燃焼器２を動作させてガスを燃焼させて発熱させ、
熱交換器５のパイプ中に冷水を送り込むと、出口に至る
間に前記発熱により冷水は加熱されて湯となって出てく
る。その温度はガス燃焼器２のガスの燃焼量によって決
まる。

〔考案が解決しようとする課題〕

このような燃焼室１において、不完全燃焼の発生を皆無
にすることはきわめて困難であり、したがって不完全燃
焼を早期に検出することで対応している。そのため、従
来、炎の導電度を検知する不完全燃焼検知装置や不完全
燃焼時に発生するCO,H₂等を直接検知するガスセンサを
取り付けた不完全燃焼検知装置が実用化されているが、
いずれも検知精度，信頼性において十分でないばかりか
コスト高になり普及の妨げとなっていた。

この考案は、上記の点にかんがみなされたもので、温度
センサを使用した安価で検知精度の高い不完全燃焼検知
装置を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

この考案にかかる不完全燃焼検知装置は、外囲体と蓋体
とで形成される空間内に温度センサを取り付け、この温
度センサの出力の程度から不完全燃焼を判定する判定手
段を具備したものである。

〔作用〕

この考案においては、ガス燃焼器の燃焼程度が強，中，
弱のいずれであっても、不完全燃焼が発生すると、外囲
体と蓋体とで形成される空間内の温度が異常に上昇する
ので、この温度上昇を温度センサが検出し、判定手段が
不完全燃焼と判定する。

〔実施例〕

この考案は、不完全燃焼時にはガス燃焼装置の特定部位
が完全燃焼時よりも異常に昇温するという事実を見出
し、この知見に基づいてなされたものである。そこで、
まず上記の特定部位の昇温について説明する。

第３図のガス燃焼装置において、A,B,Cの３カ所を選定
した。ただし、Ａの位置は排気筒４の内部下端であり、
B,Cの位置は蓋３の外部であって外囲体６の内部であ
る。これらA,B,Cの位置に温度センサを配置しておき、
ガスの燃焼によって初期温度が10分後に何度に昇温する
かを、燃焼度が“強",“中",“弱”のうち“弱”の場合
についてそれぞれ普通燃焼時の不完全燃焼時について実
験により確認した。その結果は下記第１表のようであっ
た。

上記第１表により不完全燃焼を温度で検出するための温
度センサの設置位置としてはＣの位置がよいといえる。
その理由は下記の３つである。

１） Ｃの位置は温度センサへの温度の負担がA,Bの位
置より小さい。

２） 普通燃焼時と不完全燃焼時の温度差が大きくその
温度差で不完全燃焼を検知することができる。

３） 不完全燃焼時に温度センサから出力を得ることが
できる。

ただし、不完全燃焼時にはCOだけでなく、Ｈ₂やその他
の雑ガスが出ており、それらすべてに温度センサが反応
している。

そこで、さらにＣの位置での燃焼と昇温の関係について
調べると、下記第２表のようになる。

第２表から酸欠による不完全燃焼時と普通燃焼時に温度
差があり、その温度差で不完全燃焼を捕えることができ
ることが判る。

上記に基づくこの考案の実施例について以下に説明す
る。

第１図はこの考案の一実施例の構成略図で、第２図にそ
の回路図を示す。この図で、第３図と同じ部分は同一の
符号を付してある。

第１図で、11Aは前記蓋３と外囲体６とが形成する空間
で、ここに温度センサ12が配置される。

第２図で、12は上述の温度センサで、例えば白金線のコ
イル等からなり温度に応じて抵抗値を変化させるもの
や、直接熱起電力により温度に応じた電圧を発生させる
もの等が用いられるが、ここでは前者のタイプのものを
用いた例とする。13〜15は固定抵抗体で、温度センサ12
とともにブリッジ16を組む。17は直流電源、18は比較
器、19は基準電源で、あらかじめ不完全燃焼が発生した
ときのブリッジ16の出力電圧Ｅ_oがこの基準電源19の基
準電圧Ｅ_rを越えるように選定される。20は各種表示
器，警報器等の報知器であり、ブリッジ16等と共に判定
手段を構成している。

次に動作について第１図，第２図により説明する。

ガス燃焼器２が動作しているとき、不完全燃焼が発生す
ると空間部11の温度が上昇するので、温度センサ12の出
力電圧Ｅ_oが増大し、この値が基準電源19の基準電圧Ｅ_r
を越えると比較器18から出力が出て報知器20を作動させ
る。これにより、ガス燃焼装置が不完全燃焼になってい
ることが判明する。

なお、温度センサ12のみでなく、ガスセンサを併用する
ことにより、さらに不完全燃焼を確度高く検出すること
ができる。

〔考案の効果〕

この考案は以上説明したように、外囲体と蓋体とで形成
される空間内に温度センサを取り付けるとともに、温度
センサの出力があらかじめ定められた設定値を越えたと
き不完全燃焼と判定する判定手段を有するので、不完全
燃焼を検知する温度センサは外囲体の外側に位置するた
め温度の負担が小さく、しかも普通燃焼時と不完全燃焼
時の温度差が大きくその温度差で不完全燃焼を検知する
ため、確実に検知でき、さらに、不完全燃焼時に温度セ
ンサから出力を得ることができ、故障の少ない確度の高
い検出ができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案をガス給湯器へ適用した一実施例の構
成略図、第２図はその回路図、第３図はこの考案の適用
対象物である給湯器の一例を示す構成略図である。 図中、１は燃焼室、２はガス燃焼器、３は蓋、４は排気
筒、５は熱交換器、６は外囲体、11,11Aは空間、12は温
度センサ、13〜15は固定抵抗体、16はブリッジ、17は直
流電源、18は比較器、19は基準電源、20は報知器であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下部にガス燃焼器を備えた燃焼室の上部
   に、上方に向けて断面が次第に小さくなる蓋体を介して
   排気筒を設け、さらに前記燃焼室の外周を空間を保って
   取り囲む外囲体を備えたガス燃焼装置において、前記外
   囲体と蓋体とで形成される空間内に温度センサを取り付
   けるとともに、前記温度センサの出力があらかじめ定め
   られた設定値を越えたとき不完全燃焼と判定する判定手
   段を具備したことを特徴とする不完全燃焼検知装置。